【解決手段】基板12と、基板12の上に形成された無機絶縁層13と、無機絶縁層13の上に形成された有機絶縁層14と、無機絶縁層13内に形成された第1キャパシタC1、および、第1キャパシタC1に電気的に接続されるように有機絶縁層14内に形成された第1インダクタL1を含むLC回路6と、を含む、チップ部品1を提供する。
前記キャパシタは、前記無機絶縁層内に配置された下電極、および、前記無機絶縁層の一部を挟んで前記下電極に対向するように前記無機絶縁層内に配置された上電極を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のチップ部品。
前記無機絶縁層内において前記下電極が配置された層に前記下電極から間隔を空けて配置され、電気的に浮遊状態に形成されたダミー電極をさらに含む、請求項7または8に記載のチップ部品。
前記LC回路は、前記無機絶縁層内で前記キャパシタに電気的に接続され、前記有機絶縁層内で前記インダクタに電気的に接続された配線を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のチップ部品。
前記無機絶縁層および前記有機絶縁層の境界を横切り、前記無機絶縁層内で前記キャパシタに電気的に接続され、前記有機絶縁層内で前記インダクタに電気的に接続されたビア電極をさらに含む、請求項17に記載のチップ部品。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るチップ部品1の電気的構造を示す回路図であって、第1形態例に係るLC回路6が組み込まれた形態を示す回路図である。
チップ部品1は、複数の外部端子2,3,4,5およびLC回路6を含む。複数の外部端子2〜5は、第1入出力端子2、第2入出力端子3、第1基準端子4および第2基準端子5を含む。
【0009】
第1入出力端子2は、LC回路6に入力信号を伝達する入力端子、または、LC回路6からの出力信号を外部に伝達する出力端子として機能する。第2入出力端子3は、LC回路6に入力信号を伝達する入力端子、または、LC回路6からの出力信号を外部に伝達する出力端子として機能する。
第1入出力端子2が入力端子として機能する場合、第2入出力端子3は、出力端子として機能する。第1入出力端子2が出力端子として機能する場合、第2入出力端子3は、入力端子として機能する。第1基準端子4は、LC回路6に基準電圧(たとえばグランド電圧)を伝達する。第2基準端子5は、LC回路6に基準電圧(たとえばグランド電圧)を伝達する。
【0010】
LC回路6は、1つまたは複数(この形態では2個)のインダクタL1,L2、および、1つまたは複数(この形態では5個)のキャパシタC1,C2,C3,C4,C5を含む。複数のインダクタL1〜L2は、第1インダクタL1および第2インダクタL2を含む。複数のキャパシタC1〜C5は、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2、第3キャパシタC3、第4キャパシタC4および第5キャパシタC5を含む。
【0011】
第1インダクタL1は、第1入出力端子2に接続されている。第2インダクタL2は、第1インダクタL1および第2入出力端子3に接続されている。以下では、第1インダクタL1および第2インダクタL2の接続部を、インダクタ接続部7という。
第1キャパシタC1は、第1入出力端子2および第1基準端子4(第2基準端子5)に接続されている。第2キャパシタC2は、第1インダクタL1に並列接続されている。第3キャパシタC3は、インダクタ接続部7および第1基準端子4(第2基準端子5)に接続されている。第4キャパシタC4は、第2インダクタL2に並列接続されている。第5キャパシタC5は、第2入出力端子3および第2基準端子5(第1基準端子4)に接続されている。
【0012】
LC回路6は、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5を含むラダーフィルタ回路を含む。LC回路6は、より具体的には、エプリティックフィルタ回路を含む。エプリティックフィルタ回路は、ラダーエプリティックローパスフィルタ回路からなる。
エプリティックフィルタ回路は、第1入出力端子2から第2入出力端子3に向かってL型フィルタ回路およびπ型フィルタ回路を含む。L型フィルタ回路は、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2および第1インダクタL1を含む。π型フィルタ回路は、第3キャパシタC3、第4キャパシタC4、第5キャパシタC5および第2インダクタL2を含む。
【0013】
エプリティックフィルタ回路は、第2入出力端子3から第1入出力端子2に向かってL型フィルタ回路およびπ型フィルタ回路を含む。L型フィルタ回路は、第4キャパシタC4、第5キャパシタC5および第2インダクタL2を含む。π型フィルタ回路は、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2、第3キャパシタC3および第1インダクタL1を含む。
【0014】
エプリティックフィルタ回路は、第1入出力端子2から第2入出力端子3に向かって第1キャパシタC1、T型フィルタ回路および第5キャパシタC5を含む。T型フィルタ回路は、第2キャパシタC2、第3キャパシタC3、第4キャパシタC4、第1インダクタL1および第2インダクタL2を含む。
図2は、
図1に示すチップ部品1の概略構成を示す断面図である。
【0015】
図2を参照して、チップ部品1は、チップ本体11を含む。チップ本体11は、基板12、無機絶縁層13および有機絶縁層14を含む積層構造を有している。無機絶縁層13は、基板12の上に積層されている。有機絶縁層14は、無機絶縁層13の上に積層されている。
チップ部品1は、無機絶縁層13内に配置された下電極15および上電極16を含む。下電極15および上電極16は、層状(膜状)にそれぞれ形成されている。下電極15は、この形態では、第1下電極21、第2下電極22、第3下電極23、第4下電極24および第5下電極25を含む。
【0016】
第1〜第5下電極21〜25は、チップ本体11の一端から他端に向けてこの順に間隔を空けて形成されている。第1〜第5下電極21〜25は、無機絶縁層13内において同一層に形成されている。第1下電極21、第3下電極23および第5下電極25は、同電位に固定されている。
上電極16は、無機絶縁層13の一部を挟んで下電極15に対向するように無機絶縁層13内に配置されている。上電極16は、より具体的には、下電極15に対して有機絶縁層14側に間隔を空けて無機絶縁層13内に配置されている。上電極16は、無機絶縁層13の一部を挟んで無機絶縁層13の積層方向に下電極15に対向している。
【0017】
上電極16は、この形態では、第1上電極31、第2上電極32、第3上電極33、第4上電極34および第5上電極35を含む。第1〜第5上電極31〜35は、チップ本体11の一端から他端に向けてこの順に間隔を空けて形成されている。第1〜第5上電極31〜35は、無機絶縁層13内において同一層に形成されている。
第1上電極31は、無機絶縁層13の一部を挟んで第1下電極21に対向している。第1上電極31は、第1下電極21との間で第1キャパシタC1を形成している。第1上電極31は、第2下電極22と同電位に固定されている。
【0018】
第2上電極32は、無機絶縁層13の一部を挟んで第2下電極22に対向している。第2上電極32は、第2下電極22との間で第2キャパシタC2を形成している。第3上電極33は、無機絶縁層13の一部を挟んで第3下電極23に対向している。第3上電極33は、第3下電極23との間で第3キャパシタC3を形成している。第3上電極33は、第2上電極32と同電位に固定されている。
【0019】
第4上電極34は、無機絶縁層13の一部を挟んで第4下電極24に対向している。第4上電極34は、第4下電極24との間で第4キャパシタC4を形成している。第4上電極34は、第3上電極33と同電位に固定されている。
第5上電極35は、無機絶縁層13の一部を挟んで第5下電極25に対向している。第5上電極35は、第5下電極25との間で第5キャパシタC5を形成している。第5上電極35は、第4下電極24と同電位に固定されている。
【0020】
チップ部品1は、有機絶縁層14内に配置された螺旋状のコイル導体40を含む。コイル導体40は、有機絶縁層14の積層方向から見た平面視において螺旋状に形成されている。
コイル導体40は、この形態では、第1コイル導体41および第2コイル導体42を含む。第1〜第2コイル導体41〜42は、チップ本体11の一端から他端に向けてこの順に間隔を空けて形成されている。第1コイル導体41は、有機絶縁層14内において第1インダクタL1を形成している。第2コイル導体42は、有機絶縁層14内において第2インダクタL2を形成している。
【0021】
第1コイル導体41は、第1内側末端43、第1外側末端44、ならびに、第1内側末端43および第1外側末端44の間に引き回された第1螺旋部45を含む。第1内側末端43は、平面視においてチップ本体11の一端側に位置している。第1外側末端44は、平面視においてチップ本体11の他端側に位置している。第1外側末端44は、この形態では、平面視において第1チップ主面62の中央部に位置している。
【0022】
第1螺旋部45は、第1内側末端43から第1外側末端44に向けて外巻きに巻回されている。第1内側末端43は、第1上電極31と同電位に固定されている。第1外側末端44は、第3上電極33と同電位に固定されている。
第1コイル導体41の巻回数は、この形態では、3である。第1コイル導体41の巻回数は任意であり、達成すべきインダクタンスの値に応じて調節される。第1コイル導体41の巻回数は、2以上20以下であってもよい。第1コイル導体41の巻回数は、2以上5以下、5以上10以下、10以上15以下、または、15以上20以下であってもよい。
【0023】
第2コイル導体42は、第2内側末端46、第2外側末端47、ならびに、第2内側末端46および第2外側末端47の間に引き回された第2螺旋部48を含む。第2内側末端46は、平面視においてチップ本体11の他端側に位置している。第2外側末端47は、平面視においてチップ本体11の一端側に位置している。第2外側末端47は、この形態では、平面視において第1チップ主面62の中央部に位置している。
【0024】
第2螺旋部48は、第2内側末端46から第2外側末端47に向けて外巻きに巻回されている。第2内側末端46は、第5上電極35と同電位に固定されている。第2外側末端47は、第3上電極33と同電位に固定されている。第2外側末端47は、この形態では、第1外側末端44に接続されている。第1外側末端44および第2外側末端47の接続部によって、インダクタ接続部7が形成されている。
【0025】
第2コイル導体42の巻回数は、この形態では、第1コイル導体41の巻回数を超えている。第2コイル導体42の巻回数は、この形態では、4である。第2コイル導体42の巻回数は任意であり、達成すべきインダクタンスの値に応じて調節される。第2コイル導体42の巻回数は、2以上20以下であってもよい。第2コイル導体42の巻回数は、2以上5以下、5以上10以下、10以上15以下、または、15以上20以下であってもよい。
【0026】
チップ部品1は、第1配線51、第2配線52、第3配線53、第4配線54および第5配線55を含む。第1配線51は、無機絶縁層13内において第1上電極31に電気的に接続され、有機絶縁層14内において第1コイル導体41の第1内側末端43に電気的に接続されている。
第2配線52は、無機絶縁層13内において第3上電極33に電気的に接続され、有機絶縁層14内においてインダクタ接続部7に電気的に接続されている。第3配線53は、無機絶縁層13内において第5上電極35に電気的に接続され、有機絶縁層14内において第2コイル導体42の第2内側末端46に電気的に接続されている。
【0027】
第4配線54は、無機絶縁層13内において第1下電極21および第3下電極23に電気的に接続されている。第4配線54は、無機絶縁層13から有機絶縁層14内に引き出されている。第5配線55は、無機絶縁層13内において第3下電極23および第5下電極25に電気的に接続されている。第5配線55は、無機絶縁層13から有機絶縁層14内に引き出されている。
【0028】
第1入出力端子2、第2入出力端子3、第1基準端子4および第2基準端子5は、有機絶縁層14から露出している。第1入出力端子2は、第1配線51に電気的に接続されている。これにより、第1入出力端子2は、第1配線51を介して第1コイル導体41の第1内側末端43および第1上電極31に電気的に接続されている。
第2入出力端子3は、第3配線53に電気的に接続されている。これにより、第2入出力端子3は、第3配線53を介して第2コイル導体42の第2内側末端46および第5上電極35に電気的に接続されている。
【0029】
第1基準端子4は、第4配線54に電気的に接続されている。これにより、第1基準端子4は、第4配線54を介して第1下電極21および第3下電極23に電気的に接続されている。第2基準端子5は、第5配線55に電気的に接続されている。これにより、第2基準端子5は、第5配線55を介して第3下電極23および第5下電極25に電気的に接続されている。
【0030】
無機絶縁層13は、有機絶縁層14の比誘電率を超える比誘電率を有している。また、無機絶縁層13は、有機絶縁層14と比較して薄膜性の点において優れている。したがって、無機絶縁層13内に下電極15および上電極16を形成することによって、薄膜でありながら優れた容量値を有する第1〜第5キャパシタC1〜C5を実現できる。
この一方で、有機絶縁層14内には、厚い第1〜第2インダクタL1〜L2(コイル導体40)を形成できる。一例として、無機絶縁層13の厚さを超える厚さを有する第1〜第2インダクタL1〜L2(コイル導体40)を形成できる。これにより、第1〜第2インダクタL1〜L2の寄生抵抗を抑制できる。また、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5の間の寄生容量を有機絶縁層14によって低減できる。
【0031】
また、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5は、基板12の上に積層した無機絶縁層13および有機絶縁層14に作りこまれる。これにより、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5の間の配線距離を短縮できるから、配線抵抗を低減できる。
よって、チップ部品1によれば、LC回路6のQ値を向上できるから、優れたLC特性を実現できる。また、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5を含む3次元積層構造によって、チップサイズの2次元的な大型化を抑制できる。よって、チップ部品1を小型化できる。
【0032】
以下、
図3〜
図13を参照して、チップ部品1の具体的な構造について説明する。
図3は、
図1に示すチップ部品1の斜視図である。
図4は、
図3に示すチップ部品1の分離斜視図である。
図3および
図4を参照して、チップ部品1は、平面寸法に基づいて1005(1mm×0.5mm)チップ、0603(0.6mm×0.3mm)チップ、0402(0.4mm×0.2mm)チップ、03015(0.3mm×0.15mm)チップ等と称される小型の電子部品である。
【0033】
チップ本体11は、直方体形状に形成されている。チップ本体11は、パッケージを兼ねている。つまり、チップ部品1は、ベース基板から切り出されたチップのサイズをパッケージのサイズとして有するチップサイズパッケージからなる。
チップ本体11は、一方側の第1チップ主面62、他方側の第2チップ主面63、ならびに、第1チップ主面62および第2チップ主面63を接続する4つのチップ側壁64A,64B,64C,64Dを有している。第1チップ主面62および第2チップ主面63は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
【0034】
チップ側壁64A〜64Dは、より具体的には、第1チップ側壁64A、第2チップ側壁64B、第3チップ側壁64Cおよび第4チップ側壁64Dを含む。第1チップ側壁64Aおよび第2チップ側壁64Bは、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第3チップ側壁64Cおよび第4チップ側壁64Dは、第2方向Yに沿って延び、第1方向Xに対向している。第2方向Yは、より具体的には、第1方向Xに直交している。
【0035】
チップ側壁64A〜64Dは、第1チップ主面62および第2チップ主面63に対してそれぞれ垂直に形成されている。チップ側壁64A〜64Dは、法線方向Zに沿って平坦にそれぞれ延びている。前述の「1005」、「0603」、「0402」および「03015」は、チップ側壁64A〜64Dの長さによって定義される。チップ側壁64A〜64Dは、0.1mm以上20mm以下の範囲で種々の値を採り得る。
【0036】
基板12は、直方体形状に形成されている。基板12は、一方側の第1基板主面72、他方側の第2基板主面73、ならびに、第1基板主面72および第2基板主面73を接続する4つの基板側壁74A,74B,74C,74Dを有している。
第1基板主面72および第2基板主面73は、平面視において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。第2基板主面73は、第2チップ主面63を形成している。基板側壁74A〜74Dは、第1基板側壁74A、第2基板側壁74B、第3基板側壁74Cおよび第4基板側壁74Dを含む。基板側壁74A〜74Dは、チップ側壁64A〜64Dの一部をそれぞれ形成している。
【0037】
基板12の厚さT1は、50μm以上500μm以下であってもよい。厚さT1は、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、250μm以上300μm以下、300μm以上400μm以下、または、400μm以上500μm以下であってもよい。厚さT1は、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0038】
無機絶縁層13は、無機物絶縁体によって形成された絶縁層からなる。無機絶縁層13は、第1基板主面72の上に積層されている。無機絶縁層13は、一方側の第1無機主面82、他方側の第2無機主面83、ならびに、第1無機主面82および第2無機主面83を接続する無機側壁84A,84B,84C,84Dを含む。
第2無機主面83は、第1基板主面72に密着している。第1無機主面82および第2無機主面83は、第1基板主面72に対して平行に延びている。第1無機主面82および第2無機主面83は、平面視において第1基板主面72に整合する四角形状に形成されている。
【0039】
無機側壁84A〜84Dは、第1無機側壁84A、第2無機側壁84B、第3無機側壁84Cおよび第4無機側壁84Dを含む。無機側壁84A〜84Dは、第1無機主面82の周縁から基板12に向けて延びている。無機側壁84A〜84Dは、基板側壁74A〜74Dに連なっている。これにより、無機側壁84A〜84Dは、チップ側壁64A〜64Dの一部をそれぞれ形成している。無機側壁84A〜84Dは、基板側壁74A〜74Dに対して面一に形成されていてもよい。
【0040】
無機絶縁層13の厚さT2は、基板12の厚さT1未満である。無機絶縁層13の厚さT2は、0.3μm以上12μm以下であってもよい。厚さT2は、0.3μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、8μm以上10μm以下、または、10μm以上12μm以下であってもよい。厚さT2は、0.6μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0041】
無機絶縁層13は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のいずれか一方または双方を含む。無機絶縁層13は、複数の絶縁層が積層された積層構造を有している。絶縁層の積層数は、第1〜第5キャパシタC1〜C5を形成できる範囲で任意であり、特定の値に限定されない。無機絶縁層13は、この形態では、第1基板主面72側からこの順に積層された第1無機絶縁層13A、第2無機絶縁層13Bおよび第3無機絶縁層13Cを含む。
【0042】
第1無機絶縁層13Aは、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる。第1無機絶縁層13Aは、この形態では、酸化シリコン層からなる。第2無機絶縁層13Bは、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる。第2無機絶縁層13Bは、この形態では、窒化シリコン層からなる。第3無機絶縁層13Cは、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる。第3無機絶縁層13Cは、この形態では、窒化シリコン層からなる。
【0043】
第2無機絶縁層13Bは、第1〜第5キャパシタC1〜C5の誘電体層として形成されている。したがって、第2無機絶縁層13Bは、窒化シリコン層を含むことが好ましい。第2無機絶縁層13Bは、窒化シリコン層からなることが特に好ましい。第2無機絶縁層13Bは、第1無機絶縁層13A側からこの順に積層された酸化シリコン層、窒化シリコン層および酸化シリコン層を含むONO層を含んでいてもよい。
【0044】
第1〜第3無機絶縁層13A〜13Cの厚さは、それぞれ0.1μm以上4μm以下であってもよい。第1〜第3無機絶縁層13A〜13Cの厚さは、それぞれ0.2μm以上2μm以下であることが好ましい。第1〜第3無機絶縁層13A〜13Cの厚さは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
有機絶縁層14は、有機物絶縁体によって形成された絶縁層からなる。有機絶縁層14は、無機絶縁層13の第1無機主面82の上に積層されている。有機絶縁層14は、一方側の第1有機主面92、他方側の第2有機主面93、ならびに、第1有機主面92および第2有機主面93を接続する有機側壁94A,94B,94C,94Dを含む。
【0045】
第1有機主面92は、第1チップ主面62を形成している。第2有機主面93は、無機絶縁層13(第3無機絶縁層13C)に密着している。第1有機主面92および第2有機主面93は、第1基板主面72に対して平行に延びている。第1有機主面92および第2有機主面93は、平面視において第1基板主面72に整合する四角形状に形成されている。
【0046】
有機側壁94A〜94Dは、第1有機側壁94A、第2有機側壁94B、第3有機側壁94Cおよび第4有機側壁94Dを含む。有機側壁94A〜94Dは、第1有機主面92の周縁から無機絶縁層13に向けて延びている。有機側壁94A〜94Dは、無機側壁84A〜84Dにそれぞれ連なっている。これにより、有機側壁94A〜94Dは、チップ側壁64A〜64Dの一部をそれぞれ形成している。有機側壁94A〜94Dは、無機側壁84A〜84Dに対して面一に形成されていてもよい。
【0047】
有機絶縁層14の厚さT3は、無機絶縁層13の厚さT2を超えている。厚さT3は、30μm以上600μm以下であってもよい。厚さT3は、30μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、250μm以上300μm以下、300μm以上400μm以下、または、400μm以上500μm以下であってもよい。厚さT3は、60μm以上210μm以下であることが好ましい。厚さT3は、基板12の厚さT1を超えていることが好ましい。
【0048】
有機絶縁層14は、感光性樹脂層および熱硬化性樹脂層のいずれか一方または双方を含む絶縁層からなる。有機絶縁層14は、複数の絶縁層が積層された積層構造を有している。絶縁層の積層数は、第1〜第2インダクタL1〜L2を形成できる範囲で任意であり、特定の値に制限されない。有機絶縁層14は、この形態では、無機絶縁層13側からこの順に積層された第1有機絶縁層14A、第2有機絶縁層14Bおよび第3有機絶縁層14Cを含む。
【0049】
第1有機絶縁層14Aは、感光性樹脂層または熱硬化性樹脂層からなる。第1有機絶縁層14Aは、この形態では、感光性樹脂層の一例としてのエポキシ樹脂層からなる。第2有機絶縁層14Bは、感光性樹脂層または熱硬化性樹脂層からなる。第2有機絶縁層14Bは、この形態では、感光性樹脂層の一例としてのエポキシ樹脂層からなる。第3有機絶縁層14Cは、感光性樹脂層または熱硬化性樹脂層からなる。第3有機絶縁層14Cは、この形態では、感光性樹脂層の一例としてのエポキシ樹脂層からなる。つまり、有機絶縁層14は、この形態では、エポキシ樹脂層からなる。
【0050】
第1〜第3有機絶縁層14A〜14Cの厚さは、それぞれ10μm以上200μm以下であってもよい。第1〜第3有機絶縁層14A〜14Cの厚さは、それぞれ20μm以上70μm以下であることが好ましい。第1〜第3有機絶縁層14A〜14Cの厚さは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
第2有機絶縁層14Bは、第1〜第2インダクタL1〜L2(コイル導体40)が作りこまれる層である。したがって、第1〜第3有機絶縁層14A〜14Cのうちの少なくとも第2有機絶縁層14Bは、無機絶縁層13の厚さT2を超える厚さを有していることが好ましい。この形態では、第1〜第3有機絶縁層14A〜14Cの全ての厚さが、無機絶縁層13の厚さT2を超えている。
【0051】
有機絶縁層14内部の寄生容量は、厚い第1〜第3有機絶縁層14A〜14Cによって低減される。たとえば、第1有機絶縁層14Aは、第1〜第5キャパシタC1〜C5および第1〜第2インダクタL1〜L2の間の寄生容量を低減させる。また、第3有機絶縁層14Cは、外部端子2〜5および第1〜第2インダクタL1〜L2の間の寄生容量を低減させる。また、第1〜第3有機絶縁層14A〜14Cの積層膜は、外部端子2〜5および第1〜第5キャパシタC1〜C5の間の寄生容量を低減させる。
【0052】
図5は、
図3に示すチップ部品1の断面図である。
図6は、
図5に示す第1無機絶縁層13Aの上の構造の平面図である。
図7は、
図5に示す第2無機絶縁層13Bの平面図である。
図8は、
図5に示す第2無機絶縁層13Bの上の構造の平面図である。
図9は、
図5に示す第3無機絶縁層13Cの平面図である。
図10は、
図5に示す第1有機絶縁層14Aの平面図である。
図11は、
図5に示す第2有機絶縁層14Bの平面図である。
図12は、
図5に示す第3有機絶縁層14Cの平面図である。
図13は、
図5に示す第3有機絶縁層14Cの上の構造の平面図である。
【0053】
図5および
図6を参照して、第1〜第5下電極21〜25は、第1無機絶縁層13Aの上に形成されている。第1〜第5下電極21〜25は、第1基板側壁74A側から第2基板側壁74B側に向けてこの順に間隔を空けて配置されている。第1〜第5下電極21〜25は、この形態では、第2方向Yに一列に並んで配列されている。
第1〜第5下電極21〜25は、この形態では、平面視において四角形状にそれぞれ形成されている。第1〜第5下電極21〜25の平面寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第1〜第5下電極21〜25の平面寸法および平面形状は、達成すべき容量値に応じて種々の形態を採り得る。
【0054】
第1〜第5下電極21〜25の厚さは、0.1μm以上1.5μm以下であってもよい。第1〜第5下電極21〜25の厚さは、0.1μm以上0.3μm以下、0.3μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.9μm以下、0.9μm以上1.2μm以下、または、1.2μm以上1.5μm以下であってもよい。第1〜第5下電極21〜25の厚さは、1μm未満であることが好ましい。第1〜第5下電極21〜25の厚さは、0.2μm以上0.8μm以下であることがさらに好ましい。
【0055】
第1〜第5下電極21〜25は、この形態では、第1無機絶縁層13A側からこの順に積層されたAl層およびTiN層を含む積層構造を有している。Al層は、純Al層(純度が99%以上のAlからなるAl層の事をいう。)、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。TiN層は、Al層の全域を被覆している。
【0056】
Al層の厚さは、0.1μm以上1.5μm以下であってもよい。Al層の厚さは、0.1μm以上0.3μm以下、0.3μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.9μm以下、0.9μm以上1.2μm以下、または、1.2μm以上1.5μm以下であってもよい。Al層の厚さは、1μm未満であることが好ましい。Al層の厚さは、0.2μm以上0.8μm以下であることがさらに好ましい。
【0057】
TiN層の厚さは、Al層の厚さ未満である。TiN層の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下であってもよい。TiN層の厚さは、0.01μm以上0.02μm以下、0.02μm以上0.04μm以下、0.04μm以上0.06μm以下、0.06μm以上0.08μm以下、または、0.08μm以上0.1μm以下であってもよい。TiN層の厚さは、0.01μm以上0.05μm以下であることが好ましい。
【0058】
チップ部品1は、第1無機絶縁層13Aの上に形成された複数(この形態では5つ)の下接続電極101,102,103,104,105を含む。複数の下接続電極101〜105は、層状(膜状)にそれぞれ形成されている。複数の下接続電極101〜105は、第1下接続電極101、第2下接続電極102、第3下接続電極103、第4下接続電極104、第5下接続電極105および第6下接続電極106を含む。
【0059】
第1下接続電極101は、第1下電極21と一体的に形成されている。第1下接続電極101は、第1下電極21から第3基板側壁74Cに向かって引き出された引き出し部として形成されている。第1下接続電極101は、第1下ダミーパッド部107および第1下配線部108を含む。第1下ダミーパッド部107は、第1無機絶縁層13Aの上において第1〜第5下電極21〜25に対して第3基板側壁74C側の領域に配置されている。
【0060】
第1下ダミーパッド部107は、この形態では、第1無機絶縁層13Aの上において第3下電極23および第3基板側壁74Cの間の領域に配置されている。第1下ダミーパッド部107は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第1下ダミーパッド部107の平面寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
第1下配線部108は、第1下電極21からライン状に引き出され、第1下ダミーパッド部107に接続されている。第1下配線部108は、この形態では、平面視において第1部分109および第2部分110を含むL字形状に形成されている。
【0061】
第1部分109は、平面視において第1下電極21から第3基板側壁74Cに向けて引き出されている。第1部分109は、平面視において第3基板側壁74Cの中央部に向けて傾斜している。第2部分110は、平面視において第1部分109および第1下ダミーパッド部107の間を第2方向Yに沿って直線状に延びている。
第1下配線部108の引き回し態様は任意であり、特定の形態に制限されない。第1下配線部108のライン幅は、第1下ダミーパッド部107の幅未満であることが好ましい。第1下配線部108のライン幅は、第1下配線部108が延びる方向に直交する方向の幅である。
【0062】
第2下接続電極102は、第2下電極22と一体的に形成されている。第2下接続電極102は、第2下電極22から第1下電極21に向かって引き出された引き出し部として形成されている。第2下接続電極102は、この形態では、平面視において四角形状に引き出されている。第2下接続電極102の引き出し寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0063】
第3下接続電極103は、第3下電極23と一体的に形成されている。第3下接続電極103は、第3下電極23から第3基板側壁74Cに向かって引き出された引き出し部として形成されている。第3下接続電極103は、平面視において第1方向Xに第1下接続電極101の第1下ダミーパッド部107に対向している。第3下接続電極103は、この形態では、平面視において四角形状に引き出されている。第3下接続電極103の引き出し寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0064】
第4下接続電極104は、第3下電極23と一体的に形成されている。第4下接続電極104は、第3下電極23から第4基板側壁74Dに向かって引き出された引き出し部として形成されている。第4下接続電極104は、この形態では、平面視において四角形状に引き出されている。第4下接続電極104の引き出し寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0065】
第5下接続電極105は、第4下電極24と一体的に形成されている。第5下接続電極105は、第4下電極24から第5下電極25に向かって引き出された引き出し部として形成されている。第5下接続電極105は、この形態では、平面視において四角形状に引き出されている。第5下接続電極105の引き出し寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0066】
第6下接続電極106は、第5下電極25と一体的に形成されている。第6下接続電極106は、第5下電極25から第4基板側壁74Dに向かって引き出された引き出し部として形成されている。第6下接続電極106は、第2下ダミーパッド部111および第2下配線部112を含む。第2下ダミーパッド部111は、第1無機絶縁層13Aの上において第1〜第5下電極21〜25に対して第4基板側壁74D側の領域に配置されている。
【0067】
第2下ダミーパッド部111は、この形態では、第1無機絶縁層13Aの上において第3下電極23および第4基板側壁74Dの間の領域に配置されている。第2下ダミーパッド部111は、平面視において第1方向Xに第4下接続電極104に対向している。第2下ダミーパッド部111は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第2下ダミーパッド部111の平面寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0068】
第2下配線部112は、第5下電極25からライン状に引き出され、第2下ダミーパッド部111に接続されている。第2下配線部112は、この形態では、平面視において第1部分113および第2部分114を含むL字形状に形成されている。
第1部分113は、平面視において第5下電極25から第4基板側壁74Dに向けて引き出されている。第1部分113は、平面視において第4基板側壁74Dの中央部に向けて傾斜している。第2部分114は、平面視において第1部分113および第2下ダミーパッド部111の間を第2方向Yに沿って直線状に延びている。
【0069】
第2下配線部112の引き回し態様は任意であり、特定の形態に制限されない。第2下配線部112のライン幅は、第2下ダミーパッド部111の幅未満であることが好ましい。第2下配線部112のライン幅は、第2下配線部112が延びる方向に直交する方向の幅である。
前述の通り、第1下電極21、第3下電極23および第5下電極25は、同電位に固定される。したがって、第3下接続電極103は、第1下接続電極101(第1下ダミーパッド部107)と一体的に形成されていてもよい。また、第6下接続電極106(第2下ダミーパッド部111)は、第4下接続電極104と一体的に形成されていてもよい。
【0070】
ただし、これらの場合、第1下電極21、第3下電極23および第5下電極25を結ぶ配線距離が増加する。そのため、他の領域(たとえば第1〜第2インダクタL1〜L2)を流れる電流に起因する磁界の影響を受ける結果、第1下電極21、第3下電極23および第5下電極25を起点とする渦電流が生じる可能性がある。
したがって、第3下接続電極103は、第1下接続電極101から間隔を空けて形成されていることが好ましい。また、第6下接続電極106は、第4下接続電極104から間隔を空けて形成されていることが好ましい。これにより、第1下電極21、第3下電極23および第5下電極25を起点とする渦電流を抑制できる。渦電流を抑制することによって、ノイズを低減できるからLC特性を向上できる。
【0071】
第1〜第6下接続電極101〜106の厚さは、0.1μm以上1.5μm以下であってもよい。第1〜第6下接続電極101〜106の厚さは、0.1μm以上0.3μm以下、0.3μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.9μm以下、0.9μm以上1.2μm以下、または、1.2μm以上1.5μm以下であってもよい。第1〜第6下接続電極101〜106の厚さは、1μm未満であることが好ましい。第1〜第6下接続電極101〜106の厚さは、0.2μm以上0.8μm以下であることがさらに好ましい。
【0072】
第1〜第6下接続電極101〜106の厚さは、第1〜第5下電極21〜25の厚さと等しいことが好ましい。第1〜第6下接続電極101〜106は、第1〜第5下電極21〜25と同一の構造を有している。つまり、第1〜第6下接続電極101〜106は、Al層およびTiN層を含む積層構造を有している。
チップ部品1は、第1〜第5下電極21〜25から間隔を空けて第1〜第5下電極21〜25と同一の層に形成された1つまたは複数(この形態では4つ)のダミー電極121、122,123,124を含む。
【0073】
複数のダミー電極121〜124は、第1〜第5下電極21〜25から間隔を空けて第1無機絶縁層13Aの上に電気的に浮遊状態に形成されている。複数のダミー電極121〜124は、より具体的には、第1ダミー電極121、第2ダミー電極122、第3ダミー電極123および第4ダミー電極124を含む。
第1〜第4ダミー電極121〜124は、第1無機絶縁層13Aの上に存する電極の占有率が30%以上70%以下になるように任意の個数および任意の平面形状で第1無機絶縁層13Aの上に配置される。
【0074】
電極の占有率は、第1無機絶縁層13Aの平面積に対する第1〜第5下電極21〜25、第1〜第6下接続電極101〜106および第1〜第4ダミー電極121〜124の総平面積の割合である。電極の占有率は、40%以上60%以下であることが好ましい。電極の占有率は、50%以上であることが特に好ましい。
第1〜第4ダミー電極121〜124は、第1〜第5下電極21〜25が配置された領域および第1〜第6下接続電極101〜106が配置された領域以外の任意の領域に配置される。第1〜第4ダミー電極121〜124は、この形態では、平面視において第1〜第5下電極21〜25が配置された領域を外側から区画するように第1無機絶縁層13Aの四隅にそれぞれ配置されている。
【0075】
第1ダミー電極121は、平面視において第1基板側壁74Aおよび第3基板側壁74Cを接続する角部に配置されている。第1ダミー電極121は、平面視において第1基板側壁74Aおよび第3基板側壁74Cとの間でL字路を区画するL字形状に形成されている。第1ダミー電極121の外側コーナは、傾斜している。
第2ダミー電極122は、平面視において第1基板側壁74Aおよび第4基板側壁74Dを接続する角部に配置されている。第2ダミー電極122は、平面視において第1基板側壁74Aおよび第4基板側壁74Dとの間でL字路を区画するL字形状に形成されている。第2ダミー電極122の外側コーナは、傾斜している。
【0076】
第3ダミー電極123は、平面視において第2基板側壁74Bおよび第3基板側壁74Cを接続する角部に配置されている。第3ダミー電極123は、平面視において第2基板側壁74Bおよび第3基板側壁74Cとの間でL字路を区画するL字形状に形成されている。第3ダミー電極123の外側コーナは、傾斜している。
第4ダミー電極124は、平面視において第2基板側壁74Bおよび第4基板側壁74Dを接続する角部に配置されている。第4ダミー電極124は、平面視において第2基板側壁74Bおよび第4基板側壁74Dとの間でL字路を区画するL字形状に形成されている。第4ダミー電極124の外側コーナは、傾斜している。
【0077】
第1〜第4ダミー電極121〜124は、スリットによって複数のダミー電極部分125にそれぞれ分割されている。スリットは、第1〜第4ダミー電極121〜124の配線距離を短縮させている。複数のダミー電極部分125は、平面視において三角形状にそれぞれ区画されている。これにより、第1〜第4ダミー電極121〜124は、複数のダミー電極部分125が集約配置されたダミー電極部分群としてそれぞれ形成されている。
【0078】
複数のダミー電極部分125の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。複数のダミー電極部分125は、たとえば、平面視においてスリットによって第1方向Xまたは第2方向Yに沿って延びるストライプ状に区画されていてもよい。この場合、複数のダミー電極部分125は、第1方向Xに沿って延びるストライプ状に区画されていることが好ましい。
【0079】
スリットの幅は、0.1μm以上5μm以下であってもよい。スリットの幅は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、2.5μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。スリットの幅は、1μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0080】
スリットを有さない第1〜第4ダミー電極121〜124が形成されてもよい。ただし、この場合、第1〜第4ダミー電極121〜124の配線距離が増加する。そのため、他の領域(たとえば第1〜第2インダクタL1〜L2)を流れる電流に起因する磁界の影響を受ける結果、第1〜第4ダミー電極121〜124を起点とする渦電流が生じる可能性がある。
【0081】
したがって、スリットを有する第1〜第4ダミー電極121〜124が形成されていることが好ましい。これにより、第1〜第4ダミー電極121〜124の配線距離を短縮できるから、第1〜第4ダミー電極121〜124を起点とする渦電流を抑制できる。渦電流を抑制することによって、ノイズを低減できるからLC特性を向上できる。
第1〜第4ダミー電極121〜124の厚さは、0.1μm以上1.5μm以下であってもよい。第1〜第4ダミー電極121〜124の厚さは、0.1μm以上0.3μm以下、0.3μm以上0.6μm以下、0.6μm以上0.9μm以下、0.9μm以上1.2μm以下、または、1.2μm以上1.5μm以下であってもよい。第1〜第4ダミー電極121〜124の厚さは、1μm未満であることが好ましい。第1〜第4ダミー電極121〜124の厚さは、0.2μm以上0.8μm以下であることがさらに好ましい。
【0082】
第1〜第4ダミー電極121〜124の厚さは、第1〜第5下電極21〜25の厚さと等しいことが好ましい。第1〜第4ダミー電極121〜124は、第1〜第5下電極21〜25と同一の構造を有している。つまり、第1〜第4ダミー電極121〜124は、Al層およびTiN層を含む積層構造を有している。
図5および
図7を参照して、第2無機絶縁層13Bは、第1無機絶縁層13Aの上に形成されている。第2無機絶縁層13Bは、第1〜第5下電極21〜25、第1〜第6下接続電極101〜106および第1〜第4ダミー電極121〜124を一括して被覆している。
【0083】
第2無機絶縁層13Bは、第1下開口131、第2下開口132、第3下開口133、第4下開口134、第5下開口135および第6下開口136を含む。第1〜第6下開口131〜136の個数は任意である。第1〜第6下開口131〜136は、この形態では、1つずつ形成されている。
第1下開口131は、第1下接続電極101を露出させている。第1下開口131は、より具体的には、第1下ダミーパッド部107から間隔を空けて第1下配線部108を露出させている。第1下開口131は、さらに具体的には、第1下配線部108の第2部分110を露出させている。
【0084】
第2下開口132は、第2下接続電極102の任意の領域を露出させている。第3下開口133は、第3下接続電極103を露出させている。第3下開口133は、より具体的には、平面視において第3下接続電極103の先端部から第3下接続電極103側に間隔を空けて第3下接続電極103を露出させている。
第4下開口134は、第4下接続電極104を露出させている。第4下開口134は、より具体的には、平面視において第4下接続電極104の先端部から第3下接続電極103側に間隔を空けて第4下接続電極104を露出させている。
【0085】
第5下開口135は、第5下接続電極105の任意の領域を露出させている。第6下開口136は、第6下接続電極106を露出させている。第6下開口136は、より具体的には、第2下ダミーパッド部111から間隔を空けて第2下配線部112を露出させている。第6下開口136は、さらに具体的には、第2下配線部112の第2部分114を露出させている。
【0086】
図5および
図8を参照して、第1〜第5上電極31〜35は、第2無機絶縁層13Bの上に形成されている。第1〜第5上電極31〜35は、第1基板側壁74A側から第2基板側壁74B側に向けてこの順に配置されている。第1〜第5上電極31〜35は、この形態では、第2方向Yに沿って一列に並んで配列されている。
第1〜第5上電極31〜35は、この形態では、平面視において四角形状にそれぞれ形成されている。第1〜第5上電極31〜35の平面寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第1〜第5上電極31〜35の平面寸法および平面形状は、達成すべき容量値に応じて種々の形態を採り得る。
【0087】
第1上電極31は、第1無機絶縁層13Aを挟んで第1下電極21に対向している。第1上電極31は、第1下電極21との間で第1キャパシタC1を形成している。第1上電極31は、第2無機絶縁層13Bの上から第2下開口132に入り込んでいる。第1上電極31は、第2下開口132内において第2下電極22に電気的に接続されている。これにより、第1上電極31は、第2下電極22と同電位に固定されている。
【0088】
第2上電極32は、第1無機絶縁層13Aを挟んで第2下電極22に対向している。第2上電極32は、第2下電極22との間で第2キャパシタC2を形成している。
第3上電極33は、第1無機絶縁層13Aを挟んで第3下電極23に対向している。第3上電極33は、第3下電極23との間で第3キャパシタC3を形成している。第3上電極33は、第2上電極32と一体的に形成されている。これにより、第3上電極33は、第2上電極32と同電位に固定されている。
【0089】
第4上電極34は、第1無機絶縁層13Aを挟んで第4下電極24に対向している。第4上電極34は、第4下電極24との間で第4キャパシタC4を形成している。第4上電極34は、第3上電極33と一体的に形成されている。これにより、第4上電極34は、第2上電極32および第3上電極33と同電位に固定されている。
第5上電極35は、第1無機絶縁層13Aを挟んで第5下電極25に対向している。第5上電極35は、第5下電極25との間で第5キャパシタC5を形成している。第5上電極35は、第2無機絶縁層13Bの上から第5下開口135に入り込んでいる。第5上電極35は、第5下開口135内において第4下電極24に電気的に接続されている。これにより、第5上電極35は、第4下電極24と同電位に固定されている。
【0090】
第1〜第5上電極31〜35の厚さは、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第1〜第5上電極31〜35の厚さは、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。第1〜第5上電極31〜35の厚さは、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。第1〜第5上電極31〜35の厚さは、第1〜第5下電極21〜25の厚さを超えていることがさらに好ましい。
【0091】
第1〜第5上電極31〜35は、この形態では、Al層からなる単層構造をそれぞれ有している。Al層は、純Al層(純度が99%以上のAlからなるAl層の事をいう。)、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
第1〜第5上電極31〜35は、第1〜第5下電極21〜25と同様の構造を有していてもよい。つまり、第1〜第5上電極31〜35は、第2無機絶縁層13B側からこの順に積層されたAl層およびTiN層を含む積層構造を有していてもよい。この場合、第1〜第5下電極21〜25の厚さと等しい厚さを有する第1〜第5上電極31〜35が形成されてもよい。
【0092】
第1〜第5上電極31〜35は、平面視において第1〜第4ダミー電極121〜124によって区画された領域内に配置されている。第1〜第5上電極31〜35は、平面視において第1〜第4ダミー電極121〜124から間隔を空けて形成されている。第1〜第5上電極31〜35は、第1無機絶縁層13Aを挟んで第1〜第4ダミー電極121〜124とは対向していない。
【0093】
チップ部品1は、第2無機絶縁層13Bの上に形成された複数(この形態では4つ)の上接続電極141,142,143,144を含む。複数の上接続電極141〜144は、層状(膜状)にそれぞれ形成されている。複数の上接続電極141〜144は、第1上接続電極141、第2上接続電極142、第3上接続電極143および第4上接続電極144を含む。
【0094】
第1上接続電極141は、第1〜第5上電極31〜35から間隔を空けて配置されている。第1上接続電極141は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第1下接続電極101に対向している。第1上接続電極141は、第1上パッド部145および第1上配線部146を含む。
第1上パッド部145は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第1下接続電極101の第1下ダミーパッド部107に対向している。第1上パッド部145は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第1上パッド部145の平面寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0095】
第1上配線部146は、平面視において第1下接続電極101の第1下配線部108に沿うように第1上パッド部145から帯状に引き出されている。第1上配線部146の引き回し態様は任意であり、特定の形態に制限されない。第1上配線部146のライン幅は、第1上パッド部145の幅未満であることが好ましい。第1上配線部146のライン幅は、第1上配線部146が延びる方向に直交する方向の幅である。
【0096】
第1上配線部146は、第2無機絶縁層13Bの上から第1下開口131に入り込んでいる。第1上配線部146は、第1下開口131内において第1下接続電極101の第1下配線部108(第2部分110)に電気的に接続されている。これにより、第1上接続電極141は、第1下接続電極101を介して第1下電極21に電気的に接続されている。
【0097】
第2上接続電極142は、第1〜第5上電極31〜35から間隔を空けて配置されている。第2上接続電極142は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第3下接続電極103に対向している。
第2上接続電極142は、第2無機絶縁層13Bの上から第3下開口133に入り込んでいる。第2上接続電極142は、第3下開口133内において第3下接続電極103に電気的に接続されている。これにより、第2上接続電極142は、第3下接続電極103を介して第3下電極23に電気的に接続されている。
【0098】
第3上接続電極143は、第1〜第5上電極31〜35から間隔を空けて配置されている。第3上接続電極143は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第4下接続電極104に対向している。
第3上接続電極143は、第2無機絶縁層13Bの上から第4下開口134に入り込んでいる。第3上接続電極143は、第4下開口134内において第4下接続電極104に電気的に接続されている。これにより、第3上接続電極143は、第4下接続電極104を介して第3下電極23に電気的に接続されている。
【0099】
第4上接続電極144は、第1〜第5上電極31〜35から間隔を空けて配置されている。第4上接続電極144は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第6下接続電極106に対向している。第4上接続電極144は、第2上パッド部147および第2上配線部148を含む。
第2上パッド部147は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第6下接続電極106の第2下ダミーパッド部111に対向している。第2上パッド部147は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第2上パッド部147の平面寸法および平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0100】
第2上配線部148は、平面視において第6下接続電極106の第2下配線部112に沿うように第2上パッド部147から帯状に引き出されている。第2上配線部148の引き回し態様は任意であり、特定の形態に制限されない。第2上配線部148のライン幅は、第2上パッド部147の幅未満であることが好ましい。第2上配線部148のライン幅は、第2上配線部148が延びる方向に直交する方向の幅である。
【0101】
第2上配線部148は、第2無機絶縁層13Bの上から第6下開口136に入り込んでいる。第2上配線部148は、第6下開口136内において第6下接続電極106の第2下配線部112(第2部分114)に電気的に接続されている。これにより、第4上接続電極144は、第6下接続電極106を介して第5下電極25に電気的に接続されている。
【0102】
第1〜第4上接続電極141〜144の厚さは、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第1〜第4上接続電極141〜144の厚さは、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。第1〜第4上接続電極141〜144の厚さは、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
【0103】
第1〜第4上接続電極141〜144の厚さは、第1〜第5下電極21〜25の厚さを超えていることが好ましい。第1〜第4上接続電極141〜144の厚さは、第1〜第5上電極31〜35の厚さと等しいことが好ましい。
第1〜第4上接続電極141〜144は、第1〜第5上電極31〜35と同一の構造を有している。つまり、第1〜第4上接続電極141〜144は、この形態では、Al層からなる単層構造をそれぞれ有している。むろん、第1〜第4上接続電極141〜144は、第1〜第5上電極31〜35の構造に応じて、第2無機絶縁層13B側からこの順に積層されたAl層およびTiN層を含む積層構造を有していてもよい。
【0104】
図5および
図9を参照して、第3無機絶縁層13Cは、第2無機絶縁層13Bの上に形成されている。第3無機絶縁層13Cは、第1〜第5上電極31〜35および第1〜第4上接続電極141〜144を一括して被覆している。
第3無機絶縁層13Cは、第1上開口151、第2上開口152、第3上開口153、第4上開口154、第5上開口155、第6上開口156および第7上開口157を含む。第1〜第7上開口151〜157の個数は任意である。この形態では、2つの第1上開口151、2つの第2上開口152、2つの第3上開口153、1つの第4上開口154、1つの第5上開口155、1つの第6上開口156および1つの第7上開口157が形成されている。
【0105】
第1上開口151は、第1上電極31の任意の領域を露出させている。第2上開口152は、第3上電極33の任意の領域を露出させている。第3上開口153は、第5上電極35の任意の領域を露出させている。
第4上開口154は、第1上接続電極141の任意の領域を露出させている。第4上開口154は、より具体的には、平面視において第1下開口131から間隔を空けて第1上接続電極141の第1上パッド部145を露出させている。
【0106】
第5上開口155は、第2上接続電極142の任意の領域を露出させている。第5上開口155は、より具体的には、平面視において第3下開口133から第2上接続電極142の先端部側に間隔を空けて第2上接続電極142を露出させている。
第6上開口156は、第3上接続電極143の任意の領域を露出させている。第6上開口156は、より具体的には、平面視において第4下開口134から第3上接続電極143の先端部側に間隔を空けて第3上接続電極143を露出させている。
【0107】
第7上開口157は、第4上接続電極144の任意の領域を露出させている。第7上開口157は、より具体的には、平面視において第6下開口136から間隔を空けて第4上接続電極144の第2上パッド部147を露出させている。
第1〜第7上開口151〜157は、平面視において円形状にそれぞれ形成されている。第1〜第7上開口151〜157の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第1〜第7上開口151〜157の幅は、5μm以上20μm以下であってもよい。
【0108】
第1〜第7上開口151〜157の幅は、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。第1〜第7上開口151〜157の幅は、8μm以上16μm以下であることが好ましい。
図5および
図10を参照して、第1有機絶縁層14Aは、無機絶縁層13(第3無機絶縁層13C)の上に形成されている。第1有機絶縁層14Aは、第1〜第7上開口151〜157に対応して形成された第1下ビアホール161、第2下ビアホール162、第3下ビアホール163、第4下ビアホール164、第5下ビアホール165、第6下ビアホール166および第7下ビアホール167を含む。
【0109】
第1〜第7下ビアホール161〜167の個数は第1〜第7上開口151〜157の個数に応じて調整される。この形態では、2つの第1下ビアホール161、2つの第2下ビアホール162、2つの第3下ビアホール163、1つの第4下ビアホール164、1つの第5下ビアホール165、1つの第6下ビアホール166および1つの第7下ビアホール167が形成されている。
【0110】
第1下ビアホール161は、第1上開口151に連通し、第1上電極31を露出させている。第2下ビアホール162は、第2上開口152に連通し、第3上電極33を露出させている。第3下ビアホール163は、第3上開口153に連通し、第5上電極35を露出させている。
第4下ビアホール164は、第4上開口154に連通し、第1上接続電極141の第1上パッド部145を露出させている。第5下ビアホール165は、第5上開口155に連通し、第2上接続電極142を露出させている。第6下ビアホール166は、第6上開口156に連通し、第3上接続電極143を露出させている。第7下ビアホール167は、第7上開口157に連通し、第4上接続電極144の第2上パッド部147を露出させている。
【0111】
第1〜第7下ビアホール161〜167は、平面視において円形状にそれぞれ形成されている。第1〜第7下ビアホール161〜167の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第1〜第7下ビアホール161〜167の幅は、5μm以上20μm以下であってもよい。
第1〜第7下ビアホール161〜167の幅は、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。第1〜第7下ビアホール161〜167の幅は、8μm以上16μm以下であることが好ましい。第1〜第7下ビアホール161〜167の幅は、第1〜第7上開口151〜157の幅を超えていることが好ましい。
【0112】
図5および
図11を参照して、第2有機絶縁層14Bは、第1有機絶縁層14Aの上に形成されている。第2有機絶縁層14Bは、第1〜第7下ビアホール161〜167に対応して形成された第1上ビアホール171、第2上ビアホール172、第3上ビアホール173、第4上ビアホール174、第5上ビアホール175、第6上ビアホール176および第7上ビアホール177を含む。
【0113】
第1〜第7上ビアホール171〜177の個数は第1〜第7下ビアホール161〜167の個数に応じて調整される。この形態では、2つの第1上ビアホール171、2つの第2上ビアホール172、2つの第3上ビアホール173、1つの第4上ビアホール174、1つの第5上ビアホール175、1つの第6上ビアホール176および1つの第7上ビアホール177が形成されている。
【0114】
第1上ビアホール171は、第1下ビアホール161および第1上開口151に連通し、第1上電極31を露出させている。第1上ビアホール171は、第1下ビアホール161および第1上開口151との間で1つの第1貫通ホール181を形成している。
第2上ビアホール172は、第2下ビアホール162および第2上開口152に連通し、第3上電極33を露出させている。第2上ビアホール172は、第2下ビアホール162および第2上開口152との間で1つの第2貫通ホール182を形成している。
【0115】
第3上ビアホール173は、第3下ビアホール163および第3上開口153に連通し、第5上電極35を露出させている。第3上ビアホール173は、第3下ビアホール163および第3上開口153との間で1つの第3貫通ホール183を形成している。
第4上ビアホール174は、第4下ビアホール164および第4上開口154に連通し、第1上接続電極141の第1上パッド部145を露出させている。第4上ビアホール174は、第4下ビアホール164および第4上開口154との間で1つの第4貫通ホール184を形成している。
【0116】
第5上ビアホール175は、第5下ビアホール165および第5上開口155に連通し、第2上接続電極142を露出させている。第5上ビアホール175は、第5下ビアホール165および第5上開口155との間で1つの第5貫通ホール185を形成している。
第6上ビアホール176は、第6下ビアホール166および第6上開口156に連通し、第3上接続電極143を露出させている。第6上ビアホール176は、第6下ビアホール166および第6上開口156との間で1つの第6貫通ホール186を形成している。
【0117】
第7上ビアホール177は、第7下ビアホール167および第7上開口157に連通し、第4上接続電極144の第2上パッド部147を露出させている。第7上ビアホール177は、第7下ビアホール167および第7上開口157との間で1つの第7貫通ホール187を形成している。
第1〜第7上ビアホール171〜177は、平面視において円形状にそれぞれ形成されている。第1〜第7上ビアホール171〜177の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第1〜第7上ビアホール171〜177の幅は、5μm以上40μm以下であってもよい。
【0118】
第1〜第7上ビアホール171〜177の幅は、5μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、または、30μm以上40μm以下であってもよい。第1〜第7上ビアホール171〜177の幅は、第1〜第7下ビアホール161〜167の幅を超えていることが好ましい。
チップ部品1は、第1〜第7貫通ホール181〜187にそれぞれ埋設された第1ビア電極191、第2ビア電極192、第3ビア電極193、第4ビア電極194、第5ビア電極195、第6ビア電極196および第7ビア電極197を含む。
【0119】
第1ビア電極191は、第1貫通ホール181に埋設されている。第1ビア電極191は、第1貫通ホール181内において第1上電極31に電気的に接続されている。つまり、第1ビア電極191は、無機絶縁層13および有機絶縁層14の境界を横切っている。また、第1ビア電極191は、第2有機絶縁層14B、第1有機絶縁層14Aおよび第3無機絶縁層13Cを貫通して、第1上電極31に電気的に接続されている。
【0120】
第2ビア電極192は、第2貫通ホール182に埋設されている。第2ビア電極192は、第2貫通ホール182内において第3上電極33に電気的に接続されている。つまり、第2ビア電極192は、無機絶縁層13および有機絶縁層14の境界を横切っている。また、第2ビア電極192は、第2有機絶縁層14B、第1有機絶縁層14Aおよび第3無機絶縁層13Cを貫通して、第3上電極33に電気的に接続されている。
【0121】
第3ビア電極193は、第3貫通ホール183に埋設されている。第3ビア電極193は、第3貫通ホール183内において第5上電極35に電気的に接続されている。つまり、第3ビア電極193は、無機絶縁層13および有機絶縁層14の境界を横切っている。また、第3ビア電極193は、第2有機絶縁層14B、第1有機絶縁層14Aおよび第3無機絶縁層13Cを貫通して、第5上電極35に電気的に接続されている。
【0122】
第4ビア電極194は、第4貫通ホール184に埋設されている。第4ビア電極194は、第4貫通ホール184内において第1上接続電極141の第1上パッド部145に電気的に接続されている。つまり、第4ビア電極194は、無機絶縁層13および有機絶縁層14の境界を横切っている。また、第4ビア電極194は、第2有機絶縁層14B、第1有機絶縁層14Aおよび第3無機絶縁層13Cを貫通して、第1上パッド部145に電気的に接続されている。
【0123】
第4ビア電極194は、平面視において第1下開口131から間隔を空けて第1上パッド部145に接続されている。つまり、第4ビア電極194は、第1下ダミーパッド部107、第2無機絶縁層13Bおよび第1上パッド部145を含む平坦構造の上に形成されている。第1上パッド部145に対する第4ビア電極194の接続部は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第1下ダミーパッド部107に対向している。したがって、第4ビア電極194は、第1下開口131に起因する隆起の影響を受けずに、第1上パッド部145に適切に接続される。
【0124】
第5ビア電極195は、第5貫通ホール185に埋設されている。第5ビア電極195は、第5貫通ホール185内において第2上接続電極142に電気的に接続されている。つまり、第5ビア電極195は、無機絶縁層13および有機絶縁層14の境界を横切っている。また、第5ビア電極195は、第2有機絶縁層14B、第1有機絶縁層14Aおよび第3無機絶縁層13Cを貫通して、第3上接続電極143に電気的に接続されている。
【0125】
第5ビア電極195は、平面視において第3下開口133から間隔を空けて第2上接続電極142に接続されている。つまり、第5ビア電極195は、第3下接続電極103、第2無機絶縁層13Bおよび第2上接続電極142を含む平坦構造の上に形成されている。第2上接続電極142に対する第5ビア電極195の接続部は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第3下接続電極103に対向している。したがって、第5ビア電極195は、第3下開口133に起因する隆起の影響を受けずに、第2上接続電極142に適切に接続される。
【0126】
第6ビア電極196は、第6貫通ホール186に埋設されている。第6ビア電極196は、第6貫通ホール186内において第3上接続電極143に電気的に接続されている。つまり、第6ビア電極196は、無機絶縁層13および有機絶縁層14の境界を横切っている。また、第6ビア電極196は、第2有機絶縁層14B、第1有機絶縁層14Aおよび第3無機絶縁層13Cを貫通して、第3上接続電極143に電気的に接続されている。
【0127】
第6ビア電極196は、平面視において第4下開口134から間隔を空けて第3上接続電極143に接続されている。つまり、第6ビア電極196は、第4下接続電極104、第2無機絶縁層13Bおよび第3上接続電極143を含む平坦構造の上に形成されている。第3上接続電極143に対する第6ビア電極196の接続部は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第4下接続電極104に対向している。したがって、第6ビア電極196は、第4下開口134に起因する隆起の影響を受けずに、第3上接続電極143に適切に接続される。
【0128】
第7ビア電極197は、第7貫通ホール187に埋設されている。第7ビア電極197は、第7貫通ホール187内において第4上接続電極144の第2上パッド部147に電気的に接続されている。つまり、第7ビア電極197は、無機絶縁層13および有機絶縁層14の境界を横切っている。また、第7ビア電極197は、第2有機絶縁層14B、第1有機絶縁層14Aおよび第3無機絶縁層13Cを貫通して、第2上パッド部147に電気的に接続されている。
【0129】
第7ビア電極197は、平面視において第6下開口136から間隔を空けて第2上パッド部147に接続されている。つまり、第7ビア電極197は、第2下ダミーパッド部111、第2無機絶縁層13Bおよび第2上パッド部147を含む平坦構造の上に形成されている。第2上パッド部147に対する第7ビア電極197の接続部は、第2無機絶縁層13Bを挟んで第2下ダミーパッド部111に対向している。したがって、第7ビア電極197は、第6下開口136に起因する隆起の影響を受けずに、第2上パッド部147に適切に接続される。
【0130】
第1〜第7ビア電極191〜197は、第1〜第7貫通ホール181〜187の内壁側からこの順に積層されたTi層198およびCu層199を含む積層構造を有している。Ti層198は、第1〜第7貫通ホール181〜187の内壁に沿って膜状に形成されている。Ti層198は、第1〜第7貫通ホール181〜187内においてリセス空間を区画している。
【0131】
Cu層199は、第1〜第7貫通ホール181〜187内においてTi層198によって区画されたリセス空間に埋設されている。Cu層199の厚さは、Ti層198の厚さを超えている。Ti層198の厚さは、0.01μm以上0.5μm以下であってもよい。Ti層198の厚さは、0.1μm以上0.2μm以下であることが好ましい。
図5および
図11を参照して、第2有機絶縁層14Bは、さらに、第1コイルホール201および第2コイルホール202を含む。第1コイルホール201は、第2有機絶縁層14Bを貫通し、第1有機絶縁層14Aを露出させている。第1コイルホール201は、第1内側末端ホール203、第1外側末端ホール204、ならびに、第1内側末端ホール203および第1外側末端ホール204の間に引き回された第1螺旋ホール205を一体的に含む。
【0132】
第1内側末端ホール203は、平面視において第1基板側壁74A側に位置している。第1内側末端ホール203は、第1上ビアホール171に連通している。第1外側末端ホール204は、平面視において第2基板側壁74B側に位置している。第1外側末端ホール204は、この形態では、平面視において第1基板主面72の中央部に位置している。第1外側末端ホール204は、第2上ビアホール172に連通している。第1螺旋ホール205は、第1内側末端ホール203から第1外側末端ホール204に向けて外巻きに巻回されている。
【0133】
第2コイルホール202は、第2有機絶縁層14Bを貫通し、第1有機絶縁層14Aを露出させている。第2コイルホール202は、第2内側末端ホール206、第2外側末端ホール207、ならびに、第2内側末端ホール206および第2外側末端ホール207の間に引き回された第2螺旋ホール208を一体的に含む。
第2内側末端ホール206は、平面視において第2基板側壁74B側に位置している。第2内側末端ホール206は、第3上ビアホール173に連通している。第2外側末端ホール207は、平面視において第1基板側壁74A側に位置している。第2外側末端ホール207は、この形態では、平面視において第1基板主面72の中央部に位置している。第2外側末端ホール207は、第2上ビアホール172に連通している。第2外側末端ホール207は、さらに、第1コイルホール201の第1外側末端ホール204に連通している。第2螺旋ホール208は、第2内側末端ホール206から第2外側末端ホール207に向けて外巻きに巻回されている。
【0134】
第1コイルホール201は、平面視において第1下電極21および第1上電極31(第1キャパシタC1)を取り囲むように巻回されている。これにより、第1下電極21および第1上電極31(第1キャパシタC1)は、平面視において第1コイルホール201の内周縁によって取り囲まれた領域に形成されている。第1コイルホール201は、平面視において第1〜第2ダミー電極121〜122に重なっている。
【0135】
第2コイルホール202は、平面視において第5下電極25および第5上電極35(第5キャパシタC5)を取り囲むように巻回されている。これにより、第5下電極25および第5上電極35(第5キャパシタC5)は、平面視において第1コイルホール201の内周縁によって取り囲まれた領域に形成されている。第2コイルホール202は、平面視において第3〜第4ダミー電極123〜124に重なっている。
【0136】
第2コイルホール202は、さらに、平面視において第1コイルホール201との連通部が第3下電極23および第3上電極33(第3キャパシタC3)の上に位置するように巻回されている。これにより、第3下電極23および第3上電極33(第3キャパシタC3)は、平面視において第1コイルホール201(第1螺旋ホール205)および第2コイルホール202(第2螺旋ホール208)の間の領域に形成されている。
【0137】
第1〜第2コイルホール202〜202の幅は、5μm以上40μm以下であってもよい。第1〜第2コイルホール202〜202の幅は、5μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、または、30μm以上40μm以下であってもよい。第1〜第2コイルホール202〜202の幅は、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0138】
第1コイル導体41は、第1コイルホール201に埋設されている。第1コイル導体41の第1内側末端43は、第1コイルホール201の第1内側末端ホール203内に位置している。第1コイル導体41の第1外側末端44は、第1コイルホール201の第1外側末端ホール204内に位置している。第1コイル導体41の第1螺旋部45は、第1コイルホール201の第1螺旋ホール205内に位置している。
【0139】
第1コイル導体41の第1内側末端43は、第1内側末端ホール203および第1上ビアホール171の連通部において、第1ビア電極191に電気的に接続されている。これにより、第1コイル導体41の第1内側末端43は、第1ビア電極191を介して第1上電極31に電気的に接続されている。
第1コイル導体41の第1外側末端44は、第1外側末端ホール204および第2上ビアホール172の連通部において、第2ビア電極192に電気的に接続されている。これにより、第1コイル導体41の第1外側末端44は、第2ビア電極192を介して第3上電極33に電気的に接続されている。
【0140】
第2コイル導体42は、第2コイルホール202に埋設されている。第2コイル導体42の第2内側末端46は、第2コイルホール202の第2内側末端ホール206内に位置している。第2コイル導体42の第2外側末端47は、第2コイルホール202の第2外側末端ホール207内に位置している。第2コイル導体42の第2螺旋部48は、第2コイルホール202の第2螺旋ホール208内に位置している。
【0141】
第2コイル導体42の第2内側末端46は、第2内側末端ホール206および第3上ビアホール173の連通部において、第3ビア電極193に電気的に接続されている。これにより、第2コイル導体42の第2内側末端46は、第3ビア電極193を介して第5上電極35に電気的に接続されている。
第2コイル導体42の第2外側末端47は、第2外側末端ホール207および第2上ビアホール172の連通部において、第2ビア電極192に電気的に接続されている。これにより、第2コイル導体42の第2外側末端47は、第2ビア電極192を介して第3上電極33に電気的に接続されている。
【0142】
また、第2コイル導体42の第2外側末端47は、第1外側末端ホール204および第2外側末端ホール207の連通部において、第1コイル導体41の第1外側末端44に電気的に接続されている。第1外側末端44および第2外側末端47の接続部によって、インダクタ接続部7が形成されている。
第1コイル導体41は、平面視において第1下電極21および第1上電極31(第1キャパシタC1)を取り囲むように巻回されている。これにより、第1下電極21および第1上電極31(第1キャパシタC1)は、平面視において第1コイル導体41の内周縁によって取り囲まれた領域に形成されている。第1コイル導体41は、平面視において第1〜第2ダミー電極121〜122に重なっている。
【0143】
第2コイル導体42は、平面視において第5下電極25および第5上電極35(第5キャパシタC5)を取り囲むように巻回されている。これにより、第5下電極25および第5上電極35(第5キャパシタC5)は、平面視において第1コイル導体41の内周縁によって取り囲まれた領域に形成されている。第2コイル導体42は、平面視において第3〜第4ダミー電極123〜124に重なっている。
【0144】
第1〜第2コイル導体41〜42は、さらに、平面視においてインダクタ接続部7が第3下電極23および第3上電極33の上に位置するように巻回されている。これにより、第3下電極23および第3上電極33(第3キャパシタC3)は、平面視において第1コイル導体41(第1螺旋部45)および第2コイル導体42(第2螺旋部48)の間の領域に形成されている。
【0145】
第1〜第2コイル導体41〜42は、第2有機絶縁層14Bの厚さに対応した厚さを有している。つまり、第1〜第2コイル導体41〜42の厚さは、10μm以上200μm以下であってもよい。第1〜第2コイル導体41〜42の厚さは、20μm以上70μm以下であることが好ましい。第1〜第2コイル導体41〜42は、無機絶縁層13の厚さT2(0.3μm以上12μm以下)を超える厚さを有していることが特に好ましい。
【0146】
第1〜第2コイル導体41〜42のライン幅は、5μm以上40μm以下であってもよい。第1〜第2コイル導体41〜42のライン幅は、第1〜第2コイル導体41〜42が延びる方向に直交する方向の幅である。第1〜第2コイル導体41〜42のライン幅は、5μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、または、30μm以上40μm以下であってもよい。第1〜第2コイル導体41〜42のライン幅は、5μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0147】
第1〜第2コイル導体41〜42のアスペクト比は、1以上5以下であることが好ましい。第1〜第2コイル導体41〜42のアスペクト比は、第1〜第2コイル導体41〜42のライン幅に対する第1〜第2コイル導体41〜42の厚さの比である。第1〜第2コイル導体41〜42のアスペクト比は、1以上2以下、2以上3以下、3以上4以下、または、4以上5以下であってもよい。
【0148】
第1〜第2コイル導体41〜42は、第1〜第2コイルホール201〜202の内壁側からこの順に積層されたTi層209およびCu層210を含む積層構造を有している。Ti層209は、第1〜第2コイルホール201〜202の内壁に沿って膜状に形成されている。Ti層209は、第1〜第2コイルホール201〜202内においてリセス空間を区画している。Ti層209は、第1〜第7ビア電極191〜197のTi層198と一体的に形成されている。
【0149】
Cu層210は、第1〜第2コイルホール201〜202内においてTi層209によって区画されたリセス空間に埋設されている。Cu層210は、第1〜第7ビア電極191〜197のCu層199と一体的に形成されている。Cu層210の厚さは、Ti層209の厚さを超えている。Ti層209の厚さは、0.01μm以上0.5μm以下であってもよい。Ti層209の厚さは、0.1μm以上0.2μm以下であることが好ましい。Ti層209の厚さは、第1〜第7ビア電極191〜197のTi層198の厚さと等しいことが好ましい。
【0150】
図5および
図12を参照して、第3有機絶縁層14Cは、第2有機絶縁層14Bの上に形成されている。第3有機絶縁層14Cは、第1〜第2コイル導体41〜42を一括して被覆している。第3有機絶縁層14Cは、第1最上ビアホール211、第2最上ビアホール212、第3最上ビアホール213、第4最上ビアホール214、第5最上ビアホール215および第6最上ビアホール216を含む。
【0151】
第1〜第6最上ビアホール211〜216の個数は第1〜第7上ビアホール171〜177(第2上ビアホール172を除く)の個数に応じて調整される。この形態では、2つの第1最上ビアホール211、2つの第2最上ビアホール212、1つの第3最上ビアホール213、1つの第4最上ビアホール214、1つの第5最上ビアホール215および1つの第6最上ビアホール216が形成されている。
【0152】
第1最上ビアホール211は、第1上ビアホール171に連通し、第1ビア電極191を露出させている。第2最上ビアホール212は、第3上ビアホール173に連通し、第3ビア電極193を露出させている。
第3最上ビアホール213は、第4上ビアホール174に連通し、第4ビア電極194を露出させている。第4最上ビアホール214は、第5上ビアホール175に連通し、第5ビア電極195を露出させている。第5最上ビアホール215は、第6上ビアホール176に連通し、第6ビア電極196を露出させている。第6最上ビアホール216は、第7上ビアホール177に連通し、第7ビア電極197を露出させている。
【0153】
第1〜第6最上ビアホール211〜216は、平面視において円形状にそれぞれ形成されている。第1〜第6最上ビアホール211〜216の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第1〜第6最上ビアホール211〜216の幅は、5μm以上50μm以下であってもよい。
第1〜第6最上ビアホール211〜216の幅は、5μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。第1〜第6最上ビアホール211〜216の幅は、第1〜第7上ビアホール171〜177の幅を超えていることが好ましい。
【0154】
図5および
図13を参照して、複数の外部端子2〜5(第1入出力端子2、第2入出力端子3、第1基準端子4および第2基準端子5)は、第3有機絶縁層14C(第1チップ主面62)から露出している。複数の外部端子2〜5は、より具体的には、第3有機絶縁層14Cの上に形成されている。複数の外部端子2〜5は、さらに具体的には、第3有機絶縁層14C(第1チップ主面62)から突出するように第3有機絶縁層14Cの上に形成されている。
【0155】
第1入出力端子2は、平面視において第1基板側壁74A側の領域に配置されている。第1入出力端子2は、この形態では、平面視において一部が第2基板側壁74B側に向かって突出したT字形状に形成されている。第1入出力端子2の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第1入出力端子2は、平面視において四角形状に形成されていてもよい。
【0156】
第1入出力端子2は、第3有機絶縁層14Cの上から第1最上ビアホール211に入り込んでいる。第1入出力端子2は、第1最上ビアホール211内において第1ビア電極191に電気的に接続されている。これにより、第1入出力端子2は、第1ビア電極191を介して、第1コイル導体41の第1内側末端43、第1上電極31および第2下電極22に電気的に接続されている。
【0157】
第2入出力端子3は、平面視において第2基板側壁74B側の領域に配置されている。第2入出力端子3は、この形態では、平面視において一部が第1基板側壁74A側に向かって突出したT字形状に形成されている。第2入出力端子3の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。第2入出力端子3は、平面視において四角形状に形成されていてもよい。
【0158】
第2入出力端子3は、第3有機絶縁層14Cの上から第2最上ビアホール212に入り込んでいる。第2入出力端子3は、第2最上ビアホール212内において第3ビア電極193に電気的に接続されている。これにより、第2入出力端子3は、第3ビア電極193を介して、第2コイル導体42の第2内側末端46、第5上電極35および第4下電極24に電気的に接続されている。
【0159】
第1基準端子4は、平面視において第3基板側壁74C側の領域に配置されている。第1基準端子4は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第1基準端子4の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
第1基準端子4は、第3有機絶縁層14Cの上から第3最上ビアホール213および第4最上ビアホール214に入り込んでいる。第1基準端子4は、第3最上ビアホール213内において第4ビア電極194に電気的に接続され、第4最上ビアホール214内において第5ビア電極195に電気的に接続されている。
【0160】
これにより、第1基準端子4は、第4ビア電極194を介して、第1上接続電極141、第1下接続電極101および第1下電極21に電気的に接続されている。また、第1基準端子4は、第5ビア電極195を介して、第2上接続電極142、第3下接続電極103および第3下電極23に電気的に接続されている。
第2基準端子5は、平面視において第4基板側壁74D側の配置に形成されている。第2基準端子5は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。第2基準端子5の平面形状は任意であり、特定の形態に限定されない。
【0161】
第2基準端子5は、第3有機絶縁層14Cの上から第5最上ビアホール215および第6最上ビアホール216に入り込んでいる。第2基準端子5は、第5最上ビアホール215内において第6ビア電極196に電気的に接続され、第6最上ビアホール216内において第7ビア電極197に電気的に接続されている。
これにより、第2基準端子5は、第6ビア電極196を介して、第3上接続電極143、第4下接続電極104および第3下電極23に電気的に接続されている。また、第2基準端子5は、第7ビア電極197を介して、第4上接続電極144、第5下接続電極105および第5下電極25に電気的に接続されている。
【0162】
複数の外部端子2〜5は、有機絶縁層14側からこの順に積層されたTi層217およびCu層218をそれぞれ含む。Ti層217は、第3有機絶縁層14C(第1有機主面92)の上から第1〜第6最上ビアホール211〜216に入り込んでいる。Ti層217は、第3有機絶縁層14C(第1有機主面92)および第1〜第6最上ビアホール211〜216の内壁に沿って膜状に形成されている。Ti層217は、第1〜第6最上ビアホール211〜216内においてリセス空間を区画している。
【0163】
Cu層218は、Ti層217を被覆している。Cu層218は、第3有機絶縁層14C(第1有機主面92)の上から第1〜第6最上ビアホール211〜216に入り込んでいる。Cu層218は、第1〜第6最上ビアホール211〜216内においてTi層217によって区画されたリセス空間に埋設されている。Cu層218の厚さは、Ti層217の厚さを超えている。Ti層217の厚さは、0.01μm以上0.5μm以下であってもよい。Ti層217の厚さは、0.1μm以上0.2μm以下であることが好ましい。
【0164】
複数の外部端子2〜5は、この形態では、Cu層218の外面を被覆する外面電極219をそれぞれ含む。外面電極219は、Cu層218とは異なる導電材料を含む。外面電極219は、Cu層218側からこの順に積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む積層構造を有していてもよい。外面電極219は、有機絶縁層14の第1有機主面92に接していてもよい。外面電極219は、有機側壁94A〜94Dに接していてもよい。
【0165】
前述の第1配線51(
図2参照)は、第1ビア電極191によって形成されている。前述の第2配線52(
図2参照)は、第2ビア電極192によって形成されている。前述の第3配線53(
図2参照)は、第3ビア電極193によって形成されている。
前述の第4配線54(
図2参照)は、第4ビア電極194、第5ビア電極195、第1下接続電極101、第3下接続電極103、第1上接続電極141および第2上接続電極142によって形成されている。
【0166】
前述の第5配線55(
図2参照)は、第6ビア電極196、第7ビア電極197、第4下接続電極104、第5下接続電極105、第3上接続電極143および第4上接続電極144によって形成されている。
以上、チップ部品1は、基板12、無機絶縁層13、有機絶縁層14およびLC回路6を含む。無機絶縁層13は、基板12の上に形成されている。有機絶縁層14は、無機絶縁層13の上に形成されている。LC回路6は、無機絶縁層13内に形成された第1〜第5キャパシタC1〜C5、および、有機絶縁層14内に形成された第1〜第2インダクタL2を含む。このような構造によれば、優れたLC特性を実現できる。
【0167】
より具体的には、無機絶縁層13は、有機絶縁層14の比誘電率を超える比誘電率を有している。また、無機絶縁層13は、有機絶縁層14と比較して薄膜性の点において優れている。したがって、無機絶縁層13内に第1〜第5キャパシタC1〜C5を形成することによって、薄膜でありながら優れた容量値を実現できる。
この一方で、有機絶縁層14内には、厚いコイル導体40を形成できる。一例として、無機絶縁層13の厚さT2(0.3μm以上12μm以下)を超える厚さ(10μm以上200μm以下)を有する第1〜第2インダクタL1〜L2を形成できる。これにより、第1〜第2インダクタL1〜L2の寄生抵抗を抑制できる。また、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5の間の寄生容量を有機絶縁層14によって低減できる。
【0168】
また、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5は、基板12の上に積層した無機絶縁層13および有機絶縁層14に作りこまれる。これにより、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5の間の配線距離を短縮できるから、配線抵抗を低減できる。
よって、チップ部品1によれば、LC回路6のQ値を向上できるから、優れたLC特性を実現できる。また、第1〜第2インダクタL1〜L2および第1〜第5キャパシタC1〜C5の3次元積層構造によって、チップサイズの2次元的な大型化を抑制できる。よって、チップ部品1を小型化できる。
【0169】
図14A〜
図14Yは、
図3に示すチップ部品1の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図14Aを参照して、基板12のベースになるベース基板221が用意される。ベース基板221は、四角形状または円形状の板状部材からなる。ベース基板221は、一方側の第1ベース主面222および他方側の第2ベース主面223を有している。第1ベース主面222および第2ベース主面223は、基板12の第1基板主面72および第2基板主面73にそれぞれ対応している。
【0170】
次に、チップ部品1にそれぞれ対応した複数のチップ領域224、および、複数のチップ領域224を区画するダイシング領域225が、ベース基板221に設定される。複数のチップ領域224は、第1方向Xおよび第2方向Yに間隔を空けて行列状に設定されてもよい。ダイシング領域225は、第1方向Xおよび第2方向Yに延びる格子状に設定されてもよい。
【0171】
次に、第1無機絶縁層13Aのベースとなる第1ベース無機絶縁層226が、第1ベース主面222の上に形成される。第1ベース無機絶縁層226は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる。第1ベース無機絶縁層226は、この形態では、酸化シリコン層からなる。第1ベース無機絶縁層226は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成されてもよい。
【0172】
次に、
図14Bを参照して、第1〜第5下電極21〜25、第1〜第6下接続電極101〜106および第1〜第4ダミー電極121〜124のベースとなるベース下電極227が、第1ベース無機絶縁層226の上に形成される。ベース下電極227は、第1ベース無機絶縁層226側からこの順に積層されたAl層およびTiN層を含む積層構造を有している。Al層およびTiN層は、スパッタ法および/または蒸着法によって形成されてもよい。
【0173】
次に、
図14Cを参照して、所定パターンを有する第1マスク228が、ベース下電極227の上に形成される。第1マスク228は、ベース下電極227において第1〜第5下電極21〜25、第1〜第6下接続電極101〜106および第1〜第4ダミー電極121〜124となる領域を被覆し、それら以外の領域を露出させている。
次に、ベース下電極227の不要な部分が、第1マスク228を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法の一例としてのRIE(Reactive Ion Etching)法であることが好ましい。これにより、ベース下電極227が、第1〜第5下電極21〜25、第1〜第6下接続電極101〜106および第1〜第4ダミー電極121〜124に分割される。第1マスク228は、その後、除去される。
【0174】
ベース下電極227の上に存する電極の平面積は、第1〜第4ダミー電極121〜124によって増加される。第1〜第4ダミー電極121〜124は、ベース下電極227のエッチング工程に起因して第1〜第5下電極21〜25および第1〜第6下接続電極101〜106に生じるガルバニック腐食を抑制する。これにより、第1〜第5下電極21〜25および第1〜第6下接続電極101〜106を適切に形成できるから、所望の容量値を有する第1〜第5キャパシタC1〜C5を適切に形成できる。
【0175】
次に、
図14Dを参照して、第2無機絶縁層13Bのベースとなる第2ベース無機絶縁層229が、第1ベース無機絶縁層226の上に形成される。第2ベース無機絶縁層229は、第1〜第5下電極21〜25、第1〜第6下接続電極101〜106および第1〜第4ダミー電極121〜124を一括して被覆する。第2ベース無機絶縁層229は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる。第2ベース無機絶縁層229は、この形態では、窒化シリコン層からなる。第2ベース無機絶縁層229は、CVD法によって形成されてもよい。
【0176】
次に、
図14Eを参照して、所定パターンを有する第2マスク230が、第2ベース無機絶縁層229の上に形成される。第2マスク230は、第2ベース無機絶縁層229において第1〜第6下開口131〜136を形成すべき領域、および、ダイシング領域225を被覆する部分を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
次に、第2ベース無機絶縁層229の不要な部分が、第2マスク230を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法の一例としてのCDE(Chemical Dry Etching)法であることが好ましい。これにより、第2ベース無機絶縁層229が、複数の第2無機絶縁層13Bに分割される。
【0177】
また、第1〜第6下開口131〜136が、各第2無機絶縁層13Bに形成される。複数の第2無機絶縁層13Bは、ダイシング領域225において第1ベース無機絶縁層226を露出させるダイシングストリートを区画する。第2マスク230は、その後、除去される。
次に、
図14Fを参照して、第1〜第5上電極31〜35および第1〜第4上接続電極141〜144のベースとなるベース上電極231が、第1ベース無機絶縁層226および第2ベース無機絶縁層229(複数の第2無機絶縁層13B)の上に形成される。ベース上電極231は、Al層からなる単層構造を有している。Al層は、スパッタ法および/または蒸着法によって形成されてもよい。
【0178】
次に、
図14Gを参照して、所定パターンを有する第3マスク232が、ベース上電極231の上に形成される。第3マスク232は、ベース上電極231において第1〜第5上電極31〜35および第1〜第4上接続電極141〜144となる領域を被覆し、それら以外の領域を露出させている。
次に、ベース上電極231の不要な部分が、第3マスク232を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法であることが好ましい。これにより、ベース上電極231が、第1〜第5上電極31〜35および第1〜第4上接続電極141〜144に分割される。第3マスク232は、その後、除去される。
【0179】
次に、
図14Hを参照して、第3無機絶縁層13Cのベースとなる第3ベース無機絶縁層233が、第1ベース無機絶縁層226および第2ベース無機絶縁層229(複数の第2無機絶縁層13B)の上に形成される。第3ベース無機絶縁層233は、第1〜第5上電極31〜35および第1〜第4上接続電極141〜144を一括して被覆する。第3ベース無機絶縁層233は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる。第3ベース無機絶縁層233は、この形態では、窒化シリコン層からなる。第3無機絶縁層13Cは、CVD法によって形成されてもよい。
【0180】
次に、
図14Iを参照して、所定パターンを有する第4マスク234が、第3ベース無機絶縁層233の上に形成される。第4マスク234は、第3ベース無機絶縁層233において第1〜第7上開口151〜157を形成すべき領域、および、ダイシング領域225を被覆する部分を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
次に、第3ベース無機絶縁層233の不要な部分が、第4マスク234を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法の一例としてのCDE法であることが好ましい。これにより、第3ベース無機絶縁層233が、複数の第3無機絶縁層13Cに分割され、各チップ領域224の上に無機絶縁層13が形成される。
【0181】
また、第1〜第7上開口151〜157が、各第3無機絶縁層13Cに形成される。複数の第3無機絶縁層13Cは、ダイシング領域225において第1ベース無機絶縁層226を露出させるダイシングストリートを区画する。第4マスク234は、その後、除去される。
次に、
図14Jを参照して、所定パターンを有する第5マスク235が、第3ベース無機絶縁層233(複数の第3無機絶縁層13C)の上に形成される。第5マスク235は、ダイシングストリートを露出させ、それ以外の領域を被覆している。
【0182】
次に、第1ベース無機絶縁層226において第5マスク235(ダイシングストリート)から露出する部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法の一例としてのRIE法であることが好ましい。これにより、第1ベース無機絶縁層226が、複数の第1無機絶縁層13Aに分割される。また、第5マスク235(ダイシングストリート)から第1ベース主面222が露出する。
【0183】
次に、第1ベース主面222において第5マスク235(ダイシングストリート)から露出する部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法であることが好ましい。これにより、平面視において格子状のチップ溝236が、複数のチップ領域224を区画するように第1ベース主面222に形成される。第5マスク235は、その後、除去される。
【0184】
次に、
図14Kを参照して、第1有機絶縁層14Aのベースとなる第1ベース有機絶縁層237が、第3ベース無機絶縁層233(複数の第3無機絶縁層13C)の上に形成される。第1ベース有機絶縁層237は、感光性樹脂の一例としてのエポキシ樹脂を含む。第1ベース有機絶縁層237は、エポキシ樹脂からなるドライフィルムレジストを第3ベース無機絶縁層233に貼着することによって形成される。
【0185】
次に、
図14Lを参照して、第1ベース有機絶縁層237が、第1〜第7下ビアホール161〜167およびダイシング領域225に対応したパターンで露光された後、現像される。これにより、第1ベース有機絶縁層237が、複数の第1有機絶縁層14Aに分割される。
また、第1〜第7下ビアホール161〜167が、各第1有機絶縁層14Aに形成される。複数の第1有機絶縁層14Aは、ダイシング領域225においてチップ溝236を露出させるダイシングストリートを区画する。
【0186】
次に、
図14Mを参照して、第2有機絶縁層14Bのベースとなる第2ベース有機絶縁層238が、第1ベース有機絶縁層237(複数の第1有機絶縁層14A)の上に形成される。第2ベース有機絶縁層238は、感光性樹脂の一例としてのエポキシ樹脂を含む。第2ベース有機絶縁層238は、エポキシ樹脂からなるドライフィルムレジストを第1ベース有機絶縁層237に貼着することによって形成される。
【0187】
次に、
図14Nを参照して、第2ベース有機絶縁層238が、第1〜第7上ビアホール171〜177、第1〜第2コイルホール201〜202およびダイシング領域225に対応したパターンで露光された後、現像される。これにより、第2ベース有機絶縁層238が、複数の第2有機絶縁層14Bに分割される。
また、第1〜第7上ビアホール171〜177および第1〜第2コイルホール201〜202が、各第2有機絶縁層14Bに形成される。複数の第2有機絶縁層14Bは、ダイシング領域225においてチップ溝236を露出させるダイシングストリートを区画する。
【0188】
次に、
図14Oを参照して、シード層239が、第2ベース有機絶縁層238(複数の第2有機絶縁層14B)の上に形成される。シード層239は、第1ベース主面222側の構造物を一括して被覆する。シード層239は、第1〜第7上ビアホール171〜177の内壁、第1〜第2コイルホール201〜202内壁、チップ溝236の内壁、第1ベース有機絶縁層237の外面および第2ベース有機絶縁層238の外面に沿って膜状に形成される。
【0189】
シード層239は、Tiシード層およびCuシード層を含む積層構造を有している。Tiシード層は、第1〜第7ビア電極191〜197のTi層198および第1〜第2コイル導体41〜42のTi層209のベースとなる。Cuシード層は、第1〜第7ビア電極191〜197のCu層199および第1〜第2コイル導体41〜42のCu層210のベースとなる。Tiシード層およびCuシード層は、スパッタ法および/または蒸着法によって形成されてもよい。
【0190】
次に、
図14Pを参照して、所定パターンを有する第6マスク240が、第1ベース主面222の上に形成される。第6マスク240は、第2ベース有機絶縁層238において複数のチップ領域224を被覆する部分を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
次に、Cu層241が、Cuめっき法によって第6マスク240から露出するシード層239の上に形成される。Cu層241は、第1〜第7ビア電極191〜197のCu層199および第1〜第2コイル導体41〜42のCu層210のベースとなる。第6マスク240は、その後、除去される。
【0191】
次に、
図14Qを参照して、Cu層241の不要な部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。Cu層241は、シード層239が露出するまで除去される。
次に、
図14Rを参照して、Cu層241から露出するシード層239が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。シード層239は、第2ベース有機絶縁層238が露出するまで除去される。これにより、第1〜第7ビア電極191〜197および第1〜第2コイル導体41〜42が形成される。
【0192】
次に、
図14Sを参照して、第3有機絶縁層14Cのベースとなる第3ベース有機絶縁層242が、第2ベース有機絶縁層238(複数の第2有機絶縁層14B)の上に形成される。第3ベース有機絶縁層242は、感光性樹脂の一例としてのエポキシ樹脂を含む。第3ベース有機絶縁層242は、エポキシ樹脂からなるドライフィルムレジストを第2ベース有機絶縁層238に貼着することによって形成される。
【0193】
次に、
図14Tを参照して、第3ベース有機絶縁層242が、第1〜第6最上ビアホール211〜216およびダイシング領域225に対応したパターンで露光された後、現像される。これにより、第3ベース有機絶縁層242が、複数の第3有機絶縁層14Cに分割され、各チップ領域224の上に有機絶縁層14が形成される。
また、第1〜第6最上ビアホール211〜216が、各第3有機絶縁層14Cに形成される。複数の第3有機絶縁層14Cは、ダイシング領域225においてチップ溝236を露出させるダイシングストリートを区画する。
【0194】
次に、
図14Uを参照して、シード層243が、第3ベース有機絶縁層242(複数の第3有機絶縁層14C)の上に形成される。シード層243は、第1ベース主面222側の構造物を一括して被覆する。シード層243は、第1〜第6最上ビアホール211〜216の内壁、チップ溝236の内壁、第1〜第3ベース無機絶縁層226,229,233の外面および第1〜第3ベース有機絶縁層237,238,242の外面に沿って膜状に形成される。
【0195】
シード層243は、Tiシード層およびCuシード層を含む積層構造を有している。Tiシード層は、複数の外部端子2〜5のTi層217のベースとなる。Cuシード層は、複数の外部端子2〜5のCu層218のベースとなる。Tiシード層およびCuシード層は、スパッタ法および/または蒸着法によって形成されてもよい。
次に、
図14Vを参照して、所定パターンを有する第7マスク244が、第1ベース主面222の上に形成される。第7マスク244は、複数の外部端子2〜5を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
【0196】
次に、Cu層245が、Cuめっき法によって第7マスク244から露出するシード層243の上に形成される。Cu層245は、複数の外部端子2〜5のCu層218のベースとなる。第7マスク244は、その後、除去される。
次に、
図14Wを参照して、Cu層245から露出するシード層243が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。シード層243は、第3ベース有機絶縁層242が露出するまで除去される。
【0197】
次に、
図14Xを参照して、複数の外面電極219が、複数のCu層245の上にそれぞれ形成される。各外面電極219は、各Cu層245側からこの順に積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む積層構造を有している。Ni層、Pd層およびAu層は、無電解めっき法によってそれぞれ形成されてもよい。
次に、
図14Yを参照して、ベース基板221を支持するテープ246が、第1ベース主面222側の構造物に貼着される。次に、ベース基板221の第2ベース主面223が研削される。第2ベース主面223は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研削されてもよい。第2ベース主面223は、チップ溝236に連通するまで研削される。
【0198】
これにより、ベース基板221が複数の基板12に分割され、1枚のベース基板221から複数のチップ部品1が切り出される。第2ベース主面223の研削工程は、第2ベース主面223がチップ溝236に連通した後も継続されてもよい。つまり、第2ベース主面223の研削工程は、ベース基板221(基板12)を所望の厚さになるまで薄化する工程を含んでいてもよい。以上を含む工程を経て、チップ部品1が製造される。
【0199】
本発明は他の形態で実施することもできる。
前述の実施形態では、有機絶縁層14の有機側壁94A〜94Dが、無機絶縁層13の第1〜第4無機側壁84A〜84Dに連なっている例について説明した。しかし、有機絶縁層14の第1〜第4有機側壁94A〜94Dは、無機絶縁層13の無機側壁84A〜84Dを被覆していてもよい。
【0200】
この場合、無機絶縁層13は、基板12の第1基板主面72の周縁部を露出させるように第1〜第4基板側壁74A〜74Dから内方に間隔を空けて第1基板主面72の上に形成されていてもよい。さらにこの場合、有機絶縁層14の一部は、第1基板主面72に接していていてもよい。
前述の実施形態では、第1無機絶縁層13Aの上に複数のダミー電極121〜124が形成され、第2無機絶縁層13Bの上に複数のダミー電極121〜124が形成されていない例について説明した。しかし、第2無機絶縁層13Bの上にも複数のダミー電極121〜124が同様の態様で形成されてもよい。
【0201】
前述の実施形態において、シリコン基板、SiC基板、ダイアモンド基板または化合物半導体基板からなる基板12が採用されてもよい。基板12がシリコン基板、SiC基板または化合物半導体基板からなる場合、ベース基板221としてインゴットから切り出された円板状のウエハが使用される。この場合、所謂ウエハレベルチップサイズパッケージからなるチップ部品1が製造される。
【0202】
基板12がシリコン基板またはSiC基板からなる場合、第1無機絶縁層13A(第1ベース無機絶縁層226)は、CVD法に代えて熱酸化処理法によってベース基板221の第1ベース主面222(基板12の第1基板主面72)の上に形成することもできる。
前述の各実施形態において、基板12は、絶縁基板であってもよい。絶縁基板は、ガラス基板、セラミック基板または樹脂基板であってもよい。この場合、第1無機絶縁層13Aは、除かれてもよい。
【0203】
前述の実施形態では、エプリティックフィルタ回路を含むLC回路6が形成された例について説明した。しかし、LC回路6は、外部端子2〜5、第1〜第5キャパシタC1〜C2、第1〜第2インダクタL1〜L2等の有無、接続態様等を調整することによって、第1〜第2インダクタL1〜L2のうちの少なくとも1つ、および、第1〜第5キャパシタC1〜C5のうちの少なくとも1を含む種々の形態を採り得る。以下、
図15〜
図25を参照して、LC回路6の他の形態例を示す。
【0204】
図15は、第2形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図15を参照して、LC回路6は、L型フィルタ回路を含む。L型フィルタ回路は、第1インダクタL1および第1キャパシタC1を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2および第2入出力端子3に接続されている。第1キャパシタC1は、第1入出力端子2および第2基準端子5に接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
【0205】
図16は、第3形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図16を参照して、LC回路6は、L型フィルタ回路を含む。L型フィルタ回路は、第1インダクタL1、第1キャパシタC1および第2キャパシタC2を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2および第2入出力端子3に接続されている。第1キャパシタC1は、第1入出力端子2および第2基準端子5に接続されている。第2キャパシタC2は、第1インダクタL1に並列接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
【0206】
図17は、第4形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図17を参照して、LC回路6は、T型フィルタ回路を含む。T型フィルタ回路は、第1インダクタL1、第2インダクタL2および第3キャパシタC3を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2に接続されている。第2インダクタL2は、第1インダクタL1および第2入出力端子3に接続されている。第3キャパシタC3は、インダクタ接続部7および第2基準端子5に接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
【0207】
図18は、第5形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図18を参照して、LC回路6は、T型フィルタ回路を含む。T型フィルタ回路は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第2キャパシタC2、第3キャパシタC3および第4キャパシタC4を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2に接続されている。第2インダクタL2は、第1インダクタL1および第2入出力端子3に接続されている。
【0208】
第2キャパシタC2は、第1インダクタL1に並列接続されている。第3キャパシタC3は、インダクタ接続部7および第2基準端子5に接続されている。第4キャパシタC4は、第2インダクタL2に並列接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
図19は、第6形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0209】
図19を参照して、LC回路6は、π型フィルタ回路を含む。π型フィルタ回路は、第1インダクタL1、第1キャパシタC1および第3キャパシタC3を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2および第2入出力端子3に接続されている。第1キャパシタC1は、第1入出力端子2および第2基準端子5に接続されている。第3キャパシタC3は、第2入出力端子3および第2基準端子5に接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
【0210】
図20は、第7形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図20を参照して、LC回路6は、π型フィルタ回路を含む。π型フィルタ回路は、第1インダクタL1、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2および第3キャパシタC3を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2および第2入出力端子3に接続されている。
【0211】
第1キャパシタC1は、第1入出力端子2および第2基準端子5に接続されている。第2キャパシタC2は、第1インダクタL1に並列接続されている。第3キャパシタC3は、第2入出力端子3および第2基準端子5に接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
図21は、第8形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0212】
図21を参照して、LC回路6は、π型フィルタ回路を含む。π型フィルタ回路は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第1キャパシタC1および第5キャパシタC5を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2に接続されている。第2インダクタL2は、第1インダクタL1および第2入出力端子3に接続されている。
第1キャパシタC1は、第1入出力端子2および第2基準端子5に接続されている。第5キャパシタC5は、第2入出力端子3および第2基準端子5に接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
【0213】
図22は、第9形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図22を参照して、LC回路6は、π型フィルタ回路を含む。π型フィルタ回路は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2、第4キャパシタC4および第5キャパシタC5を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2に接続されている。第2インダクタL2は、第1インダクタL1および第2入出力端子3に接続されている。
【0214】
第1キャパシタC1は、第1入出力端子2および第2基準端子5に接続されている。第2キャパシタC2は、第1インダクタL1に並列接続されている。第4キャパシタC4は、第2インダクタL2に並列接続されている。第5キャパシタC5は、第2入出力端子3および第2基準端子5に接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
【0215】
図23は、第10形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図23を参照して、LC回路6は、ラダーフィルタ回路を含む。ラダーフィルタ回路は、第1インダクタL1、第2インダクタL2、第1キャパシタC1、第3キャパシタC3および第5キャパシタC5を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2に接続されている。第2インダクタL2は、第1インダクタL1および第2入出力端子3に接続されている。
【0216】
第1キャパシタC1は、第1入出力端子2および第2基準端子5に接続されている。第3キャパシタC3は、インダクタ接続部7および第2基準端子5に接続されている。第5キャパシタC5は、第2入出力端子3および第2基準端子5に接続されている。この形態例では、第1基準端子4が設けられていないが、第1基準端子4が設けられていてもよい。
【0217】
図24は、第11形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図24を参照して、LC回路6は、LC直列共振回路を含む。LC直列共振回路は、第1インダクタL1および第4キャパシタC4を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2に接続されている。第4キャパシタC4は、第1インダクタL1および第2入出力端子3に接続されている。この形態例では、第1基準端子4および第2基準端子5は設けられていない。
【0218】
図25は、第12形態例に係るLC回路6を示す回路図である。以下では、
図1〜
図13において述べた構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図25を参照して、LC回路6は、LC並列共振回路を含む。LC並列共振回路は、第1インダクタL1および第2キャパシタC2を含む。第1インダクタL1は、第1入出力端子2および第2入出力端子3に接続されている。第2キャパシタC2は、第1インダクタL1に並列接続されている。この形態例では、第1基準端子4および第2基準端子5は設けられていない。
【0219】
図15〜
図25に示される形態例は、飽くまでLC回路6の一例である。LC回路6は、
図15〜
図25に示される形態例の他、第1〜第2インダクタL1〜L2のうちの少なくとも1つ、および、第1〜第5キャパシタC1〜C5のうちの少なくとも1が選択的に組み合わされた種々の形態を採り得る。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。