特開2020-203863(P2020-203863A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-203863ジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203863(P2020-203863A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】ジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/42 20060101AFI20201127BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20201127BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20201127BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   C07C17/42
   C07C21/18
   C09K5/04 F
   C09K5/04 E
   C09K5/04 C
   F25B1/00 396A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2019-113131(P2019-113131)
(22)【出願日】2019年6月18日
(11)【特許番号】特許第6773180号(P6773180)
(45)【特許公報発行日】2020年10月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智行
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB93
4H006AD40
4H006BC51
4H006BC52
4H006EA03
4H006EB13
(57)【要約】
【課題】ジフルオロエチレンが自己分解性を有しない、ジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】ジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法であって、
第1の容器内に保持された、ジフルオロエチレンを、65モル%を超える割合で含有する第1の成分と、
第2の容器内に保持された、自己分解性を有しない第2の成分とを、
下記(A)、(B)又は(C)の工程により混合することを含み、
ジフルオロエチレンを、全量に対して、65モル%以下の割合で含有する作動媒体を製造する、方法。
(A)工程
下記(A1)又は(A2)の条件において、前記第2の容器に、第1の容器に保持された成分を供給する。
(A1)条件
前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2<15℃の状態に保持する。
(A2)条件
前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2≦180℃且つT2<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
(B)工程
下記(B1)及び(B2)の条件において、前記第1の容器に、第2の容器に保持された成分を供給する。
(B1)条件
前記第1の容器内の温度(T1)及びゲージ圧力(P1)を、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまで、T1<15℃の状態、又は、15℃≦T1≦180℃且つP1[MPaG]<1.22−0.0032T1の状態に保持する。
(B2)条件
前記第2の容器に保持された成分は、少なくとも前記供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P1である。
(C)工程
別に準備された第3の容器に、前記第3の容器内の温度(T3)及びゲージ圧力(P3)を、少なくとも以下の供給の開始から前記混合が終了するまでの間、T3<15℃の状態、又は、15℃≦T3≦180℃且つP3[MPaG]<1.22−0.0032T3の状態に保持しながら、
前記第1の容器に保持された成分を、下記(C1)又は(C2)の条件で供給し、
前記第2の容器に保持された成分を、少なくともその供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P3となるように供給する。
(C1)条件
前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)を、T3<15℃の状態に保持する。
(C2)条件
前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)をT3≦180℃且つT3<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【請求項2】
前記ジフルオロエチレンは、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、及びトランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))からなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項1に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項3】
前記第2の容器に保持された成分は、飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロクロロフルオロカーボン、及び不飽和クロロフルオロカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、
請求項1又は2に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項4】
前記第2の容器に保持された成分は、前記自己分解性を有しない成分を35モル%以上の割合で含有する、
請求項3に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項5】
前記第2の容器に保持された成分は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び/又はジフルオロメタンを含む
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項6】
前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む作動媒体であって、
作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、
ジフルオロエチレン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項7】
前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン及びジフルオロメタンを含む作動媒体であって、
作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン及びジフルオロメタンの合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、
ジフルオロエチレン及びジフルオロメタンの合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項8】
前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む作動媒体であって、
作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、
ジフルオロエチレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%であり、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの割合は98モル%以下であり、且つ、ジフルオロメタンの割合は98モル%以下である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項9】
前記第1の容器に保持された成分は、ジフルオロエチレンからなる、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項10】
前記第2の容器に保持された成分は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの混合物からなる、
請求項8に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項11】
前記第2の容器に保持された成分は、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンからなる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項12】
前記第2の容器に保持された成分は、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの混合物からなる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項13】
前記(A)工程において、前記第1の容器内の温度及び前記第2の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第1の容器に保持された成分をt1<15℃の液体の状態で前記第2の容器に供給する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項14】
前記(B)工程において、前記第1の容器内の温度及び前記第2の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第2の容器に保持された成分をt2<15℃の液体の状態で前記第1の容器に供給する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【請求項15】
前記(C)工程において、前記第1の容器内の温度、前記第2の容器内の温度及び第3の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第1の容器に保持された成分をt1<15℃の液体の状態で、且つ前記第2の容器に保持された成分をt2<15℃の液体の状態で、夫々前記第3の容器に供給する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トリフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6432528号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ジフルオロエチレンが自己分解性を有しない、ジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
項1.
ジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法であって、
第1の容器内に保持された、ジフルオロエチレンを、65モル%を超える割合で含有する第1の成分と、
第2の容器内に保持された、自己分解性を有しない第2の成分とを、
下記(A)、(B)又は(C)の工程により混合することを含み、
ジフルオロエチレンを、全量に対して、65モル%以下の割合で含有する作動媒体を製造する、方法。
【0006】
(A)工程
下記(A1)又は(A2)の条件において、前記第2の容器に、第1の容器に保持された成分を供給する。
【0007】
(A1)条件
前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2<15℃の状態に保持する。
【0008】
(A2)条件
前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2≦180℃且つT2<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0009】
(B)工程
下記(B1)及び(B2)の条件において、前記第1の容器に、第2の容器に保持された成分を供給する。
【0010】
(B1)条件
前記第1の容器内の温度(T1)及びゲージ圧力(P1)を、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまで、T1<15℃の状態、又は、15℃≦T1≦180℃且つP1[MPaG]<1.22−0.0032T1の状態に保持する。
【0011】
(B2)条件
前記第2の容器に保持された成分は、少なくとも前記供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P1である。
【0012】
(C)工程
別に準備された第3の容器に、前記第3の容器内の温度(T3)及びゲージ圧力(P3)を、少なくとも以下の供給の開始から前記混合が終了するまでの間、T3<15℃の状態、又は、15℃≦T3≦180℃且つP3[MPaG]<1.22−0.0032T3の状態に保持しながら、
前記第1の容器に保持された成分を、下記(C1)又は(C2)の条件で供給し、
前記第2の容器に保持された成分を、少なくともその供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P3となるように供給する。
【0013】
(C1)条件
前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)を、T3<15℃の状態に保持する。
【0014】
(C2)条件
前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)をT3≦180℃且つT3<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0015】
項2.
前記ジフルオロエチレンは、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、及びトランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))からなる群から選ばれる少なくとも1種である、
前記項1に記載の作動媒体の製造方法。
【0016】
項3.
前記第2の容器に保持された成分は、飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロクロロフルオロカーボン、及び不飽和クロロフルオロカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、
前記項1又は2に記載の作動媒体の製造方法。
【0017】
項4.
前記第2の容器に保持された成分は、前記自己分解性を有しない成分を35モル%以上の割合で含有する、
前記項3に記載の作動媒体の製造方法。
【0018】
項5.
前記第2の容器に保持された成分は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び/又はジフルオロメタンを含む
前記項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0019】
項6.
前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む作動媒体であって、
作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、
ジフルオロエチレン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%である、
前記項1〜5のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0020】
項7.
前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン及びジフルオロメタンを含む作動媒体であって、
作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン及びジフルオロメタンの合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、
ジフルオロエチレン及びジフルオロメタンの合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%である、
前記項1〜5のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0021】
項8.
前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンを含む作動媒体であって、
作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、
ジフルオロエチレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%であり、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの割合は98モル%以下であり、且つ、ジフルオロメタンの割合は98モル%以下である、
前記項1〜5のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0022】
項9.
前記第1の容器に保持された成分は、ジフルオロエチレンからなる、
前記項1〜8のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0023】
項10.
前記第2の容器に保持された成分は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの混合物からなる、
前記項8に記載の作動媒体の製造方法。
【0024】
項11.
前記第2の容器に保持された成分は、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンからなる、
前記項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0025】
項12.
前記第2の容器に保持された成分は、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの混合物からなる、
前記項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0026】
項13.
前記(A)工程において、前記第1の容器内の温度及び前記第2の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第1の容器に保持された成分をt1<15℃の液体の状態で前記第2の容器に供給する、
前記項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0027】
項14.
前記(B)工程において、前記第1の容器内の温度及び前記第2の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第2の容器に保持された成分をt2<15℃の液体の状態で前記第1の容器に供給する、
前記項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【0028】
項15.
前記(C)工程において、前記第1の容器内の温度、前記第2の容器内の温度及び第3の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第1の容器に保持された成分をt1<15℃の液体の状態で、且つ前記第2の容器に保持された成分をt2<15℃の液体の状態で、夫々前記第3の容器に供給する、
前記項1〜4のいずれか1項に記載の作動媒体の製造方法。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、ジフルオロエチレンが自己分解性を有しない、ジフルオロエチレンを含有する作動媒体を製造することができる。
【0030】
本開示によれば、ジフルオロエチレンが不均化反応を生じない、ジフルオロエチレンを含有する作動媒体を、安全に、製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示におけるジフルオロエチレンが自己分解を起こす温度(initial temperature)(t:℃)と圧力(ゲージ圧)(initial pressure)(p:MPaG)の条件を示すグラフである。
図2】本開示における図1のグラフにジフルオロエチレンの温度と蒸気圧との関係を示すグラフを重ね合わせてジフルオロエチレンの保存好適領域を示すグラフである。
図3】本開示における第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の、第2の容器に、第1の容器に保持された成分を供給する操作((A)工程)の一例を模式的に示す図である。
図4】本開示における第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の、第2の容器に、第1の容器に保持された成分を供給する操作((A)工程)の別の一例を模式的に示す図である。
図5】本開示における第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の、第1の容器に、第2の容器に保持された成分を供給する操作((B)工程)の一例を模式的に示す図である。
図6】本開示における第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の、第3の容器に、第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分を共に供給する操作((C)工程)の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、地球温暖化への影響が少なく、サイクル性能に優れるジフルオロエチレンを含有しながら、通常の操作により安定性に優れる作動媒体を、安定に且つ効率良く製造する方法を提供することを目的とする。
【0033】
本発明者は、ジフルオロエチレンの自己分解性について、ジフルオロエチレンを含む組成物において、組成物全量に対するジフルオロエチレンの含有量を65モル%以下とすれば、作動媒体として使用する場合の温度や圧力条件下で自己分解性を有しないことを見出した。
【0034】
本開示は以下の態様を含む。
【0035】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、
第1の容器内に保持された、ジフルオロエチレンを、65モル%を超える割合で含有する第1の容器に保持された成分と、
第2の容器内に保持された、自己分解性を有しない第2の容器に保持された成分とを、
次の(A)、(B)又は(C)の工程により混合することを含み、
ジフルオロエチレンを、全量に対して、65モル%以下の割合で含有する作動媒体を製造する、方法である。
【0036】
(A)工程では、次の(A1)又は(A2)の条件において、前記第2の容器に、第1の容器に保持された成分を供給する。
【0037】
(A1)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2<15℃の状態に保持する。
【0038】
(A2)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2≦180℃且つT2<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0039】
(B)工程では、次の(B1)及び(B2)の条件において、前記第1の容器に、第2の容器に保持された成分を供給する。
【0040】
(B1)条件では、前記第1の容器内の温度(T1)及びゲージ圧力(P1)を、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまで、T1<15℃の状態、又は、15℃≦T1≦180℃且つP1[MPa]<1.22−0.0032T1の状態に保持する。
【0041】
(B2)条件では、前記第2の容器に保持された成分は、少なくとも前記供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P1である。
【0042】
(C)工程では、別に準備された第3の容器に、前記第3の容器内の温度(T3)及びゲージ圧力(P3)を、少なくとも以下の供給の開始から前記混合が終了するまでの間、T3<15℃の状態、又は、15℃≦T3≦180℃且つP3[MPa]<1.22−0.0032T3の状態に保持しながら、前記第1の容器に保持された成分を、次の(C1)又は(C2)の条件で供給し、前記第2の容器に保持された成分を、少なくともその供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P3となるように供給する。
【0043】
(C1)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)を、T3<15℃の状態に保持する。
【0044】
(C2)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPa]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)をT3≦180℃且つT3<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0045】
(1)作動媒体
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、第1の容器内に保持された、ジフルオロエチレンを、65モル%を超える割合で含有する第1の容器に保持された成分と、第2の容器内に保持された、自己分解性を有しない第2の容器に保持された成分とを、後述する(A)、(B)又は(C)の工程により混合することを含み、ジフルオロエチレンを、全量に対して、65モル%以下の割合で含有する作動媒体を製造する方法である。
【0046】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記ジフルオロエチレンは、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、及びトランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))からなる群から選ばれる少なくとも1種の容器に保持された成分を含有する、ことが好ましい。
【0047】
本開示の製造方法が対象とする作動媒体は、作動媒体全量に対して65モル%以下の割合でジフルオロエチレンを含有する作動媒体である。
【0048】
本発明者は、ジフルオロエチレンを含む組成物において、組成物全量に対するジフルオロエチレンの含有量を65モル%以下とすれば、作動媒体として使用する場合の温度や圧力条件下で自己分解性を有しないことを確認した。
【0049】
本開示では、ジフルオロエチレンを含む組成物の自己分解性については、以下の方法で評価した場合に、自己分解反応が有と評価されたものを自己分解性有とし、自己分解反応が無と評価されたものを自己分解性無とする。
【0050】
(1-1)ジフルオロエチレン含有組成物の自己分解性の評価
自己分解性は、高圧ガス保安法における個別通達においてハロゲンを含むガスを混合したガスにおける燃焼範囲を測定する設備として推奨されているA法に準拠した設備を用い実施し、評価した。
【0051】
ジフルオロエチレンは、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、及びトランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0052】
具体的には、外部より所定の温度に制御された内容積50cm3の球形耐圧容器内に、
(ア)ジフルオロエチレン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を混合した混合媒体、
(イ)ジフルオロエチレン及びジフルオロメタン(HFC-32)を混合した混合媒体を、
所定圧力(ゲージ圧で1.0MPaG)まで封入した後、内部に設置された白金線を溶断することにより約30Jのエネルギーを印加した。
【0053】
印加後に発生する耐圧容器内の温度と圧力変化を測定することにより自己分解反応の有無を確認した。
【0054】
点火前と後の圧力差が1MPaG以上、温度差が10℃以上のものを不均化反応有と判断した。
【0055】
表1に、(ア)ジフルオロエチレン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を混合した混合媒体の自己分解反応を示す。
【0056】
表2に、(イ)ジフルオロエチレン及びジフルオロメタン(HFC-32)を混合した混合媒体の自己分解反応を示す。
【0057】
表1及び2中の圧力はゲージ圧(MPaG)である。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
上記表1及び2によれば、組成物全量に対して、ジフルオロエチレンの含有量が65モル%以下であれば安定性の高い組成物となることが分かる。作動媒体とする為に、ジフルオロエチレン(第1の成分)と組合せる化合物(第2の成分)は、少なくとも、自己分解性を有さず、且つオゾン層を破壊することがない化合物である。
【0061】
(1-2)作動媒体の好ましい組み合わせ
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第2の容器に保持された成分は、飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロクロロフルオロカーボン、及び不飽和クロロフルオロカーボンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、ことが好ましい。
【0062】
これら成分は自己分解性を有しない成分である。
【0063】
本開示の製造方法では、この様な化合物(第2の成分)として、次の飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロフルオロカーボン(以下、「HFC」とも記す)、不飽和ヒドロクロロフルオロカーボン(以下、「HFO」とも記す)、及び不飽和クロロフルオロカーボン(以下、「CFO」と記す)からなる群から選ばれる少なくとも1種の、自己分解性を有しない成分が挙げられる。
【0064】
本開示の製造方法では、HFCとしては、HFC-32、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン(HFC-125)、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ペンタフルオロブタン、ヘプタフルオロシクロペンタン等が挙げられる。
【0065】
HFCは、中でも、オゾン層への影響が少なく、且つ冷凍サイクル特性が優れる点から、HFC-32、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,2,2-テトラフルオロエタン(HFC-134)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、及びHFC-125が好ましく、HFC-32、HFC-134a、及びHFC-125がより好ましく、HFC-32が最も好ましい。
【0066】
HFCは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0067】
本開示の製造方法では、HFOとしては、HFO-1234yf、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)、2-フルオロプロペン(HFO-1261yf)、1,1,2-トリフルオロプロペン(HFO-1243yc)、トランス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(E))、シス-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye(Z))、HFO-1234ze(E)、シス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze(Z))、3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)等が挙げられる。
【0068】
HFOは、中でも、HFO-1234yf、HFO-1234ze(E)、HFO-1234ze(Z)が好ましく、HFO-1234yf及びHFO-1234ze(E)がより好ましい。
【0069】
HFOは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0070】
本開示の製造方法では、CFOとしては、クロロフルオロプロペン、クロロフルオロエチレン等が挙げられる。
【0071】
CFOは、作動媒体のサイクル性能を大きく低下させること無く、作動媒体の燃焼性を抑え易い点から、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214ya)、1,3-ジクロロ-1,2,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214yb)、1,2-ジクロロ-1,2-ジフルオロエチレン(CFO-1112)が好ましい。
【0072】
CFOは、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0073】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第2の容器に保持された成分は、前記自己分解性を有しない成分を35モル%以上の割合で含有する、ことが好ましい。
【0074】
本開示の製造方法が対象とする作動媒体は、ジフルオロエチレン(第1の容器内に保持された第1の成分)以外の成分(第2の容器内に保持された成分、前記自己分解性を有しない成分)を35モル%以上の割合で含有することが好ましい。作動媒体としてはジフルオロエチレンと上記組成範囲で組み合せた場合に、従来使用されてきたR410Aの置き換え可能な程度に実用上充分なサイクル性能を有しながら、地球温暖化係数(GWP)が低い作動媒体が好ましい。
【0075】
GWPとは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(2007年)、100年の値に準じて測定された値である。
【0076】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、第1の容器内に、保持された、ジフルオロエチレン(第1の成分)が保持されており、前記ジフルオロエチレンとして、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、及びトランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含有する、ことが好ましい。ジフルオロエチレンのGWPは、HFO-1132a、HFO-1132(Z)、及びHFO-1132(E)のいずれもGWPは1以下である。
【0077】
ジフルオロエチレンと組合せる化合物としては、上記組成範囲で組み合せた場合に、得られる作動媒体のGWPを、R410AのGWPの値である2088以下とできる化合物が好ましく、500以下とできる化合物がより好まく、300以下とできる化合物が更に好ましく、150以下とできる化合物が特に好ましい。本開示では、混合物におけるGWPは、混合物中の各成分の質量による加重平均とする。
【0078】
本開示の製造方法では、ジフルオロエチレンに対して、追加で、HFOとしては、トリフルオロエチレン(HFO-1123)を併用することも可能である。
【0079】
作動媒体を混合物で構成する場合、混合物が非共沸であると、圧力容器から冷凍空調機器へ充てんされる際に組成変化を生じる点、冷凍空調機器からの冷媒漏えいが生じた場合、冷凍空調機器内の冷媒組成が変化する可能が極めて大きい点等、初期状態への冷媒組成の復元が困難である問題点を有する。
【0080】
本開示の製造方法が対象とする作動媒体は、上記R410Aの様な擬似共沸混合冷媒であることが、上記問題を回避できる点で好ましい。
【0081】
混合物の作動媒体における上記性質をはかる指標として、一般に以下に示す「温度勾配」が用いられる。温度勾配は、熱交換器、例えば、蒸発器における蒸発の、又は凝縮器における凝縮の、開始温度と終了温度が異なる性質、と定義される。共沸混合冷媒においては、温度勾配は0であり、R410Aの様な擬似共沸混合冷媒では、温度勾配は極めて0に近い。
【0082】
温度勾配が大きいと、例えば、蒸発器における入口温度が低下することで着霜の可能性が大きくなり問題である。更に、熱サイクルシステムにおいては、熱交換効率の向上を図る為に、熱交換器を流れる作動媒体と水や空気等の熱源流体を対向流にすることが一般的である。安定運転状態においては、該熱源流体の温度差が小さいことから、温度勾配の大きい非共沸混合媒体の場合、エネルギー効率のよい熱サイクルシステムを得ることが困難である。
【0083】
本開示の製造方法が対象とする作動媒体は、たとえ非共沸混合媒体であっても、適度に温度勾配が小さい非共沸混合媒体が好ましい。
【0084】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第2の容器に保持された成分は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)及び/又はジフルオロメタン(HFC-32)である、ことが好ましい。
【0085】
本開示の製造方法が対象とする作動媒体は、ジフルオロエチレンの単独使用による自己分解の問題を解消した上で、上記サイクル性能、GWP、温度勾配の要件をバランス良く保持する作動媒体が好ましい。本開示の製造方法が対象とする作動媒体は、ジフルオロエチレンと組合せる化合物は、HFO-1234yf及び/又はHFC-32が好ましい。
【0086】
本発明が対象とする作動媒体におけるジフルオロエチレンの含有量の下限については、35モル%が好ましく、40モル%がより好ましい。
【0087】
本開示の製造方法が対象とする作動媒体は、ジフルオロエチレンは、HFO-1132a、HFO-1132(Z)、及びHFO-1132(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、ことが好ましい。本開示の製造方法では、ジフルオロエチレンに対して、追加で、HFOとしては、HFO-1123を併用することも可能である。
【0088】
ジフルオロエチレンとHFO-1234yf及び/又はHFC-32の組合せの組成として具体的には、以下の組成のいずれかであって、かつ作動媒体全量に対するジフルオロエチレンの含有量が65モル%以下である組成が挙げられる。
【0089】
(i)本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン及びHFO-1234yfを含む作動媒体であって、作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン及びHFO-1234yfの合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、ジフルオロエチレン及びHFO-1234yfの合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%である、ことが好ましい。
【0090】
ジフルオロエチレンとHFO-1234yfを含む作動媒体であって、作動媒体全量に対するジフルオロエチレンとHFO-1234yfの合計量の割合が65モル%〜100モル%であり、ジフルオロエチレンとHFO-1234yfの合計量に対するジフルオロエチレンの割合が1モル%〜65モル%であり、好ましくは10モル%〜60モル%であり、より好ましくは20モル%〜60モル%である。
【0091】
(ii)本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン及びHFC-32を含む作動媒体であって、作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン及びHFC-32の合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、ジフルオロエチレン及びHFC-32の合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%である、ことが好ましい。
【0092】
ジフルオロエチレンとHFC-32を含む作動媒体であって、作動媒体全量に対するジフルオロエチレンとHFC-32の合計量の割合が65モル%〜100モル%であり、ジフルオロエチレンとHFC-32の合計量に対するジフルオロエチレンの割合が1モル%〜65モル%であり、好ましくは10モル%〜60モル%であり、より好ましくは20モル%〜60モル%である。
【0093】
(iii)本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第1の容器に保持された成分と前記第2の容器に保持された成分とを混合して得られる作動媒体は、ジフルオロエチレン、HFO-1234yf及びHFC-32を含む作動媒体であって、作動媒体全量に対して、ジフルオロエチレン、HFO-1234yf及びHFC-32の合計量の割合は65モル%〜100モル%であり、ジフルオロエチレン、HFO-1234yf及びHFC-32の合計量に対して、ジフルオロエチレンの割合は1モル%〜65モル%であり、HFO-1234yfの割合は98モル%以下であり、且つ、HFC-32の割合は50モル%以下である、ことが好ましい。
【0094】
ジフルオロエチレンとHFO-1234yfとHFC-32を含む作動媒体であって、作動媒体全量に対するジフルオロエチレンとHFO-1234yfとHFC-32の合計量の割合が65モル%〜100モル%であり、ジフルオロエチレンとHFO-1234yfとHFC-32の合計量に対するジフルオロエチレンの割合が1モル%〜65モル%であり、HFO-1234yfの割合が98モル%以下であり、且つHFC-32の割合が50モル%以下である。
【0095】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第1の容器に保持された成分は、ジフルオロエチレンからなる、ことが好ましい。
【0096】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第2の容器に保持された成分は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの混合物からなる、ことが好ましい。
【0097】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第2の容器に保持された成分は、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンからなる、ことが好ましい。
【0098】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記第2の容器に保持された成分は、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン及びジフルオロメタンの混合物からなる、ことが好ましい。
【0099】
(2)製造方法
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、第1の容器内に保持された、ジフルオロエチレンを、65モル%を超える割合で含有する第1の容器に保持された成分と、第2の容器内に保持された、自己分解性を有しない第2の容器に保持された成分とを、次の(A)、(B)又は(C)の工程により混合することを含み、ジフルオロエチレンを、全量に対して、65モル%以下の割合で含有する作動媒体を製造する方法である。
【0100】
(A)工程では、下記(A1)又は(A2)の条件において、前記第2の容器に、第1の容器に保持された成分を供給する。
【0101】
(A1)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2<15℃の状態に保持する。
【0102】
(A2)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2≦180℃且つT2<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0103】
(B)工程では、下記(B1)及び(B2)の条件において、前記第1の容器に、第2の容器に保持された成分を供給する。
【0104】
(B1)条件では、前記第1の容器内の温度(T1)及びゲージ圧力(P1)を、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまで、T1<15℃の状態、又は、15℃≦T1≦180℃且つP1[MPaG]<1.22−0.0032T1の状態に保持する。
【0105】
(B2)条件では、前記第2の容器に保持された成分は、少なくとも前記供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P1である。
【0106】
(C)工程では、別に準備された第3の容器に、前記第3の容器内の温度(T3)及びゲージ圧力(P3)を、少なくとも以下の供給の開始から前記混合が終了するまでの間、T3<15℃の状態、又は、15℃≦T3≦180℃且つP3[MPaG]<1.22−0.0032T3の状態に保持しながら、前記第1の容器に保持された成分を、下記(C1)又は(C2)の条件で供給し、前記第2の成分を、少なくともその供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P3となるように供給する。
【0107】
(C1)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)を、T3<15℃の状態に保持する。
【0108】
(C2)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)をT3≦180℃且つT3<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0109】
本開示の製造方法は、上記第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分を混合する為に、上記(A)、(B)、(C)のいずれか1つの工程を有する。
【0110】
以下、図1図6を参照し、各成分及び各工程を具体的に説明する。
【0111】
(2-1)第1の容器に保持された成分
第1の容器に保持された成分は、ジフルオロエチレンを、65モル%を超える割合で含有する。第1の容器に保持された成分においてはジフルオロエチレンの含有量が65モル%を超えると自己分解し易い。本開示の製造方法における第2の容器に保持された成分との混合の操作において、その第1の容器に保持された成分が自己分解しない条件下で扱われることが必要となる。第1の容器に保持された成分においては、ジフルオロエチレン含有量が100モル%である場合に、最も自己分解し易い。
【0112】
工程(A)、工程(B)及び工程(C)における安定性確保の為の条件設定を行う場合には、第1の容器に保持された成分がジフルオロエチレンのみで構成される場合として条件を設定すれば、第1の容器に保持された成分においてジフルオロエチレンの含有量がそれ以外の場合においても安定性は確保される。
【0113】
第1の容器に保持された成分が、ジフルオロエチレンの100モル%で構成される場合、その自己分解性は温度(t)と圧力(p)の関係により制御される。
【0114】
図1
図1は、ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))が自己分解を起こす温度(t)と圧力(ゲージ圧)(p)の条件を示すグラフであり、点線で示す直線が自己分解性の有無の境界を示す。直線が示す式は、p[MPaG]=1.22−0.0032tである。
【0115】
参考として、トリフルオロエチレン(HFO-1123)の場合、直線が示す式は、p[MPaG]=1.13−0.0029tである。
【0116】
図1において、その直線より上の領域が自己分解性を有する状態であり、その直線より下の領域が自己分解性を有しない領域である。即ち、pが1.22−0.0032tより小さい状態においては、ジフルオロエチレンは自己分解性を有しない。
【0117】
以下、この直線を「自己分解境界線」ともいう。
【0118】
図1において、〇で示される点は、該温度条件及び圧力(ゲージ圧)条件において上記方法により自己分解性の評価を行い、自己分解性無と評価された点であり、×で示される点は自己分解性有と評価された点である。これらの実測値に基づいて上記式を求めた。点火前は種々の割合で混合した混合媒体を所定圧力まで封入した後、内部に設置された白金線を溶断していない時点をいい、点火後とは金線を溶断することにより約30Jのエネルギーを印加した時点をいう。
【0119】
本発明の製造方法において、第1の容器に保持された成分としては、例えば、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC143)の脱フッ酸等の方法で得られる粗ジフルオロエチレンを蒸留して、ジフルオロエチレンの含有量が65モル%〜100モル%程度の範囲に調整された精製ジフルオロエチレンを用いることができる。
【0120】
第1の容器に保持された成分は、ジフルオロエチレン以外の化合物を、第1の容器に保持された成分全量に対して35モル%未満の割合で含有しても良い。第1の容器に保持された成分が含有しても良いジフルオロエチレン以外の化合物としては、例えば、ジフルオロエチレンの製造時に生成された副生物、第2の容器に保持された成分が含有する飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロクロロフルオロカーボン及び不飽和クロロフルオロカーボンから選ばれる少なくとも1種等が挙げられる。
【0121】
このようにして得られる第1の容器に保持された成分の保存時における安定性確保の条件については、上記と同様に、最も自己分解し易い、ジフルオロエチレンの含有量が100モル%である場合に安定とされる条件を設定すれば、第1の容器に保持された成分においてジフルオロエチレンの含有量がそれ以外の場合においても保存時の安定性が確保される。
【0122】
よって、第1の容器に保持された成分について、ジフルオロエチレンの含有量が100モル%の場合を例に以下に説明する。
【0123】
ジフルオロエチレンは、その温度(t)と圧力(p)がp[MPaG]<1.22−0.0032tとなるような状態で保存されることで保存時の安定性が確保される。特定の容器内に、ジフルオロエチレンの液体のみが存在するような状態で保存可能であれば、その場合は自己分解を起こさず安定に保存が可能である。
【0124】
図2
図2にジフルオロエチレンが液体となる温度と圧力の関係(蒸気圧曲線)を示すグラフを、図1のグラフに重ねて示す。図2において、実線で示す曲線が蒸気圧曲線であり、蒸気圧曲線の右側の領域ではジフルオロエチレンは気体であり、左側の領域においてジフルオロエチレンは液体である。上に説明した、ジフルオロエチレンの液体のみが存在するような状態とは、図2における蒸気圧曲線より左側の液体領域のことをいう。
【0125】
ここで、通常、ジフルオロエチレンの液体を容器に入れて保存する場合は、ジフルオロエチレンの液体と気体が共存する気液混合状態で保存される。気液混合状態の温度及び圧力は、蒸気圧曲線上の温度及び圧力で示されるが、ジフルオロエチレンが気液混合状態で安定な状態を示すのは、温度180℃以下且つ自己分解境界線より下の領域である。具体的には、蒸気圧曲線における自己分解境界線の交点(温度15℃、圧力1.2MPaG)未満の領域である。
【0126】
これらを勘案すると、ジフルオロエチレンの保存好適領域としては、図2において斜線を付した領域、即ち、t=180℃の直線と、p=1.22−0.0032tの直線と蒸気圧曲線で囲まれた領域、但しp=1.22−0.0032tの線上は除く領域が挙げられる。
【0127】
本開示において、ジフルオロエチレンの「保存好適領域」は、図2における上記斜線領域を示す用語として用いる。ジフルオロエチレンの液体を容器に入れて保存する場合であっても、液体が充填されていない部分をジフルオロエチレン以外のジフルオロエチレンの保存に影響を及ぼさない気体、例えば、窒素等に全て置き換えることができれば、図2における蒸気圧曲線より左側の液体領域の温度及び圧力での安定な保管は可能である。
【0128】
(2-2)第2の容器に保持された成分
第2の容器に保持された成分は、飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロクロロフルオロカーボン及び不飽和クロロフルオロカーボンから選ばれる少なくとも1種を35モル%以上の割合で含有し、これらは自己分解性を有しない成分である。
【0129】
第2の容器に保持された成分が含有する飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロフルオロカーボン、不飽和ヒドロクロロフルオロカーボン及び不飽和クロロフルオロカーボンから選ばれる少なくとも1種としては、上記で例示した各化合物が挙げられる。好ましい化合物及びそれらの組合せも上記同様である。第2の容器に保持された成分は、ジフルオロエチレンを65モル%未満の割合で含有する自己分解性を有しない混合物であってもよい。
【0130】
第2の容器に保持された成分は、第1の容器に保持された成分と所定の割合で混合された際に、上記本発明の製造方法が対象とする作動媒体、すなわち、少なくともジフルオロエチレンを65モル%以下の割合で含有する作動媒体が得られる組成であればよい。好ましくは、上記(i)〜(iii)の組成のいずれかの作動媒体が得られる組成とする。このような観点から第2の容器に保持された成分は、HFO-1234yf及び/又はHFC-32からなることが好ましい。
【0131】
工程(A)、工程(B)及び工程(C)
本開示の製造方法において、上記第1の容器に保持された成分は第1の容器に保持され、上記第2の容器に保持された成分は第2の容器に保持されて準備される。そして、第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の混合が、工程(A)、工程(B)、又は工程(C)のうちのいずれか1つの工程により行われる。
【0132】
本開示の製造方法において、特に断りのない限り圧力はゲージ圧である。
【0133】
(2-3)工程(A)
本開示の製造方法において、工程(A)は、第2の容器に保持された成分を保持する第2の容器に(A1)又は(A2)の条件で第1の容器に保持された成分を供給する工程である。
【0134】
(A)工程では、下記(A1)又は(A2)の条件において、前記第2の容器に、第1の容器に保持された成分を供給する。
【0135】
(A1)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2<15℃の状態に保持する。
【0136】
(A2)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2≦180℃且つT2<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0137】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記(A)工程において、前記第1の容器内の温度及び前記第2の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第1の容器に保持された成分をt1<15℃の液体の状態で前記第2の容器に供給する、ことが好ましい。
【0138】
以下の(A1)及び(A2)で規定する条件は、第1の容器に保持された成分を第2の容器に供給する際の第1の容器に保持された成分の温度(t1)及び圧力(p1)と、少なくとも第1の容器に保持された成分の第2の容器への供給の開始から、その供給により第2の容器内で行われる第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の混合が終了するまでの間の、第2の容器内の温度(T2)及び圧力(P2)に関する。
【0139】
本開示において、「供給時」の温度、圧力とは、ある容器に保持された成分が容器に進入する時点の温度、圧力をいい、特に断りのない限り、供給が連続して行われる場合において、供給の開始から終了まで一定の状態に保持される。
【0140】
(A)工程におけるこれらの条件は全て、第1の容器に保持された成分におけるジフルオロエチレンの含有量が100モル%の場合において安定である条件を基準として設定している。このことから、(A)工程において上記条件は、規定された範囲内の如何なる組成の第1の容器に保持された成分と如何なる組成の第2の容器に保持された成分を混合して、如何なる組成の作動媒体を製造する場合においても安定性を確保できる条件と言える。
【0141】
第1の容器に保持された成分におけるジフルオロエチレンの含有量が100モル%の場合において安定である条件を基準としてなされる条件設定は、後述の(B)工程及び(C)工程においても適用されており、よって、(B)工程及び(C)工程においても、上記(A)工程と同様に安定性を確保できると言える。
【0142】
(A1)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2<15℃の状態に保持する。
【0143】
(A2)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第2の容器内のゲージ圧力(P2)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P2とすると共に、前記第2の容器内の温度(T2)を、T2≦180℃且つT2<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0144】
工程(A)における上記(A1)及び(A2)の条件において、共通する条件は、第1の容器に保持された成分を第2の容器に供給する際の第1の容器に保持された成分の圧力(p1)と第2の容器内の圧力(P2)の関係がp1>P2であるという圧力に関する条件である。この圧力の条件は第1の容器に保持された成分を第2の容器に供給する際の必須条件である。(A1)及び(A2)は、第1の容器に保持された成分を第2の容器に供給する際の、p1>P2という必須の圧力条件下での、供給時における第1の容器に保持された成分の温度(t1)、圧力(p1)と第2の容器内の温度(T2)の関係を夫々示すものである。
【0145】
工程(A)において第2の容器は、少なくとも第1の容器に保持された成分の供給の開始から、その供給により第2の容器内で行われる第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の混合が終了するまでの間、温度(T2)と圧力(P2)を上記(A1)又は(A2)の状態とすればよい。
【0146】
上記混合の終了時には、第2の容器内には、本発明の実施形態における安定な組成の作動媒体が貯留物として得られている。この様に、上記供給の開始前及び混合終了後において、第2の容器内に収容される第2の容器に保持された成分、及び、本開示の実施形態に係る作動媒体は、共に自己分解性を有しないものであり、自己分解の観点から取り扱いについて特に留意する点は無い。上記混合の終了時とは、後述の通り、通常、第1の容器に保持された成分の供給を停止した時点である。
【0147】
第1の容器に保持された成分を保持する第1の容器内の温度(T1)及び圧力(P1)は、常に、上記に示した第1の容器に保持された成分におけるジフルオロエチレンの含有量が100モル%の場合においても安定である条件の範囲の温度及び圧力、好ましくは180℃以下かつ自己分解境界線より下の領域の温度及び圧力、より好ましくは保存好適領域内の温度及び圧力で保持される。
【0148】
通常、第2の容器に保持された成分を保持する第2の容器に、第1の容器に保持された成分を供給する際には、第1の容器と第2の容器を接続する供給管を配設し、第1の容器に保持された成分はその供給管を介して第2の容器に供給される。第1の容器と第2の容器を繋ぐ供給管は、通常、第1の容器に保持された成分の供給のON及びOFFや時間当たりの供給量を制御する手段を有し、必要に応じて、圧力調整手段、温度調整手段を有する。工程(A)においては、この工程の必須の条件であるp1>P2を達成する為に、通常、供給管に配設された圧力調整手段、典型的にはポンプが用いられる。
【0149】
供給時における第1の容器に保持された成分の温度(t1)及び圧力(p1)は、必ずしも、第1の容器内で温度(T1)及び圧力(P1)で保持された第1の容器に保持された成分の温度及び圧力の条件と一致するわけではない。図2に、第2の容器内への第1の容器に保持された成分の供給を安定に行う為に取り得る、供給時における第1の容器に保持された成分の温度(t1)と圧力(p1)の範囲を、塗り潰して示す。
【0150】
供給時における第1の容器に保持された成分の温度(t1)と圧力(p1)が、図2において、(A1)条件の塗り潰されたt1<15℃の領域(以下、「低温領域」と記す)内、又は、、(A2)条件の格子模様で示される15℃≦t1≦180℃、p1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の領域(以下、「低圧領域」と記す)内にあれば、上記p1>P2の圧力条件下で、第2の容器内の温度(T2)を所定の条件、具体的には夫々(A1)及び(A2)の条件に設定することで第1の容器に保持された成分の供給を安定に行うことができる。この際、第2の容器へ第1の容器に保持された成分を供給する時間当たりの供給量の調整を行うことが好ましい。
【0151】
(A1)は、低温領域にある第1の容器に保持された成分を、同じ温度領域でより圧力の低い状態の第2の容器に、供給する条件設定であり、この条件を満たせば第2の容器の安定は確保できる。
【0152】
(A2)は、低圧領域にある第1の容器に保持された成分を、より圧力が低く、温度(T2)が180℃以下で且つ第1の容器に保持された成分の温度(t1)が第2の容器内の温度(T2)まで上昇したとしても、圧力(p1)が自己分解境界線の下となる様な状態の第2の容器に、供給する条件設定であり、この条件を満たせば第2の容器の安定は確保できる。
【0153】
第1の容器に保持された成分を第2の容器に保持された成分に混合する場合、効率の点から、両成分共に液体の状態で混合することが好ましい。この条件を適用させる為には、例えば、第1の容器内で第1の容器に保持された成分を15℃未満の液体として保持する。通常、第1の容器に保持された成分は気体と液体が共存する状態で保存されるのが好ましい。第1の容器は、温度及び圧力が、好ましくは、温度が15℃未満で、且つジフルオロエチレンの蒸気圧曲線上にある状態に調整される。
【0154】
第2の容器への第1の容器に保持された成分の供給を液体で行うには、p1>P2を満たすと共に、低温領域且つ液体の領域となる様に、供給時の第1の容器に保持された成分の温度(t1)、圧力(p1)を調整する。この場合、第2の容器内の温度条件は上記(1)によりT2<15℃の状態とする。第2の容器に保持された成分の状態は液体とすることが好ましく、第2の容器がおかれる条件、即ち、p1>P2、T2<15℃の条件の範囲で第2の容器に保持された成分が液体となる条件を選択する。
【0155】
図3
図3は、第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の(A)工程の一例を模式的に示す図である。
【0156】
図3の(4a)において、第1の容器に保持された成分11として、1,1,2-トリフルオロエタン(HFC143)の脱フッ酸等の方法で得られた粗ジフルオロエチレンを蒸留器4に供給して、缶出液貯留槽6に缶出液として副生物を除去し、塔頂から得られる留分について、これを、冷却凝縮手段5を介して留出液としたジフルオロエチレン(液)が準備される。ジフルオロエチレン(液)11は第1の容器1に貯留された状態で得られる。第1の容器に保持された成分は、市販の容器入りの第1の容器に保持された成分であっても良い。
【0157】
図3では、第1の容器1に貯留された状態で得られるジフルオロエチレン(液)11を、別に準備された第2の容器に保持された成分(液)12が貯留された第2の容器2に供給する。図3(4b)は、第1の容器に保持された成分11が第2の容器2に供給される前の状態を示す図であり、図3(4c)は、第1の成分11が第2の容器2に供給されて作動媒体13が得られた状態を示す図である。第2の容器に保持された成分については、第1の容器に保持された成分と同様に、公知の方法で製造され、蒸留により精製して得られる缶出液又は留出液を第2の容器に貯留したものであっても良く、市販の容器入りの第2の容器に保持された成分であっても良い。
【0158】
例えば、第1の容器1内の温度(T1)は、15℃未満であり、圧力(P1)は、第1の容器に保持された成分が液体となる条件、具体的には-50℃以上15℃未満において上記蒸気圧曲線上の圧力に調整される。第1の容器1内の第1の容器に保持された成分の温度、圧力は第1の容器内の温度(T1)、圧力(P1)と同じである。
【0159】
図3では、第1の容器1は排出口を有し、第2の容器2は供給口を有すると共に、これらはポンプ14を介して気体又は液体が流通可能な供給管7及び供給管8で接続されている。第1の容器1内の第1の容器に保持された成分11は、第1の容器1が有する排出口から、ポンプ14を介して供給管7及び供給管8内を、第2の容器2が有する供給口まで移動し第2の容器2内に供給される。第1の容器1が有する排出口からポンプ14までを供給管7が接続し、ポンプ14から第2の容器2は供給口までを供給管8が接続する。
【0160】
第2の容器2は、温度(T2)が15℃未満であって、圧力(P2)が第2の容器2内に保持される第2の容器に保持された成分が液体の状態となる圧力に設定し、保持される。
【0161】
第2の容器2内の圧力(P2)が第1の容器1内の圧力(P1)より低い場合、通常、第1の容器に保持された成分の自圧で移動が行われる。この場合、第2の容器に、供給される第1の容器に保持された成分の供給時の圧力(p1)と温度(t1)とは、第1の容器内の温度(T1)、圧力(P1)と同じである。この場合、圧力の関係はP1=p1>P2である。
【0162】
圧力(P2)が圧力(P1)より高い場合、ポンプ14により、第1の容器に保持された成分の供給時の圧力(p1)が第2の容器2内の圧力(P2)より高い状態に加圧される。この場合、加圧後の第1の容器に保持された成分の温度(t1)は、加圧前の温度(T1)と同じである必要はないが、15℃未満を保持する範囲で加圧される。即ち、第1の容器に保持された成分は低温領域の液体として、第2の容器内に供給される。
【0163】
図3では、この場合、第1の容器1とポンプ14を接続する供給管7内の第1の容器に保持された成分の温度と圧力とは、第1の容器1の温度(T1)、圧力(P1)と同じである。一方、ポンプ14と第2の容器2を接続する供給管8内の第1の容器に保持された成分の温度と圧力は、供給時の第1の容器に保持された成分の温度(t1)と圧力(p1)と同じであり、圧力についてはP1<P2<p1の関係となる。
【0164】
この例において、(A)工程を実行する場合の条件は、上記(A1)の場合に相当する。したがって、少なくとも第1の容器に保持された成分の供給の開始から第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の混合が終了するまでの間、第2の容器2の温度(T2)を15℃未満に保持する。
【0165】
図3では、この様にして、第2の容器2内への第1の容器に保持された成分11の供給により、第2の容器2内では第2の容器に保持された成分12と第1の容器に保持された成分11の混合が行われる。第1の容器に保持された成分11の供給は、第2の容器2内の貯留物が目的とする作動媒体13の組成となった時点で停止される。第1の容器に保持された成分11の供給の停止は、第2の容器2内の貯留物の組成を連続的に計測できる手段を設け、該手段が目的とする作動媒体13の組成を計測した時点で行うことが好ましい。目的とする作動媒体13の組成に合わせて予め、混合する第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の量を調整しておいてもよい。
【0166】
第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の(A)工程を、例えば図4に示す様に行うことも可能である。図4は、第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分を共に15℃未満の液体として(A)工程を行う際に、第2の容器内に保持された第2の容器に保持された成分の液中に第1の容器に保持された成分を液体の状態で供給する操作を模式的に示す図である。
【0167】
図3に示す方法において供給管8がポンプ14と第2の容器2の供給口を接続するように配設されている。
【0168】
図4
図4に示す方法では、供給管8は、一方の端部がポンプ14に接続され、ポンプ14から第2の容器2の供給口を経て第2の容器に保持された成分(液)12中に他方の端部が到達するように配設されている。それ以外で異なる点は無い。図4に示す方法においても、上記で説明した、第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の(A)工程を実行する条件は変わらない。
【0169】
例えば、図4に示す様に、第2の容器内に保持された第2の容器に保持された成分の液中に第1の容器に保持された成分を液体の状態で供給する利点は、第2の容器に保持された成分と第1の容器に保持された成分の混合が促進されることにある。
【0170】
(2-4)工程(B)
本開示の製造方法において、工程(B)は、第1の容器に保持された成分を保持する第1の容器に以下の(B1)及び(B2)の条件で第2の容器に保持された成分を供給する工程である。
【0171】
(B)工程では、下記(B1)及び(B2)の条件において、前記第1の容器に、第2の容器に保持された成分を供給する。
【0172】
(B1)条件では、前記第1の容器内の温度(T1)及びゲージ圧力(P1)を、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまで、T1<15℃の状態、又は、15℃≦T1≦180℃且つP1[MPaG]<1.22−0.0032T1の状態に保持する。
【0173】
(B2)条件では、前記第2の容器に保持された成分は、少なくとも前記供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P1である。
【0174】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記(B)工程において、前記第1の容器内の温度及び前記第2の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第2の容器に保持された成分をt2<15℃の液体の状態で前記第1の容器に供給する、ことが好ましい。
【0175】
工程(B)における上記(B2)の条件は、第2の容器に保持された成分を第1の容器に供給する際の第2の容器に保持された成分の圧力(p2)と第1の容器内の圧力(P1)の関係がp2>P1であるという圧力に関する条件である。この圧力の条件は第2の容器に保持された成分を第1の容器に供給する際の必須条件である。
【0176】
上記(B1)の条件は、少なくとも、第1の容器への第2の容器に保持された成分の供給の開始から、この供給により第1の容器内で行われる第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の混合が終了するまで、上記図3に示す低温領域内又は低圧領域内に、第1の容器内の温度(T1)及び圧力(P1)を保持するという条件である。ここで、上記混合の終了時とは、通常、第2の容器に保持された成分の供給を停止した時点である。
【0177】
第1の容器に保持された成分を保持する第1の容器内の温度(T1)及び圧力(P1)は、第2の容器に保持された成分の供給の開始の前までは、上記に示した第1の容器に保持された成分におけるジフルオロエチレンの含有量が100モル%の場合においても安定である条件の範囲の温度及び圧力、好ましくは180℃以下且つ自己分解境界線より下の領域の温度及び圧力、より好ましくは保存好適領域内の温度及び圧力で保持される。また、上記混合の終了時には、第1の容器内には、本発明の実施形態における安定な組成の作動媒体が貯留物として得られている。この作動媒体は自己分解性を有しないものであり、よって上記混合終了後は第1の容器について、自己分解の観点から取り扱いに特に留意する点はない。
【0178】
工程(B)において第2の容器2の温度(T2)及び圧力(P2)は特に制限されない。第2の容器2内における第2の容器に保持された成分の温度及び圧力は、温度(T2)及び圧力(P2)と同じであるが、第1の容器1への供給時における第2の容器に保持された成分の温度(t2)及び圧力(p2)は、例えば、以下の手段により調整できる。
【0179】
通常、第1の容器に保持された成分を保持する第1の容器に第2の容器に保持された成分を供給する際には、第2の容器と第1の容器を接続する供給管を配設し、第2の容器に保持された成分は該供給管を介して第1の容器に供給される。第1の容器と第2の容器を繋ぐ供給管は、通常、第2の容器に保持された成分の供給のON、OFFや、時間当たりの供給量を制御する手段を有し、必要に応じて、圧力調整手段、温度調整手段を有する。工程(B)においては、該工程の必須の条件であるp2>P1を達成するために、通常、供給管に配設された圧力調整手段、典型的にはポンプが用いられる。
【0180】
工程(B)において、第2の容器に保持された成分の供給の開始から上記混合の終了まで、第1の容器内の温度(T1)及び圧力(P1)を図5に示す低温領域内又は低圧領域内に保持する為には、温度(T1)及び圧力(P1)が該範囲内に収まる様に、第1の容器に、供給する第2の容器に保持された成分の供給時における温度(t2)及び圧力(p2)、更には時間当たりの供給量を調整する。
【0181】
例えば、第1の容器内の温度(T1)及び圧力(P1)が低温領域にある場合には、第2の容器に保持された成分の供給時における温度(t2)及び圧力(p2)を低温領域内に設定する。また、第1の容器内の温度(T1)及び圧力(P1)が低圧領域にある場合、第2の容器に保持された成分の供給時における温度(t2)及び圧力(p2)を低圧領域内に設定する等が挙げられる。
【0182】
この場合、より安定には、圧力(p2)が低圧領域内であって、t2<(1.22−P1)/0.0032である条件が挙げられる。
【0183】
この(B)工程においても、上記(A)工程の場合と同様に、効率を重視すれば、第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分共に液体の状態で混合することが好ましい。
【0184】
この条件を適用させる為には、例えば、第2の容器に保持された成分が供給される以前において、第1の容器内で第1の容器に保持された成分を15℃未満の液体として保持する。通常は、第1の容器に保持された成分は気体と液体が共存する状態で保存されるのが好ましい。第1の容器は、第2の容器に保持された成分が供給される以前において、温度及び圧力が、好ましくは、温度が15℃未満で、且つジフルオロエチレンの蒸気圧曲線上にある状態に調整される。
【0185】
この様な状態の第1の容器に、上記(B1)及び(B2)の条件に適合する様にして15℃未満の液体の状態で、p2>P1の第2の容器に保持された成分を供給して、温度が15℃未満で、かつジフルオロエチレンの蒸気圧曲線上にある液体の第1の容器に保持された成分と混合する。(B)工程においては、好ましくは、上記のようにして、第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分共に液体の状態で混合することができる。
【0186】
図5
図5は、第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の(B)工程の一例を模式的に示す図である。第1の容器に保持された成分11が保持された第1の容器1及び第2の容器に保持された成分12が保持された第2の容器2は、上記(A)工程と同様に準備できる。
【0187】
図5には、第2の容器2に保持された第2の容器に保持された成分(液)12を、第1の容器に保持された成分(液)11が保持された第1の容器1に、供給する操作が示されている。図5(6a)は、第2の容器に保持された成分12が第1の容器1に供給される前の状態を示す図であり、図5(6b)は、第2の容器に保持された成分12が第1の容器1に供給されて作動媒体13が得られた状態を示す図である。
【0188】
図5(6a)では、例えば、第1の容器1内の温度(T1)は、上記の通り、15℃未満であり、圧力(P1)は、第1の容器に保持された成分が液体となる条件、具体的には-50℃以上15℃未満において上記蒸気圧曲線上の圧力に調整される。第1の容器1内の第1の容器に保持された成分の温度、圧力は第1の容器内の温度(T1)、圧力(P1)と同じである。
【0189】
図5では、第2の容器2は排出口を有し、第1の容器1は供給口を有すると共に、これらはポンプ14を介して気体又は液体が流通可能な供給管9及び供給管10で接続されている。第2の容器2内の第2の容器に保持された成分12は、第2の容器2が有する排出口から、ポンプ14を介して供給管9及び供給管10内を、第1の容器1が有する供給口まで移動し、第1の容器1内に供給される。第2の容器2が有する排出口からポンプ14までを供給管9が接続し、ポンプ14から第1の容器1は供給口までを供給管10が接続する。
【0190】
図5では、第2の容器2は、温度(T2)が15℃未満であって、圧力(P2)が第2の容器2内に保持される第2の容器に保持された成分が液体の状態となる圧力に設定、保持される。第1の容器1内の圧力(P1)が第2の容器2内の圧力(P2)より低い場合、通常、第2の容器に保持された成分の自圧で移動が行われる。この場合、第1の容器に供給される第2の容器に保持された成分の供給時の圧力(p2)と温度(t2)とは、第2の容器内の温度(T2)、圧力(P2)と同じである。この場合、圧力の関係はP2=p2>P1である。
【0191】
図5では、圧力(P1)が圧力(P2)より高い場合、ポンプ14により、第2の容器に保持された成分の供給時の圧力(p2)が第1の容器1内の圧力(P1)より高い状態に加圧される。この場合、加圧後の第2の容器に保持された成分の温度(t2)は、加圧前の温度(T2)と同じである必要はないが、15℃未満を保持する範囲で加圧される。即ち、第2の容器に保持された成分は低温領域の液体として、第1の容器内に供給される。この場合、第2の容器2とポンプ14を接続する供給管9内の第2の容器に保持された成分の温度と圧力とは、第2の容器2の温度(T2)、圧力(P2)と同じである。一方、ポンプ14と第1の容器1を接続する供給管10内の第2の容器に保持された成分の温度と圧力とは、供給時の第2の容器に保持された成分の温度(t2)と圧力(p2)と同じであり、圧力についてはP2<P1<p2の関係となる。
【0192】
この例において、(B)工程を実行する場合の条件は、上記(B1)及び(B2)による。従って、少なくとも第2の容器に保持された成分の供給の開始から第2の容器に保持された成分と第1の容器に保持された成分の混合が終了するまでの間、第1の容器1の温度(T1)を15℃未満に保持する。
【0193】
図5では、この様にして、第1の容器1内への第2の容器に保持された成分12の供給により、第1の容器1内では第2の容器に保持された成分12と第1の容器に保持された成分11の混合が行われる。第2の容器に保持された成分12の供給は、第1の容器1内の貯留物が目的とする作動媒体13の組成となった時点で停止される。第2の容器に保持された成分12の供給の停止は、第1の容器1内の貯留物の組成を連続的に計測できる手段を設け、該手段が目的とする作動媒体13の組成を計測した時点で行うことが好ましい。目的とする作動媒体13の組成に合わせて予め、混合する第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の量を調整しておいても良い。
【0194】
第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分を共に15℃未満の液体として(B)工程を行う際に、第1の容器内に保持された第1の容器に保持された成分の液中に第2の成分を液体の状態で供給する方法をとっても良い。この様に、第1の容器内に保持された第1の容器に保持された成分の液中に第2の容器に保持された成分を液体の状態で供給する利点は、第2の容器に保持された成分と第1の容器に保持された成分との混合が促進されることにある。
【0195】
(2-5)工程(C)
本開示の製造方法において、工程(C)は、別に準備された第3の容器に、前記第3の容器内の温度(T3)及びゲージ圧力(P3)を、少なくとも以下の供給の開始から前記混合が終了するまでの間、T3<15℃(低温領域)の状態、又は、15℃≦T3≦180℃且つP3[MPaG]<1.22−0.0032T3(低圧領域)の状態に保持する。前記第1の容器に保持された成分を、以下の(C1)又は(C2)の条件で供給すると共に、前記第2の容器に保持された成分を、少なくとも供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P3となる様に供給する工程である。
【0196】
以下の(C1)及び(C2)で規定する条件は、第1の容器に保持された成分を第3の容器に供給する際の第1の容器に保持された成分の温度(t1)及び圧力(p1)と、少なくとも第1の容器に保持された成分の第3の容器への供給の開始から、その供給により第3の容器内で行われる第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の混合が終了するまでの間の、第3の容器内の温度(T3)及び圧力(P3)に関する。
【0197】
この条件は、上記工程(A)における、(A1)及び(A2)で規定する条件の第2の容器が第3の容器に変わった場合の条件設定であり、第2の容器内の温度(T2)及び圧力(P2)を第3の容器内の温度(T3)及び圧力(P3)に置き換えた以外は、同じである。
【0198】
(C)工程では、別に準備された第3の容器に、前記第3の容器内の温度(T3)及びゲージ圧力(P3)を、少なくとも以下の供給の開始から前記混合が終了するまでの間、T3<15℃の状態、又は、15℃≦T3≦180℃且つP3[MPaG]<1.22−0.0032T3の状態に保持しながら、前記第1の容器に保持された成分を、下記(C1)又は(C2)の条件で供給し、前記第2の容器に保持された成分を、少なくともその供給時において、そのゲージ圧力(p2)がp2>P3となるように供給する。
【0199】
(C1)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分の温度(t1)をt1<15℃とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記供給時における前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)を、T3<15℃の状態に保持する。
【0200】
(C2)条件では、前記供給時における前記第1の容器に保持された成分を、その温度(t1)が15℃≦t1≦180℃であり、そのゲージ圧力(p1)がp1[MPaG]<1.22−0.0032t1である気体の状態とし、少なくとも前記供給の開始から前記混合が終了するまでの間、前記第3の容器内のゲージ圧力(P3)と前記第1の容器に保持された成分のゲージ圧力(p1)との関係をp1>P3とすると共に、前記第3の容器内の温度(T3)をT3≦180℃且つT3<(1.22−p1)/0.0032の状態に保持する。
【0201】
本開示のジフルオロエチレンを含有する作動媒体の製造方法は、前記(C)工程において、前記第1の容器内の温度、前記第2の容器内の温度及び第3の容器内の温度は、共に15℃未満に保持され、前記第1の容器に保持された成分をt1<15℃の液体の状態で、且つ前記第2の容器に保持された成分をt2<15℃の液体の状態で、夫々前記第3の容器に供給する、ことが好ましい。
【0202】
工程(C)における上記(C1)及び(C2)の条件において、共通する条件は、第1の容器に保持された成分を第3の容器に供給する際の第1の容器に保持された成分の圧力(p1)と第3の容器内の圧力(P3)との関係がp1>P3であるという圧力に関する条件である。
【0203】
この圧力の条件は第1の容器に保持された成分を第3の容器に供給する際の必須条件である。(C1)及び(C2)は、第1の容器に保持された成分を第3の容器に供給する際の、p1>P3という必須の圧力条件下での、供給時における第1の容器に保持された成分の温度(t1)、圧力(p1)と第3の容器内の温度(T3)の関係を夫々示すものである。
【0204】
工程(C)において第3の容器は、少なくとも第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分の供給の開始から、この供給により第3の容器内で行われる第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分との混合が終了するまでの間、温度(T3)と圧力(P3)を上記(C1)又は(C2)の状態とすれば良い。
【0205】
上記混合の終了時には、第3の容器内には、本開示の実施形態における安定な組成の作動媒体が貯留物として得られている。その供給の開始前には第3の容器には貯留物はなく、混合終了後において、第3の容器に収容される、本開示の実施形態に係る作動媒体は自己分解性を有しないものである。
【0206】
上記供給の開始前及び混合の終了後において、第3の容器は自己分解の観点から取り扱いについて特に留意する点はない。上記混合の終了時とは、後述の通り、通常、第1の容器に保持された成分の供給を停止した時点である。
【0207】
第1の容器に保持された成分を保持する第1の容器内の温度(T1)及び圧力(P1)は、常に、上記に示した第1の容器に保持された成分におけるジフルオロエチレンの含有量が100モル%の場合においても安定である条件の範囲の温度及び圧力、好ましくは180℃以下且つ自己分解境界線より下の領域の温度及び圧力、より好ましくは保存好適領域内の温度及び圧力で保持される。
【0208】
通常、第3の容器に第1の容器に保持された成分を供給する際には、第1の容器と第3の容器を接続する供給管を配設し、第1の容器に保持された成分はこの供給管を介して第3の容器に供給される。第1の容器と第3の容器を繋ぐ供給管は、通常、第1の容器に保持された成分の供給のON、OFFや、時間当たりの供給量を制御する手段を有し、必要に応じて、圧力調整手段、温度調整手段を有する。工程(C)においては、この工程の必須の条件であるp1>P3を達成する為に、通常、供給管に配設された圧力調整手段、典型的にはポンプが用いられる。
【0209】
この様に、供給時における第1の容器に保持された成分の温度(t1)及び圧力(p1)は、必ずしも、第1の容器内で温度(T1)及び圧力(P1)に保持された第1の容器に保持された成分の温度及び圧力の条件と一致するわけではない。第3の容器への供給時における第1の容器に保持された成分の温度(t1)と圧力(p1)の範囲を、低温領域又は低圧領域内とすれば、上記p1>P2の圧力条件下で、第3の容器内の温度(T3)を所定の条件、具体的には夫々(C1)及び(C2)の条件に設定することで第1の容器に保持された成分の供給を安定に行うことができる。
【0210】
工程(C)において第2の容器2の温度(T2)及び圧力(P2)は特に制限されない。第2の容器2内における第2の容器に保持された成分の温度及び圧力は、温度(T2)及び圧力(P2)と同じであるが、第3の容器3への供給時における第2の容器に保持された成分の温度(t2)及び圧力(p2)は、例えば、以下の手段により調整できる。
【0211】
通常、第3の容器に第2の容器に保持された成分を供給する際には、第2の容器と第3の容器を接続する供給管を配設し、第2の容器に保持された成分は該供給管を介して第3の容器に供給される。第2の容器と第3の容器を繋ぐ供給管は、通常、第2の成分の供給のON、OFFや、時間当たりの供給量を制御する手段を有し、必要に応じて、圧力調整手段、温度調整手段を有する。
【0212】
工程(C)においては、この工程の必須の条件であるp2>P3を達成する為に、通常、供給管に配設された圧力調整手段、典型的にはポンプが用いられる。
【0213】
工程(C)において、第3の容器への第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分の供給の開始から、第3の容器内での混合の終了まで、第3の容器内の温度(T3)及び圧力(P3)を低温領域内又は低圧領域内に保持する為には、第1の容器に保持された成分の供給時における温度(t1)及び圧力(p1)を(C1)又は(C2)の条件とすると共に、温度(T3)及び圧力(P3)が該範囲内に収まる様に、第3の容器に供給する第2の容器に保持された成分の供給時における温度(t2)及び圧力(p2)、更には時間当たりの供給量を調整する。なお、時間当たりの供給量の調整は第1の容器に保持された成分についても行うことが好ましい。
【0214】
例えば、第3の容器内の温度(T3)及び圧力(P3)が低温領域にある場合には、第2の容器に保持された成分の供給時における温度(t2)及び圧力(p2)を低温領域内に設定する。また、第3の容器内の温度(T3)及び圧力(P3)が低圧領域にある場合、第2の成分の供給時における温度(t2)及び圧力(p2)を低圧領域内に設定する等が挙げられる。この場合より安定には、圧力(p2)が低圧領域内であって、t2<(1.22−P3)/0.0032である条件が挙げられる。
【0215】
上記同様、第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分とを混合する場合、効率の点から、両成分共に液体の状態で混合することが好ましい。
【0216】
この条件を適用させる為には、例えば、第1の容器内で第1の成分を15℃未満の液体として保持する。通常は、第1の容器に保持された成分は気体と液体が共存する状態で保存されるのが好ましい。従って、第1の容器は、温度(T1)及び圧力(P1)が、好ましくは、温度が15℃未満で、且つジフルオロエチレンの蒸気圧曲線上にある状態に調整される。同様に、第2の容器に保持された成分は、第2の容器内で15℃未満の液体として保持される。
【0217】
この様にして準備される、共に15℃未満の液体としての第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分は、第1の容器に保持された成分については、上記(C1)の条件に適合する様にして15℃未満の液体の状態で、第2の容器に保持された成分についてはp2>P3の関係を確保しながら、15℃未満の液体の状態で、低温領域に保持された第3の容器に供給される。(C)工程においては、好ましくは、上記の様にして、第3の容器内で第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分を共に液体の状態で混合することができる。
【0218】
図6
図6は、第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分が共に15℃未満の液体である場合の、第3の容器に第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分を共に供給する(C)工程の一例を模式的に示す図である。
【0219】
図6(7a)は、第1の容器に保持された成分11及び第2の容器に保持された成分12が、第3の容器3に供給される前の状態を示す図であり、図6(7b)は、第1の容器に保持された成分11及び第2の容器に保持された成分12が、第3の容器3に供給され作動媒体13が得られた状態を示す図である。
【0220】
図6(7a)に示す第1の容器に保持された成分11が保持された第1の容器1及び第2の容器に保持された成分12が保持された第2の容器2は、上記(A)工程と同様に準備できる。
【0221】
図6には、第1の容器1に保持された第1の容器に保持された成分(液)11と、第2の容器2に保持された第2の容器に保持された成分(液)12が、第3の容器3に共に供給される操作が示されている。
【0222】
図6では、第1の容器1及び第2の容器2は排出口を1つずつ有し、第3の容器3は供給口を2つ有する。第1の容器1及び第2の容器2の排出口は、夫々、第3の容器3の2つの供給口にポンプ15及び16を介して、気体又は液体が流通可能な供給管7、8及び供給管9、10で接続されている。第1の容器1内の第1の容器に保持された成分11及び第2の容器2内の第2の容器に保持された成分12は、夫々、第1の容器1が有する排出口及び第2の容器2が有する排出口から、夫々、ポンプ15及びポンプ16を介して供給管7、8及び供給管9、10内を、第3の容器3が有する供給口まで移動し第3の容器3内に供給される。
【0223】
図6では、第3の容器3内への第1の容器に保持された成分11の供給及び第2の容器に保持された成分12の供給が共に行われることにより、第3の容器3内で第1の容器に保持された成分11と第2の容器に保持された成分12が混合され作動媒体13が得られる。第1の容器に保持された成分11の供給及び第2の容器に保持された成分12の供給は通常は同時に行われる。その場合、第3の容器3への第1の容器に保持された成分11の供給量と第2の容器に保持された成分12の供給量は、これらの供給と共に第3の容器内に随時貯留されていく貯留物の組成が目的とする作動媒体の組成となる様に調整されることが好ましい。或は、第3の容器3内の貯留物の組成を連続的に計測できる手段を設け、目的とする組成の作動媒体の必要量が製造されるまで、第1の容器に保持された成分11の供給量と第2の容器に保持された成分12の供給量を随時調整しながら供給しても良い。
【0224】
この例において、(C)工程を実行する場合の条件は、上記(C1)の場合に相当する。従って、少なくとも第1の容器に保持された成分の供給の開始から、第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分との混合が終了するまでの間、第3の容器3の温度(T3)を15℃未満に保持する。
【0225】
図6では、また、必要に応じて、第1の容器に保持された成分11の所定量を先行して第3の容器3に供給した後、第2の容器に保持された成分12の所定量を第3の容器3に供給しても良く、更に第2の容器に保持された成分12の所定量を先行して第3の容器3に供給した後、第1の容器に保持された成分11の所定量を第3の容器3に供給しても良い。
【0226】
これらの場合、前者においては、上記(B)工程と同じ条件で第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分を取り扱うことで安定に目的とする作媒媒体が製造できる。また後者においては、上記(A)工程と同じ条件で第1の容器に保持された成分及び第2の容器に保持された成分を取り扱うことで安定に目的とする作媒媒体が製造できる。
【0227】
本発明の製造方法によれば、上記(C)工程において第3の容器に第2の容器に保持された成分を供給する際には、複数の第2の容器から各々の容器に保持された複数の同一又は異なる第2の容器に保持された成分が供給されても良い。この際、第3の容器への第1の容器に保持された成分と複数の第2の容器に保持された成分の供給は、上記本開示の製造方法の条件に従い、同時に行われても良く、必要に応じていずれかの供給を先に行っても良い。
【0228】
本発明の製造方法においては、第1の容器内、第2の容器内、又は第3の容器内に、上記所定の容器に保持された成分を供給することで、この容器内で第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分とが連続的に組成を変えて混合され、最終的に作動媒体が得られる。
【0229】
その供給に際して、上記所定の容器に保持された成分が供給される容器内において、その位置によって第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分とが不均一に存在する状態となるのを抑制する目的で、ポンプを用いて所定の容器に保持された成分の供給を行うことが好ましい。ポンプの吐出圧力を適宜、調整しながら容器内に所定の容器に保持された成分を供給し、該容器内で第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分の混合を均一に行うことで、容器内での容器に保持された成分濃度の不均一化を抑制することが可能となる。
【0230】
第1の容器内、第2の容器内、又は第3の容器内に上記所定の容器に保持された成分を供給する際には、供給配管の先端を、第1の容器内、第2の容器内、又は第3の容器内に存在する成分の液相部分に差し込んだ形式とすることで、容器内において、その位置によって各成分の濃度が不均一な状態となるのを抑制することができ好ましい。
【0231】
第1の容器に保持された成分と第2の容器に保持された成分とが混合される容器内において、その位置によって各成分が不均一な濃度となることを抑制するために、各容器内において撹拌等の成分濃度の不均一化を抑制する手段を用いてもよい。
【0232】
本開示の製造方法により、得られる作媒媒体は、作動媒体として使用する場合の温度や圧力条件下で自己分解性を有しないことが確認された作媒媒体である。
【0233】
上記第1の容器内、第2の容器内、又は第3の容器内に製造された作動媒体は、小分け容器等に充填する場合、特に温度、圧力条件を厳密に管理する必要はない。例えば、製造された容器から小分け容器に移送する際、ジフルオロエチレンの自己分解境界線の上の領域の圧力、温度で移送を行っても安定である。
【0234】
但し、小分けの際の好ましい条件は、第1の容器内、第2の容器内、又は第3容器内に製造された作動媒体を-40℃から15℃、好ましくは-20℃から0℃に保持し、ポンプを介してポンプの吐出側圧力をゲージ圧力で0.1MPaGから3.0MPaG、好ましくはゲージ圧力で0.3MPaGから2.0MPaGで、小分け容器に移送することである。
【0235】
以上、本発明の作動媒体の製造方法の実施形態について例を挙げて説明したが、本発明の製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じてその構成を適宜変更できる。
【実施例】
【0236】
以下、実施例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0237】
(1)充填実施例1
トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))(液)を、第2の成分(液)を保持する容器に供給する例
第2の容器にHFO-1132(E)/HFC-32=65/35モル%の混合冷媒の30kgを形成する例である。
【0238】
第1の容器には10℃に冷却したHFO-1132(E)の18kgを充填する。この時の第1の容器内の圧力は1.0MPaGである。第2の容器には-30℃に冷却したHFC-32の12kgを充填する。この時の第2の容器内の圧力は0.17MPaGである。第1の容器から0℃に冷却した18kgのHFO-1132(E)を第2の容器へ充填する。この時の供給管の温度は10℃、圧力は1.0MPaGである。充填作業時に第1の容器のHFO-1132(E)及び第2の容器の組成物は常に自己分解反応が起こらない状態である。
【0239】
この操作で第2の容器内に形成された、HFO-1132(E)/HFC-32=65/35モル%の組成物は、作動媒体として使用する場合の温度や圧力条件下で自己分解性を有しないことが確認された組成物である。更に、第2の容器内に形成された組成物を、送液ポンプを用いて10℃、1.5MPaGに液圧縮を行い、製品出荷用小分け容器に充填する。
【0240】
(2)充填実施例2
第2の成分(液)を、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))(液)を保持する容器に供給する例
第1の容器にHFO-1132(E)/HFC-32=65/35モル%の混合冷媒の30kgを形成する例である。
【0241】
第1の容器には-30℃に冷却したHFO-1132(E)の18kgを充填する。この時の第1の容器内の圧力は0.18MPaGである。第2の容器には10℃に冷却したHFC-32の12kgを充填する。この時の第2の容器内の圧力は1.0MPaGである。第2の容器から10℃に冷却した12kgのHFC-32を第1の容器へ充填する。この時の供給管の温度は10℃、圧力は1.0MPaGである。充填作業時に第1の容器の組成物は常に自己分解反応が起こらない状態である。
【0242】
(3)充填実施例3
トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))ジフルオロエチレン(液)と第2の成分(液)とを、第3の容器に充填する例
第3の容器にHFO-1132(E)/HFC-32=65/35モル%の混合冷媒を30kg形成する例を説明する。
【0243】
第2の容器には-30℃に冷却したHFC-32の12kgを充填する。この時の第2の容器内の圧力は0.17MPaGである。別の第1の容器には10℃に冷却したHFO-1132(E)の18kgを充填する。この時の第1の容器内の圧力は1.0MPaGである。第2の容器から-30℃に冷却した12kgのHFC-32を第3の容器へ、供給管の温度-30℃、圧力0.17MPaGの条件下で充填した後、第1の容器から10℃に冷却した18kgのHFO-1132(E)を第3の容器へ、供給管の温度10℃、圧力1.0MPaGの条件下で充填する。充填作業時に第1の容器のHFO-1132(E)及び第3の容器の組成物は常に自己分解反応が起こらない状態である。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本開示の作動媒体の製造方法により得られる作動媒体は、高い安定性をもって取り扱うことが可能であり、冷凍・冷蔵機器(内蔵型ショーケース、別置型ショーケース、業務用冷凍・冷蔵庫、自動販売機、製氷機等)用冷媒、空調機器(ルームエアコン、店舗用パッケージエアコン、ビル用パッケージエアコン、設備用パッケージエアコン、ガスエンジンヒートポンプ、列車用空調装置、自動車用空調装置等)用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動流体、熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却機用媒体として有用である。
【符号の説明】
【0245】
1 第1の容器
2 第2の容器
3 第3の容器
7,8,9,10 供給管
11 第1の成分
12 第2の成分
13 作動媒体
14,15,16 ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6