【課題】信頼性等を確保しつつ、かつ、製造時に層間絶縁層にクラックが生じることを抑制するヒューズ素子を提供する。また、当該ヒューズ素子を備える半導体装置を提供する。さらに、当該ヒューズの製造方法を提供する。
【解決手段】配線部と、前記配線部の一方の端部と接する第1コンタクト部と、前記配線部の他方の端部と接する第2コンタクト部と、を備え、前記第1コンタクト部は、第1開口部を備え、前記第2コンタクト部は、第2開口部を備え、前記第1開口部は、第1金属材料を含む第1プラグが設けられており、前記第2開口部は、前記第1金属材料及び配線部の材料を含む第2プラグが設けられており、前記配線部の一部は、塊状の前記第1金属材料で満たされているヒューズ素子を用いる。
前記第1金属材料と前記配線部の材料との接触抵抗は、前記第2金属材料と前記配線部の材料との接触抵抗より大きい請求項3〜5のいずれか1項に記載のヒューズ素子。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本実施の形態について説明する。以下に説明する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。本実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
本実施形態の一態様は、以下の通りである。
【0018】
[1]配線部と、前記配線部の一方の端部と接する第1コンタクト部と、前記配線部の他方の端部と接する第2コンタクト部と、を備え、前記第1コンタクト部は、第1開口部を備え、前記第2コンタクト部は、第2開口部を備え、前記第1開口部は、第1金属材料を含む第1プラグが設けられており、前記第2開口部は、前記第1金属材料及び配線部の材料を含む第2プラグが設けられており、前記配線部の一部は、塊状の前記第1金属材料で満たされているヒューズ素子である。
【0019】
[2]前記配線部において、前記塊状の前記第1金属材料の両端の全体は前記配線部の材料と接している[1]に記載のヒューズ素子である。
【0020】
[3]前記第1プラグは、さらに第2金属材料を備える[1]又は[2]に記載のヒューズ素子である。
【0021】
[4]前記第1開口部において、前記第1金属材料は、前記第2金属材料を介して前記配線部と電気的に接続する[3]に記載のヒューズ素子である。
【0022】
[5]前記第2金属材料は、前記第1金属材料より導電率が小さい[3]又は[4]に記載のヒューズ素子。
【0023】
[6]前記第1金属材料と前記配線部の材料との接触抵抗は、前記第2金属材料と前記配線部の材料との接触抵抗より大きい[3]〜[5]のいずれか1項に記載のヒューズ素子である。
【0024】
[7]前記第1金属材料は、タングステンを含み、前記第2金属材料は、チタンを含み、前記配線部の材料は、シリコンを含む[3]〜[6]のいずれか1項に記載のヒューズ素子である。
【0025】
[8]前記第1開口部は2つ以上あり、前記第1コンタクト部が備える前記第1開口部の個数は、前記第2コンタクト部が備える前記第2開口部の個数より多い[1]〜[7]のいずれか1項に記載のヒューズ素子である。
【0026】
[9]配線部を備える配線と、前記配線上の層間絶縁層と、前記配線部の一方の端部と接する第1コンタクト部と、前記配線部の他方の端部と接する第2コンタクト部と、を備え、前記第1コンタクト部は、前記層間絶縁層に設けられた第1開口部を備え、前記第2コンタクト部は、前記層間絶縁層に設けられた第2開口部を備え、前記第1開口部は、第1金属材料を含む第1プラグが設けられており、前記第2開口部は、前記第1金属材料及び配線部の材料を含む第2プラグが設けられており、前記配線部の一部は、塊状の前記第1金属材料で満たされている半導体装置である。
【0027】
[10]前記配線部において、前記塊状の前記第1金属材料の両端の全体は前記配線部の材料と接している[9]に記載の半導体装置である。
【0028】
[11]前記第1プラグは、さらに第2金属材料を備える[9]又は[10]に記載の半導体装置である。
【0029】
[12]前記第1開口部において、前記第1金属材料は、前記第2金属材料を介して前記配線部と電気的に接続する[11]に記載の半導体装置である。
【0030】
[13]前記第2金属材料は、前記第1金属材料より導電率が小さい[11]又は[12]に記載の半導体装置である。
【0031】
[14]前記第1金属材料と前記配線の材料との接触抵抗は、前記第2金属材料と前記配線の材料との接触抵抗より大きい[11]〜[13]のいずれか1項に記載の半導体装置である。
【0032】
[15]前記第1金属材料は、タングステンを含み、前記第2金属材料は、チタンを含み、前記配線部の材料は、シリコンを含む[11]〜[14]のいずれか1項に記載の半導体装置である。
【0033】
[16]前記第1開口部は2つ以上あり、前記第1コンタクト部が備える前記第1開口部の個数は、前記第2コンタクト部が備える前記第2開口部の個数より多い[9]〜[15]のいずれか1項に記載の半導体装置である。
【0034】
[17][9]〜[15]のいずれか1項に記載の半導体装置を備える記憶装置である。
【0035】
[18]配線部を形成し、前記配線部の一方の端部と接し、かつ、第1開口部を備える第1コンタクト部と、前記配線部の他方の端部と接し、かつ、第2開口部を備える第2コンタクト部と、を形成し、前記第1開口部は、第1金属材料を含む第1プラグが設けられており、前記第2開口部は、前記第1金属材料を含む第2プラグが設けられており、前記第1コンタクト部から前記第2コンタクト部へ前記第1プラグ、前記配線部、及び前記第2プラグを介して電流を流し、前記第2プラグの一部の領域における前記第1金属材料の一部が塊状となって前記配線部の一部を満たし、前記第2プラグの一部の領域を配線部の材料が満たすヒューズ素子の製造方法である。
【0036】
[19]前記配線部において、前記塊状の前記第1金属材料の両端の全体は前記配線部の材料と接している[18]に記載のヒューズ素子の製造方法である。
【0037】
[20]前記第1開口部において、さらに前記第1金属材料と前記配線部との間に挟まれるよう第2金属材料を備える[18]又は[19]に記載のヒューズ素子の製造方法である。
【0038】
[21]前記第1金属材料は、タングステンを含み、前記第2金属材料は、チタンを含み、前記配線部の材料は、シリコンを含む[20]に記載のヒューズ素子の製造方法である。
【0039】
[22]前記第1開口部は2つ以上あり、前記第1コンタクト部が備える前記第1開口部の個数は、前記第2コンタクト部が備える前記第2開口部の個数より多い[18]〜[21]のいずれか1項に記載のヒューズ素子の製造方法である。
【0040】
[第1実施形態]
本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置及びその製造方法について
図1〜5を用いて説明する。
【0041】
図1は本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置の構造を示す平面模式図、
図2及び
図3は本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置の構造を示す断面模式図、
図4及び
図5は、本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置の製造方法を説明する断面模式図である。
【0042】
まず、本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置の構造について
図1及び
図2を用いて説明する。
【0043】
基板10上には、配線12が形成されている。基板10上及び配線12上には、層間絶縁層18が形成されている。層間絶縁層18は、開口部を有し、配線12に接して電気的に接続されたプラグ14及びプラグ16が開口部に埋め込まれている。なお、説明を容易にするため、
図1に示す領域を配線部24、第1コンタクト部25a、及び第2コンタクト部25bと定義するが配線部24と第1コンタクト部25aの境界、及び配線部24と第2コンタクト部25bの境界は図示するものに限られず、例えば、配線部24が第1コンタクト部25aのプラグ14近傍又はプラグ14まで延伸していてもよく、配線部24が第2コンタクト部25bのプラグ16近傍又はプラグ16まで延伸していてもよい。このようにして、配線部24、第1コンタクト部25a、及び第2コンタクト部25bが直接接続されてヒューズ素子が構成されている。
【0044】
プラグ14及びプラグ16が埋め込まれている層間絶縁層18上には、プラグ14を介して配線12の一部である配線部24の一方の端部と電気的に接続する金属配線20、及びプラグ16を介して配線部24の他方の端部と電気的に接続する金属配線22が形成されている。なお、金属配線20から配線12を介して金属配線22に電流が流れる構成となっている。
【0045】
また、プラグ14は金属材料14a及び金属材料14bを含み、プラグ16は金属材料16a及び金属材料16bを含む。つまり、金属材料14b(又は金属材料16b)と配線部24との間に挟まれるよう金属材料14a(又は金属材料16a)を備える。金属材料14a(又は金属材料16a)は、金属材料14b(又は金属材料16b)より導電率が小さいものを用いることができる。また、金属材料14a(又は金属材料16a)と配線部24(配線12)の材料との接触抵抗は、金属材料14b(又は金属材料16b)と配線部24の材料との接触抵抗より大きいものを用いることができる。例えば、金属材料14a(又は金属材料16a)は、タングステンを含む材料を用いることができ、金属材料14b(又は金属材料16b)はチタンを含む材料を用いることができ、配線部24の材料はポリシリコン、アモルファスシリコン、シリコンゲルマニウム等のシリコンを含む材料を用いることができる。
【0046】
金属配線20から配線部24を介して金属配線22に電流を流すことにより、プラグ16の金属材料16bのエレクトロマイグレーションが生じ、
図2に示すように金属材料16bの一部が配線部24内を移動する。なお、配線部24内の一部は、塊状となった金属材料26aによって満たされている。つまり、塊状となった金属材料26aの両端の全体は配線部の材料と接している。また、上記金属材料16bの一部の移動に伴って、移動した金属材料16bの一部が存在した領域は、配線部の材料26bで満たされる。
【0047】
上述のように、本実施形態に係るヒューズ素子は、配線部24と、金属材料14a及び金属材料14bを含むプラグ14を備える第1コンタクト部25aと、金属材料16a及び金属材料16bを含むプラグ16を備える第2コンタクト部25bとを備え、配線部24内の一部は、金属材料16bの一部と入れ替わっていることに特徴がある。本実施形態に係るヒューズ素子は、配線部とコンタクト部との間の抵抗を変化させることができる。配線部内に移動した塊状の金属材料16bの一部によって配線部とコンタクト部との間の抵抗の変化が生じる。これは、金属材料16bの一部が配線内12に移動する前後における、配線部からコンタクト部までの間の各材料間の接触抵抗に起因するものであると考えられる。
【0048】
例えば、金属材料16bの一部が配線内12に移動する前においては、配線部24の材料は金属材料16aと接触している一方、金属材料16bの一部が配線内12に移動した後においては、
図2に示すように、塊状となった金属材料26aの両端が配線部24の材料と接し、金属材料16aは配線部の材料26bと接している。上述したように金属材料14a(又は金属材料16a)と配線部24(配線12)の材料との接触抵抗は、金属材料14b(又は金属材料16b)と配線部24の材料との接触抵抗より大きいため、配線部とコンタクト部とを用いて、ヒューズとして機能させることができる。
【0049】
なお、金属配線20から配線部24を介して金属配線22に流す電流は、配線部の長さL(第1コンタクト部25aと第2コンタクト部25bの間の長さ)、配線部の幅W、及びプラグと配線部とのコンタクト面積等に応じて適宜調整する。例えば、配線部の長さLを1〜4μm、配線部の幅Wを0.4〜1.0μm、パルス電流を流す時間を1μs〜50ms、パルス電流を10〜100mA、パルス電圧を1〜7V、電流密度を25〜250mA/μm
2等にすることができる。
【0050】
本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置は、
図2に示す構造に限られず、例えば
図3に示すように金属材料14a及び金属材料16aが層間絶縁層18の上面の一部及び開口部に形成されている構成であってもよい。
【0051】
本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置は、従来のピンチ効果による爆発を用いず、マイグレーションを利用しており、製造時に層間絶縁層にクラックが生じることを抑制しつつ、かつ、信頼性等を確保することができる。
【0052】
ここで、本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置の製造方法について、
図4及び
図5を用いて説明する。
【0053】
まず、
図4(a)に示すように、基板10を用意する。
【0054】
次に、基板10上に配線12となる配線層を形成し、
図4(b)に示すように、配線層上にレジストマスクをパターン形成し、レジストマスクをマスクとしてエッチング等により配線12を形成する。配線12のサイズは、例えば、配線部24の長さLが1μm、配線部24の幅Wを0.8μmとなるように調整する。
【0055】
次に、基板10上及び配線12上に層間絶縁層18を形成し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により平坦化処理を行う。その後、
図4(c)に示すように、当該層間絶縁層18上にレジストマスクをパターン形成し、レジストマスクをマスクとしてエッチング等により層間絶縁層18に配線12に達する開口部を形成する。
【0056】
次に、
図5(a)に示すように、層間絶縁層18上及び当該開口部に金属材料14a及び金属材料15aとなる金属層及び金属材料14b及び金属材料15bとなる金属層を成膜し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により平坦化処理を行い、当該開口部に埋め込まれたプラグ14及びプラグ15を形成する。例えば、金属材料14a及び金属材料15aとなる金属層は、80〜120nmのチタンを用いることができ、金属材料14b及び金属材料15bとなる金属層は、500〜650nmのタングステンを用いることができる。なお、金属材料14a及び金属材料15aとなる金属層は、窒化チタンとチタンの積層構造であってもよく、例えば、40〜50nmの窒化チタンの上に60〜70nmの窒化チタンが設けられている構成としてもよい。
【0057】
次に、
図5(b)に示すように、プラグ14及びプラグ15が埋め込まれた層間絶縁層18上に、プラグ14を介して配線12と電気的に接続された金属配線20と、プラグ15を介して配線12と電気的に接続された金属配線22と、を形成する。
【0058】
以上の工程により、ヒューズ素子を備える半導体装置を製造することができる。
【0059】
当該ヒューズ素子は、配線部24と、第1コンタクト部25aと、第2コンタクト部25bと、を備え、第1コンタクト部25aから配線部24を介して第2コンタクト部25bに電流を流すことで第2コンタクト部25bの金属材料15bのエレクトロマイグレーションが生じ、
図5(c)に示すように、金属材料15bの一部が配線部24内を移動する。なお、配線部24内の一部は、塊状となった金属材料26aによって満たされている。上記金属材料15bの一部の移動に伴って、移動した金属材料15bの一部が存在した領域は、配線部の材料26bで満たされる。これに伴って、移動しなかった金属材料15bは、金属材料16bとなり、金属材料15aは金属材料16aとなる。
【0060】
本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置を用いることで製造時に層間絶縁層にクラックが生じることを抑制しつつ、かつ、配線部とコンタクト部との間に電流を流す前後において大きな抵抗の変化を得ることができ、信頼性等を確保することができる。
【0061】
[第2実施形態]
本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置について
図6〜10を用いて説明する。
【0062】
図6は本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置の構造を示す平面模式図、
図7は本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置の構造を示す断面模式図、
図8〜
図10は、本実施の形態の一態様のヒューズ素子の配線の形状を示す平面模式図である。
【0063】
まず、本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置の構造について
図6及び
図7を用いて説明する。
【0064】
基板10上には、配線12が形成されている。配線12の一方の端部の幅は、他方の端部の幅よりも広くなっている。基板10上及び配線12上には、層間絶縁層18が形成されている。層間絶縁層18は、開口部を有し、配線12に接して電気的に接続されたプラグ14及びプラグ16が開口部に埋め込まれている。配線12の一方の端部側には、他方の端部側よりも多くのプラグが形成されている。なお、本実施形態においても第1実施形態で示した配線部、第1コンタクト部、及び第2コンタクト部の記載を援用することができる。このようにして、配線部、第1コンタクト部、及び第2コンタクト部が直接接続されてヒューズ素子が構成されている。
【0065】
プラグ14及びプラグ16が埋め込まれている層間絶縁層18上には、プラグ14を介して配線12の一部である配線部の一方の端部と電気的に接続する金属配線20、及びプラグ16を介して配線部の他方の端部と電気的に接続する金属配線22が形成されている。なお、金属配線20から配線12を介して金属配線22に電流が流れる構成となっている。
【0066】
上述のように、本実施形態に係るヒューズ素子は、配線12の陽極側に対応する一方の端部の幅が、配線12の陰極側に対応する他方の端子の幅よりも広くなっており、配線12の一方の端部側には、他方の端部側よりも多くのプラグが形成されていることに特徴がある。
【0067】
また、層間絶縁層18に形成された開口部の接触面の形状は、特に限定されず、例えば、
図6に示すように円形であってもよいし、第1実施形態で示した
図1のように四角形であってもよい。
【0068】
さらに、ヒューズ素子の配線12の形状は、特に限定されず、例えば、
図8〜10に示すような形状であってもよい。
【0069】
本実施形態に係るヒューズ素子は、陽極側における配線12と金属配線20との間の接触面積が増加することによってコンタクト抵抗が低減されている。
【0070】
また、本実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置を用いることで製造時に層間絶縁層にクラックが生じることを抑制しつつ、かつ、配線部とコンタクト部との間に電流を流す前後において大きな抵抗の変化を得ることができ、信頼性等を確保することができる。
【0071】
[アプリケーション]
上記実施形態に係るヒューズ素子を備える半導体装置を、例えば、記憶装置に備えることができる。
図11〜13は、上記実施形態に係るヒューズ素子を備える回路構成の一例を示す回路図である。ヒューズセル40内にヒューズ素子42が備えてあり、ヒューズ素子42は、上記実施形態に係るヒューズ素子を用いることができる。このため、当該記憶装置は、製造時に層間絶縁層にクラックが生じることを抑制しつつ、かつ、信頼性等を確保することができる。
【0072】
[その他の実施形態]
上記のように、いくつかの実施形態について記載したが、開示の一部をなす論述及び図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。このように、本実施形態は、ここでは記載していない様々な実施形態等を含む。
【実施例】
【0073】
以下に、実施例により上記実施形態をさらに具体的に説明するが、上記実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
本実施例では、上述のヒューズ素子における断面TEM観察及びEDX分析を行った。
【0075】
本実施例のヒューズ素子は、ポリシリコン(Si)からなる配線と、配線上の層間絶縁層と、当該層間絶縁層の開口部に形成された、チタン(Ti)及びタングステン(W)からなるプラグと、を備える。また、プラグと電気的に接続する金属配線が形成されている。
【0076】
第1実施形態で説明したように陽極側の金属配線からプラグおよび配線を介して陰極側の金属配線に1msの時間、電圧5Vで電流を流した。
【0077】
上記の条件で電流を流した後のヒューズ素子について、断面TEM観察を行った。断面TEM観察には、日立ハイテク製電界放射型透過電子顕微鏡HF−2200を用いた。得られた断面TEM画像を
図14に示す。
【0078】
図14に示すように、配線の一部にプラグの材料の一部が移動していることが分かった。
【0079】
さらに電流を流した後のヒューズ素子について、
図14に示す領域50及び領域60に対してEXD分析を行った。EXD分析には、Thermo製Vantageを用いた。陽極側の領域50において得られたEXDマッピングを
図15に示し、陰極側の領域60において得られたEXDマッピングを
図16に示す。
【0080】
図15に示すように、陽極側のシリコン(Si)からなる配線の一部がタングステン(W)で満たされていることが分かった。また、
図16に示すように、陰極側のチタン(Ti)とタングステン(W)からなるプラグのWの一部がSiと入れ替わっていることが分かった。
【0081】
(実施例2)
本実施例では、上述のヒューズ素子における配線部の長さL、配線部の幅W、及びプラグの個数の違いによる抵抗の変化の関係について評価した。
【0082】
配線部の長さLが1.5μm、配線部の幅Wが0.8μm、配線部の形状及びプラグの配置が
図17(a)であるヒューズ素子A、配線部の長さLが1.5μm、配線部の幅Wが0.8μm、配線部の形状及びプラグの配置が
図17(b)であるヒューズ素子B、配線部の長さLが2μm、配線部の幅Wが0.4μm、配線部の形状及びプラグの配置が
図17(c)であるヒューズ素子C、配線部の長さLが2μm、配線部の幅Wが0.4μm、配線部の形状及びプラグの配置が
図17(d)であるヒューズ素子Dをそれぞれ作製した。
【0083】
各ヒューズ素子A〜Dに対して、パルス電圧及びパルス電流を流す時間を複数の条件にて電流を流し、ヒューズ素子の抵抗の変化が起こるか評価した。
【0084】
図18(a)は、ヒューズ素子Aの評価結果を示す図であり、
図18(b)は、ヒューズ素子Bの評価結果を示す図である。また、
図19(a)は、ヒューズ素子Cの評価結果を示す図であり、
図19(b)は、ヒューズ素子Dの評価結果を示す図である。
【0085】
なお、図中のパーセンテージは、ヒューズ素子に電流を流す前後における電流比を表しており、パーセンテージが小さいほど抵抗の変化が大きいことを示し、抵抗の変化が大きい条件に該当する箇所はセルを塗りつぶしていない。
【0086】
図18(a)及び
図18(b)を比較すると、プラグの個数が減少したことによりプラグと配線とのコンタクト抵抗の影響が大きくなったことに伴って、ヒューズ素子の抵抗の変化が大きくなったと考えられる。
【0087】
また、
図19(a)及び
図19(b)を比較すると、プラグの個数の違いではヒューズ素子の抵抗の変化に大きな違いは見られない。配線部の幅Wが小さい場合には、ヒューズ素子の抵抗の変化はプラグの個数に依存しないことが分かった。