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特開2020-204432冷媒漏洩検知装置、冷媒漏洩検知システム及び冷媒漏洩検知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-204432(P2020-204432A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】冷媒漏洩検知装置、冷媒漏洩検知システム及び冷媒漏洩検知方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20201127BHJP
【FI】
   F25B49/02 520M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-112467(P2019-112467)
(22)【出願日】2019年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】神谷 佑
(72)【発明者】
【氏名】野村 亜加音
(72)【発明者】
【氏名】和田 昇
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 勝也
(57)【要約】
【課題】冷媒の漏洩に伴う静電容量の変化は微小であり、環境ノイズに起因する静電容量の変化のために誤検知することがある。
【解決手段】冷媒管と、その外表面を覆う断熱材の外周を覆う電極と、電極と冷媒管に接続された静電容量計と静電容量計に接続され、静電容量の測定結果に基づき冷媒の漏洩を検知する処理部を有する冷媒漏洩検知装置において、電極を覆いかつ電極5は絶縁された導電体であるシールドとシールドを支持するスペーサを備え、環境ノイズの影響を抑制した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる金属製の冷媒管からの冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知装置であって、
前記冷媒管の外表面を覆う断熱材の外周に設けられ、前記冷媒管との間の静電容量を検出する電極と、
前記電極と絶縁され、前記電極の外周に設けられた導電体からなるシールドとを有する検出部を備えた冷媒漏洩検知装置。
【請求項2】
前記シールドは、絶縁体からなる一つもしくは複数のスペーサで支持され、前記電極から絶縁されている請求項1に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項3】
前記電極と前記シールドの間に空隙を有する請求項2に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項4】
前記電極は前記断熱材の外周を覆う環状の導電体である請求項1から3のいずれか1項に記載の冷媒検知装置。
【請求項5】
前記シールドは前記冷媒管を取り巻き、前記電極を覆う管状の導電体である請求項1から4のいずれか1項に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項6】
前記電極及び前記冷媒管に接続されて、前記電極と前記冷媒管との間の静電容量を測定する静電容量計を前記シールドの外側に配置した請求項1から5のいずれか1項に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項7】
前記冷媒管の電位を基準とし、前記電極に電気信号を印加し、前記電極と前記冷媒管との間の静電容量を測定する請求項6に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項8】
前記電極は前記冷媒管の外表面を覆う断熱材の外周を分割するように離間して複数設けられ、複数の前記電極に接続されて前記電極の間の静電容量を測定する静電容量計を前記シールドの外側に配置した請求項1から5のいずれか1項に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項9】
管状の絶縁体の内表面および外表面のそれぞれに導電体層の設けられた管状の絶縁体を、前記冷媒管の外表面を覆う前記断熱材の外周に設け、前記絶縁体の内表面の導電体層を前記電極とし、前記絶縁体の外表面の導電体層を前記シールドとする請求項2に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項10】
前記電極は前記冷媒管の冷媒の流れる方向に沿って電気的に離間して複数配設され、複数の前記電極に対応して静電容量を測定する請求項6または7に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項11】
複数の前記電極それぞれに静電容量計が接続されている請求項10に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項12】
前記静電容量計で計測された静電容量を基に、冷媒漏洩の有無を判断する処理部を備えた請求項11に記載の冷媒漏洩検知装置。
【請求項13】
請求項12に記載の冷媒漏洩検知装置を前記冷媒管に複数配設し、複数の前記冷媒漏洩検知装置の具備するそれぞれの前記処理部に接続された監視装置により、複数の前記冷媒漏洩検知装置の配設された箇所における冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知システム。
【請求項14】
冷媒管を流れる冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知方法において、
前記冷媒管の外表面を覆う断熱材の外周に電極を配置する第1ステップと、
前記電極の外周に前記電極と絶縁して導電体のシールドを配置する第2ステップと、
前記電極に電気信号を印加し、前記電極からの応答により冷媒の漏洩を検知する第3ステップと、を備えた冷媒漏洩検知方法。
【請求項15】
前記第2ステップの前に、前記電極の外周に絶縁体からなるスペーサを配置するステップを備え、
前記第3ステップにおいて、前記スペーサの外周に前記導電体のシールドを配置する請求項14に記載の冷媒漏洩検知方法。
【請求項16】
前記第1ステップにおいて、前記冷媒管の複数個所に前記電極をそれぞれ配置し、
前記第3ステップにおいて、複数個所に配置された前記電極からの応答をモニタリングする請求項14または15に記載の冷媒漏洩検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、冷媒漏洩検知装置、冷媒漏洩検知システム及び冷媒漏洩検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化を進行させるフロン等の冷媒の大気への漏洩を抑制する動きがある。
冷媒の大気への漏洩は、冷凍機および空調機等に封入されている冷媒が、回収されないまま廃棄されることで大気中に漏洩する場合と、冷凍機、空調機等の使用中に機器の配管等から漏洩する場合とがある。
【0003】
大気中へと漏洩する冷媒量のうち、機器の使用中に大気中に漏洩する冷媒量は多く、これを抑制するため、機器の使用中において冷媒の漏洩を、簡易かつ精度よく検知する技術が必要とされている。また、配管等から冷媒が漏洩してしまった場合には、冷媒の漏洩を止めるため、漏洩箇所を修理する必要がある。したがって冷媒の漏洩を検知すると同時に冷媒の漏洩箇所も特定できる技術が必要とされている。
【0004】
配管からの冷媒の漏洩を検知する手段として、冷媒管とその外表面を覆う断熱材の外周とに電極を取り付け、電極間の静電容量を測定し、静電容量の増加に基づき冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知装置が知られている(例えば、特許文献1)。
また、冷媒配管の繋手近傍にセンサを配置し、センサの具備する二つの電極の間に冷媒の漏洩に伴う流体を捉えて、二つの電極間の静電容量の変化あるいはインピーダンスの変化から冷媒の漏洩を検知する技術が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−173259号公報
【特許文献2】特開2009−198154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら先行技術においては冷媒の漏洩に伴う静電容量等の電気特性の変化を捉えて冷媒の漏洩を検知している。しかし、例えば、冷媒漏洩検知装置周辺に配置されている物体の移動および配置換え、あるいは室外機のコンプレッサの動作に伴う冷媒管の振動などにより、静電容量等の電気特性は影響を受ける。さらに、冷媒回路の設置されている周辺の環境ノイズの影響、すなわち周辺の電気機器から放射される電磁波に由来する電磁ノイズにも影響され、瞬時的に値が変動する。冷媒漏洩に伴う静電容量の変化は微小であるため、環境ノイズ及び電磁ノイズが静電容量の変化に影響を及ぼさないようにする技術が期待されている。
【0007】
特許文献2においては、静電容量の変化を検出後、チョッピング回路及びノイズ除去回路を用いているが、静電容量の変化を示す小さな信号が上述のノイズに埋もれてしまい、ノイズが十分除去できない虞がある。
【0008】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、ノイズの影響を低減して冷媒漏洩の誤検知を抑制可能で、冷媒漏洩箇所を特定することのできる冷媒漏洩検知装置、冷媒漏洩検知システムおよび冷媒漏洩検知方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示される冷媒漏洩検知装置は、冷媒が流れる金属製の冷媒管からの冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知装置であって、前記冷媒管の外表面を覆う断熱材の外周に設けられ、前記断熱材の静電容量を検出する電極と、前記電極と絶縁され、前記電極の外周に設けられた導電体からなるシールドとを有する検出部を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示によれば、シールドによって環境ノイズおよび電磁ノイズを抑制することができ、冷媒の漏洩の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置の構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置の検知部を示す外観斜視図である。
図3】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置の検出部の電極を示す外観図である。
図4】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置の検出部の断面を示す模式図である。
図5】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置を構成する静電容量計の回路構成図である。
図6】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置を構成する別の検出部の断面を示す模式図である。
図7】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置の別の構成を示す図である。
図8】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置を構成するさらに別の検出部を示す外観斜視図である。
図9図8の検出部を設置した冷媒漏洩検知装置の構成を示す図である。
図10】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置を構成する静電容量計の別の回路構成図である。
図11】実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置を構成する静電容量計のさらに別の回路構成図である。
図12】実施の形態2に係る冷媒漏洩検知装置の構成を示す図である。
図13】実施の形態2に係る冷媒漏洩検知装置の検出部の断面を示す模式図である。
図14】実施の形態3に係る冷媒漏洩検知装置の構成を示す図である。
図15】実施の形態5に係る冷媒漏洩検知装置の構成を示す図である。
図16】実施の形態5に係る冷媒漏洩検知システムの構成を示す模式図である。
図17】本実施の形態1から5に係る冷媒漏洩検知装置の処理部のハードウエア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願で開示される冷媒漏洩検知装置、冷媒漏洩検知システムおよび冷媒漏洩検知方法の好適な実施の形態について図を参照して説明する。なお、各図中、同一符号は、同一または相当部分を示すものとする。なお、冷媒検知装置は静電容量に基づいて冷媒管からの冷媒の漏洩を検知する装置である。
【0013】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置について図を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置の構成を示す図である。図において、冷媒漏洩検知装置1は検出部2と静電容量計8および処理部9を備えている。検出部2は、冷媒の流れる配管(冷媒管3)の近傍にコンデンサを形成することで、冷媒の漏洩を静電容量の変化へと変換する装置部材である。検出部2は電極5、シールド6およびスペーサ7を具備し、冷媒の流れる金属製の冷媒管3及び冷媒管3の外表面を覆う断熱材4の外周に取り付けられる。また、冷媒管3は配線10aを介して、電極5は配線10bを介して静電容量計8に接続される。この冷媒管3、配線10a、静電容量計8、配線10b及び電極5で形成される回路により、検出部2のもつ静電容量を静電容量計8によって測定できる。処理部9は静電容量計8が測定した静電容量の測定値もしくは静電容量に応じて変化する信号を読み込んで処理を行い、測定された検出部2の静電容量が予め定められた閾値を超えるか否かで、冷媒の漏洩の有無を判定する。なお、図中検出部2と冷媒管3周辺は冷媒の流れる方向(図中Y−Y方向)の縦断面を示している
【0014】
次に検出部2の構造について説明する。図2は、検出部2の外観斜視図、図3図2の検出部2のうちシールド6およびスペーサ7を除いた図で、冷媒管3に電極5が取り付けられた状態を示している。また、図4図1中X−X断面を示した検出部2の模式図である。
図において、電極5は、冷媒管3との間にコンデンサを形成し、冷媒の漏洩に伴う静電容量の変化の検出を可能とする。この電極5は、一枚の金属薄板、例えばアルミニウム薄板またはステンレス薄板または銅薄板など、が断熱材の外周表面を一周するようにして巻き付けられたものであり、本実施の形態では一つの電極が取付けられた状態を示している。
【0015】
シールド6は二分割された半管状の導電体、例えばアルミニウム薄板またはステンレス薄板あるいは銅薄板などが蝶番65でつなぎ合わされ、電極5を覆って取り付けられている。二つの導電体はそれぞれが導通している。図2では手前側の蝶番65のみ見えているが、反対側にも蝶番65で導体がつなぎ合わされた箇所がある。
【0016】
電極5とシールド6との間には絶縁体であるスペーサ7があり、電極5とシールド6とを絶縁するとともに、シールド6を保持している。スペーサ7は均一な厚さで電極5とシールド6との間の間隔を保っている。したがって、図4で示されるように冷媒管3と電極5およびシールド6は同軸円筒となっている。
【0017】
図1に戻るが、静電容量計8は、シールド6の外側に備えられ、前述したように配線10aおよび配線10bによって電極5および冷媒管3に接続されている。静電容量計8と冷媒管3をつなぐ配線10aは、シールド6とスペーサ7と電極5および断熱材4とを貫通している。配線10aは、シールド6および電極5とは絶縁されている。静電容量計8と電極5をつなぐ配線10bはシールド6とスペーサ7とを貫通している。また、配線10bはシールド6とは絶縁されている。
【0018】
処理部9は、静電容量計8と接続されており、常時もしくは一定時間ごとに静電容量計8から静電容量の値もしくは静電容量に応じて変化する信号を読み込み、その信号に基づいて冷媒の漏洩を検知する。
【0019】
次に、本実施の形態に係る冷媒漏洩検知装置が冷媒漏洩を検知する動作原理と、本実施の形態の構成によって実現される優れた効果について説明する。
金属製の冷媒管3は内部に冷媒と冷凍機油の混合流体を流している。冷媒管3の内部を流れる流体と外気温との温度差が大きいため、冷媒の温度変化を防ぐ目的で、多くの場合に冷媒管3を覆って断熱材4が取り付けられている。あらかじめ断熱材に覆われた断熱材付き冷媒管を用いることも多い。この冷媒管3を覆う断熱材4の外周に電極5が配置されると、導体である冷媒管3と電極5の間にコンデンサが形成される。冷媒管3と断熱材4の間にはわずかに空隙ができ、この空隙が一様な幅を持つものであると仮定すると、冷媒管3と電極5との間の静電容量Cは、式(1)で表される断熱材4の静電容量(Cins)、式(2)で表される冷媒管3と断熱材4との隙間の静電容量(Cgap)とを用いて式(3)で示すように表される。
【0020】
【数1】
【数2】
【数3】
ここでε0は真空の誘電率、εinsは絶縁体である断熱材の比誘電率、Lは電極の長手方向の幅、D1は冷媒管の外径、D2は電極帯の径、gは空隙の幅である。
【0021】
ここで、経年劣化等の要因で冷媒管3にピンホールまたは亀裂が生じ、冷媒の漏洩が発生すると、冷媒管3と電極5の間の空間に冷媒もしくは冷凍機油といった流体が流出する。この流体が冷媒管3と断熱材4の間の空隙にたまると、液体の冷媒及び冷凍機油の比誘電率が空気の誘電率よりも大きいため、冷媒管3と断熱材4との隙間の静電容量Cgapが増加し、それに伴い冷媒管3と電極5との間の静電容量Cが増加する。したがって静電容量計8によって測定される検出部2の静電容量の値を監視し、静電容量の値が予め設定された閾値を超えた場合、あるいは静電容量が変化したことを示す信号が得られた場合は、検出部2の設置された冷媒管3の部位において冷媒の漏洩が起きたと判断することができる。本実施の形態1では処理部9がその判定を行う。
【0022】
ここで、従来のシールド6が存在しない場合を検討すると、実際に測定される静電容量は電極5が冷媒管3以外の周辺環境、例えば壁面および床面あるいは隣り合う配管、付近を通過する動物等、との間に形成されるコンデンサの静電容量Cenvが加わるため、次の式(4)のように表される。
【0023】
【数4】
【0024】
ここでC’はシールド6がない場合に実測される静電容量、Cenvは周辺環境に由来する静電容量である。このCenvは変動がしやすく、測定される静電容量に環境ノイズとして影響する。さらに付近に電磁波を放射する物体がある場合には、放射される電磁波が、形成されるコンデンサにたまる電荷量を変化させるため、測定される静電容量の値が電磁ノイズの影響をも受けることとなる。これらのノイズは誤検知の原因となるほか、冷媒の漏洩の検知精度を悪化させる要因となる。
【0025】
本実施の形態のようにシールド6が存在すると、電極5がシールド6で覆われるため、電極5は冷媒管3以外ではシールド6とのみコンデンサを形成する。したがって静電容量は式(5)のように表される。
【0026】
【数5】
【0027】
ここでC’’はシールド6が存在する場合に測定される静電容量、Ce-sは電極5とシールド6との間の静電容量である。
【0028】
Ce-sはほぼ一定値であり変動が小さく、電極5を環境ノイズ源から電気的に遮断するため、静電容量への環境ノイズの影響を除去できる。さらにシールド6があることによって、電磁波がシールド6の内側に影響を及ぼさなくなるため、電磁ノイズも遮断される。したがって、冷媒の漏洩を除いてC’’の変化させる要因を大きく減らすことができ、冷媒の漏洩に伴う静電容量の変化のみを検出しやすくなる。これにより誤検知を減らし、冷媒の漏洩の検知精度を向上させることができる。
【0029】
次に静電容量計8による静電容量の測定の手法と処理部9の動作について、詳細に説明する。
静電容量を測定する場合には、一般的に静電容量を測定したい対象に対して、電気信号を印加し、電圧または電流の応答から静電容量を測定する。前述したように、冷媒の漏洩によって冷媒管3と電極5間の静電容量が増加することから、電極5に電気信号を印加し、その応答から静電容量を測定する。この場合、冷媒管3の電位が、静電容量を測定するにあたっての基準の電位となる。
【0030】
図5は静電容量計8の回路構成図である。本回路は自動平衡ブリッジ回路でありLCRメータとして用いられる回路である。回路は被測定対象のコンデンサ101(すなわち検出部2である)と電源102、抵抗103、オペアンプ104及び2つの電圧計105a、105bを備える。電源102から測定用の交流の電圧信号を印加すると、コンデンサ101を通じて、コンデンサ101と抵抗103間の点Pに向かって電流が流れる。一方、オペアンプ104の出力から抵抗103を介した負帰還のループを作っていることから、点Pの電位がゼロとなる。これにより電圧計105aでは電源102の出力する電圧信号を測定できる。さらに、オペアンプ104は高インピーダンスであるため、オペアンプ104に向かって流れる電流はほぼゼロとなる。そのため、電源102からコンデンサ101を通じて点Pに流れた電流は、そのまま抵抗103通じて流れる。したがって、電圧計105bでは電流と抵抗値の積が電圧として測定できる。これらの2つの電圧信号から、コンデンサの静電容量を得ることができる。
【0031】
処理部9は、静電容量計8によって得られた静電容量の値を常時もしくは一定時間ごとに取得する。この時静電容量の値をデジタル値として取得することが好ましい。また、処理部9はメモリを備えており、静電容量の値を記録しておくことができる。例えば、取得した静電容量の値が、冷媒が漏洩していないときの値から閾値を超えて増加していれば、冷媒が漏洩したものと判定して、漏洩を検知する。もしくは、一定期間の静電容量の値を記録しておき、一定時間以内の静電容量の変化が閾値よりも大きなものであった場合に冷媒が漏洩したものと判定して、漏洩を検知する。
【0032】
一般に冷媒の漏洩箇所を特定するためには、冷媒管に取り付けられた断熱材を広域にわたって破壊または撤去し、漏洩箇所を特定し、補修してから、再度断熱材を取り付ける。しかし、本実施の形態1にかかる冷媒漏洩検知装置では、電極5は断熱材4の外周表面に配置されているため、電極5の配置に関して断熱材4を破壊する必要がない。さらに前述した原理のように電極5の直下での冷媒の漏洩を検知できるため、補修のために破壊する断熱材は最低限ですむ。配線10aを冷媒管3に接続するために断熱材4の一部を一時的に破壊する必要があるが、これも配線の取り付けに必要な部分に限定される。すなわち、本実施の形態1にかかる冷媒漏洩検知装置では、冷媒の漏洩箇所の特定および補修に要する断熱材の破壊を大幅に減らすことができ、作業時間を大きく短縮できる。
【0033】
本実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置において、電極5は断熱材4の外周表面を一周していると記載しているが、一周していなくても構わない。冷媒が漏洩した際に、液体の冷媒及び冷凍機油の混合流体が電極5と冷媒管3の間の空間に侵入するような配置になっていれば、断熱材4の一部表面上に配置するだけでも良い。この場合、狭所にあるなど、電極の取り付けが難しい冷媒管に対しても、比較的容易に電極を設置し、冷媒の漏洩を検知することができる。一周させた場合、より確実に冷媒の漏洩を検知することができる。
【0034】
また、電極5の長手方向の幅Lは3cm以上15cm以下であることが望ましい。前述したように、冷媒の漏洩に伴う静電容量の変化は、冷媒管から流出した流体が、冷媒管3と電極5の間に侵入することによって発生する。つまり、原理的に電極を取り付けた部分しか、冷媒の漏洩を検知できない。したがって、電極幅が小さいと冷媒の漏洩を検知できる範囲が狭くなり、検知できない箇所ができてしまう虞がある。一方で、幅が長すぎると漏洩箇所の特定が難しくなる。
【0035】
また、電極5は可能な限り断熱材4の表面上に沿って、隙間なく巻き付けるように配置することが好ましい。隙間がある場合、電極5が動きやすくなり、静電容量の測定値を変動させるノイズの要因になり、誤検知を引き起こしやすくなる。
【0036】
電極5はシールド6に覆われて、外部からは目視できない状態であることが好ましい。そのため、シールド6は、取り付けた状態で、その内径が電極5及び冷媒管3の外径よりも十分大きく、長手方向の長さも電極5よりも長いことが好ましい。これにより、環境ノイズ及び電磁ノイズの影響を大きく減らすことができ、冷媒の漏洩検知の精度を向上することができる。シールド6に覆われていない電極部分では環境ノイズおよび電磁ノイズの影響を遮断できないためである。
【0037】
さらに、電極5およびシールド6は導電体であればその材質は問わない。アルミニウムを用いた場合には軽量かつ安価で加工性に優れる。ステンレスを用いればより耐食性に優れる。銅であれば導電性に優れるため、静電容量の変化を正確に検知しやすくなる。
【0038】
また、電極5は一枚の金属薄板として示したが、冷媒管3並びに断熱材4近傍に配置できるものであれば、その形状及び取り付けの方法は問わない。例えば、断熱材4上に導電性のペーストを直接塗布して硬化させたものであっても構わない、この場合、冷媒管3及び断熱材4の寸法の影響を受けず、金属薄板の電極5をより容易に備え付けることができる。また、絶縁体上に貼り付けまたは蒸着あるいは塗布された導電体層を有するものであっても構わない。例えば薄い絶縁体フィルム上に金属箔を張り付けたものであれば、金属薄板よりも柔らかく取り付け性に優れることが期待できる。さらに絶縁体フィルムが金属箔を保護する効果を期待でき、より長期間劣化しない電極を実現できる。
【0039】
シールド6は二分割された半管状の導電体である例を示したが、電極5を覆って取り付けることができるならば、分割されていなくて構わない。例えば一枚の金属板を曲げる等してもよい。その場合、部品点数を減らすことができる。また、それぞれの部品が導通しているのならば、分割数を増やしていても構わない。例えば、分割数を増やし、それぞれ部品を小さくすれば、部品数を冷媒管3及び断熱材4の外径に合わせて変更することで、多くの配管に対して共通の部品で適切にシールド6を取り付けることが可能となり、共通化によるコスト削減が期待できる。
【0040】
また、シールド6は導電体であり、かつ電極5を覆って取り付けることができるのであれば、その材質、形状、取り付け方法は問わない。前述した電極5の場合と同様に、例えば導電体ペーストをスペーサ外表面に塗布し、硬化させたものであっても構わない。また、絶縁体上に貼り付けまたは蒸着あるいは塗布された導電体層を有するものであっても構わない。
なお、シールド6は接地電位にされていることが望ましい。これにより、より確実にノイズを遮断し、検知精度を向上することができる。
【0041】
スペーサ7は絶縁体であるならばその材料は特に問わないが、発泡材料であることが好ましい。またその場合は発泡率の高いものの方がより好ましい。発泡材料は、絶縁材料中に気泡を含んでいる。一般に絶縁体の誘電率は空気の誘電率よりも高いため、発泡していない場合と比して誘電率が低くなる。そのため、電極5とシールド6間の静電容量が小さくなり、静電容量計8をより小さい測定レンジで動作させやすくなる。静電容量計8は測定レンジが小さいほうが、細かい分解能(高分解能)で動作できるため、冷媒漏洩の検知精度を向上できる。発泡率高ければ、よりスペーサの誘電率が小さくなるため、大きな効果が期待できる。また、発泡率が高い場合は材料を加工しやすくなるという利点もある。
【0042】
上述では、配線10bはシールド6とスペーサ7を貫通しているが、シールド6と絶縁され、電極5と静電容量計8とを接続することができれば、必ずしもシールド6とスペーサ7を貫通する必要はない。シールド6およびスペーサ7を貫通する場合には多くの場合で最短の配線長で静電容量計8と電極5を接続でき、測定される静電容量に配線が与える影響を最低限とし、冷媒漏洩の検知精度を高く維持することができる。配線10aにおいてもシールド6、スペーサ7、電極5および断熱材4を貫通することで同様の効果を得ることができる。
【0043】
静電容量計8で静電容量を測定する時に、電極5に電気信号を印加し冷媒管3の電位を基準とする例で説明したが、これを逆とし、冷媒管3に電気信号を印加し、電極5の電位を基準とすることは好ましくない。電極5に電気信号を印加することで、電極5のある部分の冷媒の漏洩に伴う静電容量の変化を確実に検知することができる。そのため、例えば、本実施の形態1における冷媒漏洩検知装置を複数同一の冷媒管の異なる位置に配置した場合、上述のように電極5に電気信号を印加していれば、冷媒の漏洩を検知した冷媒漏洩検知装置の配置箇所で冷媒が漏洩していることを特定することができる。しかし、冷媒管に電位を印加すると、冷媒管は複数の冷媒漏洩検知装置に対して一本であるため、冷媒の漏洩を検知することは可能であっても漏洩箇所を特定することができなくなってしまうからである。
【0044】
上述では、処理部9は静電容量計8とは別体として独立に示しているが、静電容量計8と処理部9は同一の回路基板上に備えられていても構わない。それにより、よりコンパクトに装置を構成することができる。
【0045】
図6は、実施の形態1に係る冷媒漏検知装置の別の検出部を示す断面図である。
図6における冷媒漏洩検知装置の検出部は、図2から図4の冷媒漏洩検知装置の検出部と比してスペーサ7の構造が異なり、スペーサ7が電極5とシールド6との間の空間を埋め尽くしておらず、電極5の円周方向に電極5とシールド6間とを保持するスペーサ7と空隙11とが交互に並んでいる。空隙部は絶縁体の材料である絶縁体よりも誘電率が小さくなることから、空隙11を設けることによって電極5とシールド6と間の静電容量を小さくでき、静電容量計8をより小さい測定レンジで動作させやすくなる。静電容量計は測定レンジが小さいほうが、高分解能で動作できるため、空隙11を作ることで検知精度を向上できる。検出部2においてスペーサ7以外は上述の図2から図4の検出部と同様であり、図1において図6で示される検出部2を代わりに配設することができる。
【0046】
図6中では6個の空隙が設けられているが、空隙11の数及び形状は問わない。電極5とシールド6間を絶縁し、シールド6を保持して維持していればよい。例えば、ドーナツ形状のスペーサ7を長手方向に空隙を挟んで複数配置しても構わない。図7は、図1の検出部2としてドーナツ状のスペーサ7を備えた検出部を配設した冷媒漏検知装置の例を示す。このような構造であれば、電極とシールドとの間の静電容量をより減らすことができ。検知精度の向上を図れる。また、スペーサ7間の空隙に配線10a、10bを配置することができ、配線の引き回しが容易になる。
【0047】
図8は、実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置のさらに別の検出部の外観を示す斜視図である。また、図9図8に示した検出部を図1冷媒漏洩検知装置に設置した例を示す図である。
図8および図9に示される冷媒漏洩検知装置の検出部21は、電極とシールドとスペーサとが一体となった構成となっている。すなわち、絶縁体管71の内表面に導電体層51、外表面に導電体層61を設けている。導電体層51は上述の検出部における電極5に、導電体層61はシールド6に相当する。絶縁体管71で一体化されたスペーサ体70が冷媒管3および断熱材4と同軸円筒となるように配置されている。上述の検出部2と比して、シールドに相当する導電体層61はスペーサに相当する絶縁体管71よりも短く形成され、電極に相当する導電体層51も絶縁体管71及び導電体層61よりも短く形成されている。
【0048】
このように、本構造では電極とシールドとスペーサとを一体で構成することで、検出部21の部品点数が削減され、検出部21の取り付けに必要な工数も大きく削減でき、コストの低減が期待できる。さらに、電極に相当する導電体層51の長手方向の長さを導電体層61よりも短くすることで、上述の検出部2と同様に、電極がシールドに覆われる構造を実現している。従って、この検出部21も検出部2と同様にノイズを遮蔽する効果を有することは言うまでもない。
【0049】
図9において、静電容量計8と冷媒管3を接続する配線10aは、断熱材4を貫通し、スペーサ7の外側を通って静電容量計8へと接続される。また、静電容量計8と電極である導電体層51を接続する配線10bは、導電体層51からスペーサ体70の内表面に沿ってスペーサ体70の端に達してから、スペーサ体70の外側を通って静電容量計8へと接続される。電極とシールドとスペーサとが一体となっている検出部21においては、検出部の各部材を貫通させて、配線するよりも取り回しに優れる。
【0050】
図10は、実施の形態1に係る冷媒漏洩検知装置の別の静電容量計の回路構成図である。図10の静電容量計ではブリッジ回路となっている。回路は被測定対象のコンデンサ101(すなわち検出部である)と電源102、2つのコンデンサ106a、106b、可変コンデンサ106cおよび電流計107を備える。被測定対象のコンデンサ101および2つのコンデンサ106a,106bおよび可変コンデンサ106cでブリッジを構成し、電流計107に流れる電流がゼロになるようにコンデンサ106a、106bを選定するとともに可変コンデンサ106cの値を調整する。これらのコンデンサ106a、106b、106cの値からコンデンサ101の値を求めることができる。一定時間ごとに、電流計107に流れる電流がゼロになるように可変コンデンサ106cの値を変化させ、静電容量を求める。求められた静電容量が閾値よりも大きくなる、もしくは静電容量の値の変化が閾値を超えた場合に処理部9が冷媒漏洩を検知する。
【0051】
ブリッジ回路を用いる場合、手動で可変コンデンサ106cを調整し、検出部の静電容量を測定する必要があるものの、上述の図5で説明した回路よりも簡単な回路で精度よく静電容量を測定することができ、より正確な検知が可能となる。
【0052】
また可変コンデンサ106cを手動で調整せずとも、最初の調整の後に冷媒が漏洩し、検出部の静電容量が変化すると、ブリッジ回路における四つのコンデンサの平衡が崩れるため、電流計107に電流が流れる。この電流が閾値を超えた場合に、処理部が冷媒漏洩を検知するものとしても構わない。この場合は、電流計107に流れる電流が静電容量の変化を示す信号となる。作業内容を減らし、効率的に冷媒の漏洩を検知できる。
【0053】
図11は本実施の形態1におけるさらに別の静電容量計の回路構成図である。図11の静電容量計はマイクロコントローラ111を用いた回路である。マイクロコントローラ111において、定電流源である電源102と2つのスイッチ108a、108bによる充放電回路109を形成し、2つのスイッチの接点を被測定対象のコンデンサ101(すなわち検出部である)にピンを介して接続する。充放電回路109はスイッチ108aとスイッチ108bを常に一方をオンとし、一方をオフとするように制御されている。スイッチ108aがオンでスイッチ108bがオフとなっている場合は、電源102からの電流によりコンデンサ101が充電され、コンデンサ101の電圧が増加する。スイッチ108aがオフでスイッチ108bがオンとなっている場合は、コンデンサ101に蓄積された電荷が接地に向けて放電され、コンデンサ101の電圧が低下する。以上の状態を交互に繰り返し、コンデンサ101の電圧を一定範囲内に維持するように制御する。
【0054】
ここでスイッチ108aもしくはスイッチ108bが一定時間の間にオンになった回数を、カウンター回路110によってカウントすると、カウント数はコンデンサ101の静電容量に応じて変化する。したがってカウント数をデジタル信号であるカウント信号として出力すれば、処理部9においてカウント信号から静電容量の変化を読み取り、冷媒の漏洩を判断して検知することができる。
【0055】
図11の静電容量計8はマイクロコントローラ111によって実装されている。これらの機能は一つのマイコンを用いて実現することが可能であり、さらにマイクロコントローラは廉価に入手でき、かつ小さい部品であるため、静電容量計をコンパクトに構成できると同時にコストを低減することができる。
【0056】
なお、カウンター回路110はスイッチのオンになった回数をカウントすると説明したが、コンデンサ101の静電容量に応じてカウント回数が変動するものであるならば、他の物理量に関わる数をカウントしても構わない。例えば、コンデンサ101の電圧(すなわち2つのスイッチがつながる中間点の電圧)において、充放電回路109による電圧の変動幅の中間近傍を閾値として、一定時間内に電圧が閾値を超えた回数をカウントしてもよい。
【0057】
また、カウンター回路110からカウント信号を処理部に出力する旨を記載したが、マイクロコントローラ111内でカウント信号を静電容量の値に変換してから処理部に出力し、静電容量値に基づいて、処理部が冷媒漏洩を検知しても構わない。これにより、静電容量の値と冷媒の漏洩の関係を直接的に紐づけられる。
さらに、処理部も静電容量計を構成するマイクロコントローラを用いて同時に実装してもよい。これにより回路全体をコンパクトに構成できる。
【0058】
以上のように、本実施の形態1によれば、冷媒管3とその外表面を覆う断熱材4の外周に設けられた電極5との間の静電容量を測定し、静電容量の増加に基づき冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩検知装置1であって、電極5を電極5と絶縁されたシールド6で覆うようにしたので、環境ノイズおよび電磁ノイズによる静電容量の変動を、シールド6によって抑制することができる。これにより冷媒の漏洩にともなう静電容量の変化を正確に検知することが可能となり、誤検知を抑制して、冷媒の漏洩の検知精度を向上させることができる。
【0059】
また、検出部2を簡易な構成としたので、冷媒管の設置時にあるいは既設の冷媒管に対しても、電極を冷媒管の外周の断熱材を覆うように配置した後、その電極の外周を覆うように電極と絶縁して導電体のシールドを配置して検知部を取りけることができるので、容易に冷媒漏洩検知装置を配設できるとともに、精度の高い冷媒の漏洩検知を行うことが可能となる。図8及び図9で示された一体化された検出部であれば、さらに取り付けが容易である。
【0060】
実施の形態2.
以下に、実施の形態2に係る冷媒漏洩検知装置について図を用いて説明する。
図12は、実施の形態2に係る冷媒漏洩検知装置1の構成を示す図で、検出部2と冷媒管3の周辺は冷媒の流れる方向の縦断面を示している。図13図12中Z−Z断面を示した検出部2の模式図である。本実施の形態2における冷媒漏洩検知装置1は、実施の形態1と比して検出部2を構成する電極5の構造および配置が異なる。さらに、静電容量計8の接続方法が異なる。それ以外は実施の形態1と同様である。
【0061】
図12及び図13において、検出部2を構成する電極は半管状の導電体からなる電極5a及び電極5bで構成され、冷媒管3及び冷媒管3の外周を覆う断熱材4の外周に、冷媒管3と断熱材4を挟むようにして、互いに対となってかつ絶縁されて配置される。さらに電極5aは配線10aを介して、電極5bは配線10bを介してそれぞれ静電容量計8に接続される。なお、配線10a及び配線10bはそれぞれシールド6及びスペーサ7を貫通しているとともに、シールド6とは絶縁され、配線10aはスペーサ7内を下方向に迂回して貫通し、電極5aに接続されている。
【0062】
検出部2の静電容量は、静電容量計8によって、電極5aに電気信号を印加することで、電圧及び電流の応答から測定する。このとき電極5bの電位を基準の電位とする。すなわち、実施の形態1と異なり、電極と冷媒管間の静電容量ではなく、2つの電極間の静電容量を測定している。
【0063】
本実施の形態2では、2つの電極5a及び電極5bが、冷媒管3を挟んで、2つの電極5a、5b間でコンデンサを形成する。ここで冷媒管3から冷媒が漏洩すると、実施の形態1と同様に冷媒管3から流出した流体が冷媒管3と断熱材4の間の空隙にたまる。流体の比誘電率が空気よりも大きいことから、2つの電極5a、5b間の静電容量が増加する。従って、静電容量計8によって測定される検出部2の静電容量の値を監視し、静電容量の値が閾値を超えた場合、あるいは静電容量が変化したことを示す信号が得られた場合は、冷媒の漏洩が起きたと判断することができる。本実施の形態1と同様に本実施の形態2においても、その判定を処理部9が行う。本実施の形態において、2つの電極間の静電容量を測定しているが、上述のとおり、2つの電極間には冷媒管3と断熱材4が配置されており、冷媒管3と断熱材4の間の空隙に、冷媒管3から流出した流体がたまるので、電極と冷媒管との間の静電容量も含めて測定していることになる。
【0064】
以上のように、本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。さらに、半管状の2つの電極5a、5bを配置し、静電容量計8と接続することで、実施の形態1と異なり、配線10aが断熱材4を貫通して冷媒管3と接続される必要がなくなる。すなわち、配線のために断熱材を破壊する必要がなくなるため、作業工数を減らすことができ、取り付けが容易になるという利点がある。
【0065】
なお、2つの電極5a、5bの形状を半管状である場合で説明したが、その形状および材質は特に制限しない。冷媒管3の近傍に配置可能で、冷媒の漏洩に伴う流体の流出による静電容量の変化を検出することができるならば、その配置方法も特に制限しない。
また、電極は2つの例で説明したが、その個数についても特に制限しない。2つ以上あってもよい。例えば、電極を3つとする場合は図13のような断面図において、互いに離間して約120度の円弧状の電極とし、うち1つの電極を基準側、2つをその基準側に対して電気信号が印加される電極とすればよい。電極を4つとする場合は、さらに円弧を分割し、例えば、約90度の円弧状の電極とし、うち2つの電極を基準側とすればよい。
【0066】
実施の形態3.
以下に、実施の形態3に係る冷媒漏洩検知装置について図を用いて説明する。
図14は、実施の形態3に係る冷媒漏洩検知装置1の構成を示す図で、検出部2と冷媒管3の周辺は冷媒の流れる方向の縦断面を示している。本実施の形態3における冷媒漏洩検知装置1は、実施の形態1と比して検出部2を構成する電極が複数(図中では3つ)備えられている点が異なる。電極5c、5d、5eが増えることで、各電極5c、5d、5eを静電容量計8に接続するための配線10c、10d、10eも増加している。さらに電極5c、5d、5e及び配線10c、10d、10eが複数になったことで、静電容量計8と電極5c、5d、5eとの間に切り替えスイッチ12が追加されている。そのほかの構成は実施の形態1と同様である。
【0067】
図14において、3つの電極5c、5d、5eは一つのシールド6に覆われ、それぞれが互いに絶縁されており、切り替えスイッチ12によって常に3個のうちのいずれか1つの電極が静電容量計8と接続され、静電容量を測定される。切り替えスイッチ12は一定時間ごとに切り替わり、3つの電極5c、5d、5eの静電容量を偏りなく順次測定する。処理部9は静電容量計8から静電容量の測定値を取得し、いずれかの電極の静電容量が閾値を超えて増加した場合に、冷媒の漏洩と判定し検知する。処理部9は3個の電極5c、5d、5eの静電容量の測定値を別々に識別し、どの電極の部位で冷媒漏洩を検知したのかを判別することができる。
【0068】
電極を複数とすることで、一つの検出部で冷媒の漏洩を監視及び検出することのできる冷媒管の距離を増加することができる。電極が一つでも、電極の長手方向の長さ(冷媒管の長さ方向の長さ)を増加させることで、監視及び検知できる範囲を増加させることは可能であるが、電極長が増加すると、電極のもつ静電容量そのものが増加する。電極長を大きくしても、冷媒の漏洩に伴う静電容量の微小な変化量自体は変わらないため、相対的に冷媒の漏洩を検知しにくくなる。すなわち、電極長の増加による検知範囲の拡大は検知精度とのトレードオフの関係にある。加えて、静電容量が増加すると、静電容量計の測定レンジを広くとることになり、静電容量計の測定精度自体が粗くなるため、一層検知精度が低下する。本実施の形態3のように、電極を複数とすれば、電極一個当たりの静電容量を増加させずに、検知範囲を増加させることができるため好適である。さらに、静電容量計8と処理部9の数を増やす必要もない。また、電極を複数とし、それぞれの電極について監視部位を識別し、冷媒の漏洩を検知することで、冷媒が漏洩した場合に、より正確に漏洩箇所を特定することが可能である。
【0069】
なお、図14では電極数を3つとしているが、その個数は問わない。ただし、電極数が増えすぎると配線長が増加し、静電容量の測定に悪影響を与えるため。一つの検出部に備える電極は5個以下とすることが好ましい。
【0070】
以上のように、本実施の形態3によれば、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、冷媒管3の長さ方向に沿って、互いに絶縁されて複数の電極を配置するようにし、複数の電極を切り替えて静電容量を測定するようにしたので、広範囲で、どの場所で冷媒漏洩が生じたかを検知できる。さらに、同じ範囲を1つの電極で検知するよりも高い精度で冷媒漏洩を検知可能となる。
【0071】
実施の形態4.
以下に、実施の形態4に係る冷媒漏洩検知装置について図を用いて説明する。
図15は、実施の形態3に係る冷媒漏洩検知装置1の構成を示す図で、検出部2と冷媒管3の周辺は冷媒の流れる方向の縦断面を示している。本実施の形態4における冷媒漏洩検知装置1は、実施の形態1と比して検出部ならびに静電容量計が複数(図中では3組)備えられている点で異なる。静電容量計8a、8b、8cは実施の形態1と同様であるが、処理部9は検出部および静電容量計が複数となったことでその動作が多少異なる。また、検出部2a、2b、2cはそれぞれが離隔して並べられており、静電容量計8a、8b、8cも一つの検出部につき一台接続されており、検出部2a、2b、2cそれぞれの静電容量を測定している。なお、検出部2a、2b、2cおよび静電容量計8a、8b、8cは実施の形態1に示したものと同様である。静電容量計8a、8b、8cは処理部に接続され、3つの検出部2a、2b、2cの静電容量を偏りなく順次測定する。処理部9はそれぞれの静電容量計8a、8b、8cの静電容量の測定値をそれぞれ取得し、いずれかの検出部の静電容量が閾値を超えて増加した場合に、冷媒の漏洩と判定し検知する。処理部9は各検出部2a、2b、2cの静電容量の測定値を別々に識別し、どの電極で冷媒漏洩を検知したのかを判別することができる。
【0072】
本実施の形態4では、検出部および静電容量計の組を複数備えることによって冷媒の漏洩を監視及び検出することのできる冷媒管の距離を増加することが可能となる。さらに、処理部9がそれぞれの静電容量計8a、8b、8cを識別することによって、冷媒の漏洩箇所の特定が容易となる。冷媒管3からの冷媒の漏洩は、ロウ付け部及び曲げ部など、漏洩しやすい箇所が存在している。これらの漏洩しやすい箇所を重点的に監視し、冷媒の漏洩を検知する場合に本実施の形態4は適してしている。
【0073】
なお、図15では検出部および静電容量計の組を3組としているが、実施の形態3で示したような切り替えスイッチ等を用いて、それぞれの検出部の静電容量を別々に測定し、かつ処理部9で各検出部2a、2b、2cおよびその静電容量の測定値を識別できるのであれば、検出部と静電容量計についてその個数は問わない。ただし、複数の検出部に対して1つの静電容量計を用いる場合では、静電容量計と検出部を結ぶ配線が長くなり静電容量の測定に影響を与え、検知精度を悪化させる恐れがあるため、本実施の形態のように1つの検出部に対し1つの静電容量計を備えることが望ましい。
【0074】
以上のように、実施の形態4によれば、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、冷媒管3の長さ方向に沿って、検出部と静電容量計の組を配置したので、広範囲に亘って、どの場所で冷媒漏洩が生じたかを高精度に検知することができる。
【0075】
実施の形態5.
以下に、実施の形態5に係る冷媒漏洩検知システムについて図を用いて説明する。
図16は実施の形態5に係る冷媒漏洩検知システムの模式図である。図において、冷媒漏洩検知システムは、冷媒管14の各所に配置された複数(図中では5個)の冷媒漏洩検知装置1a、1b、1c、1d、1eと、各冷媒漏洩検知装置の処理部と通信できるように接続された監視装置13からなる。冷媒漏洩検知装置は実施の形態1に示したものと同様のものである。監視装置13はPC(パーソナルコンピュータ)等から構成され、各冷媒漏洩検知装置の処理部と通信することで、各冷媒漏洩検知装置の状態(冷媒の漏洩検知の有無および異常の有無等)をモニタリングする。また、各冷媒漏洩検知装置の静電容量の測定値のログの取得を可能としてよい。この監視装置13と冷媒漏洩検知装置1a、1b、1c、1d、1eとの接続は、ケーブルを用いてもよいし、無線を用いてもよい。複数の冷媒漏洩検知装置1a、1b、1c、1d、1eとの間にネットワークを構成した接続であってもよいし、インターネットを介した接続であってもよい。
【0076】
監視装置13を用いて各冷媒漏洩検知装置の状態をモニタリングすることによって、冷媒の漏洩が発生した時の把握が容易となる。また、遠隔状態での冷媒の漏洩状態の監視が可能となるため、冷媒管および冷媒漏洩検知装置のメンテナンスにおける作業性が改善できる。特に、冷媒漏洩検知装置を目視では確認しにくい箇所(例えば天井裏など)に配置した場合においても監視装置13で状態を監視できるため、作業性が大きく改善される。
【0077】
なお、図16では冷媒漏洩検知装置を5個配置した例を示したが、5個に限るものではない。また、異なる空調機の冷媒管あるいはビル等における空調システムにおける冷媒管等においても遠隔監視を行うことが可能となる。
【0078】
以上のように、実施の形態5の冷媒漏洩検知システムによれば、冷媒管の各所に配置された複数の冷媒漏洩検知装置と、これら複数の冷媒漏洩検知装置と接続された監視装置とを具備するので、各冷媒漏洩検知装置の処理部と通信することで、各冷媒漏洩検知装置の状態をモニタリング可能となり、広い範囲で冷媒漏洩の検知を行うことができる。また、冷媒管の配設されている場所から離れた場所においても監視することができる。
【0079】
なお、実施の形態1から5に係る冷媒漏洩検知装置の処理部9は、ハードウエアの一例を図17に示すように、プロセッサ200と記憶装置300から構成される。記憶装置は図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ200は、記憶装置300から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ200にプログラムが入力される。また、プロセッサ200は、演算結果等のデータを記憶装置300の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0080】
静電容量計と処理部が一体化される場合は、一体化されたものが図17の構成であればよい。
また、実施の形態5に係る冷媒漏洩検知システムの監視装置13においてもハードウエア構成は図17と同様である。
【0081】
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0082】
1、1a、1b、1c、1d、1e:冷媒漏洩検知装置、 2、2a、2b、2c、21:検出部、 3:冷媒管、 4:断熱材、 5、5a、5b、5c、5d、5e:電極、 6:シールド、 7:スペーサ、 8、8a、8b、8c:静電容量計、 9:処理部、 10a、10b、10c、10d、10e:配線、 11:空隙、 12:切り替えスイッチ、 13:監視装置、 14:冷媒管、 51、61:導電体層、 65:蝶番、 70:スペーサ体、 71:絶縁体管、 101:コンデンサ(検出部)、 102:電源、 103:抵抗、 104:オペアンプ、 105a、105b:電圧計、 106a、106b、106c:コンデンサ、 107:電流計、 108a、108b:スイッチ、 109:充放電回路、 110:カウンター回路、111:マイクロコントローラ、 200:プロセッサ、 300:記憶装置。
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