特開2020-205341(P2020-205341A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-205341(P2020-205341A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20201127BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20201127BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20201127BHJP
   H01F 1/28 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   H01F17/04 F
   H01F17/00 B
   H01F41/04 C
   H01F1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2019-112207(P2019-112207)
(22)【出願日】2019年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】野尾 直矢
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 由雅
(72)【発明者】
【氏名】山内 浩司
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 顕徳
【テーマコード(参考)】
5E041
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E041AA02
5E041AA05
5E041AA07
5E041AA11
5E041BB03
5E041BD03
5E041CA02
5E041HB11
5E041HB19
5E062DD01
5E070AA01
5E070AB01
5E070BB03
5E070CB02
5E070CB12
5E070CB17
5E070CB18
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】応力低減及び絶縁性向上を実現できるインダクタ部品を提供する。
【解決手段】インダクタ部品は、磁性層20を含む積層体2と、積層体2内に配置されたスパイラル配線と、を備えている。磁性層20は、空隙部71を有するベース樹脂72と、ベース樹脂72に含有された金属磁性粉73及び非磁性粉74とを有する。金属磁性粉73には、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触するものが存在する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性層を含む積層体と、
前記積層体内に配置されたインダクタ配線と、
を備え、
前記磁性層は、空隙部を有するベース樹脂と、前記ベース樹脂に含有された金属磁性粉及び非磁性粉とを有し、
前記金属磁性粉には、前記空隙部及び前記非磁性粉の両方と接触するものが存在するインダクタ部品。
【請求項2】
前記非磁性粉はシリカである請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記金属磁性粉及び前記非磁性粉は、何れも球形状である請求項1又は請求項2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記金属磁性粉は鉄を含有する請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記金属磁性粉は、1wt%以上、5wt%以下のクロムを含有している請求項4に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記金属磁性粉の平均粒子径は、1μm以上、5μm以下であり、
前記非磁性粉の平均粒子径は、前記金属磁性粉の平均粒子径よりも小さい請求項1から請求項5の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記金属磁性粉に接触する前記非磁性粉の粒子径は、当該接触する前記金属磁性粉の粒子径の3分の1以下の大きさである請求項1から請求項6の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記空隙部及び前記非磁性粉の両方と接触する前記金属磁性粉が、前記積層体の積層方向に複数備えられている請求項1から請求項7の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記磁性層は、フェライト粉を更に含む請求項1から請求項8の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記ベース樹脂は、エポキシ系樹脂及びアクリル系樹脂の少なくとも一方の樹脂を含む請求項1から請求項9の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記金属磁性粉に接触する少なくとも1つの前記空隙部の断面形状は、直交する2つの方向の長さが異なる請求項1から請求項10の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
前記金属磁性粉に接触する前記空隙部の径は、当該接触する前記金属磁性粉の粒子径よりも小さい請求項1から請求項11の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項13】
前記積層体は、前記インダクタ配線に接する非磁性の絶縁体を含み、
前記インダクタ配線から前記積層体の表面まで前記積層体を前記積層体の積層方向に貫通する垂直配線を備えた請求項1から請求項12の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項14】
前記金属磁性粉に接触する前記空隙部の少なくとも1つは、前記垂直配線にも接触している請求項13に記載のインダクタ部品。
【請求項15】
前記積層体の主面に形成された外部端子を更に備え、
前記外部端子は、前記積層体の主面から露出する前記垂直配線の露出面上に配置されている請求項13又は請求項14に記載のインダクタ部品。
【請求項16】
前記絶縁体は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂及び液晶ポリマー系樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含み、且つ、前記ベース樹脂に含まれる樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含む請求項13から請求項15の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項17】
厚さが0.5mm以下である請求項6及び請求項6に従属する請求項7から請求項16の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項18】
前記インダクタ配線は、積層された複数のインダクタ配線層を有する請求項1から請求項17の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【請求項19】
同一平面上に複数の前記インダクタ配線を有する請求項1から請求項18の何れか1項に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に搭載されるインダクタ部品には、例えば特許文献1に記載されているように、樹脂と同樹脂に含有された金属磁性粉とを有する一対の磁性層と、一対の磁性層の間に挟まれたスパイラル配線とを備えたものがある。
【0003】
特許文献1に記載されたインダクタ部品では、磁性層における金属磁性粉の含有率は90〜97wt%、同磁性層における樹脂の含有率は3〜10wt%が好ましいとされている。また、スパイラル配線は、基板の表面に形成されるとともに、樹脂を含む絶縁性の絶縁体にて覆われている。絶縁体は、スパイラル配線と磁性層との電気的導通を防止する。そして、一対の磁性層は、厚さ方向の両側から絶縁体を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6024243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ノートブック、スマートフォンなどの電子機器の小型化や薄型化が進んでいる。これに伴い、電子機器に搭載されるインダクタ部品にも、小型化及び薄型化が望まれている。
【0006】
磁性層が有する樹脂や金属磁性粉、スパイラル配線、絶縁体は、それぞれ温度変化による膨張収縮率が異なるため、熱によって歪みなどの応力が蓄積される場合がある。特に、インダクタ部品を実装基板に実装すると、実装基板、当該実装基板とインダクタ部品とを接合するはんだ、及びインダクタ部品の膨張収縮率の差異によって、更に応力が蓄積され、インダクタ部品やはんだにクラックが発生する場合がある。
【0007】
ここで、特許文献1のように、磁性層における金属磁性粉の含有率を90〜97wt%とすると、磁性層の膨張収縮率が実装基板に含まれるガラスクロスや金属からなるスパイラル配線の膨張収縮率に近づくため、応力の低減を図ることができる。しかしながら、この場合、磁性層の絶縁性が悪化するため、磁性層や金属磁性粉、スパイラル配線への絶縁体のコーティングなどが必要となる。これは工数の増加によるコスト増や、構造の追加による反小型化、反薄型化などの弊害を招く。
【0008】
本開示の目的は、応力低減及び絶縁性向上を実現できるインダクタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係るインダクタ部品は、磁性層を含む積層体と、前記積層体内に配置されたインダクタ配線と、を備え、前記磁性層は、空隙部を有するベース樹脂と、前記ベース樹脂に含有された金属磁性粉及び非磁性粉とを有し、前記金属磁性粉には、前記空隙部及び前記非磁性粉の両方と接触するものが存在する。
【0010】
上記態様によれば、金属磁性粉に接触する空隙部及び非磁性粉によって、応力緩和及び絶縁性向上を実現できる。
なお、本明細書において「インダクタ配線」とは、電流が流れた場合に磁性層に磁束を発生させることによって、インダクタ部品にインダクタンスを付与させるものであって、その構造、形状、材料などに特に限定はない。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係るインダクタ部品によれば、応力低減及び絶縁性向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態におけるインダクタ部品の透視平面図。
図2】第1実施形態におけるインダクタ部品の断面図(図1におけるX1−X1断面図)。
図3】第1実施形態におけるインダクタ部品の拡大断面図。
図4】第1実施形態におけるインダクタ部品の拡大断面図。
図5】第1実施形態におけるインダクタ部品の断面写真。
図6】第1実施形態におけるインダクタ部品の断面写真。
図7】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図8】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図9】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図10】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図11】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図12】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図13】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図14】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図15】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図16】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図17】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図18】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図19】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図20】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図21】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図22】第1実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図23】第2実施形態におけるインダクタ部品の断面図。
図24】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図25】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図26】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図27】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図28】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図29】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図30】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図31】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図32】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図33】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図34】第2実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図35】第3実施形態におけるインダクタ部品の断面図。
図36】第3実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図37】第3実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図38】第3実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図39】第3実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図40】第3実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図41】第3実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図42】第3実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図43】第3実施形態におけるインダクタ部品の製造工程を説明する説明図。
図44】変更例のインダクタ部品の透視平面図。
図45】変更例のインダクタ部品の断面図(図44におけるX2−X2断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、インダクタ部品の各実施形態について説明する。なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。また、断面図ではハッチングを付しているが、理解を容易にするために一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0014】
<第1実施形態>
以下、インダクタ部品の第1実施形態を説明する。
図1に示すインダクタ部品1は、例えば、パソコン、DVDプレーヤー、デジタルカメラ、テレビ、携帯電話、カーエレクトロニクスなどの電子機器に搭載される表面実装型のインダクタ部品である。インダクタ部品1は、例えば電子機器の電源回路に用いられるパワーインダクタである。但し、インダクタ部品1の用途は上記に限られない。
【0015】
図1図3に示すように、インダクタ部品1は、磁性層20を含む積層体2と、積層体2内に配置されたスパイラル配線11と、を備え、磁性層20は、空隙部71を有するベース樹脂72と、ベース樹脂72に含有された金属磁性粉73及び非磁性粉74とを有する。更に、金属磁性粉73には、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触するものが存在する。なお、スパイラル配線11は、インダクタ配線の一例である。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施形態のインダクタ部品1は直方体状をなしている。なお、本明細書において、「直方体状」には、各面の一部又は全部に凹凸を有するものも含む。また、本明細書における「直方体状」では、各面とその反対側の面とが必ずしも完全に平行となっている必要はなく、多少の傾きがあってもよい(即ち、隣接する面は必ずしも直角をなさなくてもよい)。因みに、インダクタ部品1の形状は、特に限定されず、円柱状や多角柱状、円錐台形状、多角錐台形状等であってもよい。
【0017】
インダクタ部品1は、スパイラル配線11と、積層体2と、垂直配線41,42,43と、外部端子51,52,53と、被覆膜61とを有している。
スパイラル配線11は、導電性材料からなり、平面上に巻回されている。スパイラル配線11が巻回された平面S1に対する垂直方向を、図中、Z方向(図2において上下方向)とし、以下、順Z方向を上方向、逆Z方向を下方向とする。そして、Z方向は、インダクタ部品1の厚さ方向に該当する。なお、Z方向は、他の実施形態及び変更例においても同様とする。スパイラル配線11は、上側から見て、内周端11aから外周端11bに向かって反時計方向に渦巻き状に形成されている。また、Z方向は、積層体2の積層方向にも一致する。
【0018】
スパイラル配線11のターン数は、本実施形態では、2.5ターンである。スパイラル配線11のターン数は、5ターン以下が好ましい。ターン数が5ターン以下であれば、50MHzから150MHzといった高周波スイッチング動作に対して近接効果の損失を小さくすることができる。一方、1MHzといった低周波スイッチング動作でインダクタ部品1を使用する場合には、スパイラル配線11のターン数は、2.5ターン以上が好ましい。スパイラル配線11のターン数を多くすることで、インダクタ部品1のインダクタンスを高くしてインダクタリップル電流を小さくすることができる。なお、スパイラル配線11のターン数は、5ターンより多くてもよい。
【0019】
スパイラル配線11の材料としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの低抵抗な金属を用いることができる。好ましくは、スパイラル配線11の材料として、銅もしくは銅化合物からなる導体を用いる。このようにすると、スパイラル配線11にかかる製造コストを低減させるとともに、スパイラル配線11における直流抵抗を低減させることができる。また、スパイラル配線11は、SAP(Semi Additive Process:セミアディティブ工法)によって形成される銅めっきよりなることが好ましい。このようにすると、低抵抗で且つ狭ピッチなスパイラル配線11を安価に得ることができる。なお、スパイラル配線11は、SAP以外のめっき工法、スパッタリング法や蒸着法、塗布法などにより形成されるものであってもよい。
【0020】
なお、上記「スパイラル配線」とは、平面状に形成された曲線(二次元曲線)の配線であって、ターン数が1周未満の曲線の配線であってもよいし、一部直線部を有する配線であってもよい。
【0021】
積層体2は、磁性層20と、絶縁体31とを含む。磁性層20は、磁性材料からなる。磁性層20は、第1磁性層21と、第2磁性層22と、内磁路部23と、外磁路部24とから構成されている。
【0022】
第1磁性層21及び第2磁性層22は、Z方向の両側からスパイラル配線11を挟む位置にある。具体的には、第1磁性層21はスパイラル配線11の下側に位置するとともに、第2磁性層22はスパイラル配線11の上側に位置している。即ち、スパイラル配線11は、第1磁性層21と第2磁性層22との間に挟まれている。内磁路部23は、スパイラル配線11の内側に配置されている。即ち、内磁路部23は、磁性層20において、スパイラル配線11の内側で第1磁性層21と第2磁性層22との間に挟まれた部分である。外磁路部24は、スパイラル配線11の外側に配置されている。即ち、外磁路部24は、磁性層20において、スパイラル配線11の外側で第1磁性層21と第2磁性層22との間に挟まれた部分である。そして、内磁路部23及び外磁路部24は、第1磁性層21及び第2磁性層22に接続されている。このように、磁性層20は、スパイラル配線11に対して閉磁路を形成している。
【0023】
図2及び図3に示すように、磁性層20、即ち、第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24は、空隙部71を有するベース樹脂72と、ベース樹脂72に含有された金属磁性粉73及び非磁性粉74とをそれぞれ有している。なお、本実施形態のインダクタ部品1では、第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24は、何れも同じ材料からなるが、異なる材料からなるものであってもよい。
【0024】
図1及び図2に示すように、絶縁体31は、電気絶縁性を有する。絶縁体31は、第1磁性層21と第2磁性層22との間で、磁性層20とスパイラル配線11との間に配置されている。本実施形態では、絶縁体31は、第1磁性層21とスパイラル配線11との間、第2磁性層22とスパイラル配線11との間、内磁路部23とスパイラル配線11との間、外磁路部24とスパイラル配線11との間にそれぞれ配置されている。そして、絶縁体31は、上側、下側、横側からスパイラル配線11に接するとともに、スパイラル配線11の表面を覆っている。絶縁体31は、スパイラル配線11の配線間の絶縁性を確保する。また、絶縁体31には、下側(Z方向)から第1磁性層21が接するとともに、上側(逆Z方向)から第2磁性層22が接している。そして、絶縁体31の表面は、磁性層20によって覆われている。
【0025】
絶縁体31は、非磁性の絶縁性材料からなる。本実施形態では、絶縁体31は、無機フィラー及び有機樹脂材料からなる絶縁性樹脂材料にて形成されている。なお、図1では、磁性層20及び絶縁体31を透明にした図で示しているが、磁性層20及び絶縁体31は、透明、半透明、不透明の何れであってもよい。また、磁性層20及び絶縁体31は、有色であってもよい。
【0026】
絶縁体31の材料としては、例えば、シリカ(SiO:二酸化ケイ素)粉体を含有する樹脂を用いることができる。但し、絶縁体31は、必ずしもシリカ粉体を含まなくてもよい。また、絶縁体31に含まれる樹脂は、絶縁性の樹脂であればよいが、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂及び液晶ポリマー系樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含むことが好ましい。
【0027】
垂直配線41〜43は、導電性材料からなる。各垂直配線41〜43は、スパイラル配線11から積層体2の表面まで積層体2を積層体2の積層方向に貫通している。なお、積層体2の表面は、積層体2におけるインダクタ部品1の外側を向く面である。本実施形態では、積層体2の表面は、磁性層20におけるインダクタ部品1の外側を向いた表面である。
【0028】
各垂直配線41〜43は、スパイラル配線11からZ方向に延在されるとともに、第1磁性層21もしくは第2磁性層22を貫通している。第1垂直配線41は、スパイラル配線11の内周端11aの上面から上側に延在されて絶縁体31をZ方向に貫通する第1ビア導体41aと、第1ビア導体41aから上側に延在されて第2磁性層22をZ方向に貫通する第1柱状配線41bとを含む。第2垂直配線42は、スパイラル配線11の外周端11bの上面から上側に延在されて絶縁体31をZ方向に貫通する第2ビア導体42aと、第2ビア導体42aから上側に延在されて第2磁性層22をZ方向に貫通する第2柱状配線42bとを含む。第3垂直配線43は、スパイラル配線11の外周端11bの下面から下側に延在されて絶縁体31をZ方向に貫通する第3ビア導体43aと、第3ビア導体43aから下側に延在されて第1磁性層21をZ方向に貫通する第3柱状配線43bとを含む。第2垂直配線42と第3垂直配線43とは、スパイラル配線11を挟んだZ方向の両側にそれぞれ位置している。
【0029】
垂直配線41〜43(ビア導体41a〜43a及び柱状配線41b〜43b)の材料としては、例えば、銅、銀、金などの低抵抗な金属を用いることができる。好ましくは、垂直配線41〜43の材料として、銅もしくは銅化合物からなる導体を用いる。このようにすると、垂直配線41〜43にかかる製造コストを低減させるとともに、垂直配線41〜43における直流抵抗を低減させることができる。また、垂直配線41〜43は、SAPによって形成される銅めっきよりなることが好ましい。このようにすると、低抵抗な垂直配線41〜43を安価に得ることができる。なお、垂直配線41〜43は、SAP以外のめっき工法、スパッタリング法や蒸着法、塗布法などにより形成されるものであってもよい。
【0030】
外部端子51〜53は、導電性材料からなる。外部端子51〜53は、積層体2の主面に形成されている。外部端子51〜53は、積層体2の主面から露出する垂直配線41〜43の露出面41c〜43c上に配置されている。
【0031】
なお、積層体2の「主面」は、インダクタ部品1の外側を向く面であって、積層体2における積層方向の両端面である。本実施形態では、積層体2は、2つの主面を有する。即ち、積層体2が有する2つの主面は、第1磁性層21の下面と、第2磁性層22の上面との2つの面である。また、垂直配線41〜43が積層体2の主面から露出する場合の「露出」は、インダクタ部品1の外部への完全な露出に限られるものではなく、積層体2からの露出であればよい。即ち、この「露出」には、垂直配線41〜43が積層体2から別の部材へ露出する場合も含む。従って、例えば、垂直配線41〜43の露出面41c〜43cは、絶縁被膜(例えば、後述の被覆膜61)や電極(例えば、外部端子51〜53)などの別の部材に覆われていてもよい。
【0032】
第1外部端子51は、第2磁性層22の上面に設けられるとともに、同上面から露出した第1垂直配線41の端面(即ち、第1柱状配線41bの上端面であって露出面41c)を覆っている。第2外部端子52は、第2磁性層22の上面に設けられるとともに、同上面から露出した第2垂直配線42の端面(即ち、第2柱状配線42bの上端面であって露出面42c)を覆っている。第3外部端子53は、第1磁性層21の下面に設けられるとともに、同下面から露出した第3垂直配線43の端面(即ち、第3柱状配線43bの下端面であって露出面43c)を覆っている。第2外部端子52と第3外部端子53とは、スパイラル配線11を挟んだZ方向の両側にそれぞれ位置している。
【0033】
また、本実施形態のインダクタ部品1は、Z方向から見て、垂直配線41〜43の露出面41c〜43c(柱状配線41b〜43bの端面)を覆う外部端子51〜53の面積は、垂直配線41〜43の面積よりも大きい。なお、インダクタ部品1をZ方向から見て、外部端子51〜53の面積は、垂直配線41〜43の面積以下であってもよい。
【0034】
外部端子51〜53の材料としては、例えば、銅、銀、金などの低抵抗な金属を用いることができる。好ましくは、外部端子51〜53の材料として、銅もしくは銅化合物からなる導体を用いる。このようにすると、外部端子51〜53にかかる製造コストを低減させるとともに、外部端子51〜53における直流抵抗を低減させることができる。なお、スパイラル配線11、垂直配線41〜43、外部端子51〜53の材料を、銅を主体とした導体とすることにより、スパイラル配線11と垂直配線41〜43との間、及び、垂直配線41〜43と外部端子51〜53との間の接合力や導電性を向上させることができる。また、外部端子51〜53は、SAPによって形成される銅めっきよりなることが好ましい。このようにすると、低抵抗な外部端子51〜53を安価に得ることができる。なお、外部端子51〜53は、SAP以外のめっき工法、スパッタリング法や蒸着法、塗布法などにより形成されるものであってもよい。
【0035】
各外部端子51〜53は、防錆処理が施されていることが好ましい。ここで、防錆処理とは、ニッケル(Ni)、金、錫(Sn)などで被膜を形成することである。これにより、はんだによる銅喰われや、錆びを抑制することができるため、インダクタ部品1の実装信頼性を高めることができる。
【0036】
なお、垂直配線41〜43及び外部端子51〜53は、第1磁性層21のみ、もしくは第2磁性層22のみに形成してもよい。また、第1磁性層21もしくは第2磁性層22の表面に、スパイラル配線11と電気的に接続されていない外部端子としてのダミー端子を設けてもよい。ダミー端子は導電性であるため、熱伝導率が高い。従って、インダクタ部品1における放熱性を向上させることができるため、インダクタ部品1の信頼性を高める(高環境耐性を得る)ことができる。
【0037】
図2に示すように、被覆膜61は、非磁性の絶縁性材料からなる。被覆膜61は、第1磁性層21の下面及び第2磁性層22の上面を被覆している。因みに、図1では、被覆膜61の図示を省略している。第1磁性層21の下面を被覆する被覆膜61は、第1磁性層21の下面において第3外部端子53を除く領域を覆うとともに、第3外部端子53の下端面を露出させている。第2磁性層22の上面を被覆する被覆膜61は、第2磁性層22の上面において第1外部端子51及び第2外部端子52を除く領域を覆うとともに、第1外部端子51の上端面及び第2外部端子52の上端面を露出させている。
【0038】
また、本実施形態のインダクタ部品1では、各外部端子51〜53の表面は、第1磁性層21もしくは第2磁性層22の表面よりもZ方向の外側に位置する。具体的には、外部端子51〜53は、被覆膜61に埋設されるとともに、外部端子51〜53の表面は、第1磁性層21もしくは第2磁性層22の表面と同一平面上にない。因みに、第1磁性層21もしくは第2磁性層22の表面と外部端子51〜53の表面との位置関係を独立に設定することができるため、外部端子51〜53の厚さの自由度を高めることができる。そして、インダクタ部品1における外部端子51〜53の表面の高さ位置を調整することが可能であるため、例えば、インダクタ部品1が基板に埋め込まれた場合に、外部端子51〜53の表面の高さ位置を他の埋め込み部品の外部端子の高さ位置に合わせることが可能となる。従って、このようなインダクタ部品1を用いることにより、基板のビア形成時のレーザの焦点合わせ工程を合理化することができるため、基板の製造効率を向上させることができる。
【0039】
被覆膜61は、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂及びポリイミド系樹脂などの有機絶縁樹脂からなる感光性レジストやソルダーレジスト、ドライフィルムレジストなどで形成されている。なお、被覆膜61は、絶縁体31と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0040】
本実施形態のインダクタ部品1は、厚さ(Z方向の長さ)が0.5mm以下であることが好ましい。例えば、本実施形態のインダクタ部品1の厚さは0.200mmである。また、本実施形態のインダクタ部品1のチップサイズは、例えば、2.0mm×2.0mmである。また、本実施形態のインダクタ部品1において、スパイラル配線11は、例えば、配線幅が210μm、配線間スペースが10μm、配線厚さが70μmである。なお、インダクタ部品1の厚さ、チップサイズ、スパイラル配線11の配線幅、配線間スペース、配線厚さは、はこれに限らず、適宜変更してもよい。
【0041】
また、本実施形態のインダクタ部品1は、基板の表面上に実装される表面実装型の部品であるが、その他に、基板に設けられた孔に埋め込まれて実装される埋込型の部品であってもよい。また、インダクタ部品1は、半導体パッケージなどのIC(集積回路)パッケージ内に実装される3次元接続用の部品として用いることもできる。例えば、インダクタ部品1は、ICパッケージに含まれるサブストレートの表面上に実装されたり、同サブストレートに設けられた孔に埋め込まれて実装されたりすることが可能である。
【0042】
なお、本実施形態では、第1磁性層21側にも外部端子53を設けているが、第1磁性層21側に外部端子53を設けない場合には、第1磁性層21の表面を覆う被覆膜61を省略してもよい。
【0043】
ここで、磁性層20について詳述する。
図2及び図3に示すように、第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24、即ち磁性層20に含まれるベース樹脂72は、絶縁性の樹脂であればよいが、エポキシ系樹脂及びアクリル系樹脂の少なくとも一方の樹脂を含むことが好ましい。なお、第1磁性層21及び第2磁性層22と接する絶縁体31は、絶縁性の樹脂であればよいが、このベース樹脂72に含まれる樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含むことが好ましい。
【0044】
ベース樹脂72に含まれる金属磁性粉73は、必ずしも球形状でなくてもよいが、球形状であることが好ましい。なお、本明細書において「球形状」とは、直径が一定の球形状に加えて、一部が欠損した球形状、歪んだ球形状を含む。
【0045】
また、金属磁性粉73の平均粒子径は、1μm以上、5μm以下であることが好ましい。なお、本明細書において金属磁性粉73の平均粒子径は、金属磁性粉73の原料状態においては、レーザ回折・散乱法により測定する。このレーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%に相当する粒径を金属磁性粉73の平均粒子径とする。また、インダクタ部品1の状態においては、金属磁性粉73の平均粒子径は、第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24のうち、測定対象とするものについて、中心を通る断面のSEM(Scanning Electron Microscope:走査電子顕微鏡)画像を用いて測定する。具体的には、15個以上の金属磁性粉73が確認できる倍率のSEM画像において、各金属磁性粉73の面積を測定し、円相当径を{4/π×(面積)}^(1/2)から算出した上で、その算術平均値を金属磁性粉73の平均粒子径とする。なお、SEM画像において金属磁性粉73の輪郭が不鮮明な場合は画像処理を用いればよい。因みに、金属磁性粉73の平均粒子径は、1μm未満や、5μmより大きくてもよい。
【0046】
金属磁性粉73は導電性を有する。金属磁性粉73の材料としては、例えば、鉄(Fe)を含有する磁性の金属を用いることができる。鉄は、単体で金属磁性粉73に含有されてもよいし、鉄を含む合金として金属磁性粉73に含有されてもよい。鉄を含有する金属磁性粉73の材料としては、例えば、鉄−ケイ素(Si)−クロム(Cr)合金などの鉄−ケイ素系合金、鉄−コバルト(Co)系合金、パーマロイ(NiFe)などの鉄系合金、又は、それらのアモルファス合金を用いることができる。そして、金属磁性粉73が鉄を含有する場合には、同金属磁性粉73は、1wt%以上、5wt%以下のクロム(Cr)を含有していることが好ましい。本実施形態では、金属磁性粉73は、鉄−ケイ素−クロム合金の粉体である。
【0047】
ベース樹脂72に含まれる非磁性粉74は、必ずしも球形状でなくてもよいが、球形状であることが好ましい。また、非磁性粉74の平均粒子径は、金属磁性粉73の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。なお、本明細書において非磁性粉74の平均粒子径は、非磁性粉74の原料状態においては、レーザ回折・散乱法により測定する。このレーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%に相当する粒径を非磁性粉74の平均粒子径とする。また、インダクタ部品1の状態においては、非磁性粉74の平均粒子径は、第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24のうち、測定対象とするものについて、中心を通る断面のSEM画像を用いて測定する。具体的には、15個以上の非磁性粉74が確認できる倍率のSEM画像において、各非磁性粉74の面積を測定し、円相当径を{4/π×(面積)}^(1/2)から算出した上で、その算術平均値を非磁性粉74の平均粒子径とする。なお、SEM画像において非磁性粉74の輪郭が不鮮明な場合は画像処理を用いればよい。因みに、非磁性粉74の平均粒子径は、必ずしも金属磁性粉73の平均粒子径よりも小さくなくてもよい。
【0048】
非磁性粉74の材料としては、シリカを用いることができる。非磁性粉74にシリカを用いた場合の同非磁性粉74の平均粒子径は、0.5μm程度である。なお、非磁性粉74の材料としては、シリカに限らず、例えば、硫酸バリウム(BaSO)や窒化ホウ素(BN)を用いることもできる。この非磁性粉74は、ベース樹脂72内で絶縁体として働く。
【0049】
ベース樹脂72が有する空隙部71は、研磨法によってインダクタ部品1の断面出しを行った後に、FIB(Focused Ion Beam:収束イオンビーム)などで樹脂封止せずに断面を深さ方向にエッチングすることで容易に確認することができる。
【0050】
磁性層20に含まれる金属磁性粉73には、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触するものが存在する。なお、金属磁性粉73が絶縁コートを有する場合には、非磁性粉74及び空隙部71は絶縁コートを介して金属磁性粉73に接触する(即ち、金属磁性粉73の絶縁コートに接触する)ことが好ましい。また、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、第1磁性層21及び第2磁性層22のそれぞれに複数存在することが好ましい。更に、内磁路部23及び外磁路部24も、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73を有することが好ましい。また、インダクタ部品1は、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73を、積層体2の積層方向(図2においてZ方向)に複数備えていることが好ましい。但し、インダクタ部品1は、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73を、必ずしも積層体2の積層方向に複数備えなくてもよい。また、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、必ずしも第1磁性層21及び第2磁性層22のそれぞれに複数存在しなくてもよい。
【0051】
また、図4に示すように、インダクタ部品1においては、金属磁性粉73に接触する空隙部71の少なくとも1つは、垂直配線41〜43の何れかにも接触していることが好ましい。但し、金属磁性粉73に接触する空隙部71は、必ずしも垂直配線41〜43の何れかに接触しなくてもよい。
【0052】
空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、SEMを用いて取得した画像により確認することができる。SEM画像を取得するためには、まず、インダクタ部品1の中央部の断面出しを研磨法によって行う。その後、インダクタ部品1の断面部における磁性層20の部分の画像をSEMにより取得する。そして、インダクタ部品1の断面部における磁性層20の部分において、10,000倍の倍率で垂直方向(Z方向)に異なる箇所の画像を3点以上取得し、取得したSEM画像を確認することにより、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が第1磁性層21及び第2磁性層22内に複数存在することの確認を行った。なお、SEMの倍率は、10,000倍に限らず、金属磁性粉73の大きさに応じて適当に変更すればよいが、15個以上の金属磁性粉73が確認できる倍率が好ましい。
【0053】
図5及び図6は、上記の方法で取得したインダクタ部品1のSEM画像を示す。図6では、垂直配線41と金属磁性粉73とに接触した空隙部71を確認することができる。
図3に示すように、金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさであることが好ましい。金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径、及び、当該非磁性粉74が接触する金属磁性粉73の粒子径は、第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24のうち、測定対象とするものについて、中心を通る断面のSEM画像を用いて測定する。具体的には、SEM画像において金属磁性粉73に接触している非磁性粉74の面積を測定し、測定した面積を用いて{4/π×(面積)}^(1/2)により算出した円相当径を当該非磁性粉74の粒子径とする。また、同SEM画像において、当該非磁性粉74が接触している金属磁性粉73の面積を測定し、測定した面積を用いて{4/π×(面積)}^(1/2)により算出した円相当径を当該金属磁性粉73の粒子径とする。なお、SEM画像において金属磁性粉73及び非磁性粉の輪郭が不鮮明な場合は画像処理を用いればよい。なお、金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、必ずしも当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさでなくてもよい。
【0054】
また、金属磁性粉73に接触する少なくとも1つの空隙部71の断面形状は、直交する2つの方向の長さが異なることが好ましい。図3には、金属磁性粉73に接触する空隙部71aの断面形状において、直交する2つの方向L1,L2の長さを図示している。例えば、方向L1は、空隙部71aの断面形状における長手方向である。方向L2は、空隙部71aの断面形状において方向L1と直交する方向である。そして、L1方向の長さD1とL2方向の長さD2とが異なっている。なお、方向L1は、金属磁性粉73に接触する空隙部71の断面形状において必ずしも長手方向としなくてもよく、任意の方向であってよい。金属磁性粉73に接触する少なくとも1つの空隙部71の断面形状であって、直交する2つの方向の長さが異なる形状は、例えば、楕円形状、ひょうたん形状、勾玉形状、ブーメラン形状、トラック(即ち競走路)形状等がある。
【0055】
また、金属磁性粉73に接触する空隙部71であって断面において直交する2つの方向の長さが異なる形状である空隙部71は、同断面において、当該空隙部71の長径が、当該空隙部71の円相当径よりも長いことがより好ましい。なお、金属磁性粉73に接触する空隙部71は、断面形状において直交する2つの方向の長さが必ずしも異ならなくてもよい。
【0056】
金属磁性粉73に接触する空隙部71の断面形状は、第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24のうち、測定対象とするものについて、中心を通る断面のSEM画像により確認することができる。また、同空隙部71の円相当径は、同SEM画像において、同空隙部71の面積を測定し、測定した面積を用いて{4/π×(面積)}^(1/2)により算出する。
【0057】
また、金属磁性粉73に接触する空隙部71の径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径よりも小さいことが好ましい。具体的には、金属磁性粉73に接触する空隙部71の短径が、当該金属磁性粉73の円相当径より小さいことが好ましい。更には、金属磁性粉73に接触する空隙部71の円相当径が、当該金属磁性粉73の円相当径より小さいことがより好ましい。なお、金属磁性粉73に接触する空隙部71の径は、必ずしも当該接触する金属磁性粉73の粒子径よりも小さくなくてもよい。
【0058】
金属磁性粉73に接触する空隙部71の径は、第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24のうち、測定対象とするものについて、中心を通る断面のSEM画像を用いて測定する。また、当該空隙部71が接触する金属磁性粉73の粒子径は、同SEM画像を用いて測定する。具体的には、同SEM画像において、当該空隙部71が接触する金属磁性粉73の面積を測定し、測定した面積を用いて{4/π×(面積)}^(1/2)により算出した円相当径を当該金属磁性粉73の粒子径とする。また、当該空隙部71の円相当径は、上記と同様のSEM画像において、当該空隙部71の面積を測定し、測定した面積を用いて{4/π×(面積)}^(1/2)により算出する。なお、SEM画像において金属磁性粉73、空隙部71の輪郭が不鮮明な場合は画像処理を用いればよい。
【0059】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
磁性層20は、空隙部71を有するベース樹脂72と、ベース樹脂72に含有された金属磁性粉73及び非磁性粉74とを有する。金属磁性粉73には、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触するものが存在する。本実施形態では、複数の金属磁性粉73が、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触している。このため、金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって、インダクタ部品1における応力緩和及び絶縁性向上を実現できる。
【0060】
また、非磁性粉74にシリカを用いることにより、磁性層20において金属磁性粉73と金属磁性粉73との間の絶縁性を高めることができる。
また、金属磁性粉73及び非磁性粉74を、何れも球形状とすることにより、ベース樹脂72への金属磁性粉73及び非磁性粉74の充填量を多くしても、ベース樹脂72内で金属磁性粉73及び非磁性粉74を均一に分散させやすい。
【0061】
また、鉄を含有した金属磁性粉73を用いることにより、磁性層20の磁気飽和特性を向上させることができる。
また、金属磁性粉73が1wt%以上、5wt%以下のクロムを含有していると、金属磁性粉73においてクロムが酸化して不動態を形成することにより、金属磁性粉73の酸化が抑制される。本実施形態では、金属磁性粉73は、鉄−ケイ素−クロム合金の粉体であるため、鉄を含有している。そして、鉄が酸化すると赤茶色等に変色する。しかしながら、本実施形態の金属磁性粉73は、クロムを含有することにより鉄の酸化が抑制されるため、インダクタ部品1の変色を抑制できる。因みに、クロムは白色であるとともに、不動態を形成する酸化被膜は無色透明であるため、クロムが不動態を形成した場合でもインダクタ部品1の変色は抑制される。
【0062】
また、金属磁性粉73の平均粒子径を1μm以上、5μm以下とすることにより、直流重畳特性を向上させることができる。また、渦電流損(鉄損)を小さく抑えることができる。非磁性粉74の平均粒子径が金属磁性粉73の平均粒子径よりも小さいため、金属磁性粉73の充填量を多くすることが非磁性粉74によって阻害されることが抑制される。更に、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間に非磁性粉74が配置されやすくなる。
【0063】
一般的に、金属磁性粉の平均粒子径が1μmよりも小さいと、金属磁性粉の重さが軽いため、ベース樹脂内に金属磁性粉を均一に分散させることが困難になる。更に、金属磁性粉の平均粒子径が1μmよりも小さいと、ベース樹脂内の金属磁性粉の表面積が大きくなるため、ベース樹脂への金属磁性粉の充填量を多くすることが困難になり、その結果、磁気抵抗を下げにくくなる。これに対し、本実施形態のインダクタ部品1においては、金属磁性粉73の平均粒子径が1μm以上であるため、ベース樹脂72内に金属磁性粉73を均一に分散させやすくなるとともに、ベース樹脂72への金属磁性粉73の充填量を容易に多くできる。
【0064】
また、金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさである。そのため、金属磁性粉73の充填量を多くすることが非磁性粉74によって阻害されることがより抑制される。更に、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間に非磁性粉がより配置されやすくなる。
【0065】
また、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が、積層体2の積層方向に複数備えられていると、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触している金属磁性粉73が磁性層20の内部に複数あることになる。そのため、金属磁性粉73に接触している複数の空隙部71及び非磁性粉によって、インダクタ部品1における更なる応力緩和及び絶縁性向上を実現できる。
【0066】
また、ベース樹脂72は、エポキシ系樹脂及びアクリル系樹脂の少なくとも一方の樹脂を含むため、磁性層20の絶縁性を高めることができる。更に、ベース樹脂72によってもインダクタ部品1における応力を緩和できる。
【0067】
また、空隙部71は、非球形にもなり得るため、金属磁性粉73の表面に沿って配置することが可能である。そして、断面において直交する2つの方向の長さが異なる形状である空隙部71を金属磁性粉73の表面に沿って配置すると、同金属磁性粉73の表面のより広い範囲に空隙部71を接触させることができる。
【0068】
また、金属磁性粉73に接触する空隙部71の径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径よりも小さいため、金属磁性粉73の充填量を多くすることが当該空隙部71によって阻害されることが抑制される。また、当該空隙部71によって磁性層20の機械的強度が低下されることを抑制できる。
【0069】
また、インダクタ部品1は、積層体2にスパイラル配線11を覆う絶縁体31を含んでいるため、スパイラル配線11間や、スパイラル配線11と同スパイラル配線11の周囲の導電性の部位との間の絶縁性を高めることができる。例えば、スパイラル配線11の配線間スペースが非常に狭い場合に、スパイラル配線11の配線間において金属磁性粉73を介した電気的にショートするパスができる可能性を除くことができ、インダクタ部品1の信頼性を向上させることができる。
【0070】
また、インダクタ部品1は垂直配線41〜43を備えたことにより、スパイラル配線11と外部回路との接続を容易に行うことができる。また、本実施形態では、金属磁性粉73及び非磁性粉74が球形状をなす。そのため、インダクタ部品1の製造時には、金属磁性粉73及び非磁性粉74を含有したベース樹脂72を、スパイラル配線11の内側(即ち、内磁路部23を形成する部分)、スパイラル配線11の外側(即ち、外磁路部24を形成する部分)、及び垂直配線41〜43の周囲へ容易に圧入することができる。
【0071】
また、前述したように、本実施形態のインダクタ部品1は、基板に設けられた孔に埋め込まれて実装される埋込型の部品として使用したり、ICパッケージ内に実装される3次元接続用の部品として使用したりすることが可能である。そして、インダクタ部品1では、スパイラル配線11からZ方向に直接垂直配線41〜43が引き出されている。これは、スパイラル配線11が、インダクタ部品1の上面側又は下面側に最短距離で引き出されていることを意味し、基板配線がインダクタ部品1の上面側又は下面側から接続される3次元実装において、不要な配線引き回しを低減できることを意味する。従って、インダクタ部品1は、3次元実装に十分に対応できる構成を有していることから、回路設計の自由度を向上させることができる。
【0072】
また、インダクタ部品1では、スパイラル配線11から側面方向(即ち、積層方向と直交する方向)に配線が引き出されないため、Z方向から見たインダクタ部品1の面積、即ち実装面積を低減させることができる。従って、インダクタ部品1は、表面実装及び3次元実装の何れにおいても、実装面積を減少させることができるとともに、回路設計の自由度を向上させることができる。
【0073】
また、インダクタ部品1では、垂直配線41〜43は、スパイラル配線11から積層体2の表面まで積層体2を積層体2の積層方向に貫通するとともに、スパイラル配線11が巻回された平面S1に対して垂直方向に延在している。この場合、垂直配線41〜43においては、電流はスパイラル配線11が巻回された平面S1に沿った方向に流れるのではなく、Z方向に流れる。
【0074】
ここで、インダクタ部品1のサイズが小さくなると、相対的に磁性層20も小さくなる。すると、内磁路部23では磁束密度が高くなるために、磁気飽和しやすくなる。しかしながら、垂直配線41〜43に流れるZ方向の電流による磁束は、内磁路部23を通らないため、磁気飽和特性、即ち直流重畳特性への影響を低減できる。これに対し、スパイラル配線から引出部によって側面側(スパイラル配線が巻回された平面に沿った方向)に配線を引き出した場合には、引出部に流れる電流により発生する磁束の一部が内磁路部や外磁路部を通ることになるため、磁気飽和特性、即ち直流重畳特性への影響が懸念される。
【0075】
また、垂直配線41〜43は、第1磁性層21もしくは第2磁性層22を積層方向に貫通するため、垂直配線41〜43をスパイラル配線11から引き出す際に磁性層20の開口箇所を小さくできることから、容易に閉磁路構造を取ることができる。これにより、基板側へのノイズ伝播を抑制することができる。
【0076】
また、金属磁性粉73に接触する空隙部71の少なくとも1つは、垂直配線41〜43のいずれかにも接触しているため、垂直配線41〜43の何れかと金属磁性粉73との両方に接触する空隙部71によって、垂直配線41〜43の何れかと金属磁性粉73との間の絶縁性を高めることができる。
【0077】
また、インダクタ部品1は、積層体2の主面に形成された外部端子51〜53を有する。外部端子51〜53は、積層体2の主面から露出する垂直配線41〜43の露出面41c〜43c上に配置されている。このため、Z方向から見て、垂直配線41〜43の露出面41c〜43cを覆う外部端子51〜53の面積を、垂直配線41〜43の面積よりも大きくすることができる。このようにすると、実装時の接合面積が大きくなるため、インダクタ部品1の実装信頼性を向上させることができる。また、基板に実装する時に基板配線とインダクタ部品1との接合位置について、アライメントマージンを確保することができるため、これによっても実装信頼性を向上させることができる。また、柱状配線41b〜43bの体積にかかわらず実装信頼性を向上させることができるため、Z方向から見た柱状配線41b〜43bの断面積を小さくすることにより、第1磁性層21もしくは第2磁性層22の体積の減少を抑制して、インダクタ部品1の特性低下を抑制することができる。
【0078】
また、絶縁体31は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂及び液晶ポリマー系樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含み、且つ、ベース樹脂72に含まれる樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含んでいる。そのため、スパイラル配線11間や、スパイラル配線11と同スパイラル配線11の周囲の導電性の部位との間の絶縁性を高めることができる。また、磁性層20を構成するベース樹脂72に含まれる樹脂と、絶縁体31に含まれる樹脂とは、共通の樹脂を含む。そのため、磁性層20と絶縁体31との間で発生するひずみを小さく抑えることができる。
【0079】
また、本実施形態のインダクタ部品1においては、金属磁性粉73の平均粒子径は、1μm以上、5μm以下という小さい値である。即ち、金属磁性粉73が小さい。そのため、磁性層20の厚さ(第1磁性層21及び第2磁性層22の厚さ)を調整することによりインダクタ部品1の厚さを調整する際に、磁性層20を構成するベース樹脂72からの金属磁性粉73の脱粒の影響を受けにくい。即ち、金属磁性粉73の脱粒の有無にかかわらず、磁性層20の厚さを調整することができる。
【0080】
(製造方法)
次に、インダクタ部品1の製造方法について説明する。
図7に示すように、ダミーコア基板100を準備する。ダミーコア基板100は、絶縁基板101と、絶縁基板101の両面に設けられたベース金属層102とを有する。本実施形態では、絶縁基板101はガラスエポキシ基板であり、ベース金属層102は銅箔である。ダミーコア基板100の厚さはインダクタ部品1の厚さに影響しないため、ダミーコア基板100には、加工上の反りなどの理由から適宜取り扱いやすい厚さのものを用いればよい。
【0081】
次に、図8に示すように、ベース金属層102の面上にダミー金属層111を接着する。本実施形態では、ダミー金属層111は銅箔である。ダミー金属層111は、ベース金属層102の円滑面に接着されるため、ダミー金属層111とベース金属層102との接着力を弱くすることができる。従って、後工程において、ダミーコア基板100をベース金属層102から容易に剥がすことができる。ダミーコア基板100のベース金属層102とダミー金属層111とを接着する接着剤は、低粘着剤であることが好ましい。また、ベース金属層102とダミー金属層111との接着力を弱くするために、ベース金属層102とダミー金属層111との接着面を光沢面とすることが好ましい。
【0082】
次に、図9に示すように、ダミー金属層111上に絶縁層112を積層する。絶縁層112は、真空ラミネータやプレス機などにより、ダミー金属層111に熱圧着された後に熱硬化される。
【0083】
次に、図10に示すように、レーザ加工などにより絶縁層112に開口部112aを形成する。
その後、図11に示すように、絶縁層112上にダミー銅113aとスパイラル配線113bとを形成する。詳しくは、絶縁層112上に無電解めっきやスパッタリング、蒸着などによりSAPのための給電膜(図示略)を形成する。給電膜の形成後、給電膜上に感光性のレジストを塗布や貼り付けにより形成する。そして、フォトリソグラフィによって配線パターンとなる箇所に感光性レジストの開口部を形成する。その後、ダミー銅113a及びスパイラル配線113bに相当するメタル配線を感光性レジスト層の開口部に形成する。メタル配線の形成後、感光性レジストを薬液により剥離除去した後に、給電膜をエッチングにより除去する。その後、このメタル配線を給電部として、追加の銅電解めっきを施すことにより、狭スペースなスパイラル配線113bを得る。また、開口部112aには、SAPにより銅が充填される。
【0084】
次に、図12に示すように、ダミー銅113a及びスパイラル配線113bを絶縁層114で覆う。絶縁層114は、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着された後に熱硬化される。
【0085】
次に、図13に示すように、レーザ加工などにより絶縁層114に開口部114aを形成する。
その後、図14に示すように、ダミーコア基板100をダミー金属層111から剥がす。
【0086】
そして、図15に示すように、ダミー金属層111をエッチングなどにより取り除く。また、ダミー銅113aをエッチングなどにより取り除く。これにより、内磁路部23に対応する孔部115a及び外磁路部24に対応する孔部115bが形成される。
【0087】
その後、図16に示すように、レーザ加工などにより絶縁層112,114に開口部114bを形成する。
そして、図17に示すように、SAPにより、開口部114bに銅を充填してビア導体116aを形成した後に、絶縁層112,114上に柱状配線116bを形成する。
【0088】
次に、図18に示すように、スパイラル配線113b、絶縁層112,114及び柱状配線116bを磁性層117で覆うことにより、インダクタ基板130を形成する。磁性層117は、空隙部71を有するベース樹脂72、金属磁性粉73及び非磁性粉74を含む磁性材料118からなるものである(図3参照)。磁性材料118(磁性層117)は、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着された後に熱硬化される。この時、磁性材料118は、孔部115a,115bにも充填される。
【0089】
なお、磁性材料118にて磁性層117を形成する際に、ベース樹脂72内に空隙部71を形成する。磁性材料118を熱圧着する際の加圧を磁性材料118の溶融粘度が下がりきる前に開始すると、磁性材料118の流動が低下するため、磁性材料118は、空気を含んだ状態で孔部115a,115bに充填される。その後、磁性材料118を加温し、磁性材料118の溶融粘度が更に下がると、孔部115a,115bに磁性材料118が十分に充填された状態、且つ磁性材料118が上記空気を含んだ状態で当該磁性材料118の硬化が始まる。これによって、空隙部71を有するベース樹脂72を形成することができる。
【0090】
なお、空隙部71の形成方法は、これに限られない。例えば、磁性材料118の内部に分子量の小さい添加剤を加え、磁性材料118の硬化時に当該添加剤を分解させることによっても、添加剤の存在した部分に空隙部71を形成することができる。同様に、上記の組み合わせやそれ以外の方法で空隙部71を形成してもよい。
【0091】
次に、図19に示すように、インダクタ基板130の上下の磁性材料118を研削工法により薄層化する。この時、磁性材料118を研削することにより柱状配線116bの一部を露出させることで、磁性材料118の同一平面上に柱状配線116bの露出部が形成される。なお、インダクタンス値が得られるのに十分な厚さになるまで磁性材料118を研削することで、インダクタ部品1の薄型化を図ることができる。
【0092】
次に、図20に示すように、印刷工法により磁性層117の表面に非磁性の絶縁性材料からなる被覆膜119を形成する。形成された被覆膜119は開口部119aを有する。この開口部119aは、外部端子121が形成される部分である。本実施形態では、印刷工法を用いて開口部119aを有する被覆膜119を形成したが、フォトリソグラフィ法によって開口部119aを形成してもよい。
【0093】
次に、図21に示すように、外部端子121を形成する。外部端子121は、無電解めっきや、電解めっきなどにより、銅やニッケル、金、錫などの金属膜として形成される。
その後、図22に示すように、破断線Lにてダイシングにより個片化することで、図2に示すインダクタ部品1を得る。なお、図22に示すスパイラル配線113bは、図2に示すスパイラル配線11に該当する。また、図22に示す絶縁層112,114は、図2に示す絶縁体31に該当する。また、図22に示す磁性層117は、図2に示す磁性層20、即ち第1磁性層21、第2磁性層22、内磁路部23及び外磁路部24に該当する。また、図22に示す3つのビア導体116aは、図2に示すビア導体41a〜43aに該当するとともに、図22に示す3つの柱状配線116bは、図2に示す柱状配線41b〜43bに該当する。更に、図22に示す3つの外部端子121は、図2に示す外部端子51〜53に該当する。
【0094】
上記したように、本実施形態のインダクタ部品1においては、スパイラル配線11は、従来のようにプリント基板に形成されるものではい。従って、スパイラル配線が形成されるプリント基板を備えない分、インダクタ部品1の薄型化に有利である。なお、従来のようにプリント基板にスパイラル配線が形成される構成の場合には、基板を省略することが困難である。
【0095】
図11以降、図示を省略したが、ダミーコア基板100の両面にインダクタ基板130を形成してもよい。このようにすると、生産性を高めることができる。
本実施形態の効果について説明する。
【0096】
(1−1)インダクタ部品1は、磁性層20を含む積層体2と、積層体2内に配置されたインダクタ配線の一例であるスパイラル配線11と、を備えている。磁性層20は、空隙部71を有するベース樹脂72と、ベース樹脂72に含有された金属磁性粉73及び非磁性粉74とを有し、金属磁性粉73には、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触するものが存在する。
【0097】
上記態様によれば、金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって、インダクタ部品1における応力緩和及び絶縁性向上を実現できる。そして、磁性層20自体の構造により、インダクタ部品1における応力緩和及び絶縁性向上を図ることができるため、絶縁体コーティング等の追加の構成を設けなくてもよい。従って、インダクタ部品1の製造コストの低減、並びに、インダクタ部品1の小型化及び低背化を実現できる。
【0098】
(1−2)非磁性粉74はシリカである。このように、非磁性粉74にシリカを用いることにより、磁性層20において金属磁性粉73と金属磁性粉73との間の絶縁性を高めることができる。また、非磁性粉74に安価なシリカを用いることにより、インダクタ部品1の製造コストを低減させることができるとともに、量産性に優れたインダクタ部品1を得ることができる。
【0099】
(1−3)金属磁性粉73及び非磁性粉74は、何れも球形状である。そのため、ベース樹脂72への金属磁性粉73及び非磁性粉74の充填量を多くしても、ベース樹脂72内で金属磁性粉73及び非磁性粉74を均一に分散させやすい。また、スパイラル配線11の間の隙間(例えば、スパイラル配線11の内側の内磁路部23が形成される部分)等、狭い場所にも、磁性層20、即ち金属磁性粉73及び非磁性粉74を含むベース樹脂72を圧入しやすくなる。
【0100】
(1−4)金属磁性粉73は鉄を含有する。そのため、磁性層20の磁気飽和特性を向上させることができる。
(1−5)金属磁性粉73は、1wt%以上、5wt%以下のクロムを含有している。そのため、金属磁性粉73においては、クロムが酸化して不動態を形成することにより、金属磁性粉73の酸化が抑制される。従って、温度変化だけでなく、湿度が高い過酷な環境にも耐え得るインダクタ部品1を得ることができる。
【0101】
(1−6)金属磁性粉73の平均粒子径は、1μm以上、5μm以下である。また、非磁性粉74の平均粒子径は、金属磁性粉73の平均粒子径よりも小さい。
このように、金属磁性粉73の平均粒子径を1μm以上、5μm以下とすることにより、直流重畳特性を向上させることができる。また、金属磁性粉73の平均粒子径を5μm以下と小さくすることにより、渦電流損(鉄損)を小さく抑えることができる。
【0102】
また、非磁性粉74の平均粒子径が金属磁性粉73の平均粒子径よりも小さいため、金属磁性粉73の充填量を多くすることが非磁性粉74によって阻害されることが抑制される。従って、金属磁性粉73の充填量を多くしてインダクタンスを向上させることが容易となる。更に、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間に非磁性粉74が配置されやすくなるため、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間を非磁性粉74によって絶縁しやすい。
【0103】
また、一般的に、金属磁性粉の平均粒子径が1μmよりも小さいと、金属磁性粉の重さが軽いため、ベース樹脂内に金属磁性粉を均一に分散させることが困難になる。更に、金属磁性粉の平均粒子径が1μmよりも小さいと、ベース樹脂内の金属磁性粉の表面積が大きくなるため、ベース樹脂への金属磁性粉の充填量を多くすることが困難になり、その結果、磁気抵抗を下げにくくなる。これに対し、本実施形態のインダクタ部品1においては、金属磁性粉73の平均粒子径が1μm以上であるため、ベース樹脂72内に金属磁性粉73を均一に分散させやすくなるとともに、ベース樹脂72への金属磁性粉73の充填量を多くして磁気抵抗を下げることが可能になる。
【0104】
(1−7)金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさである。そのため、金属磁性粉73の充填量を多くすることが非磁性粉74によって阻害されることがより抑制される。更に、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間に非磁性粉74がより配置されやすくなるため、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間を非磁性粉74によってより絶縁しやすい。
【0105】
(1−8)空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が、積層体2の積層方向に複数備えられている。従って、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が磁性層20の内部に複数あるため、金属磁性粉73に接触する複数の空隙部71及び非磁性粉74によって、インダクタ部品1における応力をより緩和できるとともに、磁性層20による絶縁性をより向上できる。
【0106】
(1−9)ベース樹脂72は、エポキシ系樹脂及びアクリル系樹脂の少なくとも一方の樹脂を含む。そのため、磁性層20の絶縁性を高めることができる。また、ベース樹脂72によってもインダクタ部品1における応力緩和を実現できる。従って、応力の影響を更に抑えることができるため、インダクタ部品1の機械的強度を向上させることができる。その結果、インダクタ部品1の小型化や低背化が進んでも信頼性の低下を抑制できる。
【0107】
(1−10)金属磁性粉73に接触する少なくとも1つの空隙部71の断面形状は、直交する2つの方向の長さが異なる。空隙部71は、非球形にもなり得るため、金属磁性粉73の表面に沿って配置することが可能である。そして、断面において直交する2つの方向の長さが異なる形状である空隙部71を金属磁性粉73の表面に沿って配置すると、同金属磁性粉73の表面のより広い範囲に空隙部71を接触させることができる。その結果、当該空隙部71を介して同金属磁性粉73と隣り合う金属磁性粉73との間の絶縁性を向上させることができる。
【0108】
更に、断面において直交する2つの方向の長さが異なる形状である当該空隙部71の同断面における長径が、同断面における当該空隙部71の円相当径よりも長い場合には、接触する金属磁性粉73の表面の更に広い範囲に当該空隙部71を接触させやすくなる。その結果、当該空隙部71を介して同金属磁性粉73と隣り合う金属磁性粉73との間の絶縁性を更に向上させることができる。
【0109】
(1−11)金属磁性粉73に接触する空隙部71の径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径よりも小さい。そのため、金属磁性粉73の充填量を多くすることが空隙部71によって阻害されることが抑制される。また、空隙部71によって磁性層20の機械的強度が低下されることを抑制できる。
【0110】
(1−12)積層体2は、スパイラル配線11に接する非磁性の絶縁体31を含み、インダクタ部品1は、スパイラル配線11から積層体2の表面まで積層体2を積層体2の積層方向に貫通する垂直配線41〜43を備えている。このように、スパイラル配線11に接する絶縁体31を備えたことにより、スパイラル配線11間や、スパイラル配線11と同スパイラル配線11の周囲の導電性の部位との間の絶縁性を高めることができる。また、垂直配線41〜43を備えたことにより、スパイラル配線11と外部回路との接続を容易に行うことができる。
【0111】
(1−13)金属磁性粉73に接触する空隙部71の少なくとも1つは、垂直配線41〜43の何れかにも接触している。そのため、垂直配線41〜43の何れかと金属磁性粉73との両方に接触する空隙部71によって、垂直配線41〜43の何れかと金属磁性粉73との間の絶縁性を高めることができる。その結果、垂直配線41〜43の何れかと、当該垂直配線の周囲の導電性の部位との間の絶縁性を高めることができる。
【0112】
(1−14)インダクタ部品1は、積層体2の主面に形成された外部端子51〜53を更に備え、外部端子51〜53は、積層体2の主面から露出する垂直配線41〜43の露出面41c〜43c上に配置されている。そのため、スパイラル配線11と外部回路との接続をより容易に行うことができる。
【0113】
(1−15)絶縁体31は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂及び液晶ポリマー系樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含み、且つ、ベース樹脂72に含まれる樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含む。このように、絶縁体31は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂及び液晶ポリマー系樹脂のうちの少なくとも1つの樹脂を含むため、スパイラル配線11間や、スパイラル配線11と同スパイラル配線11の周囲の導電性の部位との間の絶縁性を高めることができる。また、磁性層20を構成するベース樹脂72に含まれる樹脂と、絶縁体31に含まれる樹脂とは、共通の樹脂を含むため、磁性層20及び絶縁体31に含まれる樹脂に起因してインダクタ部品1に発生するひずみを小さく抑えることができる。その結果、インダクタ部品1における応力の発生を抑制できる。
【0114】
(1−16)インダクタ部品1は、厚さが0.5mm以下である。本実施形態の金属磁性粉73は、平均粒子径が1μm以上、5μm以下という小さいものであるため、磁性層20の厚さを調整することによりインダクタ部品1の厚さを調整する際に、ベース樹脂72からの金属磁性粉73の脱粒の影響を受けにくい。即ち、金属磁性粉73の脱粒の有無にかかわらず、磁性層20の厚さを調整することができる。従って、厚さが0.5mm以下のより薄型化されたインダクタ部品1を得ることができる。
【0115】
<第2実施形態>
以下、インダクタ部品の第2実施形態を説明する。
なお、本実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材又は上記実施形態と対応する構成部材については、同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略することがある。
【0116】
図23に示す本実施形態のインダクタ部品1Aは、上記第1実施形態のインダクタ部品1とは積層体の構成が相違する。インダクタ部品1Aは、第1実施形態のインダクタ部品1に備えられた積層体2に代えて積層体2Aを有する。積層体2Aは、第1実施形態の磁性層20に代えて磁性層20Aを有するとともに、第1実施形態の絶縁体31に代えて絶縁体31Aを有する。磁性層20Aは、第1磁性層21と、第2磁性層22Aと、内磁路部23と、外磁路部24とから構成されている。第2磁性層22Aは、第1実施形態の第2磁性層22に代えて磁性層20Aに備えられるものである。
【0117】
絶縁体31Aは、非磁性の電気絶縁性を有する部材である。絶縁体31Aは、第1磁性層21と第2磁性層22Aとの間で、第1磁性層21とスパイラル配線11との間に配置されている。そして、絶縁体31Aは、下側(順Z方向)からスパイラル配線11に接しているとともに、絶縁体31Aの下面は、第1磁性層21によって覆われている。また、絶縁体31Aの略中央部には、内磁路部23の一部(下端部)が配置される内磁路孔201が形成されている。第3垂直配線43の第3ビア導体43aは、スパイラル配線11の外周端11bの下面から下側に延在されて絶縁体31AをZ方向に貫通している。なお、本実施形態では、絶縁体31Aの材料は、上記第1実施形態の絶縁体31の材料と同様である。
【0118】
第2磁性層22Aは、スパイラル配線11の上面を覆うとともに、スパイラル配線11の配線間にも配置されている。そして、第2磁性層22Aは、上側(逆Z方向)及び横側からスパイラル配線11に接するとともに同スパイラル配線11の表面を覆っている。即ち、スパイラル配線11は、第2磁性層22A内に露出している。
【0119】
また、本実施形態の第1垂直配線41は、第1ビア導体41aを備えず第1柱状配線41bのみで構成されている。第1柱状配線41bは、スパイラル配線11の内周端11aの上面から積層体2Aの上面まで積層体2Aを積層体2Aの積層方向(図23においてZ方向に同じ)に貫通している。即ち、第1垂直配線41は、第2磁性層22Aを積層体2Aの積層方向に貫通している。同様に、本実施形態の第2垂直配線42は、第2ビア導体42aを備えず第2柱状配線42bのみで構成されている。第2柱状配線42bは、スパイラル配線11の外周端11bの上面から積層体2Aの上面まで積層体2Aを積層体2Aの積層方向に貫通している。即ち、第2垂直配線42は、第2磁性層22Aを積層体2Aの積層方向に貫通している。
【0120】
図3及び図23に示すように、第2磁性層22Aは、第1実施形態の第2磁性層22と同様に、空隙部71を有するベース樹脂72とベース樹脂72に含有された金属磁性粉73及び非磁性粉74とを有している。そして、本実施形態では、第2磁性層22Aの材料は、上記第1実施形態の第2磁性層22の材料と同様である。
【0121】
第2磁性層22Aには、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が存在する。空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、第2磁性層22Aに複数存在することが好ましい。更に、インダクタ部品1Aは、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73を、積層体2Aの積層方向に複数備えていることが好ましい。但し、インダクタ部品1Aは、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73を、必ずしも積層体2Aの積層方向に複数備えなくてもよい。また、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、必ずしも第2磁性層22Aに複数存在しなくてもよい。
【0122】
また、インダクタ部品1Aにおいては、金属磁性粉73に接触する空隙部71の少なくとも1つは、垂直配線41〜43の何れかにも接触していることが好ましい。但し、金属磁性粉73に接触する空隙部71は、必ずしも垂直配線41〜43の何れかに接触しなくてもよい。
【0123】
また、第2磁性層22Aにおいて、金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさであることが好ましい。第2磁性層22Aにおいて金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径、及び当該非磁性粉74が接触する金属磁性粉73の粒子径は、上記第1実施形態に記載した方法で得られる。なお、第2磁性層22Aにおいて、金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、必ずしも当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさでなくてもよい。
【0124】
また、第2磁性層22Aにおいて、金属磁性粉73に接触する少なくとも1つの空隙部71の断面形状は、直交する2つの方向の長さが異なることが好ましい。更に、金属磁性粉73に接触する空隙部71であって断面形状において直交する2つの方向の長さが異なる空隙部71は、同断面形状において、当該空隙部71の長径が、当該空隙部71の円相当径よりも長いことがより好ましい。空隙部71の断面形状における長径等の長さ、同空隙部71の円相当径は、上記第1実施形態に記載した方法で得られる。なお、第2磁性層22Aにおいて、金属磁性粉73に接触する空隙部71は、断面形状において直交する2つの方向の長さが必ずしも異ならなくてもよい。
【0125】
(作用)
次に、上記第1実施形態と同様の作用に加えて得られる本実施形態の作用について説明する。
【0126】
第2磁性層22Aには、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が存在する。第2磁性層22Aは、金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって、応力が緩和されるとともに絶縁性が向上される。そして、第2磁性層22Aを絶縁体として使用することが可能となるため、スパイラル配線11と第2磁性層22Aとの間の絶縁体を省略することができる。
【0127】
(製造方法)
次に、インダクタ部品1Aの製造方法について説明する。
まず、第1実施形態のインダクタ部品1の製造方法の図7図11に示す工程を行う。
【0128】
その後、図24に示すように、ドライフィルムレジストを使用したSAPなどにより、スパイラル配線113b上に柱状配線116bを形成する。
次に、図25に示すように、ダミー銅113a、スパイラル配線113b及び柱状配線116bを磁性層211で覆う。磁性層211は、空隙部71を有するベース樹脂72、金属磁性粉73及び非磁性粉74を含む磁性材料118からなるものである。磁性材料118(磁性層211)は、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着された後に熱硬化される。この時、磁性材料118は、スパイラル配線113bの間の隙間に圧入により充填される。また、上記第1実施形態と同様に、磁性材料118にて磁性層211を形成する際に、ベース樹脂72内に空隙部71を形成する。
【0129】
次に、図26に示すように、レーザ加工などにより磁性層211に開口部211aを形成する。
その後、図27に示すように、ダミーコア基板100をダミー金属層111から剥がす。
【0130】
そして、図28に示すように、ダミー金属層111をエッチングなどにより取り除く。また、ダミー銅113aをエッチングなどにより取り除く。これにより、内磁路部23に対応する孔部115a及び外磁路部24に対応する孔部115bが形成される。
【0131】
その後、レーザ加工などにより絶縁層112に開口部112bを形成する。
そして、図29に示すように、SAPにより、開口部112bに銅を充填してビア導体116aを形成した後に、絶縁層112の下面上に柱状配線116bを形成する。
【0132】
次に、図30に示すように、絶縁層112及び絶縁層112の下面上に形成された柱状配線116bを磁性層117で覆うことにより、インダクタ基板130Aを形成する。磁性層117は、磁性層211と同様に、空隙部71を有するベース樹脂72、金属磁性粉73及び非磁性粉74を含む磁性材料118からなるものである。磁性材料118(磁性層117)は、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着された後に熱硬化される。この時、磁性材料118は、孔部115a,115bにも充填される。また、上記第1実施形態と同様に、磁性材料118にて磁性層117を形成する際に、ベース樹脂72内に空隙部71を形成する。
【0133】
次に、図31に示すように、インダクタ基板130Aの上下の磁性材料118を研削工法により薄層化する。この時、磁性材料118を研削することにより柱状配線116bの一部を露出させることで、磁性材料118の同一平面上に柱状配線116bの露出部が形成される。なお、インダクタンス値が得られるのに十分な厚さになるまで磁性材料118を研削することで、インダクタ部品1Aの薄型化を図ることができる。
【0134】
次に、図32に示すように、印刷工法により磁性層117,211の表面に非磁性の絶縁性材料からなる被覆膜119を形成する。形成された被覆膜119は、開口部119aを有する。この開口部119aは、外部端子121が形成される部分である。本実施形態では、印刷工法を用いて開口部119aを有する被覆膜119を形成したが、フォトリソグラフィ法によって開口部119aを形成してもよい。
【0135】
次に、図33に示すように、外部端子121を形成する。外部端子121は、無電解めっきや、電解めっきなどにより、銅やニッケル、金、錫などの金属膜として形成される。
その後、図34に示すように、破断線Lにてダイシングにより個片化することで、図23に示すインダクタ部品1Aを得る。なお、図34に示すスパイラル配線113bは、図23に示すスパイラル配線11に該当する。また、図34に示す絶縁層112は、図23に示す絶縁体31Aに該当する。また、図34に示す磁性層211,117は、図23に示す磁性層20Aに該当する。また、図34に示す1つのビア導体116aは、図23に示すビア導体43aに該当するとともに、図34に示す3つの柱状配線116bは、図23に示す柱状配線41b〜43bに該当する。更に、図34に示す3つの外部端子121は、図23に示す外部端子51〜53に該当する。
【0136】
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(2−1)金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって、第2磁性層22Aの絶縁性を高めることができる。従って、第2磁性層22Aを絶縁体として使用することが可能となるため、スパイラル配線11と第2磁性層22Aとの間の絶縁体を省略することができる。そして、チップサイズが変わらない場合には、絶縁体を省略した分だけ第2磁性層22Aのボリュームを多くできるため、インダクタンスを高めることができる。一方、磁性層20の量を維持したまま、絶縁体を省略した分だけインダクタ部品1Aを小型化したり薄型化したりすることも可能である。
【0137】
(2−2)金属磁性粉73の平均粒子径は、1μm以上、5μm以下である。また、非磁性粉74の平均粒子径は、金属磁性粉73の平均粒子径よりも小さい。従って、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間に非磁性粉74が配置されやすくなるため、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間を非磁性粉74によって絶縁しやすい。よって、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、第2磁性層22Aによってスパイラル配線11の配線間の絶縁性を確保しやすい。
【0138】
(2−3)金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさである。従って、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間に非磁性粉74がより配置されやすくなるため、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間を非磁性粉74によってより絶縁しやすくなる。その結果、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、第2磁性層22Aによってスパイラル配線11の配線間の絶縁性をより確保しやすい。
【0139】
(2−4)インダクタ部品1Aには、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が、積層体2Aの積層方向に複数備えられている。更に、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、第2磁性層22Aに複数存在する。そのため、複数の金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって、第2磁性層22Aの絶縁性がより高められる。従って、スパイラル配線11の配線間の絶縁性を第2磁性層22Aによって高めることができる。
【0140】
(2−5)ベース樹脂72は、エポキシ系樹脂及びアクリル系樹脂の少なくとも一方の樹脂を含む。そのため、第2磁性層22Aの絶縁性を高めることができる。従って、スパイラル配線11の配線間を第2磁性層22Aによってより絶縁しやすくなる。
【0141】
(2−6)第2磁性層22Aにおいて、金属磁性粉73に接触する少なくとも1つの空隙部71の断面形状は、直交する2つの方向の長さが異なる。同構成によれば、空隙部71は、非球形にもなり得るため、金属磁性粉73の表面に沿って配置することが可能である。そして、断面形状において直交する2つの方向の長さが異なる空隙部71を金属磁性粉73の表面に沿って配置すると、同金属磁性粉73の表面のより広い範囲に空隙部71を接触させることができる。その結果、当該空隙部71を介して同金属磁性粉73と隣り合う金属磁性粉73との間の絶縁性を向上させることができる。よって、当該空隙部71を含む第2磁性層22Aの絶縁性を更に高めることができるため、スパイラル配線11の配線間を第2磁性層22Aによって更に絶縁しやすくなる。
【0142】
更に、断面において直交する2つの方向の長さが異なる形状である当該空隙部71の同断面における長径が、同断面における当該空隙部71の円相当径よりも長い場合には、接触する金属磁性粉73の表面の更に広い範囲に当該空隙部71を接触させやすくなる。その結果、第2磁性層22Aにおいて、当該空隙部71を介して同金属磁性粉73と隣り合う金属磁性粉73との間の絶縁性を更に向上させることができる。よって、当該空隙部71を含む第2磁性層22Aの絶縁性を一層高めることができるため、スパイラル配線11の配線間を第2磁性層22Aによって一層絶縁しやすくなる。
【0143】
(2−7)インダクタ部品1Aは、厚さが0.5mm以下である。第2磁性層22Aを絶縁体として使用することができるため、スパイラル配線11と第2磁性層22Aとの間の絶縁体を省略することにより、インダクタ部品1Aの薄型化に貢献できる。従って、厚さが0.5mm以下のより薄型化されたインダクタ部品を得やすくなる。
【0144】
<第3実施形態>
以下、インダクタ部品の第3実施形態を説明する。
なお、本実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材又は上記実施形態と対応する構成部材については、同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略することがある。
【0145】
図35に示す本実施形態のインダクタ部品1Bは、上記第1実施形態のインダクタ部品1及び上記第2実施形態のインダクタ部品1Aと比較して、絶縁体を備えない構成である。インダクタ部品1Bは、第1実施形態のインダクタ部品1に備えられた積層体2に代えて積層体2Bを有する。積層体2Bは、絶縁体を備えないとともに、第1実施形態の磁性層20に代えて磁性層20Bを含む。磁性層20Bは、第1磁性層21Bと、第2磁性層22Aと、内磁路部23と、外磁路部24とから構成されている。第1磁性層21Bは、第1実施形態の第1磁性層21に代えて磁性層20Bに備えられるものである。
【0146】
第1磁性層21Bは、スパイラル配線11の下側(順Z方向)から同スパイラル配線11の下面に接するとともに、スパイラル配線11の下面を覆っている。即ち、本実施形態のインダクタ部品1Bでは、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aは、スパイラル配線11に直接接触して同スパイラル配線11の表面を覆っている。
【0147】
また、本実施形態の第1垂直配線41は、第2実施形態の第1垂直配線41と同様に第1柱状配線41bのみで構成されている。第1柱状配線41bは、スパイラル配線11の内周端11aの上面から積層体2Bの上面まで積層体2Bを積層体2Bの積層方向(Z方向に同じ)に貫通している。また、本実施形態の第2垂直配線42は、第2実施形態の第2垂直配線42と同様に第2柱状配線42bのみで構成されている。第2柱状配線42bは、スパイラル配線11の外周端11bの上面から積層体2Bの上面まで積層体2Bを積層体2Bの積層方向に貫通している。また、本実施形態の第3垂直配線43は、第3ビア導体43aを備えず第3柱状配線43bのみで構成されている。第3柱状配線43bは、スパイラル配線11の外周端11bの下面から積層体2Bの下面まで積層体2Bを積層体2Bの積層方向に貫通している。即ち、第3垂直配線43は、第1磁性層21Bを積層体2Bの積層方向に貫通している。
【0148】
図3及び図35に示すように、第1磁性層21Bは、第1実施形態の第1磁性層21と同様の空隙部71を有するベース樹脂72と、ベース樹脂72に含有された金属磁性粉73及び非磁性粉74とを有している。そして、本実施形態では、第1磁性層21Bの材料は、上記第1実施形態の第1磁性層21の材料と同様である。
【0149】
第1磁性層21Bには、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が存在する。空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、第1磁性層21Bに複数存在することが好ましい。更に、インダクタ部品1Bは、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73を、積層体2Bの積層方向に複数備えていることが好ましい。但し、インダクタ部品1Bは、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73を、必ずしも積層体2Bの積層方向に複数備えなくてもよい。また、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、必ずしも第1磁性層21Bに複数存在しなくてもよい。
【0150】
また、インダクタ部品1Bにおいては、金属磁性粉73に接触する空隙部71の少なくとも1つは、垂直配線41〜43の何れかにも接触していることが好ましい。但し、金属磁性粉73に接触する空隙部71は、必ずしも垂直配線41〜43の何れかに接触しなくてもよい。
【0151】
また、第1磁性層21Bにおいて、金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさであることが好ましい。第1磁性層21Bにおいて金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径、及び当該非磁性粉74が接触する金属磁性粉73の粒子径は、上記第1実施形態に記載した方法で得られる。なお、第1磁性層21Bにおいて、金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、必ずしも当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさでなくてもよい。
【0152】
また、第1磁性層21Bにおいて、金属磁性粉73に接触する少なくとも1つの空隙部71の断面形状は、直交する2つの方向の長さが異なることが好ましい。更に、金属磁性粉73に接触する空隙部71であって断面形状において直交する2つの方向の長さが異なる空隙部71は、同断面形状において、当該空隙部71の長径が、当該空隙部71の円相当径よりも長いことがより好ましい。空隙部71の断面形状における長径等の長さ、同空隙部71の円相当径は、上記第1実施形態に記載した方法で得られる。なお、第1磁性層21Bにおいて、金属磁性粉73に接触する空隙部71は、断面形状において直交する2つの方向の長さが必ずしも異ならなくてもよい。
【0153】
なお、本実施形態では、スパイラル配線11の配線間には第2磁性層22Aが配置されている。そして、同第2磁性層22Aは、上側(逆Z方向)及び横側からスパイラル配線11に接するとともに同スパイラル配線11の表面を覆っている。しかしながら、スパイラル配線11の配線間には、第1磁性層21Bが配置されてもよい。この場合、第1磁性層21Bは、下側(順Z方向)及び横側からスパイラル配線11に接するとともに同スパイラル配線11の表面を覆う。
【0154】
(作用)
次に、上記第1実施形態及び上記第2実施形態と同様の作用に加えて得られる本実施形態の作用について説明する。
【0155】
第1磁性層21Bには、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が存在する。第1磁性層21Bは、金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって、応力が緩和されるとともに絶縁性が向上される。そして、第1磁性層21Bを絶縁体として使用することが可能となるため、スパイラル配線11と第1磁性層21Bとの間の絶縁体を省略することができる。因みに、絶縁体はインダクタ部品の小型化を阻害する一因であるため、絶縁体を省略することが望まれている。本実施形態のように、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aによってスパイラル配線11の配線間を絶縁できる構成とすることにより、絶縁体を備えなくともスパイラル配線11の配線間の絶縁性を確保可能なインダクタ部品1Bを提供できる。
【0156】
(製造方法)
次に、インダクタ部品1Bの製造方法について説明する。
まず、第1実施形態のインダクタ部品1の製造方法の図7図11に示す工程を行う。次いで、第2実施形態のインダクタ部品1Aの製造方法の図24図27に示す工程を行う。
【0157】
その後、図36に示すように、ダミー金属層111及び絶縁層112を研磨により除去する。
次に、図37に示すように、ダミー銅113aをエッチングなどにより取り除く。これにより、内磁路部23に対応する孔部115a及び外磁路部24に対応する孔部115bが形成される。
【0158】
その後、図38に示すように、ドライフィルムレジストを使用したSAPなどにより、スパイラル配線113bの下面上に柱状配線116bを形成する。
その後、図39に示すように、スパイラル配線113b、磁性層211、及びスパイラル配線113bの下面上に形成された柱状配線116bを磁性層117で覆うことにより、インダクタ基板130Bを形成する。磁性層117は、磁性層211と同様の磁性材料118からなるものである。磁性材料118(磁性層117)は、真空ラミネータやプレス機などにより、熱圧着された後に熱硬化される。この時、磁性材料118は、孔部115a,115bにも充填される。また、上記各実施形態と同様に、磁性材料118にて磁性層117を形成する際に、ベース樹脂72内に空隙部71を形成する。
【0159】
次に、図40に示すように、インダクタ基板130Bの上下の磁性材料118を研削工法により薄層化する。この時、磁性材料118を研削することにより柱状配線116bの一部を露出させることで、磁性材料118の同一平面上に柱状配線116bの露出部が形成される。なお、インダクタンス値が得られるのに十分な厚さになるまで磁性材料118を研削することで、インダクタ部品1Bの薄型化を図ることができる。
【0160】
次に、図41に示すように、印刷工法により磁性層117,211の表面に非磁性の絶縁性材料からなる被覆膜119を形成する。形成された被覆膜119は、開口部119aを有する。この開口部119aは、外部端子121が形成される部分である。本実施形態では、印刷工法を用いて開口部119aを有する被覆膜119を形成したが、フォトリソグラフィ法によって開口部119aを形成してもよい。
【0161】
次に、図42に示すように、外部端子121を形成する。外部端子121は、無電解めっきや、電解めっきなどにより、銅やニッケル、金、錫などの金属膜として形成される。
その後、図43に示すように、破断線Lにてダイシングにより個片化することで、図35に示すインダクタ部品1Bを得る。なお、図43に示すスパイラル配線113bは、図35に示すスパイラル配線11に該当する。また、図43に示す磁性層117,211は、図35に示す磁性層20Bに該当する。また、図43に示す3つの柱状配線116bは、図35に示す柱状配線41b〜43b、即ち垂直配線41〜42に該当する。更に、図43に示す3つの外部端子121は、図35に示す外部端子51〜53に該当する。
【0162】
本実施形態によれば、上述した第1実施形態の(1−1)〜(1−11),(1−13),(1−14),(1−16)と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。
(3−1)金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aの絶縁性を高めることができる。従って、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aを絶縁体として使用することが可能となるため、スパイラル配線11と第2磁性層22Aとの間の絶縁体、及びスパイラル配線11と第1磁性層21Bとの間の絶縁体を省略することができる。そして、チップサイズが変わらない場合には、絶縁体を省略した分だけ第1磁性層21B及び第2磁性層22Aのボリュームをより多くできるため、インダクタンスを高めることができる。一方、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aの量を維持したまま、絶縁体を省略した分だけインダクタ部品1Bを小型化したり薄型化したりすることも可能である。
【0163】
(3−2)金属磁性粉73の平均粒子径は、1μm以上、5μm以下である。また、非磁性粉74の平均粒子径は、金属磁性粉73の平均粒子径よりも小さい。従って、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間に非磁性粉74が配置されやすくなるため、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間を非磁性粉74によって絶縁しやすい。よって、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aによってスパイラル配線11の配線間の絶縁性を確保しやすい。
【0164】
(3−3)金属磁性粉73に接触する非磁性粉74の粒子径は、当該接触する金属磁性粉73の粒子径の3分の1以下の大きさである。従って、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間に非磁性粉74がより配置されやすくなるため、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、金属磁性粉73と金属磁性粉73との間を非磁性粉74によってより絶縁しやすくなる。その結果、金属磁性粉73の充填量が多くなっても、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aによってスパイラル配線11の配線間の絶縁性をより確保しやすい。
【0165】
(3−4)インダクタ部品1Bには、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73が、積層体2Bの積層方向に複数備えられている。更に、空隙部71及び非磁性粉74の両方と接触する金属磁性粉73は、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aの各々に複数存在する。そのため、複数の金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aの絶縁性がより高められる。従って、スパイラル配線11の配線間の絶縁性を第1磁性層21B及び第2磁性層22Aによって高めることができる。
【0166】
(3−5)ベース樹脂72は、エポキシ系樹脂及びアクリル系樹脂の少なくとも一方の樹脂を含む。そのため、第1磁性層21B及び第2磁性層22Aの絶縁性を高めることができる。従って、スパイラル配線11の配線間を第1磁性層21B及び第2磁性層22Aによってより絶縁しやすくなる。
【0167】
(3−6)第1磁性層21B及び第2磁性層22Aの各々において、金属磁性粉73に接触する少なくとも1つの空隙部71の断面形状は、直交する2つの方向の長さが異なる。同構成によれば、空隙部71は、非球形にもなり得るため、金属磁性粉73の表面に沿って配置することが可能である。そして、断面形状において直交する2つの方向の長さが異なる空隙部71を金属磁性粉73の表面に沿って配置すると、同金属磁性粉73の表面のより広い範囲に空隙部71を接触させることができる。その結果、当該空隙部71を介して同金属磁性粉73と隣り合う金属磁性粉73との間の絶縁性を向上させることができる。よって、当該空隙部71を含む第1磁性層21B及び第2磁性層22Aの絶縁性を更に高めることができるため、スパイラル配線11の配線間を第1磁性層21B及び第2磁性層22Aによって更に絶縁しやすくなる。
【0168】
更に、断面において直交する2つの方向の長さが異なる形状である当該空隙部71の同断面における長径が、同断面における当該空隙部71の円相当径よりも長い場合には、接触する金属磁性粉73の表面の更に広い範囲に当該空隙部71を接触させやすくなる。その結果、当該空隙部71を有する第1磁性層21B及び第2磁性層22Aにおいて、当該空隙部71を介して同金属磁性粉73と隣り合う金属磁性粉73との間の絶縁性を更に向上させることができる。よって、当該空隙部71を含む第2磁性層22Aの絶縁性を一層高めることができるため、スパイラル配線11の配線間を第1磁性層21B及び第2磁性層22Aによって一層絶縁しやすくなる。
【0169】
(3−7)インダクタ部品1Bは、厚さが0.5mm以下である。第1磁性層21B及び第2磁性層22Aを絶縁体として使用することができるため、スパイラル配線11と第1磁性層21Bとの間の絶縁体31A、及びスパイラル配線11と第2磁性層22Aとの間の絶縁体を省略することにより、インダクタ部品1Bの薄型化により貢献できる。従って、厚さが0.5mm以下のより薄型化されたインダクタ部品をより得やすくなる。
【0170】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0171】
・上記各実施形態では、インダクタ部品1,1A,1Bは、何れもスパイラル配線11を1つのみ備えた構成である。しかしながら、インダクタ部品1,1A,1Bは、複数のスパイラル配線11を備えてもよい。
【0172】
具体的には、インダクタ部品は、同一平面上に複数のスパイラル配線を有するものであってもよい。この場合、インダクタ部品は、複数のスパイラル配線がインダクタ部品内で互いに電気的に接続されずそれぞれ異なる外部端子に接続されるインダクタアレイとしてもよい。また、インダクタ部品は、複数のスパイラル配線がインダクタ部品内で互いに電気的に接続されたものであってもよい。
【0173】
例えば、第1実施形態のインダクタ部品1において、同一平面上に複数のスパイラル配線11を設けてもよい。このようにすると、同一平面上に並ぶ複数のスパイラル配線11を有するインダクタ部品1において、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0174】
また、同一平面上に並ぶ複数のスパイラル配線11を有するインダクタ部品1において、磁性層20は、金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって絶縁性が高められる。従って、スパイラル配線11とスパイラル配線11との間の絶縁、及び各スパイラル配線11の配線間の絶縁を、磁性層20によってすることが可能である。そのため、当該インダクタ部品1において絶縁体31の一部又は全部を省略することが可能である。当該インダクタ部品1において絶縁体31の一部又は全部を省略すると、チップサイズが変わらない場合には、絶縁体31を省略した分だけ、第1磁性層21及び第2磁性層22の両方もしくは第1磁性層21及び第2磁性層22の何れか一方のボリュームをより多くできるため、インダクタンスを高めることができる。一方、第1磁性層21及び第2磁性層22の量を維持したまま、絶縁体を省略した分だけインダクタ部品1を小型化したり薄型化したりすることも可能である。
【0175】
なお、上記第2実施形態のインダクタ部品1A及び上記第3実施形態のインダクタ部品1Bにおいて、同一平面上に複数のスパイラル配線11を設けてもよい。
また、インダクタ部品に備えられるスパイラル配線は、積層された複数のスパイラル配線層を有するものであってもよい。なお、スパイラル配線層は、インダクタ配線層の一例である。
【0176】
例えば、図44及び図45に示すインダクタ部品1Cは、積層体2内に配置されたスパイラル配線11Cを備えている。なお、図44及び図45では、上記第1実施形態と同じ構成部材又は上記実施形態と対応する構成部材に同じ符号を付している。本例では、スパイラル配線11Cは、積層体2に含まれる磁性層20内に配置されている。また、スパイラル配線11Cと磁性層20との間には、絶縁体31が配置されている。スパイラル配線11Cは、積層された2つのスパイラル配線層12,13を有する。
【0177】
第1スパイラル配線層12と第2スパイラル配線層13とは、第2スパイラル配線層13の上に第1スパイラル配線層12が重なるようにして積層体2の積層方向(図45においてZ方向に同じ)に積層されている。第1スパイラル配線層12は、上側から見て、外周端12bから内周端12aに向かって時計方向に渦巻き状に巻回された配線からなる。第2スパイラル配線層13は、上側から見て、内周端13aから外周端13bに向かって時計方向に渦巻き状に巻回された配線からなる。第1スパイラル配線層12及び第2スパイラル配線層13は、何れも平面状に巻回されている。
【0178】
第1スパイラル配線層12の外周端12bは、外周端12bの上側の第1垂直配線41を介して、第1外部端子51に接続されている。第1スパイラル配線層12の内周端12aは、内周端12aの下側の接続ビア導体44を介して、第2スパイラル配線層13の内周端13aに接続されている。即ち、第1スパイラル配線層12と第2スパイラル配線層13とは、接続ビア導体44を介して直列に接続されている。
【0179】
また、第2スパイラル配線層13の外周端13bは、外周端13bの上側の第2垂直配線42を介して、第2外部端子52に接続されている。第2スパイラル配線層13の外周端13bは、外周端12bの下側の第3垂直配線43(図示略)を介して、第3外部端子53に接続されている。
【0180】
インダクタ部品1Cでは、接続ビア導体44により、第1スパイラル配線層12と第2スパイラル配線層13とが直列に接続されているので、スパイラル配線11Cのターン数が増加される。従って、インダクタンスを向上できる。また、第1スパイラル配線層12と第2スパイラル配線層13とはZ方向に積層されているため、Z方向から見たインダクタ部品1Cの面積を増大させることなくスパイラル配線のターン数を増やすことができる。
【0181】
そして、積層された複数のスパイラル配線層12,13を有するスパイラル配線11Cを備えたインダクタ部品1Cにおいて、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、インダクタ部品1Cにおいて、磁性層20は、金属磁性粉73に接触する空隙部71及び非磁性粉74によって絶縁性が高められる。従って、第1スパイラル配線層12と第2スパイラル配線層13との間の絶縁、第1スパイラル配線層12の配線間の絶縁、及び第2スパイラル配線層13の配線間の絶縁を、磁性層20によってすることが可能である。そのため、インダクタ部品1Cにおいて絶縁体31の一部又は全部を省略することが可能である。インダクタ部品1Cにおいて絶縁体31の一部又は全部を省略すると、チップサイズが変わらない場合には、絶縁体31を省略した分だけ、磁性層20のボリュームをより多くできるため、インダクタンスを高めることができる。一方、磁性層20の量を維持したまま、絶縁体を省略した分だけインダクタ部品1Cを小型化したり薄型化したりすることも可能である。
【0182】
なお、積層された複数のスパイラル配線層を有するスパイラル配線を備えたインダクタ部品において、更に、同一平面上に複数のスパイラル配線層が設けられる構成としてもよい。また、インダクタ配線層は、スパイラル配線層に限らず、ミアンダ形状をなす配線層等、公知の様々な形状をなす配線層であってもよい。
【0183】
・上記第1実施形態において、磁性層20は、フェライト粉を更に含むものであってもよい。このようにすると、磁性層20がフェライト粉を更に含むことにより、インダクタンスを高くできる。また、フェライト粉は、鉄を含有する金属磁性粉73と比較して絶縁性が高いため、磁性層20の絶縁性を高めることができる。なお、上記第2実施形態のインダクタ部品1Aの磁性層20A、並びに、上記第3実施形態のインダクタ部品1Bの磁性層20Bについても同様に、フェライト粉を更に含むものであってもよい。
【0184】
・上記第1実施形態のインダクタ部品1は、必ずしも外部端子51〜53を備えなくてもよい。外部端子51〜53を備えていないインダクタ部品1は、例えば、多層基板に設けられた孔に埋め込まれて実装される埋込型の部品として使用される。この場合、インダクタ部品1は、多層基板に埋め込まれた後に当該多層基板の配線パターンと電気的に接続される。具体的には、多層基板において、インダクタ部品1を覆う絶縁層に対して、インダクタ部品1の露出面41c〜43cと重なる位置に、レーザ加工やエッチングなどにより貫通孔が形成される。その貫通孔に導電性材料が充填されることにより、垂直配線41〜43と多層基板の配線パターンとがビア接続される。
【0185】
・上記各実施形態では、インダクタ配線として平面螺旋形状をなすスパイラル配線11を例に挙げてインダクタ部品の説明をした。しかしながら、インダクタ配線は、スパイラル配線に限らない。例えば、インダクタ配線は、立体螺旋(ヘリカル)形状をなす配線であってもよい。立体螺旋形状とは、1ターン未満の配線が接続されることにより弦巻状のコイルとなる形状である。また例えば、インダクタ配線は、積層方向に延びる2つの垂直配線と、一方の垂直配線から他方の垂直配線まで積層方向と直交する方向に延びる水平配線とを有する略C字形状の配線であってもよい。その他に、インダクタ配線は、ミアンダ形状をなす配線等、公知の様々な形状をなす配線であってもよい。
【符号の説明】
【0186】
1,1A,1B,1C…インダクタ部品、2,2A,2B…積層体、11,11C…インダクタ配線としてのスパイラル配線、12,13…インダクタ配線層としてのスパイラル配線層、31,31A…絶縁体、20,20A,20B…磁性層、41,42,43…垂直配線、41c,42c,43c…露出面、51,52,53…外部端子、71,71a…空隙部、72…ベース樹脂、73…金属磁性粉、74…非磁性粉、S1…平面。
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