【課題】フィルム基材/導電層/離型層の順で積層された導電性離型フィルムにおいて、フィルム基材に対する密着性と、離型層に対する密着性の両方が優れた導電層を形成可能な導電性高分子分散液、これを用いた導電性フィルム及びその製法、並びに、導電性離型フィルム及びその製法を提供する。
【解決手段】本発明の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂と、ポリエステル樹脂と、分散媒とを含有する。本発明の導電性フィルムは、フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された、前記導電性高分子分散液の硬化層からなる導電層とを備える。本発明の導電性離型フィルムは、フィルム基材と、その少なくとも一方の面に形成された、前記導電性高分子分散液の硬化層からなる導電層と、前記導電層の表面に積層されたシリコーン系化合物を含む離型層とを備える。
π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂と、ポリエステル樹脂と、分散媒とを含有する、導電性高分子分散液。
前記カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の含有量100質量部に対する、前記ポリエステル樹脂の含有量が、20質量部以上150質量部以下である、請求項1に記載の導電性高分子分散液。
前記分散媒が水系分散媒を含み、前記カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂、及び前記ポリエステル樹脂が、前記水系分散媒に分散された状態にある、請求項1又は2に記載の導電性高分子分散液。
フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された、請求項1〜11の何れか一項に記載の導電性高分子分散液の硬化層からなる導電層とを備える、導電性フィルム。
フィルム基材の少なくとも一方の面に、請求項1〜11の何れか一項に記載の導電性高分子分散液を塗布し、形成した塗膜を乾燥し、導電層を形成することを含む、導電性フィルムの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<導電性高分子分散液>
本発明の第一態様は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂と、ポリエステル樹脂と、分散媒とを含有する、導電性高分子分散液である。
【0009】
[導電性複合体]
本態様の導電性高分子分散液に含まれる導電性複合体は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含む。導電性複合体中のポリアニオンはπ共役系導電性高分子にドープして、導電性を有する導電性複合体を形成している。
ポリアニオンにおいては、一部のアニオン基のみがπ共役系導電性高分子にドープしており、ドープに関与しない余剰のアニオン基を有している。余剰のアニオン基は親水基であるため、導電性複合体は水分散性を有する。
【0010】
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であればよく、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
【0011】
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
これらのπ共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
【0012】
(ポリアニオン)
ポリアニオンは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、スルホ基を有するポリアクリル酸エステル、スルホ基を有するポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸等のスルホ基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸等のカルボキシ基を有する高分子が挙げられる。ポリアニオンは、単一のモノマーが重合した単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホ基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた質量基準の平均分子量である。
【0013】
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子を充分に含有させることができるので、充分な導電性を確保できる。
【0014】
本態様の導電性高分子分散液に含まれる導電性複合体の含有量としては、導電性高分子分散液の総質量に対して、0.01質量%以上1質量%以下が好ましく、0.02質量%以上0.5質量%以下が好ましく、0.03質量%以上0.1質量%以下がより好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、導電性高分子分散液を塗布して形成する導電層の導電性をより向上させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性を高め、均一な導電層を形成することができる。
【0015】
[カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂]
本態様の導電性高分子分散液に含まれるカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は、カルボキシ基を1つ以上有するポリオレフィン樹脂であり、主鎖を構成するポリオレフィン樹脂に、カルボキシ基を有する不飽和カルボン酸モノマーが共重合したものである。カルボキシ基含有ポリオレフィンが有するカルボキシ基の数は、プラスチック基材及び離型層に対する導電層の密着性がより高くなることから、2つ以上が好ましい。
具体的に、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸モノマーをグラフト重合させたグラフト共重合体でもよいし、オレフィンモノマーと不飽和カルボン酸モノマーとのランダム共重合体又はブロック共重合体でもよい。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマーとしては、炭素数2以上6以下の不飽和炭化水素が挙げられる。炭素数2以上6以下の不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。前記不飽和炭化水素は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂を構成する前記オレフィンモノマーは、本態様の導電性高分子分散液が塗工されるプラスチック基材に応じて選択することが好ましい。例えば、プラスチック基材としてポリプロピレン基材を用いる場合には、ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマーとしてプロピレンを用いることが好ましく、プラスチック基材としてポリエチレン基材を用いる場合には、ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマーとしてエチレンを用いることが好ましい。
【0017】
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂におけるオレフィンモノマー単位の含有量は、60質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、80質量%以上99.5質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上99.5質量%以下であることがさらに好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂におけるオレフィンモノマー単位の含有量が前記範囲であれば、プラスチック基材及び離型層に対する導電層の密着性がより高くなる。
【0018】
本態様において使用される不飽和カルボン酸モノマーは、ビニル基とカルボキシ基とを各々1つ以上有する化合物及びその酸無水物であることが好ましい。不飽和カルボン酸モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等が挙げられる。前記不飽和カルボン酸モノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸モノマーのなかでも、ポリオレフィン樹脂に導入しやすいことから、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
【0019】
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸モノマー単位の含有量は、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸モノマー単位の含有量が前記下限値以上であれば、プラスチック基材及び離型層に対する導電層の密着性がより高くなり、前記上限値以下であれば、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を容易に製造できる。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂におけるカルボン酸価は、5mgKOH/g以上500mgKOH/gの範囲が好ましく、10mgKOH/g以上100mgKOH/gの範囲がより好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂におけるカルボン酸価が前記下限値以上であれば、プラスチック基材及び離型層に対する導電層の密着性がより高くなり、前記上限値以下であれば、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂を容易に製造できる。
【0020】
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は、前記不飽和炭化水素単位及び前記不飽和カルボン酸モノマー単位以外の他のモノマー単位を有してもよい。
他のモノマーとしては、アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等)、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等)、アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート等)、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート等)、炭素数7以上の不飽和炭化水素(例えば、1−オクテン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル等)、シアン化ビニル(例えば、アクリロニトリル等)、芳香族ビニル(例えば、スチレン等)等が挙げられる。前記他のモノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
但し、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂における前記他のモノマー単位の含有量は20質量%以下であることが好ましい。
【0021】
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の製造方法は特に限定されず公知の重合方法を適用できる。
例えば、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸モノマーをグラフト重合させたグラフト共重合体である場合には、ラジカル重合開始剤の存在下でポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸モノマーを反応させる方法が挙げられる。前記反応の際には、ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解又は分散させてもよいし、有機溶剤を使用せずにポリオレフィン樹脂を加熱して溶融させてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
【0022】
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量は、2万以上15万以下であることが好ましく、3万以上12万以下であることがより好ましく、3万以上10万以下であることがさらに好ましく、3万以上9万以下であることが特に好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた質量基準の分子量のことである。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の質量平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、プラスチック基材及び離型層に対する導電層の密着性をより向上させることができ、前記範囲の上限値以下であれば、導電性高分子分散液中でのカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の分散性を向上させることができる。
【0023】
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が有するカルボン酸は中和されていてもよい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂が中和されていれば、導電性高分子分散液中でのカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の分散性が向上し得る。
カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂は、アルカリ化合物の添加によって中和することができる。
アルカリ化合物は、無機アルカリ、有機アルカリのいずれであってもよい。
無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
有機アルカリとしては、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四アンモニウム塩、窒素含有芳香族性環式化合物が挙げられる。
第一級アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
第二級アミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジナフチルアミン等が挙げられる。
第三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリナフチルアミン等が挙げられる。
第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩等が挙げられる。アンモニウムの対となる陰イオンとしてはヒドロキシドイオンが挙げられる。
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、ピロール、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル) イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール、ピリジン等が挙げられる。
アルカリ化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
アルカリ化合物の添加量は、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂のカルボキシ基に対して0.3倍当量以上3倍当量以下であることが好ましく、0.5倍当量以上2倍当量以下であることがより好ましく、0.6倍当量以上1.5倍当量以下であることがさらに好ましい。アルカリ化合物の添加量が前記下限値以上であれば、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の分散性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性高分子分散液が過度にアルカリ性になって導電性が低下することを防止できる。
【0025】
導電性高分子分散液におけるカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の含有量は、導電性複合体100質量部に対して100質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上1000質量部以下であることがさらに好ましい。カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、プラスチック基材及び離型層に対する導電層の密着性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性複合体の含有量が少なくなることによる導電性の低下を防ぐことができる。
【0026】
[ポリエステル樹脂]
本態様の導電性高分子分散液に含まれるポリエステル樹脂は多価カルボン酸とポリアルコールが重縮合してなるエステル結合を有する樹脂である。本態様で用いるポリエステル樹脂は、水分散性を高める観点から酸基を有することが好ましい。酸基は塩を形成していてもよい。また、本態様で用いるポリエステル樹脂は、導電層の耐候性を高める観点から、反応性の二重結合を含まない飽和ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0027】
酸基を有するポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とジグリコール成分との重縮合物であって、酸基(スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基等)のアルカリ金属塩を有するポリエステル樹脂(以下、「ポリエステル樹脂(1)」という。)が挙げられる。
このポリエステル樹脂(1)は極性が大きいため、水分散性に優れ、乳化剤や安定剤を使用しなくても水中に安定に分散できる。
【0028】
ジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及び、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
ジカルボン酸は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸成分は、スルホン酸基がアルカリ金属によって中和されたスルホン酸アルカリ金属塩型の置換基(−SO
3−X
+、(X
+はアルカリ金属イオン))を有するジカルボン酸を含むことが好ましい。
【0029】
スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸は、スルホン酸基を有するジカルボン酸におけるスルホン酸基がアルカリ金属塩にされた化合物である。
スルホン酸基を有するジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン酸−2,7−ジカルボン酸、又はそれらの誘導体等が挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸としては、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩及びその誘導体が好ましい。
【0030】
ジカルボン酸成分における、スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸、イソフタル酸がより好ましい。芳香族ジカルボン酸の芳香核は、疎水性のプラスチックとの親和性が大きく、また、耐加水分解性に優れる。
【0031】
スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸の含有割合は、全ジカルボン酸成分中に6モル%以上20モル%以下であることが好ましく、10モル%以上18モル%以下であることがより好ましい。スルホン酸アルカリ金属塩型の置換基を有するジカルボン酸の含有割合が前記下限値以上であれば、導電層の耐溶剤性が低下することを抑制でき、前記上限値以下であれば、導電層の耐水性がより高くなる。
【0032】
ポリエステル樹脂(1)を形成するジグリコール成分としては、ジエチレングリコール、炭素数2以上8以下の脂肪族又は炭素数6以上12以下の脂環族グリコール等が挙げられる。炭素数2以上8以下の脂肪族又は炭素数6以上12以下の脂環族グリコールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、p−キシリレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。ジグリコール成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジグリコール成分は、耐水性及び耐溶剤性をより向上させることから、ジエチレングリコールを含むことが好ましい。
【0033】
ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量は2,000以上30,000以下であることが好ましく、10,000以上27,000以下であることがより好ましい。ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた数基準の分子量のことである。
ポリエステル樹脂(1)の数平均分子量が前記下限値以上であれば、導電層の密着性がより高くなり、前記上限値以下であれば、ポリエステル樹脂(1)の水分散性がより高くなる。
【0034】
ポリエステル樹脂(1)の製造方法としては特に制限されず、例えば、ジカルボン酸成分とジグリコール成分とを130℃以上200℃以下でエステル化あるいはエステル交換反応させ、次に減圧条件下において200℃以上250℃以下で重縮合反応させる方法が挙げられる。ポリエステル樹脂(1)の製造方法において用いられる反応触媒としては、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等の酢酸金属塩、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム等の金属酸化物、チタン化合物などが挙げられる。
得られたポリエステル樹脂(1)は、水に添加して水分散体としてもよい。ポリエステル樹脂(1)の水分散体は、固形分(不揮発成分)濃度が高くなると、均一分散体が得られにくくなるため、固形分濃度は30質量%以下が好ましい。
【0035】
導電性高分子分散液におけるポリエステル樹脂の含有量は、導電性複合体100質量部に対して100質量部以上50000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上10000質量部以下であることがより好ましく、200質量部以上10000質量部以下であることがさらに好ましい。バインダ成分の含有量が前記下限値以上であれば、導電層の密着性を向上させることができ、前記上限値以下であれば、導電性複合体の含有量が少なくなることによる導電性の低下を防ぐことができる。
【0036】
導電性高分子分散液において、前記カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂100質量部に対する前記ポリエステル樹脂の含有量は、20質量部以上150質量部以下が好ましく、25質量部以上125質量部以下がより好ましく、30質量部以上100質量部以下がさらに好ましく、35質量部以上90質量部以下が特に好ましい。
上記の好適な範囲であると、フィルム基材及び離型層に対する導電層の密着性がより高まる。
【0037】
[分散媒]
本態様の導電性高分子分散液に含まれる分散媒としては、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合液が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、アリルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等の一価アルコールが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤のなかでも、導電性複合体、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂の分散性をより高められることから、一価アルコールが好ましく、メタノールがより好ましい。
【0038】
導電性複合体は水に対する分散性が高いので、本態様の導電性高分子分散液の分散媒は水を含有する水系分散媒であることが好ましい。
本態様の導電性高分子分散液が含む全分散媒に対する水の含有割合は、例えば、5質量%以上100質量%以下とすることができ、10質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。水以外の分散媒としては、一価アルコールが好ましい。なお、後述の高導電化剤のうち、上記有機溶剤の例示に該当するものの質量は、全分散媒の質量に含まれるものとする。
【0039】
本態様の導電性高分子分散液において、前記カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及び前記ポリエステル樹脂は、水系分散媒に分散された状態にあることが好ましい。このような分散状態であれば、フィルム基材に導電性高分子分散液を塗布して得られる導電層の特性が導電層の全面に渡って均一になり、フィルム基材及び離型層に対する導電層の密着性がより向上するので好ましい。
【0040】
[高導電化剤]
本態様の導電性高分子分散液は、導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。ここで、π共役系導電性高分子、ポリアニオン、前述したカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂、前述したポリエステル樹脂、及びバインダ成分は、高導電化剤に分類されない。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
本態様の導電性高分子分散液に含有される高導電化剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
導電性高分子分散液における高導電化剤の含有割合は導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上100,000質量部以下が好ましく、10質量部以上10,000質量部以下がより好ましく、500質量部以上9000質量部以下がさらに好ましい。高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
【0041】
[その他のバインダ成分]
本態様の導電性高分子分散液には、前記カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及び前記ポリエステル樹脂以外のバインダ成分を含んでもよい。
バインダ成分の具体例としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂等のバインダ樹脂が挙げられる。
前記アクリル樹脂として、例えば、グリシジル基含有アクリル系樹脂が挙げられる。グリシジル基含有アクリル系樹脂は、グリシジル基を有するアクリル系樹脂である。具体的には、例えば、グリシジル基とアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基とを有するモノマーの単独重合体、前記モノマーとこれに共重合可能な他のラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとの共重合体が挙げられる。
また、バインダ成分は、前記バインダ樹脂を形成するモノマー又はオリゴマーであってもよい。導電層形成時に、前記モノマー又は前記オリゴマーを重合させることによりバインダ樹脂を形成することができる。
前記バインダ成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
[その他の添加剤]
本態様の導電性高分子分散液には、その他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、分散媒、バインダ成分及び高導電化剤以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、エポキシ基、ビニル基又はアミノ基を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
【0043】
<導電性高分子分散液の製造方法>
本態様の導電性高分子分散液を製造する方法としては、例えば、導電性複合体の水分散液に、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、分散媒等を添加する方法が挙げられる。
導電性複合体の水分散液は、ポリアニオンの水溶液中でπ共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合させて得てもよいし、市販のものを使用しても構わない。
【0044】
前記化学酸化重合は、公知の触媒及び酸化剤を用いて行うことができる。触媒としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝 酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。酸化剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩が挙げられる。酸化剤は、還元された触媒を元の酸化状態に戻すことができる。
【0045】
(作用効果)
π共役系導電性高分子を含む導電性高分子分散液は、その製造方法に由来して水系分散液であることが多く、プラスチック基材に対する濡れ性が低い。そのため、従来の導電性高分子分散液から形成される導電層の、プラスチック基材に対する密着性が低い問題があった。
本発明にかかる導電性高分子分散液は、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂を含むため、プラスチック基材に対する密着性が優れた導電層を形成することができる。このメカニズムの詳細は未解明であるが、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂のうち、何れか一方を欠くと密着性が向上しないことから、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂の共存下で起こる物理化学的な相互作用が、導電層の密着性の向上に寄与していると考えられる(後述の比較例参照)。
また、本発明にかかる導電性高分子分散液から形成された導電層の密着性は、フィルム基材に対してだけでなく、導電層の上に形成した別の層に対しても優れる。このため、前記導電層の上に、例えば、シリコーンを含む離型層を形成することもできる。
【0046】
<導電性フィルム>
本発明の第二態様は、フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された、第一態様の導電性高分子分散液の硬化層からなる導電層とを備える、導電性フィルムである。
【0047】
(導電層)
フィルム基材の少なくとも一方の面に備えられた前記導電層の平均厚みとしては、例えば、10nm以上5000nm以下であることが好ましく、20nm以上1000nm以下であることがより好ましく、30nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
前記導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層の密着性がより向上する。
【0048】
本態様の導電性フィルムの導電層は、良好な導電性の目安として、例えば、1×10
2Ω/□以上1×10
10Ω/□以下の表面抵抗値を有することが好ましく、1×10
5Ω/□以上1×10
9Ω/□以下の表面抵抗値を有することがより好ましく、1×10
6Ω/□以上1×10
8Ω/□以下の表面抵抗値を有することが好ましい。
【0049】
(フィルム基材)
前記フィルム基材としては、例えば、プラスチックフィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂のなかでも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、第一態様の導電性高分子分散液を塗布した際の濡れ性が良好であり、形成された導電層の密着性が良好であることから、フィルム基材として、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムを用いることも好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂の種類は特に制限されず、公知のポリオレフィン系樹脂が適用される。なかでも、上記濡れ性が良好であることから、前記フィルム基材はポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。
【0050】
フィルム基材用の樹脂は、非晶性でもよいし、結晶性でもよい。
フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
フィルム基材には、導電性高分子分散液から形成される導電層の密着性をさらに向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
【0051】
フィルム基材の平均厚みは、5μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上200μm以下がより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における部材の厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
【0052】
前記フィルム基材として、公知の偏光フィルムを使用することもできる。
偏光フィルムとしては、例えば、一対の透明フィルムと、これらの間に配置された偏光層とを備えたものが知られている。
透明フィルムを構成する透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂等が挙げられる。
透明フィルムの厚さは、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、薄型化と強度の両立の点では、20μm以上300μm以下が好ましい。
偏光層としては、例えば、親水性フィルムに二色性物質を付着させ、一軸延伸して二色性物質を配向させたものが挙げられる。親水性フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化フィルム等が挙げられる。二色性物質としては、例えば、ヨウ素、二色性染料等が挙げられる。
偏光層の厚さは、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、薄型化と偏光性の両立の点では、20μm以上300μm以下が好ましい。
【0053】
導電性フィルムを光学用途に使用する場合には、フィルム基材が透明であることが好ましい。具体的には、フィルム基材の全光線透過率は65%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。全光線透過率は、JIS K7136に従って測定した値である。
【0054】
<導電性フィルムの製造方法>
本発明の第三態様は、フィルム基材の少なくとも一方の面に、第一態様の導電性高分子分散液を塗布し、形成した塗膜を乾燥し、導電層を形成することを含む、導電性フィルムの製造方法である。本態様の製造方法により、第二態様の導電性フィルムを製造することができる。
【0055】
第一態様の導電性高分子分散液をフィルム基材に塗工(塗布)する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
市販のバーコーターには、塗工厚に応じた番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗工できる。
導電性高分子分散液のフィルム基材への塗布量は特に制限されないが、均一にムラなく塗工することと、導電性と膜強度を勘案して、固形分として、0.01g/m
2以上10.0g/m
2以下の範囲であることが好ましい。
【0056】
フィルム基材上に塗工した導電性高分子分散液からなる塗膜を乾燥させて、分散媒を除去することにより、前記塗膜が硬化してなる導電層(導電膜)が形成された導電性フィルムを得ることができる。
塗膜を乾燥する方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は、50℃以上150℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
【0057】
塗工した導電性高分子分散液が、バインダ成分として熱硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、塗膜を加熱して、バインダ成分を硬化させることにより、導電層が形成された導電性フィルムを得ることができる。
塗工した導電性高分子分散液が、バインダ成分として光硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、塗膜に紫外線又は電子線を照射して、バインダ成分を硬化させることにより、導電層が形成された導電性フィルムを得ることができる。
【0058】
<導電性離型フィルム>
本発明の第四態様は、フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された、第一態様の導電性高分子分散液の硬化層からなる導電層と、前記導電層の表面に積層された、シリコーン系化合物を含む離型層と、を備える、導電性離型フィルムである。
本態様の導電性離型フィルムは、前記離型層を備えたこと以外は第二態様の導電性フィルムと同様の構成とすることができる。よって、第二態様の説明と重複する説明は省略する。
【0059】
(離型層)
本態様の導電性離型フィルムが備える離型層は、公知の離型フィルムが備える離型層と同様の構成を取り得る。離型層に含まれるシリコーン系化合物が離型性(易剥離性)の発揮に寄与する。
【0060】
前記シリコーン系化合物として、離型剤として公知のシリコーン系化合物が適用される。ここでシリコーンとは、シロキサン結合に有機基(例えばアルキル基やフェニル基など)が結合した主鎖(シリコーン骨格)を有する、オルガノポリシロキサンと総称されるポリマーである。オルガノポリシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が好ましく、ポリジメチルシロキサンの一部に反応性官能基又は非反応性官能基を有するものも好ましい。また、オルガノポリシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂やアルキッド樹脂なども前記シリコーン系化合物として適用できる。
【0061】
本態様の離型層に含まれるシリコーン系化合物としては、安定した離型性と、製造時の優れた製膜性とを発揮することから、硬化型シリコーンの硬化物が好ましい。
硬化型シリコーンは、付加硬化型シリコーン、縮合硬化型シリコーンのいずれであってもよい。硬化型シリコーンは、反応すると三次元架橋構造を形成して硬化する。
付加硬化型シリコーンとしては、シロキサン結合を有する直鎖状ポリマーであって、前記直鎖の両方の末端にビニル基を有するポリジメチルシロキサンと、ハイドロジェンシランとを有するものが挙げられる。硬化を促進させるために白金系硬化触媒を用いてもよい。
付加硬化型シリコーンの具体例としては、KS−3703T、KS−847T、KM−3951、X−52−151、X−52−6068、X−52−6069(信越化学工業社製)等が挙げられる。
付加硬化型シリコーンは有機溶剤に溶解又は分散しているものが好適に使用される。
【0062】
本態様の離型層に含まれるシリコーン系化合物の含有量は、離型層の総質量に対して、例えば、20質量%以上100質量%とすることができ、80質量%以上100質量%以下の範囲が好ましい。
本態様の離型層には、導電層の離型層に対する密着性が損なわれず、離型層の離型性が損なわれない範囲であれば、シリコーン系化合物以外のバインダ成分や、密着性向上剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を含んでもよい。
【0063】
離型層の平均厚さは、例えば、10nm以上5000nm以下が好ましく、20nm以上1000nm以下がより好ましく、30nm以上500nm以下がさらに好ましい。
前記離型層の平均厚さが前記下限値以上であれば、より高い離型性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層に対する密着性がより向上する。
【0064】
本態様の導電性離型フィルムの離型層は、導電層の全面を覆っていてもよいし、導電層の一部のみを覆い、導電層の残部が表面に露出していてもよい。
【0065】
(作用効果)
本発明にかかる導電性離型フィルムが備える導電層には、塗布した導電性高分子分散液に由来するカルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂が含まれるので、導電層は、シリコーンを含む離型層に対しても充分な密着性(接着性)を発揮し得る。この結果、本発明の導電性離型フィルムが備える離型層は、本体である導電性フィルムから剥離することなく、離型層に貼付された物に対する優れた離型性を発揮することができる。
本発明にかかる導電性離型フィルムが備える離型層は、基本的には絶縁層である。このため、離型層が覆うことにより導電層が露出していない表面は、導電性を示さない。ただし、導電層が表面に露出していなくても、導電性離型フィルムの側面(断面)に導電層が露出していれば、その露出した箇所から外部へ電気的に接続することは可能である。また、特段の処置を施さなくとも、導電性離型フィルムの内部に導電層が存在することにより、導電性離型フィルム自体の帯電を防止することができる。
【0066】
<導電性離型フィルムの製造方法>
本発明の第五態様は、フィルム基材の少なくとも一方の面に、第一態様の導電性高分子分散液を塗布し、形成した塗膜を乾燥し、導電層を形成すること(導電層形成工程)と、前記導電層の表面に、シリコーン系化合物を含む離型剤組成物を塗布し、形成した塗膜を乾燥し、離型層を形成すること(離型層形成工程)と、を含む、導電性離型フィルムの製造方法である。
【0067】
(導電層形成工程)
本工程は、第三態様の導電性フィルムの製造方法と同様に行うことができる。よって、ここでは説明を省略する。
【0068】
(離型層形成工程)
本工程で用いる離型剤組成物はシリコーン系化合物を含む。シリコーン系化合物の説明は第四態様の説明と同様であるので、ここでは説明を省略する。
離型剤組成物には、シリコーン系化合物以外に、必要に応じて、有機溶剤、硬化触媒、シリコーン系化合物以外のバインダ成分や、密着性向上剤、帯電防止剤等の添加剤を配合してもよい。シリコーン系化合物として付加硬化型シリコーンを用いる場合、有機溶剤として、トルエン及びメチルエチルケトンのうち少なくとも一方を配合することが好ましい。離型剤組成物に含まれる各材料の配合割合や配合方法については常法が適用される。
離型剤組成物を導電層に塗布する方法、塗布した塗膜を乾燥し、硬化させる方法は、導電層を形成する際の塗布方法及び乾燥・硬化方法と同様に行うことができる。
以上の方法により、本発明にかかる導電性離型フィルムを製造することができる。
【実施例】
【0069】
(製造例1)ポリアニオンの合成
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、得られたポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000mlの溶媒を限外ろ過法により除去した。次いで、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去して、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この水洗操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
【0070】
(製造例2)導電性複合体の合成
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、製造例1で得た36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。得られた混合溶液を20℃に保ち、攪拌しながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
反応後の反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
次に、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を5回繰り返し、固形分濃度1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)の水分散液を得た。
【0071】
(実施例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液15g(固形分0.18g)に、水65gと、プロピレングリコール10gと、カルボキシ基含有水分散ポリプロピレン樹脂であるアローベースDB−4010J2(ユニチカ社製、カルボン酸価:測定不能、固形分濃度25質量%)6.75gと、水分散ポリエステル樹脂であるプラスコートRZ−570(互応化学社製、固形分25質量%、Tg60℃)0.75gと、メタノール300gと、を加え、塗料を得た。
得られた塗料を#4のバーコーターを用いてポリプロピレンフィルム(信越ポリマー社製)上に塗布し、120℃で1分間乾燥し、ポリプロピレンフィルム上に導電層を備えた導電性フィルムを得た。
得られた導電性フィルムの表面抵抗値を測定した結果を表1に示す。
【0072】
次に、付加硬化型シリコーンであるKS−3703T(信越化学工業社製、固形分30質量%、トルエン溶液)1.5gと、トルエン25.5gと、メチルエチルケトン63gと、白金触媒であるCAT−PL−50T(信越化学工業社製)0.03gと、を混合して塗料を得た。
得られた塗料を#8のバーコーターを用いて、上記で得た導電性フィルムの導電層の表面に塗布し、150℃で2分間乾燥し、導電層の上に離型層が積層された導電性離型フィルムを得た。
得られた導電性離型フィルムの表面抵抗値を測定した結果を表1に示す。
【0073】
(実施例2)
実施例1においてアローベースDB−4010J2の配合を6.0gに、プラスコートRZ−570の配合を1.5gに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0074】
(実施例3)
実施例1においてアローベースDB−4010J2の配合を5.25gに、プラスコートRZ−570の配合を2.25gに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0075】
(実施例4)
実施例1においてアローベースDB−4010J2の配合を4.5gに、プラスコートRZ−570の配合を3.0gに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0076】
(実施例5)
実施例1においてアローベースDB−4010J2の配合を3.75gに、プラスコートRZ−570の配合を3.75gに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0077】
(実施例6)
実施例1においてアローベースDB−4010J2の配合を3.0gに、プラスコートRZ−570の配合を4.5gに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0078】
(実施例7)
実施例1においてアローベースDB−4010J2の配合を2.25gに、プラスコートRZ−570の配合を5.25gに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0079】
(実施例8)
実施例3においてプラスコートRZ−570を、水分散ポリエステル樹脂であるプラスコートRZ−105(互応化学社製、固形分25質量%、Tg52℃)に変更したこと以外は、実施例3と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0080】
(実施例9)
実施例3においてプラスコートRZ−570を、水分散ポリエステル樹脂であるプラスコートZ−561(互応化学社製、固形分25質量%、Tg64℃)に変更したこと以外は、実施例3と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0081】
(実施例10)
実施例3においてプラスコートRZ−570を、水分散ポリエステル樹脂であるプラスコートZ−565(互応化学社製、固形分25質量%、Tg64℃)に変更したこと以外は、実施例3と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0082】
(実施例11)
実施例3においてプラスコートRZ−570を、水分散ポリエステル樹脂であるプラスコートZ−3310互応化学社製、固形分25質量%、Tg−20℃)に変更したこと以外は、実施例3と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0083】
(実施例12)
実施例3においてアローベースDB−4010J2を、カルボキシ基含有水分散ポリプロピレン樹脂であるアローベースTC−4010(ユニチカ社製、カルボン酸価:40mgKOH/g、固形分濃度25質量%)に変更したこと以外は、実施例3と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0084】
(実施例13)
実施例3においてプラスコートRZ−570を、水分散ポリエステル樹脂とグリシジル基含有アクリル樹脂の混合物であるペスレジンA−124GP(高松油脂社製、固形分25質量%、Tg55℃)に変更したこと以外は、実施例3と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0085】
(比較例1)
実施例1においてアローベースDB−4010J2の配合を7.5gに変更し、プラスコートRZ−570を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0086】
(比較例2)
実施例1においてアローベースDB−4010J2を配合せず、プラスコートRZ−570の配合を7.5gに変更したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0087】
(比較例3)
実施例12においてアローベースTC−4010の配合を7.5gに変更し、プラスコートRZ−570を配合しなかったこと以外は、実施例12と同様に導電性フィルム、及び導電性離型フィルムを得て、その表面抵抗値を測定した。
【0088】
<評価>
[表面抵抗値]
各例の導電性フィルムについて、導電層の表面抵抗値を、抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製、ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。表面抵抗値の測定結果を表1に示す。
各例の導電性離型フィルムについて、離型層の上にプローブを載置し、離型層を介在した状態で、導電層の表面抵抗値を、抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製、ハイレスタ)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。表面抵抗値の測定結果を表1に示す。なお、表中の「Ω/□」はオームパースクエアの意味である。また、「1.0E+08」は、「1.0×10
8」を表す。
【0089】
[剥離力]
各例の導電性離型フィルムについて、下記の方法により剥離力を測定し、離型層の離型性を評価した。
導電性離型フィルムの離型層の表面に幅25mmポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B)を貼り付け、その粘着テープの上から1976Paの荷重をかけて25℃で20時間加圧処理した。次に、JIS Z0237に従い、引張試験機を用いて、離型層に貼った上記粘着テープを180°の角度で剥離(剥離速度0.3m/分)して、剥離力(単位:N)を測定した。測定結果を表1に示す。剥離力が小さいほど、離型層の離型性が高いことを意味する。
【0090】
[密着性]
各例の導電性離型フィルムについて、離型層の表面を指で10回擦り、離型層の損傷の程度を下記基準で評価した。結果を表1に示す。
(評価1): 指擦り5回目までに離型層が完全に脱落し、易剥離性が無くなる。つまり、離型層と導電層の密着性が悪い。
(評価2): 指擦り5回目までは離型層が残存するが、その後、指擦り10回目までに離型層が完全に脱落し、易剥離性が無くなる。 つまり、離型層と導電層の密着性が劣る。
(評価3): 指擦り10回までに離型層は脱落せず、 離型層の色に大きな変化が見られ、易剥離性が低下した。つまり、離型層と導電層の密着性は普通である。
(評価4): 指擦り10回までに離型層は脱落せず、離型層の色に小さな変化が見られるが、易剥離性はほとんど低下していない。つまり、離型層と導電層の密着性は優れる。
(評価5): 指擦り10回までに離型層は脱落せず、離型層の色に変化は見られず、易剥離性は低下していない。つまり、離型層と導電層の密着性は特に優れる。
上記の5段階の評価基準において、易剥離性(離型性)は、指擦りした表面に粘着テープを貼付した後、これを剥がす際の容易さを試験した結果に基づく。離型層の色の変色は、離型層と導電層の界面における剥離の程度を表している。この界面が部分的に剥離している場合、離型層の表面に貼付した粘着テープを剥離する際に界面が浮き上がり、剥離性が低下する。
【0091】
【表1】
【0092】
表1の結果から、本発明にかかる実施例1〜13の導電性フィルムにおいて、ポリオレフィン樹脂からなるフィルム及び離型層に対する導電層の密着性は概ね良好であることが分かる。良好な密着性は、カルボキシ基含有ポリオレフィン樹脂とポリエステル樹脂の両方が導電層に含まれていることにより発揮される。何れかの樹脂が含まれない比較例1〜3の導電層の密着性は悪く、実用に適さない。