【解決手段】空気調和機(1)は、吸い込まれた空気の流路に設けられたフィルタ部材(10、11)と、送風機(9)と、冷凍サイクルに組み込まれた圧縮機(17)および膨張弁(18)と、流路を流れる空気に対するフィルタ部材(10、11)を通過する空気の割合が変化するようにフィルタ部材(10、11)を移動させる移動機構(12、13)と、フィルタ部材(10、11)を通過する空気の割合が空気調和機(1)の状況に応じた割合が予め設定された値のいずれかとなるように、移動機構(12、13)を制御してフィルタ部材(10、11)を移動させる制御部(5)と、を備える。
前記制御部は、前記温度差が予め定めた中レベルの範囲以外の小レベルおよび大レベルでは、前記割合が前記温度差に応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させ、前記温度差が前記中レベルの範囲では、前記割合が前記温度差および空気の汚れ度合に応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
前記制御部は、前記汚れ度合いが予め定めた中レベルの範囲以外の低レベルおよび高レベルでは、前記割合が前記汚れ度合いに応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させ、前記汚れ度合いが前記中レベルの範囲では、前記割合が前記汚れ度合いおよび室温と前記設定温度との温度差に応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させることを特徴とする請求項5に記載の空気調和機。
前記制御部は、室温を設定温度にする空気調和を伴う運転モードでの動作開始後、室温が前記設定温度に到達すると、それ以降は、室温と前記設定温度との差に応じて、前記割合が前記送風機での消費電力を小さくする割合となるように前記フィルタ部材を移動させることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の空気調和機。
前記制御部は、室温を設定温度にする空気調和を伴う運転モードでの動作開始後、室温が前記設定温度に到達すると、それ以降は、室温と前記設定温度との差に応じて、前記割合が、前記送風機、前記圧縮機および前記膨張弁での消費電力の合計を小さくする割合となるように前記フィルタ部材を移動させることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の空気調和機。
前記フィルタ部材は、空気に含まれる粒子を捕集する空気清浄フィルタ、又は空気から臭い成分を除去する脱臭フィルタ、又はその両方を含むことを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の空気調和機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下に説明する。
【0012】
〔実施の形態1〕
(空気調和機の構成)
図1は、本実施の形態にかかる空気調和機1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、空気調和機1は、室内機2と室外機3とを有し、室内機2および室外機3に亘って空調部4が設けられている。空調部4は冷凍サイクルを実行する部分であり、圧縮機17、室内熱交換器25、室外熱交換器26、膨張弁18および室外送風機19等の冷凍サイクルを実行するための既知の構成を有する。
【0013】
室内機2は、制御部5、記憶部6、受信部7、室内送風機(送風機)9、空気清浄フィルタ(以下、単に空清フィルタと称する)10、脱臭フィルタ11、空清フィルタ移動機構(移動機構)12、脱臭フィルタ移動機構(移動機構)13、室温センサ14、埃センサ15、臭いセンサ16等を備えている。
【0014】
制御部5は、マイクロコンピュータ等からなり、室外機3を含む空気調和機1の各部を制御する。記憶部6には、制御部5が各部の制御に用いるプログラムおよびデータ等が記憶されている。受信部7は、ユーザが操作するリモートコントローラ(以下、単にリモコンと称する)8からの指令を受信して制御部5に送信する。
【0015】
室内送風機(以下、単に送風機と称する)9は、吸込み口から空気を吸い込み吹出し口から空気を吹き出す。吸い込まれた空気は、空調部4の室内熱交換器25と熱交換した後吹き出される。
【0016】
空清フィルタ10は、例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)であり、送風機9で吸い込まれた空気を通過させて、空気中に含まれる粉じん等の粒子を捕集することで除去して空気を浄化する。脱臭フィルタ11は、送風機9で吸い込まれた空気を通過させて、空気中に含まれる臭い成分を除去して脱臭する。空清フィルタ10および脱臭フィルタ11がフィルタ部材に相当する。本実施の形態では、フィルタ部材として、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11を備えてこれら両方を移動させる構成を例示するが、少なくとも一方を備え移動させ得る構成であればよい。
【0017】
空清フィルタ10および脱臭フィルタ11は、送風機9にて吸込み口から吸い込まれた空気の流路に設けられている。空清フィルタ10および脱臭フィルタ11は、積層して配置されていてもよいし、空間を隔てて配置されていてもよい。
【0018】
空清フィルタ移動機構12は、空清フィルタ10を吸い込まれた空気の流路から移動させる。空清フィルタ移動機構12、流路を流れる空気に対する空清フィルタ10を通過する空気の割合が変化するように、空清フィルタ10を移動させる。
【0019】
脱臭フィルタ移動機構13は、脱臭フィルタ11を吸い込まれた空気の流路から移動させる。脱臭フィルタ移動機構13は、流路を流れる空気に対する脱臭フィルタ11を通過する空気の割合が変化するように、脱臭フィルタ11を移動させる。
【0020】
空清フィルタ10又は脱臭フィルタ11を空気の流路から移動させる構成としては、例えば
図2に示す、スライド式、片側開閉式、持ち上げ式、シャッター式等の種々の構成を採用できる。フィルタ部材21が、空清フィルタ10又は脱臭フィルタ11に相当する。
図2では、空気の流路に入口に相当する吸い込み口20にフィルタ部材21を配置しているが、吸い込み口20より内側に入った流路上に配置されていてもよい。
【0021】
スライド式は、フィルタ部材21のスライド量を調整することでフィルタ部材21を通過する空気の割合を変化させることができる。片側開閉式は、フィルタ部材21を開く角度を調整することでフィルタ部材21を通過する空気の割合を変化させることができる。持ち上げ式は、フィルタ部材21の持ち上げ量を調整することでフィルタ部材21を通過する空気の割合を変化させることができる。シャッター式は、フィルタ部材21を開く角度又は開く領域を調整することでフィルタ部材21を通過する空気の割合を変化させることができる。
【0022】
図1に戻り、室温センサ14は室温を検出して制御部5に送信する。埃センサ15は空気中に含まれる粉じんの量を検出して制御部5に送信する。粉じんとは、空気中に浮遊する、塵や埃、花粉であり、PM2.5等の微粒子も含む。臭いセンサ16は、空気中に含まれる臭い成分の量を検出して制御部5に送信する。制御部5は、埃センサ15にて検出された粉じんの量(検出レベル)に応じて空清フィルタ10の移動量を決定し、また、臭いセンサ16にて検出された臭い成分の量(検出レベル)に応じて脱臭フィルタ11の移動量を決定する。埃センサ15の検出レベルおよび臭いセンサ16の検出レベルが、空気の汚れ度合いに相当する。
【0023】
(制御部5)
制御部5は、空清フィルタ10を通過する空気の割合が予め設定された値のいずれかとなるように、空清フィルタ移動機構12を制御して空清フィルタ10を移動させる。同様に、本実施の形態では、制御部5は、脱臭フィルタ11を通過する空気の割合が予め設定された値のいずれかとなるように、前記割合が任意の値となるように、脱臭フィルタ移動機構13を制御して脱臭フィルタ11を移動させる。換言すると、制御部5は、空気調和機1の状況に応じて、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11を1〜100%の範囲で任意の量移動させることができる。
【0024】
空気調和機1の状況とは、例えば、運転モードの違い、動作開始時か否か、室温と設定温度との温度差(ΔT)、設定温度に到達するまでの時間(到達所要時間)、空気の汚れ度合い、設定温度に到達後の安定状態での運転中等である。
【0025】
図3に、フィルタ移動量と、吸込み抵抗(R
I)、フィルタ通気面積(A
F)、粉じん量(A
D)、粉じん除去所要時間(t
D)、臭い成分量(A
S)および脱臭所要時間(t
S)との関係を示す。粉じん量(A
D)および粉じん除去所要時間(t
D)についてフィルタ移動量は空清フィルタ10の移動量であり、臭い成分量(A
S)および脱臭所要時間(t
S)についてフィルタ移動量は脱臭フィルタ11の移動量である。吸込み抵抗(R
I)およびフィルタ通気面積(A
F)についてフィルタ移動量は空清フィルタ10および脱臭フィルタ11共通である。また、
図4に、フィルタ移動量と、設定温度到達所要時間(t
T)、サイクル入力電力(P
C)および室内機ファン入力電力(P
IF)との関係を示す。
図4において、フィルタ移動量は空清フィルタ10および脱臭フィルタ11共通である。
【0026】
図3に示すように、フィルタ移動量に比例して吸込み抵抗(R
I)は下がる。吸込み抵抗(R
I)だけでなく、フィルタ通気面積(A
F)、粉じん量(A
D)、粉じん除去所要時間(t
D)、臭い成分量(A
S)および脱臭所要時間(t
S)も下がる。また、
図4に示すように、フィルタ移動量に比例して、設定温度到達所要時間(t
T)、サイクル入力電力(P
C)および室内機ファン入力電力(P
IF)も下がる。サイクル入力電力(P
C)は、空調部4の入力電力であり、室内機ファン入力電力(P
IF)は、送風機9の入力電力である。
【0027】
制御部5は、このような関係を利用して、空気調和機1の状況に応じて、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11を移動させる。これについて、具体的に説明する。
【0028】
空気調和機1は、運転モードとして、空気の浄化に優先して室温を設定温度にする空調優先モード(空気調和優先モード)と、室温を設定温度にする空気調和に優先して空気を浄化する空清優先モード(空気清浄優先モード)とを有している。これら空調優先モードおよび空清優先モードは、室温を設定温度する、および空気の浄化を行う空気調和を伴う運転モードである。
【0029】
<空調優先モードの動作開始時>
空調優先モードでは、動作開始時、室温を設定温度にまで早く到達させる必要があるため、制御部5は、動作開始時、空清フィルタ10を通過する空気の割合が、室温と設定温度との温度差(ΔT)に応じた割合となるように空清フィルタ10を移動させる。具体的には、温度差(ΔT)に応じた割合は、温度差(ΔT)が大きくなるほど小さい値に設定されている。
【0030】
つまり、空調優先モードでの動作開始時は、空気の浄化のスピードは遅くなるものの、空清フィルタ10を移動させて、空清フィルタ10を通過する空気の割合を小さくして、吸込み抵抗を下げる。その際、温度差(ΔT)が大きい程、空清フィルタ10を通過する割合が小さくなるように、空清フィルタ10を大きく移動させることが好ましく、空清フィルタ10を流路から完全に移動させた移動量100%も含む。但し、空調優先モードではあっても、温度差(ΔT)が小さく、設定温度に到達までに時間がかからない場合は、空清フィルタ10を通過する割合を100%としてもよい。
【0031】
これにより、空調優先モードでは、動作開始時、温度差(ΔT)に応じて空清フィルタ10を移動させて吸込み抵抗を下げることで、送風機9の入力電力を上げるあるいは空調部4の入力電力を上げることなく、風量を確保して室温を設定温度に早く到達させることができる。また、温度差(ΔT)に応じて、設定温度に到達までに時間がかからない場合には、空清フィルタ10の移動量を小さくすることで、設定温度への早期到達を図りつつも、空気の浄化も早めに開始することができる。
【0032】
そして、本実施の形態では、制御部5は、温度差(ΔT)が予め定めた中レベルの範囲以外の小レベルおよび大レベルでは、空清フィルタ10を通過する空気の割合が温度差(ΔT)に応じた割合となるように空清フィルタ10を移動させ、温度差(ΔT)が中レベルの範囲では、空清フィルタ10を通過する空気の割合が温度差(ΔT)および空気の汚れ度合を示す埃センサ15の検出レベルに応じた割合となるように空清フィルタ10を移動させる。
【0033】
制御部5は、空調優先モードでの動作開始時、脱臭フィルタ11についても空清フィルタ10と同様に移動させる。
【0034】
<空清優先モードの動作開始時>
一方、空清優先モードでは、動作開始時、室内の空気を早く浄化して清浄にする必要があるため、制御部5は、動作開始時、空清フィルタ10を通過する空気の割合が、空気の汚れ度合いに相当する埃センサ15の検出レベルに応じた割合となるように空清フィルタ10を移動させる。具体的には、汚れ度合いに応じた割合は、汚れ度合いが高くなる、つまり、埃センサ15の検出レベルが高くなるほど、大きい値に設定されている。
【0035】
つまり、空清優先モードでの動作開始時は、室温の設定温度までの到達は遅くなるものの、空清フィルタ10の移動量を小さくして空清フィルタ10を通過する空気の割合を大きくする。その際、埃センサ15の検出レベルが低い程、空清フィルタ10を通過する割合が小さくなるように、空清フィルタ10の移動量を大きくすることが好ましい。埃センサ15の検出レベルが高い場合は、空清フィルタ10にて流路を完全に閉じて移動量0%とし、埃センサ15の検出レベルが低い場合には、空清フィルタ10にて流路を完全に開放する移動量100%も含む。空清優先モードではあっても、空気の汚れ度合いが小さく、設定温度に到達した後に浄化することで問題無い場合は、空清フィルタ10を通過する割合を0%とする。
【0036】
これにより、空清優先モードでは、動作開始時、空気の汚れ度合いに応じて空清フィルタ10を移動させて、除去する粉じん量を上げて(=粉じんの除去所要時間を短縮して)、空気を素早く浄化することができる。また、汚れ度合いに応じて、問題ない程度であれば、移動量を大きくすることで、吸込み抵抗を下げて風量を確保し、室温を設定温度にも早く到達させることができる。
【0037】
そして、本実施の形態では、制御部5は、空気の汚れ度合いを示す埃センサ15の検出レベルが予め定めた中レベルの範囲以外の低レベルおよび高レベルでは、空清フィルタ10を通過する空気の割合が埃センサ15の検出レベルに応じた割合となるように空清フィルタ10を移動させ、埃センサ15の検出レベルが中レベルの範囲では、空清フィルタ10を通過する空気の割合が埃センサ15の検出レベルおよび温度差(ΔT)に応じた割合となるように空清フィルタ10を移動させる。
【0038】
また、制御部5は、空清優先モードでの動作開始時、脱臭フィルタ11についても空清フィルタ10と同様に、空気の汚れ度合いに相当する臭いセンサ16の検出レベルに応じた割合となるように移動させる。臭いセンサ16の検出レベルに応じた割合も、臭いセンサ16の検出レベルが高くなるほど大きい値に設定されている。
【0039】
<安定状態での運転中>
空調優先モードおよび空清優先モードでは、室温が設定温度に到達して温度差(ΔT)がゼロとなると、制御部5は、それ以降は、温度差(ΔT)に応じて、吸込まれた空気が空清フィルタ10を通過する割合が送風機9での消費電力を小さくする割合となるように空清フィルタ10を移動させる。同様に、室温が設定温度に到達して温度差(ΔT)がゼロとなると、制御部5は、それ以降は、温度差(ΔT)に応じて、吸込まれた空気が脱臭フィルタ11を通過する割合が送風機9での消費電力を小さくする割合となるように脱臭フィルタ11を移動させる。
【0040】
図4に示すように、フィルタ移動量を大きくすることで、送風機9の入力電力を抑えることができる。したがって、温度差(ΔT)がゼロとなった以降の安定状態での運転中は、送風機9の入力電力が小さくなるように空清フィルタ10および脱臭フィルタ11のフィルタ移動量を調整することで、省エネ化が図れる。
【0041】
(処理の流れ)
本実施の形態の空気調和機1が実行する処理の流れを
図5から
図8に基づいて説明する。
図5は、空気調和機1が実行するメインフローの一例を示すフローチャートである。
【0042】
図5に示すように、空気調和機1の制御部5は、動作の開始が指示されると、室温・空気の状態をチェックする(S1)。つまり、室温センサ14より室温を取得し、埃センサ15および臭いセンサ16より各検出レベルを取得する。
【0043】
次に、指示されたモードが自動モードであるか否かを判断する(S2)。自動モードであれば空清優先モードでの運転を開始し、自動モード以外の場合は空調優先モードでの運転を開始する。
【0044】
空清優先モードでの運転を開始すると、埃センサ15の検出レベルに応じて空清フィルタ10の移動量を決定して移動させ(S3)、臭いセンサ16の検出レベルに応じて脱臭フィルタ11の移動量を決定して移動させる(S4)。一方、空調優先モードでの運転を開始すると、室温と設定温度との温度差(ΔT)に応じて空清フィルタ10、脱臭フィルタ11の移動量を決定して移動させる(S5、S6)。なお、S3〜S6の処理については後述する。
【0045】
S3、S4あるいはS5、S6を経て、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11を移動させると、室温と設定温度との温度差(ΔT)がゼロであるか否かを判断する(S7)。ここで、NOと判断すると、温度差(ΔT)がゼロとなるように、空調部4および送風機9を駆動して、冷房運転又は暖房運転を開始し(S8)、S7に戻る。
【0046】
S7においてYESと判断すると、空気の状態をチェックし(S9)、埃センサ15の検出レベルに応じて空清フィルタ10の移動量を決定して移動させ(S10)、臭いセンサ16の検出レベルに応じて脱臭フィルタ11の移動量を決定して移動させる(S11)。
【0047】
例えば、空調優先モードが選択されて空清フィルタ10および脱臭フィルタ11が大きく移動された場合でも、設定温度に到達後は、S9〜S11の処理を経て、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11は、空気の状態に応じた適切な位置に設定される。また、空清優先モードが選択されて空清フィルタ10および脱臭フィルタ11の移動量が小さく、吸込み抵抗が大きい場合でも、空気が浄化・脱臭後は、S9〜S11の処理を経て、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11は、不要な吸込み抵抗を掛けない適切な位置に設定される。
【0048】
その後、温度差(ΔT)をゼロに保つ安定状態での運転に移行し(S12)、制御部5は、送風機9の入力電力が小さくなるように、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11の移動量を決定して移動させながら安定状態での運転を継続する(S13)。また、安定状態での運転中に、空気の状態をチェックするタイミングか否かを判断しておき(S14)、YESと判断するとS9に戻る。
【0049】
続いて、
図5のフローチャートにおけるS3〜S6の処理を詳細に説明する。
図6は、埃センサ15の検出レベルおよび温度差(ΔT)と、空清フィルタ10の移動量との関係を示す図である。
図6のテーブル6−1に示すように、ここでは、検出レベルを高中低の3段階に分けると共に温度差(ΔT)も大中小3段階に分け、互いの組み合わせに応じて空清フィルタ10の移動量を設定している。検出レベルが「低」、温度差(ΔT)が「大」の場合、移動量は100%とし、検出レベルが「高」、温度差(ΔT)が「小」の場合、移動量は0%とする。これら以外の組み合わせにおいては、移動量が、X1>X2>X3>X4>X5>X6>X7と設定されている。そして、テーブル6−1に従い、空清優先モードではテーブル6−2に示すように移動量を決定し、空調優先モードではテーブル6−3に示すように移動量を決定する。なお、脱臭フィルタ11の移動量の決定も同様である。
【0050】
なお、
図6の例では、0%と100%との間を7段階に設定しているが、例えば、X1=X2>X3=X4=X5>X6=X7と3段階に設定してもよい。また、検出レベルと温度差(ΔT)をさらに細かく分けて設定してもよい。
【0051】
図7は
図5のS3(S10)の処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、埃センサ15の検出レベルが「低レベル」と判断すると、空清フィルタ10の移動量を100%とする(S31、S32)。埃センサ15の検出レベルが「高レベル」と判断すると、空清フィルタ10の移動量を0%とする(S34、S35)。「低レベル」でも「高レベル」でもない場合は「中レベル」と判断し、温度差(ΔT)を考慮し、温度差(ΔT)が「大」であると判断すると移動量をX2とする(S36、S37)。また、温度差(ΔT)が「小」であると判断すると移動量をX2よりも少ないX6とする(S38、S39)。温度差(ΔT)が「大」でも「小」でもない「中」の場合は、移動量をX2とX6との間のX4とする(S40)。S33では、S32、S35、S37、S39あるいはS40で決定された移動量で移動されるように、空清フィルタ10を移動させる。
【0052】
また、
図5のS4(S11)の脱臭フィルタ11を移動させる処理も、S31、S34において、埃センサ15に替えて臭いセンサ16の検出レベルを使用する点が異なるだけで、
図7と同様である。
【0053】
図8は
図5のS5の処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、室温と設定温度との温度差(ΔT)が「大」と判断すると、空清フィルタ10の移動量を100%とする(S51、S52)。温度差(ΔT)が「小」と判断すると、空清フィルタ10の移動量を0%とする(S54、S55)。温度差(ΔT)が「大」でも「小」でもない場合は「中」と判断し、埃センサ15の検出レベルを考慮し、検出レベルが「低レベル」であると判断すると移動量をX1とする(S56、S57)。また、検出レベルが「高レベル」であると判断すると移動量をX1よりも少ないX7とする(S58、S59)。検出レベルが「低レベル」でも「高レベル」でもない「中レベル」の場合は、移動量をX1とX7との間のX4とする(S60)。S53では、S52、S55、S57、S59あるいはS60で決定された移動量で移動されるように、空清フィルタ10を移動させる。
【0054】
また、
図5のS6の脱臭フィルタ11を移動させる処理も、S56、S58において、埃センサ15に替えて臭いセンサ16の検出レベルを使用する点が異なるだけで、
図8と同様である。
【0055】
なお、
図7、
図8に示した移動量の決定は一例に過ぎず、特に、空清優先モードおよび空調優先モードにおいて、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11を0%よりも大きく100%よりも小さい範囲で動かす場合、初期設定はユーザの好みで行うようにしてもよい。例えば、花粉症の人やアレルギーに弱い人は、空調優先モードが選択されたとしても、空清フィルタ10の移動量は小さい方が好ましい。したがって、センサ15,16の検出レベルがたとえ同じ「中レベル」であっても、脱臭フィルタの移動量はX2とし、空清フィルタ10の移動量はX7とするといったように設定してもよい。また、温度差に弱い人の場合は、温度差(ΔT)が「中」である場合の移動量を小さいX6、X7に設定してもよい。このような初期の設定は、リモコン8や、通信端末にダウンロードさせた専用のアプリケーション等を用いて行うようにすればよい。
【0056】
また、より好ましくは、制御部5は、ユーザの好みに合わせた初期設定で空清フィルタ10および脱臭フィルタ11を動かしながら、実際のユーザの操作に基づいてユーザの使い方をAI技術を用いて学習し、ユーザの使い方にあった移動量となるように設定することである。
【0057】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0058】
本実施の形態に係る空気調和機1における制御部5は、室温と設定温度との温度差(ΔT)に替えて設定温度までの到達所要時間を用いる点が、実施の形態1の空気調和機1と異なる。設定温度までの到達所要時間は、室温と設定温度との温度差(ΔT)以外に、空気調和機1の空調部4の能力、空調空間の気密性等によって決まる。
【0059】
このような構成とすることで、設定温度までの到達所要時間を重視したフィルタ移動が、空清優先モードおよび空調優先モードにて実行できるので、ユーザの快適感をさらに向上させることができる。
【0060】
図9は、本実施の形態に係る空気調和機1が実行するメインフローの一例を示すフローチャートである。
図5のフローチャートとは、S3、S4、S5、S6に替えてS3A、S4A、S5A、S6Aを実行する点が異なる。
【0061】
図10は、
図9のS3Aの処理を示すフローチャートである。
図10に示すように、埃センサ15の検出レベルが「低レベル」と判断すると、空清フィルタ10の移動量を100%とする(S31、S32)。埃センサ15の検出レベルが「高レベル」と判断すると、空清フィルタ10の移動量を0%とする(S34、S35)。「低レベル」でも「高レベル」でもない場合は「中レベル」と判断し、設定温度までの到達所要時間を考慮し、到達所要時間が「長」であると判断すると移動量をX2とする(S36A、S37)。また、到達所要時間が「短」であると判断すると移動量をX2よりも少ないX6とする(S38A、S39)。到達所要時間が「長」でも「短」でもない「中」の場合は、移動量をX2とX6との間のX4とする(S40)。S33では、S32、S35、S37、S39あるいはS40で決定された移動量で移動されるように、空清フィルタ10を移動させる。
【0062】
また、
図9のS4Aの脱臭フィルタ11を移動させる処理も、S31、S34において、埃センサ15に替えて臭いセンサ16の検出レベルを使用する点が異なるだけで、
図10と同様である。
【0063】
図11は、
図9のS5Aの処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、設定温度までの到達所要時間が「長」と判断すると、空清フィルタ10の移動量を100%とする(S51A、S52)。到達所要時間が「短」と判断すると、空清フィルタ10の移動量を0%とする(S54A、S55)。到達所要時間が「長」でも「短」でもない場合は「中」と判断し、埃センサ15の検出レベルを考慮し、検出レベルが「低レベル」であると判断すると移動量をX1とする(S56、S57)。また、検出レベルが「高レベル」であると判断すると移動量をX1よりも少ないX7とする(S58、S59)。検出レベルが「低レベル」でも「高レベル」でもない「中レベル」の場合は、移動量をX1とX7との間のX4とする(S60)。S53では、S52、S55、S57、S59あるいはS60で決定された移動量で移動されるように、空清フィルタ10を移動させる。
【0064】
また、
図9のS6Aの脱臭フィルタ11を移動させる処理も、S56、S58において、埃センサ15に替えて臭いセンサ16の検出レベルを使用する点が異なるだけで、
図11と同様である。
【0065】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施の形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0066】
実施の形態1,2に係る空気調和機1においては、室温と設定温度との温度差(ΔT)をゼロに保つ安定状態の運転中、制御部5は、送風機9の入力電力が小さくなるように、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11の移動量を決定して移動させていた。
【0067】
これに対し、本実施の形態に係る空気調和機1においては、室温と設定温度との温度差(ΔT)をゼロに保つ安定状態の運転中、制御部5は、送風機9、空調部4の圧縮機17および膨張弁18での消費電力が小さくなるように、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11の移動量を決定する。このような構成とすることで、送風機9、空調部4の圧縮機17および膨張弁18での消費電力の合計を抑えることが可能となる。
【0068】
図12は、本実施の形態に係る空気調和機1が実行するメインフローの一例を示すフローチャートである。
図5のフローチャートとは、S13に代えてS13Aを実行する点が異なる。S13Aでは、制御部5は、室温と設定温度との温度差(ΔT)をゼロに保つ安定状態の運転中、制御部5は、送風機9、空調部4の圧縮機17および膨張弁18でのトータルの消費電力が小さくなるように、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11の移動量し、空清フィルタ10および脱臭フィルタ11させる。
【0069】
図13は、本実施の形態に係る空気調和機1が実行するメインフローの別の例を示すフローチャートである。
図9のフローチャートとは、S13に代えてS13Aを実行する点が異なる。自動モードに替えて自動エコモードが指定された場合に、
図12、
図13のフローチャートによるフィルタ移動を行うようにしてもよい。
【0070】
〔ソフトウェアによる実現例〕
空気調和機1における、制御部5は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0071】
後者の場合、制御部5は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0072】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る空気調和機1は、空気清浄機能を有する空気調和機であって、吸込み口から吸い込まれた空気の流路に設けられた空気を浄化するフィルタ部材と、前記吸込み口から空気を吸い込み吹出し口から空気を吹き出す送風機と、冷凍サイクルに組み込まれた圧縮機および膨張弁と、前記流路を流れる空気に対する前記フィルタ部材を通過する空気の割合が変化するように前記フィルタ部材を移動させる移動機構と、前記割合が予め設定された値のいずれかとなるように、前記移動機構を制御して前記フィルタ部材を移動させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0073】
本発明の態様2に係る空気調和機1は、さらに、上記態様1において、運転モードとして、空気の浄化に優先して室温を設定温度にする空気調和優先モードを有し、前記制御部は、前記空気調和優先モードでの動作開始時、前記割合が室温と前記設定温度との温度差に応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させる構成とすることもできる。
【0074】
本発明の態様3に係る空気調和機1は、さらに、上記態様2において、前記温度差に応じた前記割合は、前記温度差が大きくなるほど小さい値に設定されている構成とすることもできる。
【0075】
本発明の態様4に係る空気調和機1は、さらに、上記態様2において、前記制御部は、前記温度差が予め定めた中レベルの範囲以外の小レベルおよび大レベルでは、前記割合が前記温度差に応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させ、前記温度差が前記中レベルの範囲では、前記割合が前記温度差および空気の汚れ度合に応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させる構成とすることもできる。
【0076】
本発明の態様5に係る空気調和機1は、さらに、上記態様1において、運転モードとして、室温を設定温度にする空気調和に優先して空気を浄化する空気清浄優先モードを有し、前記制御部は、前記空気清浄優先モードでの動作開始時、前記割合が空気の汚れ度合いに応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させる構成とすることもできる。
【0077】
本発明の態様6に係る空気調和機1は、さらに、上記態様5において、前記汚れ度合いに応じた前記割合は、前記汚れ度合いが高くなるほど大きい値に設定されている構成とすることもできる。
【0078】
本発明の態様7に係る空気調和機1は、さらに、上記態様5において、前記制御部は、前記汚れ度合いが予め定めた中レベルの範囲以外の低レベルおよび高レベルでは、前記割合が前記汚れ度合いに応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させ、前記汚れ度合いが前記中レベルの範囲では、前記割合が前記汚れ度合いおよび室温と前記設定温度との温度差に応じた割合となるように前記フィルタ部材を移動させる構成とすることもできる。
【0079】
本発明の態様8に係る空気調和機1は、さらに、上記態様1から7の何れかにおいて、前記制御部は、室温を設定温度にする空気調和を伴う運転モードでの動作開始後、室温が前記設定温度に到達すると、それ以降は、室温と前記設定温度との差に応じて、前記割合が前記送風機での消費電力を小さくする割合となるように前記フィルタ部材を移動させる構成とすることもできる。
【0080】
本発明の態様9に係る空気調和機1は、さらに、上記態様1から7の何れかにおいて、前記制御部は、室温を設定温度にする空気調和を伴う運転モードでの動作開始後、室温が前記設定温度に到達すると、それ以降は、室温と前記設定温度との差に応じて、前記割合が、前記送風機、前記圧縮機および前記膨張弁での消費電力の合計を小さくする割合となるように前記フィルタ部材を移動させる構成とすることもできる。
【0081】
本発明の態様10に係る空気調和機1は、さらに、上記態様1から9の何れかにおいて、前記フィルタ部材は、空気に含まれる粒子を捕集する空気清浄フィルタ、又は空気から臭い成分を除去する脱臭フィルタ、又はその両方を含む構成とすることもできる。
【0082】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。