特開2020-205473(P2020-205473A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-205473(P2020-205473A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】通信回路及び通信回路の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20201127BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20201127BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20201127BHJP
【FI】
   H04B1/04 E
   H04W52/02
   H04W88/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-110991(P2019-110991)
(22)【出願日】2019年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】人見 伸也
(72)【発明者】
【氏名】帯屋 秀典
(72)【発明者】
【氏名】森 弘嗣
【テーマコード(参考)】
5K060
5K067
【Fターム(参考)】
5K060CC04
5K060DD04
5K060HH06
5K060KK01
5K060LL01
5K067CC21
5K067DD27
5K067EE02
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】DC(Dual Connectivity)における規格を遵守した通信を行うことができる通信回路を提供する。
【解決手段】通信回路10は、第1送信回路を含む第1伝送経路20と、第1送信回路と同時に送信可能な第2送信回路を含む第2伝送経路30とを備え、第2送信回路は、要求された送信電力である要求電力と、要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力との差が所定値より大きい場合に、その差が所定値未満となるように、第2送信回路の送信電力を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1送信回路と、
前記第1送信回路と同時に送信可能な第2送信回路とを備え、
前記第2送信回路は、要求された送信電力である要求電力と、前記要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力との差が所定値より大きい場合に、前記差が前記所定値未満となるように、前記第2送信回路の送信電力を変更する
通信回路。
【請求項2】
前記第1送信回路は、電力増幅器を有し、前記要求電力と前記予定電力との差が前記所定値より大きい場合に、前記電力増幅器のゲインを変更する
請求項1記載の通信回路。
【請求項3】
前記第2送信回路は、電力増幅器を有し、前記要求電力と前記予定電力との差が前記所定値より大きい場合に、前記電力増幅器のゲインを変更する
請求項1記載の通信回路。
【請求項4】
さらに、前記第1送信回路に送信信号を供給する信号源を備え、
前記信号源は、前記要求電力と前記予定電力との差が前記所定値より大きい場合に、前記第1送信回路に供給する前記送信信号の電力を変更する
請求項1記載の通信回路。
【請求項5】
さらに、前記第2送信回路に送信信号を供給する信号源を備え、
前記信号源は、前記要求電力と前記予定電力との差が前記所定値より大きい場合に、前記第2送信回路に供給する前記送信信号の電力を変更する
請求項1記載の通信回路。
【請求項6】
前記第2送信回路は、前記第1送信回路よりも小さい送信電力で送信する回路である
請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信回路。
【請求項7】
前記第1送信回路及び前記第2送信回路の一方は、第4世代移動通信システムに従って送信を行う回路であり、
前記第1送信回路及び前記第2送信回路の他方は、第5世代移動通信システムに従って送信を行う回路である
請求項1〜6のいずれか1項に記載の通信回路。
【請求項8】
前記第1送信回路及び前記第2送信回路の一方は、E−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)に従って送信を行う回路であり、
前記第1送信回路及び前記第2送信回路の他方は、NR(New Radio)に従って送信を行う回路である
請求項7記載の通信回路。
【請求項9】
前記予定電力は、前記第2送信回路に許容された最大送信電力と前記要求電力との差に基づいて算出される値である
請求項1〜8のいずれか1項に記載の通信回路。
【請求項10】
さらに、前記要求電力と前記予定電力との差が前記所定値より大きい場合に、前記差が前記所定値未満となるように、前記第2送信回路の送信電力を変更する制御を行う制御回路を備える
請求項1〜9のいずれか1項に記載の通信回路。
【請求項11】
前記制御回路は、前記第2送信回路に許容された最大送信電力と前記要求電力との差に基づいて前記予定電力を算出し、算出した前記予定電力と前記要求電力との差が前記所定値より大きいか否かを判断し、前記予定電力と前記要求電力との差が前記所定値より大きいと判断した場合に、前記制御を行う
請求項10記載の通信回路。
【請求項12】
第1送信回路と、前記第1送信回路と同時に送信可能な第2送信回路とを備える通信回路の制御方法であって、
前記第2送信回路について、要求された送信電力である要求電力と最大送信電力との差に基づいて、前記要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力を算出するステップと、
算出した前記予定電力と前記要求電力との差が所定値より大きいか否かを判断するステップと、
前記予定電力と前記要求電力との差が前記所定値より大きいと判断した場合に、前記差が前記所定値未満となるように、前記第2送信回路の送信電力を変更する制御を行うステップと
を含む通信回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信回路及び通信回路の制御方法に関し、特に、同時に送信可能な2つの送信回路を有する通信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)では、NR(New Radio)と呼ばれる第5世代移動通信システム(5G)への移行に向けて、端末装置がLTE(Long Term Evolution)又はE−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)と呼ばれる第4世代移動通信システム(4G)による送信と第5世代移動通信システム(5G)による送信とを同時にできること(EN−DC:E−UTRA−NR Dual Connectivity)を要求している。
【0003】
そのために、従来、EN−DCに対応した通信方法が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、従来のLTEのセルを用いたDC(Dual Connectivity)をNRに適用した場合であっても、基地局装置と端末装置との通信を効率的に行うことを可能にする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019−62444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、3GPPが策定する規格では、EN−DCにおいては、端末装置は、NRでの送信電力と、基地局装置から要求された送信電力である要求電力との差を、所定値(例えば、6dBm)以内に収めることが要求される予定である。しかしながら、上記特許文献1の端末装置では、このような要求電力のことが考慮されていないために、この規格を遵守した通信を行うことができるとは限らないという問題がある。
【0006】
具体的には、NRでの送信電力について、基地局装置からの要求電力との差を所定値以内とするためには、最低限の送信電力が必要となるが、既にLTEによる送信が行われている場合、LTEでの送信電力とNRでの送信電力との合計が許容送信電力を超えることができないために、NRでの送信電力と要求電力との差を所定値以内にできるとは限らない。ここで、許容送信電力とは、端末装置が属するPower Classに対応して規定された送信電力の上限である。
【0007】
そこで、本発明は、DCにおける規格を遵守した通信を行うことができる通信回路及び通信回路の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る通信回路は、第1送信回路と、前記第1送信回路と同時に送信可能な第2送信回路とを備え、前記第2送信回路は、要求された送信電力である要求電力と、前記要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力との差が所定値より大きい場合に、前記差が前記所定値未満となるように、前記第2送信回路の送信電力を変更する。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る通信回路の制御方法は、第1送信回路と、前記第1送信回路と同時に送信可能な第2送信回路とを備える通信回路の制御方法であって、前記第2送信回路について、要求された送信電力である要求電力と最大送信電力との差に基づいて、前記要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力を算出するステップと、算出した前記予定電力と前記要求電力との差が所定値より大きいか否かを判断するステップと、前記予定電力と前記要求電力との差が前記所定値より大きいと判断した場合に、前記差が前記所定値未満となるように、前記第2送信回路の送信電力を変更する制御を行うステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、DCにおける規格を遵守した通信を行うことができる通信回路及び通信回路の制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る通信回路のブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る通信回路の動作を示すフローチャートである。
図3図3は、図2に示される通信回路の動作の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、回路部品、回路部品の接続形態、処理ステップ、処理ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0013】
図1は、実施の形態に係る通信回路10のブロック図である。通信回路10は、EN−DCに対応した通信回路であり、RF信号処理回路(RFIC)11、第1伝送経路20、第2伝送経路30、アンテナスイッチ12、第1アンテナ13a、及び、第2アンテナ13bで構成される。なお、本実施の形態では、通信回路10は、基地局装置と通信する端末装置に備えられる。
【0014】
第1伝送経路20は、第1送信回路を含む伝送経路の一例であり、本実施の形態では、LTE(より詳しくは、E−UTRA)による送受信をする高周波回路である。第1伝送経路20は、入力スイッチ21、LTEモジュール22、アンテナスイッチ12の一つ(第1アンテナスイッチ12a)で構成される。なお、第1送信回路は、第1伝送経路20の構成要素のうち、入力スイッチ21と、LTEモジュール22を構成する電力増幅器(PA)23、送受切替スイッチ25及びバンドパスフィルタ26と、第1アンテナスイッチ12aとで構成される送信用の回路に相当する。
【0015】
入力スイッチ21は、RF信号処理回路11と電力増幅器23との接続をオンオフするスイッチであり、RF信号処理回路11による制御の下で、RF信号処理回路11が出力する送信信号の電力増幅器23への入力をオンオフする。入力スイッチ21は、例えば、FET(Field Effect Transistor)で構成される。
【0016】
LTEモジュール22は、E−UTRAによる送受信をするための回路部品が集積されたモジュールであり、電力増幅器23、低雑音増幅器(LNA)24、送受切替スイッチ25、及び、バンドパスフィルタ26で構成される。電力増幅器23は、入力スイッチ21を介して入力される送信信号を電力増幅する回路であり、RF信号処理回路11による制御の下でゲインを変更する。低雑音増幅器24は、送受切替スイッチ25を介して入力される受信信号を低雑音で増幅する回路である。電力増幅器23及び低雑音増幅器24は、例えば、バイポーラトランジスタ及び/又はFET等で構成される。なお、LTEモジュール22には、RF信号処理回路11による制御の下で、電源回路(図示せず)から電力増幅器23への電力供給をオンオフするスイッチ回路(図示せず)も含まれる。また、LTEモジュール22は、個々の回路部品からなるディスクリート回路に置き換えられてもよい。
【0017】
送受切替スイッチ25は、バンドパスフィルタ26に接続された1つの共通端子、及び、電力増幅器23の出力端子と低雑音増幅器24の入力端子とに接続された2つの選択端子を有するSPDT(Single Pole Double Throw)型のスイッチである。送受切替スイッチ25は、RF信号処理回路11による制御の下で、電力増幅器23から出力された送信信号をバンドパスフィルタ26に入力する、及び、バンドパスフィルタ26から出力された受信信号を低雑音増幅器24に入力することを切り替えることで、送信と受信とを時分割で行う時分割複信(TDD:Time Division Duplex)を実現する。送受切替スイッチ25は、例えば、複数のFETで構成される。なお、送受切替スイッチ25は、送信フィルタと受信フィルタとで構成されたデュプレクサに置き換えられてもよい。この場合には、送信と受信とを異なる周波数帯域で同時に行う周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)が実現される。
【0018】
バンドパスフィルタ26は、E−UTRAで用いられる周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。本実施の形態では、バンドパスフィルタ26は、E−UTRAで用いられる複数の周波数帯域(例えば、以下の表1に示される周波数帯域)のバンドパスフィルタの集まりであり、RF信号処理回路11によって選択された一つのバンドパスフィルタに対応する周波数帯域の信号を通過させる。バンドパスフィルタ26は、例えば、複数の弾性表面波フィルタ、及び、複数の弾性表面波フィルタの一つを選択して信号を通過させるスイッチ回路等で構成される。
【0019】
【表1】
【0020】
第2伝送経路30は、第1送信回路と同時に送信可能であって第1送信回路よりも小さい送信電力で送信する第2送信回路を含む伝送経路の一例である。本実施の形態では、第2伝送経路30は、NRによる送受信をする高周波回路であり、入力スイッチ31、NRモジュール32、アンテナスイッチ12の一つ(第2アンテナスイッチ12b)で構成される。なお、第2送信回路は、第2伝送経路30の構成要素のうち、入力スイッチ31と、NRモジュール32を構成する電力増幅器(PA)33、送受切替スイッチ35及びバンドパスフィルタ36と、アンテナスイッチ12の一つ(第2アンテナスイッチ12b)とで構成される送信用の回路に相当する。
【0021】
入力スイッチ31は、NRモジュール32を構成する電力増幅器33の入力端子に接続された第2スイッチの一例であり、RF信号処理回路11による制御の下で、RF信号処理回路11が出力する送信信号の電力増幅器33への入力をオンオフする。入力スイッチ31は、例えば、FETで構成される。
【0022】
NRモジュール32は、NRによる送受信をするための回路部品が集積されたモジュールであり、電力増幅器33、低雑音増幅器(LNA)34、送受切替スイッチ35、及び、バンドパスフィルタ36で構成される。電力増幅器33は、入力スイッチ31を介して入力される送信信号を電力増幅する回路であり、RF信号処理回路11による制御の下でゲインを変更する。低雑音増幅器34は、送受切替スイッチ35を介して入力される受信信号を低雑音で増幅する回路である。電力増幅器33及び低雑音増幅器34は、例えば、バイポーラトランジスタ及び/又はFET等で構成される。なお、NRモジュール32には、RF信号処理回路11による制御の下で、電源回路(図示せず)から電力増幅器33への電力供給をオンオフするスイッチ回路(図示せず)も含まれる。また、NRモジュール32は、個々の回路部品からなるディスクリート回路に置き換えられてもよい。
【0023】
送受切替スイッチ35は、電力増幅器33の出力端子に接続された第2スイッチの一例であり、バンドパスフィルタ36に接続された1つの共通端子、及び、電力増幅器33の出力端子と低雑音増幅器34の入力端子とに接続された2つの選択端子を有するSPDT型のスイッチである。送受切替スイッチ35は、RF信号処理回路11による制御の下で、電力増幅器33から出力された送信信号をバンドパスフィルタ36に入力する、及び、バンドパスフィルタ36から出力された受信信号を低雑音増幅器34に入力することを切り替えることで、TDDを実現する。送受切替スイッチ35は、例えば、複数のFETで構成される。なお、送受切替スイッチ35は、送信フィルタと受信フィルタとで構成されたデュプレクサに置き換えられてもよい。この場合には、FDDが実現される。
【0024】
バンドパスフィルタ36は、NRで用いられる周波数帯域の信号を通過させるフィルタである。本実施の形態では、バンドパスフィルタ36は、NRで用いられる複数の周波数帯域(例えば、以下の表2に示される周波数帯域)のバンドパスフィルタの集まりであり、RF信号処理回路11によって選択された一つのバンドパスフィルタに対応する周波数帯域の信号を通過させる。バンドパスフィルタ36は、例えば、複数の弾性表面波フィルタ、及び、複数の弾性表面波フィルタの一つを選択して信号を通過させるスイッチ回路等で構成される。
【0025】
【表2】
【0026】
また、第1伝送経路20のバンドパスフィルタ26と第2伝送経路30のバンドパスフィルタ36とについて、同時に使用されるバンドパスフィルタの周波数帯域の組み合わせは、例えば、B3−n3、B20−n28、B41−n41、B71−n71等である。
【0027】
アンテナスイッチ12は、LTEモジュール22と第1アンテナ13aとの接続をオンオフするSPST(Single Pole Single Throw)型の第1アンテナスイッチ12a、及び、NRモジュール32と第2アンテナ13bとの接続をオンオフするSPST型の第2アンテナスイッチ12bを含む。第1アンテナスイッチ12aは、第1伝送経路20の一部を構成する。第2アンテナスイッチ12bは、第2伝送経路30の一部を構成し、第2送信回路とアンテナとの接続をオンオフする第1スイッチの一例である。アンテナスイッチ12は、RF信号処理回路11による制御の下で、第1アンテナスイッチ12a及び第2アンテナスイッチ12bのそれぞれに対して、独立して、オンオフを制御する。アンテナスイッチ12は、例えば、複数のFETで構成される。
【0028】
第1アンテナ13aは、E−UTRAによる送受信に適したアンテナ素子で構成される。
【0029】
第2アンテナ13bは、NRによる送受信に適したアンテナ素子で構成される。
【0030】
RF信号処理回路(RFIC)11は、ベースバンド信号を変調することによって得られた高周波の送信信号を第1伝送経路20及び第2伝送経路30に供給する信号源として機能したり、第1伝送経路20及び第2伝送経路30で処理された高周波の受信信号を受け取って復調する受信回路として機能したり、第1伝送経路20及び第2伝送経路30を制御する制御回路として機能したりする。
【0031】
より詳しくは、RF信号処理回路11は、制御回路として、端末装置がEN−DCの動作モードにあるときに、第2送信回路について、基地局装置から要求された送信電力である要求電力と、要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力との差が所定値(例えば、6dBm)より大きい場合に、その差が所定値未満となるように、第2送信回路の送信電力を変更する制御を行う。なお、この制御状態においては、受信動作は、動作状態のままであってもよいし、あるいは、停止状態になってもよい。
【0032】
ここで、要求電力と予定電力との差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力を変更する制御には、具体的には、電力増幅器23のゲインを変更すること、電力増幅器33のゲインを変更すること、RF信号処理回路11が第1送信回路に供給する送信信号の電力を変更すること、及び、RF信号処理回路11が第2送信回路に供給する送信信号の電力を変更することの少なくとも一つが含まれる。いずれの制御を採用するかは、例えば、端末装置が備えるシステムプロセッサ(図示せず)がユーザからの指示に従ってRF信号処理回路11に対して指定することで決定される。これらの4つの具体的な制御の内容は、次の通りである。
【0033】
(1)電力増幅器23のゲインの変更
第2送信回路について、基地局装置から要求された要求電力と、要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力との差が所定値(例えば、6dBm)より大きい場合がある。例えば、第1送信回路が送信状態にあるために、第1送信回路の送信電力と、第2送信回路の予定電力との合計が、端末装置が属するPower Classの許容送信電力を超えるケースがある。そのときには、第2送信回路の予定電力として、第2送信回路に許容された最大送信電力に設定するが、それでも、第1送信回路の送信電力と、第2送信回路の予定電力(つまり、最大送信電力)との差が所定値より大きくなる場合がある。このような場合に、RF信号処理回路11は、第1伝送経路20の電力増幅器23のゲインを減少させるように変更する。すると、第1送信回路の送信電力が減少し、減少した分だけ、第2送信回路の最大送信電力、つまり、予定電力を大きくすることができる。その結果、第2送信回路の要求電力と予定電力との差を所定値以内とすることができる。よって、第1伝送経路20の電力増幅器23のゲインを減少させた後に、より大きな予定電力で第2送信回路を送信状態にすることで、DCにおける規格を遵守した通信を行うことができる。
【0034】
(2)電力増幅器33のゲインの変更
上記(1)で説明したケースにおいて、第1伝送経路20の電力増幅器23のゲインを減少させた後に、第2送信回路の最大送信電力、つまり、予定電力を大きくするために、RF信号処理回路11は、第2伝送経路30の電力増幅器33のゲインを増加するように変更する。その結果、第2送信回路の要求電力と予定電力との差を所定値以内とすることができる。よって、第1伝送経路20の電力増幅器23のゲインを減少させた後に、より大きな予定電力で第2送信回路を送信状態にすることで、DCにおける規格を遵守した通信を行うことができる。
【0035】
(3)第1送信回路に供給する送信信号の電力を変更
上記(1)で説明したケースにおいて、第1送信回路の送信電力を減少させるために、第1伝送経路20の電力増幅器23のゲインを減少させるように変更することに代えて、RF信号処理回路11が第1送信回路に供給する送信信号の電力を減少させるように変更する。他の処理は、上記(1)と同様である。このような制御方法であっても、上記(1)と同様に、第2送信回路の要求電力と予定電力との差を所定値以内とすることができる。
【0036】
(4)第2送信回路に供給する送信信号の電力を変更
上記(1)で説明したケースにおいて、第2送信回路の予定電力を増加させるために、上記(2)のように第2伝送経路30の電力増幅器33のゲインを増加させるように変更するのではなく、そのことに代えて、RF信号処理回路11が第2送信回路に供給する送信信号の電力を増加させるように変更する。他の処理は、上記(2)と同様である。このような制御方法であっても、上記(2)と同様に、第2送信回路の要求電力と予定電力との差を所定値以内とすることができる。
【0037】
なお、RF信号処理回路11は、第2送信回路に代えて、あるいは、第2送信回路に加えて、第1送信回路について、基地局装置から要求された送信電力である要求電力と、要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力との差が所定値(例えば、6dBm)より大きい場合に、その差が所定値未満となるように、第1送信回路の送信電力を変更する制御を行ってもよい。要求電力と予定電力との差が所定値未満となるように第1送信回路の送信電力を変更する制御には、電力増幅器23のゲインを変更すること、電力増幅器33のゲインを変更すること、RF信号処理回路11が第1送信回路に供給する送信信号の電力を変更すること、及び、RF信号処理回路11が第2送信回路に供給する送信信号の電力を変更することの少なくとも一つが含まれる。
【0038】
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る通信回路10の動作について説明する。
【0039】
図2は、本実施の形態に係る通信回路10の動作を示すフローチャートである。ここでは、EN−DCにおけるRF信号処理回路11による制御の手順(つまり、通信回路10の制御方法)が示されている。
【0040】
いま、通信回路10を備える端末装置は、EN−DCの動作モードになり、第1伝送経路20による送信(つまり、第1送信回路による送信)と第2伝送経路30による送信(つまり、第2送信回路による送信)とを同時に行うことが可能な状態にあるとする。
【0041】
RF信号処理回路11は、第2送信回路について、基地局装置から要求された送信電力である要求電力と第2送信回路に許容された最大送信電力との差に基づいて、要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力を算出する(S10)。
【0042】
次に、RF信号処理回路11は、算出した予定電力と要求電力との差が所定値(例えば、6dBm)より大きいか否かを判断する(S11)。
【0043】
その結果、予定電力と要求電力との差が所定値より大きいと判断した場合は(S11でYes)、RF信号処理回路11は、その差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力を変更する制御を行う(S12)。具体的には、RF信号処理回路11は、電力増幅器23のゲインを変更すること、電力増幅器33のゲインを変更すること、RF信号処理回路11が第1送信回路に供給する送信信号の電力を変更すること、及び、RF信号処理回路11が第2送信回路に供給する送信信号の電力を変更することの少なくとも一つを実行する。
【0044】
なお、RF信号処理回路11は、予定電力と要求電力との差が所定値以内であると判断した場合は(S11でNo)、上記予定電力の算出(S10)及び判断(S11)を繰り返す。
【0045】
以上の処理により、端末装置がEN−DCの動作モードにあるときに、NRでの予定電力と要求電力との差が所定値より大きい場合には、その差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力が変更されるので、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内でなければならないとの規格が遵守される。
【0046】
図3は、図2に示される通信回路10の動作の具体例を示す図である。ここでは、本実施の形態に係る通信回路10を備える端末装置40が、EN−DCの動作モードにおいて、E−UTRAによって第1アンテナ13aを介して第1基地局装置41と接続され、NRによって第2アンテナ13bを介して第2基地局装置42と接続された状態が図示されている。
【0047】
端末装置40は、Power Class 3で規定された許容送信電力(具体的には、23dBm(typ))の範囲内で送信を行うことができる。
【0048】
いま、第1基地局装置41からの要求電力が22dBmであるために、端末装置40は、22dBmの送信電力で、第1基地局装置41に対して、第1伝送経路20を介してE−UTRAによる送信をしている(S20)。なお、送信電力は、第1アンテナ13a及び第2アンテナ13bそれぞれの直下に設けられたカップラー(図示せず)を用いて検出され、目標の値となるように制御される。
【0049】
このように第1伝送経路20によるE−UTRAでの送信が行われている状況において、第1基地局装置41よりも端末装置40から離れて位置する第2基地局装置42からの要求電力が23dBmであったとする(S21)。
【0050】
すると、第2基地局装置42からの要求電力(23dBm)の通知を受け取った端末装置40では、RF信号処理回路11は、第1伝送経路20による送信電力22dBmと第2伝送経路30に対する要求電力23dBmとの合計と、Power Class 3で規定された許容送信電力23dBmとを比較することで、22dBm+23dBm>23dBmとなることから、もし第2伝送経路30が要求電力通りの送信電力でNRによる送信をした場合には端末装置40の許容送信電力を超えてしまうと判断する(S22)。
【0051】
そこで、RF信号処理回路11は、要求電力の23dBmに近く、かつ、端末装置40の許容送信電力を満たす、第2伝送経路30によるNRでの送信電力(つまり、予定電力)を算出する(S23)。具体的には、対数値の加算上、22dBm+16.5dBm≒23dBmであることから、RF信号処理回路11は、予定電力として、第2伝送経路30によるNRの最大送信電力である16.5dBmと算出する。
【0052】
そして、RF信号処理回路11は、算出した予定電力16.5dBmと要求電力23dBmとの差(つまり、dBm値の差)が所定値(ここでは、6)より大きいか否かを判断する(S24)。この例では、予定電力と要求電力との差(つまり、dBm値の差6.5)が所定値(6)よりも大きいので、RF信号処理回路11は、予定電力と要求電力との差が所定値よりも大きいと判断し(S24でNG)、第2送信回路の要求電力と予定電力との差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力を変更する制御を行う(S25)。
【0053】
具体的には、RF信号処理回路11は、第1伝送経路20の電力増幅器23のゲインを22dBmから20dBmに変更する。その結果、対数値の加算上、20dBm+20dBm≒23dBmであることから、第2送信回路の要求電力と予定電力との差を所定値以内とすることができる。よって、第1伝送経路20及び第2伝送経路30は、それぞれ、ゲインを変更した後の電力増幅器23及び33を用いて送信することで、DCにおける規格を遵守した通信を行うことができる。なお、電力増幅器23のゲインを変更することに代えて、RF信号処理回路11が電力増幅器23に供給する送信信号の電力を変更してもよい。同様に、電力増幅器33のゲインを変更することに代えて、RF信号処理回路11が電力増幅器33に供給する送信信号の電力を変更してもよい。
【0054】
これにより、NRでの送信電力と要求電力との差を所定値以内にできない場合には、その差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力が変更されるので、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内でなければならないとの規格が遵守される。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る通信回路10は、第1送信回路を含む第1伝送経路20と、第1送信回路と同時に送信可能な第2送信回路を含む第2伝送経路30とを備え、第2送信回路は、要求された送信電力である要求電力と、要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力との差が所定値より大きい場合に、その差が所定値未満となるように、第2送信回路の送信電力を変更する。
【0056】
これにより、第2送信回路についての要求電力と予定電力との差が所定値より大きい場合に、その差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力が変更されるので、例えば、第1送信回路でE−UTRAでの送信を行い、第2送信回路でNRでの送信を行ったときに、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内でなければならないとの規格を遵守することができる。
【0057】
ここで、第1送信回路は、電力増幅器23を有し、上記差が所定値より大きい場合に、電力増幅器23のゲインが変更される。これにより、上記差が所定値より大きい場合に電力増幅器23のゲインが変更されるので、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内となり得る。
【0058】
また、第2送信回路は、電力増幅器33を有し、上記差が所定値より大きい場合に、電力増幅器33のゲインが変更される。これにより、上記差が所定値より大きい場合に電力増幅器33のゲインが変更されるので、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内となり得る。
【0059】
また、通信回路10は、第1送信回路に送信信号を供給する信号源としてRF信号処理回路11を備え、RF信号処理回路11は、上記差が所定値より大きい場合に、第1送信回路に供給する送信信号の電力を変更する。これにより、上記差が所定値より大きい場合に第1送信回路に供給する送信信号の電力が変更されるので、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内となり得る。
【0060】
また、通信回路10は、第2送信回路に送信信号を供給する信号源としてRF信号処理回路11を備え、RF信号処理回路11は、上記差が所定値より大きい場合に、第2送信回路に供給する送信信号の電力を変更する。これにより、上記差が所定値より大きい場合に第2送信回路に供給する送信信号の電力が変更されるので、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内となり得る。
【0061】
また、第2送信回路は、第1送信回路よりも小さい送信電力で送信する回路である。これにより、例えば、第1送信回路で、より送信電力の大きいE−UTRAでの送信を行い、第2送信回路で、より送信電力の小さいNRでの送信を行った場合に、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内でなければならないとの規格が遵守される。
【0062】
また、第1送信回路及び第2送信回路の一方は、第4世代移動通信システムに従って送信を行う回路であり、第1送信回路及び第2送信回路の他方は、第5世代移動通信システムに従って送信を行う回路である。具体的には、第1送信回路及び第2送信回路の一方は、E−UTRAに従って送信を行う回路であり、第1送信回路及び第2送信回路の他方は、NRに従って送信を行う回路である。
【0063】
これにより、例えば、第1送信回路でE−UTRAでの送信を行い、第2送信回路でNRでの送信を行った場合に、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内でなければならないとの規格が遵守される。
【0064】
また、予定電力は、第2送信回路に許容された最大送信電力と要求電力との差に基づいて算出される値である。これにより、第2送信回路に許容された最大送信電力に基づいて予定電力が算出されるので、許容された最大送信電力を超えて第2送信回路が送信されることが回避される。
【0065】
また、通信回路10は、上記差が所定値より大きい場合に、上記差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力を変更する制御を行う制御回路としてRF信号処理回路11を備える。そして、制御回路は、第2送信回路に許容された最大送信電力と要求電力との差に基づいて予定電力を算出し、算出した予定電力と要求電力との差が所定値より大きいか否かを判断し、予定電力と要求電力との差が所定値より大きいと判断した場合に、上記差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力を変更する制御を行う。これにより、第2送信回路についての要求電力と予定電力との差が所定値より大きい場合に、制御回路による制御の下で上記差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力が変更される。
【0066】
また、本実施の形態に係る通信回路10の制御方法は、第1送信回路と、第1送信回路と同時に送信可能な第2送信回路とを備える通信回路10の制御方法であって、第2送信回路について、要求された送信電力である要求電力と最大送信電力との差に基づいて、要求電力に従って送信する場合の送信電力である予定電力を算出するステップ(S10)と、算出した予定電力と要求電力との差が所定値より大きいか否かを判断するステップ(S11)と、予定電力と要求電力との差が所定値より大きいと判断した場合に、上記差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力を変更する制御を行うステップ(S12)とを含む。
【0067】
これにより、第2送信回路についての要求電力と予定電力との差が所定値より大きい場合に、上記差が所定値未満となるように第2送信回路の送信電力が変更される。よって、例えば、第1送信回路でE−UTRAでの送信を行い、第2送信回路でNRでの送信を行った場合に、EN−DCにおいてNRでの送信電力と基地局装置からの要求電力との差が所定値以内でなければならないとの規格が遵守される。
【0068】
以上、本発明に係る通信回路及び通信回路の制御方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0069】
例えば、上記実施の形態において、通信回路10は、ベースバンド信号処理回路(BBIC)を備えてもよい。このとき、ベースバンド信号処理回路は、ベースバンド信号の処理だけでなく、RF信号処理回路11に代わり、あるいは、RF信号処理回路11に加えて、RF信号処理回路11よる制御回路としての機能を有してもよい。つまり、ベースバンド信号処理回路が上記差を所定値未満にするために第2送信回路の送信電力を変更する制御を行ってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、より送信電力が小さいNRでの送信について、要求電力と予定電力との差が所定値より大きい場合に第2送信回路の送信電力が変更されたが、第1送信回路及び第2送信回路のうち、より送信電力が大きい送信回路について、要求電力と予定電力との差が所定値より大きい場合に送信電力が変更されてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、通信回路10は、送信だけでなく、受信も行ったが、送信だけを行う回路であってもよい。さらに、第1伝送経路20及び第2伝送経路30は、それぞれ、E−UTRA及びNRによる送受信を行ったが、それ以外の移動通信システムによる送受信を行ってもよい。本発明は、あらゆる種類の2種類の移動通信システムによる送信を同時に行うDCに適用することができる。
【0072】
また、本発明に係る通信回路の制御方法は、制御方法に含まれるステップをプロセッサに実行させるためのプログラム、プログラムを格納したCD−ROM等の非一時的な記録媒体として実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、同時に送信可能な2つの送信回路を有する通信回路として、特に、EN−DCにおける規格を遵守した通信を行うことができる通信回路として、例えば、携帯電話等の通信機器に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
10 通信回路
11 RF信号処理回路(RFIC)
12 アンテナスイッチ
12a 第1アンテナスイッチ
12b 第2アンテナスイッチ
13a 第1アンテナ
13b 第2アンテナ
20 第1伝送経路
21、31 入力スイッチ
22 LTEモジュール
23、33 電力増幅器(PA)
24、34 低雑音増幅器(LNA)
25、35 送受切替スイッチ
26、36 バンドパスフィルタ
30 第2伝送経路
32 NRモジュール
40 端末装置
41 第1基地局装置
42 第2基地局装置
図1
図2
図3