【解決手段】光を用いた光学的測距装置10は、発光領域の第1方向の長さが前記第1方向に交差する第2方向に比べて長い発光領域を有する第1発光素子21aと第2発光素子21bとを、前記第2方向に予め定められた距離だけ離間して配置した発光部20と、前記第1発光素子、前記第2発光素子にそれぞれ対応して設けられ、前記第2方向に隔たり、かつ、前記第1方向に重なる位置に配置された2個の投光レンズ22a、22bと、前記発光部から射出され、2個の前記投光レンズを通過した発光ビームを測定範囲に向けて走査させるスキャナ26と、前記発光部から射出された前記発光ビームの反射光を受光する受光部30と、前記発光部の発光から前記受光部での受光までの時間に応じて対象物までの距離を測定する測定部40と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0007】
・第1実施形形態:
光学的測距装置10は、例えば車両に搭載され、対象物までの距離を測定するために用いられる。
図1に示すように、光学的測距装置10は、発光部20と、受光部30と、測定部40と、を備える。発光部20は、測定範囲MRに対して発光ビームILを射出する。本実施形態では、発光部20は、発光ビームILを走査方向SDに走査する。発光ビームILは、走査方向SDに直交する方向が長手方向となる矩形形状に形成されている。受光部30は、発光ビームILの照射に応じた測定範囲MRを含む範囲からの反射光RLを受光し、反射光RLの受光状態に応じた信号を出力する。測定部40は、受光部30から出力された信号を用いて、測定範囲MR内に存在する対象物までの距離を測定する。なお、走査方向は、いずれの方向でもよく、2次元的に走査してもよい。
【0008】
図2に光学的測距装置10のブロック図を示す。発光部20は、発光素子21と、投光レンズ22と、走査制御部29と、スキャン装置である一次元のスキャナ26と、を備える。発光素子21は、例えば半導体レーザダイオードで構成されており、パルスレーザ光PLを一次元スキャナ26に照射する。投光レンズ22は、パルスレーザ光PLを通過させて細長い矩形形状の発光ビームILを生成する。
【0009】
一次元スキャナ26は、発光ビームILを反射して測定範囲MRのSD方向の一次元の走査を行う。一次元スキャナ26は、ミラーと、強制・共振型MEMSと、を有している。一次元スキャナ26は、強制・共振型MEMSを駆動することにより、ミラーの角度を少しずつ回転させることで、発光ビームILの方向を変え、SD方向への一次元の走査を行う。強制・共振型MEMSの代わりに、往復または回転運動型ミラーを用いても良い。
【0010】
走査制御部29は、一次元スキャナ26の走査角度を検出し、この検出結果に基づいて、発光素子21によるパルスレーザ光PLの発光と、一次元スキャナ26を用いた発光ビームILの走査を制御する。
【0011】
受光部30は、受光素子アレイ34とデコーダ36とを備える。受光素子アレイ34は、複数の受光素子32を縦n×横m(n、mは、2以上の自然数)の二次元のアレイ状に配列することで構成されている。受光素子32は、シングルフォトンアバランシフォトダイオード(SPAD)で構成されており、受光素子アレイ34は、SPADアレイである。受光素子32は、その受光面に反射光等の光が入射すると、検出信号を出力する。受光素子32の構成については、後述する。
【0012】
デコーダ36は、受光素子32を選択するための回路である。デコーダ36は、複数の受光素子32により構成される行列の列毎に設けられた選択制御線CL1からCLnを備える。選択制御線CL1からCLnは、対応する列に配置されている受光素子32をm個ずつに分けた列毎に接続される。デコーダ36は、選択制御線CL1からCLnに順に選択制御電圧を印加することにより、列単位で受光素子32を順に選択する。列単位で選択された受光素子32のデータは、それぞれの行に設けられたデータ線DL1からDLmに出力される。行の方向は、後述する第2方向に対応しており、後述する測定部40では、第2方向に沿った行毎に信号処理が行われる。
【0013】
測定部40は、発光部21が発光ビームILを照射した時刻t0と、受光部30が反射光RLを検出した時刻との差に基づいて、発光ビームILを反射した物体までの距離を計測する処理を行う。測定部40は、行毎に設けられているデータ線DL1からDLmに接続されている。測定部40の構成とデータ処理についての詳細は後述する。
【0014】
図3を用いて、発光素子21から発光されたパルスレーザ光が受光部30に到達するまでを説明する。細長い矩形形状を有する発光素子21から発光されたパルスレーザ光は、投光レンズ22により拡大されて発光ビームILになる。矩形形状を有する発光ビームILは、一次元スキャナ26で反射して物体(図示せず)に向かう。物体の表面で乱反射した反射光RLは、受光レンズ31により集光されて、受光部30に入射する。
【0015】
図4に示すように、受光素子32は、アバランシェフォトダイオード32dと、クエンチング抵抗器32rと、インバータ回路32iと、AND回路32aを含む周知の回路によって構成されている。より具体的には、受光素子32は、電源と接地ラインとの間に直列にクエンチング抵抗器32rとアバランシェフォトダイオード32dとが接続され、その接続点にインバータ回路32iの入力側が接続されることにより構成されている。クエンチング抵抗器32rは電源側に接続され、アバランシェフォトダイオード32dは、逆バイアスとなるように接地ライン側に接続されている。受光素子32は、ガイガーモードで動作し、物体から反射された反射光(1つ以上のフォトン)が入射されると、その反射光が入射したことを示すパルス信号を一定の確率で出力する。AND回路32aには、反射光が入射したことを示すパルス信号と、選択制御線CL1を選択する信号とが入力されている。すなわち、デコーダ36で選択された選択制御線、例えば選択制御線CL1に接続された列に配置されている受光素子32から得られるパルス信号を、例えばデータ線DL1からDLmに出力する。
【0016】
測定部40は、データ線DL1からDLmのそれぞれに、受光強度計測部45と、距離算出部48と、を備える。受光強度計測部45は、加算部42と、ヒストグラム生成部44と、ピーク検出部46とを備える。
【0017】
加算部42は、受光部30に含まれる複数の受光素子32から略同時にデータ線DL1に出力されたパルス信号の数を加算して加算値を求める。加算部42は、求めた加算値をヒストグラム生成部44に出力する。
【0018】
ヒストグラム生成部44は、加算部42から出力された加算値に基づきヒストグラムを生成する。
図5は、ヒストグラムの一例を示している。ヒストグラムの階級(横軸)は、発光部21から光が照射されてから反射光が受光されるまでの光の飛行時間を示している。この時間のことを、TOF(Time Of Flight)ともいう。ヒストグラムの度数(縦軸)は、加算部42によって算出された加算値であり、物体から反射してきた反射光RLの強度を示している。ヒストグラム生成部44は、発光部21から照射される発光ビームの周期に同期した記録タイミングに従って、加算部42から出力された加算値を予め定められた時間間隔ごとに記録することによってヒストグラムを生成する。発光部21によって光が照射される範囲に物体が存在すれば、その物体からの反射光RLが入射する時刻に対応する階級の度数が大きくなる。つまり、ヒストグラムにおいて大きな度数を有する階級が存在すれば、その階級に対応する時刻に基づいて、物体までの距離を算出することができる。なお、1つのヒストグラムを生成するにあたり、光を複数回照射して度数を積算してもよい。こうすることにより、SN比を向上させることができる。
【0019】
ピーク検出部46は、ヒストグラムからピークを検出する。本実施形態において、ピークとは、予め定めた閾値を超える度数であり、かつ、度数が極大となる度数を意味する。距離算出部48は、ピークに対応する時刻から、物体までの距離を算出する。
【0020】
図6に示すように、発光素子21から射出されたパルスレーザ光は、投光レンズ22により発光ビームILとなり、投光レンズ22から距離Eの位置で照射光SLとして拡大される。ここで、発光素子21の第1方向の長さをL1、投光レンズ22の焦点距離をf1、照射光SLの第1方向の長さをLm、発光ビームILの画角をθ1とすると、
Lm=L1×E/f1 …(1)
Lm=2×E×tan(θ1/2) …(2)
となる。ここで、第1方向とは、発光素子21の長手方向であり、
図6では、z方向である。なお、
図6を含め、本明細書に添付する図は、見やすくするために模式的に示した図であり、図面上のサイズや角度は、正確なサイズ、角度を表していない。また、一次元スキャナ26の図示を省略している。
【0021】
図7、
図8は、本実施形態における発光ビームの画角を2倍にする方法である。本実施形態では、2個の発光素子21a、21bと、2個の投光レンズ22a、22bを備えている。2個の発光素子21a、21bは、いずれも第1方向(z方向)の長さがL1であり、第1方向と交差する第2方向(y方向)の長さがDであり、L1>Dである。2個の発光素子21a、21bは、第2方向に間隔Bだけ離間して配置されている。第1投光レンズ22aは、第1発光素子21aに対応して設けられ、第2投光レンズ22bは、第2発光素子21bに対応して設けられている。第1発光素子21aは、投光レンズ22aの光軸22ao上に位置し、第2発光素子21bは、投光レンズ22bの光軸22bo上に位置している。光軸22ao、22boはx方向に平行である。2つの投光レンズ22a、22bは、第2方向に隔たり、かつ、第1方向に重なる位置に配置されている。「第2方向に隔たる」とは、第2方向と交わる方向、例えばx方向から2つの投光レンズ22a、22bを見た時に、2個の投光レンズ22a、22bが重なっていないように見えることを意味する。「第1方向に重なる位置」とは、第1方向と交わる方向、例えば第2方向に沿った方向から2個の投光レンズ22a、22bを見た時に、2個の投光レンズ22a、22bの少なくとも一部同士が重なっているように見えることを意味する。2個の投光レンズ22a、22bの焦点距離f2は、いずれも
図6の投光レンズ22の焦点距離f1の半分である。
【0022】
本実施形態では、発光素子21aから射出された光である発光ビームILaと、発光素子21bから射出された光である発光ビームILbは、照射先において、照射領域SLa、SLbの第2方向の幅がCに拡大されている。幅Cは、以下の式(3)で表される。
C=D×E/f2 …(3)
第1投光レンズ22aは、第1発光素子21aに対応して設けられ、第2投光レンズ22bは、第2発光素子21bに対応して設けられており、第1発光ビームILaは、第2投光レンズ22bを通過せず、第2発光ビームILbは、第1投光レンズ22aを通過しない。そのため、2つの発光ビームILa、ILbは、第2方向についてBだけシフトした状態を維持して照射され、照射先では、シフト量は拡大されず、Bのままである。そして、照射領域SLa、SLbの幅Cのうち、C−Bの大きさの範囲が重なる。一般に、E>>f2であるので、C>>Bであり、そのため、2つの発光ビームILa、ILbはほとんど重なっており、実質的に一本の発光ビームとみなせる。例えば、第1発光素子21a、第2発光素子21bの第2方向の長さDを10μm、焦点距離f1を5mm、照射先までの距離Eを100mとすると、Cは、0.2m(200mm)となる。2つの発光素子21a、21bの間隔を6mmとすると、C+Bは206mmであり、C>>Bであり、2つの発光ビームILa、ILbはほとんど重なっており、実質的に一本の発光ビームとみなせる。
【0023】
2つの発光ビームILa、ILbの重なり部分における単位面積当たりの光の強度は、
図6の1つの発光ビームILにおける単位面積当たりの光の強度と同じである。この理由は、照射先において、2つの発光ビームILa、ILbが重なる分、重なった部分の光量は2倍になるが、第1方向の長さが2倍に拡大しているため、面積当たりの光強度は、同じになるからである。
【0024】
以上、第1実施形態によれば、発光領域の第1方向の長さL1が第1方向に交差する第2方向の長さDに比べて長い発光領域を有する第1発光素子21aと第2発光素子21bとを、第2方向に予め定められた距離Bだけ離間して配置した発光部21と、第1発光素子21a、第2発光素子21bにそれぞれ対応して設けられ、第2方向に隔たり、かつ、第1方向に重なる位置に配置された2個の投光レンズ22a、22bとを備えるので、照射先において、単位面積当たりの光の強度を低下させることなく、
図6に示す構成に比べて発光ビームILa、ILbの画角を約2倍に大きくできる。
【0025】
・第2実施形態:
図9Aに示す例は、第1発光素子21aを第2発光素子21bに対して第1方向(z方向)に僅かにずらして配置している。すなわち、2個の投光レンズ22a、22bの光軸22ao、22boは平行であり、第1発光素子21aは対応する投光レンズ22aの光軸22aoから第1方向と反対側(−z方向)にシフトして位置し、第2発光素子21bは対応する投光レンズ22bの光軸22boから第1方向にシフトして位置している。本実施形態では、第1発光素子21aは、それぞれ第1方向に並ぶ4つの発光領域ldaを有する。隣接する発光領域ldaの間には、光を射出しない3つの非発光領域ldnが設けられている。すなわち、4つの発光領域ldaは、隣接する発光領域ldaの間に非発光領域ldnを開けて第1方向に並べられている。非発光領域ldnを設けるのは、発光素子21a、21bの各発光領域ldaにおける出力を大きくするためである。第2発光素子21bも同様に発光領域ldbと非発光領域ldnを備える。非発光領域ldnの第1方向の大きさは、発光領域ldaの第1方向の大きさよりも小さく、第1方向において、第1発光素子の発光領域ldaが第2発光素子の非発光領域ldnに重なる位置に位置するように、第1発光素子と第2発光素子とが第1方向にシフトして配置されている。
【0026】
図10に示すように、第1発光ビームILaは、照射先では、第1方向に4つの照射領域SLa1、SLa2、SLa3、SLa4を形成し、それらの間に非発光領域ldnに起因する非照射領域ga1、ga2、ga3が生じている。同様に、第2発光ビームILbは、第1方向に4つの照射領域SLb1、SLb2、SLb3、SLb4を形成し、それらの間に非発光領域ldnに起因する非照射領域gb1、gb2、gb3が生じている。4つの照射領域SLa1、SLa2、SLa3、SLa4と、4つの照射領域SLb1、SLb2、SLb3、SLb4とは、第2方向において、拡大後の幅Cのうち、C−Bの大きさの範囲が重なっている。4つの照射領域SLa1、SLa2、SLa3、SLa4と、4つの照射領域SLb1、SLb2、SLb3、SLb4とは、第1方向にもシフトしている。具体的には、照射領域SLa1、SLa2の間の非照射領域ga1に第2発光ビームILbの照射領域SLb2が位置し、同様に、非照射領域ga2に照射領域SLb3が位置し、非照射領域ga3に照射領域SLb4が位置している。逆に、照射領域SLb1、SLb2の間の非照射領域gb1に第1発光ビームILaの照射領域SLa1が位置し、非照射領域gb2に照射領域SLa2が位置し、非照射領域gb3に照射領域SLa3が位置している。その結果、照射先では、第1発光ビームILaと第2発光ビームILbの少なくとも一方が照射されるので、第1発光ビームILaと第2発光ビームILbのいずれもが照射されない領域を存在しなくできる。その結果、発光ビームILa、ILbが照射されず検出不能となる領域を無くすことができる。
【0027】
上記第2実施形態において、第1発光素子21a、第2発光素子21bは、それぞれ第1方向に並ぶ4つの発光領域ldaを有するとしたが、第1発光素子21a、第2発光素子21bは、それぞれ第1方向に並ぶn個(nは2以上)の発光領域ldaを有する構成であればよい。また、第1発光素子21aと第2発光素子21bの発光領域ldaは同じ数であってもよく、1個違いであってもよい。
【0028】
非照射領域ga1からga3、gb1からgb3に対応する受光素子32の位置は予め分かっている。そのため、非照射領域ga1からga3、gb1からgb3に対応する受光素子32における反射光RLの受光強度が小さくても、対応する受光素子32から検出信号のヒストグラムの値を2倍にするなど正規化を実行することで、受光強度が小さくなることに対応できる。
【0029】
図9Bに示す例は、
図9Aに示す例の変形例であり、2個の投光レンズ22a、22bの光軸22ao、22boは平行であり、第1発光素子21aは対応する投光レンズ22aの光軸22ao上に位置し、第2発光素子21bは対応する投光レンズ22bの光軸22bo上に位置し、2本の光軸22ao、22boが第1方向にシフトして位置している。このように構成しても、
図9Aに示す第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0030】
図9Cに示す例は、第1発光素子21aは対応する投光レンズ22aの光軸22ao上に位置し、第2発光素子21bは対応する投光レンズ22bの光軸22bo上に位置し、2個の光軸22ao、22boは、第1方向と第1方向と反対方向にそれぞれに傾いている。このように構成しても、
図9Aに示す第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0031】
・第3実施形態:
図11に示す第3実施形態では、2つの投光レンズ22a、22bの後段に、シリンドリカルレンズ27を備える。シリンドリカルレンズ27は、発光ビームILa、ILbの第1方向の画角を2倍に拡大する機能を有する。なお、シリンドリカルレンズ27は、第2方向の画角を拡大しない。
【0032】
第3実施形態によれば、シリンドリカルレンズ27を用いて第1発光ビームILaと第2発光ビームILbの画角を、シリンドリカルレンズ27を用いない場合の2倍に拡大するので、2つの投光レンズ22a、22bとして、
図6の投光レンズ22の焦点距離f1と同じ焦点距離の投光レンズを用いても、画角を2倍にできる。また、2つの発光ビームILa、ILbの重なり部分における単位面積当たりの光の強度を、
図6の1つの発光ビームILにおける単位面積当たりの光の強度と同じにできる。また、シリンドリカルレンズ27は、第2方向の画角を拡大しないので、シリンドリカルレンズ27を用いれば、発光ビームILa、ILbの第2方向の幅が拡大されないことから、第2方向の検出の解像度を低下させること無く、第1方向の画角を拡大できる。
【0033】
・第4実施形態:
図12に示す第4実施形態では、第1発光素子21aが照射する第1領域SLaと、第2発光素子21bが照射する第2領域SLbとが、第1方向において接するように、第1発光素子21aと第2発光素子21bとが配置されている。すなわち、第1発光素子21aは対応する投光レンズ22aの光軸22ao上に位置し、第2発光素子21bは対応する投光レンズ22bの光軸22bo上に位置し、2つの光軸22ao、22boは、第1方向と第1方向と反対方向にそれぞれに傾いている。その結果、第1発光ビームILaは、
図12の上側の画角θ1に対応する領域を照射し、第2発光ビームILbは、
図12の下側の画角θ1に対応する領域を照射し、第1発光ビームILaと第2発光ビームILbの両方で、画角2θ1に対応する領域を照射している。第1領域SLaと第2領域SLbの光の強度は、
図6における光の強度と同じである。
【0034】
以上、第4実施形態によれば、発光ビームILa、ILbの画角を2倍にするとともに、照射先における単位面積当たりの光の強度を、
図6の1つの発光ビームILにおける単位面積当たりの光の強度と同じにできる。
【0035】
第4実施形態によれば、第1領域SLaと、第2領域SLbとは、第2方向にBだけシフトしているだけであり、C−Bの長さで接している。C>>Bであるので、第1領域SLaと、第2領域SLbとは、実質的に1本とみなせる。C>>Bであるので、照射先では、実質的に1本の発光ビームとみなすことができる。また、第4実施形態によれば、2つの投光レンズ22a、22bの中心が第1方向に対して同じ位置に配置されているので、検出できない場所がない。
【0036】
・第5実施形態:
図13に示す第5実施形態では、2つの投光レンズ22a、22bの後段に、シリンドリカルレンズ27を備え、投光レンズ22a、22bの焦点距離を
図6に示す例の2倍の2f1としている。
【0037】
第5実施形態によれば、第4実施形態と同様に、発光ビームILa、ILbの画角を2倍にするとともに、照射先における単位面積当たりの光の強度を、
図6の1つの発光ビームILにおける単位面積当たりの光の強度と同じにできる。また、シリンドリカルレンズ27は、第2方向の画角を拡大しないので、第3実施形態と同様に、第2方向の精度を低下させること無く、第1方向の画角を拡大できる。
【0038】
第5実施形態によれば、第4実施形態と同様に、第1領域SLaと、第2領域SLbとは、第2方向にBだけシフトしているだけであり、C−Bの長さで接している。C>>Bであるので、第1領域SLaと、第2領域SLbとは、実質的に1本とみなすことができる。また、第1発光素子21a、第2発光素子21bが非発光領域を備えている場合であっても、4つの照射領域SLa1、SLa2、SLa3、SLa4が第1方向に広がるため、非発光領域に起因する非照射領域ga1、ga2、ga3を無くすことができる。
【0039】
・第6実施形態:
図14に示す第6実施形態は、
図12に示す第4実施形態とほぼ同じであるが、以下の点が異なっている。第4実施形態では、第1投光レンズ22aの中心軸22aoと、第2投光レンズ22bの中心軸22boとが、平行でなく、照射先で第1方向に対して広がっている。これに対し、第6実施形態では、第1投光レンズ22aの中心軸22aoと、第2投光レンズ22bの中心軸22boとは、平行である。そして、第1発光素子21aは対応する投光レンズ22aの光軸22aoから第1方向と反対方向(−z方向)にシフトして位置し、第2発光素子21bは対応する投光レンズ22bの光軸22b0から第1方向(z方向)にシフトして位置している。そして、第1発光ビームILaは、第1投光レンズ22aの中心軸22aoと平行でなく、第2発光ビームILbは、第2投光レンズ22bの中心軸22boと平行でなくしている。
【0040】
第6実施形態によれば、第4実施形態と同様に、発光ビームILa、ILbの画角を2倍にするとともに、照射先における単位面積当たりの光の強度を、
図6の1つの発光ビームILにおける単位面積当たりの光の強度と同じにできる。また、C>>Bであるので、照射先では、実質的に1本の発光ビームとみなすことができる。
【0041】
・第7実施形態:
図15に示す第7実施形態は、
図13に示す第5実施形態とほぼ同じであるが、第4実施形態に対する第6実施形態と同様に、第1投光レンズ22aの中心軸22aoと、第2投光レンズ22bの中心軸22boとは、平行であり、発光素子21a、21bの第1方向の位置をずらし、第1発光ビームILaは、第1投光レンズ22aの中心軸22aoと平行でなく、第2発光ビームILbは、第2投光レンズ22bの中心軸22boと平行でなくしている。
【0042】
第7実施形態によれば、第5実施形態と同様に、発光ビームILa、ILbの画角を2倍にするとともに、照射先における単位面積当たりの光の強度を、
図6の1つの発光ビームILにおける単位面積当たりの光の強度と同じにできる。また、C>>Bであるので、照射先では、実質的に1本の発光ビームとみなすことができる。
【0043】
・各構成要素の実施形態:
以下、第1発光素子21aと第2発光素子21bの構成、及び制御について順次説明する。なお、これらの構成や制御は、上述した第1実施形態から第7実施形態に適用可能である。
【0044】
・・第1発光素子21aと第2発光素子21bの構成:
図16、
図17を用いて、第1発光素子21aと第2発光素子21bの構成を説明する。
図16は斜視図であり、
図17は、z方向から投光レンズ22a22bを含めた発光部20を見た図である。
図16、
図17に示す構成は、上述したように、第1実施形態から第7実施形態において適用可能である。
【0045】
第1発光素子21aは、第1基板23aの一方の面23a1に設置されており、第2発光素子21bは、第2基板23bの一方の面23b1に設置されている。面23a1と面23b1とは、互いに向かい合っている。第1発光素子21a、第2発光素子21bから射出された発光ビームILa、ILbは、それぞれ投光レンズ22a、22bを通過してx方向に照射される。投光レンズ22a、22bからの外縁には、鏡筒22tが設けられている。鏡筒22tは、第1基板23a上の第1発光素子21a、第2基板23b上の第2発光素子21bの回りも覆っている。
【0046】
この構成によれば、第1発光素子21aが配置される面23a1と、第2発光素子21bが配置される面23b1とが互いに向かい合っているので、第1発光素子21aと第2発光素子21bとの間の間隔Bを小さくできる。その結果、照射先で発光ビームILa、ILbが重なる割合を大きくできる。
【0047】
この構成によれば、第1発光素子21a、第2発光素子21bは、対向する面23a1、23b1に配置されているので、面23a1、23b1の裏面すなわち、面23a2、23b2に放熱板のような放熱構造を取り付けることができる。その結果、第1発光素子21a、第2発光素子21bに生じる熱を放熱し易くできる。
【0048】
・・導光路を備える構成:
図18A、
図18Bに示す構成は、発光ビームILa、ILbの間隔を狭める導光路を備える構成である。これら構成も、上述したように、第1実施形態から第7実施形態において適用可能である。
図18Aに示す構成は、投光レンズ22a、22bの後段に、光屈折部材24a、24bを備える。光屈折部材24a、24bは、導光路として機能し、発光ビームILa、ILbを屈折し、その間隔をさらに狭める。その結果、照射先で発光ビームILa、ILbが重なる割合を大きくできる。
【0049】
図18Bに示す構成は、投光レンズ22a、22bの後段に、光反射部材24c、24d、24eを備える。光反射部材24c、24d、24eも導光路として機能し、発光ビームILa、ILbを反射することで、その間隔をさらに狭める。その結果、照射先で発光ビームILa、ILbが重なる割合を大きくできる。
【0050】
図19は、第1実施形態から第7実施形態における投光レンズ22a、22bをx方向から見た図である。2つの投光レンズ22a、22bは、それぞれ外縁に平坦部22af、22bfを有し、平坦部22af、22bfの外縁に鏡筒22tが設けられている。2つの投光レンズ22a、22bの間には、遮光壁22sが設けられている。遮光壁22sのz方向は、鏡筒22tと接している。2つの投光レンズ22a、22bは、発光ビームILa、ILbの方向(x方向)と交わる方向が鏡筒22tまたは遮光壁22sにより囲われているので、発光ビームILa、ILbが、混ざらない。
【0051】
投光レンズ22a、22bのレンズ有効径をea、遮光壁22sの厚さをhとすると、第1投光レンズ22aの中心軸22aoと、第2投光レンズ22bの中心軸22boの間の間隔は、ea+hである。レンズ有効径とは、発光ビームILa、ILbの画角を拡大できる領域を意味する。ここで、第2方向(y方向)は、投光レンズ22a、22bによる発光ビームILa、ILbの画角の第1方向(z方向)の拡大に関与しないので、第1投光レンズ22aの中心軸22aoと、第2投光レンズ22bの中心軸22boの間の間隔をea、あるいは、eaよりも狭くしても良い。
【0052】
・・発光制御:
図20を用いて、上記各実施形態における第1発光素子21a、第2発光素子21bの制御を説明する。
図20以降で説明する発光制御は、上述したように、第1実施形態から第7実施形態のいずれにおいても適用できる。発光部20は、パルス発生部50と、タイミング調整部51と、レーザ駆動部52a、52bと、を備える。受光部30は、受光素子32と、受光強度計測部45と、距離算出部48と、ズレ時間計測部49と、を備える。
【0053】
パルス発生部50は、駆動パルスP0を発生する。駆動パルスP0は、2つの発光素子21a、21bの発光タイミングを調整する調整機構であるタイミング調整部51に入力される。タイミング調整部51は、パルスP0のタイミングを調整し、駆動パルスPa、Pbを生成する。タイミング調整部51の構成例については、後述する。第1レーザ駆動部52aは、駆動パルスPaの入力を受けて、第1発光素子21aを駆動し、第1発光素子21aに発光ビームILaを発光させる。第2レーザ駆動部52bは、駆動パルスPbの入力を受けて、第2発光素子21bを駆動し、第2発光素子21bに発光ビームILbを発光させる。
【0054】
反射光RLa、RLbは、受光部30により受光される。受光強度計測部45は、受光部30における受光強度を計測する。受光強度計測部45は、例えば、予め定められた距離に配置された物体からの反射光RLを受光したときのヒストグラム生成部44の結果を用いて、受光強度を計測する。第1発光素子21aと第2発光素子21bの発光タイミングに大きなズレがあれば、受光強度計測部45の出力信号は、
図21に示すように、2つのピークを有する。第1発光素子21aと第2発光素子21bの発光タイミングが一致していれば、
図22の上のグラフに示すように、1つのピークとなる。第1発光素子21aと第2発光素子21bの発光タイミングが僅かにズレている場合には、
図22の下のグラフに示すように、1つのピークであるが、ブロードなピークとなる。ズレ時間計測部49は、これらの波形を用いて、第1発光素子21aと第2発光素子21bの発光タイミングを一致させるための補正量Δtを算出し、タイミング調整部51に、算出した補正量Δtを送る。例えば、タイミング調整部51は、光学的測距装置10の出荷検査時に、タイミング調整を行っても良く、出荷し、車両に搭載されたあとでも、車両の定期点検時や本装置の動作中に間欠的に行っても良い。適切な距離に反射物を配置することで、より正確なタイミング調整を実行できる。なお、タイミング調整部51は、車両の非走行中に行っても良い。各レーザにおける4つの照射領域がそれぞれ別の駆動パルスによって出力される場合、タイミングのずれを4つそれぞれ計測し、個別に補正してもよい。
【0055】
図21は、発光ビームILaとILbのズレが多い場合の反射光RLa、RLbを示すこの反射光RLa、RLbを示すグラフは、
図4Bに示すヒストグラムを滑らかな曲線としたものに相当する。発光ビームILaとILbのズレが多い場合、反射光RLa、RLbの受光波形は、発光ビームILaに起因するピークと、発光ビームILbに起因するピークの2つのピークを示す。この場合、ズレ時間計測部49は、この2つのピーク位置、すなわち、発光ビームILaの反射光RLaがピークになる時刻taと、発光ビームILbの反射光RLbがピークになる時刻tbを直接求めても良い。また、発光ビームILaの反射光RLaが閾値Rthを越える時刻ta1と、発光ビームILaの反射光RLaが閾値Rthを切る時刻ta2とを求め、その中間の時刻(ta1+ta2)/2を発光ビームILaの反射光RLaがピークになる時刻taとしてもよい。時刻taで波形が本当にピークになったか否かを判断することが難しい場合があるが、時刻ta1、ta2を測定するのは、容易だからある。発光ビームILbについても同様に発光ビームILbの反射光RLbがピークになる時刻tbを求めても良い。時刻ta、tbを容易に求めることができる。
【0056】
図22を用いて、発光ビームILaとILbのズレが少ない場合を示す。発光ビームILaとILbのタイミングが一致している場合には、理想波形にように、反射光RLa、RLbのタイミングもほぼ一致し、反射光RLa、RLbは1つのピークとなり、該ピークが閾値Rthを越えている時間であるパルス幅Δt1が最も短くなり、ピーク値Rp1は最も高くなる。発光ビームILaとILbのタイミングが僅かにズレている場合には、2つの発光ビームILa、ILbは重なり、ブロードな波形となる。閾値Rthを越えている時間であるパルス幅Δt2が長くなり、ピーク値Rp2は低くなる。そして、ズレ量が大きいほど、パルス幅Δt2が大きくなり、ピーク値Lp2は低くなる。したがって、ズレ時間計測部49は、パルス幅Δt2を測定し、予め測定していた理想波形のパルス幅Δt1と比較することで、発光ビームILaとILbとがどれだけズレているか否かを判断できる。ズレ時間計測部49は、このとき、ピーク値Rp2がピーク値Rp1に比べてどれくらい低くなっているかを考慮して良い。
【0057】
ズレ時間計測部49は、補正量Δtを少しずつ変えて出力して、その補正量Δtを出力したときに2つの発光ビームILa、ILbが閾値Rthを越えている時間Δt2を測定することを繰り返し、2つの反射光RLa、RLbが閾値Lthを越えている時間Δt2が最も短くなる補正量Δtを決めても良い。
【0058】
ズレ時間計測部49は、
図23に示すように、第1レーザ駆動部52aのみを駆動して第1発光素子21aのみを発光させたときの反射光RLaがピークとなる時刻tpaと、第2レーザ駆動部52bのみを駆動して第2発光素子21bのみを発光させたときの反射光RLbがピークとなる時刻tpbとを取得し、その差Δtを補正量としても良い。この方式では、反射光RLaと反射光RLbとは、重ならないので、
図21と同様の方法で時刻tpa、tpbを取得できる。
【0059】
次に、タイミング調整部51の構成例について説明する。
図24に示すように、タイミング調整部51は、2つのインバータ51i1、51i2と、デジタルアナログコンバータ51a(以下「DAC51a」と呼ぶ。)と、アンプ51bと、を備える。インバータ51i1、51i2は、駆動パルスP0を遅延させた駆動パルスPbを生成する。DAC51aは、ズレ時間計測部49により算出されたデジタル値である補正値Δtを、アナログの電圧Vinに変換する。アンプ51bは、レベルシフタあるいは可変抵抗を有し、アナログの電圧Vinに基づいて、駆動パルスP0を遅延させた駆動パルスPbを生成する。
【0060】
図25に示すように、アンプ51bは、入力される電圧Vinに基づいて、駆動パルスPbの立ち上がりのスルーレートを調整する。例えば、Vinが大きい場合(Vin1)には、アンプ51bは、駆動パルスPb1を短いスルーレートで立ち上げる。この場合、時刻t1で第2レーザ駆動部52bの入力閾値Pbthを超える。パルスPb1の大きさが、入力閾値Pbthを超えると発光素子21bに電力が供給され、発光素子21bが発光する。VinがVin1より小さいVin2の場合、アンプ51bは、駆動パルスPbをPb2のように駆動パルスPb1より長いスルーレートで立ち上げる。この場合、時刻t2で第2レーザ駆動部52bの入力閾値Pbthを超える。時刻t2は、時刻t1より遅い。VinがVin2よりさらに小さいVin3の場合、同様に、時刻t2より遅い時刻t3で第2レーザ駆動部52bの入力閾値Pbthを超え、発光素子21bに電力が供給され、発光素子21bが発光する。このように、アンプ51bは、入力される電圧Vinに基づいて、駆動パルスPbの立ち上がりのスルーレートを調整する。例えば、VinがVin2のときに、第1発光素子21aと第2発光素子21bとがほぼ同時に発光するように、2つのインバータ51i1、51i2の遅延量を設定しておけば、VinがVin1の時には、第2発光素子21bの発光タイミングを第1発光素子21aの発光タイミングより早め、VinがVin3の時には、第2発光素子21bbの発光タイミングを第1発光素子21aの発光タイミングより遅らせることができる。
【0061】
図25に示す例は、アンプ51bが駆動パルスPbのスルーレートを調整する例であったが、
図26に示す例では、アンプ51bは、入力される電圧Vinに基づいて、駆動パルスPbのピーク電圧を調整する。例えば、Vinが大きい場合(Vin1)には、アンプ51bは、駆動パルスPb1のピーク電圧をV1とする。この場合、時刻t1で第2レーザ駆動部52bの入力閾値Pbthを超える。同様に、Vinが、Vin1より小さいVin2の場合には、駆動パルスPb2は、時刻t1より遅い時刻t2で入力閾値Pbthを超え、Vinが、Vin2よりさらに小さいVin3の場合には、駆動パルスPb3は、時刻t2よりさらに遅い時刻t3で入力閾値Pbthを超える。このように、アンプ51bは、入力される電圧Vinに基づいて、駆動パルスPbのピーク電圧を調整することで、発光素子21bの発光タイミングを調整できる。
【0062】
なお、本実施形態では、タイミング調整部51は、駆動パルスPbのタイミングを調整しているが、駆動パルスPaのタイミング、駆動パルスPa、Pbの両方のタイミングを調整するようにしても良い。
【0063】
図25、
図26に示す例は、駆動パルスPbの波形(スルーレートあるいはピーク電圧)を変える例であるが、
図27に示す例は、タイミング調整部51は、遅延回路を備える例である。タイミング調整部51は、駆動パルスP0を遅延させて駆動パルスPaを生成する第1遅延回路53aと、駆動パルスP0を遅延させて駆動パルスPbを生成する第2遅延回路53bと、を備える。
【0064】
第1遅延回路53aは、
図28に示すように、直列に接続された偶数個のインバータINVと、遅延選択部53asとを備える。遅延選択部53asには、駆動パルスPa及び偶数番目のインバータINVの出力が入力されており、補正量に応じて、そのうちの1つを選択しては、駆動パルスPaとして出力する。第1遅延回路53aは、このように、駆動パルスP0を遅延させた駆動パルスPaを出力する。但し、遅延選択部53asが駆動パルスP0を選択する場合には、駆動パルスPaは駆動パルスP0と一致し、実質的に遅延していない駆動パルスPaを出力する。第2遅延回路53bについても同様の回路であり、駆動パルスP0を遅延させて駆動パルスPbを生成する。なお、第1遅延回路53aと、第2遅延回路53bの一方、例えば、第1遅延回路53aは、遅延選択部53asを備えずに、偶数個、例えば2個のインバータINVのみを備える構成であってもよい。この場合、遅延選択部53asに駆動パルスP0を選択させれば、駆動パルスPaを駆動パルスPbに対して遅らせることができる。遅延選択部53asに2段目のインバータの出力P1を選択させれば、駆動パルスPaと駆動パルスPbをほぼ同じタイミングにでき、遅延選択部53asに4段目のインバータの出力P2を選択させれば、駆動パルスPbを駆動パルスPaに対して遅らせることができる。
【0065】
この形態によれば、タイミング調整部51は、発光素子21a、21bの発光タイミングのいずれが早い場合でも、発光素子21a、21bの発光タイミングを合わせることができる。
【0066】
図29は、発光ビームILa、ILbが、反射率の高い物質に照射され、その反射光RLを受光部30が受光した場合を示す。この場合、受光強度が受光部30の最大レンジRmaxを越えてしまう。この場合、受光強度がRmaxを越えた部分は、ブロードとなり、受光強度計測部45は、反射光RLa、RLbのそれぞれのピークを正確に断できず、距離算出部48は、反射率の高い物質までの距離を正確に測定することが難しい場合がある。この場合、計測部40は、計測部40は受光部30における反射光RLa、RLbの受光強度を用いて、タイミング調整部51に、故意に第1発光素子21aと第2発光素子21bの発光タイミングを異ならせるように、発光タイミングを調整してもよい。その結果、
図30に示すように、発光ビームILaの反射光RLaの受光強度は受光部30の最大レンジRmaxを越えず、発光ビームILbの反射光RLbの受光強度は受光部30の最大レンジRmaxを越えない。その結果、受光強度計測部45は、反射光RLa、RLbのそれぞれのピークを正しく判断し、距離算出部48は、反射率の高い物質までの距離を測定できる。なお、タイミング調整部51が行った発光ビームILaの発光タイミングと、発光ビームILbの発光タイミングの調整量は、予め分かっているので、距離算出部48は、容易に補正できる。
【0067】
タイミング調整部51が発光ビームILaの発光タイミングと、発光ビームILbの発光タイミングを調整する場合、発光ビームILaの発光タイミングと、発光ビームILbの発光タイミングを同一にしてもよく、
図29、
図30で説明したように、故意に異なるタイミングとしてもよい。
【0068】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。