【解決手段】加工経路表示装置(20)は、レーザ加工ヘッド座標算出部(22)により算出されたレーザ加工ヘッド(8)の座標値と第一表示形式設定部(24a)および第二表示形式設定部(24b)により設定された表示形式とに基づいて、加工経路を表示する表示部(25)を含む。第一データの表示色、および表示色の濃淡のうちの少なくとも一方は第一データ取得部(23a)により取得された第一データに応じて変更されると共に、第二データの表示色、および表示色の濃淡のうちの少なくとも一方は第二データ取得部(23b)により取得された第二データに応じて変更されるようにした。
少なくとも一つの駆動軸によってレーザ加工ヘッドおよび被加工物を相対的に移動させながら前記レーザ加工ヘッドから出力されるレーザにより前記被加工物をレーザ加工するレーザ加工機における加工経路を表示する加工経路表示装置において、
前記少なくとも一つの駆動軸の所定の制御周期毎の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記少なくとも一つの駆動軸の前記位置情報と前記レーザ加工機の機械構成の情報とから前記レーザ加工ヘッドの座標値を算出するレーザ加工ヘッド座標算出部と、
前記レーザ加工に関する第一データを取得する第一データ取得部と、
前記レーザ加工に関する第二データを取得する第二データ取得部と、
前記第一データの表示形式としての前記第一データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方を設定する第一表示形式設定部と、
前記第二データの表示形式としての前記第二データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方を設定する第二表示形式設定部と、
前記レーザ加工ヘッド座標算出部により算出された前記レーザ加工ヘッドの座標値と前記第一表示形式設定部および前記第二表示形式設定部により設定された表示形式とに基づいて、前記加工経路を表示する表示部と、を具備し、
前記第一データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方は前記第一データ取得部により取得された前記第一データに応じて変更されると共に、前記第二データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方は前記第二データ取得部により取得された前記第二データに応じて変更されるようにした、加工経路表示装置。
前記レーザ出力取得部により取得されるレーザ出力値は、加工プログラムから求められる前記レーザ加工ヘッドのレーザ出力指令値、レーザパワーセンサを用いて求められる前記レーザ加工ヘッドのレーザ出力実際値、または前記レーザ出力指令値と前記レーザ出力実際値との間の偏差である請求項2、3、5のいずれか一項に記載の加工経路表示装置。
前記位置情報取得部により取得される前記位置情報は、前記レーザにより前記被加工物を加工するための加工プログラムから求められる位置情報または前記少なくとも一つの駆動軸を駆動する位置検出器により求められる位置情報である、請求項1から6のいずれか一項に記載の加工経路表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は第一の実施形態に基づく加工経路表示装置の機能ブロック図である。
図1に示されるように、加工経路表示装置20は数値制御装置16を介してレーザ加工機1に接続されている。
【0013】
レーザ加工機1はレーザ発振器2を備えている。レーザ発振器2には、発振されたレーザの出力実際値を検出するレーザパワーセンサ6が配置されている。さらに、レーザ加工機1のレーザ加工ヘッド8には、後述するワークWにより反射された反射光の実際値を検出する反射光取得部7が配置されている。反射光取得部7は、レーザパワーセンサ6とは別のレーザパワーセンサでありうる。
【0014】
レーザ加工ヘッド8から出力されたレーザは可動テーブル9上に載置されたワークWを加工、例えば切削加工する。可動テーブル9はXY平面内を移動可能である。X方向およびY方向についての可動テーブル9の駆動軸はそれぞれモータ、例えばサーボモータM1〜M2に接続されている。これらサーボモータM1〜M2のそれぞれには、駆動軸の実際の位置を所定の制御周期毎に検出する位置検出器E1〜E2、例えばエンコーダがそれぞれ備え付けられている。さらに、ワークWとレーザ加工ヘッド8の先端との間の距離(ギャップ量G)を計測するギャップ計測部5、例えばカメラが配置され、数値制御装置16に接続されている。
【0015】
なお、可動テーブル9は少なくとも一つの方向に移動すればよく、移動可能な方向に応じた数の駆動軸およびモータを備えているものとする。また、ワークWが載置されるテーブルが固定されていて、レーザ加工ヘッド8がサーボモータM1、M2によりXY平面内を移動する構成であってもよい。
【0016】
数値制御装置16はレーザによりワークWを加工するための加工プログラム17を含んでおり、レーザ加工機1は加工プログラム17に従って制御される。加工プログラム17は、各駆動軸の移動についての情報を含んでいるものとする。このような情報は適宜変換されて、後述する位置情報取得部21において位置情報として取得される。
【0017】
加工経路表示装置20はデジタルコンピュータであり、バス等で互いに接続されたCPU、メモリなどを有している。加工経路表示装置20は、可動テーブル9の少なくとも一つの駆動軸の所定の制御周期毎の位置情報を取得する位置情報取得部21を含んでいる。位置情報は、加工プログラム17から求められるか、または少なくとも一つの駆動軸を駆動するサーボモータM1、M2に取付けられた位置検出器E1、E2により求められる。
【0018】
さらに、加工経路表示装置20は、少なくとも一つの駆動軸の位置情報とレーザ加工機1の機械構成の情報とからレーザ加工ヘッド8の座標値を算出するレーザ加工ヘッド座標算出部22を含んでいる。さらに、加工経路表示装置20は、レーザ加工に関する第一データを取得する第一データ取得部23aと、レーザ加工に関する、第一データとは異なる第二データを取得する第二データ取得部23bとを含んでいる。
【0019】
第一データ取得部23aにより取得される第一データは、加工プログラム17から求められるレーザ加工ヘッド8のレーザ出力指令値およびレーザパワーセンサ6を用いて求められるレーザ加工ヘッド8のレーザ出力実際値のうちの少なくとも一方、反射光取得部7を用いて求められる反射光実際値、もしくはギャップ計測部5を用いて求められたギャップ量Gである。第二データ取得部23bにより取得される第二データも第一データと同様である。なお、レーザ加工機1の機械構成の情報は、主にレーザ加工機1の寸法を意味する。
【0020】
第一データ取得部23a〜第二データ取得部23bのそれぞれが、加工プログラム17から求められるレーザ加工ヘッド8のレーザ出力指令値およびレーザパワーセンサ6を用いて求められるレーザ加工ヘッド8のレーザ出力実際値のうちの少なくとも一方を取得する場合には、これら第一データ取得部23a〜第二データ取得部23bのそれぞれをレーザ出力取得部と呼ぶようにしてもよい。
【0021】
さらに、加工経路表示装置20は、第一データ取得部23aにより取得された第一データの値に応じて第一データの表示形式を設定する第一表示形式設定部24aと、第二データ取得部23bにより取得された第二データの値に応じて第二データの表示形式を設定する第二表示形式設定部24bとを含んでいる。さらに、加工経路表示装置20は、レーザ加工ヘッド座標算出部22により算出されたレーザ加工ヘッド8の座標値と第一表示形式設定部24aおよび第二表示形式設定部24bにより設定された表示形式とに基づいて、レーザ加工の加工経路を表示する表示部25を含んでいる。
【0022】
加工経路表示装置20のCPUは、位置情報取得部21、レーザ加工ヘッド座標算出部22、第一データ取得部23a、第二データ取得部23b、第一表示形式設定部24aおよび第二表示形式設定部24bとしての役目を果たす。また、表示部25は液晶ディスプレイ、CRT等でありうる。
【0023】
図2は第一の実施形態に基づく加工経路表示装置の動作を示すフローチャートである。以下においては、第一データ取得部23aがレーザパワーセンサ6であり、第二データ取得部23bがギャップ計測部5であるものとして説明を続ける。
【0024】
はじめに、
図1のステップS1においては、位置情報取得部21が可動テーブル9の各駆動軸の位置情報を単位時間毎に取得する。位置情報は、加工プログラム17から求められる各駆動軸の位置指令、および/または位置検出器E1、E2により検出された各駆動軸の実位置でありうる。簡潔にする目的で、以下においては、位置情報は位置指令であるものとして説明を続ける。
【0025】
次いで、ステップS12においては、座標算出部22が位置情報に基づいてレーザ加工ヘッド8の座標を単位時間毎に算出する。位置情報が加工プログラム17から求められた場合には、レーザ加工ヘッド8の座標はレーザの指令加工経路を構成する。また、位置情報が位置検出器E1、E2から求められた場合には、レーザ加工ヘッド8の座標はレーザの実加工経路を構成する。
【0026】
次いで、ステップS13aにおいては、第一データ取得部23a(レーザパワーセンサ6)が第一データ(レーザ出力実際値)を単位時間毎に取得すると共に、ステップS13bにおいては、第二データ取得部23b(ギャップ計測部5)が第二データ(ギャップ量G)を単位時間毎に取得する。
【0027】
そして、ステップS14aにおいては、第一表示形式設定部24aが、ステップS13aにおいて得られた第一データに応じて、加工経路の表示形式を設定する。
【0028】
ここで、
図3は加工経路の例を示す図である。
図3においては、X方向およびY方向に延びる複数の線分からなる加工経路A、Bが互いに並置されて示されている。
図3に示される加工経路Aは線分A1〜A4より構成されていて、加工経路Bは線分B1〜B4より構成されている。線分A1、A3および線分B1、B3はX方向にのみ延びていて、線分A2、A4および線分B2、B4はY方向にのみ延びている。なお、線分A1〜A4および線分B1〜B4のそれぞれがX方向およびY方向の両方の成分を有していても良い。
また、
図3に示される矢印はレーザ加工ヘッド8の進行方向を示している。他の
図4、
図6でも同様である。
【0029】
図3の左下には、テーブルT1、T2が示されている。テーブルT1は、レーザ出力実際値の大きさに応じて定まる加工経路Aの色の濃淡を示している。テーブルT1は、第一表示形式設定部24a内に予め準備されているものとする。具体的には、テーブルT1においては、レーザ出力値を複数、例えば六段階に分けている。そして、レーザ出力値の最も小さい段階(〜300W)を最も淡い色、例えば白色に設定すると共に、レーザ出力値の最も大きい段階(2700W〜)を最も濃い色、例えば黒色に設定する。そして、これらの間の段階においては、最も淡い色の段階から最も濃い色の段階に向かって色の濃淡を徐々に濃くさせている。
【0030】
テーブルT2は、ギャップ量Gに応じて定まる加工経路Bの色の濃淡を示している。前述したのと同様に、テーブルT2においては、ギャップ量Gを複数、例えば六段階に分けている。そして、ギャップ量Gの最も大きい段階を最も淡い色、例えば白色に設定すると共に、ギャップ量Gの最も小さい段階を最も濃い色、例えば黒色に設定する。
【0031】
ステップS14aにおいては、第一表示形式設定部24aがレーザ出力実際値の大きさに応じてレーザ加工ヘッド8の制御周期毎の座標値の色の濃淡を設定する。さらに、ステップS14bにおいては、第二表示形式設定部24bがギャップ量Gに応じてレーザ加工ヘッド8の制御周期毎の座標値の色の濃淡を設定する。
図3においては、第一表示形式設定部24aおよび第二表示形式設定部24bは、白色と黒色との間で、その濃淡が変化するように設定している。
【0032】
図示しない実施形態においては、表示形式設定部24a、24bはさらに多数の色の間で色調を変化させるようにしてもよい。例えば、レーザ出力実際値またはギャップ量Gの最も小さい段階を青色に設定し、レーザ出力実際値またはギャップ量Gの最も大きい段階を黄色に設定すると共に、これらの間の中間の段階を赤色に設定する。そして、青色の段階と赤色の段階との間、および赤色の段階と黄色の段階との間で色調を徐々に変化させるようにしてもよい。
【0033】
再び
図2を参照すると、ステップS15においては、表示部25は、レーザ加工ヘッド8の座標値と、第一表示形式および第二表示形式とに基づいて、加工経路Aおよび加工経路Bをそれぞれ表示する。
図3に示されるように加工経路Aおよび加工経路Bは、それぞれレーザ出力実際値およびギャップ量Gに応じてレーザの表示形式、例えば色の濃淡を設定した上で表示されている。このような構成であるので、操作者が加工経路とレーザ出力およびギャップ量Gとの関係を直感的に認識できるのが分かるであろう。
【0034】
例えば、
図3においては、加工経路Aのコーナ部、つまり各線分A1〜A4の連結部分においてレーザ出力が低下しているのが把握できる。さらに、
図3においては、線分A2は他の線分A1、A3、A4よりも短い。その結果、線分A2はレーザ出力値の最も大きい最も淡い色の段階を有していない。言い換えれば、線分A2の距離が短いので、線分A2においては最高のレーザ出力を呈することができないことが把握できる。
【0035】
ところで、レーザ加工されるべきワークWの表面は常に平滑ではなく、表面が波打っている場合もある。そのような場合には、加工経路A、Bに沿ってレーザ加工するときにレーザ加工ヘッド8がワークWに衝突して、レーザ加工ヘッド8が損傷したり、ワークWに加工不良が生じたりする。
【0036】
この点に関し、
図3においては、レーザ加工ヘッド8とワークWとの間のギャップ量Gを加工経路Bに関連付けて認識できる。例えば、加工経路Bの線分B1の一部分B11を参照すると、この箇所においては、ギャップ量Gが小さい状態でワークWが波打っていることが理解できる。このため、レーザ加工ヘッド8がワークWに衝突した場合には、レーザ加工ヘッド8の衝突位置が部分B11であることを容易に把握することができる。従って、次のワークに対しては、レーザ加工ヘッド8の位置を局所的にワークWに対して相対的に上昇させたりワークWを予め平滑化することで、レーザ加工ヘッド8がワークWに衝突するの回避できる。
【0037】
この目的のために、可動テーブル9をZ方向に駆動させるサーボモータM3、およびサーボモータM3に取付けられたエンコーダE3(いずれも図示しない)を有するようにしてもよい。この場合には、可動テーブル9を局所的に下降させることにより、レーザ加工ヘッド8がワークWに衝突するの回避できる。
【0038】
図4は加工経路の他の例を示す
図3と同様な図である。この場合には、第一データ取得部23aがレーザパワーセンサ6であり、第二データ取得部23bが反射光取得部7であるものとする。
図4のテーブルT3は、反射光の大きさに応じて定まる加工経路Cの色の濃淡を示している。前述したのと同様に、テーブルT3においては、反射光の大きさを複数、例えば六段階に分けている。そして、反射光の最も小さい段階を最も淡い色、例えば白色に設定すると共に、反射光の最も大きい段階を最も濃い色、例えば黒色に設定している。
図4の加工経路A、Cを示す手順は
図2を参照して説明したのと同様であるので、再度の説明を省略する。
【0039】
例えば、レーザ加工する際には、レーザがワークW上で反射した反射光がレーザ加工ヘッド8内に進入し、レーザ加工ヘッド8やレーザ発振器2を損傷させる場合がある。しかしながら、反射光の大きさは、加工経路A、Bやレーザ出力実際値だけでなく、レーザ加工ヘッド8の形状やワークWの種類によっても変化するので、作業者は通常、反射光の大きさを予測できない。このため、反射光は、作業者が意図しない箇所で大きく変化する可能性がある。そして、反射光によりレーザ加工ヘッド8やレーザ発振器2が損傷すると、結果的にワークWに加工不良が生じる場合がある。
【0040】
この点に関し、
図4においては、反射光を加工経路Cに関連付けて認識できる。例えば、加工経路Cの線分C3の一部分C31および線分C4の一部分C41を参照すると、レーザ加工ヘッド8が時計回り方向に回転するときに、反射光が局所的に大きくなることが理解できる。このため、反射光によりレーザ加工ヘッド8やレーザ発振器2が損傷した場合には、損傷させたときのレーザ加工ヘッド8の位置が部分C31、C41であることを容易に把握することができる。このため、次のワークWに対しては、レーザ出力を部分C31、C41において局所的に減らす等により、レーザ加工ヘッド8やレーザ発振器2が損傷するのを回避できる。
【0041】
図5は第二の実施形態に基づく加工経路表示装置の機能ブロック図である。
図5に示される加工経路表示装置20は、数値制御装置16を介してレーザ加工機1に接続されておるものとする。加工経路表示装置20は、第一データ取得部23aおよび第二データ取得部23bに加えて、第三データ取得部23cを含んでいる。第三データ取得部23cにより取得される第三データは前述した第一データおよび第二データと同じでありうる。さらに、加工経路表示装置20は、第一表示形式設定部24aおよび第二表示形式設定部24bに加えて、第三表示形式設定部24cを含んでいる。加工経路表示装置20のCPUは、第三データ取得部23cおよび第三表示形式設定部24cとしての役目を果たす。
【0042】
さらに、
図6は加工経路の更に他の例を示す図である。この場合には、第一データ取得部23aがレーザパワーセンサ6であり、第二データ取得部23bがギャップ計測部5であり、第三データ取得部23cが反射光取得部7であるものとする。
図6の加工経路A、B、Cを示す手順は
図2を参照して説明したのと同様であるので、再度の説明を省略する。
【0043】
図6においては、加工経路Aの線分A3の一部分A31においてレーザ出力が極端に小さくなっていることが理解できる。また、前述したのと同様に、加工経路Bの線分B1の一部分B11においては、ギャップ量Gが小さい状態でワークWが波打っている。さらに、加工経路Cの線分C3の一部分C31および線分C4の一部分C41において、反射光が局所的に大きくなっている。
【0044】
従って、ワークWに加工不良が起きた場合に、加工不良の原因がレーザ出力にあるのか、反射光にあるのか、ギャップの大きさにあるのかを、加工不良が起きた場所に基づいて即時に判断することができる。つまり、第二の実施形態においては、加工経路A、B、Cによって三つの情報量が含まれるので、操作者は加工不良の原因を、より明確且つ迅速に特定することができる。なお、さらに多数のデータ取得部、表示形式設定部を備えるようにすることは本発明の範囲に含まれる。
【0045】
ところで、前述したようにレーザ出力取得部(第一データ取得部23a〜第三データ取得部23c)は、レーザ出力指令値をまたはレーザ出力実際値を取得する。従って、表示部25は、レーザ出力指令値から定まる表示形式を用いて加工経路Aを表示するか、またはレーザ出力実際値から定まる表示形式を用いて加工経路Aを表示する。このため、レーザ出力指令値またはレーザ出力実際値と加工経路Aとの関係を容易に認識することができる。また、レーザ出力取得部が、レーザ出力指令値とレーザ出力実際値との間の偏差を取得するようにして、前述したのと同様に加工経路と共に表示するようにしてもよい。
【0046】
さらに、加工プログラム17から求められる位置指令としての位置情報を求めた場合には、レーザ出力と指令位置からなる加工経路との間の関係を容易に認識できる。同様に、位置検出器E1、E2から求められる実位置としての位置情報を求めた場合には、レーザ出力と実位置からなる加工経路との間の関係を容易に認識できることが分かるであろう。
【0047】
本開示の態様
1番目の態様によれば、少なくとも一つの駆動軸によってレーザ加工ヘッド(8)および被加工物(W)を相対的に移動させながら前記レーザ加工ヘッドから出力されるレーザにより前記被加工物をレーザ加工するレーザ加工機(1)における加工経路を表示する加工経路表示装置(20)において、前記少なくとも一つの駆動軸の所定の制御周期毎の位置情報を取得する位置情報取得部(21)と、前記少なくとも一つの駆動軸の前記位置情報と前記レーザ加工機の機械構成の情報とから前記レーザ加工ヘッドの座標値を算出するレーザ加工ヘッド座標算出部(22)と、前記レーザ加工に関する第一データを取得する第一データ取得部(23a)と、前記レーザ加工に関する第二データを取得する第二データ取得部(23b)と、前記第一データの表示形式としての前記第一データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方を設定する第一表示形式設定部(24a)と、前記第二データの表示形式としての前記第二データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方を設定する第二表示形式設定部(24b)と、前記レーザ加工ヘッド座標算出部により算出された前記レーザ加工ヘッドの座標値と前記第一表示形式設定部および前記第二表示形式設定部により設定された表示形式とに基づいて、前記加工経路を表示する表示部(25)と、を具備し、前記第一データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方は前記第一データ取得部により取得された前記第一データに応じて変更されると共に、前記第二データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方は前記第二データ取得部により取得された前記第二データに応じて変更されるようにした、加工経路表示装置が提供される。
2番目の態様によれば、1番目の態様において、前記第一データ取得部は、前記レーザ加工ヘッドから出力される前記レーザのレーザ出力値を取得するレーザ出力取得部(6)であり、前記第二データ取得部は、前記レーザが前記被加工物上で反射した反射光を取得する反射光取得部(7)である。
3番目の態様によれば、1番目の態様において、前記第一データ取得部は、前記レーザ加工ヘッドから出力される前記レーザのレーザ出力値を取得するレーザ出力取得部(6)であり、前記第二データ取得部は、前記レーザ加工ヘッドと前記被加工物との間のギャップを計測するギャップ計測部(5)である。
4番目の態様によれば、1番目の態様において、さらに、前記レーザ加工に関する第三データを取得する第三データ取得部(23c)と、前記第三データの表示形式としての前記第三データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方を設定する第三表示形式設定部(24c)と、を具備し、前記表示部は、前記レーザ加工ヘッドの座標値と前記第一表示形式設定部、前記第二表示形式設定部および前記第三形式設定部により設定された表示形式とに基づいて、前記加工経路を表示し、前記第三データの表示色、および該表示色の濃淡のうちの少なくとも一方は前記第三データ取得部により取得された前記第三データに応じて変更されるようにした。
5番目の態様によれば、4番目の態様において、前記第一データ取得部は、前記レーザ加工ヘッドから出力される前記レーザのレーザ出力値を取得するレーザ出力取得部(6)であり、前記第二データ取得部は、前記レーザが前記被加工物上で反射した反射光を取得する反射光取得部(7)であり、前記第三データ取得部は、前記レーザ加工ヘッドと前記被加工物との間のギャップを計測するギャップ計測部(5)である。
6番目の態様によれば、2番目、3番目、5番目のいずれかの態様において、前記レーザ出力取得部により取得されるレーザ出力値は、加工プログラムから求められる前記レーザ加工ヘッドのレーザ出力指令値、レーザパワーセンサを用いて求められる前記レーザ加工ヘッドのレーザ出力実際値、または前記レーザ出力指令値と前記レーザ出力実際値との間の偏差である。
7番目の態様によれば、1番目から6番目のいずれかの態様において、前記位置情報取得部により取得される前記位置情報は、前記レーザにより前記被加工物を加工するための加工プログラムから求められる位置情報または前記少なくとも一つの駆動軸を駆動する位置検出器により求められる位置情報である。
【0048】
態様の効果
1番目の態様においては、レーザ加工に関する第一データおよび第二データのそれぞれの値に応じて第一データおよび第二データの表示形式を設定した上で加工経路を表示しているので、加工経路と第一データおよび第二データとの関係を容易に認識することができる。
2番目の態様においては、反射光がレーザ加工ヘッドやレーザ発振器を損傷させうるときのレーザ加工ヘッドの位置を容易に把握することができる。このため、次のワークに対しては、レーザ出力を局所的に減らす等により、レーザ加工ヘッドやレーザ発振器が損傷するのを回避できる。
3番目の態様においては、レーザ加工ヘッドがワークに衝突しうるときのレーザ加工ヘッドの位置を容易に把握することができる。このため、次のワークに対しては、レーザ加工ヘッドの位置を局所的にワークに対して相対的に上昇させたりワークを予め平滑化することで、レーザ加工ヘッドがワークに衝突するの回避できる。
4番目の態様においては、さらに、レーザ加工に関する第三データの値に応じて第三データの表示形式を設定した上で加工経路を表示しているので、加工経路と第三データとの関係を追加で認識することができる。これにより、ワークに加工不良が起きた場合に、その原因が、第一データ〜第三データのいずれにあるのかを即時に判断することができる。
5番目の態様においては、ワークに加工不良が起きた場合には、加工不良が起きた場所に加えて、加工不良の原因がレーザ出力にあるのか、反射光にあるのか、ギャップの大きさにあるのかを即時に判断することができる。
6番目の態様においては、レーザ出力指令値またはレーザ出力実際値と加工経路との関係を容易に認識することができる。
【0049】
7番目の態様においては、加工プログラムから求められる位置情報は位置指令であり、位置検出器から求められる位置情報は実位置である。レーザ出力と指令位置からなる加工経路との間の関係およびレーザ出力と実位置からなる加工経路との間の関係を容易に認識することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、後述する請求の範囲の開示範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を為し得ることは、当業者に理解されよう。