特開2020-205355(P2020-205355A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-205355(P2020-205355A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20201127BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20201127BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20201127BHJP
   G02B 5/23 20060101ALI20201127BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20201127BHJP
   H01L 23/14 20060101ALI20201127BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20201127BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   H01L33/58
   H01L33/62
   H01L33/52
   G02B5/23
   H01L23/12 F
   H01L23/14 M
   H01L23/30 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-112524(P2019-112524)
(22)【出願日】2019年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】下田 陽一
【テーマコード(参考)】
2H148
4M109
5F142
【Fターム(参考)】
2H148DA01
2H148DA05
2H148DA12
4M109AA01
4M109BA03
4M109EA02
4M109EA10
4M109EC11
4M109EE12
4M109GA01
5F142AA81
5F142AA86
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA03
5F142CA13
5F142CB14
5F142CD02
5F142CD34
5F142CD44
5F142CD47
5F142CD50
5F142CE03
5F142CE16
5F142CE18
5F142CE23
5F142CG05
5F142CG24
5F142CG25
5F142CG32
5F142CG42
5F142CG43
5F142CG45
5F142DA02
5F142DA12
5F142DA73
5F142DB30
5F142FA18
5F142FA21
5F142FA31
5F142FA42
5F142FA50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】実装後に容易に光学特性を調節することが可能であり、高品質かつ長寿命な発光装置を提供する。
【解決手段】基板11と、基板上に形成された配線電極12と、基板上に配置され、電極に電気的に接続された発光素子13と、基板上において電極を覆うように形成され、かつ紫外光の照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含む可変光吸収体14と、発光素子を封止するように基板上に形成され、かつ発光素子から放出された光に対して透光性を有する封止体15と、を有する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された電極と、
前記基板上に配置され、前記電極に電気的に接続された発光素子と、
前記基板上において前記電極を覆うように形成され、かつ紫外光の照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含む可変光吸収層と、
前記発光素子を封止するように前記基板上に形成され、かつ前記発光素子から放出された光に対して透光性を有する封止体と、を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記可変光吸収層は、前記基板の上面の端部に至って形成され、かつ側面において外部雰囲気に曝露されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板上において前記発光素子を取り囲むように形成された枠体を有し、
前記可変光吸収層は、前記基板上における前記枠体の内側の領域に形成されており、
前記封止体は、前記基板上において、前記発光素子、前記可変光吸収層及び前記枠体を埋設するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記可変光吸収層の前記複数の金属酸化物粒子は、紫外光の照射によってバンドギャップが変化する特性を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記可変光吸収層は、前記可変光吸収層の上面から所定の深さの領域に形成され、紫外光の照射によって前記発光素子から放出された光に対して吸収性を有する複数の金属酸化物粒子を含む吸収領域を有することを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記可変光吸収層は、前記吸収領域よりも前記基板側に設けられ、前記発光素子から放出された光に対して散乱及び反射性を有する複数の金属酸化物粒子を含む散乱反射領域を有することを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記複数の金属酸化物粒子は、複数の酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子は、支持基板と、前記支持基板に支持されかつ発光層を含む半導体層と、を有し、
前記可変光吸収層は、前記基板上において前記発光素子の前記発光層を越えない高さで形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に形成された複数の電極と、
前記基板上に並置され、前記複数の電極にそれぞれ電気的に接続された複数の発光素子と、
前記基板上において前記複数の電極を覆うように形成され、かつ紫外光の照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含む可変光吸収層と、
前記複数の発光素子を封止するように前記基板上に形成され、かつ前記複数の発光素子から放出された光に対して透光性を有する封止体と、を有することを特徴とする発光装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子は、互いにピーク波長が異なる光を放出することを特徴とする請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記可変光吸収層の前記複数の金属酸化物粒子は、紫外光の照射によって前記複数の発光素子から放出された光の少なくとも一部に対する光吸収特性が変化することを特徴とする請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記基板は、互いに離間して配置された複数の凹部を有し、
前記複数の発光素子は、前記複数の凹部の各々の底部に個別に配置され、
前記可変光吸収層は、前記複数の凹部の各々の底部上に個別に形成され、紫外光の照射によって前記複数の凹部の各々内の発光素子から放出された光に対する吸収特性が変化する複数の個別可変光吸収層を有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1つに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードなどの発光素子を含む発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば発光ダイオードなどの発光素子を含む発光装置が知られている。例えば、特許文献1には、発光素子及び当該発光素子から放出された光を透過させる光透過部材を含む発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-219324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子は、給電されることで発光動作を行う。発光装置には、例えば、発光素子への給電用の電極及び配線が設けられている。また、発光装置には、例えば、発光素子の他、抵抗やコンデンサなどの機能素子などが設けられている。そして、発光装置は、当該種々の素子及び配線が保護及び封止された状態で、当該発光装置を用いる種々の装置及びシステムに取り付けられる。
【0005】
このような発光装置は、屋外で使用されるなどの種々の過酷な環境下で動作する場合でも、劣化しにくいように構成されていることが好ましい。例えば、上記機能素子や電極などは、外部雰囲気に晒された場合でも長期に亘って安定した電気特性や光学特性を維持するように、十分に保護されていることが好ましい。
【0006】
また、発光装置には、用途及び客先によって要求される光学特性、例えば、要求される光出力の範囲が異なる。また、当該要求される光学特性を満たすように装置設計を行った場合でも、製造工程上の許容誤差などの他の要因によって当該光学特性を満たさない個体が作製される場合がある。
【0007】
しかし、発光装置の場合、例えば、実装後、例えば封止後に発光素子や他の機能素子を変更することが困難である場合が多い。従って、例えば、完成品検査において合格範囲から外れた光学特性の発光装置を当該検査後に合格範囲となるように調整すること、また、客先で発光装置の光学特性を変更することが困難である場合が多い。
【0008】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、実装後に容易に光学特性を調節することが可能であり、高品質かつ長寿命な発光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による発光装置は、基板と、基板上に形成された電極と、基板上に配置され、電極に電気的に接続された発光素子と、基板上において電極を覆うように形成され、かつ紫外光の照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含む可変光吸収体と、と、発光素子を封止するように基板上に形成され、かつ発光素子から放出された光に対して透光性を有する封止体と、を有することを特徴としている。
【0010】
また、本発明による発光装置は、基板と、基板上に形成された複数の電極と、基板上に並置され、複数の電極にそれぞれ電気的に接続された複数の発光素子と、基板上において複数の電極を覆うように形成され、かつ紫外光の照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含む可変光吸収層と、複数の発光素子を封止するように基板上に形成され、かつ複数の発光素子から放出された光に対して透光性を有する封止体と、を有することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】実施例1に係る発光装置の上面図である。
図1B】実施例1に係る発光装置の断面図である。
図1C】実施例1に係る発光装置の拡大断面図である。
図1D】実施例1に係る発光装置における可変光吸収体内の粒子の断面図である。
図2A】実施例1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図2B】実施例1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図2C】実施例1に係る発光装置の製造方法を示す図である。
図3】実施例1に係る発光装置における光出力の調整方法を示す図である。
図4A】実施例2に係る発光装置の上面図である。
図4B】実施例2に係る発光装置の断面図である。
図5A】実施例3に係る発光装置の上面図である。
図5B】実施例3に係る発光装置の断面図である。
図6A】実施例4に係る発光装置の上面図である。
図6B】実施例4に係る発光装置の断面図である。
図7】実施例4の変形例に係る発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1Aは、実施例1に係る発光装置10の模式的な上面図である。図1Bは、図1Aの1B−1B線に沿った断面図である。また、図1Cは、図1Bの破線で囲まれた部分Aを拡大して示す拡大断面図である。図1A乃至図1Cを用いて、発光装置10の構成について説明する。
【0014】
発光装置10は、実装用基板(以下、単に基板と称する)11及び基板11上に形成された配線電極12と、基板11上に実装された発光素子13と、を有する。また、発光装置10は、基板11上において電極12を覆うように形成され、かつ発光素子12から放出された光に対する吸収性を変更可能な可変光吸収層14を有する。また、発光装置10は、発光素子12を封止するように基板11上に設けられ、かつ発光素子12から放出された光に対して透光性を有する封止体15を有する。
【0015】
本実施例においては、基板11は、絶縁性を有する板状の基材11Aと、基材11Aの上面及び下面間を貫通するように基材11Aの内部に設けられた第1及び第2の貫通電極11B及び11Cと、を有する。なお、本実施例においては、基材11Aの上面は、基板11における配線電極12及び発光素子13が設けられる表面であり、基板11における発光素子12の実装面である。また、基材11Aの下面は、当該上面とは反対側の表面である。なお、図示していないが、基板11は、基材11Aの下面上に設けられ、外部端子として機能する裏面電極を有する。
【0016】
本実施例においては、配線電極12は、第1の貫通電極11Bに電気的に接続されつつ基板11上に配線された第1の配線電極12Aを有する。また、第2の貫通電極11Cに電気的に接続されつつ基板11上に配線され、第1の配線電極12Aとは絶縁された第2の配線電極12Bを有する。第1及び第2の配線電極12A及び12Bは、例えば、基板11における基材11Aの上面上にパターニングされた銅及び銀のいずれかを含む金属からなる。なお、第1及び第2の配線電極12A及び12Bの表面には、Ni、Ti及びAuなどが形成及び積層されていてもよい。
【0017】
発光素子13は、例えば、発光ダイオードなどの半導体発光素子である。本実施例においては、発光素子13は、支持基板13Aと、支持基板13Aに支持され、発光層を含む半導体層13Bと、を有する。例えば、支持基板13Aは、Si基板からなる。また、例えば、半導体層13Bは、窒化物系半導体からなる。発光素子13は、例えば、420〜470nmの波長の光(以下、青色光と称する場合がある)を放出する。
【0018】
例えば、発光素子13は、支持基板13A、支持基板13Aの上面上に形成された半導体層13B、半導体層13B上に形成された第1の素子電極(図示せず)、及び支持基板13Aの底面上に形成された第2の素子電極(図示せず)を有する。
【0019】
また、本実施例においては、発光素子13の当該第1の素子電極は、例えば金ワイヤなどのボンディングワイヤを介して第1の配線電極12Aに接続されている。また、発光素子13の当該第2の素子電極は、導電性接合部材を介して第2の配線電極12Bに接合及び接続されている。例えば、当該導電性接合部材としては、Auバンプ、Au−Snの合金、Au、Ag又はCuのナノ粒子、Agのペーストなどを用いることができる。
【0020】
なお、発光素子13の構成はこれに限定されない。例えば、発光素子13は、半導体層13Bの結晶成長に用いられる成長基板を有していてもよい。この場合、例えば、発光素子13は、支持基板13Aとしての成長基板、当該成長基板上に成長された半導体層13B、当該半導体層13B上に形成された第1の素子電極及び第2の素子電極を有する。また、この場合、発光素子13は、成長基板が基板11に接合されることで基板11に固定される。また、第1及び第2の素子電極は、ボンディングワイヤを介して基板11の第1及び第2の配線電極12A及び12Bに接続される。
【0021】
また、発光素子13の他の構成としては、半導体層13Bが基板11の実装面に載置されていてもよい。この場合、発光素子13は、半導体層13B上に形成された第1及び第2の素子電極を有する。また、発光素子13の第1及び第2の素子電極は、導電性接合部材を介して基板11に接合される(フリップチップ接合ともいう)。この場合、基板11上には半導体層13Bが配置され、半導体層13B上に透光性の支持基板13A又は半導体層13Bの結晶成長に用いられる成長基板が配置されることとなる。
【0022】
また、本実施例においては、発光素子13は、基板11における発光素子13の実装面に垂直な方向から見たときに矩形(本実施例においては正方形)の上面形状を有する場合について説明する。しかし、発光素子13の上面形状は、矩形に限定されず、例えば円形状、楕円形状及び長方形状など、種々の形状であってもよい。本実施例においては、発光素子13の上面(例えば半導体層13B又は支持基板13Aにおける基板11とは反対側の表面)は、発光素子13の光取り出し面として機能する。
【0023】
また、発光素子13の光取り出し面には、発光素子13から放出される光を吸収して当該吸収した光の波長よりも長い波長の光を放出する波長変換部材が配置されていてもよい。例えば、当該波長変換部材としては、蛍光体粒子、蛍光体板、ナノサイズの波長変換粒子などを用いることができる。これにより、例えば、青色光とは異なる波長の光を生成することができる。例えば、黄色光を生成する光を生成する波長変換部材を用いることで、発光装置10からは、白色光として認識される光を出射することができる。
【0024】
可変光吸収層14は、紫外光を照射することによって光吸収性が変化するように構成されている。例えば、可変光吸収層14は、後述するように、酸化チタン粒子及び酸化チタン粒子を含有する媒質(マトリクス)からなる。本実施例においては、可変光吸収層14は、基板11上における発光素子13の側方において層状に形成されている。
【0025】
可変光吸収層14内の酸化チタン粒子は、紫外光を照射することによって変質し、例えば発光素子13から放出された光に対する吸収性を変化させる。本実施例においては、可変光吸収層14は、その一部の領域において発光素子13から放出された光を吸収し、他の領域において当該光を散乱及び反射させる。
【0026】
本実施例においては、可変光吸収層14は、基板11上に設けられ、紫外光が照射されておらず、発光素子13から放出された光を散乱及び反射させる酸化チタン粒子、すなわち当該光に対して吸収性を有さない酸化チタン粒子が含有された領域(以下、散乱反射領域と称する)14SCを有する。
【0027】
また、可変光吸収層14は、散乱反射領域14SCよりも基板11から離れた位置、本実施例においては可変光吸収層14の上面14Sの近傍に設けられ、紫外光が照射されることで発光素子13から放出された光に対して吸収性を有する酸化チタン粒子が含有された領域(以下、吸収領域と称する)14ABを有する。
【0028】
封止体15は、基板11上において発光素子13を埋設するように設けられている。本実施例においては、封止体15は、発光素子13の上面及び側面と、可変光吸収層14の上面14Sとを完全に覆っている。また、封止体15は、絶縁性を有し、かつ発光素子13から放出された光に対して透光性を有する。例えば、封止体15は、シリコーン樹脂及びエポキシ樹脂からなる。
【0029】
以下、可変光吸収層14について詳細に説明する。可変光吸収層14は、発光素子13の側面の下部領域に接し、また基板11の上面(実装面)の端部に至るように基板11の上面上に形成されている。また、本実施例においては、可変光吸収層14の側面は、外部雰囲気中に露出している。
【0030】
より具体的には、本実施例においては、可変光吸収層14は、上面14Sにおいて封止体15に接し、内側面において発光素子12に接している。また、本実施例においては、可変光吸収層14は、底面において基板11及び配線電極12に接している。一方、可変光吸収層14の外側面は、空気中又は外部雰囲気中に露出されている。
【0031】
次に、図1C及び図1Dを用いて、可変光吸収層14の内部構造について説明する。図1Dは、可変光吸収層14に含有されている粒子の模式的な断面図である。まず、図1Cに示すように、可変光吸収層14は、可変光吸収層14内に分散された複数の酸化チタン粒子(図1Cには第1、第2及び第3の酸化チタン粒子P1、P2及びP3を示した)を含む粒子群14PTを有する。
【0032】
本実施例においては、可変光吸収層14は、粒子群14PTを分散させる媒質を含む。当該媒質としては、例えば熱硬化性のシリコーン樹脂及びエポキシ樹脂などが挙げられる。すなわち、可変光吸収層14は、粒子を含有する樹脂体からなる。また、本実施例においては、当該媒質としての樹脂体は、可視光を透過させる特性を有する。なお、本実施例においては、可変光吸収層14は、その媒質が基板11、配線電極12、発光素子13及び封止体15などに接している。
【0033】
また、図1Dに示すように、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3の各々は、酸化チタンP10、P20及びP30と、酸化チタン(粒子本体)P10、P20及びP30をそれぞれ被覆する被覆膜P11、P21及びP31と、を有している。
【0034】
具体的には、本実施例においては、第1の酸化チタン粒子P1は、酸化チタンP10と、酸化チタンP10の表面を被覆して酸化チタンP10を保護する被覆膜P11と、を有する。被覆膜P11は、例えば、アルミナ、シリカ、ポリオールなどの有機物からなる膜である。同様に、第2及び第3の酸化チタン粒子P2及びP3の各々は、酸化チタンP20及びP30と、酸化チタンP20及びP30の表面を被覆する被覆膜P21及びP31と、を有する。
【0035】
次に、図1Dに示すように、粒子群14PTのうち、第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3の各々は、各粒子内(各酸化チタンP10及びP30内)において他の部分よりもバンドギャップが小さい部分P00を有する。当該部分P00は、酸化チタンにおける酸素が欠損した部分である。以下においては、部分P00を酸素欠損部と称する。
【0036】
また、図1Cに示すように、本実施例においては、粒子群14PTは、可変光吸収層14の上面14Sから基板11に向かって、各粒子内における酸素欠損部P00の平均密度が低くなるように分散された第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3を含む。なお、図の明確さのため、図1Cにおいては、第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3にハッチングを施している。本実施例においては、酸化チタン粒子P1〜P3の各々は、ルチル型の結晶構造を有する二酸化チタン(TiO2)P10、P20及びP30からなる。
【0037】
なお、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3の各々内における酸素欠損部P00の密度とは、例えば、各粒子内における酸素欠損部P00が占める割合であり、例えば、各酸化チタンP10〜P30の表面における酸素欠損部P00の占有面積である。
【0038】
本実施例においては、粒子群14PTのうち、可変光吸収層14内における最も上面14S側の領域(以下、第1の領域と称する場合がある)14Aに分散された第1の酸化チタン粒子P1は、最も高い密度(第1の密度)で酸素欠損部P00を有する。
【0039】
例えば、第1の酸化チタン粒子P1の酸素欠損部P00は、可視光のエネルギー(詳細には可視光の波長のエネルギー)よりも小さなバンドギャップエネルギーを有する。例えば、本実施例においては、第1の酸化チタン粒子P1における酸素欠損部P00は、発光素子12からの放出光(本実施例においては青色光)のエネルギーよりも小さなバンドギャップエネルギー(例えば約1.5eV)を有する。
【0040】
また、粒子群14PTのうち、可変光吸収層14内における最も基板11側の領域(以下、第2の領域と称する場合がある)14Bに分散された第2の酸化チタン粒子P2は、最も低い密度(第2の密度)で酸素欠損部P00を有する。
【0041】
例えば、第2の酸化チタン粒子P2は、図1Dに示すように、酸素欠損部P00をほとんど有さない。従って、例えば、第2の酸化チタン粒子P2は、いずれの部分においても(ほぼ全体において)、発光素子12からの放出光のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有する。
【0042】
例えば、第2の酸化チタン粒子P2(酸化チタンP20)がルチル型の結晶構造を有する場合、第2の酸化チタン粒子P2は、3.0eVのバンドギャップエネルギーを有する。なお、第2の酸化チタン粒子P2がアナターゼ型の結晶構造を有する場合、第2の酸化チタン粒子P2は、3.2eVのバンドギャップエネルギーを有する。
【0043】
また、粒子群14PTのうち、第1及び第2の領域14A及び14B間の領域(以下、第3の領域と称する場合がある)14Cに分散された第3の酸化チタン粒子P3は、第1の酸化チタン粒子P1よりも小さくかつ第2の酸化チタン粒子P2よりも密度(第3の密度(第1の密度と第2の密度との間の密度))で、酸素欠損部P00を有する。
【0044】
なお、酸化チタンの結晶は、酸素欠損によってバンドギャップが小さくなると解されている。より詳細には、酸素欠損によって、酸化チタンの価電子帯と導電帯との間に中間準位が形成される。ここでいうバンドギャップとは、この中間準位と価電子帯又は導電帯との間のエネルギーギャップである。
【0045】
ここで、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3におけるバンドギャップ(各粒子内における局部的なバンドギャップ)について説明する。バンドギャップを有する結晶は、そのバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーの波長の光を吸収し、これよりも小さなエネルギーの波長の光を透過させる光学特性を有する。
【0046】
本実施例においては、第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3の各々における酸素欠損部P00は、可視光の波長に相当するバンドギャップエネルギーよりも小さなバンドギャップエネルギーを有する。
【0047】
例えば、450nmの波長の光、(青色光、大気中)の光のエネルギーは約2.76eVであり、630nmの波長の光(赤色光、大気中)の光のエネルギーは約1.67eVである。そして、第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3は、上記したように、1.5eVのバンドギャップエネルギーを有する酸素欠損部P00を含む。従って、第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3の各々は、酸素欠損部P00によって、可視光を吸収する。
【0048】
一方、第2の酸化チタン粒子P2の各々は酸素欠損部P00を有さない(ほとんど有さない)。すなわち、第2の酸化チタン粒子P2は、そのほぼ全体が3.0eV(例えばルチル型の場合)のバンドギャップエネルギーを有する。従って、第2の酸化チタン粒子P2は、可視光を吸収しない散乱反射粒子として機能し、可視光を透過及び散乱させる。
【0049】
なお、本実施例においては、第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3(第1及び第3の領域14A及び14C)は、白色の可視光を用いた観察下では、可視光を吸収するため、黒色又は灰色を呈している。また、本実施例においては、第2の酸化チタン粒子P2(第2の領域14B)は、白色の可視光を用いた観察下では、白色を呈している。
【0050】
換言すれば、本実施例においては、第1及び第3の領域14A及び14Cは、可視光を吸収する可視光吸収領域(以下、単に吸収領域と称する)14ABとして機能する。一方、第2の領域14Bは、可視光を散乱及び反射させる可視光散乱反射領域(以下、単に散乱反射領域と称する)14SCとして機能する。
【0051】
また、本実施例においては、第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3は、可変光吸収層14の上面14Sの近傍の所定の深さの領域のみに分散されている。例えば、第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3は、上面14Sから20μm以下の厚さ(深さ)の範囲内の領域のみに分散されている。従って、可変光吸収層14は、上面14Sの近傍では吸収領域14ABとして機能し、その内部では散乱反射領域14SCとして機能する。
【0052】
なお、本実施例においては、吸収領域14ABは、可変光吸収層14の上面14Sの一部に設けられている。換言すれば、本実施例においては、可変光吸収層14は、上面14Sの近傍の一部に吸収領域14ABを有する。
【0053】
また、本実施例においては、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3は、可変光吸収層14内(媒質内)において、全体として均一な分散密度で分散されている。しかし、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3は、可変光吸収体13の上面13Sから基板11に向かって分散密度(含有量)が徐々に高くなるように、分散されていてもよい。例えば、粒子群14PTは、可変光吸収層14における基板11に近い領域(下部領域)においては、上面14Sに近い領域(上部領域)よりも高い密度で分散されていてもよい。
【0054】
なお、第1、第2及び第3の酸化チタン粒子P1、P2及びP3は、それぞれ被覆膜P11、P21及びP31を有する。これによって、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3に、発光装置10の使用環境下に存在する弱い紫外線による黄変への耐性(耐黄変性)や、耐候性を持たせることができる。しかし、紫外線による黄変への耐性や耐候性を必要としない場合、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3は被覆膜P11〜P31を有していなくてもよい。
【0055】
図2A図2B及び図2Cの各々は、発光装置10の製造方法の各工程を示す図である。図2A乃至図2Cの各々は、各工程中における図1Aと同様の断面図である。また、図3は、発光装置10の製造方法を示すフロー図である。図2A乃至図2C及び図3を用いて、発光装置10の製造方法について説明する。
【0056】
まず、図2Aは、複数の発光素子13、吸収領域14ABを有さない可変光吸収層14P(以下、同様に可変光吸収層と称する)及び封止層15P、並びに可変光吸収層14P及び封止層15Pを形成するためのダム19が形成された基板11Pを示す図である。本実施例においては、まず、基板11P(複数の第1及び第2の貫通電極11B及び11Cが形成された基材)を準備し、基板11Pに配線電極12及びダム19を形成する(図3、工程S11)。
【0057】
次に、基板11P上に発光素子12を接合する(図3、工程S12)。続いて、基板11P上におけるダム19の内側に可変光吸収層14Pを形成する(図3、工程S13)。本実施例においては、第2の酸化チタン粒子P2と同様の酸化チタン粒子P0を含有するシリコーン樹脂を充填し、短時間加熱して仮硬化させる(シリコーン樹脂の分子間の架橋が不十分な状態にする)ことで、可変光吸収層14Pを形成した。
【0058】
なお、本実施例においては、酸化チタン粒子P0として、平均粒径が250nm、バンドギャップエネルギーが3.0eVのルチル型の二酸化チタンを用いた。そして、可変光吸収層14Pにおける酸化チタン粒子P0の濃度は16wt%とした。
【0059】
次に、発光素子13を封止する(図3、工程S14)。本実施例においては、発光素子13を埋設するように、基板11P上におけるダム19の内側の領域を透光性のシリコーン樹脂で充填した。そして、当該シリコーン樹脂を加熱して本硬化させることで、封止体15を形成した。
【0060】
なお、本実施例においては、可変光吸収層14における光吸収率の調整に紫外光を用いる。従って、本実施例においては、封止体15として、紫外光及び可視光の両方に対して透光性を有する樹脂材料を用いた。
【0061】
図2Bは、可変光吸収層14Pの上面14PSに紫外光LBが照射されている基板11Pを示す図である。本実施例においては、封止工程S14の後、封止体15から取り出される光の出力を測定する(図3、工程S15)。そして、光出力の測定結果に基づいて、可変光吸収層14Pに紫外光LBを照射し、可変光吸収層14Pによる光吸収率を調整する。
【0062】
具体的には、測定工程S15の結果が、所望の結果であったか否か、本実施例においては所望の光出力が得られているか否かを判定する(図3、工程S16)。なお、所望の光出力が得られている場合、光出力を調整する必要はない。
【0063】
一方、所望の光出力が得られていない場合、可変光吸収層14Pに紫外光LBを照射し、可変光吸収層14Pによる光吸収率を調整する(図3、工程S17)。本実施例においては、封止体15の外側から可変光吸収層14Pに対し、紫外光LBとして、紫外領域にピーク波長を有するレーザ光を照射した。本実施例においては、355nmの波長のレーザ光を出射するレーザ光源LSを準備した。また、当該レーザ光を走査しつつ封止体15の表面から、可変光吸収層14Pに向けて出射する。これによって、紫外光LBは、封止体15を透過し、可変光吸収層14Pに照射される。
【0064】
本実施例においては、φ45μmのビーム径及び50kW/cm2の出力のレーザ光を、1000mm/secの速度で移動させつつ、可変光吸収層14Pに照射した。なお、355nmの波長の光のエネルギーは約3.5eVであり、ルチル型の二酸化チタンのバンドギャップエネルギーは3.0eVである。従って、紫外光LBのエネルギーは酸化チタン粒子P0のバンドギャップエネルギーよりも大きい。従って、紫外光LBは、酸化チタン粒子P0に吸収される。
【0065】
これによって、紫外光LBに照射された酸化チタン粒子P0が変質し、粒子内の酸素原子が脱離する。また、紫外光LBは、可変光吸収層14Pの上面14PSの近傍の酸化チタン粒子P0に集中的に照射される。従って、可変光吸収層14Pにおける上面14PSの近傍で最も酸素欠損の多い酸化チタン粒子が生成され、上面14PSから離れるに従ってその酸素欠損の程度が小さい酸化チタン粒子が生成される。
【0066】
これによって、可変光吸収層14Pの上面14PSの近傍における紫外光LBが比較的強く照射された酸化チタン粒子P0は、高密度で酸素欠損部P00を有する酸化チタン粒子、すなわち第1の酸化チタン粒子P1となる。そして、可変光吸収層14Pの上面14PSから少し離れた酸化チタン粒子P0は、酸素欠損部P00が比較的少ない第3の酸化チタン粒子P3となる。
【0067】
また、上面14PSから所定の距離(紫外光LBが酸化チタン粒子P0によって遮光される距離)以上離れると、紫外光LBが照射されず、酸化チタン粒子P0は変質しない。従って、例えば基板11Pの近傍に存在する酸化チタン粒子P0は、酸素欠損部P00をほとんど有しない酸化チタン粒子、すなわち第2の酸化チタン粒子P2となる。
【0068】
このようにして、紫外光LBの照射によって、酸素欠損部P00の密度が徐々に低くなるように分散された複数の酸化チタン粒子(粒子群13PT)を含む可変光吸収層14Pが形成される。
【0069】
そして、光出力の調整の有無に関わらず、基板11Pを発光素子13毎に個片化することで、発光装置10が作成される(図2C)。また、光出力の調整を行った場合、紫外光LBが照射された可変光吸収層14は、上面14Sの近傍に吸収領域14ABを有し、吸収領域14AB以外の領域、例えば吸収領域14ABよりも基板11側の領域に散乱反射領域14SCを有する。
【0070】
可変光吸収層14は、紫外光LBの照射前の可変光吸収層14Pに比べ、高い光吸収率を有する。従って、本実施例においては、紫外光LBの照射によって、封止体15から取り出される光の出力が低くなる。すなわち、本実施例においては、紫外光LBを可変光吸収層14Pに照射することで、光出力を低くするための出力調整を行うことができる。また、紫外光LBの照射工程(工程S17)の後、例えば基板11Pを個片化した後においても、再度光出力の測定(工程S15)を行い、所望の出力が得られるまで繰り返し出力調整を行うことができる。
【0071】
従って、発光装置10は、この紫外光LBが照射され、吸収領域14ABを有する可変光吸収層14を有するか、又は紫外光LBが照射されず、酸化チタン粒子P0のみ(散乱反射領域14SCのみ)を有する可変光吸収層14を有する。そして、このようにして製造された発光装置10は、安定した光出力を有する。
【0072】
なお、紫外光LBの照射工程(工程S17)においては、他の材料、例えば基板11、配線電極12、可変光吸収層14の媒質(例えばシリコーン樹脂)及び封止体15などを変質させないように光源LSの出力調節を行うことが好ましい。例えば上記した条件で紫外光(レーザ光)LBを照射することで、他の材料の変質を抑制しつつ、酸化チタン粒子P0のみを変質させることができる。
【0073】
本願の発明者らは、当該条件(及び25〜75kW/cm2の範囲内の出力)のレーザ光が可変光吸収層14の媒質及び封止体15としてのシリコーン樹脂を変質させないことを確認している。例えば、可変光吸収層14の媒質としては、355nmの波長の光に対して60%以上の透過率を有するシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0074】
また、紫外光LBの照射によって安定して酸素欠損部P00の密度を調整することを考慮すると、粒子群14PT(例えば酸化チタン粒子P0)の濃度は、30wt%以下であることが好ましく、20wt%以下であることがさらに好ましい。
【0075】
例えば酸化チタン粒子P0が30wt%よりも高い濃度で含有されている場合、例えば上記した条件で紫外光LBを照射しても、酸化チタン粒子P0に酸素欠損部P00を形成することが困難になる場合が多いからである。これは、30wt%よりも高い濃度で酸化チタン粒子P0が分散された媒質内では、酸化チタン粒子P0が酸素欠損を起こす前に紫外光LBが広範囲に亘って散乱することに起因すると考えられる。従って、酸化チタン粒子P0が30wt%よりも高い濃度を有する場合、安定して光吸収率を調整できなくなる場合がある。
【0076】
なお、酸化チタン粒子P0は、上面14Sの近傍で上記した濃度を有していればよく、その内部での濃度は30wt%以下に限定されない。例えば、可変光吸収層14は、上面14Sの近傍では30wt%以下の濃度の酸化チタン粒子P0を有し、基板11の近傍では30wt%よりも高い濃度の酸化チタン粒子P0を有していてもよい。例えば、可変光吸収層14の上面14Sから所定の深さの領域において、30wt%以下の濃度で分散されていればよい。
【0077】
また、酸化チタン粒子P0の粒径(平均粒径)は、紫外光LBによる良好な光吸収性の調整を行うことを考慮すると、例えば、150〜350nmの範囲内であることが好ましい。
【0078】
具体的には、粒子群14PT(酸化チタン粒子P0)の平均粒径は、可変光吸収層14内における光(可視光)の波長(例えばシリコーン樹脂内の波長)に対し、1〜1/4程度の範囲内とすることで、後方散乱割合が高いミー散乱を生じさせ、良好な散乱反射を得ることができる。また、粒子群14PT内の粒子の平均粒径を調節することで、光が散乱することで光が高確率で粒子に取り込まれて吸収されるため、良好に光吸収率を調整することができる。
【0079】
なお、光吸収性の調整の容易さに加え、酸化チタン粒子P0が紫外光LBを照射しない状態で良好な可視光の散乱粒子として機能すること、すなわち散乱反射領域14SCに良好な可視光の散乱反射性を持たせることを考慮すると、酸化チタン粒子P0は、200〜300nmの範囲内の平均粒径を有することが好ましい。
【0080】
可変光吸収層14は、例えば上記したように、紫外光LBの照射によって光吸収率を変化させるのに適した粒子構成を有している。これによって、可変光吸収層14は、容易に光出力の調整を封止後に行うことができる部材となる。
【0081】
なお、発光装置10の製造方法はこれに限定されない。例えば、可変光吸収層14Pとなる粒子含有樹脂を塗布し、所定時間静置した後に加熱することによって酸化チタン粒子P0を沈降させる。これによって、上面14PS側の酸化チタン粒子P0の分散密度を低くした可変光吸収層14を形成することもできる。
【0082】
このように、本実施例においては、紫外光LBの照射によって光吸収特性が変化する酸化チタン粒子P0を含む粒子群14PTを有する可変光吸収層14を有する。従って、発光素子を封止した後、例えば完成後又は出荷後においても、また、例えば客先においても、容易に光出力の調整を行うことが可能となる。従って、実装後に容易に光学特性を調節することが可能な発光装置10を提供することができる。
【0083】
また、本実施例においては、可変光吸収層14における粒子群14PTの分散媒質である樹脂体は、一体的に形成されている。すなわち、例えば、可変光吸収層14は、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3の各々を担持する1つの樹脂マトリクスを有する。また、第1〜第3の領域14A〜14C間の各々には媒質の境界が存在しない。従って、吸収領域14ABを設けた場合でも可変光吸収層14の機械的強度が維持される。従って、高品質及び高寿命な可変光吸収層14及び発光装置10となる。
【0084】
また、粒子群14PTは、可変光吸収層14内において、全体として均一な分散密度を有する。従って、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3の各々は、互いに同程度の範囲内の密度で可変光吸収層14内に分散されている。従って、吸収領域14ABを設けた場合でも可変光吸収層14の全体としての熱膨張係数が均一化され、これによって、可変光吸収層14の機械的強度が維持される。従って、高品質及び高寿命な可変光吸収層14及び発光装置10となる。
【0085】
なお、上記したように、粒子群14PTにおける可変光吸収層14内の分散密度は基板11に向かって徐々に高くなっていてもよい。例えば、基板11側における第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3の分散密度を高くし、上面14S側における第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3の分散密度を低くした場合には、可変光吸収層14の上面14Sと封止体15との界面の密着性が向上する。従って、例えば、紫外光LBとして高出力のレーザ光を複数回に亘って照射した場合でも、可変光吸収層14と封止体15とが剥離することを抑制することができる。
【0086】
例えば、上記した工程S13を実行する際に、酸化チタン粒子P0の含有量を32wt%とした粒子含有樹脂を用いて、酸化チタン粒子P0を静置して沈降させた後に硬化させることで可変光吸収層14Pを形成する。この場合、可変光吸収層14における上面14Sの近傍の酸化チタン粒子(第1の酸化チタン粒子P1)の濃度を光吸収率の調整に適した濃度、例えば16wt%程度に調節とすることができる。この場合、上面14Sの近傍における吸収領域14ABでの光吸収特性及び散乱反射領域14SCでの光散乱特性を維持することができ、さらに可変光吸収層14と封止体15との密着性を向上させることが可能となる。
【0087】
また、本実施例においては、可変光吸収層14は、樹脂媒質として、1.4〜1.55の範囲内の屈折率を有する熱硬化性のシリコーン樹脂を有する。また、粒子群14PTは、例えば、約2.5の屈折率を有するアナターゼ型の酸化チタン粒子、又は約2.7の屈折率を有するルチル型の酸化チタン粒子を含む。散乱反射領域14SCで高い散乱反射性を得ることを考慮すると、このように、粒子群14PT(酸化チタン粒子P0又はP2)は、樹脂媒質よりも高い屈折率を有していることが好ましい。
【0088】
また、図1Dに示したように、第1〜第3の酸化チタン粒子P1〜P3の各々が被覆膜P11〜P31を有すること(すなわち各粒子の形成用に用いる酸化チタン粒子P0が被覆膜を有すること)で、紫外光LB、例えば355nmの波長の高出力レーザを用いて、効果的にかつ安定して各酸化チタンP10〜P30の表面に酸素欠損部P00を生じさせることができる。従って、所望の領域に安定して吸収領域14ABを形成することができる。
【0089】
また、本実施例においては、基板11上に形成された配線電極12は、可変光吸収層14によって覆われている。可変光吸収層14は、配線電極12に対する保護機能を発揮する。例えば、配線電極12は、封止体15(透光性の部材)に覆われている場合に比べ、劣化しにくい。
【0090】
より具体的には、発光装置10は、車両用灯具など、大気中に設置されるシステム内に搭載されることができる。この場合、大気中に存在する硫化物と金属とが反応することによって金属が硫化し、金属が腐食する場合がある。配線電極12の材料、例えば銅及び銀は、硫化することによってその電気的特性が劣化する。
【0091】
これに対し、可変光吸収層14によって配線電極12を覆うことで、配線電極12の硫化などの腐食から保護することができる。これは、例えば封止体15などのように粒子を含有しない部材によって保護する場合に比べ、可変光吸収層14のように粒子を含有する部材によって保護する場合の方が、種々の腐食源(例えば硫化物や水分など)の進入に対して吸着材として機能するからである。
【0092】
従って、可変光吸収層14は、実装後の光学特性の調整を行う機能のみならず、基板11上の配線電極12(金属材料)の高い保護機能を有する。従って、実装後に容易に光学特性を調節することが可能であり、高品質かつ長寿命な発光装置10を提供することができる。
【0093】
なお、発光素子13の素子電極は、最表面においては耐腐食性の高い金属、例えば金によって形成されている。また、発光素子13の素子電極以外の部分は耐腐食性の保護膜によって覆われている。また、ボンディングワイヤは、金などの耐腐食性の金属によって形成されている。これによって、これらの部材が可変光吸収層14に覆われていなくても、腐食されることはほとんどない。
【0094】
なお、上記した可変光吸収層14の構成は一例に過ぎない。例えば、本実施例においては、吸収領域14ABが可変光吸収層14の上面14Sの一部に設けられる場合について説明した。しかし、可変光吸収層14は、求められる光学特性や、光出力の調整工程の結果によっては、上面14Sの全体に吸収領域14ABを有していてもよい。
【0095】
例えば、光出力の調整に適した吸収領域14ABの形成領域が分かっている場合、又は強度ムラを抑制するなどの局所的な出力調整を行う場合においては、可変光吸収層14Pの一部のみに紫外光LBを照射し、その部分のみに吸収領域14ABを形成すればよい。一方、発光素子13の領域とその周辺の領域との間で高い光のコントラストを形成する場合、上面14PSの全体に吸収領域14ABを形成すればよい。
【0096】
なお、本実施例においては、可変光吸収層14は、紫外光LBが照射されない場合は、その全体がほとんど吸収性を有さず、光反射体として機能する。これによって、高出力でありつつ、その光出力を調節可能な発光装置10となる。
【0097】
また、例えば、本実施例においては、可変光吸収層14は、側面において外部雰囲気中に露出している場合について説明した。しかし、可変光吸収層14は、封止体15によって完全に覆われていてもよい。
【0098】
なお、可変光吸収層14のように、基板11の上面の端部に至って形成され、かつ側面において外部雰囲気中に露出している場合、基板11の上面への腐食源の進入及び滞留を確実に防ぐことができる。従って、配線電極12の高い保護機能を得ることを考慮すると、可変光吸収層14は、基板11の上面の端部に至って形成され、かつ側面において外部雰囲気中に露出している(曝露されている)ことが好ましい。
【0099】
また、可変光吸収層14は、発光素子13の半導体層13Bにおける発光層の側面を覆わない範囲内で形成されていることが好ましい。例えば、可変光吸収層14は、基板11上において発光素子13の発光層を越えない高さで形成されていることが好ましい。例えば、吸収領域14ABが発光層の側面を覆うと、光出力が大きく低下するからである。
【0100】
しかし、光出力を大きく調整する場合には、意図的に発光素子13の発光層の側面を覆うように可変光吸収層14を形成すればよい。換言すれば、例えば、可変光吸収層14の全体としての形成領域を調整することで光出力の粗調整を行うことができ、吸収領域14ABを形成する領域を調整することで光出力の微調整を行うことができる。
【0101】
なお、本実施例においては、可変光吸収層14が可視光に対する吸収性を有する吸収領域14AB及び可視光に対して反射性を有する散乱反射領域14SCを有する場合について説明した。しかし、可変光吸収層14の構成はこれに限定されない。例えば、発光素子13は、可視光以外の帯域の光を放出する構成を有していてもよい。この場合、可変光吸収層14の吸収領域14AB及び散乱反射領域14SCは、当該他の波長帯域の光に対し、それぞれ吸収性及び反射性を有していればよい。
【0102】
換言すれば、例えば、発光素子13から放出された光に対する光吸収特性が変化するように可変光吸収層14内の粒子及びそのバンドギャップ構成、並びに媒質が調節されていればよい。
【0103】
また、この場合、可変光吸収層14内において効果的に吸収領域14ABを設けることを考慮すると、例えば、粒子群14PTにおける酸化チタン粒子は、発光素子13からの放出光の可変光吸収層14内の波長(粒子群14PTを分散させる媒質内の波長)に対応する平均粒径を有していることが好ましい。
【0104】
また、本実施例においては、吸収領域14ABが第1及び第3の酸化チタン粒子P1及びP3を有する場合について説明したが、粒子群14PTの構成はこれに限定されない。例えば、粒子群14PTは、例えば2種類の酸化チタン粒子P1及びP2のみから構成されていてもよい。
【0105】
この場合、例えば、可変光吸収層14内における可変光吸収層14の上面14Sの近傍の第1の領域14Aに分散された第1の酸化チタン粒子P1における酸素欠損部P00の平均密度は、第1の領域14Aよりも基板11側の第2の領域14Bに分散された第2の酸化チタン粒子P2における酸素欠損部P00の平均密度よりも大きければよい。
【0106】
また、例えば、上記したように、光出力の調整自体が行われない場合がある。この場合、例えば、粒子群14PTは、第2の酸化チタン粒子P2、すなわち紫外光LBが照射されていない状態の酸化チタン粒子P0を有していればよい。換言すれば、可変光吸収層14は、紫外光LBの照射によって光吸収特性が変化する複数の酸化チタン粒子を有していればよい。
【0107】
また、粒子群14PTを構成する粒子は、酸化チタン粒子に限定されない。例えば、酸化亜鉛(ZnO)は、酸化チタンと同様の性質を有する。例えば、酸化亜鉛のバンドギャップエネルギーは3.37eVであり、可視光を透過する。また、酸化亜鉛は、波長355nmの紫外光LBを吸収する性質を有する。さらに、酸化亜鉛の屈折率は2.0であり、シリコーン樹脂の屈折率(1.4〜1.55)より大きい。そして、酸化亜鉛は、酸素欠損によって、深いドナー準位を形成してバンドギャップが小さくなり、可視光を吸収する性質を有する。
【0108】
従って、粒子群14PTには、例えば酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子など、酸素欠損がない結晶状態において可視光などの所定の波長の光を散乱又は反射させ、酸素欠損によって当該波長の光を吸収する性質を有する金属酸化物結晶を用いることができる。例えば、このような性質を有する金属酸化物の粒子は、酸化チタン粒子P0又はP1〜P3に置き換えられてもよいし、粒子群14PTに追加されていてもよい。すなわち、可変光吸収層14は、例えば、紫外光LBの照射によってバンドギャップが変化する複数の金属酸化物粒子を有していればよい。
【0109】
また、粒子群14PTには、酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子などの紫外光LBの照射によってバンドギャップが変化する粒子以外に、発光素子13からの放出光を散乱させる他の粒子が添加されていてもよい。当該他の粒子としては、炭化ケイ素(SiC)、窒化珪素(Si23)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al23)などの金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物などの粒子が挙げられる。
【0110】
換言すれば、例えば、可変光吸収層14は、粒子群14PTとして、少なくとも、紫外光LBの照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含んでいればよい。例えば、粒子群13PTが酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子以外の粒子を含む複数の粒子を含んでいる場合、当該複数の粒子が可変光吸収体13内で均一な密度で分散されているか、又は上面13Sから基板11に向かって徐々に密度が高くなるように分散されていればよい。また、例えば、粒子群13PTに含まれる粒子の全体が上記した濃度で分散されていればよい。
【0111】
また、粒子群14PTは、光散乱性以外の特性を持つ粒子を含んでいてもよい。例えば、例えば、粒子群14PTは、配線電極12の保護に適した粒子を含んでいてもよい。例えば、酸化ケイ素のナノ微粒子は、配線電極12の硫化防止に適した特性を有している。また、粒子群14PTは、保護機能を目的とした粒子のみを有していてもよい。この場合、可変光吸収層14は、配線電極12を覆って配線電極12を保護する粒子含有層となる。
【0112】
また、本実施例においては、可変光吸収層14の全体に酸化チタン粒子P0が分散されている場合について説明した。しかし、可変光吸収層14は、例えば、その少なくとも一部の領域のみに、紫外光LBの照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含んでいてもよい。また、例えば、紫外光LBが照射された場合、可変光吸収層14内に分散された金属酸化物粒子のうち、紫外光LBが到達する金属酸化物粒子が酸素欠損を起こし、これによって吸収領域14ABが形成されることとなる。
【0113】
また、本実施例においては、可変光吸収層14が吸収領域14AB及び散乱反射領域14SCを有する場合について説明した。しかし、可変光吸収層14は、例えば、紫外光LBの照射によって吸収領域14ABを形成できるように構成されていればよい。
【0114】
従って、例えば、可変光吸収層14は、可変光吸収層14の上面14Sから所定の深さの領域(例えば第1及び第3の領域14A及び14C)に形成され、紫外光LBの照射によって発光素子13から放出された光に対して吸収性を有する複数の金属酸化物粒子(例えば酸化チタン粒子P1及びP3)を含む吸収領域14ABを有していればよい。
【0115】
また、高い光取り出し効率を得ることを考慮すると、可変光吸収層14は、例えば、吸収領域14ABよりも基板11側(例えば第2の領域14B)に設けられ、発光素子13から放出された光に対して散乱及び反射性を有する複数の金属酸化物粒子(例えば酸化チタン粒子P2)を含む散乱反射領域13SCを有することが好ましい。
【0116】
このように、例えば、発光装置10は、基板11と、基板11上に形成された配線電極12(電極)と、基板11上に配置され、配線電極12に電気的に接続された発光素子13と、基板11上において配線電極12を覆うように形成され、かつ紫外光LBの照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含む可変光吸収体14と、発光素子13を封止するように基板11上に形成され、かつ発光素子13から放出された光に対して透光性を有する封止体15と、を有する。従って、実装後に容易に光学特性を調節することが可能であり、高品質かつ長寿命な発光装置10を提供することができる。
【実施例2】
【0117】
図4Aは、実施例2に係る発光装置20の上面図である。また、図4Bは、発光装置20の断面図である。図4Bは、図4Aの4B−4B線に沿った断面図である。図4A及び図4Bを用いて、発光装置20の構成について説明する。
【0118】
本実施例においては、発光装置20は、基板11上において発光素子13を取り囲むように形成された枠体21を有する。また、本実施例においては、発光装置20の可変光吸収層22は、基板11上における枠体21の内側の領域に形成されている。また、本実施例においては、発光装置20の封止体23は、基板11上において、発光素子13、可変光吸収層22及び枠体21を埋設するように形成されている。
【0119】
可変光吸収層22は、可変光吸収層14と同様に、上面22Sの近傍において酸化チタン粒子P1及びP3が分散された吸収領域22ABと、酸化チタン粒子P2が分散された散乱反射領域22SCとを有する。また、可変光吸収層22は、配線電極12を覆うように基板11上に形成されている。
【0120】
枠体21は、発光素子12から離間して発光素子12を取り囲むように、基板11上に配置されている。本実施例においては、枠体21は、基板11上において発光素子13の実装領域及び可変光吸収層22の形成領域を画定する部材として機能する。
【0121】
また、枠体21は、例えば、可変光吸収層22よりも高い濃度で酸化チタン粒子を含有する樹脂体からなる。例えば、枠体21は、可変光吸収層22よりも高い濃度、例えば70〜90wt%の濃度で酸化チタン粒子P1〜P3を有するシリコーン樹脂からなる。
【0122】
また、本実施例においては、枠体21は、高い反射率で光を反射させ、発光素子13から放出された光の封止体23から光取り出す効率を向上させる部材として機能する。なお、枠体21は、紫外光LBを照射しても酸素欠損を起こさず(黒色化せず)、可視光の散乱反射性を維持する。可変光吸収層22及び枠体21は、この点で少なくとも異なる。
【0123】
本実施例においては、可変光吸収層22が基板11上の一部の領域に形成され、封止体23が可変光吸収層22を埋設するように配置されている。このような封止構造を有する発光装置20においても、可変光吸収層22は、配線電極12を覆うことによる保護機能を有し、酸化チタン粒子P1〜P3を有することで光出力調整機能を有する。
【0124】
なお、枠体21の構成は上記に限定されない。枠体21は、発光素子13を取り囲むように基板11上に形成されていればよい。また、枠体21は、光反射機能などの光学機能を有していなくてもよい。
【0125】
このように、本実施例においては、発光装置20は、基板11上において発光素子13を取り囲むように形成された枠体21を有する。また、可変光吸収層22は、基板11上における枠体21の内側の領域に形成されている。また、封止体23は、基板11上において、発光素子13、可変光吸収層22及び枠体21を埋設するように形成されている。従って、このような封止構造を有する発光装置20においても、可変光吸収層22は、実装後に容易に光学特性を調節することが可能であり、高品質かつ長寿命な発光装置を提供することができる。
【実施例3】
【0126】
図5Aは、実施例3に係る発光装置30の上面図である。図5Bは、発光装置30の断面図である。図5Bは、図5Aの5B−5B線に沿った断面図である。図5A及び図5Bを用いて発光装置30の構成について説明する。
【0127】
発光装置30は、凹部31Rを有する基板31と、凹部31Rの底部上に形成された配線電極32と、凹部31Rの底部上に配置された発光素子13と、凹部31Rの底部上に形成された可変光吸収層34と、凹部31Rを埋め込みつつ基板31上に形成された封止体35と、を有する。
【0128】
本実施例においては、基板31は、板状の第1の基材31Aと、第1の基材31A上に形成されかつ開口部を有する板状の第2の基材31Bと、を有する。第1の基材31Aは、第2の基材31Bの開口部から、その一部が露出している。基板31の凹部31Rは、第1の基材31Aにおける第2の基材31Bの開口部から露出した部分を底部として有する。また、凹部31Rは、第2の基材31Bの開口部の内壁を側面として有する。
【0129】
また、基板31は、第1の基材31A及び第2の基材31Bを貫通する第1の貫通電極31Cと、第1の基材31Aを貫通する第2の貫通電極31Dと、を有する。発光装置30は、基板31の凹部31Rの底部上に形成されて第2の貫通電極31Dに接続された配線電極32と、基板31の凹部31Rの外側上(本実施例においては第2の基材31B上)に形成されて第1の貫通電極31Cに接続された配線電極33と、を有する。
【0130】
本実施例においては、可変光吸収層34は、配線電極32を覆うように基板31の凹部31R内に形成されている。また、可変光吸収層34は、可変光吸収層14と同様に、上面34Sの近傍において酸化チタン粒子P1及びP3が分散された吸収領域34ABと、酸化チタン粒子P2が分散された散乱反射領域34SCとを有する。また、可変光吸収層34は、配線電極32を覆うように基板11上に形成されている。
【0131】
このように封止された構造の発光装置30においても、可変光吸収層34を発光素子13の側方に配置することで、容易に実装後の光学特性の調節を行うことができる。また、配線電極32の劣化を防止することができる。
【0132】
なお、本実施例においては、基板31の凹部31Rは、基板31の底部に向かって先細るように形成された側面を有する。これによって、発光素子13から放出された光が封止体35の上面、すなわち光取り出し面に向かって反射されやすい。また、凹部31Rによって、狭角な配向の光が取り出される。
【0133】
このように、本実施例においては、基板31は、発光素子13を収容する領域を形成する凹部31Rを有する。また、可変光吸収層34は、凹部31R内において配線電極32を覆うように形成されている。従って、このような封止構造を有する発光装置30においても、可変光吸収層34は、実装後に容易に光学特性を調節することが可能であり、高品質かつ長寿命な発光装置を提供することができる。
【実施例4】
【0134】
図6Aは、実施例4に係る発光装置40の上面図である。図6Bは、発光装置40の断面図である。図6Bは、図6Aの6B−6B線に沿った断面図である。図6A及び図6Bを用いて発光装置30の構成について説明する。
【0135】
本実施例においては、発光装置30は、複数の凹部41RR、41RG及び41RBを有する基板41と、凹部41RR、41RG及び41RBの各々内にそれぞれ形成された複数の配線電極42R、42G及び42Bと、凹部41RR、41RG及び41RBの各々内にそれぞれ配置された複数の発光素子43R、43G及び43Bと、を有する。
【0136】
また、発光装置40は、凹部41RR、41RG及び41RBの各々内において配線電極42R、42G及び42Bを覆うように発光素子43R、43G及び43Bの側方に形成された複数の個別可変光吸収層44R、44G及び44Bからなる可変光吸収層44を有する。また、発光装置40は、発光素子43R、43G及び43Bを封止するように基板41上に形成された封止体45を有する。
【0137】
まず、基板41は、板状の第1の基材41Aと、第1の基材41A上に形成され、互いに離間する複数の開口部を有する第2の基材41Bを有する。凹部41RR、41RG及び41RBは、第2の基材41Bの開口部と、当該開口部から露出した第1の基材41Aの上面部分と、によって形成される。
【0138】
また、本実施例においては、発光素子43R、43G及び43Bは、互いにピーク波長が異なる光を放出する。例えば、発光素子43Rは、支持基板43RA(図示せず)及びリン化物系半導体からなる発光層を含む半導体層43RB(図示せず)と、を有し、赤色領域にピーク波長を有する光を放出する。また、例えば、発光素子43Gは、支持基板43GA及び窒化物系半導体からなる半導体層43GBを有し、緑色領域にピーク波長を有する光を放出する。また、例えば、発光素子43Bは、支持基板43BA及び窒化物系半導体からなる半導体層43BBを有し、青色領域にピーク波長を有する光を放出する。
【0139】
可変光吸収層44は、41RR、41RG及び41RBの各々の底部上に個別に形成されている。また、可変光吸収層44は、紫外光の照射によって、凹部41RR、41RG及び41RB内の発光素子43R、43G及び43Bから放出された光に対する吸収特性が変化する複数の個別可変光吸収層44R、44G及び44Bを有する。
【0140】
個別可変光吸収層44Rは、紫外光の照射によって赤色領域の光に対する吸収性が変化する金属酸化物粒子を有する。例えば、個別可変光吸収層44Rは、上面44RS(図示せず)の近傍に設けられて紫外光の照射によって赤色領域の光を吸収する吸収領域44RAB(図示せず)と、紫外光が照射されずに赤色領域の光を散乱及び反射させる散乱反射領域44RSC(図示せず)と、を有する。
【0141】
同様に、個別可変光吸収層44Gは、例えば、上面44GSの近傍に設けられて紫外光の照射によって緑色領域の光を吸収する吸収領域44GABと、紫外光が照射されずに緑色領域の光を散乱及び反射させる散乱反射領域44GSCと、を有する。また、個別可変光吸収層44Bは、例えば、上面44BSの近傍に設けられて紫外光の照射によって青色領域の光を吸収する吸収領域44BABと、紫外光が照射されずに青色領域の光を散乱及び反射させる散乱反射領域44BSCと、を有する。
【0142】
例えば、本実施例においては、個別可変光吸収層44R、44G及び44Bの各々は、可変光吸収層14のように、酸化チタン粒子P1〜P3を有し、これによって、各波長領域を含む可視光に対する吸収性が変化するように構成されている。
【0143】
また、本実施例においては、配線電極42Rは、第1及び第2の配線電極42RA及び43RBを有する。個別可変光吸収層44Rは、第1及び第2の配線電極42RA及び43RBを覆うように凹部41RR内に形成されている。
【0144】
同様に、配線電極42Gは、第1及び第2の配線電極42GA及び43GBを有する。個別可変光吸収層44Gは、第1及び第2の配線電極42GA及び43GBを覆うように凹部41GR内に形成されている。また、配線電極42Bは、第1及び第2の配線電極42BA及び43BBを有する。個別可変光吸収層44Bは、第1及び第2の配線電極42BA及び43BBを覆うように凹部41BR内に形成されている。
【0145】
本実施例においては、可変光吸収層44は、異なる波長が異なる光を有する発光素子43R、43G及び43Bに対し、個別に光出力を調節するように構成されている。従って、発光装置40から取り出される光の出力調節のみならず、その波長の調節を行うことができる。従って、実装後において、光出力及び波長の厳密な調節を行うことができる。また、可変光吸収層44によって配線電極42R、42G及び42Bの強固な保護を行うことができる。従って、高品質かつ長寿命な発光装置40を提供することができる。
【0146】
図7は、実施例4の変形例に係る発光装置40Aの上面図である。発光装置40Aは、発光素子43R、43G及び43Bの全体を収容する共通の凹部41RCを有する基板41Cを有する。配線電極42R、42G及び42Bの各々は、全て凹部41RC内に形成されている。
【0147】
また、可変光吸収体44Cは、発光素子43R、43G及び43Bの各々の側方において、部分的に紫外光を照射することによって形成された吸収領域44RAB、44GAB及び44BABと、その他の領域に形成された共通の散乱反射領域44CSCと、を有する。
【0148】
本変形例のように、発光素子43R、43G及び43Bが光学的に遮断されていない共通の空間内に実装されていてもよい。この場合でも、可変光吸収層44に紫外光を照射することで、発光素子43R、43G及び43Bの各々から放出される光の出力を個別又は共通で調節することができる。従って、発光装置40Aから取り出される光の出力及び波長を実装後に容易に調節することができる。従って、高品質かつ長寿命な発光装置40を提供することができる。
【0149】
なお、本実施例においては、発光素子43R、43G及び43Bが互いにピーク波長が異なる光を放出する場合について説明した。しかし、発光素子43R、43G及び43Bの構成はこれに限定されない。発光装置40は、基板11上に実装された複数の発光素子43R、43G及び43Bを有していればよい。
【0150】
また、例えば本実施例のように互いに異なる波長の光を放出する複数の発光素子43R、43G及び43Bが実装されている場合でも、可変光吸収層44は、紫外光の照射によって複数の発光素子43R、43G、43Bから放出された光の少なくとも一部に対する光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含んでいればよい。
【0151】
また、可変光吸収層44は、少なくとも、基板41上において複数の配線電極42R、43G及び43Bを覆うように形成され、かつ紫外光の照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含んでいればよい。これによって、実装後の光出力の調節と、電極の保護とを両立することができる。
【0152】
このように、本実施例においては、例えば、発光装置40は、基板41と、基板41上に形成された複数の配線電極42R、42G及び42B(電極)と、基板41上に並置され、配線電極42R、42G及び42Bにそれぞれ電気的に接続された複数の発光素子43R、43G、43Bと、を有する。また、発光装置40は、基板41上において配線電極42R、42G及び42Bを覆うように形成され、かつ紫外光の照射によって光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含む可変光吸収層44と、複数の発光素子43R、43G、43Bを封止するように41基板上に形成され、かつ複数の発光素子43R、43G、43Bから放出された光に対して透光性を有する封止体45と、を有する。従って、実装後に容易に光学特性を調節することが可能であり、高品質かつ長寿命な発光装置40を提供することができる。
【0153】
なお、例えば、十分に配線電極42R、43G及び43Bが保護されている場合や劣化の懸念が少ない環境で使用される場合には、可変光吸収層44は、配線電極42R、42G及び42Bを覆っていなくてもよい。すなわち、発光装置40は、例えば、光出力及び波長の調節を行うように構成されることのみを考慮して構成されていてもよい。
【0154】
この場合、例えば、発光装置40は、基板41と、基板41上に並置され、互いにピーク波長が異なる光を放出する複数の発光素子43R、43G、43Bと、基板41上における複数の発光素子43R、43G、43Bの側方に形成され、かつ紫外光の照射によって複数の発光素子43R、43G、43Bから放出された光の少なくとも一部に対する光吸収特性が変化する複数の金属酸化物粒子を含む可変光吸収層44と、複数の発光素子43R、43G、43Bを封止するように41基板上に形成され、かつ複数の発光素子43R、43G、43Bから放出された光に対して透光性を有する封止体45と、を有していればよい。これによって、実装後に容易に光出力及び波長の調節を行うことが可能な発光装置40を提供することができる。
【符号の説明】
【0155】
10、20、30、40、40A 発光装置
14、22、34、44 可変光吸収層
P0、P1、P2、P3 酸化チタン粒子
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7