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特開2020-204995タッチ式入力装置、および、タッチ式入力装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-204995(P2020-204995A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】タッチ式入力装置、および、タッチ式入力装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20201127BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   G06F3/041 610
   G06F3/044 127
   G06F3/041 460
   G06F3/041 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-113487(P2019-113487)
(22)【出願日】2019年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆
(57)【要約】
【課題】タッチ式入力装置において、センサの数を低減しつつ、複数の方向からタッチ操作を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】タッチ式入力装置は、第1の面と前記第1の面の反対側の面となる第2の面とを有する検出層と、前記第1の面から第1の向きに離れて配置される第1の操作面と、前記第2の面から前記第1の向きと反対向きである第2の向きに離れて配置される第2の操作面と、を備える。前記検出層は、前記第1の操作面のタッチ操作の検出と、前記第2の操作面のタッチ操作の検出とに共用される。前記第1の操作面と前記第2の操作面とで、タッチ操作が行われた場合における前記検出層の信号の出力レベルが異なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面の反対側の面となる第2の面とを有する検出層と、
前記第1の面から第1の向きに離れて配置される第1の操作面と、
前記第2の面から前記第1の向きと反対向きである第2の向きに離れて配置される第2の操作面と、
を備え、
前記検出層は、前記第1の操作面のタッチ操作の検出と、前記第2の操作面のタッチ操作の検出とに共用され、
前記第1の操作面と前記第2の操作面とで、タッチ操作が行われた場合における前記検出層の信号の出力レベルが異なる、タッチ式入力装置。
【請求項2】
前記検出層の信号の出力レベルに基づき前記第1の操作面と前記第2の操作面とのうちのいずれが操作されたかを判断する制御処理部を更に備える、請求項1に記載のタッチ式入力装置。
【請求項3】
前記制御処理部は、
前記検出層の信号の出力レベルが第1の閾値を超え、且つ、第2の閾値以下である場合に、前記第1の操作面がタッチ操作されたと判断し、
前記検出層の信号の出力レベルが第2の閾値を超える場合に、前記第2の操作面がタッチ操作されたと判断する、請求項2に記載のタッチ式入力装置。
【請求項4】
前記制御処理部は、前記第1の閾値および前記第2の閾値のうち少なくとも一方を所定のタイミングで較正する、請求項3に記載のタッチ式入力装置。
【請求項5】
前記第1の面と対向して配置され、前記第1の操作面を有する第1の保護層と、
前記第2の面と対向して配置され、前記第2の操作面を有する第2の保護層と、
を更に備え、
前記検出層は、前記第1の面および前記第2の面と平行な方向に広がる電極層を含み、
前記第1の保護層と前記第2の保護層とは、
前記電極層の面積と、前記第1の保護層を構成する誘電体の誘電率と、前記第1の面と前記第1の操作面との間の距離とに応じて決まる第1の静電容量と、
前記電極層の面積と、前記第2の保護層を構成する誘電体の誘電率と、前記第2の面と前記第2の操作面との間の距離とに応じて決まる第2の静電容量と、
が異なるように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のタッチ式入力装置。
【請求項6】
前記第1の面と対向して配置され、前記第1の操作面を有する第1の保護層と、
前記第2の面と対向して配置され、前記第2の操作面を有する第2の保護層と、
を更に備え、
前記第1の保護層と前記第2の保護層との少なくともいずれか一方には、画像を表示する表示層が含まれる、請求項1から5のいずれか1項に記載のタッチ式入力装置。
【請求項7】
第1の面と前記第1の面の反対側となる第2の面とを有する検出層と、
前記第1の面から第1の向きに離れて配置される第1の操作面と、
前記第2の面から前記第1の向きと反対向きである第2の向きに離れて配置される第2の操作面と、
を備えるタッチ式入力装置の制御方法であって、
前記検出層の信号の出力レベルに基づき前記第1の操作面と前記第2の操作面とのうちのいずれが操作されたかを判断する判断工程を備える、タッチ式入力装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ式入力装置、および、タッチ式入力装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチ式の操作手段を有する画像表示装置が知られる。このような画像表示装置の中には、画像を表示する表示手段と、表示手段の表示面のタッチ操作を検知する表示面操作手段と、表示手段の裏面側に配され、タッチ操作を検知する裏面操作手段と、を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−174029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来においては、タッチ式入力装置の正面と背面との両方からのタッチ操作を可能とするには、特許文献1に開示されるように、正面のタッチ操作を検知する正面用のセンサと、背面のタッチ操作を検知する背面用のセンサとを別々に用意する必要があった。センサの数が増えた場合、例えば、装置のコストが増加したり、装置が大型化したりすることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、タッチ式入力装置において、センサの数を低減しつつ、複数の方向からタッチ操作を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明のタッチ式入力装置は、第1の面と前記第1の面の反対側の面となる第2の面とを有する検出層と、前記第1の面から第1の向きに離れて配置される第1の操作面と、前記第2の面から前記第1の向きと反対向きである第2の向きに離れて配置される第2の操作面と、を備え、前記検出層は、前記第1の操作面のタッチ操作の検出と、前記第2の操作面のタッチ操作の検出とに共用され、前記第1の操作面と前記第2の操作面とで、タッチ操作が行われた場合における前記検出層の信号の出力レベルが異なる構成(第1の構成)になっている。
【0007】
また、上記第1の構成のタッチ式入力装置は、前記検出層の信号の出力レベルに基づき前記第1の操作面と前記第2の操作面とのうちのいずれが操作されたかを判断する制御処理部を更に備える構成(第2の構成)であることが好ましい。
【0008】
また、上記第2の構成のタッチ式入力装置において、前記制御処理部は、前記検出層の信号の出力レベルが第1の閾値を超え、且つ、第2の閾値以下である場合に、前記第1の操作面がタッチ操作されたと判断し、前記検出層の信号の出力レベルが第2の閾値を超える場合に、前記第2の操作面がタッチ操作されたと判断する構成(第3の構成)であることが好ましい。
【0009】
また、上記第3の構成のタッチ式入力装置において、前記制御処理部は、前記第1の閾値および前記第2の閾値のうち少なくとも一方を所定のタイミングで較正する構成(第4の構成)であってよい。
【0010】
また、上記第1から第4のいずれかの構成のタッチ式入力装置は、前記第1の面と対向して配置され、前記第1の操作面を有する第1の保護層と、前記第2の面と対向して配置され、前記第2の操作面を有する第2の保護層と、を更に備え、前記検出層は、前記第1の面および前記第2の面と平行な方向に広がる電極層を含み、前記第1の保護層と前記第2の保護層とは、前記電極層の面積と、前記第1の保護層を構成する誘電体の誘電率と、前記第1の面と前記第1の操作面との間の距離とに応じて決まる第1の静電容量と、前記電極層の面積と、前記第2の保護層を構成する誘電体の誘電率と、前記第2の面と前記第2の操作面との間の距離とに応じて決まる第2の静電容量と、が異なるように構成されている(第5の構成)ことが好ましい。
【0011】
また、上記第1から第5のいずれかの構成のタッチ式入力装置は、前記第1の面と対向して配置され、前記第1の操作面を有する第1の保護層と、前記第2の面と対向して配置され、前記第2の操作面を有する第2の保護層と、を更に備え、前記第1の保護層と前記第2の保護層との少なくともいずれか一方には、画像を表示する表示層が含まれる構成(第6の構成)であってよい。
【0012】
また、上記目的を達成するために本発明の制御方法は、第1の面と前記第1の面の反対側となる第2の面とを有する検出層と、前記第1の面から第1の向きに離れて配置される第1の操作面と、前記第2の面から前記第1の向きと反対向きである第2の向きに離れて配置される第2の操作面と、を備えるタッチ式入力装置の制御方法であって、前記検出層の信号の出力レベルに基づき前記第1の操作面と前記第2の操作面とのうちのいずれが操作されたかを判断する判断工程を備える構成(第7の構成)になっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タッチ式入力装置において、センサの数を低減しつつ、複数の方向からタッチ操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】タッチ式入力装置の構成を示す縦断面図
図2】タッチ式入力装置が備える検出層の平面図
図3】タッチ式入力装置が備える検出層の分解斜視図
図4】タッチ式入力装置の構成を示すブロック図
図5】制御処理部によるタッチ操作の処理例を示すフローチャート
図6】タッチ式入力装置が適用されたステアリングホイールの正面図
図7】タッチ式入力装置の第1変形例の構成を示す縦断面図
図8】タッチ式入力装置の第2変形例の構成を示す縦断面図
図9】第3変形例に係るタッチ式入力装置におけるタッチ操作の処理例を示すフローチャート
図10】キャリブレーション処理の一例を示す図
図11】キャリブレーション処理の他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
<1.タッチ式入力装置>
図1は、本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1の構成を示す縦断面図である。タッチ式入力装置1は、コンピュータ等の情報処理装置にデータや制御信号等を入力するために使用される。タッチ式入力装置1の操作は、例えば人の指やタッチペン等の指示体を用いたタッチ操作により実現される。図1に示すように、タッチ式入力装置1は、検出層11と、第1の保護層12と、第2の保護層13とを備える。なお、図1には、理解を容易とするために、タッチ操作に使用される人の指100がタッチ式入力装置1と共に示されている。
【0017】
検出層11は、シート(薄板)状である。検出層11は、第1の面11aと、第1の面11aの反対側の面となる第2の面11bとを有する。なお、第1の面11aおよび第2の面11bは、図1において、紙面と直交する方向に広がる。検出層11は、いわゆる静電容量方式にてタッチ操作を検出する。検出層11は、透明であっても、透明でなくてもよい。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1が備える検出層11の平面図である。図2に示すように、検出層11は、第1の面11aおよび第2の面11bと平行な方向に広がる電極層111を含む。図3は、本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1が備える検出層11の分解斜視図である。図3に示すように、電極層111は、詳細には、第1の電極層111aと第2の電極層111bとを有する。第1の電極層111aと第2の電極層111bとは、絶縁膜112を挟んで互いに絶縁された状態で一体化されている。第1の電極層111aおよび第2の電極層111bは、例えばITO(Indium Tin Oxide)で構成される透明電極膜であってよい。
【0019】
第1の電極層111aは、X方向の位置を検出するための電極パターンを有する。第2の電極層111bは、X方向に直交するY方向の位置を検出するための電極パターンを有する。指等の指示体が電極層111に近づくと、指示体が近づいたX、Y位置の近くに存在する電極にて静電容量の変化が生じ、当該静電容量の変化に応じた信号が第1の電極層111aおよび第2の電極層111bから出力される。この信号の出力に応じて、指示体が近づいた位置を検出することができる。
【0020】
なお、本実施形態では、検出層11は、いわゆる投影型静電容量方式の構成となっているが、これは例示にすぎない。検出層11は、例えば、いわゆる表面型静電容量方式の構成であってもよい。すなわち、検出層11は、1つの電極層(導電層)で形成されてよい。
【0021】
図1に戻って、第1の保護層12は、第1の面11aと対向して配置され、第1の操作面12aを有する。すなわち、タッチ式入力装置1は、第1の操作面12aを有する。第1の操作面12aは、第1の面11aから第1の向きに離れて配置される。なお、図1において、第1の向きは下向きである。第1の操作面12aは、タッチ式入力装置1においてタッチ操作を行う面である。例えば指100により第1の操作面12aがタッチ操作されると、検出層11から信号が出力される。これにより、第1の操作面12aにおけるタッチ操作が検出される。
【0022】
第1の保護層12は、誘電体で構成される。第1の保護層12は、例えばガラスや樹脂等で構成される。第1の保護層12は、透明であっても透明でなくてもよい。本実施形態では、第1の保護層12は板状である。第1の保護層12は、一種類の誘電体で構成されてもよいが、複数種類の誘電体が積層された構成であってもよい。第1の保護層12が複数種類の誘電体で構成される場合、複数種類の誘電体の中には気体や液体が含まれてもよい。
【0023】
第2の保護層13は、第2の面11bと対向して配置され、第2の操作面13aを有する。すなわち、タッチ式入力装置1は、第2の操作面13aを有する。第2の操作面13aは、第2の面11bから第1の向きと反対向きである第2の向きに離れて配置される。なお、図1において、第2の向きは上向きである。第2の操作面13aは、タッチ式入力装置1においてタッチ操作を行う面である。例えば指100により第2の操作面13aがタッチ操作されると、検出層11から信号が出力される。これにより、第2の操作面13aにおけるタッチ操作が検出される。すなわち、タッチ式入力装置1は、第1の操作面12aと第2の操作面13aとの2つの操作面を有する。そして、検出層11は、第1の操作面12aのタッチ操作の検出と、第2の操作面13aのタッチ操作の検出とに共用される。
【0024】
第2の保護層13は、誘電体で構成される。第2の保護層13は、例えばガラスや樹脂等で構成される。第2の保護層13は、透明であっても透明でなくてもよい。本実施形態では、第2の保護層13は板状である。第2の保護層13は、一種類の誘電体で構成されてもよいが、複数種類の誘電体が積層された構成であってもよい。第2の保護層13が複数種類の誘電体で構成される場合、複数種類の誘電体の中には気体や液体が含まれてもよい。
【0025】
タッチ式入力装置1においては、第1の操作面12aと第2の操作面13aとで、タッチ操作が行われた場合における検出層11の信号の出力レベルが異なる。すなわち、タッチ式入力装置1においては、第1の操作面12aと第2の操作面13aとの間で、タッチ操作の感度に差が設けられている。例えば、第1の操作面12aに比べて第2の操作面13aの方がタッチ操作の感度が高い場合、第2の操作面13aがタッチ操作された場合の検出層11の信号の出力レベルは、第1の操作面12aがタッチ操作された場合の検出層11の信号の出力レベルに比べて高くなる。
【0026】
このように構成することにより、第1の操作面12aと第2の操作面13aとで1つの検出層11を共用しているにもかかわらず、第1の操作面12aと第2の操作面13aとのうち、いずれの操作面でタッチ操作が行われたかを区別することができる。すなわち、タッチ式入力装置1において、センサの数を低減しつつ、複数の方向からタッチ操作を行うことができる。
【0027】
本実施形態では、第1の保護層12と第2の保護層13との構成に差を設けることにより、第1の操作面12aと第2の操作面13aとの間におけるタッチ操作の感度に差を生じさせている。具体的には、第1の保護層12と第2の保護層13とは、第1の静電容量と第2の静電容量とが異なるように構成されている。
【0028】
第1の静電容量は、第1の保護層12の構成に応じて決まる。詳細には、第1の静電容量は、電極層111の面積と、第1の保護層12を構成する誘電体の誘電率と、第1の面11aと第1の操作面12aとの間の距離とに応じて決まる。本実施形態の第1の静電容量は、検出層11と平行に配置される電極板が第1の操作面12aの位置に配置されたことを想定して求められる仮想的な静電容量である。
【0029】
第2の静電容量は、第2の保護層13の構成に応じて決まる。詳細には、第2の静電容量は、電極層111の面積と、第2の保護層12を構成する誘電体の誘電率と、第2の面11bと第2の操作面13aとの間の距離とに応じて決まる。本実施形態の第2の静電容量は、検出層11と平行に配置される電極板が第2の操作面13aの位置に配置されたことを想定して求められる仮想的な静電容量である。
【0030】
電極層111の面積は、検出層11が共用されているために、第1の静電容量を求める場合と、第2の静電容量とを求める場合とで同じになる。すなわち、第1の操作面12aと第2の操作面13aとの感度の差は、保護層12、13を構成する誘電体の誘電率と、電極層111から操作面12a、13aまでの距離(誘電体の厚み)とを調整することにより決めることができる。
【0031】
例えば、第1の保護層12が、厚み2mmの樹脂(比誘電率4)で構成される場合、以下の式(1)により、第1の静電容量は2εSとなる。また、第2の保護層13が、厚み0.5mmのガラス(比誘電率3.5)で構成される場合、以下の式(1)により、第2の静電容量は7εSとなる。すなわち、第2の静電容量は、第1の静電容量の3.5倍となる。本実施形態のタッチ式入力装置1においては静電容量方式が採用されているために、第1の静電容量と第2の静電容量との差は感度差となる。当該感度差が設けられることにより、第1の操作面12aのタッチ操作と、第2の操作面13aのタッチ操作とを区別することができる。
C = (εε)×S/d (1)
C:静電容量
ε:比誘電率
ε:真空の誘電率
d:誘電体の厚み
S:電極層111の面積
【0032】
なお、第1の静電容量と第2の静電容量との間に差が生じればよいために、第1の保護層12と第2の保護層13との間で、保護層を構成する誘電体の材質は同じであってもよい。この場合、第1の保護層12と第2の保護層13との間で、保護層を構成する誘電体の厚みを異ならせればよい。また、第1の静電容量と第2の静電容量との間に差が生じればよいために、第1の保護層12と第2の保護層13との間で、保護層を構成する誘電体の厚みは同じであってもよい。この場合、第1の保護層12と第2の保護層13との間で、保護層を構成する誘電体の誘電率を異ならせればよい。
【0033】
また、第1の静電容量と第2の静電容量との差が小さすぎると、感度差が小さく、第1の操作面12aのタッチ操作と、第2の操作面13aのタッチ操作とを区別することができなくなる可能性がある。この点に留意して、第1の保護層12の構成と第2の保護層13の構成とは、適宜決定される必要がある。
【0034】
図4は、本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1の構成を示すブロック図である。図4に示すように、タッチ式入力装置1は制御処理部14を更に備える。制御処理部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(input/output)回路部等を備えるマイクロコンピュータ(マイコン)によって構成される。
【0035】
制御処理部14は、タッチ式入力装置1の全体を制御する。制御処理部14は、検出層11から信号を入力される。本実施形態では、制御処理部14は、検出層11が有する第1の電極層111aと第2の電極層111bとのそれぞれから信号を入力される。制御処理部14は、検出層11から入力される信号に基づきタッチ操作に関する各種の演算処理を行う。
【0036】
なお、本実施形態では、制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルに基づき第1の操作面12aと第2の操作面13aとのうちのいずれが操作されたかを判断する。本構成によれば、タッチ式入力装置1が備える検出層11を1つとして、第1の操作面12aと第2の操作面13aとを使い分けることができる。制御処理部14による操作面12a、13aの判断処理の詳細については後述する。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1が備える制御処理部14によるタッチ操作の処理例を示すフローチャートである。
【0038】
ステップS1では、制御処理部14は、操作面12a、13aに対するタッチ操作の有無を監視する。具体的には、制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第1の閾値を超えるか否かを監視する。第1の閾値は、実験やシミュレーション等によって設定された値であり、ROM等の記憶部に予め記憶されている。制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第1の閾値を超えた場合に(ステップS1でYes)、タッチ操作があったと判断して次のステップS2に処理を進める。制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第1の閾値を超えない場合には(ステップS1でNo)、ステップS1の処理を繰り返す。
【0039】
なお、本実施形態においては、制御処理部14には、検出層11から複数の信号が入力される。詳細には、制御処理部14には、検出層11からX方向の信号とY方向の信号とが入力される。制御処理部14は、複数の信号のうちの1つの信号に注目して出力レベルの判断を行ってよい。例えば、制御処理部14は、X方向の信号とY方向の信号とのいずれかの一方の信号に注目して出力レベルの判断を行ってよい。また、制御処理部14は、複数の信号に注目して出力レベルの判断を行ってもよい。例えば、制御処理部14は、X方向の信号とY方向の信号との両方の信号に注目して出力レベルの判断を行ってもよい。この場合には、X方向の信号とY方向の信号との両方の信号の出力レベルが第1の閾値を超えた場合に、タッチ操作があったと判断されてよい。
【0040】
また、制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第1の閾値を超える期間が所定期間継続した場合に、タッチ操作があったことを検出することが好ましい。また、制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第1の閾値を超えた後に、当該出力レベルが第1の閾値を超えた位置が操作面12a、13aに沿って移動したことを検知した場合に、タッチ操作があったことを検出する構成としてもよい。
【0041】
ステップS2では、制御処理部14は、検出層11から入力される信号に基づきタッチ操作があった位置(タッチ座標)を取得する。制御処理部14は、第1の電極層111aから入力される信号(X方向の信号)によりタッチ座標のX方向の値を求める。制御処理部14は、第2の電極層111bから入力される信号(Y方向の信号)によりタッチ座標のY方向の値を求める。制御処理部14は、タッチ座標を取得すると、次のステップS3に処理を進める。
【0042】
ステップS3では、制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第2の閾値を超えるか否かを判断する。第2の閾値は、実験やシミュレーション等によって設定された値であり、ROM等の記憶部に予め記憶されている。なお、制御処理部14は、上述のステップS2の処理の前に、検出層11の信号の出力レベルが第2の閾値を超えるか否かを判断してもよい。出力レベルが第2の閾値を超えているか否かについては、第1の閾値の場合と同様の判断処理が行われてよい。
【0043】
制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第2の閾値を超えると判断した場合(ステップS3でYes)、ステップS4に処理を進める。また、制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第2の閾値以下であると判断した場合(ステップS3でNo)、ステップS5に処理を進める。
【0044】
ステップS4では、制御処理部14は、操作面の検出感度が高いと判断されるために、検出したタッチ操作が第2の操作面13aのタッチ操作であると判断する。一方、ステップS5では、制御処理部14は、操作面の検出感度が低いと判断されるために、検出したタッチ操作が第1の操作面12aのタッチ操作であると判断する。なお、本実施形態では、第2の操作面13aの方が第1の操作面12aよりも感度が高いことを想定している。制御処理部14は、タッチ操作面を決定すると(ステップS4、S5を完了すると)、次のステップS6に処理を進める。
【0045】
ステップS6では、制御処理部14は、タッチ操作面情報とタッチ座標情報とをタッチ式入力装置1に通信可能に接続される情報処理装置(不図示)に送信する。情報処理装置は、タッチ式入力装置1から取得した情報に基づき各種の処理を実行する。
【0046】
以上の通り、本実施形態では、制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第1の閾値を超え、且つ、第2の閾値以下である場合に、第1の操作面12aがタッチ操作されたと判断する。また、制御処理部14は、検出層11の信号の出力レベルが第2の閾値を超える場合に、第2の操作面13aがタッチ操作されたと判断する。本構成によれば、1つの検出層11を2つの操作面12a、13aで共用する構成において、タッチ操作がいずれの操作面で行われたかを容易に判断することができる。
【0047】
<2.タッチ式入力装置の適用例>
本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1は、例えば、自動車のステアリングホイールに適用される。ステアリングホイールは、自動車の運転手に正対して配置される。以下、運転手に正対するする面を正面、正面に対して反対側となる面を背面と表現する。また、ステアリングホイールに正対して運転席に座る運転手を基準として前後左右の表現を用いる。
【0048】
図6は、本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1が適用されたステアリングホイール200の正面図である。図6に示すように、ステアリングホイール200は、ホイール部201と、センターパッド202と、スポーク部203とを備える。ホイール部201は、円環状に設けられ、運転者が自動車の運転時に握る部分となる。センターパッド202は、ホイール部201の径方向内方に配置され、例えばエアバック等が収容される部分となる。スポーク部203は、柱状に設けられ、ホイール部201とセンターパッド202とを連結する。運転手は、ホイール部201を、概ね前後方向に延びるホイール軸(不図示)周りに回転させることで自動車のステアリング機構(不図示)を操作し、自動車の進行方向を調整することができる。
【0049】
本実施形態では、スポーク部203には、左スポーク部203aと、右スポーク部203bと、下スポーク部203cとが含まれる。左スポーク部203aは、センターパッド202の左側に配置される。右スポーク部203bは、センターパッド202の右側に配置される。下スポーク部203cは、センターパッド202の下側に配置される。
【0050】
左スポーク部203aと右スポーク部203bとは、タッチ式入力装置1を保持する。タッチ式入力装置1は、各スポーク部203a、203bに、例えば、第1の操作面12aが背面側、且つ、第2の操作面13aが正面側に向けられた状態で固定される。第1の操作面12aおよび第2の操作面13aは、各スポーク部203a、203bに覆われることなく、ステアリングホイール200の外部に露出する。
【0051】
運転手は、例えば、ホイール部201を握る手の親指で、正面側に位置する第2の操作面13aをタッチ操作する。運転手は、例えば、ホイール部201を握る手の中指や人差し指で、背面側に位置する第1の操作面12aをタッチ操作する。タッチ操作は、例えばセンターインフォメーションディスプレイ(CID)やヘッドアップディスプレイ(HUD)等に表示されるメニュー等の画像表示を見ながら行われてよい。
【0052】
タッチ操作によって操作される対象は、例えば、自動車に標準装備される方向指示器やワイパー等であったり、自動車に付加的に装備されるオーディオ装置、カーナビゲーション装置、オートクルーズ装置、パドルシフト等であったりしてよい。例えば、正面側の第2の操作面13aがカーナビゲーション装置の操作に使用され、背面側の第1の操作面12aが方向指示器の操作に使用されてよい。第1の操作面12aと第2の操作面13aとのうちの少なくもいずれか一方が、複数の装置の操作に使用されてもよい。
【0053】
タッチ式入力装置1は、透明、半透明又は非透明のいずれかであってよい。タッチ式入力装置1が透明とされる場合、例えば、背面側をタッチ操作する指の位置を確認することができる。また、タッチ式入力装置1が透明とされる場合、例えば、ステアリングホイール200の背面に存在する計器類やレバー等をタッチ式入力装置1越しに視認することができる。
【0054】
なお、ステアリングホイール200に取り付けられるタッチ式入力装置1の数や配置は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、その構成は適宜変更されてよい。
【0055】
また、本発明のタッチ式入力装置は、ステアリングホイール以外に適用されてよい。本発明のタッチ式入力装置は、例えば、ゲーム機、携帯端末等の携帯装置、カメラ等の電子機器、リモコン装置等に適用されてもよい。
【0056】
<3.タッチ式入力装置の変形例>
変形例の説明にあたって、上述した実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する説明は原則として省略する。
【0057】
(3−1.第1変形例)
図7は、本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1の第1変形例の構成を示す縦断面図である。なお、図7には、理解を容易とするために、タッチ操作に使用される人の指100がタッチ式入力装置1Aと共に示されている。
【0058】
第1変形例のタッチ式入力装置1Aでは、第1の保護層12Aは、複数種類の誘電体が積層された構成になっている。この点、図1に示す実施形態の構成と異なる。詳細には、第1の保護層12Aは、樹脂層121と、空気層122とが積層された構成になっている。なお、樹脂層121と空気層122とで構成される第1の保護層12Aは、例えば、検出層11の第1の面11aに対向して有底箱形状の部材を配置することによって構成されてよい。この場合、有底箱形状の部材は、樹脂層121と同じ材質である。
【0059】
例えば、空気層122(比誘電率1)の厚みが0.5mm、樹脂層121(比誘電率4.5)の厚みが1.5mmとした場合、上述の式(1)と、以下に示す静電容量の合成に関する式(2)とにより、第1の静電容量は1.2εSとなる。一方、厚み0.5mmのガラス(比誘電率3.5)で第2の保護層13が構成される場合、第2の静電容量は7εSとなる。すなわち、第2の静電容量は第1の静電容量の約5.8倍となる。本変形例のタッチ式入力装置1Aにおいても、第1の静電容量と第2の静電容量との差が感度差となり、第1の操作面12aのタッチ操作と、第2の操作面13aのタッチ操作とを区別することができる。
C = C/(C+C) (2)
C:静電容量
:樹脂層121の静電容量
:空気層122の静電容量
【0060】
(3−2.第2変形例)
図8は、本発明の実施形態に係るタッチ式入力装置1の第2変形例の構成を示す縦断面図である。なお、図8には、理解を容易とするために、タッチ操作に使用される人の指100がタッチ式入力装置1Bと共に示されている。
【0061】
第2変形例のタッチ式入力装置1Bにおいても、第1変形例と同様に、第1の保護層12Bは、複数種類の誘電体が積層された構成になっている。詳細には、第1の保護層12Bは、支持層123と、支持層123に支持される表示層124とが積層された構成になっている。支持層123は、例えば有底箱形状の部材で構成される。第1の操作面12aは、支持層123が有する。
【0062】
表示層124は画像を表示する。表示層124は、画像の表示をオンオフできる構成であってもよいし、同一の画像を常時表示する構成であってもよい。表示層124で表示される画像を視認できるように、第2の保護層13および検出層11は透明であることが好ましい。
【0063】
本変形例では、表示層124は、画像の表示をオンオフすることができる。表示層124は導光板で構成される。導光板には、画像を表示させる部分に対応して、例えば、表面に凹凸が形成されたり、内部に反射体が配置されたりする。表示層124の側面には、表示層124を構成する導光板に光を入射する光源15が配置される。光源15は、例えばLED(Light Emitting Diode)等で構成されてよい。 光源15からの光が導光板に入射されると、表面に形成された凹凸や、内部に配置された反射体による光の屈折により導光板の表面から光が出射され、画像が表示される。すなわち、光源15のオンオフにより画像の表示をオンオフすることができる。
【0064】
なお、表示層124を構成する導光板は透明でなくてもよいが、透明であってもよい。表示層124を構成する導光板が透明である場合、支持層123も透明であることが好ましい。また、例えば、光源15の配置や光源15から出射される波長の切り替え等により、表示層124に表示される画像の種類が変更できる構成としてもよい。この場合、例えば、第1の操作面12aがタッチ操作される場合と、第2の操作面13aがタッチ操作される場合とで、表示層124に表示される画像が切り替えられてよい。
【0065】
また、本変形例においても、第1の保護層12Bを配置したことによって求まる第1の静電容量と、第2の保護層13を配置したことによって求まる第2の静電容量とは、勿論異なる。
【0066】
また、本変形例においては、第1の保護層12Bに表示層124が含まれる構成としたがこれは例示にすぎない。すなわち、第1の保護層と第2の保護層との少なくともいずれか一方には、画像を表示する表示層が含まれてよい。これによれば、例えば、タッチ式入力装置1を用いてタッチ操作を行う使用者が、表示層に表示される画像を見ながらタッチ操作を行うことができる。
【0067】
(3−3.第3変形例)
第3変形例のタッチ式入力装置は、上述の実施形態に係るタッチ式入力装置1と同様の構成である。ただし、制御処理部14の機能が、一部異なる。
【0068】
図9は、第3変形例に係るタッチ式入力装置におけるタッチ操作の処理例を示すフローチャートである。ステップS10では、制御処理部14は、キャリブレーションを行う所定のタイミングであるか否かを確認する。所定のタイミングは、例えば、タッチ式入力装置の電源がオンされた時点、タッチ式入力装置の電源がオンされてから所定時間が経過した時点、タッチ式入力装置の積算使用時間が所定時間に到達した時点、温度変化が検出された時点、運転席に座る運転手を最初に認識した時点などであってよい。制御処理部14は、所定のタイミングでない場合(ステップS10でNo)、ステップS1に処理を進める。制御処理部14は、所定のタイミングである場合(ステップS10でYes)、ステップS11に処理を進める。
【0069】
ステップS1では、制御処理部14は、タッチ操作があったか否かを確認する。タッチ操作の有無の確認手法については、上述した図3のステップS1と同様である。制御処理部14は、タッチ操作があった場合には(ステップS1でYes)には、図3に示すステップS2に処理を進める。ステップS2以降の処理については、図3の場合と同様であるために説明を省略する。制御処理部14は、タッチ操作がなかった場合には(ステップS1でNo)には、ステップS10の処理に戻る。
【0070】
ステップS11では、制御処理部14は、キャリブレーション処理を行う。詳細には、制御処理部14は、上述した第1の閾値および第2の閾値のうち少なくとも一方を所定のタイミングで較正する。なお、第1の閾値は、タッチ操作の検出に使用される閾値である。第2の閾値は、タッチ操作の操作面12a、13aを判断するために使用される閾値である。本構成によれば、タッチ操作の誤検出や、タッチ操作の操作面12a、13aの誤認を低減することができる。キャリブレーション処理の処理例については、後述する。制御処理部14は、キャリブレーション処理を完了すると、ステップS1に処理を進める。ステップS1の処理は、上述の通りである。
【0071】
図10は、第3変形例のタッチ式入力装置において実行されるキャリブレーション処理の一例を示す図である。当該キャリブレーション処理は、図9のステップS11で示すキャリブレーション処理の詳細例である。
【0072】
ステップS111では、制御処理部14は、タッチ式入力装置が備える温度検知部(不図示)から温度情報を取得する。温度検知部は、例えば制御処理部14が実装される基板に搭載されるサーミスタ等であってよい。制御処理部14は、温度情報を取得すると次のステップS112に処理を進める。
【0073】
ステップS112では、制御処理部14は、温度情報に基づき、予め準備されたテーブル又は補正式等にしたがって第1の閾値および第2の閾値を補正する。制御処理部14は、第1の閾値および第2の閾値の補正を完了すると、ステップS1以降の処理を進める。本構成によれば、温度環境に変化があった場合でも、タッチ操作の検出や、タッチ操作の操作面12a、13aの認識を適切に行うことができる。
【0074】
なお、温度情報に基づくキャリブレーション処理は、タッチ操作を検出するごとに毎回行われてもよい。
【0075】
図11は、第3変形例のタッチ式入力装置において実行されるキャリブレーション処理の他の例を示す図である。当該キャリブレーション処理は、図9のステップS11で示すキャリブレーション処理の詳細例である。
【0076】
ステップS113では、制御処理部14は、第1の操作面12aをタッチするように指示する。当該指示は、例えば、CIDやHUD等の表示画面を用いて行われてもよいし、音声により行われてもよい。制御処理部14は、第1の操作面12aのタッチの指示を行うと、次のステップS114に処理を進める。なお、当該指示により、タッチ式入力装置の使用者は、第1の操作面12aのタッチ操作を行う。
【0077】
ステップS114では、制御処理部14は、第1の操作面12aのタッチ操作時の検出層11の信号の出力レベルを確認する。例えば、制御処理部14は、検出層11から入力される信号の最大値を出力レベル情報として取得する。なお、複数の信号が入力される場合には、制御処理部14は、各信号の最大値を出力レベル情報としてもよいし、各信号のうちのいずれか1つの最大値を出力レベル情報としてもよい。制御処理部14は、出力レベルの確認処理を行うと、次のステップS115に処理を進める。
【0078】
ステップS115では、制御処理部14は、第2の操作面13aをタッチするように指示する。当該指示には、画面表示や音声が利用されてよい。制御処理部14は、第2の操作面13aのタッチの指示を行うと、次のステップS116に処理を進める。なお、当該指示により、タッチ式入力装置の使用者は、第2の操作面13aのタッチ操作を行う。
【0079】
ステップS116では、制御処理部14は、第2の操作面13aのタッチ操作時の検出層11の信号の出力レベルを確認する。例えば、制御処理部14は、検出層11から入力される信号の最大値を出力レベル情報として取得する。なお、複数の信号が入力される場合には、制御処理部14は、各信号の最大値を出力レベル情報としてもよいし、各信号のうちのいずれか1つの最大値を出力レベル情報としてもよい。制御処理部14は、出力レベルの確認処理を行うと、次のステップS117に処理を進める。
【0080】
ステップS117では、制御処理部14は、各操作面12a、13aの出力レベル情報に基づき、予め準備されたテーブル又は補正式等にしたがって第1の閾値および第2の閾値を補正する。制御処理部14は、第1の閾値および第2の閾値の補正を完了すると、ステップS1以降の処理を進める。本構成によれば、タッチ式入力装置の使用者に操作面12a、13aを実際に触ってもらった結果に基づき第1の閾値および第2の閾値を決定するために、タッチ操作の検出や、タッチ操作の操作面12a、13aの認識を適切に行うことができる。本構成によれば、例えば、タッチ式入力装置の使用者が手袋を嵌めているような場合でも、タッチ操作の検出や、タッチ操作の操作面12a、13aの認識を適切に行うことができる。
【0081】
なお、本例では、第1の操作面12aと第2の操作面13aとのうち、第1の操作面12aから先にタッチ操作時の出力レベルの確認を行ったが、第2の操作面13aから先にタッチ操作時の出力レベルの確認が行われてよい。また、本例では、第1の操作面12aと第2の操作面13aとの両方のタッチ操作により得られた情報に基づき、第1の閾値および第2の閾値を補正する構成とした。ただし、これは例示である。すなわち、2つの操作面12a、13aのうちのいずれか一方のタッチ操作の情報に基づき、第1の閾値および第2の閾値の補正が行われる構成としてもよい。
【0082】
<4.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で適宜組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0083】
1、1A、1B・・・タッチ式入力装置
11・・・検出層
11a・・・第1の面
11b・・・第2の面
12、12A、12B・・・第1の保護層
12a・・・第1の操作面
13・・・第2の保護層
13a・・・第2の操作面
14・・・制御処理部
111・・・電極層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11