【解決手段】電子装置は、第1の光が対象物で反射された反射光を含む第2の光を受光する受光部と、第2の光に対応するデジタル信号を生成するAD変換部と、デジタル信号を記憶する記憶部と、第1の光の投光タイミングから第2の光が受光されるまでの経過時間に応じて、デジタル信号を記憶部に記憶する際の書き込みレートを制御する記憶制御部と、第1の光の投光タイミングと、受光部での反射光の受光タイミングとに基づいて、対象物までの距離を計測する距離計測部と、を備える。
前記記憶制御部は、少なくとも一部の前記経過時間において、前記経過時間が長いほど、前記書き込みレートを段階的又は連続的に低くする、請求項1に記載の電子装置。
前記AD変換部は、前記第2の光のサンプリングレートを前記経過時間に応じて変化させることにより、前記書き込みレートを制御する、請求項1又は2に記載の電子装置。
前記記憶制御部は、前記対象物までの距離が第1距離に対応する第1時間と、前記第1距離よりも大きい第2距離に対応する第2時間との間で、前記デジタル信号を前記記憶部に記憶する際の書き込みレートを、前記第1時間以前の少なくとも一部の経過時間における前記デジタル信号を前記記憶部に記憶する際の書き込みレートよりも大きくする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電子装置。
前記AD変換部は、前記第2の光のサンプリングレートを前記対象物までの距離に応じて変化させることにより、前記書き込みレートを制御する、請求項8又は9に記載の電子装置。
前記記憶制御部は、前記デジタル信号の間引き率を前記対象物までの距離に応じて変化させることにより、前記書き込みレートを制御する、請求項8又は9に記載の電子装置。
前記記憶制御部は、前記対象物までの距離が第1距離と、前記第1距離よりも大きい第2距離との間で、前記デジタル信号を前記記憶部に記憶する際の書き込みレートを、前記第1距離以前の少なくとも一部の前記対象物までの距離における前記デジタル信号を前記記憶部に記憶する際の書き込みレートよりも大きくする、請求項8乃至請求項13のいずれか1項に記載の電子装置。
前記記憶制御部は、前記第1の光が投光されてから、前記第2の光が前記受光されるまでの前記第1の光及び前記第2の光の飛行時間に応じて、前記書き込みレートを制御する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の電子装置。
前記距離計測部は、第1時刻に前記受光部で受光された前記第2の光の情報と、前記記憶部に記憶された前記第1時刻よりも過去の第2時刻に前記受光部で受光された前記第2の光の情報とに基づいて、前記対象物までの距離を計測する、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の電子装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、電子装置及び距離計測方法の実施形態について説明する。以下では、電子装置の主要な構成部分を中心に説明するが、電子装置には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態による電子装置1の概略構成を示すブロック図である。
図1の電子装置1は、例えば車両等の移動体に搭載することができる。移動体とは、車両だけでなく、船舶、航空機、列車などを対象とする。以下では、
図1の電子装置1を車両に搭載する例を念頭に置いて説明する。
【0011】
図1の電子装置1は、投光部2と、光制御部3と、受光部4と、信号処理部5と、画像処理部6とを備えている。このうち、投光部2と、光制御部3と、受光部4と、信号処理部5とで、距離計測装置7が構成されている。以下では、距離計測装置7が走査方式及びTOF(Time Of Flight)方式の距離計測を行う例を説明する。
図1の電子装置1の少なくとも一部は、1つ又は複数の半導体IC(Integrated Circuit)で構成可能である。例えば、信号処理部5と画像処理部6を一つの半導体チップの内部に集積してもよいし、この半導体チップに受光部4まで含めて集積してもよい。また、この半導体チップに投光部2まで含めて集積してもよい。
【0012】
投光部2は、第1の光を投光する。第1の光は、例えば所定の周波数帯域のレーザ光である。レーザ光とは、位相及び周波数が揃ったコヒーレントな光である。投光部2は、パルス状の第1の光を所定の周期で間欠的に投光する。投光部2が第1の光を投光する周期は、第1の光の一つのパルスに基づいて距離計測装置7で距離を計測するのに要する時間以上の時間間隔である。
【0013】
投光部2は、発振器11と、投光制御部12と、光源13と、第1駆動部14と、第2駆動部15とを有する。発振器11は、第1の光を投光する周期に応じた発振信号を生成する。第1駆動部14は、発振信号に同期させて、光源13に間欠的に電力を供給する。光源13は、第1駆動部14からの電力に基づいて、第1の光を間欠的に出射する。光源13は、単一のレーザ光を出射するレーザ素子でもよいし、複数のレーザ光を同時に出射するレーザユニットでもよい。投光制御部12は、発振信号に同期させて、第2駆動部15を制御する。第2駆動部15は、投光制御部12からの指示に応じて、発振信号に同期した駆動信号を光制御部3に供給する。
【0014】
光制御部3は、光源13から出射された第1の光の進行方向を制御する。また、光制御部3は、受光された第2の光の進行方向を制御する。
【0015】
光制御部3は、第1レンズ21と、ビームスプリッタ22と、第2レンズ23と、ハーフミラー24と、走査ミラー25と、を有する。
【0016】
第1レンズ21は投光部2から出射された第1の光を集光させて、ビームスプリッタ22に導く。ビームスプリッタ22は、第1レンズ21からの第1の光を二方向に分岐させて、第2レンズ23とハーフミラー24に導く。第2レンズ23は、ビームスプリッタ22からの分岐光を受光部4に導く。第1の光を受光部4に導光する理由は、受光部4にて投光タイミングを検出するためである。
【0017】
ハーフミラー24は、ビームスプリッタ22からの分岐光を通過させて走査ミラー25に導く。また、ハーフミラー24は、電子装置1に入射された反射光を含む第2の光を受光部4の方向に反射させる。
【0018】
走査ミラー25は、投光部2内の第2駆動部15からの駆動信号に同期して、ミラー面を回転駆動する。これにより、ハーフミラー24を通過して走査ミラー25のミラー面に入射された分岐光(第1の光)の反射方向を制御する。ハーフミラー24のミラー面を一定周期で回転駆動することで、光制御部3から出射された第1の光を少なくとも一次元方向に走査させることができる。ミラー面を回転駆動する軸を二方向に設けることで、光制御部3から出射された第1の光を二次元方向に走査させることも可能となる。
図1では、走査ミラー25により、電子装置1から投光される第1の光をX方向及びY方向に走査させる例を示している。
【0019】
電子装置1から投光された第1の光の走査範囲内に、人間や物体等の対象物8が存在する場合、第1の光は対象物8で反射される。対象物8で反射された反射光のうち、少なくとも一部は、第1の光と略同一の経路を逆に進んで光制御部3内の走査ミラー25に入射される。走査ミラー25のミラー面は所定の周期で回転駆動されているが、レーザ光は光速で伝搬するため、走査ミラー25のミラー面の角度がほとんど変化しない間に、対象物8からの反射光がミラー面に入射される。ミラー面に入射された対象物8からの反射光は、ハーフミラー24で反射されて、受光部4にて受光される。
【0020】
受光部4は、光検出器31と、増幅器32と、第3レンズ33と、受光センサ34と、A/D変換器35とを有する。光検出器31は、ビームスプリッタ22で分岐された光を受光して電気信号に変換する。光検出器31にて、第1の光の投光タイミングを検出できる。増幅器32は、光検出器31から出力された電気信号を増幅する。
【0021】
第3レンズ33は、ハーフミラー24で反射された第2の光を受光センサ34に結像させる。受光センサ34は、第2の光を受光して電気信号に変換する。受光センサ34は、例えばSiPM(Silicon Photomultiplier)である。SiPMは、アバランシェフォトダイオード(以下、APD)を二次元方向にアレイ状に配列した光検出素子である。SiPMは、APDの降伏電圧よりも高い逆バイアス電圧を印加することにより動作し、ガイガーモードと呼ばれる領域で駆動される。ガイガーモード時のAPDの利得は非常に高いため、光子1個の微弱な光でさえ計測可能となる。受光センサ34で光電変換された電気信号は、A/D変換器35でデジタル信号に変換される。
【0022】
A/D変換器35は、受光センサ34から出力された電気信号を所定のサンプリングレートでサンプリングしてA/D変換し、デジタル信号を生成する。A/D変換器35は、サンプリングレートを切り替えることができる。サンプリングレートを高くするほど、A/D変換器35から出力されるデジタル信号の単位時間当たりの数は増大する。本実施形態によるA/D変換器35は、投光タイミングからの経過時間に応じてサンプリングレートを変化させる。少なくとも一部の経過時間において、経過時間が短いほど、サンプリングレートを高くし、経過時間が長いほど、サンプリングレートを低くする。A/D変換器35のサンプリングレートが高いほど、受光センサ34から出力された電気信号をより忠実にA/D変換することができ、電気信号とデジタル信号との誤差を減らせる。ただし、例外的に、一部の経過時間において、サンプリングレートを一時的に高くすることがありえる。これについては、第5の実施形態で詳述する。
【0023】
信号処理部5は、第1の光を反射させた対象物8までの距離を計測するとともに、第2の光に応じたデジタル信号を記憶部41に記憶する。信号処理部5は、記憶部41と、距離計測部42と、記憶制御部43とを有する。
【0024】
距離計測部42は、第1の光及び反射光に基づいて、対象物8までの距離を計測する。より具体的には、距離計測部42は、第1の光の投光タイミングと、受光センサ34で受光された第2の光に含まれる反射光の受光タイミングとの時間差に基づいて、対象物までの距離を計測する。すなわち、距離計測部42は、以下の式(1)に基づいて、距離を計測する。
距離=光速×(反射光の受光タイミング−第1の光の投光タイミング)/2 …(1)
【0025】
式(1)式における「反射光の受光タイミング」とは、より正確には、反射光のピーク位置の受光タイミングである。距離計測部42は、第2の光に含まれる反射光のピーク位置を、A/D変換器35で生成されたデジタル信号に基づいて検出する。A/D変換器35のサンプリングレートが高いほど、反射光のピーク位置のタイミングをより精度よく検出できる。A/D変換器35のサンプリングレートが低い場合には、反射光のピーク位置のタイミングを正確に検出できないことから、対象物までの距離誤差は大きくなる。
【0026】
例えば、A/D変換器35のサンプリングレートをfsとすると、サンプリング間隔tfsは、以下の式(2)で求められる。
tfs=1/fs …(2)
【0027】
このとき、有限なサンプリングレートにより生じる距離誤差は、最大で以下の式(3)で求められる。
距離誤差=tfs×光速 …(3)
【0028】
例えば、サンプリングレートfs=100MHz、光速=3×10
8m/sとすると、式(3)の距離誤差は、3mとなる。このように、距離誤差はサンプリングレートfsに反比例し、A/D変換器35のサンプリングレートfsを高くすることで、距離誤差を小さくすることができる。通常、サンプリングレートが低い場合には、隣接する複数のサンプリング点でのサンプリングデータを平均化することによりピーク位置を検出するため、距離誤差は上述した3mよりも小さい値になる。
【0029】
また、距離計測部42は、第1時刻に受光した第2の光の情報と、記憶部41に記憶された第1時刻よりも過去の第2時刻に受光した第2の光の情報とを用いて、対象物までの距離を計測することができる。受光部4で受光される第2の光には、環境光等のノイズ光成分も含まれるため、過去に受光された第2の光の情報も加味することで、第2の光に含まれる反射光を正確に抽出できるようになり、距離計測の精度を向上できる。
【0030】
記憶部41は、受光センサ34から出力されたデジタル信号を記憶する。記憶制御部43は、第1の光の投光タイミングから第2の光が受光されるまでの経過時間に応じて、デジタル信号を記憶部41に記憶する際の書き込みレートを制御する。より具体的には、記憶制御部43は、投光タイミングからの経過時間が長いほど、書き込みレートを段階的又は連続的に低くする。よって、経過時間が長いほど、単位時間当たりに記憶部41に記憶されるデジタル信号の数は少なくなり、記憶部41に記憶されるデータ量を抑制できる。本実施形態による記憶制御部43は、投光タイミングから第2の光が受光されるまでの経過時間に応じて、A/D変換器35のサンプリングレートを制御する。A/D変換器35のサンプリングレートを制御することで、A/D変換器35から出力されるデジタル信号を記憶部41に記憶する際の書き込みレートを制御できる。
【0031】
画像処理部6は、信号処理部5内の距離計測部42で計測された距離に基づいて、例えば距離画像を生成する。距離画像は、例えば電子装置1が搭載される車両の進行方向前方の所定範囲内に存在する各対象物と、各対象物までの距離とが視認しやすくなるように色分けした画像である。
【0032】
図2はA/D変換器35のサンプリングレートと距離誤差との対応関係を示す図である。
図2の横軸はサンプリングレート、縦軸は距離誤差である。
図2に示すように、サンプリングレートと距離誤差は線形な関係にある。A/D変換器35のサンプリングレートを上げると、距離誤差を小さくできるが、そのためにはA/D変換器35を高速動作させなければならず、A/D変換器35の設計が難しくなる上に、A/D変換器35の消費電力が増えてしまう。また、A/D変換器35のサンプリングレートが高くなると、A/D変換器35で生成されるデジタル信号のデータ量がサンプリングレートに比例して増大し、記憶部41の記憶容量が増えてしまう。
【0033】
そこで、本実施形態では、投光タイミングからの経過時間に応じて、受光センサ34から出力される電気信号をサンプリングするA/D変換器35のサンプリングレートを変化させる。
図3は投光タイミングt0からの経過時間に応じてサンプリングレートを変化させる様子を示す図である。
図3に示すように、投光部2が第1の光の投光タイミングt0から第1の時間t1までは、受光センサ34から出力される電気信号を第1サンプリングレートでサンプリングし、第1の時間t1から第2の時間t2までは、電気信号を第1サンプリングレートより低い第2サンプリングレートでサンプリングし、第2の時間t2以降は電気信号を第2サンプリングレートより低い第3サンプリングレートでサンプリングする。このように、投光タイミングからの経過時間が長くなるほど、受光センサ34から出力された電気信号をサンプリングする周期を長くする。これにより、対象物が近くに存在する場合には、対象物までの距離を精度よく検出でき、対象物が遠くに存在する場合には、記憶部41の記憶容量を増やすことなく対象物までの大体の距離を検出できるようになる。
【0034】
図4は第1の実施形態による電子装置1の処理動作を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、投光部2が第1の光を投光してから、受光センサ34で受光された第2の光に対応するデジタル信号を記憶部41に記憶するまでの処理動作を示している。
【0035】
投光部2が第1の光を投光すると、投光タイミングからの経過時間の計測を開始する(ステップS1)。経過時間の計測は、例えば記憶制御部43が行う。
【0036】
次に、受光センサ34は、第2の光を継続的に受光して電気信号に変換する。この電気信号はアナログ信号であるため、A/D変換器35でデジタル信号に変換される。初期状態では、A/D変換器35は、受光センサ34から出力された電気信号を第1サンプリングレートでサンプリングしてデジタル信号に変換する。デジタル信号の大きさに基づいて、受光された第2の光の中に対象物からの反射光が含まれると判断される場合には、その反射光に対応するデジタル信号を記憶部41に記憶する(ステップS2)。第1の光を投光してから、短時間の間に反射光が受光される場合は、対象物が距離計測装置7の近くに存在することを示している。対象物が近くに存在する場合は、対象物までの距離をより精度よく計測する必要がある。このため、初期状態に設定される第1サンプリングレートは、できるだけ高くする必要がある。反射光成分を細かい時間間隔でサンプリングした複数のデジタル信号が記憶部41に記憶されるため、第1サンプリングレートが高いほど、記憶部41の記憶容量が増大する。このため、第1サンプリングレートでサンプリングする期間は、あまり長く設定するのは望ましくない。
【0037】
そこで、投光タイミングからの経過時間が第1時間を超えたか否かを判定する(ステップS3)。第1時間とは、例えば第1の光を投光してから、約20m先の対象物で反射された反射光が受光センサ34で受光されるまでの時間である。約20m先の対象物までの距離はできるだけ精度よく計測した方がよいため、経過時間が第1時間以内であれば、第1サンプリングレートでサンプリングすることとし、ステップS2〜S3の処理を繰り返す。
【0038】
経過時間が第1時間を超えたと判定されると、受光部から出力された第2の光に対応する電気信号を第2サンプリングレートでサンプリングしてデジタル信号に変換する。第2の光の中に、対象物からの反射光が含まれると推定される場合には、第2サンプリングレートでサンプリングしたデジタル信号を記憶部41に記憶する(ステップS4)。第2サンプリングレートは、第1サンプリングレートよりも低いレートであるため、記憶部41に記憶される頻度が低下し、単位時間当たりに記憶部41に記憶されるデータ量を削減できる。
【0039】
次に、投光タイミングからの経過時間が第2時間を超えたか否かを判定する(ステップS5)。第2時間は第1時間よりも長い時間である。より具体的には、第2時間とは、例えば第1の光を投光してから、約200m先の対象物で反射された反射光が受光センサ34で受光されるまでの時間である。距離計測装置7を搭載した車両から20m〜200m以上離れている対象物は、20m以内の対象物と比べて、計測された距離誤差に対する許容度が大きい。このため、経過時間が第2時間以内であれば、第2サンプリングレートでサンプリングすることとし、ステップS4〜S5の処理を繰り返す。
【0040】
経過時間が第2時間を超えたと判定されると、電気信号を第3サンプリングレートでサンプリングしてデジタル信号に変換する。第2の光の中に、対象物からの反射光が含まれると推定される場合には、第3サンプリングレートでサンプリングしたデジタル信号を記憶部41に記憶する(ステップS5)。第3サンプリングレートは、第2サンプリングレートよりも低いレートであるため、記憶部41に記憶される頻度がさらに低下し、単位時間当たりの記憶部41に記憶されるデータ量をさらに削減できる。例えば対象物が200m以上離れた場所に存在する場合、対象物までの距離誤差が多少大きくても、実用上問題ない。このため、対象物までの距離が大きい場合には、A/D変換器35のサンプリングレートを低くして、記憶部41にデジタル信号を記憶する頻度を下げる。
【0041】
図3と
図4では、3種類のサンプリングレート(第1〜第3サンプリングレート)を設ける例を示したが、投光タイミングからの経過時間をより細かく分類して、経過時間に応じて4種類以上のサンプリングレートに切り替えてもよい。また、逆に、2種類のサンプリングレートを設けて、経過時間が所定の時間を超えるか否かでサンプリングレートを切り替えてもよい。さらに、時と場合によって、サンプリングレートの値や、第1時間及び第2時間を変更できるようにしてもよい。
【0042】
また、経過時間とサンプリングレートとの対応関係を規定する関数を生成して、この関数に経過時間を入力して、対応するサンプリングレートを算出してもよい。このような関数を用いることで、経過時間に応じてサンプリングレートを連続的に変化させることができる。あるいは、経過時間とサンプリングレートとの対応関係を規定するテーブルを生成して、このテーブルに経過時間を付与して、対応するサンプリングレートを選択してもよい。このようなテーブルを用いることで、経過時間に応じてサンプリングレートを段階的に変化させることができる。
【0043】
距離計測部42は、投光タイミングと、第2の光に含まれる反射信号のピーク位置のタイミングとの時間差に基づいて、対象物までの距離を計測する。本実施形態では、受光センサ34から出力された電気信号のサンプリングレートが異なるため、距離計測部42は、経過時間に応じてサンプリングレートがどのように変化したかの情報を事前に把握する必要がある。例えば、経過時間に応じたサンプリングレートを記憶制御部43が決定する場合には、その情報をA/D変換器35と距離計測部42に通知する必要がある。
【0044】
図5は距離計測部42の処理動作を説明する図である。
図5の例では、投光部2が第1の光を投光した後、A/D変換器35の6回目のサンプリング時に反射信号のピークが検出されたとする。この場合、サンプリングレートfsが固定であれば、距離計測情報ToFは、以下の式(1)で表される。
ToF=6×1/fs …(1)
【0045】
これに対して、本実施形態のように、サンプリングレートが可変であり、最初の5回のサンプリング時のサンプリングレートをfs1、それ以降のサンプリングレートをfs2とすると、距離計測情報ToFは、以下の式(2)で表される。
ToF=5×1/fs1+1×1/fs2 …(2)
【0046】
式(2)からわかるように、距離計測部42は、経過時間とサンプリングレートとの対応関係から、対象物までの距離を容易に計測できる。
上述した
図3及び
図4では、投光タイミングからの経過時間に応じて、連続的又は段階的にA/D変換器35のサンプリングレートを変化させているが、投光タイミングからの経過時間は、第1の光が投光されてから、その反射光が受光部4で受光されるまでの飛行時間と同義である。よって、本実施形態による距離計測装置7は、第1の光及びその反射光の飛行時間の長さに応じて、連続的又は段階的にA/D変換器35のサンプリングレートを変化させるものである。
【0047】
本実施形態では、A/D変換器35のサンプリングレートの切替は、A/D変換器35の動作クロック周波数を調整することでも行うことができる。例えば、サンプリングレートを1/2.5に落としたい場合は、動作クロック周波数を1/2.5にすればよい。A/D変換器35の動作クロック周波数の制御は、PLL(Phase Looked Loop)回路を内蔵したクロック生成回路にて比較的容易に行うことができる。また、それぞれ異なる周波数のクロック信号を生成する複数のPLL回路を内蔵したクロック生成回路にて、選択するPLL回路を切り替えてもよい。
【0048】
このように、第1の実施形態では、第1の光の投光タイミングからの経過時間により、受光センサ34から出力された電気信号のサンプリングレートを変化させるようにしたため、経過時間が長くなるに従って、サンプリングレートをより低くすることができ、記憶部41に記憶されるデジタル信号の数を抑制できる。また、経過時間が短い場合には、サンプリングレートを高くするため、対象物までの距離が短い場合には、距離精度を高めることができる。さらに、経過時間が長い場合には、サンプリングレートを低くするため、対象物までの距離が長い場合には、距離精度は低いものの、記憶部41に記憶されるデジタル信号の数を削減できる。
【0049】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、投光タイミングからの経過時間に応じて、受光センサ34から出力された電気信号のサンプリングレートを変化させているが、サンプリングレートは常に一定にする一方で、サンプリングされたデジタル信号の間引き率を経過時間に応じて変化させてもよい。ここで、間引き率とは、A/D変換器35から出力されたデジタル信号をすべて記憶部41に記憶するのではなく、間引いてから記憶部41に記憶する場合に、どの程度間引くかを示す値である。間引き率が大きいほど、記憶部41に記憶されるデジタル信号の数が減少し、間引き率が小さいほど、記憶部41に記憶されるデジタル信号の数が増える。本実施形態では、経過時間が長いほど、デジタル信号の間引き率を大きくし、記憶部41の記憶容量が増大するのを抑制する。
【0050】
第2の実施形態による電子装置1は、
図1と同様のブロック構成を備えているが、受光部4内のA/D変換器35と信号処理部5内の記憶制御部43の処理動作が第1の実施形態とは異なる。
【0051】
第2の実施形態によるA/D変換器35は、投光タイミングからの経過時間によらず、常に一定のサンプリングレートで、受光センサ34から出力された電気信号をサンプリングする。よって、A/D変換器35は、投光タイミングからの経過時間によらず常に一定の時間間隔で、デジタル信号を出力する。A/D変換器35から出力されたデジタル信号は、記憶制御部43に入力される。
【0052】
記憶制御部43は、投光タイミングからの経過時間に応じて、デジタル信号の間引き率を変化させる。より具体的には、記憶制御部43は、経過時間が短いほど間引き率を低くして、単位時間当たり、より多くのデジタル信号を記憶部41に記憶する。一方、記憶制御部43は、経過時間が長いほど間引き率を高くして、単位時間当たり、より少ない数のデジタル信号を記憶部41に記憶する。
【0053】
これにより、投光タイミングからの経過時間が長くなるほど、記憶部41にデジタル信号を記憶する頻度を少なくでき、記憶部41に記憶されるデジタル信号の記憶容量を抑制できる。
図6は第2の実施形態による電子装置1の処理動作を示すフローチャートである。投光タイミングからの経過時間の計測を開始し(ステップS11)、A/D変換器35は、一定のサンプリングレートで、受光センサ34から出力された電気信号をサンプリングしてデジタル信号を生成する(ステップS12)。記憶制御部43は、デジタル信号の中に、対象物で反射された反射光成分に対応するデジタル信号が含まれる場合には、投光タイミングからの経過時間が第1時間を超えたか否かを判定し(ステップS13)、第1時間を超えていなければ、第1間引き率でデジタル信号を間引いて記憶部41に記憶する(ステップS14)。なお、第1間引き率は、ゼロでもよい。第1間引き率がゼロであれば、記憶制御部43は、A/D変換器35が所定のサンプリングレートでサンプリングして生成したデジタル信号を間引かずに記憶部41に記憶する。
【0054】
ステップS13で第1時間を超えたと判定されると、経過時間が第2時間を超えたか否かを判定する(ステップS15)。経過時間が第2時間を超えていないと判定されると、第2間引き率でデジタル信号を間引いて記憶部41に記憶する(ステップS16)。第2間引き率は、第1間引き率よりも大きい間引き率であり、第1間引き率よりもデジタル信号を多く間引いて記憶部41に記憶する。これにより、記憶部41に記憶されるデジタル信号の頻度を少なくでき、記憶部41に記憶されるデジタル信号の記憶容量を抑制できる。
【0055】
ステップS15で経過時間が第2時間を超えたと判定されると、第3間引き率でデジタル信号を間引いて記憶部41に記憶する(ステップS17)。第3間引き率は、第2間引き率よりも大きい間引き率であり、第2間引き率よりもデジタル信号を多く間引いて記憶部41に記憶する。これにより、記憶部41に記憶されるデジタル信号の記憶容量をさらに抑制できる。
【0056】
このように、第2の実施形態では、一定のサンプリングレートでA/D変換されたデジタル信号を、投光タイミングからの経過時間に応じた間引き率で間引いて記憶部41に記憶するため、経過時間が長くなるほど記憶部41に記憶されるデジタル信号の頻度を低減でき、記憶部41に記憶されるデジタル信号の数を抑制できる。また、第2の実施形態によるA/D変換器35は一定のサンプリングレートでA/D変換を行うため、A/D変換器35の処理動作を簡略化できる。
【0057】
(第3の実施形態)
上述した第1及び第2の実施形態では、投光タイミングからの経過時間に応じて記憶部41にデジタル信号を記憶する際の書き込みレートを制御する例を説明したが、対象物までの距離に応じて書き込みレートを制御することも考えられる。
【0058】
図7は第3の実施形態による電子装置1の概略構成を示すブロック図である。
図7の電子装置1は、
図1の電子装置と比べて、距離計測部42と記憶制御部43の処理動作が一部異なる。後述するように、本実施形態では、対象物までの距離に応じてA/D変換器35のサンプリングレートを変化させる。よって、距離計測部42で計測された対象物までの距離情報は、記憶制御部43に入力される。第3の実施形態による記憶制御部43は、対象物までの距離に応じて、デジタル信号を記憶部41に記憶する際の書き込みレートを制御する。書き込みレートは、A/D変換器35でのサンプリングレートを変えることで制御できる。
【0059】
図8は対象物までの距離とサンプリングレートとの対応関係の一例を示す図である。
図8の例では、対象物までの距離が20m以内であれば1GHz、距離が20m〜200mであれば500MHz、距離が200mを超えると200MHzのサンプリングレートにしている。
図8の対応関係は一例であり、任意に変更して構わない。
【0060】
図8の破線は、距離計測の際に許容される距離誤差の直線L1である。この直線L1よりも下方側では、距離誤差が許容されることを示している。距離誤差の許容値は、対象物までの距離が短いほど小さくなり、わずかな距離誤差も許されなくなる。その一方、対象物までの距離が長いほど、距離誤差の許容値は大きくなる。
【0061】
図8からわかるように、A/D変換器35のサンプリングレートを下げると、距離誤差が大きくなる。本実施形態では、
図8の破線直線L1よりも距離誤差が小さくなるように、対象物までの距離とサンプリングレートとの対応関係を段階的に変化する線形特性とした。より具体的には、対象物までの距離が短い場合には、できるだけサンプリングレートを高くし、対象物までの距離が長くなるに従って段階的にサンプリングレートを低くする。
【0062】
本実施形態では、距離計測部42にて事前に対象物までの距離を計測する。距離計測部42は、本来的には投光タイミングと、第2の光に含まれる反射光のピーク位置のタイミングとの時間差により、対象物までの距離を計測する。距離計測部42は、A/D変換器35のサンプリングレートを決定するにあたって、本来の距離計測手法とは異なる手法で対象物までの距離を計測してもよい。例えば、ミリ波を送受信するレーダを用いて、対象物までの距離を計測してもよい。また、撮像部で撮像された画像により対象物までの距離を計測してもよい。
【0063】
図9は第3の実施形態による電子装置1の処理動作を示すフローチャートである。第1の光の投光を開始し(ステップS21)、距離計測部42は何らかの手段で対象物までの距離を計測する(ステップS22)。次に、計測された距離が第1距離を超えたか否かを判定する(ステップS23)。ステップS23で第1距離を超えていないと判定されると、受光センサ34から出力された電気信号を第1サンプリングレートでサンプリングしてA/D変換したデジタル信号を生成する。デジタル信号の中に、対象物で反射された反射光成分に基づくデジタル信号が含まれている場合には、記憶部41に記憶される(ステップS24)。
【0064】
ステップS23で第1距離を超えたと判定されると、計測された距離が第2距離を超えたか否かを判定する(ステップS25)。第2距離は、第1距離よりも長い距離である。ステップS25で第2距離を超えていないと判定されると、第2サンプリングレートでサンプリングしてA/D変換したデジタル信号を生成する。デジタル信号の中に、対象物で反射された反射光成分に基づくデジタル信号が含まれている場合には、記憶部41に記憶される(ステップS26)。第2サンプリングレートは、第1サンプリングレートよりも低いレートである。これにより、デジタル信号が記憶部41に記憶される頻度はステップS25よりも少なくなる。
【0065】
ステップS25で第2距離を超えたと判定されると、第3サンプリングレートでサンプリングしてA/D変換したデジタル信号を生成する。デジタル信号の中に、対象物で反射された反射光成分に基づくデジタル信号が含まれている場合には、記憶部41に記憶される(ステップS27)。第3サンプリングレートは、第2サンプリングレートよりも低いレートである。これにより、デジタル信号が記憶部41に記憶される頻度はステップS27よりも少なくなる。
【0066】
上述した
図8及び
図9では、対象物までの距離に応じて、連続的又は段階的にA/D変換器35のサンプリングレートを変化させているが、対象物までの距離は、第1の光が投光されてから、その反射光が受光部4で受光されるまでの飛行時間に応じた値である。よって、本実施形態による距離計測装置7は、第1の光及びその反射光の飛行時間の長さに応じて、連続的又は段階的にA/D変換器35のサンプリングレートを変化させるものである。
【0067】
このように、第3の実施形態では、対象物までの距離に応じてA/D変換器35がA/D変換するサンプリングレートを変化させるため、対象物までの距離が長い場合には、サンプリングレートを落とすことで、記憶部41に記憶されるデジタル信号のデータ量を抑制することができる。サンプリングレートを落とすと、距離誤差が大きくなるが、対象物が遠方に位置する場合は、距離誤差の許容度が大きいため、実用上問題ない。また、対象物までの距離が短い場合は、距離誤差をできるだけ少なくするために、サンプリングレートを高くする。これにより、対象物までの距離を精度よく計測できる。
【0068】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、対象物までの距離に応じて、受光センサ34から出力された電気信号のサンプリングレートを変化させているが、サンプリングレートは常に一定にする一方で、サンプリングされたデジタル信号の間引き率を対象物までの距離に応じて変化させてもよい。
【0069】
第4の実施形態による電子装置1は、
図1と同様のブロック構成を備えているが、受光部4内のA/D変換器35と信号処理部5内の記憶制御部43の処理動作が第3の実施形態とは異なる。
【0070】
第4の実施形態によるA/D変換器35は、対象物からの距離によらず、常に一定のサンプリングレートで、受光センサ34から出力された電気信号をサンプリングする。よって、A/D変換器35は、対象物からの距離によらず常に一定の時間間隔で、デジタル信号を出力する。A/D変換器35から出力されたデジタル信号は、記憶制御部43に入力される。
【0071】
記憶制御部43は、対象物からの距離に応じて、デジタル信号の間引き率を変化させる。より具体的には、記憶制御部43は、対象物からの距離が短いほど間引き率を低くして、単位時間当たり、より多くのデジタル信号を記憶部41に記憶する。一方、記憶制御部43は、対象物からの距離が長いほど間引き率を高くして、単位時間当たり、より少ない数のデジタル信号を記憶部41に記憶する。
【0072】
これにより、対象物からの距離が長くなるほど、記憶部41にデジタル信号を記憶する頻度を少なくでき、記憶部41に記憶されるデジタル信号の記憶容量を抑制できる。
【0073】
図10は第4の実施形態による電子装置1の処理動作を示すフローチャートである。第1の光の投光を開始し(ステップS31)、A/D変換器35は、一定のサンプリングレートで、受光センサ34から出力された電気信号をサンプリングしてA/D変換したデジタル信号を生成する(ステップS32)。
【0074】
ステップS32の処理に前後して、距離計測部42は何らかの手段で対象物までの距離を計測する(ステップS33)。次に、記憶制御部43は、対象物までの距離が第1距離を超えたか否かを判定する(ステップS34)。第1距離を超えていなければ、A/D変換器35が一定のサンプリングレートでサンプリングしてA/D変換したデジタル信号を、第1間引き率で間引いて記憶部41に記憶する(ステップS35)。なお、記憶部に記憶されるデジタル信号は、対象物で反射された反射光成分に基づくデジタル信号である。
【0075】
ステップS33で第1距離を超えたと判定されると、対象物までの距離が第2距離を超えたか否かを判定する(ステップS36)。第2距離を超えていないと判定されると、A/D変換器35が一定のサンプリングレートでサンプリングしてA/D変換したデジタル信号を、第2間引き率で間引いて記憶部41に記憶する(ステップS37)。第2間引き率は、第1間引き率よりも大きい値であり、記憶部41に記憶されるデジタル信号の頻度は、ステップS34よりも少なくなる。
【0076】
ステップS36で第2距離を超えたと判定されると、第3間引き率で間引いて記憶部41に記憶する(ステップS38)。第3間引き率は、第2間引き率よりも大きい値であり、記憶部41に記憶されるデジタル信号の頻度は、ステップS36よりも少なくなる。
【0077】
このように、第4の実施形態では、A/D変換器35は一定のサンプリングレートでA/D変換を行うため、A/D変換器35の処理動作を簡略化できる。また、第4の実施形態では、一定のサンプリングレートでA/D変換されたデジタル信号を、対象物までの距離に応じた間引き率で間引いて記憶部41に記憶するため、距離が長くなるほど記憶部41に記憶されるデジタル信号の頻度を低減でき、記憶部41に記憶されるデジタル信号の数を抑制できる。
【0078】
(第5の実施形態)
上述した第1〜第4の実施形態では、投光タイミングからの経過時間又は対象物までの距離により、受光された第2の光に対応するデジタル信号を記憶部41に記憶する書き込みレートを段階的又は連続的に切り替えているが、特定の経過時間又は特定の距離のときのみ、書き込みレートを一時的に高くしてもよい。例えば、特定の経過時間又は特定の距離に対応する位置に対象物が存在することがわかっている場合に、その対象物までの距離を精度よく計測する必要が生じる場合があることを考慮したものである。
【0079】
第5の実施形態による電子装置1は、
図1と同様のブロック構成を備えているが、信号処理部5内の記憶制御部43の処理動作が第1の実施形態とは異なる。記憶制御部43は、対象物までの距離が第1距離に対応する第1時間と、第1距離よりも大きい第2距離に対応する第2時間との間で、デジタル信号を記憶部41に記憶する際の書き込みレートを、第1時間以前の少なくとも一部の経過時間におけるデジタル信号を記憶部41に記憶する際の書き込みレートよりも大きくする。あるいは、記憶制御部43は、対象物までの距離が第1距離と、第1距離よりも大きい第2距離との間で、デジタル信号を記憶部41に記憶する際の書き込みレートを、第1距離以前の少なくとも一部の対象物までの距離におけるデジタル信号を記憶部41に記憶する際の書き込みレートよりも大きくする。
【0080】
図11は第5の実施形態による電子装置1の処理動作を示すフローチャートである。ステップS41〜S44の処理は、
図4のステップS1〜S4と同様である。ステップS44の処理が終わると、投光タイミングからの経過時間が例外時間範囲内か否かを判定する(ステップS45)。例外時間範囲とは、経過時間が第1時間から第2時間の間に設定される時間範囲である。例外時間範囲は、例えば、特定の位置に存在する対象物までの距離を精度よく計測したい場合に設定される。
【0081】
ステップS45で経過時間が例外時間範囲内と判定されると、記憶制御部43は、例外サンプリングレートでサンプリングしたデジタル信号を記憶部41に記憶する(ステップS46)。例外サンプリングレートとは、例えば、第1サンプリングレートよりも高いサンプリングレートである。
【0082】
ステップS46の処理が終了した場合、又はステップS45で経過時間が例外時間範囲でないと判定された場合、経過時間が第2時間より大きいか否かを判定する(ステップS47)。経過時間が第2時間以下の場合は、ステップS44以降の処理を繰り返す。経過時間が第2時間より大きい場合、記憶制御部43は、第3サンプリングレートでサンプリングしたデジタル信号を記憶部41に記憶する(ステップS48)。
【0083】
図11の処理では、サンプリングレートを切り替えているが、
図6のように、記憶部41にデジタル信号を記憶する際の間引き率を切り替えてもよい。すなわち、経過時間が例外時間範囲内と判定された場合の間引き率を一時的に低くしてもよい。また、
図11の処理では、投光タイミングからの経過時間に応じてサンプリングレートを切り替えているが、
図9のように、対象物までの距離に応じてサンプリングレートを切り替えてもよい。すなわち、対象物までの距離が例外距離範囲内と判定された場合のサンプリングレートを一時的に高くしてもよい。あるいは、
図10のように、対象物までの距離が例外距離範囲内と判定された場合の間引き率を一時的に低くしてもよい。
【0084】
このように、第5の実施形態では、投光タイミングからの経過時間が例外時間範囲内の場合、又は対象物までの距離が例外距離範囲内の場合に、一時的にサンプリングレートを高くしたり、記憶部41に記憶する際の間引き率を低くするため、特定の位置の対象物までの距離を精度よく計測できる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。