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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203784(P2020-203784A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/00 20060101AFI20201127BHJP
【FI】
   B66B23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-113524(P2019-113524)
(22)【出願日】2019年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園部 圭一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏光
(72)【発明者】
【氏名】宇津宮 博文
(72)【発明者】
【氏名】松尾 利昭
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA07
3F321CD14
(57)【要約】
【課題】スライド床の製造コストの低減を図ることができる乗客コンベアを提供する。
【解決手段】乗客コンベア1は、フレーム2と、スライド床4Bと、を備えている。スライド床4Bは、受け台201Bに配置される床本体部25と、床本体部の幅方向の両端部に配置される一対の目地部材21と、を備えている。そして、目地部材21におけるフレームとは反対側の先端部は、受け台201Bの壁面部と対向し、上下方向に対して傾斜したテーパ部21aが形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に設置されたフレームと、
前記フレームの端部から前記建築構造物における前記フレームを支持する受け台に向けて延設するスライド床と、を備え、
前記スライド床は、
前記受け台に配置される床本体部と、
前記床本体部の幅方向の両端部に配置される一対の目地部材と、を備え、
前記目地部材における前記フレームとは反対側の先端部は、前記受け台の壁面部と対向し、上下方向に対して傾斜したテーパ部が形成されている
を備えた乗客コンベア。
【請求項2】
前記床本体部の先端部は、前記目地部材の前記テーパ部よりも前記フレーム側に配置される
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記床本体部は、水平方向から見た際に、前記目地部材の投影面内に収まる
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記床本体部は、複数の部材を積層して形成され、
前記複数の部材の先端部は、階段状に前記幅方向と直交する方向にずらして配置される
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記テーパ部は、少なくとも前記目地部材の先端部における上下方向の下側の一部に形成される
請求項1に記載の乗客コンベア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレーターや動く歩道(電動道路)等の乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアは、建築構造物に設置されるフレームと、このフレーム内に設けられて循環移動する無端状に連結された複数の踏段とを備えている。そして、フレームは、踏段の進行方向の両端部を建築構造物に架設することで、建築構造物に設置されている。
【0003】
また、近年では、地震動により大きな層間変位が生じ、建築構造物の下階床と上階床との間隔、すなわち梁間寸法が比較的大きく伸長した際に、乗降口に設けられた乗降床が建築構造物に対してスライドする乗客コンベアが提案されている。
【0004】
このような乗降床がスライドする技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、本体枠が圧縮される方向に生じる載置側終端部と建築構造体との相対変位に応じて、スライド床の反本体枠側端部を上方に変位させ、スライド床の反本体枠側端部を乗降口の建屋側床上に乗り上げ可能にする乗客コンベアが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−101433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された乗客コンベアでは、先端テーパ部がスライド床の幅方向の一端から他端にかけて連続して形成されている。そのため、スライド床の幅方向の全域に対してテーパ加工を行うことは困難であり、特許文献1に記載された乗客コンベアでは、スライド床の製造コストが高くなる、という問題を有していた。
【0007】
本目的は、上記の問題点を考慮し、スライド床の製造コストの低減を図ることができる乗客コンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、乗客コンベアは、建築構造物に設置されたフレームと、フレームの端部から建築構造物におけるフレームを支持する受け台に向けて延設するスライド床と、を備えている。スライド床は、受け台に配置される床本体部と、床本体部の幅方向の両端部に配置される一対の目地部材と、を備えている。そして、目地部材におけるフレームとは反対側の先端部は、受け台の壁面部と対向し、上下方向に対して傾斜したテーパ部が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の乗客コンベアによれば、スライド床の製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態例にかかる乗客コンベアの構成例を示す概略構成図である。
図2】第1の実施の形態例にかかる乗客コンベアの乗降口を示す平面図である。
図3】第1の実施の形態例にかかる乗客コンベアの乗降口を示す断面図である。
図4】第1の実施の形態例にかかる乗客コンベアにおけるスライド床の先端部を拡大して示す断面図である。
図5】第1の実施の形態例にかかる乗客コンベアにおけるスライド床が移動した状態を示す側面図である。
図6】第2の実施の形態例にかかる乗客コンベアにおけるスライド床の先端部を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、乗客コンベアの実施の形態例について、図1図6を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
1.第1の実施の形態例
1−1.乗客コンベア及び建築構造物の構成例
まず、図1図4を参照して乗客コンベアの第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)について説明する。
図1は、本例の乗客コンベア及び建築構造物を示す概略構成図である。図2は、乗客コンベアの乗降口を示す平面図である。図3は、乗客コンベアの乗降口を示す側面図である。
【0013】
図1に示すように、本例の乗客コンベア1は、建築構造物200の下階床200Aと上階床200Bに設置される傾斜型の乗客コンベア、いわゆるエスカレーターである。まず、乗客コンベア1が設置される建築構造物200について説明する。
【0014】
建築構造物200における下階床200Aには、下部受け台201Aが設けられており、上階床200Bには、上部受け台201Bが設けられている。なお、下部受け台201Aと、上部受け台201Bは、同一の構成を有しているため、ここでは上部受け台201Bはについて説明する。
【0015】
図2に示すように、上部受け台201Bは、上階床200Bの仕上げ床面203から上下方向の下方に向けて凹んだ段差面である。また、上部受け台201Bは、下階床200Aにおける乗客コンベア1側の角部に形成されている。この下部受け台201A及び上部受け台201Bには、後述する乗客コンベア1の支持アングル9が設置される。
【0016】
[乗客コンベア]
次に、乗客コンベア1の構成について説明する。
乗客コンベア1は、建築構造物200に設置されたフレーム2と、床プレート3A、3Bと、乗降床4A、4Bと、乗客を乗せる複数の踏段5と、一対の欄干部材6、6と、下部スプロケット7と、上部スプロケット8と、駆動部10とを備えている。また、乗客コンベア1は、フレーム2に固定された支持アングル9を有している。
【0017】
フレーム2は、下階床200Aと上階床200Bにまたがって設置されている。フレーム2は、下階水平部2Aと、上階水平部2Bと、中間傾斜部2Cとを有している。下階水平部2Aと上階水平部2Bは、互いに平行に形成されている。そして、下階水平部2Aと上階水平部2Bは、フレーム2を建築構造物200に設置した状態において、上階床200B及び下階床200Aと平行をなし、水平に保たれる部分である。
【0018】
中間傾斜部2Cは、下階水平部2Aと上階水平部2Bの間に設けられている。中間傾斜部2Cは、下階水平部2A及び上階水平部2Bに対して傾斜している。以下、フレーム2における下階床200Aから上階床200Bに向かって延びる方向をフレーム2の長手方向とする。また、フレーム2の長手方向及び上下方向とも直交する方向、すなわち、下階床200Aからフレーム2を見た状態で左右方向をフレーム2の幅方向とする。
【0019】
下部床プレート3Aは、フレーム2における下階水平部2Aの上部に配置されている。また、上部床プレート3Bは、フレーム2における上階水平部2Bの上部に配置されている。そして、下部床プレート3Aは、下階水平部2Aの上方を覆い、上部床プレート3Bは、上階水平部2Bの上方を覆う。
【0020】
下部床プレート3Aにおける乗降口側の先端部には、下部乗降床4Aが配置されている。下部乗降床4Aは、フレーム2における下階水平部2Aに固定されている。上部床プレート3Bにおける乗降口側の先端部には、スライド床を示す上部乗降床4Bが配置されている。上部乗降床4Bは、フレーム2における上階水平部2Bに固定されている。この下部乗降床4A及び上部乗降床4Bが乗客コンベア1の乗降口となる。下部床プレート3Aと下部乗降床4Aを一体に形成し、上部床プレート3Bと上部乗降床4Bを一体に形成してもよい。
【0021】
なお、スライド床を示す上部乗降床4Bの構成については、後述する。
【0022】
また、フレーム2における下階水平部2Aには、下部スプロケット7が配置されており、上階水平部2Bには、上部スプロケット8と駆動部10が配置されている。上部スプロケット8と駆動部10には、伝達チェーンが巻き掛けられている。そして、上部スプロケット8は、駆動部10が駆動することで回転する。また、下部スプロケット7と上部スプロケット8には、無端状の踏段チェーン11が巻き掛けられている。そして、上部スプロケット8が回転することで、下部スプロケット7及び踏段チェーン11が回転する。
【0023】
複数の踏段5は、踏段チェーン11を介して無端状に連結され、一連のコンベアを構成している。複数の踏段5は、フレーム2に取り付けられたガイドレールに案内されて往路側と復路側を循環移動する。乗客は、往路側を移動する踏段5に載って輸送される。
【0024】
次に、欄干部材6について説明する。
一対の欄干部材6、6は、フレーム2の上部に支持されており、フレーム2の幅方向の両側に配置されている。欄干部材6は、平板状のパネル部材6aと、移動手摺6bと、を有している。パネル部材6aは、フレーム2に設けられたデッキ部に支持されている。パネル部材6aの周縁部には、移動手摺6bが設けられている。
【0025】
移動手摺6bは、無端状のベルト部材により構成されている。移動手摺6bは、パネル部材6aに移動可能に支持される。また、移動手摺6bは、複数の踏段5の循環移動の動作に同期して、循環移動する。
【0026】
また、フレーム2は、例えば、トラス構造により構成されている。また、フレーム2は、下枠と、下枠と対向する上枠と、下枠及び上枠を連結する縦枠とを有するトラス構造により構成されている。
【0027】
また、図1に示すように、フレーム2の長手方向の両端部には、支持アングル9が取り付けられている。
【0028】
図3に示すように、支持アングル9は、延在する方向から見た形状が略L字状の形成されている。支持アングル9は、フレーム2の長手方向の両端部における上下方向の上端部に固定されている。
【0029】
図1に示すように、フレーム2の下階水平部2Aに固定された支持アングル9は、下部受け台201Aに固定されている。これに対して、図3に示すように、フレーム2の上階水平部2Bに固定された支持アングル9は、スライド部材9aを介して上部受け台201Bに摺動可能に支持されている。これにより、乗客コンベア1における下階側が固定端となり、上階側が自由端となる。なお、乗客コンベア1における下階側を自由端とし、上階側を固定端としてもよく、あるいは乗客コンベア1における下階側及び上階側をそれぞれ自由端としてもよい。そして、スライド床は、乗客コンベア1における自由端側に配置される。
【0030】
1−2.上部乗降床(スライド床)の構成
次に、図2図4を参照してスライド床を示す上部乗降床4Bの構成について説明する。
図4は、上部乗降床4Bの先端部を拡大して示す断面図である。
【0031】
図2及び図3に示すように、上部乗降床4Bは、支持アングル9の上部に配置されて、フレーム2から上部受け台201Bに向けて延設している。そして、上部乗降床4Bは、その上面部が建築構造物200の仕上げ床面203と同じ高さになるように、上部受け台201B内に配置されている。
【0032】
上部乗降床4Bは、一対の目地部材21、21と、床本体部25と、支持部材26と、を有している。床本体部25のフレーム2とは反対側の乗降口側である先端部は、上部受け台201Bにおける幅方向と直交する方向に形成された壁面部201aと対向する。
【0033】
床本体部25は、踏み板部材22と、補強部材23と、ブラケット部材24とを有している。そして、上下方向の下方からブラケット部材24、補強部材23、踏み板部材22の順で積層されている。
【0034】
踏み板部材22は、略平板状の部材により形成されている。踏み板部材22は、上部乗降床4Bの化粧面となる。踏み板部材22における上下方向の下側の下面部には、補強部材23が固定されている。補強部材23は、踏み板部材22よりも厚く形成されており、踏み板部材22を補強する。
【0035】
補強部材23における踏み板部材22とは反対側、すなわち、下面部には、ブラケット部材24が固定されている。ブラケット部材24は、踏み板部材22及び補強部材23を支持している。そして、ブラケット部材24は、支持アングル9の上部に設けられた支持部材26に取り付けられている。これにより、床本体部25は、支持部材26に支持される。そして、床本体部25は、フレーム2及び支持アングル9から建築構造物200に向けて略水平に突出している。
【0036】
図4に示すように、踏み板部材22の先端部22aは、補強部材23及びブラケット部材24の先端部23a、24aよりも壁面部201aに向けて突出している。また、補強部材23の先端部23aは、ブラケット部材24の先端部24aよりも壁面部201aに向けて突出している。さらに、踏み板部材22、補強部材23及びブラケット部材24の先端部22a、23a、24aには、テーパ加工が施されていない。
【0037】
なお、床本体部25の構成は、上述した例に限定されるものではなく、踏み板部材22及び補強部材23を一体に形成してもよく、あるいは補強部材23とブラケット部材24を一体に形成してもよい。または、踏み板部材22、補強部材23及びブラケット部材24を全て一体に形成してもよい。
【0038】
図2に示すように、床本体部25の幅方向の両端部には、目地部材21が固定されている。目地部材21は、床本体部25と上部受け台201Bにおける幅方向の両側に形成された隙間に配置される。
【0039】
図3及び図4に示すように、目地部材21におけるフレーム2とは反対側の乗降口側である先端部は、上部受け台201Bの壁面部201aと対向する。また、目地部材21の先端部には、上下方向に対して傾斜したテーパ部21aが形成されている。テーパ部21aは、フレーム2から離れるに従い、目地部材21の下面が上面に向けて連続して接近するように傾斜している。目地部材21のテーパ部21aは、上部受け台201Bの壁面部201a及び上部受け台201Bの載置面と対向する。また、テーパ部21aは、壁面部201aにおける上下方向の上部側の角部を摺動する。
【0040】
また、目地部材21は、その上下方向の長さが、床本体部25の上下方向の長さよりも長くなるように形成されている。床本体部25は、水平方向から見た目地部材21の投影面内に収まっている。そして、床本体部25の先端部22a、23a、24aは、目地部材21のテーパ部21aよりもフレーム2側に位置している。
【0041】
また、床本体部25を構成する踏み板部材22、補強部材23及びブラケット部材24は、目地部材21のテーパ部21aの傾斜に対応させて、先端部22a、23a、24aを階段状に幅方向と直交する方向にずらして配置されている。これにより、床本体部25の先端部22a、23a、24aが目地部材21のテーパ部21aから上部受け台201Bの壁面部201aに向けて突出することなく、床本体部25の先端部を目地部材21内に収めることができる。
【0042】
また、踏み板部材22、補強部材23及びブラケット部材24をずらして配置することで、踏み板部材22の先端部22aを壁面部201aに近づけることができ、床本体部25と壁面部201aとの間に生じる隙間を小さくすることができる。
【0043】
上述したように、テーパ加工を施す部材は、目地部材21だけである。これにより、スライド床である上部乗降床4Bを製造する手間を低減することができ、製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
1−3.上部乗降床(スライド床)の移動例
次に、上述した構成を有する上部乗降床4Bの移動した状態について図5を参照して説明する。
図5は、上部乗降床4Bが移動した状態を示す断面図である。
【0045】
地震動や各種振動により層間変位が生じ、下階床200Aと上階床200Bの間隔が狭まると、フレーム2と上部受け台201Bの間隔も狭まる。このとき、図4に示すように、支持アングル9は、スライド部材9aによって上部受け台201Bに接近する向きに摺動する。これにより、フレーム2及び支持アングル9に支持された上部乗降床4Bがスライドする。
【0046】
上部乗降床4Bは、上部受け台201Bの壁面部201aに向けてスライドするため、上部乗降床4Bの先端部が壁面部201aに当接する。また、目地部材21のテーパ部21aは、壁面部201aに当接すると共に、壁面部201aの上下方向の上端側の角部を登るように摺動する。そして、テーパ部21aは、上部受け台201Bから仕上げ床面203側に乗り上げる。
【0047】
また、一対の目地部材21、21の間に配置された床本体部25も、目地部材21と共に上部受け台201Bから仕上げ床面203側に乗り上げる。これにより、上部乗降床4B全体が仕上げ床面203側に乗り上げる。これにより、上部乗降床4Bがフレーム2と上部受け台201Bによって圧縮されて、上部乗降床4Bや上部受け台201Bが破損することを防ぐことができる。
【0048】
上述したように、床本体部25の先端部は、目地部材21のテーパ部21aよりもフレーム2側に位置している。そのため、仕上げ床面203側に乗り上がる際に、床本体部25が仕上げ床面203や上部受け台201Bの角部に接触することを防ぐことができる。その結果、床本体部25を構成する踏み板部材22、補強部材23やブラケット部材24が破損することを防ぐことができる。
【0049】
その後、さらなる層間変位により、下階床200Aと上階床200Bの間隔が広がると、目地部材21のテーパ部21aは、壁面部201aの角部を下るように摺動し、上部乗降床4Bは、図3に示す上部受け台201B内に戻る。
【0050】
2.第2の実施の形態例
次に、図6を参照して乗客コンベアの第2の実施の形態例について説明する。
図6は、第2の実施の形態例にかかる乗客コンベアにおけるスライド床の先端部を拡大して示す断面図である。
【0051】
この第2の実施の形態例にかかる乗客コンベアが、第1の実施の形態例にかかる乗客コンベアと異なる点は、スライド床の目地部材の形状である。そのため、ここでは、目地部材の構成について説明し、第1の実施の形態例にかかる乗客コンベアと共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0052】
図6に示すように、スライド床を示す上部乗降床34Bは、目地部材31と、床本体部25とを有している。床本体部25は、第1の実施の形態例にかかる床本体部25と同様に、踏み板部材22、補強部材23及びブラケット部材24を積層することで構成されている。床本体部25の幅方向の両端部には、目地部材31が固定されている。
【0053】
目地部材31の先端部には、傾斜面部であるテーパ部31aと、端面部31bが形成されている。端面部31bは、目地部材31の先端部において上下方向の上端部に形成されている。端面部31bは、上下方向と略平行をなす。端面部31bは、床本体部25における踏み板部材22の先端部22aと同一平面上、又は踏み板部材22の先端部22aよりも壁面部201a(図3参照)側に突出する。また、端面部31bの上下方向の長さは、踏み板部材22の上下方向の長さと同一又は若干長く設定されている。
【0054】
端面部31bの上下方向の下端からは、テーパ部31aが連続して形成されている。すなわち、第2の実施の形態例にかかる上部乗降床34Bは、目地部材31の先端部の一部のみが傾斜している。
【0055】
また、床本体部25は、テーパ部31a及び端面部31bから壁面部201a(図3参照)側に突出していない。すなわち、床本体部25は、水平方向から見た目地部材31の投影面内に収まっている。
【0056】
ここで、踏み板部材22は、他の部材よりも比較的薄く形成されている。そのため、踏み板部材22と、上下方向の長さが略等しい端面部31bの長さは、比較的短くなる。そして、層間変位が生じ、上部乗降床34Bが上部受け台201Bの壁面部201aに接近すると、目地部材31の端面部31bが壁面部201aに当接する。しかしながら、端面部31bの上下方向の長さは、比較的短く設定されているため、端面部31bは、直ちに壁面部201aの角部を乗り上げ、テーパ部31aが壁面部201aの角部に接触する。このように、先端部の下側の一部のみが傾斜した目地部材31においても、第1の実施の形態例と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0057】
また、目地部材31の端面部31bを踏み板部材22の先端部22aと略同一の位置に配置したことで、床本体部25と上部受け台201Bの壁面部201aとの間に生じる隙間を小さくすることができる。
【0058】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例にかかる乗客コンベア1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する上部乗降床34Bを有する乗客コンベアにおいても、上述した第1の実施の形態例にかかる乗客コンベア1と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0059】
なお、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0060】
上述した実施の形態では、傾斜型の乗客コンベアとして、踏段間に段差が生じるエスカレーターを例に挙げて説明したが、本発明の乗客コンベアとしては、踏段間に段差が生じない複数の踏段を有する電動道路、いわゆる動く歩道にも適用できるものである。
【0061】
また、本発明は、中間傾斜部2Cの少なくとも一部に、下階水平部2A及び上階水平部2Bに対して平行な箇所を設けたフレームを有する乗客コンベアにも適用できるものである。さらに、本発明は、中間傾斜部2Cの延設方向が湾曲して変化することで、下階水平部2Aと上階水平部2Bの延設方向が異なるフレームを有する乗客コンベアに対しても同様に適用できるものである。
【0062】
また、上部乗降床4Bがスライド床であると説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、乗客コンベア1の下階側が自由端の場合、下部乗降床4Aがスライド床となる。なお、下部乗降床4Aがスライド床となる場合、その構成は、上述した上部乗降床4Bの構成と同様であるため、その説明は省略する。
【0063】
さらに、上述した実施の形態例では、スライド床を示す上部乗降床4Bを支持アングル9に固定する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、上部乗降床4Bをフレーム2に固定してもよい。
【0064】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…乗客コンベア、 2…フレーム、 2A…下階水平部、 2B…上階水平部、 2C…中間傾斜部、 3A…下部床プレート、 3B…上部床プレート、 4A…下部乗降床、 4B、34B…上部乗降床(スライド床) 5…踏段、 6…欄干部材、 9…支持アングル、 21、31…目地部材、 21a、31a…テーパ部、 22…踏み板部材、 22a、23a、24a…先端部、 23…補強部材、 24…ブラケット部材、 25…床本体部、 26…支持部材、31b…端面部、 200…建築構造物、 200A…下階床、 200B…上階床、 201A、201B…下部受け台(受け台)、 201a…壁面部、 203…仕上げ床面、 204…壁面、 205A…下部受け台(受け台)、 205B…上部受け台(受け台)
図1
図2
図3
図4
図5
図6