特開2020-204235(P2020-204235A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 清水建設株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000003
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000004
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000005
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000006
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000007
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000008
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000009
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000010
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000011
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000012
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000013
  • 特開2020204235-地中支持構造及び建物 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-204235(P2020-204235A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】地中支持構造及び建物
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/48 20060101AFI20201127BHJP
   E02D 5/20 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   E02D5/48
   E02D5/20 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-113677(P2019-113677)
(22)【出願日】2019年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 一輝
(72)【発明者】
【氏名】島崎 大
(72)【発明者】
【氏名】八木 聡
【テーマコード(参考)】
2D041
2D049
【Fターム(参考)】
2D041AA01
2D041BA22
2D041CA03
2D041DA03
2D049GB01
2D049GC00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】押込力及び引抜力に対してより大きな抵抗力を有すると共に、施工の自由度を高めてコストを低減した地中支持構造及び建物を提供する。
【解決手段】地盤に形成された連続壁10と、連続壁10に一体で形成されると共に、下方に向かうほど径が拡大する拡底部4を有する拡底杭2と、を備え、拡底部4は、連続壁10の下端から下方に突出して形成されていることを特徴とする、地中支持構造1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に形成された連続壁と、
前記連続壁に一体で形成されると共に、下方に向かうほど径が拡大する拡底部を有する拡底杭と、を備え、
前記拡底部は、前記連続壁の下端から下方に突出して形成されていることを特徴とする、
地中支持構造。
【請求項2】
前記拡底部は、前記地盤の支持層内に形成され、
前記連続壁は、下端が前記支持層内に形成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の地中支持構造。
【請求項3】
前記拡底部は、前記地盤の支持層内に形成され、
前記連続壁は、下端が前記支持層より上方に形成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の地中支持構造。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の地中支持構造を備えることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中連続壁を用いて構造物を支持する地中支持構造及び建物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、構造物が高層化しつつある。超高層の構造物を支持する基礎には、地震時や暴風時に構造物が揺れて非常に大きな押込力や引抜力が加わる。既存の地中支持構造として、壁面の摩擦力が抵抗力となる地中連続壁工法や、拡径された杭の先端部が抵抗力となる拡底杭工法がある。しかし、これらの工法を単体で超高層の構造物の基礎に適用すると、基礎に加わる力に対して必要な抵抗力が得られない場合がある。
【0003】
特許文献1には、地中連続壁と拡底杭とを組み合わせた地下コンクリート構造が記載されている。この地下コンクリート構造は、円錐台状の拡底部を有する複数の拡底杭と、複数の拡底杭の間を連結するように連続的に構築される板状の地中連続壁とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−360252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の建物の高層化に伴う押込力及び引抜力の増加に対して期待できる抵抗力に限りが生じている。特許文献1に記載された地下コンクリート構造によれば、地中連続壁工法や拡底杭工法を単独で適用する場合に比して押込力及び引抜力に対する抵抗力を向上させることができる。しかし、この地下コンクリート構造によれば、拡底部の底面が連続壁の底面の高さと同一となるように形成されているため、それぞれの底面の面積が重複しており、押込抵抗力や引抜抵抗力に対して有効な支圧面積が確保できなくなる虞がある。また、この地下コンクリート構造によれば、支持層の深さ等の地盤条件によっては、連続壁と拡底杭とを同一の深さまで構築すると工期が長期化し、コストが増大する虞がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、押込力及び引抜力に対してより大きな抵抗力を有すると共に、設計及び施工の自由度を高めてコストを低減することができる地中支持構造及び建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達するために、本発明は、地盤に形成された連続壁と、前記連続壁に一体で形成されると共に、下方に向かうほど径が拡大する拡底部を有する拡底杭と、を備え、前記拡底部は、前記連続壁の下端から下方に突出して形成されていることを特徴とする、地中支持構造である。
【0008】
本発明によれば、連続壁の長さと拡底杭の長さを個別に設定することで、地盤条件や必要な耐力に応じて自由に設計することができる。また、拡底部が連続壁の下部に突出していることにより、連続壁の底面の支圧面積をなるべく大きく取ることができると共に、拡底部の底面を全て支圧面積とすることができ、押込力に対して大きな抵抗力を生じさせることができる。
【0009】
また、本発明は、前記拡底部は、前記地盤の支持層内に形成され、前記連続壁は、下端部が前記支持層内に形成されているように構成されていてもよい。
【0010】
本発明によれば、連続壁に必要な摩擦抵抗力を生じさせることができるのであれば支持層内で連続壁の長さを拡底杭の長さに比して短く調整することができ、設計及び施工の自由度を高めることができる。
【0011】
また、本発明は、前記拡底部は、前記地盤の支持層内に形成され、前記連続壁は、下端部が前記支持層より上方に形成されているように構成されていてもよい。
【0012】
本発明によれば、連続壁に必要な摩擦抵抗力を生じさせることができるのであれば、連続壁が支持層内で支持されないように連続壁の長さを拡底杭の長さに比して短く調整することができ、設計及び施工の自由度を高めることができる。
【0013】
また、本発明は、建物が上述した地中支持構造を備えるように構成されていてもよい。
【0014】
本発明によれば、押込力及び引抜力に対してより大きな抵抗力を有すると共に、設計及び施工の自由度を高めてコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、押込力及び引抜力に対してより大きな抵抗力を有すると共に、設計及び施工の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る地中支持構造の構成を示す図である。
図2】地中支持構造に支持される建物の構成を示す図である。
図3】地中支持構造の施工方法を示す図である。
図4】地中支持構造の他の施工方法を示す図である。
図5】地中支持構造と他の支持構造とを比較する図である。
図6】地中支持構造と他の支持構造との支持力の比較結果を示す図である。
図7】支持地盤に対して設計される地中支持構造を示す図である。
図8】支持地盤に対して設計される他の地中支持構造を示す図である。
図9】地中支持構造の変形例を示す図である。
図10】地中支持構造の変形例を示す図である。
図11】地中支持構造の変形例を示す図である。
図12】地中支持構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る地中支持構造1の実施形態について説明する。
【0018】
図1及に示されるように、地中支持構造1は、拡底杭2と、拡底杭2と一体に設けられた連続壁10とを備える。連続壁10は、いわゆる地中連続壁であり、地中に構築される鉄筋コンクリート構造体である。連続壁10は、壁面と地盤との間に生じる面積に応じた摩擦力により押込抵抗力及び引抜抵抗力を発生させる。
【0019】
拡底杭2は、鉛直方向に沿って設けられた円柱部3と、円柱部3の下端部に設けられた拡底部4とを備える。拡底杭2は、地中杭であり、地中に構築される鉄筋コンクリート構造体である。円柱部3は、円形断面を有する柱状に形成されている。円柱部3の上端は、地面と略同一の位置に形成されている。円柱部3の下端部は、連続壁10の下端よりも突出し、連続壁10の下端の位置以下の位置に形成されている。円柱部3の下端部には、拡底部4が形成されている。
【0020】
拡底部4は、下方に向かうほど径が拡大するように円錐台状に形成されている。拡底部4は、連続壁10の底面から下方に突出して形成されている。即ち、拡底部4の底面と連続壁10の底部との間は離間している。拡底杭2は、拡底部4により押込抵抗力及び引抜抵抗力を生じさせる。
【0021】
図2に示されるように、地中支持構造1は、地盤内に形成されて建物Tを支持する。地中支持構造1は、地震時や強風時に建物Tに加わる力に対して押込抵抗力及び引抜抵抗力を生じさせる。地中支持構造1は、例えば、建物Tの地下筐体T1の一部として設けられる。対向する一対の連続壁10は、地下筐体T1の壁面の一部となり、下端が地下筐体T1の底部と同じ位置まで形成されている(図2(A)参照)。対向する一対の連続壁10は、下端が地下筐体T1の底部よりも下方の位置まで突出して形成されていてもよい(図2(B)参照)。
【0022】
この場合、全ての連続壁10の下端が地下筐体T1の底部よりも下方の位置まで突出して形成されている必要はなく、一方の連続壁10は、下端が地下筐体T1の底部と同じ位置まで形成され、他方の連続壁10は、下端が地下筐体T1の底部よりも下方の位置まで突出して形成されているようにしてもよい。
【0023】
次に、地中支持構造1の施工方法について説明する。
【0024】
図3に示されるように、地中支持構造1の施工方法は、先ず地中に一対の拡底杭2を構築するための一対の孔Hを形成する。孔Hは、円柱状の孔H1を掘削した後、底部を円錐台状に拡径して孔H2を掘削する。孔Hは、アースドリル工法、リバースサーキュレーション工法、オールケーシング工法等により掘削される。次に、一対の孔Hの間の地盤を掘削し、連続壁10を構築するための矩形断面の孔Gを形成する。孔Gは、ハイドロフレーズ掘削機、バケット式掘削機等により掘削される。
【0025】
図4に示されるように、地中支持構造1の施工方法は、孔Gを先に掘削した後に孔Hを掘削してもよい。孔H及び孔Gの中には、鉄筋が配置される。その後、孔H及び孔Gにコンクリートが打設され、地中支持構造1が構築される。
【0026】
次に、地中支持構造1の効果について説明する。
【0027】
図5(A)に示されるように、地中支持構造1の条件を設定する。連続壁10の条件は、例えば、厚さt=1.5[m]、幅Bw=6[m]、長さLw=13[m]に設定される。拡底杭2の条件は、例えば、軸径φ=3.0[m]、拡底径φ=4.7[m]、杭長Lp=20[m]に設定される。ここで、杭長とは、円柱部3の頂面から拡底部4の底面までの長さである。地盤の条件は、例えば、極限支圧耐力Pap(圧縮)=7500[kN/m]、極限支圧耐力Pap(引抜)=6000[kN/m]、極限周面摩擦力Tu=200[kN/m]に設定される。但し、地中支持構造1の自重は考慮されていない。
【0028】
上記条件に基づいて、地中支持構造1の抵抗力について算出する。比較例として拡底部4の底面と連続壁の底部が同一面に形成されている構造体K(図5(B)参照)、拡底杭単体(図5(C)参照)、及び連続壁単体(図5(D)参照)の抵抗力の算出結果とを比較する。但し、比較例においては、連続壁の長さLw=20[m]に設定されている。
【0029】
図6に示されるように、地中支持構造1は、押込抵抗力及び引抜抵抗力において構造体K、拡底杭単体、連続壁単体に比して性能の向上が見られた。特に、地中支持構造1は、構造体Kに比して性能の向上が見られた。
【0030】
地中支持構造1の支圧面積は、連続壁10の底面の面積から、連続壁10の底面と円柱部3の重複部分の面積を除いた面積に拡底部4の底面の面積を加えた面積である。これに比して構造体Kの支圧面積は、連続壁K1の底面の面積から、連続壁10の底面と拡底部K3との重複部分の面積を除いた面積に拡底部K3の底面の面積を加えた面積である。そうすると、地中支持構造1は、構造体Kに比して地盤に支持される面積が多く形成されおり、押込抵抗力に有効な支圧面積をより多く確保することができる。
【0031】
また、地中支持構造1によれば、構造体Kに比して拡底部4と地盤との接触面積がより多く形成されおり、引抜抵抗力に有効な抵抗力を生じさせる面積をより多く確保することができる。地中支持構造1において、拡底部4の側面は、全て地盤に接触している。これに比して構造体Kの拡底部K3の側面は、連続壁K2に一部が覆われており、地盤に接触する面積が地中支持構造1のものよりも小さく、引抜抵抗力に有効な抵抗力も小さくなる。
【0032】
次に、地中支持構造1の施工性について説明する。
【0033】
通常、構造物の基礎杭は、支持層まで到達するように構築される。構造体Kのように支持層まで連続壁及び拡底部を構築すると、連続壁10が受け持つ必要な周面摩擦面積を超えて過剰な連続壁を構築する必要が生じ、工期が長期化しコストが増大する虞がある。これに比して、地中支持構造1は、連続壁10が受け持つ必要な周面摩擦面積が確保されるように連続壁10の長さが設定可能となる。
【0034】
図7に示されるように、地中支持構造1は、拡底部4が地盤の支持層J内に形成されると共に、連続壁10が外力に対抗するために必要な摩擦面積を確保しつつ、下端部が拡底部4の底面よりも上方であり、且つ、支持層J内に形成されているように設計することができ、設計及び施工の自由度を高めることができる。
【0035】
図8に示されるように、地中支持構造1は、拡底部4が地盤の支持層内に形成されると共に、連続壁10の下端部は支持層の上方になるように設計してもよい。連続壁10が外力に対抗するために必要な摩擦面積を確保できるのであれば、地中支持構造1は、連続壁10の下端部が拡底部4の底面よりも上方であり、且つ、支持層よりも上方に形成されているように設計することができ、設計及び施工の自由度を高めることができる。即ち、地中支持構造1によれば、拡底杭2の拡底部4が支持層まで到達しているのであれば、連続壁10の長さを自由に設定できるような自由な設計が可能となるため、連続壁10の長さが短くなる分、工期を短縮化すると共に、コストを低減することができる。
【0036】
次に、地中支持構造1の変形例について説明する。
【0037】
図9に示されるように、拡底杭2の円柱部3の外形は、連続壁10の厚さ以下に形成されていてもよい。これにより、逆打ち工法で連続壁10を地下空間の壁に利用する場合に凹凸が無い壁面を形成することができる。
【0038】
図10に示されるように、拡底杭2は、連続壁10の端部に設けられていてよい。また、図11に示されるように、拡底杭2は、平面視して略直交方向に接続された連続壁10の角部に形成されるものであってもよい。また、図12に示されるように、円柱部3は、平面視して連続壁10の中心軸Lに比して中心が偏心して形成されていてもよい。
【0039】
この他、円柱部3の径は、連続壁10の壁厚によらずに自由に設定されるものであってもよい。近年の高層建物の施工において、工期を短縮するために連続壁を用いた逆打ち工法が用いられることが多い。逆打ち工法では、連続壁に形成される杭に鉄骨柱が埋め込まれる。この時、矩形の連続壁の中に円柱形の杭が取り込まれるように形成されているため、連続壁に埋め込まれる鉄骨柱の幅に応じて連続壁の壁厚を増す必要があり、工期が長期化しコストが増大する。それに対して地中支持構造1によれば、拡底杭2の円柱部3の径は、連続壁10の壁厚によらずに自由に設定することができる。
【0040】
上述したように、地中支持構造1によれば、押込抵抗力に必要な摩擦力を連続壁10の壁面で確保しつつ、拡底杭2の拡底部4により引抜抵抗力を向上させると共に、連続壁10の長さを自由に設定することができ、設計及び施工の自由度が向上し工期を短縮すると共に、コストを低減することができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 地中支持構造
2 拡底杭
3 円柱部
4 拡底部
10 連続壁
K1 連続壁
K2 連続壁
K3 拡底部
T 建物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12