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特開2020-204032粘性ポリアミドを含む変形安定性組成物、この製造方法およびこの使用
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  • 特開2020204032-粘性ポリアミドを含む変形安定性組成物、この製造方法およびこの使用 図000013
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-204032(P2020-204032A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】粘性ポリアミドを含む変形安定性組成物、この製造方法およびこの使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20201127BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20201127BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20201127BHJP
   C08L 3/16 20060101ALI20201127BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20201127BHJP
   F16L 11/04 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   C08L77/00
   C08K5/29
   C08K3/32
   C08L3/16
   B32B1/08 B
   F16L11/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2020-136674(P2020-136674)
(22)【出願日】2020年8月13日
(62)【分割の表示】特願2017-542349(P2017-542349)の分割
【原出願日】2015年11月5日
(31)【優先権主張番号】1460666
(32)【優先日】2014年11月5日
(33)【優先権主張国】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ブロンデル
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス・グラッソン
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・フェルナギュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ジャック・フラ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ダン
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3H111BA15
3H111DA09
3H111DA11
3H111EA04
4F100AH08A
4F100AH08B
4F100AK46A
4F100AK46B
4F100AK49A
4F100AK49B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100CA30A
4F100CA30B
4F100DA11
4F100EH17
4F100JK17
4J002CL011
4J002DD088
4J002DH036
4J002DH056
4J002ER007
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002GM00
4J002GN00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガスの輸送、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプなどの構造物を形成するための組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の銅系熱安定剤および少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種のポリアミドを含むマトリックスとの、良好な溶融粘度を有し、変形、特に押出成形において安定である組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の銅系熱安定剤および少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの、変形、特に押出成形において安定である粘性組成物を形成するための使用に関する。
【0002】
本発明はまた、上記定義の粘性および安定な組成物に関する。
【0003】
本発明はまた、ガスの輸送、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプ、自動車、特に燃料(ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼルまたはエタノール)輸送のための自動車用、冷凍用、空調用、特に空気を供給するための押出ブロー成形によって製造されたダクト用のフレキシブルパイプ、中空体、成形品またはスポーツ品などの構造物を形成するための上記組成物の使用に関する。
【0004】
本発明は、前記組成物から得られる構造物にも関する。
【背景技術】
【0005】
海底石油鉱床の開発は、使用される材料、特にプラットフォームのさまざまな海底装置を接続し、一般に高温高圧(例えば、700バール)で輸送される採掘された炭化水素を運ぶパイプは極端な条件に供される。
【0006】
従って、プラントの運転中に、使用される材料の機械的強度、耐熱性および耐薬品性の深刻な問題が引き起こされる。このようなパイプは、特に、高温の油、ガス、水、およびこれらの生成物の少なくとも2つの混合物に、20年にもなり得る期間耐えなければならない。
【0007】
従来、これらのパイプは、連結された金属ストリップなどの、らせん状に巻かれた輪郭を描いた金属ストリップによって形成された漏洩性内部金属層を備える。パイプに形状を与えるこの内部金属層は、耐漏洩性を与えるためのポリマー層で一般に押出成形によって被覆される。金属ファイバー、熱可塑性プラスチックおよびゴムのプライなどの他の保護層および/または補強層も耐漏洩性ポリマー層の周りに配置することができる。
【0008】
40℃未満の作業温度では、ポリマーは架橋または非架橋HDPE(高密度ポリエチレン)である。40℃以上の温度ではポリアミドが使用され、90℃以上の温度ではPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が使用される。
【0009】
PVDFのコストが高いことを考慮し、推奨される温度よりも高い温度に関わるにもかかわらず、ポリマーの選択は、良好な熱挙動、特に溶媒などに対するこれらの耐薬品性、悪天候および放射に対する耐性、気体および液体に対する不透過性、および電気絶縁体としてのこれらの性質で知られている、PA11およびPA12などのポリアミドに向かって行く。
【0010】
これらのポリアミドは、海底または陸上の石油鉱床から採掘された炭化水素を運ぶことを目的としたパイプの製造に既に一般的に使用されているが、過度に早く劣化するという欠点を示す。
【0011】
この欠点を克服し、従ってこれらのポリアミド系パイプの耐劣化性を改善するために、本出願人の会社を代表して、US2003/0220449は、PA、可塑剤ならびにニトリル/ブタジエンゴム(NBR)および水素化ニトリル/ブタジエンゴム(H−NBR)から選択されるエラストマーの混合物を含む組成物を提供する。
【0012】
US2003/0220449に記載された組成物におけるNBRまたはH−NBRタイプのエラストマーの使用は、ポリアミドおよび可塑剤のみに基づく先行技術の組成物と比較して幾つかの有利性を示す。
【0013】
特に、これらのエラストマーの一方または他方を導入することにより、特に可塑剤の含有量を制限することによって、このような層を含むフレキシブルパイプの耐劣化性を著しく高めることが可能になる。
【0014】
しかし、H−NBR(または水素化NBR)エラストマーは高価であり、この非水素化NBR同族体のように、さらに予備段階の粉砕を実施する必要があり、NBRまたはH−NBR出発材料によって既に生成されたものにさらなる追加費用が追加される。
【0015】
上記の欠点を克服するために、本出願人の会社は、WO08/122743において、少なくとも1種の半結晶性ポリアミド、官能化ポリオレフィンおよび可塑剤を含む組成物の、特に石油やガス鉱床の開発に使用するフレキシブルパイプの製造への使用を記載している。
【0016】
さらに、これらの用途のための大口径パイプの押出は、高い溶融粘度を示すが、変形中の安定性(押出中の生成物の滞留時間は少なくとも5分または300秒である。)および耐熱酸化性を示す組成物を必要とする。
【0017】
このタイプの粘度を得るために、リン酸触媒反応は、特定の条件下(触媒反応、真空、湿度の程度)においてこの実施の成功を可能にするが、変形中に生成物が変化し続ける可能性がある。さらに、この後反応性は顆粒の残留湿度に敏感である。
【0018】
このことを克服するために、出願US2013/0171388は、鎖延長剤(Bruggolen(R)および/またはStabaxol(R))を含むPA材料を記載している。それにもかかわらず、これらの組成物は多分散指数が高く、従って多数の分枝を有し、この結果、溶液において高粘度を生じる。
【0019】
従って、溶液における粘度は、ポリアミドの潜在的な分枝による溶融粘度を表すものではない。
【0020】
さらに、現在のポリアミド組成物は、一般に、輸送される流体のpHまたは総酸価(TAN)および使用される許容基準に依存して、60℃から70℃のパイプの作業温度のみを可能にする。
【0021】
従って、これらの異なるパラメータ間の妥協点を見出し、さらにパイプの作業温度を上昇させることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0220449号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/122743号
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0171388号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の第1の主題は、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の銅系熱安定剤および少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの、変形、特に押出成形において安定な粘性組成物を形成するための使用である。
【0024】
本発明の第2の主題は、上記定義の組成物の提供ならびにガスの輸送、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプ、自動車、特に燃料(ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼルまたはエタノール)輸送のための自動車用、冷凍用、空調用、特に空気を供給するための押出ブロー成形によって製造されたダクト用のフレキシブルパイプ、中空体、成形品などの構造物を形成するための上記定義の組成物の使用である。本発明の別の主題は、上記定義のフレキシブルパイプの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
使用
本発明は、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の銅系熱安定剤および少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの、良好な溶融粘度を示し、かつ変形において安定な組成物を形成するための使用に関する。
【0026】
本発明者らは、3つの成分、即ち触媒、銅系熱安定剤およびオリゴ−またはポリカルボジイミドの組み合わせを、熱可塑性ポリマー、特にポリアミドと組み合わせることにより、良好な粘度、即ち、特に押出成形によって変形可能なように十分高く、変形の際、特に押出成形のために十分安定な溶融粘度を示すが、溶液における粘度、言い換えれば固有粘度を増加させない組成物を得ることが可能になることを、全く予期せずに見出した。
【0027】
溶融粘度は、270℃、10rad/秒において窒素をフラッシュしながら、直径25mmの2枚の平行平板の間でPhysica MCR301装置において変形率5%および剪断10秒−1で振動レオロジーにより測定する。
【0028】
固有粘度は、ISO307−2007規格に準拠して、硫酸の代わりにm−クレゾールを使用し、温度20℃において測定している。
【0029】
「変形において安定」という表現は、溶融粘度が、詳細には1分(生成物を溶融するのに必要な時間)から少なくとも30分の間、特に1分から30分の間に時間の関数として70%を超えて変化しないことを意味する。
【0030】
有利には、前記組成物の溶融粘度は、1分から少なくとも5分、特に1分から5分の間に実質的に一定である。
【0031】
「実質的に一定」とは、溶融粘度が1分から少なくとも5分、特に1分から5分の間で20%を超える割合で変化しないことを意味すると理解すべきである。
【0032】
5分の時間は、物質の滞留時間、特に処理中の押出機における滞留時間を表す。
【0033】
有利には、前記組成物はさらに耐熱酸化性を示す。
【0034】
「耐熱酸化性」という表現は、材料の半減期(時間単位)によって特徴付けられる。これは、140℃の空気中で劣化したISO527−2 1BA試験片がISO527−2(2012)の規格に準拠して測定された初期破断点伸びの半分を失った時点に相当する。
【0035】
有利には、耐熱酸化性は、少なくとも80日間、特に100日間である。
【0036】
有利には、前記組成物は、上記定義の270℃における振動レオロジーによる測定で、約13000から約23000Pa.sの溶融粘度を示す。
【0037】
従って、本発明者らは、全く予想外にも、本発明の組成物の変形のための重要な因子は、そのレオロジーであり、固有粘度ではないことを見出した。このことによって、一定の固有粘度において、触媒/銅系熱安定剤系およびオリゴ−またはポリカルボジイミドを含む組成物のみが、適切なレオロジーを示す組成物をもたらし得ること、即ち溶融粘度が約13,000から約23,000Pa.sで構成され、前記粘度が上記のような変形において実質的に一定である組成物をもたらし得ることに気付かされた。
【0038】
触媒:
「触媒」という用語は、重縮合触媒、例えば無機酸または有機酸を表す。
【0039】
有利には、触媒の重量割合は、組成物の総重量に対して、約50ppmから約5000ppm、特に約100から約3000ppmで構成される。
【0040】
有利には、触媒は、リン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)、次亜リン酸(HPO)またはこれらの混合物から選択される。
【0041】
有利には、本発明は、組成物の総重量に対して、約50ppmから約5000ppm、特に約100ppmから約3000ppmで構成される触媒重量割合の少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の銅系熱安定剤および少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの上記定義の使用に関し、前記触媒は、リン酸(HPO)亜リン酸(HPO)、次亜リン酸(HPO)またはこれらの混合物から選択される。
【0042】
有利には、触媒は、約100から約3000ppmの割合でリン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)から選択される。
【0043】
銅系安定剤:
周知の例はCuIとKIとの混合物であり、CuI:KI比は典型的には1:2から1:15の間である。このような安定剤の一例は、Polyad Services社のPolyAdd P201である。
【0044】
銅系安定剤に関するより十分な詳細は、米国特許第2705227号明細書に記載されている。
【0045】
有利には、銅系安定剤は、ハロゲン化銅、酢酸銅、少なくとも1つのアルカリ金属ハロゲン化物との混合物としてのハロゲン化銅または酢酸銅、およびこれらの混合物、好ましくはヨウ化銅とヨウ化カリウムとの混合物(CuI/KI)から選択される。
【0046】
銅系安定剤は、Bruggolen(R)H3386でもよい。
【0047】
有利には、上記定義の組成物を形成するために使用される銅系熱安定剤は、組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約1重量%、特に約0.05重量%から約0.3重量%の割合である。
【0048】
好ましくは、銅系熱安定剤は、ヨウ化カリウムとヨウ化銅との混合物(KI/CuI)である。
【0049】
好ましくは、本発明による使用のヨウ化カリウムとヨウ化銅との混合物は、90/10から70/30の比で見出される。
【0050】
有利には、本発明は、少なくとも1種の触媒、組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約1重量%、特に約0.05重量%から約0.3重量%の割合の少なくとも1種の銅系熱安定剤および少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの上記定義の使用に関し、前記銅系熱安定剤は、好ましくは90/10から70/30の比のヨウ化カリウムとヨウ化銅との混合物(KI/CuI)である。
【0051】
有利には、本発明は、組成物の総重量に対して、約50ppmから約5000ppm、特に約100ppmから約3000ppmで構成される触媒重量割合の少なくとも1種の触媒、組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約1重量%、特に約0.05重量%から約0.3重量%の割合の少なくとも1種の銅系熱安定剤、少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの上記定義の使用に関し、前記触媒はリン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)、次亜リン酸(HPO)またはこれらの混合物から選択され、前記銅系熱安定剤は好ましくは90/10から70/30の比のヨウ化カリウムとヨウ化銅との混合物(KI/CuI)である。
【0052】
有利には、触媒は、約100から約3000ppmの割合でリン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)から選択される。
【0053】
カルボジイミド:
カルボジイミドは、従来知られているカルボジイミドのオリゴマーおよびポリマーを表し、ジイソシアネートの重合によって調製することができる。
【0054】
この反応は、二酸化炭素を排除して触媒および生成物によって促進することができる(J.Org Chem.,28,2069(1963);J.Am.Chem.Soc.84,3673(1962);Chem.Rev.,81,589(1981);Ange.Chem.,93,855(1981))。
【0055】
NCO末端基の反応物は、反応性化合物CH、NHまたはOH、例えばマロン酸エステル、カプロラクタム、アルコールまたはフェノールを含むことができる。
【0056】
別の形態では、モノ−およびジイソシアネートの混合物を重合して、本質的に非反応性の末端基を含有するオリゴ−またはポリカルボジイミドを得ることができる。
【0057】
使用されるカルボジイミドは、一般式:
−N=C=N(−R−N=C=N−)−R
(式中、RおよびRは、CからC20アルキル、CからC20シクロアルキル、6から20個の炭素原子を有するアリールまたは7から20個の炭素原子を有するアラルキルを表し、それぞれCH、NHまたは反応性化合物OHを場合により含むイソシアネート基で場合により置換されており、
は2から20個の炭素原子を有するアルキレン基、5から20個の炭素原子を有するシクロアルキレン基、6から20個の炭素原子を有するアリーレン基または7から20個の炭素原子を有するアラルキレン基を表し、
n=1から100、好ましくは2から80、好ましくは3から70である。)のオリゴ−またはポリカルボジイミドである。
【0058】
オリゴ−またはポリカルボジイミドは、ホモポリマーであっても、またはコポリマーであってもよく、例えば2,4−ジイソシアナト−1,3,5−トリイソプロピルベンゼンおよび1,3−ジイソシアナト−3,4−ジイソプロピルベンゼンのコポリマーであってもよい。
【0059】
オリゴ−またはポリカルボジイミドは、US5360888に記載されているものから選択することもできる。
【0060】
オリゴ−またはポリカルボジイミドは、環式、特にTCC(帝人(株)の環状カルボジイミド、帝人(株)より販売)であってもよい。
【0061】
適切なオリゴ−およびポリカルボジイミドは、Rhein Chemie、Raschig、Zikoまたは帝人(株)のような供給業者の市販品から入手することができる。
【0062】
有利には、使用されるオリゴ−またはポリカルボジイミドの割合は、組成物の総重量に対して、約0.1から約3重量%、特に0.5から2重量%で構成され、特に約1%に等しい。
【0063】
有利には、オリゴ−またはポリカルボジイミドは、Stabilizer、特にStabilizer(R)9000、Stabaxol(R)、特にStabaxol(R)P、特にStabaxol(R)P100もしくはStabaxol(R)P400またはこれらの混合物から選択される。
【0064】
有利には、本発明は、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の銅系熱安定剤、および組成物の総重量に対して、約0.1から約3重量%、特に0.5%から2重量%、特に1重量%に等しい割合の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの上記定義の使用に関し、前記オリゴ−またはポリカルボジイミドは、Stabilizer、特にStabilizer(R)9000、Stabaxol(R)、特にStabaxol(R)P、特にStabaxol(R)P100もしくはStabaxol(R)P400、またはこれらの混合物である。
【0065】
有利には、本発明は、組成物の総重量に対して、約50ppmから約5000ppm、特に約100ppmから約3000ppmで構成される触媒重量割合の少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の銅系熱安定剤および組成物の総重量に対して、約0.1から約3重量%、特に0.5から2重量%、特に1重量%に等しい割合の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの上記定義の使用に関し、前記触媒はリン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)、次亜リン酸(HPO)またはこれらの混合物から選択され、前記オリゴ−またはポリカルボジイミドはStabilizer、Stabilizer(R)9000、Stabaxol(R)、特にStabaxol(R)P、特にStabaxol(R)P100もしくはStabaxol(R)P400またはこれらの混合物から選択される。
【0066】
有利には、触媒は、約100から約3000ppmの割合でリン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)から選択される。
【0067】
有利には、本発明は、少なくとも1種の触媒、組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約1重量%、特に約0.05重量%から約0.3重量%の割合の少なくとも1種の銅系熱安定剤および組成物の総重量に対して、約0.1から約3重量%、特に0.5から2重量%、特に約1重量%に等しい割合の少なくとも1種類のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの上記定義の使用に関し、前記銅系熱安定剤は、ヨウ化カリウムとヨウ化銅の混合物(KI/CuI)であり、好ましくは90/10から70/30の割合のヨウ化カリウムとヨウ化銅との混合物(KI/CuI)であり、前記オリゴまたはポリカルボジイミドは、Stabilizer、特にStabilizer(R)9000、Stabaxol(R)、特にStabaxol(R)P、特にStabaxol(R)P100もしくはStabaxol(R)P400またはこれらの混合物から選択される。
【0068】
従って有利には、本発明は、組成物の総重量に対して、約50ppmから約5000ppm、特に約100ppmから約3000ppmで構成される触媒重量割合の少なくとも1種の触媒、組成物の総重量に対して、約0.05重量%から約1重量%、特に約0.05重量%から約0.3重量%の割合の少なくとも1種の銅系熱安定剤および組成物の総重量に対して、約0.1から約3重量%、特に0.5から2重量%、特に約1重量%に等しい割合の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミドと、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特にポリアミドを含むマトリックスとの上記定義の使用に関し、前記触媒は、リン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)、次亜リン酸(HPO)またはこれらの混合物から選択され、前記銅系熱安定剤は、好ましくは90/10から70/30の比の、ヨウ化カリウムおよびヨウ化銅の混合物(KI/CuI)であり、前記オリゴ−またはポリカルボジイミドは、Stabilizer、特にStabilizer(R)9000、Stabaxol(R)、特にStabaxol(R)P、特にStabaxol(R)P100もしくはStabaxol(R)P400またはこれらの混合物である。
【0069】
有利には、触媒は、約100から約3000ppmの割合でリン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)から選択される。
【0070】
熱可塑性ポリマー
熱可塑性ポリマーに関しては、ポリアミドまたはポリアミドの混合物から選択することができる。
【0071】
ポリアミドの定義に使用される命名法は、ISO1874−1:1992規格「プラスチック−ポリアミド(PA)成形用および押出用材料−パート1:名称」、特に3ページ(表1および2)に記載されており、当業者には周知である。
【0072】
本発明によるポリアミドはホモポリアミドまたはコポリアミド構造を有することができる。
【0073】
ホモポリアミドは、本発明の意味において、単一の単位の繰り返しのみからなるポリアミドを意味すると理解される。
【0074】
コポリアミドは、本発明の意味において、異なる化学構造の少なくとも2つの単位の繰り返しからなるポリアミドを意味すると理解される。このコポリアミドは、ランダム、交互またはブロック構造を示すことができる。
【0075】
本発明によるポリアミドは、アミノ酸、ラクタムおよび(ジアミン)(二酸)単位から選択される構造を有する1つ以上の単位を含むことができる。
【0076】
ポリアミドがその構造中にアミノ酸を含む場合、このアミノ酸は、9−アミノノナン酸(A=9)、10−アミノデカン酸(A=10)、10−アミノウンデカン酸(A=11)、12−アミノドデカン酸(A=12)および11−アミノウンデカン酸(A=11)およびこの誘導体、特にN−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸から選択することができ、Aは単位中の炭素原子数を表す。
【0077】
ポリアミドがラクタムを含む場合、このラクタムはピロリジノン、2−ピペリジノン、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタムおよびラウリルラクタム(A=12)から選択することができる。
【0078】
ポリアミドが式(Caジアミン).(Cb二酸)に対応する単位である場合、CaおよびCbはそれぞれジアミンおよび二酸中の炭素原子の数を表し、(Caジアミン)単位は直鎖または分枝鎖脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択される。
【0079】
ジアミンが式HN−(CH−NHの脂肪族直鎖である場合、(Caジアミン)モノマーは、好ましくはブタンジアミン(a=4)、ペンタンジアミン(a=5)、ヘキサンジアミン(a=6)、ヘプタンジアミン(a=7)、オクタンジアミン(a=8)、ノナンジアミン(a=9)、デカンジアミン(a=10)、ウンデカンジアミン(a=11)、ドデカンジアミン(a=12)、トリデカンジアミン(a=13)、テトラデカンジアミン(a=14)、ヘキサデカンジアミン(a=16)、オクタデカンジアミン(a=18)、オクタデセンジアミン(a=18)、エイコサンジアミン(a=20)、ドコサンジアミン(a=22)および脂肪酸から得られるジアミンから選択される。
【0080】
ジアミンが脂肪族で分枝鎖である場合、このジアミンは主鎖上に1つ以上のメチルまたはエチル置換基を含むことができる。例えば、(Caジアミン)モノマーは、有利には、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンまたは2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選択することができる。
【0081】
(Caジアミン)モノマーが脂環式である場合、この(Caジアミン)モノマーは、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはMACM)、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、イソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)、イソホロンジアミン(a=10)、ピペラジン(a=4)またはアミノエチルピペラジンから選択される。さらに前記(Caジアミン)モノマーは、下記の炭素骨格:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパンを含むことができる。これらの脂環式ジアミンの網羅的でないリストは、刊行物「Cycloaliphatic Amines」(Encyclopaedia of Chemical Technology、Kirk−Othmer、4th Edition(1992)、pp.386−405)に示されている。
【0082】
(Caジアミン)モノマーがアルキル芳香族である場合、この(Caジアミン)モノマーは、1,3−キシリレンジアミンおよび1,4−キシリレンジアミンから選択される。
【0083】
(Cb二酸)単位は、直鎖または分枝鎖の脂肪族二酸、脂環式二酸および芳香族二酸から選択される。
【0084】
(Cb二酸)モノマーが脂肪族で直鎖である場合、この(Cb二酸)モノマーは、コハク酸(b=4)、ペンタン二酸(b=5)、アジピン酸(b=6)、ヘプタン二酸(b=7)、オクタン二酸(b=8)、アゼライン酸(b=9)、セバシン酸(b=10)、ウンデカン二酸(b=11)、ドデカン二酸(b=12)、ブラシル酸(b=13)、テトラデカン二酸(b=14)、ヘキサデカン二酸(b=16)、オクタデカン二酸(b=18)、オクタデセン二酸(b=18)、エイコサン二酸(b=20)、ドコサン二酸(b=22)、36個の炭素原子を有する脂肪酸二量体から選択される。
【0085】
上記の脂肪酸二量体は、特に文献EP0471566に記載されているように、長鎖炭化水素(例えば、リノール酸およびオレイン酸)を有する不飽和一塩基性脂肪酸のオリゴマー化または重合によって得られる二量体化脂肪酸である。
【0086】
二酸が脂環式である場合、この二酸は、下記の炭素骨格:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパンを含むことができる。
【0087】
二酸が芳香族である場合、この二酸はテレフタル酸(Tで示す。)、イソフタル酸(Iで示す。)およびナフタレン二酸から選択される。
【0088】
有利には、熱可塑性ポリマーは、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド、芳香族ポリアミドまたはこれらの混合物から選択されるポリアミドである。
【0089】
有利には、ポリアミドは、ISO11357−3(2013)規格に準拠して測定して160℃から290℃で構成される融点を示す。
【0090】
有利には、ポリアミドの割合は約95.5から約99.845%で構成される。
【0091】
好ましくは、本発明による使用のポリアミドは、PA6、PA11、PA12、PA6.10、PA6.6、PA6.12、PA10.10、PA10.12、PA11/10.T、PA11/6.T、12/10.T、6.10/10.T、6.12/10.T、10.10/10.T、10.12/10.T、11/6.T/10.T、12.12/10.T、12/6.10/10.T、12/6.12/10.T、12/10.10/10.T、12/10.12/10.Tおよび12/12.12/10.Tから選択される。
【0092】
有利には、ポリアミドは、PA11、PA12、PA11/10.T、PA10.10、PA10.12および90%超の単位11または90%超の単位12のいずれかを有するコポリアミド11/12から選択され、好ましくはPA11、PA12、PA11/10.T、PA10.10およびPA10.12から選択される。
【0093】
ポリオレフィン
有利には、熱可塑性ポリマー、特にポリアミドは、少なくとも1種のポリオレフィンを含有することができる。
【0094】
ポリオレフィンは、官能化されていても官能化されていなくてもよく、または少なくとも1種の官能化ポリオレフィンおよび/または少なくとも1種の非官能化ポリオレフィンの混合物であってもよい。簡単に、官能化ポリオレフィン(B1)および非官能化ポリオレフィン(B2)について後述する。
【0095】
官能化ポリオレフィン(B1)は、例えば0.01から5重量%のグラフト度で無水マレイン酸をグラフトされた以下の(コ)ポリマーから選択することができる:
−PE、PP、例えば35から80重量%のエチレンを含有する、エチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセンまたはオクテンとのコポリマー;
−エチレン/α−オレフィンコポリマー、例えば、エチレン/プロピレン、EPR(エチレン・プロピレンゴムの略語)およびエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)、
−スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS)、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン(SIS)またはスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン(SEPS)ブロックコポリマー;
−40重量%までの酢酸ビニルを含有するエチレンと酢酸ビニルとのコポリマー(EVA);
−40重量%までのアルキル(メタ)アクリレートを含有する、エチレンとアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー;
−40重量%までのコモノマーを含有するエチレンおよび酢酸ビニル(EVA)とアルキル(メタ)アクリレートとのコポリマー;
Tafmer(R)MH5020、Tafmer(R)610MP、Tafmer(R)MD715、Orevac(R)IM800、Exxelor(R)VA 1801および1803、およびFusabondなどのマレイン化ポリオレフィン。
【0096】
Tafmer(R)製品は三井化学(株)により、Orevac(R)製品は本出願人の会社により、およびExxelor製品はExxon Mobil Chemicalsにより販売されている。
【0097】
官能化ポリオレフィン(B1)は、少なくとも以下の単位のコポリマーまたはターポリマーであってもよい:(1)エチレン、(2)アルキル(メタ)アクリレートまたは飽和カルボン酸ビニルエステル、および(3)無水マレイン酸または無水(メタ)アクリル酸などの無水物。
【0098】
後者のタイプの官能化ポリオレフィンの例としては、エチレンが好ましくは少なくとも60重量%で、ターモノマー(官能基)がコポリマーの例えば0.1から10重量%である下記コポリマーが挙げられる:
−エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸または(メタ)アクリル酸コポリマー;
−エチレン/酢酸ビニル/無水マレイン酸コポリマー;
−エチレン/酢酸ビニルまたはアルキル(メタ)アクリレート/無水マレイン酸または(メタ)アクリル酸。
【0099】
(B1)または(B2)における「アルキル(メタ)アクリレート」という用語は、CからC12アルキルメタクリレートおよびアクリレートを表し、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートから選択することができる。
【0100】
上記コポリマー(B1)および(B2)は、ランダムまたはブロック様式で共重合することができ、直鎖または分枝鎖構造を示す。
【0101】
これらのポリオレフィンの分子量、MFI指数および密度もまた大幅に変えることができ、このことは当業者には明らかであると思われる。MFIは、メルトフローインデックスの略語である。これは、標準ASTM 1238−13規格に準拠して測定される。
【0102】
有利には、非官能化ポリオレフィン(B2)は、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー、ならびにエチレンの任意のホモポリマーまたはエチレンと、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンまたは4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンタイプのコモノマーとのコポリマーから選択される。例えば、PP、高密度PE、中密度PE、直鎖低密度PE、低密度PEまたは超低密度PEを挙げることができる。これらのポリエチレンは、「ラジカル」工程によって、「チーグラー・ナッタ」タイプの触媒反応によって、またはより最近では「メタロセン」触媒反応によって製造されることが当業者には公知である。
【0103】
有利には、官能化ポリオレフィン(B1)は、α−オレフィン単位および極性反応性官能基、例えばカルボン酸またはカルボン酸無水物官能基を有する単位を含む任意のポリマーから選択される。このようなポリマーの例としては、エチレンおよびアルキルアクリレートのポリマー、例えばLucalen(R)製品、エチレン、アルキルアクリレートおよび無水マレイン酸のターポリマー、例えば、本出願人の会社のLotader(R)製品、または無水マレイン酸をグラフトされたポリオレフィン、例えば本出願人の会社のOrevac(R)製品、またはDupontからFusabond(R)493として知られているエチレン、オクテンおよび無水マレイン酸のターポリマー、ならびにエチレン、アルキルアクリレートおよび(メタ)アクリル酸のターポリマーを挙げることができる。
【0104】
添加剤
熱可塑性ポリマー、特にポリアミドは、熱安定剤、ガラス繊維、炭素繊維、難燃剤、タルク、核形成剤、可塑剤、着色剤、フッ素化剤、滑剤などの少なくとも1つの通常の添加剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸塩、および上記で使用されたものとは異なる、触媒化された、または触媒化されていない別のポリアミドを含有することができる。
【0105】
前記熱安定剤は、上記銅系熱安定剤とは異なり、この結果、銅を含有しないことに留意されたい。
【0106】
熱安定剤は、有機安定剤、またはより一般的には有機安定剤の組み合わせであってよく、例えば、フェノール系の一次酸化防止剤(例えば、BASF社のフェノール系Irganox(R)245または1098または1010)、ホスファイト系二次酸化防止剤、また場合により、ヒンダードアミン光安定剤を意味するHALS(例えばBASF社のTinuvin(R)770)、UV阻害剤(例えばBASF社のTinuvin(R)312)、フェノール安定剤またはリン系安定剤などの他の安定剤の組み合わせであってよい。アミンタイプの酸化防止剤、例えば、Crompton社のNaugard(R)445(4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン)またはAddivant社のFlexamine(R)またはClariant社のNylostab(R)S−EEDのような多官能性安定剤も使用することができる。
【0107】
有利には、本発明は、少なくとも1種のポリオレフィンおよび/または少なくとも1種の添加剤が、場合により組成物の総重量に対して、それぞれ最大30重量%で存在する、上記定義の使用の1つに関する。
【0108】
有利には、本発明は、さらにポリオレフィンが、組成物の総重量に対して、特に約1から約15重量%で存在する、上記定義の使用の1つに関する。有利には、ポリオレフィンは、ExxonMobilにより販売されているマレイン化EPR、特にExxelor(R)VA1801およびExxelor(R)VA1803、DuPont社のFusabond(R)、特にFusabond(R)493および三井化学(株)のTafmer(R)MH5020、Tafmer(R)610MPおよびTafmer(R)MD715から選択される。
【0109】
有利には、本発明は、少なくとも1つの添加剤が場合により、特に最大30%で存在する、上記定義の使用の1つに関する。
【0110】
有利には、本発明は、さらに添加剤が、組成物の総重量に対して、特に約0.1から約1重量%で存在する、上記定義の使用の1つに関する。
【0111】
有利には、添加剤は熱安定剤である。
【0112】
有利には、本発明は、ポリオレフィンが、組成物の総重量に対して、特に約1から約15重量%存在し、さらに少なくとも1種の添加剤が、特に組成物の総重量に対して、約0.1から約30重量%、特に約0.1から約20重量%、特に約0.1から約10重量%で存在する、上記定義の使用の1つに関する。
【0113】
有利には、本発明は、ポリオレフィンが、組成物の総重量に対して、特に約1から約15重量%存在し、さらに添加剤が、組成物の総重量に対して、約0.1から約1重量%存在する、上記定義の使用の1つに関する。
【0114】
有利には、ポリオレフィンは、マレイン化EPR、特にEPR1801およびFusabond(R)、特にFusabond(R)493から選択され、添加剤は熱安定剤である。
【0115】
可塑剤
可塑剤に関しては、ベンゼンスルホンアミド誘導体、例えば、Proviron社のn−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)またはN−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド(HP−BSA)、Sigma−Aldrich社の、エチルトルエンスルホンアミドまたはN−シクロヘキシルトルエンスルホンアミド;ヒドロキシ安息香酸のエステル、例えば、上野製薬(株)の2−エチルヘキシルパラヒドロキシベンゾエート(EHPD)および花王(株)の2−デシルヘキシルパラヒドロキシベンゾエート(HD−PB);テトラヒドロフルフリルアルコールのエステルまたはエーテル、例えば、オリゴエチレンオキシテトラヒドロフルフリルアルコール;ならびにクエン酸またはヒドロキシマロン酸のエステル、例えば、オリゴエチレンオキシマロネートから選択される。n−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)は、特に好ましい可塑剤である。可塑剤の混合物を使用することは、本発明の範囲から逸脱するものではない。可塑剤は、重縮合中またはその後にポリアミド中に導入することができる。可塑剤の割合は、0から15重量%であってよい。
【0116】
有利には、使用する可塑剤は、ベンゼンスルホンアミド誘導体、例えば、n−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)である。
【0117】
有利には、本発明は、可塑剤が、組成物の総重量に対して、特に約1から約10重量%で存在する、上記定義の使用の1つに関する。
【0118】
有利には、本発明は、ポリオレフィンが、組成物の総重量に対して、特に約1から約15重量%で存在し、さらに少なくとも1種の添加剤が、組成物の総重量に対して、特に約1から約10重量%で存在し、さらに可塑剤が、組成物の総重量に対して、特に約1から約10重量%で存在する、上記定義の使用の1つに関する。
【0119】
有利には、本発明は、ポリオレフィンが、組成物の総重量に対して、特に約1から約15重量%で存在し、さらに添加剤が組成物の総重量に対して、特に0.1から約1重量%で存在し、さらに可塑剤が、組成物の総重量に対して、特に約1から約10重量%で存在する、上記定義の使用の1つに関する。
【0120】
有利には、ポリオレフィンはマレイン化EPR、特にEPR(R)1801およびFusabond(R)、特にFusabond(R)493から選択され、添加剤は熱安定剤であり、可塑剤はベンゼンスルホンアミド誘導体、例えばn−ブチルベンゼンスルホンアミド(BBSA)である。
【0121】
組成物
別の態様によれば、本発明は、組成物の総重量に対して、下記を含むことを特徴とする、上記定義の変形において安定な粘性組成物に関する:
a.20.5から99.845重量%の上記定義の少なくとも1種のポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミド;
e.0から15%の少なくとも1種の可塑剤;
f.0から30%の少なくとも1種のポリオレフィン;
g.0から30%の少なくとも1種の添加剤。
【0122】
この態様によれば、組成物の総重量に対して、20.5から99.845重量%に制限されている、組成物中に存在するポリアミドの割合を脇に置いて、触媒、銅系熱安定剤、オリゴ−またはポリカルボジイミド、可塑剤、ポリオレフィンおよび添加剤の使用は上記定義の通りであり、これらの異なる成分の割合に関する異なる組み合わせおよび代替形態は、そのようなものとしてこれらの組成物それ自体に適用される。
【0123】
前記組成物は、上記定義の全ての特性を示し、即ち、変形、特に押出成形において、1分から少なくとも30分、特に1分から30分の間安定で、1分から少なくとも5分の間、特に1分から5分の間実質的に一定の、良好な溶融粘度を示す。前記組成物は、さらに、耐熱酸化性を示す。前記組成物は、特に、270℃において振動レオロジー(プレート−プレート)によって測定して、特に少なくとも30分間、特に30分間、約13000から約23000Pa.sの溶融粘度を示す。
【0124】
有利には、前記組成物は耐加水分解性を示す。
【0125】
「耐加水分解性」という表現は、140℃において熱水または水とエチレングリコールとの混合物に暴露した後に、被験パイプの破断が終了した時点に相当するパイプの半減期(時間)が、ISO527−2(2012)規格に準拠した破断点伸び試験で少なくとも40日間であることを意味する。換言すれば、耐加水分解性は、パイプの破断点伸びが絶対値の50%を有するための時間である。
【0126】
有利には、前記組成物は、耐熱酸化性および耐加水分解性を示す。
【0127】
従って、本発明の組成物は、ポリオレフィンおよび/または可塑剤および/または添加剤を含むか否かに関わらず、少なくとも30分間、約13,000から約23,000Pa.sの溶融粘度を示し、この溶融粘度は、前記ポリオレフィン、可塑剤および添加剤を含まない組成物の固有粘度である。
【0128】
本発明の組成物は、特にガスパイプまたは海底石油の開発のための大型パイプの押出を容易にすることができる。
【0129】
さらに、本発明の組成物は、熱挙動および加水分解に対して特に安定である。
【0130】
有利には、ポリアミドは、PA11、PA12、PA11/10.T、PA10.10、PA10.12および単位11の90%超または単位12の90%超のいずれかを有するコポリアミド11/12、特にPA11、PA12、PA11/10.T、PA10.10およびPA10.12から選択され、触媒は、リン酸(HPO)、亜リン酸(HPO)、次亜リン酸(HPO)またはこれらの混合物から選択され、銅系熱安定剤は、ヨウ化カリウムおよびヨウ化銅の混合物であり、オリゴ−またはポリカルボジイミドは、Stabilizer、特にStabilizer(R)9000、Stabaxol(R)、特にStabaxol P、特にStabaxol(R)P100もしくはStabaxol(R)P400またはこれらの混合物から選択される。
【0131】
有利には、前記組成物は下記を含む:
a.95.5から99.845重量%の上記定義の少なくとも1種のポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1つのオリゴ−またはポリカルボジイミド。
【0132】
より有利には、前記組成物は下記を含むか、または下記からなる:
a.85.5から98.845重量%の上記定義の少なくとも1種のポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミド;
e.1から10重量%の少なくとも1種の添加剤。
【0133】
有利には、上記定義の組成物a.、b.、c.、d.およびe.の添加剤は、マスターバッチ形態の着色剤、UV安定剤、核形成剤および熱安定剤の混合物である。
【0134】
この組成物は、顆粒または粉末形態であってよく、多数の用途に適切である。
【0135】
有利には、該組成物は下記を含むか、または下記からなる:
a.80.5から98.845重量%の上記定義の少なくとも1種のポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミド;
e.1から15%の少なくとも1種の可塑剤。
【0136】
より有利には、前記組成物は下記を含むか、または下記からなる:
a.70.5から97.845重量%の上記定義の少なくとも1つのポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミド;
e.1から15%の少なくとも1種の可塑剤。
f.1から10重量%の少なくとも1種の添加剤。
【0137】
有利には、上記定義の前記組成物a.、b.、c.、d.、e.およびf.の添加剤は、マスターバッチ形態の着色剤、UV安定剤、核形成剤および熱安定剤の混合物である。
【0138】
この組成物は、顆粒または粉末形態であってよく、特にスポーツ用の部品の成形に特に適切である。
【0139】
有利には、該組成物は下記からなる:
a.55.5から98.745重量%の上記定義の少なくとも1種のポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミド;
e.1から30%の少なくとも1種のポリオレフィン;
f.0.1から10%の少なくとも1種の添加剤。
【0140】
有利には、上記定義の前記組成物a.、b.、c.、d.、e.およびf.の添加剤は、マスターバッチ形態の着色剤、UV安定剤、核形成剤および熱安定剤の混合物である。
【0141】
有利には、該組成物は下記からなる:
a.64.5から98.745重量%の上記定義の少なくとも1種のポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミド;
e.1から30%の少なくとも1種のポリオレフィン;
f.0.1から1%の少なくとも1種の添加剤を含む。
【0142】
これらの最後の2つの組成物は、顆粒であっても、または粉末形態であってもよく、ガスパイプの押出成形にさらに特に適切である。
【0143】
有利には、該組成物は下記からなる:
a.40.50から97.745重量%の、請求項12から14に記載の少なくとも1種のポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミド;
e.1から15%の少なくとも可塑剤;
f.1から30%の少なくとも1種のポリオレフィン;
g.0.1から10%の少なくとも1種の添加剤。
【0144】
有利には、上記定義の前記組成物a.、b.、c.、d.、e.、f.およびg.の添加剤は、マスターバッチ形態の着色剤、UV安定剤、核形成剤および熱安定剤の混合物である。
【0145】
有利には、該組成物は下記からなる:
a.49.50から97.745重量%の、請求項12から14に記載の少なくとも1種のポリアミド;
b.0.005から0.5重量%の少なくとも1種の触媒;
c.0.05から1重量%の少なくとも1種の銅系熱安定剤;
d.0.1から3重量%の少なくとも1種のオリゴ−またはポリカルボジイミド;
e.1から15%の少なくとも可塑剤;
f.1から30%の少なくとも1種のポリオレフィン;
g.0.1から1%の少なくとも1種の添加剤。
【0146】
これらの最後の2つの組成物は、顆粒であっても、または粉末形態であってもよく、海底石油鉱床の開発のためのパイプまたは自動車フードの下で使用するパイプの押出成形、または特にスポーツ用の部品の成形に特に適切である。
【0147】
有利には、本発明の組成物のポリアミドは、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド、芳香族ポリアミドまたはこれらの混合物から選択される。
【0148】
組成物の使用
別の態様によれば、本発明は、ガスの輸送、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプ、自動車、特に燃料(ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼルまたはエタノール)輸送のための自動車用、冷凍用、空調用、特に空気を供給するための押出ブロー成形によって製造されたダクト用のフレキシブルパイプ、中空体、成形品またはスポーツ品などの構造物を形成するための上記定義の組成物の使用に関する。
【0149】
この態様によれば、上記のように、触媒、銅系熱安定剤、オリゴ−またはポリカルボジイミド、可塑剤、ポリオレフィンおよび添加剤は、その使用または組成物に関して上記定義の通りであり、従って、上記定義のこれらの異なる成分の割合に関する異なる組み合わせおよび代替形態が、前記構造を形成するためのこれらの組成物の使用に適用される。
【0150】
ガスの輸送または海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプは、良好な耐熱酸化性および耐加水分解性および、特に少なくとも70℃において20年間の作業温度を示す。
【0151】
有利には、海底石油鉱床の利用を目的としたフレキシブルパイプである構造物を形成するために使用される組成物は、自動車、特に燃料(ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼルまたはエタノール)輸送のための自動車用、冷凍用、空調用または特に空気を供給するための押出ブロー成形によって製造されたダクト用のフレキシブルパイプである構造物の形成にも使用することができる。
【0152】
構造物
別の態様によれば、本発明は、ガスの輸送もしくは海底石油鉱床の開発を目的とした、または自動車、特に燃料(ガソリン、ディーゼル、バイオディーゼルまたはエタノール)の輸送のための自動車用、冷凍用、空調用または上記定義の空気を供給するための、上記定義の組成物の少なくとも1つの層を含むフレキシブルパイプに関する。
【0153】
この態様によれば、上記のように、触媒、銅系熱安定剤、オリゴ−またはポリカルボジイミド、可塑剤、ポリオレフィンおよび添加剤は、その使用または組成物に関して上記定義の通りであり、上記定義のこれらの異なる成分の割合に関する異なる組み合わせおよび代替形態は、そのようなものとしてパイプそれ自体に適用される。
【0154】
有利には、上記定義のフレキシブルパイプは、前記層が流体と接触する層であり、前記組成物が、ガス輸送を目的としたフレキシブルパイプである構造体を形成するための、上記定義の組成物であることを特徴とする。
【0155】
有利には、ガスの輸送を目的とした前記パイプは単層パイプである。
【0156】
有利には、ガスの輸送を目的とした前記フレキシブルパイプは、少なくとも1つの他の層、特に熱可塑性材料で作られた層をさらに備え得ることを特徴とする。
【0157】
前記パイプは、補強材、特に金属補強材、ガラス繊維製補強材、炭素繊維製強化材、アラミド繊維製補強材から選択される補強材を含むことができる。有利には、本発明の上記定義のフレキシブルパイプは、前記層が、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプの内層であり、前記組成物が、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプである構造物を形成するための、上記定義の組成物であることを特徴とする。
【0158】
海底石油鉱床の開発を目的としたパイプの構造は、特にWO2013/128097に記載されており、特に、前記WO2013/128097の図1の層2から層8を含むパイプに対応する。
【0159】
前記内層は、この場合、WO2013/128097のパイプの層3、即ち圧力シースまたはシーリングシースに対応する。
【0160】
有利には、上記定義のフレキシブルパイプは、前記層が、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプの外層であり、前記組成物が、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプである構造物を形成するための、上記定義の組成物であることを特徴とする。
【0161】
前記外層は、この場合、WO2013/128097のパイプの層(8)に対応する。
【0162】
有利には、海底石油鉱床の開発を目的とした本発明のフレキシブルパイプは、上記定義の内層(3)と上記定義の外層(8)を備え、前記内層および外層は本発明の同じ組成物からなるか、またはそれぞれが本発明の異なる組成物からなる。
【0163】
層(3)または層(8)の1つがWO2013/128097に記載されている本発明以外の熱可塑性材料、特に別のポリアミドからなる場合も、本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0164】
有利には、海底石油鉱床の開発を目的とした本発明のフレキシブルパイプは、WO2013/128097に記載の層2/3/4/6/7/8からなり、層3および層8は上記定義の通りであり、層2は石油と接触する内側カーカスに対応し、層4はポリエチレンまたはポリプロピレン製の中間シースに対応し、層6および層7は、抗張装甲層に対応する。
【0165】
有利には、海底石油鉱床の開発を目的とした本発明のフレキシブルパイプは、WO2013/128097に記載の層2/3/4/5/6/7/8からなり、層2から層4および層6から層8は上記定義の通りであり、層(5)は圧力ボールトに対応する。
【0166】
有利には、海底石油鉱床の開発を目的とした本発明のフレキシブルパイプは、出願US2009/0308478に記載の層30/40/50/80/90からなる。
【0167】
本発明の組成物からなる上記定義の前記内層は、内層30に対応することができる。
【0168】
本発明の組成物からなる上記定義の前記外層は、前記出願US2009/0308478の外層90に対応することができる。
【0169】
他の層は、出願US2009/0308478に定義されている通りである。
【0170】
有利には、自動車、特にガソリン輸送のための自動車用、冷凍用、空調用、特に空気を供給するための押出ブロー成形によって製造されたダクト用の上記定義のフレキシブルパイプは、海底石油鉱床の開発を目的としたフレキシブルパイプである構造物の形成のための、上記定義の組成物からなる少なくとも1層を備えることを特徴とする。
【0171】
空調用パイプは、特に自動車の空調または静止空調の分野で使用される冷媒(特にR−1234yfガスまたはcis−またはtrans−1234−zeガス)の輸送に特に適切である。
【0172】
本発明を以下の実施例を使用して例示するが、これらは本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0173】
図1図1は、270℃(周波数:10rad/秒、変形率5%、剪断10s−1)における0から30分間の振動レオロジーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0174】
このグラフは、横軸に分析時間(秒)を、縦軸にPa.sで表される粘度を示す。
【0175】
1800秒で、上から下へ:
触媒化PA11(600ppm HPO)、
触媒化PA11(600ppm HPO)+1%Stabilizer9000、
触媒化PA11(600ppm HPO)+1%のStabilizer9000+0.25%のヨウ素201:本発明の曲線、13000から23000Pa.sの間の粘度を有する唯一の曲線である。
非触媒化PA12+1%Stabilizer9000+0.25%ヨウ素201、
非触媒化PA11+1%Stabilizer9000、
触媒化PA11(600ppm HPO)+0.25%ヨウ素201、
非触媒化PA11。
【実施例】
【0176】
使用製品
使用したポリアミドはPA11(Besno、Arkema社により販売)、PA12(Aesno、Arkema社により販売)、PA10.10(Arkema社により販売:Hiprolon200)、PA10.12(Arkema社により販売:Hiprolon400)である。
【0177】
銅系熱安定剤は、Polyad Services社のPolyAdd P201(ヨウ素201)である。
【0178】
使用したカルボジイミドは、Raschigにより販売されているStabilizer(R)9000(ポリ(1,3,5−トリイソプロピルフェニレン−2,4−カルボジイミド))または帝人(株)により販売されているTCCである。
【0179】
使用した触媒は、HPOまたはHPOである。
【0180】
Anox(R)NDB TL89:Chemturaによって販売されているフェノールホスファイトタイプの有機安定剤。
【0181】
BBSA:Provironによって販売されるn−ブチルベンゼンスルホンアミド。
【0182】
EPR 1801:Exxonによって販売されているポリオレフィン(無水マレイン酸官能化エチレンコポリマー)。
【0183】
Fusabond(R)493:DuPontから販売されているポリオレフィン(無水物官能化エチレンコポリマー)。
【0184】
[実施例1]
銅系安定剤および/またはカルボジイミドの存在下または不在下における、触媒含有または非含有の本発明のポリアミドの溶融粘度の測定
試験(銅系安定剤および/またはカルボジイミドを添加した、または添加しなかった、触媒含有または非含有PA混合物)を、111および123スクリュー(スクリュープロファイル2)を備えたXplore MC15マイクロコンパウンダーにおいて実施する。
【0185】
270℃の平坦な温度プロファイルをプログラムした。
【0186】
さまざまな混合物を、スクリュー速度100rpmおよび再循環時間25分(これに機械供給時間、即ち1分30秒から2分の間を加えなければならない。)で作製した。
【0187】
試験は、窒素(0.5バール)でフラッシュしながら実施した。
【0188】
垂直力はNで測定した。この垂直力は溶融粘度の変化を表す。
【0189】
T0における粘度およびT+30分におけるその変化を、プレート−プレート振動レオロジーによって測定した。
【0190】
プレート−プレート:下記の操作条件より、270℃、10rad/秒、変形率5%において30分:
器具:Physica MCR301
形状:直径25mmの平行平板
温度:270℃
周波数:10rad.s−1
所要時間:30分
雰囲気:窒素でフラッシュ
剪断10s−1
【0191】
[実施例1.1]
触媒非含有PA11、PA12およびPA10.10:銅系熱安定剤および/またはカルボジイミド含有または非含有
百分率は重量で示す。
【0192】
溶融粘度は、T0および30分後に測定する。
【0193】
固有粘度は、ISO307−2007規格に準拠してm−クレゾール中で測定する。
【0194】
この方法は、当業者には周知である。ISO307−2007規格に準拠するが、溶媒を変更し(硫酸の代わりにm−クレゾールを使用)、温度は20℃である。
【0195】
【表1】
【0196】
「No RIV」は、粘度の上昇がないことを意味する。
【0197】
比較的高い固有粘度(1.45、押出成形グレード)を有する、触媒非含有PA11は、銅系安定剤単独を用いても、または銅系安定剤およびカルボジイミドを用いてもいずれにしても十分に粘性ではない。
【0198】
0.25%のヨウ素201の添加は粘度を増加させない。
【0199】
カルボジイミドの添加は溶融粘度の上昇をもたらすが、生成物の変形には不十分である。
【0200】
【表2】
【0201】
高い固有粘度(1.6)を有する、触媒非含有PA12(連鎖制限剤非含有のArkema社のAesno)は、銅系安定剤およびカルボジイミドを添加しても十分に粘性ではない。
【0202】
カルボジイミドの添加は溶融粘度の上昇をもたらすが、生成物の変形には不十分である。
【0203】
【表3】
【0204】
中程度の固有粘度(1.35)を有するPA10.10は、銅系安定剤に加えてカルボジイミドを用いても、または用いなくても流動性が高すぎる。
【0205】
結論として、溶融固有粘度の問題は、出発固有粘度を増加させることによって解決することはできない。
【0206】
[実施例1.2]
触媒含有PA11、PA10.10およびPA10.12:銅系熱安定剤および/またはカルボジイミド含有または非含有
百分率は重量で示す。
【0207】
【表4】
【0208】
比較的高い固有粘度(1.45;押出成形グレード)を有するPA11は、T0において溶融状態で十分粘性(即ち、溶融粘度が約13000Pa.s以上)であるが、この溶融粘度は23000Pa.sより著しく大きいので、変化が大きすぎる。
【0209】
触媒化PA11に熱安定剤を添加しても粘度を改善することはできず、添加後は急激に低下して回転が停止するので全く逆である。
【0210】
一方、熱安定剤およびカルボジイミドの添加は、約13000Pa.s以上の溶融粘度を得ることを可能にするだけでなく、少なくとも30分間安定な溶融粘度を得ることも可能にする。
【0211】
【表5】
【0212】
触媒のみを含む1.45の固有粘度を有するPA10.10は、T0における溶融状態で十分に粘性ではない(即ち、溶融粘度が13000Pa.s未満)。
【0213】
熱安定剤を添加しても、十分な溶融粘度は得ることはできない。
【0214】
一方、熱安定剤およびカルボジイミドの添加は、約13000Pa.s以上の溶融粘度を得ることを可能にするだけでなく、少なくとも30分間安定な溶融粘度を得ることも可能にする。
【0215】
【表6】
【0216】
同様に、触媒のみを含む1.4の固有粘度を有するPA10.12では、T0における溶融粘度は低すぎる(13000Pa.s未満)。
【0217】
熱安定剤を添加しても、十分な溶融粘度は得ることはできない。
【0218】
一方、熱安定剤およびカルボジイミドの添加は、約13000Pa.s以上の溶融粘度を得ることを可能にするだけでなく、少なくとも30分間安定な溶融粘度を得ることも可能にする。
【0219】
[実施例2]
本発明のポリアミドのレオロジー特性に対する、触媒の存在ならびに銅系安定剤および/またはカルボジイミドの割合の影響
【0220】
[実施例2.1]
百分率は重量で示す。
【0221】
この実施例の全試験に使用したポリアミドは、上記の1.45の固有粘度を有するPA11である。
【0222】
【表7】
【0223】
この実施例は、変形の最も重要な態様が、固有粘度の値ではなく、触媒/銅系熱安定剤/カルボジイミドの組み合わせによる溶融粘度の値であることを示す。
【0224】
[実施例2.2]
この実施例の全試験に使用したポリアミドはPA11である。
【0225】
示された百分率は重量によるものである。
【0226】
【表8】
【0227】
溶液における粘度(メタクレゾール中の固有粘度)と溶融粘度との間に相関はない。このことは、分枝を表す多分散指数によって説明することができる。
【0228】
[実施例3]
ポリオレフィンおよび/または可塑剤および/または添加剤をさらに含む本発明の組成物の評価:140℃における熱挙動
示された割合は、組成物の総重量に対する重量パーセントである。
【0229】
二軸スクリューで、280℃−300回転/分で、真空下−600mmHg(ヴェルナー40型押出機(Werner40))において60kg/時で試験する。
【0230】
PA基材を乾燥させる(含水量<0.1%)。
【0231】
【表9】
【0232】
破断点伸びに関して測定された半減期は、熱安定剤およびカルボジイミドを含まない比較組成物1(PA11+触媒600ppm)については30日から、触媒(比較組成物1と同じ割合)、銅系安定剤、カルボジイミドを同時に含む本発明の組成物については90日まで変化する。
【0233】
本発明による組成物は、比較組成物4より粘性であり、唯一の相違は、本発明による配合物中のカルボジイミドの存在である(T0およびT=30分)。
【0234】
さらに、比較組成物1は、先験的に良好であると思われる溶融粘度(T0=13000)を示すが、この溶融粘度はT=30分までにあまりにも大きな変化を示し、従って、本発明による組成物とは対照的に、変形を困難にはしない。
【0235】
さらに、触媒を含まないが、本発明の組成物よりも大きな割合でカルボジイミド(1%の代わりに1.3%)を含む比較組成物2および3は、T=0において溶融粘度が要求値である13000Pa.sに到達しないだけではなく、T=30分において粘度が大きく低下するため、安定性を完全に欠いている。
【0236】
[実施例4]
Besno P40 TLと比較した、本発明の配合物(実施例3)の耐加水分解性
【0237】
【表10】
【0238】
[実施例5]
本発明による組成物と比較組成物との特性の比較
【0239】
【表11】
図1