特開2020-204358(P2020-204358A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧
<>
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000003
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000004
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000005
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000006
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000007
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000008
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000009
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000010
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000011
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000012
  • 特開2020204358-バルブ装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-204358(P2020-204358A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/06 20060101AFI20201127BHJP
   F01P 7/16 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   F16K27/06
   F01P7/16 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-112013(P2019-112013)
(22)【出願日】2019年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇仁
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA07
3H051AA08
3H051BB10
3H051CC11
3H051CC15
3H051DD02
3H051EE03
3H051FF02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体の漏れの増加を防ぐことの可能なバルブ装置を提供する。
【解決手段】ハウジング10は、流体入口部24および流体出口部151、152を有する。バルブ体30は、ハウジング10の内側に回転可能に設けられ、流入口38および流出口371、372を有する。スリーブ41、42は、ハウジング10の流体出口部151、152に設けられ、バルブ体30の内側の空間33から流体が流出する流路を形成する。シート部材51、52は、スリーブ41、42とバルブ体30の外壁との間に設けられ、バルブ体30の外壁に摺接する。バルブ装置1は、ハウジング10の流体入口部24から流入する流体が、バルブ体30の内側の空間33に向かって流れ、ハウジング10の内壁とバルブ体30の外壁との間に形成される空間36に向かって流れることが抑制されるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流量調整および流路切替の少なくとも一方を行うバルブ装置において、
流体が流入する流体入口部(24)、および流体が流出する流体出口部(151〜155)を有するハウジング(10)と、
前記ハウジングの内側に回転可能に設けられ、前記流体入口部に対応する位置に設けられる流入口(38、381、382)、および前記流体出口部に対応する位置に設けられる流出口(371〜375)を有するバルブ体(30)と、
前記ハウジングの前記流体出口部に設けられ、前記バルブ体の内側の空間(33、331、332)から前記流出口を介して流体が流出する流路を形成するスリーブ(41〜45)と、
前記スリーブの前記バルブ体側の端部と前記バルブ体の外壁との間に設けられ、前記バルブ体の外壁に摺接するシート部材(51〜55)と、
前記ハウジングの前記流体入口部から前記ハウジングの内側に流入する流体が、前記バルブ体の前記流入口から前記バルブ体の内側の空間に向かって流れ、前記ハウジングの内壁と前記バルブ体の外壁との間に形成される空間(36)に向かって流れることが抑制されるように構成されている、バルブ装置。
【請求項2】
前記ハウジングの前記流体入口部と前記バルブ体の前記流入口はいずれも、前記バルブ体の回転軸(Ax)方向の一方の側に設けられており、
前記ハウジングの前記流体入口部の内径(D1)は、前記バルブ体の前記流入口側の端部(39)の外径(D2)より小さい、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記ハウジングの前記流体入口部の内径は、前記バルブ体の前記流入口側の端部の外径より小さく、前記バルブ体の前記流入口側の端部の内径(D3)より大きい、請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記ハウジングの前記流体入口部と前記バルブ体の前記流入口はいずれも、前記バルブ体の回転軸方向の一方の側に設けられており、
前記ハウジングの前記流体入口部の内壁(241)は、前記流入口とは反対側から前記流入口側に向かって内径が次第に小さくなるテーパ状に形成されている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記ハウジングの前記流体入口部は、前記ハウジングのうち、前記バルブ体の回転軸に垂直な方向に位置する部位に設けられており、
前記バルブ体の前記流入口は、前記バルブ体のうち、前記バルブ体の回転軸方向に位置する部位に設けられており、
前記流体入口部に対し前記バルブ体の回転軸を挟んで反対側の位置に、前記ハウジングの内壁から前記バルブ体の外周よりも前記バルブ体の回転軸側に突出する凸部(70)をさらに備え、
前記凸部は、前記ハウジングの前記流体入口部から前記ハウジングの内側に流入した流体の流れが前記ハウジングの内壁と前記バルブ体の外壁との間に形成される空間に向かうことを抑制する、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記ハウジングの外側に設けられる出口パイプ構成部材(60)をさらに備え、
前記凸部は、前記出口パイプ構成部材から前記ハウジングに設けられた孔(17)を挿通し、前記ハウジングの内壁から前記バルブ体の外周よりも前記バルブ体の回転軸側に突出している、請求項5に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、流体の流量調整および流路切替の少なくとも一方を行うバルブ装置が知られている。
特許文献1に記載のバルブ装置は、流体入口部および流体出口部を有するハウジングと、そのハウジングの内側に回転可能に設けられたバルブ体とを備えている。ハウジングの流体出口部には筒状のスリーブが設けられ、そのスリーブの端部とバルブ体の外壁との間にシート部材が設けられている。シート部材は、ハウジングの内壁とバルブ体の外壁との間に形成される空間と、スリーブの内側の流路との間で流体の漏れが生じることを抑制するシール機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−54122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のバルブ装置は、例えば、エンジンの冷却水が循環する冷却水回路に用いられる。その冷却水回路を循環する冷却水には、砂型鋳造で作られるエンジンなどから流出した鋳砂や、切削加工で作られる部品から流出した切削屑などの異物が滞留している。そのため、その異物が、バルブ装置が備えるバルブ体の外壁とシート部材との間に挟まると、バルブ体の回転に伴ってバルブ体の外壁またはシート部材が傷つき、そこから冷却水が漏れるおそれがある。バルブ装置内で冷却水の漏れ量が増加すると、例えば、エンジン始動時など、エンジンで暖められた冷却水がラジエータに流れて冷やされることで、エンジンやトランスミッションなどの暖機に時間がかかり、燃費が悪化することが懸念される。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、流体の漏れの増加を防ぐことの可能なバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明によると、バルブ装置は、流体の流量調整および流路切替の少なくとも一方を行うものであり、ハウジング(10)、バルブ体(30)、スリーブ(41〜45)、およびシート部材(51〜55)を備える。ハウジングは、流体が流入する流体入口部(24)、および流体が流出する流体出口部(151〜155)を有する。バルブ体は、ハウジングの内側に回転可能に設けられ、流体入口部に対応する位置に設けられる流入口(38、381、382)、および流体出口部に対応する位置に設けられる流出口(371〜375)を有する。スリーブは、ハウジングの流体出口部に設けられ、バルブ体の内側の空間(33、331、332)から流出口を介して流体が流出する流路を形成する。シート部材は、スリーブのバルブ体側の端部とバルブ体の外壁との間に設けられ、バルブ体の外壁に摺接する。そして、このバルブ装置は、ハウジングの流体入口部からハウジングの内側に流入する流体が、バルブ体の流入口からバルブ体の内側の空間に向かって流れ、ハウジングの内壁とバルブ体の外壁との間に形成される空間(36)に向かって流れることが抑制されるように構成されている。
【0007】
これによれば、ハウジングの流体入口部からハウジングの内側に流入する流体に混入している異物は、流体の流れと共にバルブ体の流入口からバルブ体の内側の空間へ流れるので、ハウジングの内壁とバルブ体の外壁との間の空間に異物が侵入することが抑制される。そのため、バルブ体の外壁とシート部材との間に異物が挟まることが抑制されるので、バルブ体の外壁とシート部材が異物により傷つくことが防がれる。したがって、このバルブ装置は、バルブ体の外壁とシート部材との間で、流体の漏れが増加することを防ぐことができる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るバルブ装置の断面図である。
図2図1のII方向の矢視図である。
図3】第1実施形態に係るバルブ装置の冷却水の流れを示す図である。
図4】第2実施形態に係るバルブ装置の断面図である。
図5】第2実施形態に係るバルブ装置の冷却水の流れを示す図である。
図6】第3実施形態に係るバルブ装置の断面図である。
図7図6のVII−VII線の断面図である。
図8】第4実施形態に係るバルブ装置の断面図である。
図9図8のIX−IX線の断面図である。
図10】比較例のバルブ装置の断面図である。
図11】比較例のバルブ装置の冷却水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態のバルブ装置1は、車両に搭載されるエンジンの冷却水回路に用いられるものである。バルブ装置1は、冷却水回路を循環する流体としての冷却水の流量の調整、および、流路の切替などを行うことが可能である。なお、冷却水は、例えばエチレングリコールを含むLLC(Long Life Coolant)などが用いられる。
【0012】
図1に示すように、バルブ装置1は、ハウジング10、バルブ体30、スリーブ41、42およびシート部材51、52などを備えている。
【0013】
ハウジング10は、バルブ装置1の外殻を構成しており、ハウジング本体11と入口部材20とを有している。ハウジング本体11の内側には、バルブ体30が収容される収容空間13が形成されている。ハウジング本体11には、収容空間13が外部に開口する開口部14が設けられている。そのハウジング本体11の開口部14の内壁に、入口部材20が圧入固定されている。また、ハウジング本体11は、収容空間13に連通する流体出口部151、152を有している。その流体出口部151、152には、スリーブ41、42およびシート部材51、52などが設けられている。
【0014】
図1および図2に示すように、入口部材20は、略円盤状に形成され、環状部21、中央部22、複数の接続部23、および流体入口部24を有している。環状部21は、環状に形成され、その径方向外側の外壁がハウジング本体11の開口部14の内壁に圧入により固定されている。中央部22は、バルブ体30のシャフト31を回転可能に支持するための軸受19が設けられる部位である。複数の接続部23は、環状部21と中央部22との間で放射状に延びて、環状部21と中央部22とを接続している。流体入口部24は、環状部21と中央部22と複数の接続部23によって形成される冷却水の流入口である。流体入口部24からハウジング10の内側に、冷却水回路を循環する冷却水が流入する。
なお、ハウジング本体11のうち、流体入口部24より径方向外側の部位には、Oリング16が設けられている。
【0015】
図1に示すように、バルブ体30は、ハウジング本体11の内側に収容される所謂ボールバルブである。バルブ体30は、有底筒状に形成され、底部34およびその底部34の外縁から軸方向に筒状に延びる筒部35を有している。底部34の中央には、シャフト31が固定されている。シャフト31は、その一端がハウジング本体11に設けられた第1軸受18により回転可能に支持され、他端が入口部材20の中央部22に設けられた第2軸受19により回転可能に支持されている。そのため、バルブ体30はシャフト31と共に、ハウジング10の内側で回転可能に設けられている。
なお、シャフト31は、ハウジング本体11の外側に設けられた図示しない電動モータの駆動により軸周りに回転する。シャフト31の回転に伴って、バルブ体30は、ハウジング10の内側でシャフト31の軸周りに回転動作する。なお、シャフト31の軸とバルブ体30の回転軸Axとは一致している。
【0016】
バルブ体30の筒部35の外壁は、球状面351、352とされている。その球状面351、352の一部に冷却水が流出する流出口371、372が設けられている。なお、本実施形態では、バルブ体30の筒部35の外壁に、中心点の異なる2つの球状面351、352が形成され、その2つの球状面351、352のそれぞれに流出口371、372が設けられている。
【0017】
ハウジング本体11が有する流体出口部151、152は、バルブ体30の流出口371、372に対応する位置に設けられている。具体的には、ハウジング本体11が有する流体出口部151、152は、バルブ体30の流出口371、372に対してバルブ体30の回転軸Axに直交する方向に設けられている。ハウジング本体11が有する流体出口部151、152の内側には、スリーブ41、42およびシート部材51、52などが設けられている。スリーブ41、42は、筒状の部材であり、ハウジング本体11に取り付けられる出口パイプ構成部材60が有する図示しない流体出口穴の内壁により摺動可能に支持されている。スリーブ41、42は、バルブ体30の内側の空間33から流出口371、372を介して冷却水が流出する流路を形成している。スリーブ41、42は、バルブ体30側の端部にシート部材51、52を支持するためのフランジ部46、47を有している。
【0018】
シート部材51、52は、スリーブ41、42の有するフランジ部46、47と、バルブ体30の筒部35の外壁との間に設けられている。シート部材51、52は、環状に形成されており、バルブ体30の筒部35の外壁に摺接している。スリーブ41、42のフランジ部46、47と出口パイプ構成部材60との間には、スプリング48、49と、そのスプリング48、49を支持する支持部材451、461が設けられている。スプリング48、49は、圧縮コイルスプリングであり、スリーブ41、42とシート部材51、52をバルブ体30側へ付勢している。これにより、シート部材51、52は、バルブ体30の筒部35の外壁に密着する。このシート部材51、52は、ハウジング10の内壁とバルブ体30の外壁との間に形成される空間36と、スリーブ41、42の内側の流路と間で、冷却水が漏れることを防いでいる。なお、以下の説明では、ハウジング10の内壁とバルブ体30の外壁との間に形成される空間36を、バルブ外側空間36と呼ぶこととする。
【0019】
シート部材51、52は、スプリング48、49の付勢力に加えて、冷却水の圧力によってもバルブ体30側へ押圧されている。そのため、ハウジング10の内側に流入する冷却水の圧力の変動に伴って、シート部材51、52をバルブ体30側へ押圧する力が変動する。シート部材51、52をバルブ体30側へ押圧する力が大きくなると、シート部材51、52とバルブ体30との摩擦力が大きくなり、バルブ体30の回転動作が悪化することが懸念される。
【0020】
そこで、図1の拡大図Aに示すように、シート部材51、52のバルブ体30側の面のうち径方向外側の部位と、バルブ体30の外壁との間に微小な隙間Sが形成されるように構成することが好ましい。これにより、シート部材51、52のうちバルブ体30とは反対側の面に作用する冷却水の圧力の一部と、シート部材51、52のうちバルブ体30側の面に作用する冷却水の圧力とが相殺される。そのため、ハウジング10の内側に流入する冷却水の圧力が変動した場合でも、シート部材51、52をバルブ体30側へ押圧する力の変動が抑制される。したがって、バルブ装置1は、バルブ体30の回転動作を良好に行うことができる。
【0021】
図1は、ハウジング本体11の流体出口部151、152に設けられたスリーブ41、42およびシート部材51、52の位置と、バルブ体30の流出口371、372の位置とが重なっている状態を示している。そのため、スリーブ41、42の内側の流路と、バルブ体30の内側の空間33とは、バルブ体30の流出口371、372を介して連通している。この状態で、バルブ体30の内側の空間33からバルブ体30の流出口371、372を介してスリーブ41、42の内側の流路に冷却水が流れることが可能である。
【0022】
これに対し、図示していないが、シャフト31の軸周りにバルブ体30が回転すると、ハウジング本体11が有する流体出口部151、152に設けられたスリーブ41、42およびシート部材51、52の位置と、バルブ体30の筒部35の外壁とが重なる状態となる。その状態で、バルブ体30の内側の空間33とスリーブ41、42の内側の流路との間の冷却水の流れが、バルブ体30の筒部35によって遮断されることとなる。
【0023】
バルブ体30の底部34とは反対側の端部には、バルブ体30の内側の空間33に冷却水が流入する流入口38が設けられている。すなわち、バルブ体30の流入口38は、バルブ体30の回転軸Ax方向の一方に設けられている。また、上述したハウジング10の入口部材20が有する流体入口部24も、バルブ体30の回転軸Ax方向の一方に設けられている。そのため、本実施形態では、ハウジング10の流体入口部24とバルブ体30の流入口38とが、対向する位置に設けられている。そして、ハウジング10の流体入口部24とバルブ体30の流入口38とは連通している。したがって、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水は、バルブ体30の流入口38からバルブ体30の内側の空間33に流入する。
なお、バルブ体30の流入口38側の端部39と、ハウジング10の入口部材20との間には、所定の隙間が設けられている。そのため、バルブ外側空間36も、冷却水で満たされた状態となっている。
【0024】
ここで、バルブ装置1が用いられるエンジン冷却水回路を循環する冷却水には、砂型鋳造で作られるエンジンなどから流出した鋳砂や、切削加工で作られる部品から流出した切削屑などの異物が滞留している。そのため、その異物が、バルブ体30の筒部35の外壁とシート部材51、52との間に挟まると、バルブ体30の回転に伴ってバルブ体30の外壁またはシート部材51、52が傷つき、そこから冷却水が漏れるおそれがある。バルブ装置1内で冷却水の漏れ量が増加すると、例えば、エンジン始動時など、エンジンで暖められた冷却水がラジエータに流れて冷やされることで、エンジンやトランスミッションなどの暖機に時間がかかり、燃費が悪化することが懸念される。
【0025】
そこで、本実施形態では、ハウジング10の流体入口部24の内径D1を、バルブ体30の流入口38側の端部39の外径D2より小さくしている。これにより、図3の矢印WFに示すように、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水は、バルブ体30の流入口38からバルブ体30の内側の空間33に向かって流れ、バルブ外側空間36に向かって流れることが抑制される。そのため、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水に混入している異物も、冷却水の流れと共にバルブ体30の流入口38からバルブ体30の内側の空間33へ流れ、バルブ外側空間36に侵入することが抑制される。そのため、バルブ体30の外壁とシート部材51、52との間に異物が挟まることが抑制されるので、バルブ体30の外壁とシート部材51、52が異物により傷つくことが防がれる。したがって、このバルブ装置1は、バルブ体30の外壁とシート部材51、52との間で、冷却水の漏れが増加することを防ぐことができる。
【0026】
また、図1および図2に示すように、本実施形態では、ハウジング10の流体入口部24の内径D1は、バルブ体30の流入口38側の端部39の内径D3より大きく形成されている。これにより、ハウジング10の流体入口部24からバルブ体30の内側の空間33へ流れる冷却水の圧力損失が増加することを抑制することができる。
【0027】
なお、図1および図2では、バルブ体30の流入口38側の端部39の外径D2と内径D3との中心位置を、一点鎖線で示している。本実施形態では、ハウジング10の流体入口部24の内径D1は、バルブ体30の流入口38側の端部39の中心位置の径D4より小さく、且つ、バルブ体30の流入口38側の端部39の内径D3より大きく形成されている。これにより、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水を、より確実にバルブ体30の内側の空間33に向かって流し、バルブ外側空間36に流れることを抑制することができる。
【0028】
また、図示していないが、ハウジング10の流体入口部24の内径D1を、バルブ体30の流入口38側の端部39の中心位置の径D4より大きく、且つ、バルブ体30の流入口38側の端部39の外径D2より小さく形成してもよい。これにより、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水を、バルブ体30の内側の空間33に向かって流すと共に、冷却水の圧力損失の増加をより抑制することができる。
【0029】
上述した第1実施形態のバルブ装置1と比較するため、比較例のバルブ装置100について説明する。
図10に示すように、比較例のバルブ装置100では、ハウジング10の流体入口部24の内径D1が、バルブ体30の流入口38側の端部39の外径D2より大きく形成されている。この構成によると、図11の矢印WFに示すように、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水の一部は、バルブ外側空間36に向かって流れる。そのため、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水に混入している異物の一部は、バルブ外側空間36に侵入する。そのため、バルブ体30の外壁とシート部材51、52との間に異物が挟まり、その状態でバルブ体30が回転すると、バルブ体30の外壁とシート部材51、52が異物により傷つくおそれがある。したがって、比較例のバルブ装置100は、スリーブ41、42の内側の流路と、バルブ外側空間36との間で、冷却水の漏れが増加することが懸念される。
【0030】
このような比較例のバルブ装置100に対し、本実施形態のバルブ装置1は、次の作用効果を奏するものである。
(1)本実施形態では、ハウジング10の流体入口部24の内径D1は、バルブ体30の流入口38側の端部39の外径D2より小さい。これにより、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水は、バルブ体30の流入口38からバルブ体30の内側の空間33に向かって流れ、バルブ外側空間36に向かって流れることが抑制される。そのため、冷却水に混入している異物も、その冷却水と共にバルブ体30の流入口38からバルブ体30の内側の空間33へ流れるので、バルブ外側空間36に異物が侵入することが抑制される。そのため、バルブ体30の外壁とシート部材51、52との間に異物が挟まることが抑制されるので、バルブ体30の外壁とシート部材51、52が異物により傷つくことが防がれる。したがって、このバルブ装置1は、バルブ体30の外壁とシート部材51、52との間で、冷却水の漏れが増加することを防ぐことができる。
【0031】
(2)また、本実施形態では、ハウジング10の流体入口部24の内径D1は、バルブ体30の流入口38側の端部39の外径D2より小さく、且つ、バルブ体30の流入口38側の端部39の内径D3より大きい。これにより、ハウジング10の流体入口部24からバルブ体30の流入口38へ流れる冷却水の圧力損失が増加することを防ぐことができる。
【0032】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対してハウジング10の流体入口部24の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0033】
図4に示すように、第2実施形態では、ハウジング10の流体入口部24の内壁241は、バルブ体30の流入口38とは反対側から流入口38側に向かって内径が次第に小さくなるテーパ状に形成されている。この構成により、図5の矢印WFに示すように、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水は、バルブ体30の流入口38からバルブ体30の内側の空間33に向かって流れ、バルブ外側空間36に向かって流れることが抑制される。そのため、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水に混入している異物も、冷却水の流れと共にバルブ体30の流入口38からバルブ体30の内側の空間33へ流れるので、バルブ外側空間36に侵入することが抑制される。したがって、第2実施形態のバルブ装置1も、第1実施形態と同様に、バルブ体30の外壁とシート部材51、52との間に異物が挟まることが抑制されるので、冷却水の漏れの増加を防ぐことができる。
【0034】
また、第2実施形態では、ハウジング10の流体入口部24の内壁241をテーパ状に形成しているので、ハウジング10の流体入口部24からバルブ体30の内側の空間33へ流れる冷却水の圧力損失が増加することを防ぐことができる。
【0035】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対してハウジング10およびバルブ体30などの構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0036】
図6および図7に示すように、第3実施形態では、ハウジング10の流体入口部24は、ハウジング10のうち、バルブ体30の回転軸Axに垂直な方向に位置する部位に設けられている。冷却水回路を循環する冷却水は、その流体入口部24からハウジング10の内側に流入するようになっている。なお、ハウジング10のうち流体入口部24の外側の部位には、Oリング16が設けられている。
【0037】
ハウジング10は、シャフト31を支持する第1軸受18と第2軸受19を有している。シャフト31は、その第1軸受18と第2軸受19によりハウジング10の内側に回転可能に支持されている。
【0038】
バルブ体30は、シャフト固定部300、第1筒部310、第2筒部320、複数の第1連結部330、および複数の第2連結部340を有している。シャフト固定部300は、シャフト31の外壁に固定されている。第1筒部310と第2筒部320は、シャフト固定部300から径方向外側に離れた位置に設けられている。第1筒部310はシャフト31の軸方向の一方の側に設けられ、第2筒部320はシャフト31の軸方向の他方の側に設けられている。以下の説明では、2つの筒部のうち、図6の紙面右側のものを第1筒部310と呼び、紙面左側のものを第2筒部320と呼ぶこととする。第1筒部310と第2筒部320との間には、所定の空隙200が設けられている。その所定の空隙200は、ハウジング10の流体入口部24に対応する位置に設けられている。具体的には、第1筒部310と第2筒部320との間の所定の空隙200と、ハウジング10の流体入口部24とは、バルブ体30の回転軸Axに対して垂直な方向から視て少なくとも一部が重なるように設けられている。
【0039】
第1筒部310の外壁には、球状面311が形成されている。その球状面311の一部に冷却水が流出する第1流出口373が設けられている。
図6および図7に示すように、複数の第1連結部330は、第1筒部310のうち第2筒部320側の端部とシャフト固定部300との間で放射状に延びて、第1筒部310とシャフト固定部300とを連結している。その複数の第1連結部330同士の間に第1流入口381が形成されている。第1流入口381は、ハウジング10の内側の空間(具体的には、第1筒部310と第2筒部320との間の所定の空隙200)からバルブ体30の第1筒部310の内側の空間331に冷却水が流入する流入口である。
【0040】
一方、第2筒部320の外壁には、中心点の異なる2つの球状面321、322が形成されている。第2筒部320の外壁に形成された2つの球状面321、322のうち、一方の球状面321に第2流出口374が設けられ、他方の球状面322に第3流出口375が設けられている。
【0041】
複数の第2連結部340は、第2筒部320のうち第1筒部310側の端部とシャフト固定部300との間で放射状に延びて、第2筒部320とシャフト固定部300とを連結している。その複数の第2連結部340同士の間に第2流入口382が形成されている。第2流入口382は、ハウジング10の内側の空間(具体的には、第1筒部310と第2筒部320との間の所定の空隙200)からバルブ体30の第2筒部320の内側の空間332に冷却水が流入する流入口である。このように、第3実施形態では、バルブ体30の第1流入口381と第2流入口382はいずれも、バルブ体30のうち回転軸Ax方向に位置する部位に設けられている。
【0042】
ハウジング10は、バルブ体30の第1〜第3流出口373、374、375に対応する位置にそれぞれ第1〜第3流体出口部153、154、155を有している。具体的には、ハウジング10が有する第1〜第3流体出口部153、154、155は、バルブ体30の第1〜第3流出口373、374、375に対してバルブ体30の回転軸Axに直交する方向に設けられている。ハウジング10が有する第1〜第3流体出口部153、154、155には、出口パイプ構成部材60が取り付けられている。出口パイプ構成部材60は、ハウジング10が有する第1〜第3流体出口部153、154、155にそれぞれ連通する第1〜第3流体出口穴61、62、63を有している。
また、ハウジング本体11が有する第1〜第3流体出口部153、154、155には、それぞれ、スリーブ43、44、45、シート部材53、54、55などが設けられている。スリーブ43、44、45は、出口パイプ構成部材60が有する流体出口穴61、62、63の内壁により摺動可能に支持されている。
【0043】
本実施形態のバルブ装置1は、ハウジング10の流体入口部24に対してバルブ体30の回転軸Axを挟んで反対側の位置に凸部70を備えている。凸部70は、ハウジング10の内壁からバルブ体30の外周よりもバルブ体30の回転軸Ax側に突出している。凸部70は、第1筒部310の第1流入口381と第2筒部320の第2流入口382との間(すなわち、第1筒部310と第2筒部320との間の所定の空隙200)に設けられている。図7に示すように、凸部70のうちバルブ体30の回転軸Ax側に位置する面71において回転軸Axに直交する方向の幅W1は、ハウジング10の流体入口部24の内径D1より大きく形成されている。この凸部70は、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側(具体的には、第1筒部310と第2筒部320との間の所定の空隙200)に流入した冷却水が、バルブ外側空間36に直接流れることを抑制する機能を有している。
【0044】
具体的には、図6の矢印WFに示すように、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側(具体的には、第1筒部310と第2筒部320との間の所定の空隙200)に流入する冷却水は、凸部70に衝突することにより、その進行方向が変えられる。そして、凸部70に衝突した冷却水は、バルブ体30の第1流入口381から第1筒部310の内側の空間331に流入し、または、バルブ体30の第2流入口382から第2筒部320の内側の空間332に流入する。そのため、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水は、凸部70に衝突することにより、バルブ外側空間36に直接流れることが抑制される。そのため、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入する冷却水に混入している異物も、バルブ外側空間36に侵入することが抑制される。したがって、第3実施形態のバルブ装置1においても、バルブ体30の外壁とシート部材53〜55との間に異物が挟まることが抑制されるので、冷却水の漏れの増加を防ぐことができる。
【0045】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第3実施形態に対して凸部70の構成の一部を変更したものであり、その他については第3実施形態と同様であるため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
図8および図9に示すように、第4実施形態のバルブ装置1も、ハウジング10の流体入口部24に対してバルブ体30の回転軸Axを挟んで反対側の位置に凸部70を備えている。この凸部70は、出口パイプ構成部材60と一体に設けられている。ハウジング10には、凸部70を挿通する孔17が設けられている。そのため、出口パイプ構成部材60に設けられた凸部70は、ハウジング10に設けられた孔17を挿通し、ハウジング10の内壁からバルブ体30の外周よりもバルブ体30の回転軸Ax側に突出している。第4実施形態の凸部70も、第3実施形態と同様に、ハウジング10の流体入口部24からハウジング10の内側に流入した冷却水が、バルブ外側空間36に直接流れることを抑制する機能を有している。そのため、第4実施形態も、第3実施形態と同様に、バルブ体30の外壁とシート部材53〜55との間に異物が挟まることが抑制されるので、冷却水の漏れの増加を防ぐことができる。
【0047】
さらに、第4実施形態では、ハウジング10の内壁に凸部70を設けていないので、ハウジング10を樹脂射出成形により形成する際、その射出成型用の金型からハウジング10の型抜きを容易に行うことができる。
【0048】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0049】
(1)上記各実施形態では、バルブ装置1は、エンジンの冷却水回路に用いられるものについて説明したが、これに限るものではない。バルブ装置1は、オイルまたは冷媒などの流体が流れる種々の回路に用いることが可能である。
【0050】
(2)上記各実施形態では、バルブ装置1は、流体としての冷却水の流量調整および流路切替の両方の機能を有するものについて説明したが、これに限るものではない。バルブ装置1は、流体の流量調整、および、流路切替の少なくとも一方の機能を有するものであればよい。
【0051】
(3)上記実施形態では、バルブ装置1は、ハウジング10が複数の流体出口部151〜155を有し、バルブ体30も複数の流出口371〜375を有するものについて説明したが、これに限るものではない。バルブ装置1は、ハウジング10が1つの流体出口部を有し、バルブ体30も1つの流出口を有するものであってもよい。
【0052】
(4)上記第1、第2実施形態では、バルブ体30の流入口38側の端部39を、バルブ体30の回転軸Axに対して垂直な平面としたが、これに限るものではない。バルブ体30の流入口38側の端部39は、ハウジング10の流体入口部24側からバルブ体30の底部34側に向かって内径が次第に小さくなるテーパ状としてもよい。この構成によっても、ハウジング10の流体入口部24から流入する流体は、バルブ体30の内側の空間33に向かって流れ、バルブ外側空間36に向かって流れることが抑制される。
【0053】
(5)上記第3、第4実施形態では、凸部70をハウジング10の内壁の周方向の一部に設けたが、これに限るものではない。凸部70は、ハウジング10の内壁のうち流体入口部24を除く略全周に設けてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 バルブ装置
10 ハウジング
24 流体入口部
30 バルブ体
36 バルブ外側空間
38、381、382 流入口
41〜45 スリーブ
51〜55 シート部材
151〜155 流体出口部
371〜375 流出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11