(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203843(P2020-203843A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】洗浄料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20201127BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20201127BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20201127BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20201127BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20201127BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20201127BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20201127BHJP
C11D 1/10 20060101ALI20201127BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20201127BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
A61K8/36
A61Q19/10
A61K8/60
A61K8/44
A61K8/46
C11D1/04
C11D1/68
C11D1/10
C11D1/14
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-111890(P2019-111890)
(22)【出願日】2019年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】小根田 大
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD201
4C083AD202
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4H003AB03
4H003AB09
4H003AB15
4H003AC05
4H003BA12
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB05
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA17
4H003FA21
(57)【要約】
【課題】
本発明は、高級脂肪酸塩を基剤とするにもかかわらず、クレンジング力が高く、泡立ちが良好で、洗い上がりのしっとり感に優れた洗浄料組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記(A)〜(D)を含有する洗浄料組成物。
(A)高級脂肪酸塩
(B)アルキルポリグルコシド
(C)アシルグルタミン酸塩
(D)オレフィンスルホン酸塩
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(D)を含有する洗浄料組成物。
(A)高級脂肪酸塩
(B)アルキルポリグルコシド
(C)アシルグルタミン酸塩
(D)オレフィンスルホン酸塩
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄料として、種々の商品が開発されており、高級脂肪酸塩を基剤とするものは、洗浄力に優れ、泡立ちが良く、さっぱりとした感触があるため、洗顔料や全身洗浄料等に用いられている。しかし、その強力な洗浄力により、皮膚に必要な皮脂等まで落としてしまい、洗浄後に肌が、かさつき、つっぱるといった問題が生じている。また、通常高級脂肪酸塩の場合、脂肪酸の鎖長が短いほど、起泡性が良好だが泡質が劣る傾向に、脂肪酸の鎖長が長いと、泡質は良好であるが、経時安定性に問題を生じる傾向にある。また、高級脂肪酸塩は、メイクアップ化粧料に対するクレンジング力に課題を有していた。
【0003】
そこで、アルキルポリグルコシドを併用した例(特許文献1)、アシルアミノ酸塩を併用した例(特許文献2)があるが、いずれも効果が不十分で、問題を解決するには、至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−74621号公報
【特許文献2】特開2016−108411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の高級脂肪酸塩を主成分とする洗浄料において、クレンジング力が高く、泡立ちが良好で、洗い上がりのしっとり感に優れた洗浄料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(A)〜(D)を含有する洗浄料組成物を提供する。
(A)高級脂肪酸塩
(B)アルキルポリグルコシド
(C)アシルグルタミン酸塩
(D)オレフィンスルホン酸塩
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄料組成物は、クレンジング力が高く、泡立ちが良好で、洗い上がりのしっとり感に優れるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明で用いる(A)高級脂肪酸塩を構成する高級脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、炭素数8〜24、特に10〜22のものが好ましい。これらの脂肪酸の中でも直鎖飽和脂肪酸を用いることが、好ましい。好ましいものの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、還元ヤシ油脂肪酸、パーム核脂肪酸などが挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、泡立ち、安全性、安定性の面から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸から選択される1種又は2種以上を含有することが好ましい。これらの高級脂肪酸と塩を形成するアルカリ剤としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオールなどのアルカノールアミン塩、リジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。これらのうち、特にカリウム、アルギニンが好ましい。
【0010】
また、これらの高級脂肪酸塩は、必ずしも脂肪酸塩として洗浄料組成物に配合する必要はなく、上記高級脂肪酸と塩基とをそれぞれ別個に添加し、組成物中で脂肪酸塩を形成させてもよい。
【0011】
高級脂肪酸塩の配合量は、洗浄料組成物の剤型によって異なり特に限定されない。固形洗浄料組成物の場合その配合量は90質量%以下であることが好ましい。ペースト状洗浄料組成物の場合、55質量%以下であることが好ましい。液状洗浄料組成物の場合25質量%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明で用いる(B)アルキルポリグルコシドは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ヘキシルグルコシド、カプリリルグルコシド、カプリルグルコシド、ノニルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ヘキサデシルグルコシド、オクタデシルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド等、また、これらの混合物であるアルキルグルコシド(炭素数:8〜16)、アルキルグルコシド(炭素数:12〜20)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
(B)アルキルポリグルコシドは、市販品を用いてもよく、マイドール10(デシルグルコシド、花王社製)、マイドール12(ラウリルグルコシド、花王社製)、GreenAPG 081(カプリリル/カプリルグルコシド、日光ケミカルズ社製)、GreenAPG 1214(ラウリルグルコシド、日光ケミカルズ社製)、ORAMIX CG110(カプリリル/カプリルグルコシド、SEPIC社製)、ORAMIX NS10(デシルグルコシド水溶液、SEPIC社製)、Plantacare810UP(カプリルグルコシド、BASF社製)、Plantacare2000UP(デシルグルコシド、BASF社製)、Plantacare818UP(ヤシ油アルキルグルコシド、BASF社製)等が例示される。
【0014】
アルキルポリグルコシドの配合量は、特に限定されないが、洗浄料組成物全量に対し、0.1〜20質量%、好ましくは、0.3〜15質量%配合する。0.1質量%未満の配合では、クレンジング効果が得られにくい傾向がある。20質量%を超えて配合すると、べたつきの原因となる場合がある。
【0015】
本発明で用いる(C)アシルグルタミン酸塩は、洗浄料組成物に配合し得るものであれば特に制限はない。かかるアシルグルタミン酸塩としては、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ニナトリウム、硬化牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸・硬化牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウムなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0016】
アシルグルタミン酸塩の配合量は、特に限定されないが、洗浄料組成物全量に対し、0.1〜10質量%、好ましくは、0.2〜8質量%配合する。0.1質量%未満の配合では、洗浄後のしっとり感に欠ける傾向がある。10質量%を超えて配合すると、べたつきの原因となる場合がある。
【0017】
本発明で用いる(D)オレフィンスルホン酸塩は、α−オレフィンを無水硫酸でスルホン化した後、アルカリで中和、加水分解したものであり、洗浄料組成物に配合し得るものであれば特に制限はない。オレフィンの炭素数としては、特に限定されるものではないが、概ね炭素原子数10〜18のアルキル基のものが好ましく、炭素数14のテトラデセンスルホン酸塩が特に好ましい。
【0018】
上記成分(D)の対塩基としては特に限定されず、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛などの無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンや、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち、一種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる二種以上を混合して使用しても構わない。これらのα−オレフィンスルホン酸塩は必ずしも最初から塩の形である必要はなく、製造中に、中和反応によって生ずる塩を用いてもよい。泡立ちの観点からナトリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。化粧品表示名称としては、オレフィン(C12−14)スルホン酸Na、オレフィン(C14−16)スルホン酸Na、オレフィン(C14−18)スルホン酸Na等が例示される。本発明で用いられる成分(D)の市販例としては、オレフィン(C14−16)スルホン酸Naを含有するリポランLJ−441、リポランPJ−400、リポランLB−440、リポランLJ−441(以上ライオン社製)、NIKKOL OS−41、NIKKOL OS−14(以上日光ケミカルズ社製)、ASCO1416(AKChemtech社製)、カフクリンTDS−L430N(交洋ファインケミカル社製)等が、オレフィン(C14−18)スルホン酸Naを含有するリポランLB−840、リポランLB−−800C(以上交洋ファインケミカル社製)等が挙げられる。
【0019】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは洗浄料組成物全量中0.1〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。この範囲とすることにより、泡立ちや洗浄力といった効果に好適である。
【0020】
本発明においては、多価アルコールを配合することができる。多価アルコールとしては通常洗浄料組成物に配合し得るものであれば特に限定されない。多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール等が例示される。
【0021】
本発明の洗浄料組成物には、上述の成分の他に、通常の洗浄料分野等に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、精製水、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0022】
本発明の洗浄料組成物は、常法により製造され、固形状、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、ジェル状、軟膏状等の剤型とすることができる。本発明の効果の点から、適度な粘性を有する液状若しくはペースト状の剤型をとることが好ましい。また本発明の洗浄料組成物は、洗顔料、皮膚洗浄料、毛髪洗浄料として使用することができ、特に洗顔料として使用することが好ましい。
【実施例】
【0023】
以下に本発明について実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。なお、配合量は、特に指定しない限り質量%を意味する。
【0024】
本発明の実施例及び比較例の評価方法は下記のとおりである。
【0025】
(使用感評価)クレンジング力、泡立ち、洗い上がりのしっとり感
専門パネラー2名により、フェイスでの使用テストを行い、表1の洗顔料組成物の泡立ち、泡質、について、それぞれ絶対評価を行った。評価結果を下記の基準を用いて合議により判定した。
<評価結果>
◎:非常に良い
○:良い
△:少し悪い
×:悪い
【0026】
表1に、本発明の実施例及び比較例にかかる洗顔料組成物の処方を示す。洗顔料組成物は定法に従い調製し、評価に供した。
【0027】
【表1】
【0028】
本発明の実施例は、クレンジング力、泡立ち、残り感のすべての項目で、非常に優れた使用感であった。