特開2020-203814(P2020-203814A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧
<>
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000003
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000004
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000005
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000006
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000007
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000008
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000009
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000010
  • 特開2020203814-高温ガス生成装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203814(P2020-203814A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】高温ガス生成装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/38 20060101AFI20201127BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20201127BHJP
   F23C 13/04 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   C01B3/38
   C01B3/04 B
   F23C13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-113026(P2019-113026)
(22)【出願日】2019年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】河内 浩康
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
【テーマコード(参考)】
3K065
4G140
【Fターム(参考)】
3K065TD05
3K065TK02
3K065TK04
3K065TK06
3K065TK09
3K065TL04
3K065TN01
4G140EA07
4G140EB03
4G140EB11
4G140EB12
(57)【要約】
【課題】エネルギーを有効に利用することができる高温ガス生成装置を提供する。
【解決手段】高温ガス生成装置5は、改質層51、燃焼層52、及び暖気層53が互いに積層された層構造を備えている。このように、アンモニアを燃焼させる燃焼層52が、他の層と積層されていることで、燃焼で発生した熱を他の層へ伝達することができる。従って、暖気層53は、燃焼層52の燃焼で発生した熱で、所望のガス(ここではアンモニアガス)を効率良く暖気することができる。また、改質層51も、燃焼層52の燃焼で発生した熱を利用して、効率良く改質を行うことができる。これにより、高温ガス生成装置5は、少なくとも水素ガス及びアンモニアガスを含んだ高温ガスを効率良く生成することができる。従って、高温ガスの供給先においては、高温な状態の水素ガス、及び高温な状態のアンモニアガスを有効に利用することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温ガスを生成する高温ガス生成装置であって、
水素含有原料を水素に分解する改質触媒を有し、前記水素含有原料を改質して水素ガスを含有した改質ガスを生成する改質層と、
前記水素含有原料を燃焼させる燃焼触媒を有する燃焼層と、
前記燃焼層の燃焼で発生した熱で前記水素含有原料及び酸化性ガスの少なくとも一方を暖気する暖気層と、が互いに積層された層構造を備える、高温ガス生成装置。
【請求項2】
前記改質層、前記燃焼層、及び前記暖気層の何れかに対して、前記水素含有原料及び酸化性ガスの少なくとも一方をそれぞれ分配するヘッダを更に備える、請求項1に記載の高温ガス生成装置。
【請求項3】
前記改質層、前記燃焼層、及び前記暖気層の出口側において、各層から流出した前記高温ガスを混合させる、請求項1又は2に記載の高温ガス生成装置。
【請求項4】
前記改質層、前記燃焼層、及び前記暖気層から流出した前記高温ガスは、当該高温ガスを改質触媒で改質して水素ガスを含有した改質ガスを生成する改質部へ供給される、請求項1〜3の何れか一項に記載の高温ガス生成装置。
【請求項5】
前記改質層、前記燃焼層、及び前記暖気層から流出した前記高温ガスは、バーナーに供給される、請求項1〜3の何れか一項に記載の高温ガス生成装置。
【請求項6】
前記改質層、前記燃焼層、及び前記暖気層の出口側において、各層から流出した前記高温ガスを分離した状態で流出させる、請求項1〜5の何れか一項に記載の高温ガス生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温ガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より水素を含有する原料を用いるシステムが利用されている。例えば特許文献1に記載されているような改質システムは、液体状の原料を気化させる蒸発部と、この蒸発部により気化された原料ガスを改質する改質部とを備えている。この改質システムは、改質部の熱を蒸発部に伝熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−247301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のような改質システムでは、起動時において、改質部の熱を熱伝導によって蒸発部に伝熱しているため、改質システムの運転が安定するまでの起動時間が長いという問題がある。このように改質システムの起動時間が長くなる場合、システム全体としてのエネルギー効率が低下する。従って、水素を含有する原料を用いるシステムにおいて、エネルギーを有効に利用することが求められる。
【0005】
本発明の目的は、エネルギーを有効に利用することができる高温ガス生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る高温ガス生成装置は、高温ガスを生成する高温ガス生成装置であって、水素含有原料を水素に分解する改質触媒を有し、水素含有原料を改質して水素ガスを含有した改質ガスを生成する改質層と、水素含有原料を燃焼させる燃焼触媒を有する燃焼層と、燃焼層の燃焼で発生した熱で水素含有原料及び酸化性ガスの少なくとも一方を暖気する暖気層と、が互いに積層された層構造を備える。
【0007】
このような高温ガス生成装置は、改質層、燃焼層、及び暖気層が互いに積層された層構造を備えている。このように、水素含有原料を燃焼させる燃焼触媒を有する燃焼層が、他の層と積層されていることで、燃焼で発生した熱を他の層へ伝達することができる。従って、暖気層は、燃焼層の燃焼で発生した熱で、水素含有原料及び酸化性ガスの少なくとも一方を効率良く暖気することができる。また、改質層も、燃焼層の燃焼で発生した熱を利用して、効率良く改質を行うことができる。これにより、高温ガス生成装置は、少なくとも水素ガス及び水素含有原料及び酸化性ガスの少なくとも一方の所望のガスを含んだ高温ガスを効率良く生成することができる。従って、高温ガスの供給先においては、高温な状態の水素ガス、及び高温な状態の所望のガスを有効に利用することができる。以上より、エネルギーを有効に利用することができる。
【0008】
高温ガス生成装置は、改質層、燃焼層、及び暖気層の何れかに対して、水素含有原料及び酸化性ガスの少なくとも一方をそれぞれ分配するヘッダを更に備えてよい。この場合、各層の目的に応じて、供給する必要があるガスを他の層と分けた状態で供給することができる。
【0009】
改質層、燃焼層、及び暖気層の出口側において、各層から流出した高温ガスを混合させてよい。この場合、高温ガスの供給先では、各層から流出したガスを均一に混合された状態で、有効に利用することができる。
【0010】
改質層、燃焼層、及び暖気層から流出した高温ガスは、当該高温ガスを改質触媒で改質して水素ガスを含有した改質ガスを生成する改質部へ供給されてよい。この場合、改質部は、高温な状態の水素ガス及び水素含有原料を用いて、速やかに起動することができる。
【0011】
改質層、燃焼層、及び暖気層から流出した高温ガスは、バーナーに供給されてよい。この場合、バーナーは、高温な状態の水素ガス及び水素含有原料を用いて、速やかに着火することができる。
【0012】
高温ガス生成装置は、改質層、燃焼層、及び暖気層の出口側において、各層から流出した高温ガスを分離した状態で流出させてよい。この場合、各層から流出した高温ガスを目的に応じて有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エネルギーを有効に利用することができる高温ガス生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る高温ガス生成装置を備える改質システムを示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る高温ガス生成装置の外観を示す斜視図である。
図3図2に示された高温ガス生成装置の一部構成を除いた状態を示す斜視図である。
図4図2に示された高温ガス生成装置の平面図である。
図5】高温ガス生成装置の層構造を示す模式図である。
図6】高温ガス生成装置をバーナー装置に採用した場合の構成を示す概略構成図である。
図7】変形例に係る高温ガス生成装置の層構成を示す模式図である。
図8】(a)(b)は変形例に係る高温ガス生成装置の構造を示す概略構成図であり、(c)はハニカム構造にガスを供給する構造を示す概略構成図である。
図9】変形例に係る高温ガス生成装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る高温ガス生成装置を備える改質システムを示す概略構成図である。図1に示すように、改質システム1は、原料供給部2と、空気供給部3と、改質部4と、高温ガス生成装置5及び加熱部6を備える起動装置10と、コントローラ9と、を備える。
【0017】
原料供給部2は、改質部4に水素含有原料を供給する。水素含有原料とは、組成の構成元素として水素を含む原料である。本実施形態では、水素含有原料としてアンモニア(NH)を採用する。原料供給部2は、例えば、液体状態でアンモニアを貯蔵するタンクと、当該液体状態のアンモニアを気化してアンモニアガスとする気化器と、を備える。原料供給部2は、ラインL1,L3を介して、改質部4へアンモニアガスを供給する。また、原料供給部2は、ラインL6を介して、高温ガス生成装置5へアンモニアガスを供給する。
【0018】
空気供給部3は、空気(酸化性ガス)を改質部4へ供給する。空気供給部3としては、例えば大気中の空気を改質部4へ送る送風機等が用いられる。空気供給部3は、ラインL2,L3を介して空気を改質部4へ供給する。また、空気供給部3は、ラインL7を介して、高温ガス生成装置5へ空気を供給する。
【0019】
改質部4は、アンモニアガスを改質して、水素ガスを含有した改質ガスを生成する。改質部4は、アンモニアガスを水素に分解する改質触媒を有している。改質触媒は、アンモニアガスを水素に分解する機能に加え、アンモニアガスを燃焼させる機能も有してよい。改質触媒としては、例えばパラジウム、ロジウムまたは白金等が用いられる。
【0020】
改質部4では、改質触媒によりアンモニアが酸化されて燃焼熱が発生する。下記式のように、一部のアンモニアと酸素とが化学反応することで、アンモニアが着火して燃焼する燃焼反応が起こり、燃焼熱が発生する(発熱反応)。
NH+3/4O→1/2N+3/2HO+Q
【0021】
そして、改質触媒によりアンモニアが改質されて改質ガスが生成される。具体的には、下記式のように、燃焼熱によってアンモニアが水素と窒素とに分解される改質反応が起こり、水素がリッチな状態の改質ガスが生成される(吸熱反応)。
NH→3/2H+1/2N−Q
【0022】
改質部4にて生成された改質ガスは、ラインL4を介してガス利用部8に供給される。ガス利用部8としては、例えば水素と空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池、アンモニアを燃料としたアンモニアエンジンまたはアンモニアガスタービン等が挙げられる。
【0023】
改質部4には、改質触媒の温度を検出する温度センサ19が設けられている。温度センサ19は、アンモニアガスが流入する改質触媒の入口部の温度、及び改質ガスが流出する改質触媒の出口部の温度の何れかを検出すればよい。
【0024】
起動装置10は、改質システム1の起動時において、当該起動を早めるための装置である。起動装置10の高温ガス生成装置5は、改質システム1の起動時において、高温ガスを生成して、改質部4へラインL8を介して供給する装置である。高温ガスとは、少なくとも原料供給部2及び空気供給部3から改質部4へ直接供給されるガスよりも高温のガスであり、例えば、200℃以上のガスである。高温ガスには、高温の水素ガス、アンモニアガス、水蒸気、及び空気が含まれる。起動装置10の加熱部6は、高温ガス生成装置5の上流に設けられ、起動初期時にアンモニアガスを加熱する。加熱部6は、例えば電気ヒータによって構成される。このような電気ヒータとして、EHC(電気加熱式触媒装置:Electrically Heated Catalyst)のヒータが用いられてよい。加熱部6は、起動初期にアンモニアガスを加熱し、高温ガス生成装置5に導入する。これにより、高温ガス生成装置5内に設けられたアンモニア燃焼部でアンモニアの燃焼反応が起き、燃焼熱が発生する。この状態に移行した時点で加熱部6の通電を止めてよい。その後は、高温ガス生成装置5内のアンモニア燃焼熱により反応が継続する。なお、上流側の加熱部6と下流側の高温ガス生成装置5とを一つの筐体で結合することで、両者を一体化した構成としてよい。
【0025】
改質システム1は、バルブ11,12,13,14を備える。バルブ11は、原料供給部2から改質部4へアンモニアガスを供給するためのラインL1に設けられる。バルブ12は、空気供給部3から改質部4へ空気を供給するためのラインL2に設けられる。バルブ13は、原料供給部2から高温ガス生成装置5へアンモニアガスを供給するためのラインL6に設けられる。バルブ14は、空気供給部3から高温ガス生成装置5へ空気を供給するためのラインL7に設けられる。バルブ11,12,13,14は、ラインL1,L2,L6,L7の開閉を切り替える。
【0026】
コントローラ9は、改質システム1全体を制御する制御部である。コントローラ9は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ9は、原料供給部2、空気供給部3、加熱部6、及びバルブ11,12,13,14に電気的に接続されており、これらに対して制御信号を送信する。また、コントローラ9は、温度センサ19に電気的に接続されている。コントローラ9は、温度センサ19によって検出された改質触媒の温度を取得する。コントローラ9は、温度センサ19の検出結果から改質触媒が目標温度になったことを判定することができる。コントローラ9は、温度センサ19の検出結果に基づいて、加熱部7、及びバルブ11,12,13,14を制御する。
【0027】
コントローラ9は、改質システム1の起動時には、原料供給部2及び空気供給部3を起動させると共に、バルブ13,14を開としてバルブ11,12を閉とする。また、コントローラ9は加熱部6をONとする。これにより、起動時においては、高温ガス生成装置5からの高温ガスが改質部4に供給される。コントローラ9は、温度センサ19の検出結果により改質触媒が目標温度となったことを判定したら、バルブ13,14を閉としてバルブ11,12を開とする。また、コントローラ9は、加熱部6をOFFとする。これにより、改質部4が定常状態となった後は、原料供給部2及び空気供給部3が直接改質部4へガスを供給する。
【0028】
ただし、コントローラ9の制御内容は、上述のものに限定されない。例えば、コントローラ9は、起動と同時にバルブ11,12を開として、高温ガス生成装置5からの高温ガスと原料供給部2及び空気供給部3からのガスとを、ラインL8とラインL3との合流部にて均一に混合してもよい。このように、合流部で高温ガスと、低温のガス(アンモニアガスと空気)とを均一に混合することで、改質部4の改質触媒に対しては、面内ガス分布を均一にした状態にて、ガスの供給を行うことができる。また、改質触媒が目標温度に達した後も、バルブ13,14を引き続き開としておいて、高温ガス生成装置5の高温ガスを改質部4へ供給し続けてよい。
【0029】
次に、図2図5を参照して、高温ガス生成装置5の構成について詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る高温ガス生成装置の外観を示す斜視図である。図3は、図2に示された高温ガス生成装置の一部構成を除いた状態を示す斜視図である。図4は、図2に示された高温ガス生成装置の平面図である。図5は、高温ガス生成装置の層構造を示す模式図である。
【0030】
図2図4に示すように、本実施形態の高温ガス生成装置5は、改質層51、燃焼層52、及び暖気層53(図5参照)が互いに積層された層構造を有する本体部20と、空気を供給する層の入口に設けられた複数の入口ヘッダ21(ヘッダ)と、複数の入口ヘッダ21に固定された2つの空気供給部材23と、を備えている。なお、図中には、XYZ座標が示されている。X方向は、ガスが流れる方向を示す。X方向の負側が各層の入口側であり、X方向の正側が各層の出口側である。Y方向は、各層が広がる幅方向を示す。Z方向は、各層の積層方向を示す。
【0031】
本体部20は、正面視矩形状の角筒状体25と、この角筒状体25の内部に配置されたハニカム構造体26とを有している。角筒状体25及びハニカム構造体26は、例えばステンレス鋼等の金属で形成されている。
【0032】
角筒状体25は、上壁25a、及び側壁25c,25dを備える。また、角筒状体25は、下端側には下壁を備える。上壁25a及び下壁は、Z方向に互いに対向している。側壁25c,25dは、Y方向に互いに対向している。本体部20の上流側及び下流側の端部は、開口している。本体部20の上流側(X方向負側)の開口部は、各層のガスの入口20aを構成する。本体部20の下流側(X方向正側)の開口部は、各層のガスの出口20bを構成する。ハニカム構造体26は、正方形状または矩形状のセルを形成する複数のセル壁部27から構成されている。
【0033】
入口ヘッダ21は、入口20aから上流側に突き出るように当該入口20aに取り付けられている。入口ヘッダ21は、アンモニアガス及び空気を燃焼層52(図5参照)に導入する。入口ヘッダ21は、例えばステンレス鋼等の金属で形成されている。入口ヘッダ21は、平面視で2つの直角三角形が本体部20の幅方向(Y方向)の中心に対して線対称に並んだ形状を呈している。
【0034】
具体的には、入口ヘッダ21は、側壁25c,25d付近から上流側に延在し、空気が導入される2つの空気導入部30と、各空気導入部30の先端部30aから本体部20の中央部まで延在し、アンモニアガスが導入される2つのアンモニアガス導入部31とを有している(図3参照)。空気導入部30はY方向に開口しているため、空気は、本体部20の側方から入口ヘッダ21内に導入される。アンモニアガス導入部31は、X方向に傾斜した状態で、当該X方向に開口している。従って、アンモニアガスは、本体部20の上流側から入口ヘッダ21内に導入される。
【0035】
空気供給部材23は、複数の入口ヘッダ21の空気導入部30に固定されている。空気供給部材23は、本体部20の高さ方向(Z方向)に延在している。空気供給部材23は、空気を各空気導入部30に供給する部材である。空気供給部材23は、例えば入口ヘッダ21に導入された空気がアンモニアガス導入部31の延在方向に平行な方向に流れるように、空気を空気導入部30に供給する。これにより、入口ヘッダ21内に導入された空気がアンモニアガス導入部31から抜け出にくくなる。
【0036】
以上のような高温ガス生成装置5において、本体部20の入口20a全体に対して、アンモニアガスを供給するためのラインL6(図1参照)が接続されている。これにより、本体部20の入口20a全体に対してアンモニアガスが供給される。各空気供給部材23には、空気を供給するためのラインL7(図1参照)が接続されている。これにより、入口20aのうち、入口ヘッダ21が設けられた箇所に対応する層に、空気が供給される。高温ガス生成装置5の出口20b側には、各層を区分けするためのヘッダは設けられていない。従って、各層から流出した高温ガスは、互いに混合されて混合ガスとして流出する。本体部の出口20b全体に対して、高温ガスを改質部4へ供給するためのラインL8(図1参照)が接続される。これにより、出口20bから流出した混合ガスが改質部4に供給される。
【0037】
次に、図5を参照して、高温ガス生成装置5の層構造について説明する。図5に示すように、高温ガス生成装置5は、改質層51と、燃焼層52と、暖気層53と、を備える。
【0038】
改質層51は、アンモニアガスを水素に分解する改質触媒51aを有し、アンモニアガスを改質して水素ガスを含有した改質ガスを生成する層である。改質層51には、アンモニアガスが供給される。改質層51では、改質部4と同趣旨の改質反応が起きる。燃焼層52は、燃焼触媒52aを有し、当該燃焼触媒52aでアンモニアガスを燃焼させる層である。燃焼層52には、アンモニアガス及び空気が供給される。燃焼層52では、改質部4と同趣旨の発熱反応が起きる。上記の改質触媒51aは、改質層51を構成するセル壁部27に担持されている。上記の燃焼触媒52aは、燃焼層52を構成するセル壁部27に担持されている。すなわち、改質触媒51a及び燃焼触媒52aの材料がセル壁部27に塗られている。また、改質触媒51a及び燃焼触媒52aとしては、ハニカム構造体26の空間(セル)に触媒ペレットをつめることで設けられてもよい。なお、改質触媒51aとしては、改質部4と同様に例えばパラジウム、ロジウムまたは白金等が用いられる。燃焼触媒52aとしては、ロジウムまたは白金などが用いられる。改質触媒51aと燃焼触媒52aとは、互いに異なる材料が採用されてもよく、互いに同じ材料が採用されてもよい。
【0039】
暖気層53は、ガスを暖気する層である。暖気層53は、燃焼層52の燃焼で発生した熱でガスを暖気する。暖気層53には、アンモニアガスが供給される。従って、暖気層53は、アンモニアガスを暖気して出口20bから流出させる。暖気層53は、触媒を有していないため、暖気層53では、アンモニアガスは反応を起こさない。
【0040】
図5に示す層構造では、燃焼層52と積層方向に隣合う位置に改質層51が設けられる。また、一対の改質層51に挟まれる箇所に暖気層53が設けられる。これにより、改質層51は、燃焼層52で発生した熱を用いて改質反応を起こす。暖気層53は、改質層51を介して燃焼層52からの熱を供給されることで、暖気を行う。
【0041】
改質層51の出口20bからは、改質反応によって生じた水素及び窒素と、未反応のアンモニアガスが、高温ガスとして流出する。燃焼層52の出口20bからは、燃焼反応によって生じた窒素及び水蒸気と、過剰の酸素が高温ガスとして流出する。暖気層53の出口20bからは、暖機されたアンモニアガスが高温ガスとして流出する。これらの各層から流出したガスは、互いに混合されて、混合ガスとして改質部4へ供給される。
【0042】
なお、図2に示すように、本体部20では、複数のセル壁部27によって、Z方向に複数段に空間が分割されている。このうち、1段分又は複数段分の空間によって、改質層51、燃焼層52、及び暖気層53が構成される。各層は、Y方向には、側壁25c,25d間の全域に広がっている。図2に示す例では、入口ヘッダ21が設けられた二段分の空間によって、燃焼層52が構成される。一対の入口ヘッダ21でZ方向に挟まれる複数段の空間が、改質層51及び暖気層53に設定される。各層を構成する空間の段数は特に限定されず、一段分の空間によって一層が構成されてもよく、二段分以上の空間によって一層が構成されてもよい。また、各層における一層分の段数は同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、層数は図5に示す物に限定されず、更に多層としてもよく、図5よりも少ない層数にしてもよい。
【0043】
次に、本実施形態に係る高温ガス生成装置5の作用・効果について説明する。
【0044】
本実施形態に係る高温ガス生成装置5は、改質層51、燃焼層52、及び暖気層53が互いに積層された層構造を備えている。このように、アンモニアを燃焼させる燃焼層52が、他の層と積層されていることで、燃焼で発生した熱を他の層へ伝達することができる。従って、暖気層53は、燃焼層52の燃焼で発生した熱で、所望のガス(ここではアンモニアガス)を効率良く暖気することができる。また、改質層51も、燃焼層52の燃焼で発生した熱を利用して、効率良く改質を行うことができる。これにより、高温ガス生成装置5は、少なくとも水素ガス及びアンモニアガスを含んだ高温ガスを効率良く生成することができる。従って、高温ガスの供給先のガス利用部8においては、高温な状態の水素ガス、及び高温な状態のアンモニアガスを有効に利用することができる。以上より、エネルギーを有効に利用することができる。
【0045】
高温ガス生成装置5は、燃焼層52に対して、空気を分配する入口ヘッダ21を更に備える。この場合、燃焼層52の目的に応じて、供給する必要がある空気を他の層と分けた状態で供給することができる。
【0046】
改質層51、燃焼層52、及び暖気層53の出口側において、各層から流出した高温ガスを混合させる。この場合、高温ガスの供給先では、各層から流出したガスを均一に混合された状態で、有効に利用することができる。特に、高温ガス生成装置5は、層構造を有しているため、同一の面内(図2におけるYZ平面内)に改質層51、燃焼層52、及び暖気層53の場所が混在したような構成となる。当該構成によれば、出口20bにおいて、各層から流出したガスを容易に混合することができる。このように、各ガスが均一に混合している場合、改質部4では、同一面内にて各成分が均一に分散した状態にて発熱反応及び改質反応を行うことができるため、各反応の反応性を向上できる。
【0047】
改質層51、燃焼層52、及び暖気層53から流出した高温ガスは、当該高温ガスを改質触媒で改質して水素ガスを含有した改質ガスを生成する改質部4へ供給される。この場合、改質部4は、高温な状態の水素ガス及びアンモニアガスを用いて、速やかに起動することができる。例えば、改質部4が原料供給部2及び空気供給部3から直接供給されるガスのみで起動しようとした場合、改質触媒の温度が上昇するまでに時間がかかり、起動時間が長くなる。あるいは、改質触媒を速やかに加熱するために大きなヒータを設ける必要が生じ、エネルギー効率が低下する可能性がある。これに対し、本実施形態では、既に高温となったアンモニアガス、及び高温となった水素ガスを含んだ高温ガスが、改質部4に供給される。従って、改質部4は、速やかに起動することができる。なお、高温ガス生成装置5の燃焼層52も、加熱部6のヒータの熱を用いて着火してよいが、このようなヒータは、燃焼層52だけを加熱すればよいので、改質部4の改質触媒全体を加熱しなくてはならないヒータに比して、かなり小型にすることができる。
【0048】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0049】
例えば、高温ガス生成装置5の高温ガスの供給先は特に限定されず、高温ガスを有効に利用することができるものであれば、どのようなものに供給されてもよい。例えば、図6に示すように、バーナー装置100に高温ガス生成装置5が適用されてもよい。この場合、 改質層51、燃焼層52、及び暖気層53から流出した高温ガスは、バーナー101に供給される。バーナー101は、高温ガスを着火装置102で着火することで炎を発生させる。この場合、バーナー101は、高温な状態の水素ガス及びアンモニアガスを用いて、速やかに着火することができる。
【0050】
その他、高温ガス生成装置5の高温ガスは、ガスタービンなどに供給されてもよい。
【0051】
高温ガス生成装置5の層構成は、図5に示すものに限定されない。また、暖気層53にて暖気されるガスは、目的に応じて適宜変更することができる。
【0052】
例えば、図7に示す層構造を採用してもよい。当該層構造では、一対の燃焼層52によって改質層51のみが挟まれる箇所と、一対の燃焼層52によって暖気層53のみが挟まれる箇所と、を有している。アンモニアガスは、全層に対して供給される。空気は、燃焼層52、及び暖気層53に対して供給される。これにより、暖気層53は、空気とアンモニアガスとが混合したガスを暖気することができる。このような層構造の場合、暖気層53が、燃焼層52とは別の段で空気を暖気することができる。従って、燃焼層52での燃焼のために用いる空気(酸素)の量と、暖機して後段の改質部4で用いるための空気(酸素)の量とを、容易に設計・制御することができる。
【0053】
また、上述の実施形態では、各層が、一つの積層方向(Z方向)にのみ積層された状態となっていた。これに代えて、図8(a)に示すように、ハニカム構造体に対して、ブロックごとに層を分けてもよい。この場合は、各層は、二つの方向に積層されたような層構造となる。図8(a)に示す本体部200は、セル壁部で縦方向及び横方向に区分けされたハニカム構造201を有している。このうち、領域202(白抜きの部分)の中に領域203A,203B,203C,203D,203E(グレースケールが付された部分)が点在している。領域202が改質層として構成され、領域203A,203B,203C,203D,203Eの各々が燃焼層及び暖気層の何れかとして構成される。あるいは、図8(b)に示すように、領域203A,203B,203C,203D,203Eの外周側の部分(濃いグレースケールが付された部分)を燃焼層とし、内周側の部分204(薄いグレースケールが付された部分)を暖気層としてよい。なお、図8(a)(b)のような構成が採用された場合、ハニカム構造201に対して、図8(c)のような構成によって、アンモニアガス及び空気が供給される。すなわち、ハニカム構造201全体に対してアンモニアガスを供給するための流路212が形成される。また、流路212の外側に空気の流路210を設け、当該流路210から、空気を供給すべき層に対して、供給部211を延ばす。これにより、供給部211の先端付近では、アンモニアガスと空気が混合された状態で、ハニカム構造201の対応箇所へ供給される。
【0054】
また、図9に示すように、高温ガス生成装置5は、改質層51、燃焼層52、及び暖気層53の出口20b側において、各層から流出した高温ガスを分離した状態で流出させてよい。この場合、各層から流出した高温ガスを目的に応じて有効に利用することができる。具体的には、出口20bに出口ヘッダ22を設け、水蒸気を含むガスを導出部33から流出させ、水蒸気を含まないガスを導出部34から流出させてよい。この場合、高温の水蒸気を他のガス、熱媒等の暖気に有効に利用することができる。
【0055】
改質層51、燃焼層52、及び暖気層53の各層に対して供給されるガスの組み合わせは、図5または図7に示した例に限定されるものではない。すなわち、改質層51には少なくとも水素含有燃料(実施形態ではアンモニアガス)が供給されればよいため、当該改質層51に対して、上述のように水素含有燃料のみが供給されるパターン、及び水素含有燃料及び酸化性ガスが供給されるパターンがあってよい。燃焼層52には少なくとも水素含有燃料が供給されればよいため、当該燃焼層52に対して、水素含有燃料のみが供給されるパターン、及び上述のように水素含有燃料及び酸化性ガスが供給されるパターンがあってよい。暖気層53には水素含有原料及び酸化性ガスの少なくとも一方が供給されればよいため、当該暖気層53に対し、上述のように水素含有燃料のみが供給されるパターンと、上述のように水素含有燃料及び酸化性ガスが供給されるパターンと、酸化性ガスのみが供給されるパターンと、があってよい。そして、改質層51、燃焼層52、及び暖気層53に対し、上述のパターンを適宜選択することで、あらゆる組み合わせが採用可能である。なお、改質層51、燃焼層52、及び暖気層53の上述のパターンに対し、水素含有燃料及び酸化性ガス以外のガスが追加で供給される場合があってもよい。
【0056】
入口ヘッダは、図2及び図3に示すような構造のものに限定されず、各層に対して目的のガスを供給できるような構造であれば、どのような構造を採用してもよい。例えば、暖気層53で空気のみを暖気する場合、暖気層53にアンモニアガスが供給されないような入口ヘッダを設けてよい。例えば、図3に示す入口ヘッダ21に対してアンモニアガス導入部31を塞ぐ部材を設け、当該入口ヘッダを暖気層53に設けてよい。また、暖気層53でアンモニアガスのみを暖機する場合、暖気層53に空気が供給されないような入り口ヘッダを設けてもよい。この場合は、図3に示す空気供給部材23と連通しないような入口ヘッダを暖気層53に設けてよい。また、暖気層53でアンモニアガス及び空気を暖機する場合、暖気層53に図3で示すような入口ヘッダ21を設けてよい。改質層51及び燃焼層52に対しても、アンモニアガスのみを供給するパターンか、アンモニアガス及び空気を供給するパターンかに合わせて、対応する入口ヘッダを設けてよい。
【0057】
また、上記実施形態では、酸化性ガスとして空気を使用しているが、特にその形態には限られず、酸化性ガスとして酸素を使用してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、燃料ガスとしてアンモニアガスを使用しているが、本発明は、燃料ガスとして炭化水素ガス等を使用した改質システムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
4…改質部、5…高温ガス生成装置、51…改質層、52…燃焼層、53…暖気層、21…入口ヘッダ(ヘッダ)、101…バーナー。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9