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特開2020-204593光学装置、車載システム、および移動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-204593(P2020-204593A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】光学装置、車載システム、および移動装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20201127BHJP
   G01S 17/93 20200101ALI20201127BHJP
【FI】
   G01S7/481 A
   G01S17/93
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-113559(P2019-113559)
(22)【出願日】2019年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】川上 智朗
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA10
5J084AB01
5J084AB07
5J084AC02
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA20
5J084BA21
5J084BB04
5J084BB14
5J084BB20
5J084BB25
5J084BB28
5J084DA01
5J084DA09
5J084EA01
5J084EA07
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】近距離から遠距離の対象物を良好に検出可能な光学装置、車載システム、および移動装置を提供すること。
【解決手段】光学装置は、第1波長の第1照明光および第2波長の第2照明光の少なくとも一方を偏向して物体を走査すると共に、物体からの第1波長の第1反射光および第2波長の第2反射光を偏向する偏向部と、第1照明光および第2照明光の少なくとも一方を偏向部に導光すると共に、偏向部からの第1反射光を第1受光部に導光し、偏向部からの第2反射光を第2受光部に導光する分岐部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長の第1照明光および第2波長の第2照明光の少なくとも一方を偏向して物体を走査すると共に、前記物体からの前記第1波長の第1反射光および前記第2波長の第2反射光を偏向する偏向部と、
前記第1照明光および前記第2照明光の少なくとも一方を前記偏向部に導光すると共に、前記偏向部からの前記第1反射光を第1受光部に導光し、前記偏向部からの前記第2反射光を第2受光部に導光する分岐部とを有することを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記分岐部は、前記第1照明光および前記第2照明光の少なくとも一方を前記偏向部に導光する光路分岐部と、前記偏向部からの前記第1反射光を第1受光部に導光し、前記偏向部からの前記第2反射光を第2受光部に導光する波長分離部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記光路分岐部は、前記第1照明光を前記偏向部に導光すると共に、前記波長分離部からの前記第1反射光を前記第1受光部に導光する第1の光路分岐部、および前記第2照明光を前記偏向部に導光すると共に、前記波長分離部からの前記第2反射光を前記第2受光部に導光する第2の光路分岐部を備えることを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記光路分岐部は、前記第1照明光および前記第2照明光を前記偏向部に導光すると共に、前記偏向部からの前記第1反射光および前記第2反射光を前記波長分離部に導光し、
前記波長分離部は、前記光路分岐部からの前記第1反射光を前記第1受光部に導光し、前記光路分岐部からの前記第2反射光を前記第2受光部に導光することを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項5】
前記光路分岐部は、前記第1照明光を前記偏向部に導光すると共に、前記偏向部からの前記第1反射光および前記第2反射光を前記波長分離部に導光し、
前記波長分離部は、前記光路分岐部からの前記第1反射光を前記第1受光部に導光し、前記光路分岐部からの前記第2反射光を前記第2受光部に導光することを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
【請求項6】
前記偏向部の偏向を制御する制御部を更に有することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光学装置。
【請求項7】
前記第1照明光の光量は、前記第2照明光の光量よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記第1受光部は、前記第2反射光を受光せず、
前記第2受光部は、前記第1反射光を受光しないことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の光学装置。
【請求項9】
前記偏向部の光射出側に配置された変倍光学系を更に有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の光学装置。
【請求項10】
前記変倍光学系の光軸は、前記照明光の主光線の光路と一致しないことを特徴とする請求項9に記載の光学装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の光学装置を備え、該光学装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて車両と前記物体との衝突可能性を判定することを特徴とする車載システム。
【請求項12】
前記車両と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記車両に制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置を備えることを特徴とする請求項11に記載の車載システム。
【請求項13】
前記車両と前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記車両の運転者に対して警告を行う警告装置を備えることを特徴とする請求項11又は12に記載の車載システム。
【請求項14】
前記車両と前記対象物との衝突に関する情報を外部に通知する通知装置を備えることを特徴とする請求項11乃至13の何れか1項に記載の車載システム。
【請求項15】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の光学装置を備え、該光学装置を保持して移動可能であることを特徴とする移動装置。
【請求項16】
前記光学装置によって得られた前記物体の距離情報に基づいて前記物体との衝突可能性を判定する判定部を有することを特徴とする請求項15に記載の移動装置。
【請求項17】
前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、移動を制御する制御信号を出力する制御部を備えることを特徴とする請求項16に記載の移動装置。
【請求項18】
前記物体との衝突可能性が有ると判定された場合に、前記移動装置の運転者に対して警告を行う警告部を備えることを特徴とする請求項16又は17に記載の移動装置。
【請求項19】
前記物体との衝突に関する情報を外部に通知する通知部を備えることを特徴とする請求項15乃至18の何れか1項に記載の移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明した対象物からの反射光を受光することで、対象物を検出する光学装置、車載システム、および移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物までの距離を計測する方法として、照明した対象物からの反射光を受光するまでの時間や反射光の位相から距離を算出するLiDAR(Light Detection and Ranging)が知られている。特許文献1には、対象物からの反射光を受光素子で受光した際の偏向部(駆動ミラー)の位置に基づいて対象物の位置と距離を計測する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4476599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠距離の対象物までの距離を計測する場合、対象物からの反射光を多く取り込むために、人眼に影響が出ない範囲で出射光の強度を強くする必要がある。このとき、装置内に迷光が発生し、受光部に到達して受光素子が飽和する場合がある。遠距離の対象物からの反射光は迷光による受光素子の飽和がリセットされた後に受光されるため、迷光は問題にならない。一方、近距離の対象物からの反射光は迷光による受光素子の飽和がリセットされる前に受光されるため、迷光か対象物からの反射光かを区別することが難しい。その結果、対象物との距離を計測できないばかりか、対象物の認識すらできなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、迷光に影響されることなく、近距離から遠距離の対象物を良好に検出可能な光学装置、車載システム、および移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての光学装置は、第1波長の第1照明光および第2波長の第2照明光の少なくとも一方を偏向して物体を走査すると共に、物体からの第1波長の第1反射光および第2波長の第2反射光を偏向する偏向部と、第1照明光および第2照明光の少なくとも一方を偏向部に導光すると共に、偏向部からの第1反射光を第1受光部に導光し、偏向部からの第2反射光を第2受光部に導光する分岐部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、迷光に影響されることなく、近距離から遠距離の対象物を良好に検出可能な光学装置、車載システム、および移動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の光学装置の概要図である。
図2】第1光源部からの照明光路と、第1検出部の受光光路の説明図である。
図3】第2光源部からの照明光路と、第2検出部の受光光路の説明図である。
図4】第1検出部と第2検出部で受光される迷光および対象物からの反射光の関係を表す図である。
図5】実施例2の光学装置の概要図である。
図6】第1光源部からの照明光路と、第1検出部の受光光路の説明図である。
図7】第2光源部からの照明光路と、第2検出部の受光光路の説明図である。
図8】実施例3の光学装置の概要図である。
図9】第1検出部と第2検出部で受光される迷光および対象物からの反射光の関係を表す図である。
図10】本実施形態に係る車載システムの構成図である。
図11】本実施形態に係る車両(移動装置)の模式図である。
図12】本実施形態に係る車載システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
LiDARを用いた光学装置は、対象物を照明する照明系と対象物からの反射光や散乱光を受光する受光系とから構成される。LiDARでは、照明系と受光系の光軸の一部が互いに一致する同軸系と、各光軸が互いに一致しない非同軸系がある。本実施形態に係る光学装置は、同軸系のLiDARに好適なものである。
【実施例1】
【0011】
図1は、本実施例の光学装置1の概要図である。第1光源部110は、光源111、および光源111からの発散光を略平行光にするコリメータ112を備え、第1波長の第1照明光を射出する。第2光源部210は、光源211、および光源211からの発散光を略平行光にするコリメータ212を備え、第2波長の第2照明光を射出する。本実施例では、第1光源部110は遠距離の対象物を照明するための光源として使用され、第2光源部210は近距離の対象物を照明するための光源として使用される。光源111,112として、エネルギー集中度が高く指向性のよいレーザである半導体レーザなどを用いることができる。後述するように光学装置1を車載システムに適用する場合などは、対象物に人間が含まれる可能性がある。そのため、光源111,112として、人間の目に対する影響が少ない赤外光を射出するものを採用することが望ましい。光源111が射出する光の波長は、近赤外域に含まれる880−950nmであることが望ましい。光源111が射出する光の波長は、905nmや945nmであることが特に望ましい。また、光源111が射出する光の波長は、1550nmであってもよい。波長1550nmの光は、水により吸収されるため、仮に人間の眼球に当たったとしても、眼球内にある水分に吸収され、網膜には到達しない。一方、光源211が射出する光の波長は、特に限定されないが、本実施例では830nmである。なお、本実施例では2つの光源を使用するが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
ダイクロイックミラー(波長分離部)30は、第1光源部110から射出された第1波長の第1照明光を透過し、第2光源部210から射出された第2波長の第2照明光を反射する。また、ダイクロイックミラー30は、駆動ミラー40からの反射光を第1波長の第1反射光と第2波長の第2反射光に分岐する。
【0013】
駆動ミラー(偏向部)40は、Y軸、またはY軸に垂直な一点鎖線で示されるMx軸を中心に回転する。駆動ミラー40は、第1照明光および第2照明光を偏向して対象物を走査すると共に、対象物からの反射光を偏向して光路分岐部21,22に導光する。
【0014】
変倍光学系50は、駆動ミラー40の光射出側に配置され、駆動ミラー40から光射出側にかけて平行光を拡大する光学系である。変倍光学系50は、対象物からの反射光を受光する際には駆動ミラー40の有効径より大きな面積の光を受光する。また、駆動ミラー40のチルトにより、駆動ミラー40の中心画角に対して光束が振れ角θで振られるとき、変倍光学系50から射出された光束が振れ角θ’で振られる。なお、光学装置1は、本実施例では、対象物からの反射光を多く受光するために変倍光学系50を有しているが、有していなくともよい。また、変倍光学系50が変倍以外の集光効果を有していてもよい。また、変倍光学系50は、光軸Azが駆動ミラー40からの照明光の主光線の光路と一致しないように偏心、またはチルトされていてもよい。
【0015】
光路分岐部21,22は、例えば有孔ミラーやビームスプリッターで構成され、対象物を照明するための照明光路と対象物からの反射光を受光するための受光光路を分岐させる。光路分岐部(第1の光路分岐部)21は、第1光源部110からの第1照明光を駆動ミラー40に導光すると共に、ダイクロイックミラー30からの第1波長の第1反射光(散乱光を含む)を第1検出部160に導光する。また、光路分岐部(第2の光路分岐部)22は、第2光源部210からの第2照明光を駆動ミラー40に導光すると共に、ダイクロイックミラー30からの第2波長の第2反射光(散乱光を含む)を第2検出部260に導光する。
【0016】
第1検出部(第1受光部)160は、結像レンズ161、受光素子162、および不図示のバンドパスフィルターを有する。受光素子162は、駆動ミラー40、ダイクロイックミラー30、および光路分岐部21を介して、対象物から反射、または散乱された光を受光する。第2検出部(第2受光部)260は、結像レンズ261、受光素子262、および不図示のバンドパスフィルターを有する。受光素子262は、駆動ミラー40、ダイクロイックミラー30、および光路分岐部22を介して、対象物から反射、または散乱された光を受光する。
【0017】
制御部60は、各光源部や駆動ミラー40を所定の駆動電圧や駆動周波数で駆動しつつ、対象物からの反射光を所定の周波数で受光できるように各受光素子を制御する。
【0018】
図2は、第1光源部110からの照明光路と、第1検出部160の受光光路の説明図である。図2(a)は、第1照明光が、ダイクロイックミラー30を透過し、駆動ミラー40で走査されながら反射し、変倍光学系50で光学的に変倍されて、光学装置1から距離Tだけ離れている対象物(物体)OBJを照明する様子を表している。図2(b)は、対象物OBJからの反射光、または散乱光が、変倍光学系50を通り、駆動ミラー40で反射し、ダイクロイックミラー30を透過し、光路分岐部21で反射し、第1検出部160に集光される様子を表している。第1検出部160は第1波長の第1反射光を受光する一方で第2波長の第2反射光を受光しないように、受光素子162、バンドパスフィルター、およびダイクロイックミラー30は設計されている。
【0019】
図3は、第2光源部210からの照明光路と、第2検出部260の受光光路の説明図である。図3(a)は、第2照明光が、ダイクロイックミラー30で反射し、駆動ミラー40で走査されながら反射し、変倍光学系50で光学的に変倍されて、対象物OBJを照明する様子を表している。図3(b)は、対象物OBJからの反射光、または散乱光が、変倍光学系50を通り、駆動ミラー40で反射し、ダイクロイックミラー30で反射し、光路分岐部22で反射し、第2検出部260に集光される様子を表している。第2検出部260は第2波長の第2反射光を受光する一方で第1波長の第1反射光を受光しないように、受光素子262、バンドパスフィルター、およびダイクロイックミラー30は設計されている。
【0020】
本実施例では、第1光源部110からの照明光路と第2光源部210の照明光路は、駆動ミラー40の光射出側において一致している。また、第1検出部160の受光光路と第2検出部260の受光光路は、駆動ミラー40の光射出側において一致している。すなわち、照明光路と受光光路は、駆動ミラー40の光射出側において一致している。
【0021】
本実施例では、第1検出部160と第2検出部260は、駆動ミラー40の同一の回転角に応じた対象物OBJからの反射光を受光する。
【0022】
本実施例では、第1光源部110は遠距離の対象物を照明するための光源として使用され、第2光源部210は近距離の対象物を照明するための光源として使用される。そのため、第1光源部110からの第1照明光の光量は、第2光源部110からの第2照明光の光量よりも大きくように設定されている。結果として、第1検出部160で検出される光学装置1の内部で発生する迷光の光量は、第2検出部260で検出される迷光の光量よりも大きくなる。
【0023】
図4は、第1検出部160と第2検出部260で受光される迷光および対象物からの反射光の関係を表す図である。図4(a)は、各検出部が遠距離の対象物からの反射光を受光した場合の各検出部で検出される信号を表している。図4(b)は、各検出部が近距離の対象物からの反射光を受光した場合の各検出部で検出される信号を表している。横軸は時間、縦軸は第1検出部160と第2検出部260で検出される信号の強度である。図4では、タイミングt1は各光源が発光したタイミングであり、タイミングt2,t3は各受光部が対象物OBJからの反射光を受光したタイミングである。また、信号160s,260sはそれぞれ、第1検出部160および第2検出部260で検出される信号である。
【0024】
図4(a)において、第1検出部160は、タイミングt1で光源111が発光した直後に迷光の信号160gを検出し、時間t2−t1の経過後、遠距離の対象物からの反射光の信号160tを検出する。また、第2検出部260は、タイミングt1で光源211が発光した直後に迷光の信号260gを検出し、時間t2−t1の経過後、遠距離の対象物からの反射光の信号260tを検出する。前述したように、第1光源部110からの第1照明光の光量は第2光源部210からの第2照明光の光量よりも大きいので、信号160gの強度は信号260gの強度より強い。そのため、第1検出部160は、信号160gを受光すると飽和する。しかしながら、信号160gはタイミングt2までにリセットされるので、第1検出部160は信号160tを正確に検出することができる。
【0025】
図4(b)において、第1検出部160は、タイミングt1で光源111が発光した直後に迷光の信号160gを検出し、時間t3−t1の経過後、近距離の対象物からの反射光の信号160tを検出する。図4(a)の場合と同様に、第1検出部160は信号160gを受光したことで飽和する。しかしながら、図4(b)では、各検出部は近距離の対象物からの反射光を受光するため、対象物からの反射光の信号が検出されるタイミングは図4(a)の場合に比べて早くなっている。すなわち、タイミングt3は、タイミングt2よりもタイミングt1に近い。したがって、信号160gは、信号160tが検出されるタイミングt3までにリセットできず、信号160tと重なる。そのため、第1検出部160による近距離の対象物の認識や対象物までの距離の計測は難しい。一方、第2検出部260は、タイミングt1で光源211が発光した直後に迷光の信号260gを検出し、時間t3−t1の経過後、近距離の対象物からの反射光の信号260tを検出する。信号260gは信号260tが検出されるタイミングt3までにリセットされるので、第2検出部260は信号260tを正確に検出することができる。
【0026】
本実施例では、ダイクロイックミラー30は、駆動ミラー40からの反射光を第1の波の第1反射光と第2波長の第2反射光に分岐する。第1検出部160は第1反射光を受光し、第2検出部260は第2反射光を受光する。このような構成により、遠距離の対象物との距離を計測するために出射光の強度を強くし、光学装置1の内部に迷光が発生した場合であっても、迷光に影響されることなく、近距離から遠距離の対象物までの距離を良好に計測できる。
【0027】
また、第1検出部160の受光光路と第2検出部260の受光光路を駆動ミラー40の光射出側において一致させることで、各検出部により検出される際の対象物の向きを完全に一致させることができる。そのため、各波長での受光部のダイナミックレンジを特定の距離に対応させることで良好に距離を計測できる。
【0028】
また、波長に応じて計測する対象物の距離を割り振ることで、単一波長の光源を使って対象物の距離を計測する場合よりも光源の出力を下げることができるため、人眼への影響を抑えることができ、安全かつ正確に対象物の距離を計測することができる。
【実施例2】
【0029】
図5は、本実施例の光学装置2の概要図である。本実施例では、実施例1に対して、駆動ミラー40の光源側の素子がダイクロイックミラー30から光路分岐部20に変更されている。
【0030】
図6は、第1光源部110からの照明光路と、第1検出部160の受光光路の説明図である。図6(a)は、第1照明光が、ダイクロイックミラー31を透過し、光路分岐部20を通過し、駆動ミラー40で走査されながら反射し、変倍光学系50で光学的に変倍されて、光学装置1から距離Tだけ離れている対象物OBJを照明する様子を表している。図6(b)は、対象物OBJからの反射光、または散乱光が、変倍光学系50を通り、駆動ミラー40で反射し、光路分岐部20で反射し、ダイクロイックミラー(波長分離部)32を透過し、第2検出部160に集光される様子を表している。
【0031】
図7は、第2光源部210からの照明光路と、第2検出部260の受光光路の説明図である。図7(a)は、第2照明光が、ダイクロイックミラー31で反射し、光路分岐部20を通過し、駆動ミラー40で走査されながら反射し、変倍光学系50で光学的に変倍されて、対象物OBJを照明する様子を表している。図7(b)は、対象物OBJからの反射光、または散乱光が、変倍光学系50を通り、駆動ミラー40で反射し、光路分岐部20で反射し、ダイクロイックミラー32で反射し、第2検出部260に集光される様子を表している。
【0032】
本実施例では、光路分岐部20により照明光路と受光光路を分岐させた後、ダイクロイックミラー32が駆動ミラー40からの反射光を第1の波の第1反射光と第2波長の第2反射光に分岐する。照明光路と受光光路が重なる部分で光学素子が一つ減っているため、照明時に光学素子面で反射、または散乱する迷光が減るため、対象物の距離の計測精度を向上させることができる。
【実施例3】
【0033】
図8は、本実施例の光学装置3の概要図である。本実施例では、実施例2に対して、第1光源部110からの照明光路と第2光源部210からの照明光路が一致していない点が異なる。ただし、第1光源部110からの照明光路と第1検出部160および第2検出部260の受光光路は、駆動ミラー40の光射出側において一致している。
【0034】
端面GPは、第1光源部110からの第1照明光を用いて対象物の距離を計測する際に、迷光で計測が難しい距離の端面である。端面GPより遠い距離の対象物を計測する場合、第1検出部160は迷光があっても対象物からの反射光を検出し、対象物までの距離を精度良く計測できる。第2光源部210は、光学装置3から端面GPまでの領域を照明する。
【0035】
図9は、端面GPに対象物OBJがある場合の第1検出部160と第2検出部260で受光される迷光および対象物からの反射光の関係を表す図である。第1検出部160は、光学装置1の内部で発生した迷光の信号160gを検出し、信号160gがリセットされると同時に対象物OBJからの反射光の信号160tを検出する。第2検出部260は、受光光路が照明光路と一致していないため、迷光を検出しないが、対象物OBJからの反射光の信号260tを検出する。光学装置1内には信号260tが信号160tと同じタイミングt4で検出されるように、図示の遅延光路が設けられ、第2光源部210から対象物OBJまでの光路長が第1光源部110から対象物OBJまでの光路長と同等になるよう調整されている。
【0036】
本実施例のように、同軸系と非同軸系の構成を用いた場合でもダイクロイックミラー32により駆動ミラー40からの反射光を第1波長の第1反射光と第2波長の第2反射光に分岐することで、近距離から遠距離の対象物までの距離を良好に計測できる。また、本実施例では、対象物の照明される向きが異なるため、2つの光源の光が同時に人眼に入ったとしても、網膜上では異なる位置を照明することになるので、被ばく量が分散し、人眼への影響を小さくできる。
【0037】
以上説明したように、本発明は、遠距離の対象物までの距離を計測するために同軸系の光学系を用いるとともに、対象物からの反射光を異なる波長の光に分岐することで、迷光の影響を受けずに、近距離から遠距離の対象物までの距離を良好に計測できる。また、本発明は、光学装置の内部で発生した迷光に限らず、光学装置のごく近傍に対象物があった場合でも応用できる。例えば、装置をカバーするガラスが光学装置の射出面のごく近傍にあった場合、近距離計測用の受光光路で反射光を受光することで、信号飽和することなく信号処理できる。
[車載システム]
図10は、本実施形態に係る光学装置1及びそれを備える車載システム(運転支援装置)1000の構成図である。車載システム1000は、自動車(車両)等の移動可能な移動体(移動装置)により保持され、光学装置1により取得した車両の周囲の障害物や歩行者などの対象物の距離情報に基づいて、車両の運転(操縦)を支援するための装置である。図11は、車載システム1000を含む車両500の模式図である。図11においては、光学装置1の測距範囲(検出範囲)を車両500の前方に設定した場合を示しているが、測距範囲を車両500の後方や側方などに設定してもよい。
【0038】
図10に示すように、車載システム1000は、光学装置1と、車両情報取得装置200と、制御装置(ECU:エレクトロニックコントロールユニット)300と、警告装置(警告部)400とを備える。車載システム1000において、光学装置1が備える制御部60は、距離取得部(取得部)及び衝突判定部(判定部)としての機能を有する。ただし、必要に応じて、車載システム1000において制御部60とは別体の距離取得部や衝突判定部を設けてもよく、夫々を光学装置1の外部(例えば車両500の内部)に設けてもよい。あるいは、制御装置300を制御部60として用いてもよい。
【0039】
図12は、本実施形態に係る車載システム1000の動作例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに沿って車載システム1000の動作を説明する。
【0040】
まず、ステップS1では、光学装置1の光源部により車両の周囲の対象物を照明し、対象物からの反射光を受光することで受光素子が出力する信号に基づいて、制御部60により対象物の距離情報を取得する。また、ステップS2では、車両情報取得装置200により車両の車速、ヨーレート、舵角などを含む車両情報の取得を行う。そして、ステップS3では、制御部60によって、ステップS1で取得された距離情報やステップS2で取得された車両情報を用いて、対象物までの距離が予め設定された設定距離の範囲内に含まれるか否かの判定を行う。
【0041】
これにより、車両の周囲の設定距離内に対象物が存在するか否かを判定し、車両と対象物との衝突可能性を判定することができる。なお、ステップS1及びS2は、上記の順番とは逆の順番で行われてもよいし、互いに並列して処理を行われてもよい。制御部60は、設定距離内に対象物が存在する場合は「衝突可能性あり」と判定し(ステップS4)、設定距離内に対象物が存在しない場合は「衝突可能性なし」と判定する(ステップS5)。
【0042】
次に、制御部60は、「衝突可能性あり」と判定した場合、その判定結果を制御装置300や警告装置400に対して通知(送信)する。このとき、制御装置300は制御部60での判定結果に基づいて車両を制御し(ステップS6)、警告装置400は制御部60での判定結果に基づいて車両のユーザ(運転者)への警告を行う(ステップS7)。なお、判定結果の通知は、制御装置300及び警告装置400の少なくとも一方に対して行えばよい。
【0043】
制御装置300は、車両の駆動部(エンジンやモータなど)に対して制御信号を出力することで、車両の移動を制御することができる。例えば、車両においてブレーキをかける、アクセルを戻す、ハンドルを切る、各輪に制動力を発生させる制御信号を生成してエンジンやモータの出力を抑制するなどの制御を行う。また、警告装置400は、運転者に対して、例えば警告音を発する、カーナビゲーションシステムなどの画面に警告情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどの警告を行う。
【0044】
以上、本実施形態に係る車載システム1000によれば、上記の処理により対象物の検出及び測距を行うことができ、車両と対象物との衝突を回避することが可能になる。特に、上述した各実施例に係る光学装置1を車載システム1000に適用することで、高い測距精度を実現することができるため、対象物の検出及び衝突判定を高精度に行うことが可能になる。
【0045】
なお、本実施形態では、車載システム1000を運転支援(衝突被害軽減)に適用したが、これに限らず、車載システム1000をクルーズコントロール(全車速追従機能付を含む)や自動運転などに適用してもよい。また、車載システム1000は、自動車等の車両に限らず、例えば船舶や航空機、産業用ロボットなどの移動体に適用することができる。また、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)や監視システム等の物体認識を利用する種々の機器に適用することができる。
【0046】
また、車載システム1000や移動装置500は、万が一移動装置500が障害物に衝突した場合に、その旨を車載システムの製造元(メーカー)や移動装置の販売元(ディーラー)などに通知するための通知装置(通知部)を備えていてもよい。例えば、通知装置としては、移動装置500と障害物との衝突に関する情報(衝突情報)を予め設定された外部の通知先に対して電子メールなどによって送信するもの採用することができる。
【0047】
このように、通知装置によって衝突情報を自動通知する構成を採ることにより、衝突が生じた後に点検や修理などの対応を速やかに行うことができる。なお、衝突情報の通知先は、保険会社、医療機関、警察などや、ユーザーが設定した任意のものであってもよい。また、衝突情報に限らず、各部の故障情報や消耗品の消耗情報を通知先に通知するように通知装置を構成してもよい。衝突の有無の検知については、上述した受光部からの出力に基づいて取得された距離情報を用いて行ってもよいし、他の検知部(センサ)によって行ってもよい。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1,2,3 光学装置
20,21,22 光路分岐部(分岐部)
30,32 ダイクロイックミラー(分岐部)
40 走査ミラー(偏向部)
160 第1検出部(第1受光部)
260 第2検出部(第2受光部)
1000 対象物(物体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12