【解決手段】電力用トランスの一次側巻線に接続されたスイッチングトランジスタをスイッチング駆動することで一次側電圧から二次側電圧を得る絶縁型DC/DCコンバータにおいて、二次側制御回路は二次側電圧に基づきスイッチングトランジスタに対する原PWM信号(S
)を生成し、原PWM信号に基づく送信信号(TP2)を通信用トランスの二次側巻線に供給する。一次側制御回路は通信用トランスの一次側巻線に発生した電圧に基づき受信信号(RP1)を生成し、受信信号に基づく復元PWM信号(S
)に基づいてスイッチングトランジスタをオン/オフ制御する。原PWM信号と復元PWM信号との整合が崩れたとき、補正信号(TP2_C)を通信用トランスの二次側巻線に供給することで、それらの整合性を復帰させる。
電力用トランスの一次側及び二次側を互いに絶縁しつつ、前記電力用トランスの一次側巻線に接続されたスイッチングトランジスタをスイッチングすることにより、一次側における一次側電圧から二次側における二次側電圧を生成する絶縁型DC/DCコンバータにおいて、
一次側に配置され、前記スイッチングトランジスタを駆動する一次側制御回路と、
二次側に配置される二次側制御回路と、
前記二次側制御回路から前記一次側制御回路への信号伝達を実現する通信用トランスと、を備え、
前記二次側制御回路は、前記二次側電圧に基づいて前記スイッチングトランジスタに対する原スイッチング制御信号を生成する制御信号生成部と、前記原スイッチング制御信号に基づく送信信号を前記通信用トランスの二次側巻線に供給する二次側送信部と、を有し、
前記一次側制御回路は、前記通信用トランスの一次側巻線に生じた電圧に基づき受信信号を生成する一次側受信部と、前記受信信号に基づき前記原スイッチング制御信号を復元して復元スイッチング制御信号を生成する復元部と、前記復元スイッチング制御信号に基づき前記スイッチングトランジスタをスイッチングする駆動部と、を有し、
前記二次側制御回路は、前記原スイッチング制御信号と前記復元スイッチング制御信号との整合性を判定する整合判定部を更に有し、前記復元スイッチング制御信号が前記原スイッチング制御信号と整合していないと判断したとき、前記二次側送信部を用いて補正信号を前記通信用トランスの二次側巻線に供給することで前記復元スイッチング制御信号を前記原スイッチング制御信号に整合させる
ことを特徴とする絶縁型DC/DCコンバータ。
前記二次側制御回路では前記原スイッチング制御信号により、前記スイッチングトランジスタがオン状態に制御されるべき第1区間と前記スイッチングトランジスタがオフ状態に制御されるべき第2区間とが交互に指定され、
前記一次側制御回路では前記復元スイッチング制御信号により前記第1区間と前記第2区間とが交互に指定され、
前記駆動部は、前記復元スイッチング制御信号にて指定される前記第1区間において前記スイッチングトランジスタをオン状態とし、前記復元スイッチング制御信号にて指定される前記第2区間において前記スイッチングトランジスタをオン状態とし、
前記二次側送信部は、前記原スイッチング制御信号にて指定される前記第2区間から前記第1区間への遷移タイミング及び前記第1区間から前記第2区間への遷移タイミングの夫々において前記送信信号を前記通信用トランスの二次側巻線に供給し、且つ、前記復元スイッチング制御信号が前記原スイッチング制御信号と整合していないと判断されたときには前記補正信号を前記通信用トランスの二次側巻線に供給し、
前記一次側受信部は、前記通信用トランスの二次側巻線に対する前記送信信号又は前記補正信号の供給によって前記通信用トランスの一次側巻線に生じた電圧に基づき、前記受信信号を生成し、
前記復元部は、前記一次側受信部にて前記受信信号が生成されるたびに、前記復元スイッチング制御信号にて指定される区間を前記第1区間及び前記第2区間間で切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁型DC/DCコンバータ。
前記整合判定部は、前記原スイッチング制御信号と前記電力用トランスの二次側巻線に流れる二次側電流とに基づいて、前記原スイッチング制御信号と前記復元スイッチング制御信号との整合性を判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁型DC/DCコンバータ。
電力用トランスの一次側及び二次側を互いに絶縁しつつ、前記電力用トランスの一次側巻線に接続されたスイッチングトランジスタをスイッチングすることにより、一次側における一次側電圧から二次側における二次側電圧を生成する絶縁型DC/DCコンバータにおいて、
一次側に配置され、前記スイッチングトランジスタを駆動する一次側制御回路と、
二次側に配置され、前記電力用トランスの二次側巻線に接続された同期整流トランジスタを駆動する二次側制御回路と、
前記一次側制御回路から前記二次側制御回路への信号伝達を実現する通信用トランスと、を備えて、同期整流方式で電力変換を行い、
前記一次側制御回路は、前記二次側電圧に応じたフィードバック信号に基づいて前記スイッチングトランジスタに対する原スイッチング制御信号を生成する制御信号生成部と、前記原スイッチング制御信号に基づき前記スイッチングトランジスタをスイッチングする駆動部と、前記原スイッチング制御信号に基づく送信信号を前記通信用トランスの一次側巻線に供給する一次側送信部と、を有し、
前記二次側制御回路は、前記通信用トランスの二次側巻線に生じた電圧に基づき受信信号を生成する二次側受信部と、前記受信信号に基づき前記原スイッチング制御信号を復元して復元スイッチング制御信号を生成する復元部と、前記復元スイッチング制御信号に基づき前記同期整流トランジスタをスイッチングする同期整流駆動部と、を有し、
前記一次側制御回路は、前記原スイッチング制御信号と前記復元スイッチング制御信号との整合性を判定する整合判定部を更に有し、前記復元スイッチング制御信号が前記原スイッチング制御信号と整合していないと判断したとき、前記一次側送信部を用いて補正信号を前記通信用トランスの一次側巻線に供給することにより前記復元スイッチング制御信号を前記原スイッチング制御信号に整合させる
ことを特徴とする絶縁型DC/DCコンバータ。
前記一次側制御回路では前記原スイッチング制御信号により、前記スイッチングトランジスタがオン状態に制御されるべき第1区間と前記スイッチングトランジスタがオフ状態に制御されるべき第2区間とが交互に指定され、
前記駆動部は、前記原スイッチング制御信号にて指定される前記第1区間において前記スイッチングトランジスタをオン状態とし、前記原スイッチング制御信号にて指定される前記第2区間において前記スイッチングトランジスタをオフ状態とし、
前記二次側制御回路では前記復元スイッチング制御信号により前記第1区間と前記第2区間とが交互に指定され、
前記同期整流駆動部は、前記復元スイッチング制御信号にて指定される前記第1区間において前記同期整流トランジスタをオフ状態とし、前記復元スイッチング制御信号にて指定される前記第2区間の全部又は一部において前記同期整流トランジスタをオン状態とし、
前記一次側送信部は、前記原スイッチング制御信号にて指定される前記第2区間から前記第1区間への遷移タイミング及び前記第1区間から前記第2区間への遷移タイミングの夫々において前記送信信号を前記通信用トランスの一次側巻線に供給し、且つ、前記復元スイッチング制御信号が前記原スイッチング制御信号と整合していないと判断されたときには前記補正信号を前記通信用トランスの一次側巻線に供給し、
前記二次側受信部は、前記通信用トランスの一次側巻線に対する前記送信信号又は前記補正信号の供給によって前記通信用トランスの二次側巻線に生じた電圧に基づき、前記受信信号を生成し、
前記復元部は、前記二次側受信部にて前記受信信号が生成されるたびに、前記復元スイッチング制御信号にて指定される区間を前記第1区間及び前記第2区間間で切り替える
ことを特徴とする請求項5に記載の絶縁型DC/DCコンバータ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、素子又は部位等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、素子又は部位等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“M1”によって参照されるスイッチングトランジスタは(
図2参照)、スイッチングトランジスタM1と表記されることもあるし、トランジスタM1と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0023】
まず、本発明の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。レベルとは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。任意の信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジと称し、ローレベルからハイレベルへの切り替わりのタイミングをアップエッジタイミングと称する。同様に、任意の信号又は電圧において、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジと称し、ハイレベルからローレベルへの切り替わりのタイミングをダウンエッジタイミングと称する。
【0024】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通状態となっていることを指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通状態(遮断状態)となっていることを指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解して良い。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。PWMはパルス幅変調(Pulse Width Modulation)の略称である。
【0025】
以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。任意のトランジスタについて、オフ状態からオン状態への切り替わりをターンオンと表現し、オン状態からオフ状態への切り替わりをターンオフと表現する。また、任意のトランジスタについて、トランジスタがオン状態となっている区間をオン区間と称することがあり、トランジスタがオフ状態となっている区間をオフ区間と称することがある。ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の信号について、当該信号のレベルがハイレベルとなる区間をハイレベル区間と称し、当該信号のレベルがローレベルとなる区間をローレベル区間と称する。ハイレベル又はローレベルの電圧レベルをとる任意の電圧についても同様である。
【0026】
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態に係るAC/DCコンバータ1の全体構成図である。AC/DCコンバータ1は、フィルタ2と、整流回路3と、絶縁型DC/DCコンバータ4であるDC/DCコンバータ4と、平滑コンデンサC1と、出力コンデンサC2と、を備える。出力コンデンサC2はDC/DCコンバータ4の構成要素に含まれると解しても構わない。詳細は後述の説明から明らかとなるが、AC/DCコンバータ1では、一次側電圧V
Pからトランスを用いスイッチング方式にて二次側電圧V
Sを生成する。
【0027】
AC/DCコンバータ1は、AC/DCコンバータ1の一次側に配置された一次側回路とAC/DCコンバータ1の二次側に配置された二次側回路とから成り、一次側回路と二次側回路とは互いに電気的に絶縁される。尚、DC/DCコンバータ4に注目した場合、上記一次側回路はDC/DCコンバータ4の一次側に配置された一次側回路であって、且つ、上記二次側回路はDC/DCコンバータ4の二次側に配置された二次側回路であると解される。フィルタ2、整流回路3及び平滑コンデンサC1は一次側回路に配置され、出力コンデンサC2は二次側回路に配置される。DC/DCコンバータ4は一次側回路と二次側回路に亘って配置される。
【0028】
一次側回路におけるグランドは“GND1”にて参照され、二次側回路におけるグランドは“GND2”にて参照される。一次側電圧V
Pを含む、一次側回路における電圧は、グランドGND1を基準とする電圧である。二次側電圧V
Sを含む、二次側回路における電圧は、グランドGND2を基準とする電圧である。一次側回路及び二次側回路の夫々において、グランドは0V(ゼロボルト)の基準電位を有する導電部(所定電位点)を指す又は基準電位そのものを指す。但し、グランドGND1とグランドGND2は互いに絶縁されているため、互いに異なる電位を有し得る。
【0029】
フィルタ2は、AC/DCコンバータ1に入力された交流電圧V
ACのノイズを除去する。交流電圧V
ACは商用交流電圧であって良い。整流回路3は、フィルタ2を通じて供給された交流電圧V
ACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。平滑コンデンサC1は全波整流された電圧を平滑化することで直流電圧を生成する。平滑コンデンサC1にて生成された直流電圧は一次側電圧V
Pとして機能する。一次側電圧V
Pは一対の入力端子TM
1H及びTM
1L間に加わる。詳細には、平滑コンデンサC1の低電位側の端子はグランドGND1に接続されると共に入力端子TM
1Lに接続され、平滑コンデンサC1の高電位側の端子は入力端子TM
1Hに接続される。そして、入力端子TM
1Lにおける電位を基準に入力端子TM
1Hに一次側電圧V
Pが加わる。
【0030】
DC/DCコンバータ4は、一次側電圧V
Pをスイッチング方式にて電力変換(直流−直流変換)することで、所定の目標電圧V
TGにて安定化された二次側電圧V
Sを生成する。二次側電圧V
SはAC/DCコンバータ1の出力電圧に相当し、一対の出力端子TM
2H及びTM
2L間に加わる。詳細には、出力コンデンサC2の低電位側の端子はグランドGND2に接続されると共に出力端子TM
2Lに接続され、出力コンデンサC2の高電位側の端子は出力端子TM
2Hに接続される。そして、出力端子TM
2Lにおける電位を基準に出力端子TM
2Hに二次側電圧V
Sが加わる。一対の入力端子TM
1H及びTM
1LはDC/DCコンバータ4における入力端子対に相当すると考えて良く、一対の出力端子TM
2H及びTM
2LはAC/DCコンバータ1又はDC/DCコンバータ4における出力端子対に相当すると考えて良い。
【0031】
図1には負荷LDも示されている。負荷LDは、AC/DCコンバータ1の負荷であると考えることもできるし、DC/DCコンバータ4に注目すればDC/DCコンバータ4の負荷であると考えることもできる。負荷LDは、一対の出力端子TM
2H及びTM
2Lに接続され、二次側電圧V
Sに基づき駆動する任意の負荷である。例えば、負荷LDは、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路又はデジタル回路である。
【0032】
図2に、AC/DCコンバータ1に設けられるDC/DCコンバータ4の内部構成例を示す。DC/DCコンバータ4は、一次側巻線W1及び二次側巻線W2を有する電力用トランスであるトランスTRを備える。トランスTRにおいて、一次側巻線W1と二次側巻線W2とは電気的に絶縁されつつ互いに逆極性にて磁気結合されている。
【0033】
DC/DCコンバータ4の一次側回路(換言すればAC/DCコンバータ1の一次側回路)には、一次側巻線W1に加えて、一次側制御回路10と、一次側電源回路11と、平滑コンデンサC1と、スイッチング素子の例としてのスイッチングトランジスタM1と、センス抵抗R
CSと、が設けられる。DC/DCコンバータ4に注目した場合、平滑コンデンサC1は入力コンデンサC1とも称される。上述したように、入力端子TM
1L及びTM
1H間に入力コンデンサC1が設けられ、入力コンデンサC1の両端子間に一次側電圧V
Pが加わる。
【0034】
スイッチングトランジスタM1はNチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)として構成されている。一次側巻線W1の一端は入力端子TM
1Hに接続されて直流の一次側電圧V
Pを受ける。一次側巻線W1の他端はスイッチングトランジスタM1のドレインに接続され、スイッチングトランジスタM1のソースはセンス抵抗R
CSを介してグランドGND1に接続される。一次側電源回路11は、一次側電圧V
Pを直流―直流変換することで所望の電圧値を有する電源電圧VCCを生成して一次側制御回路10に供給する。一次側制御回路10は電源電圧(駆動電圧)VCCに基づいて駆動する。
【0035】
一次側制御回路10はスイッチングトランジスタM1のゲートに接続され、スイッチングトランジスタM1のゲートに駆動信号DRVを供給することでスイッチングトランジスタM1をスイッチング駆動する。駆動信号DRVは、信号レベルがローレベル及びハイレベル間で切り替わる矩形波状の信号である。トランジスタM1のゲートにローレベル、ハイレベルの信号が供給されているとき、トランジスタM1は、夫々、オフ状態、オン状態となる。
【0036】
DC/DCコンバータ4の二次側回路(換言すればAC/DCコンバータ1の二次側回路)には、二次側巻線W2に加えて、二次側制御回路20と、同期整流トランジスタM2と、ダイオードD2と、分圧抵抗R1〜R4と、出力コンデンサC2と、が設けられる。同期整流トランジスタM2(以下、SRトランジスタM2と称され得る)はNチャネル型のMOSFETとして構成されている。ダイオードD2はSRトランジスタM2の寄生ダイオードである。故に、SRトランジスタM2のソースからドレインに向かう方向を順方向としてダイオードD2がSRトランジスタM2に並列接続されることになる。ダイオードD2は寄生ダイオードとは別に設けられたダイオードであっても良い。
【0037】
二次側巻線W2の一端は出力端子TM
2Hに接続され、故に二次側巻線W2の一端には二次側電圧V
Sが加わる。二次側巻線W2の他端はSRトランジスタM2のドレインに接続される。二次側巻線W2の他端での電圧(換言すればSRトランジスタM2のドレイン電圧)を“V
DR”にて表す。二次側巻線W2の他端及びSRトランジスタM2のドレイン間の接続ノードは分圧抵抗R1の一端に接続され、分圧抵抗R1の他端は分圧抵抗R2を介してグランドGND2に接続される。このため、分圧抵抗R1及びR2間の接続ノードには電圧V
DRの分圧である電圧V
Aが加わる。一方、二次側電圧V
Sが加わる出力端子TM
2Hは分圧抵抗R3の一端に接続され、分圧抵抗R3の他端は分圧抵抗R4を介してグランドGND2に接続される。このため、分圧抵抗R3及びR4間の接続ノードには二次側電圧V
Sの分圧である電圧V
Bが加わる。当然であるが、電圧V
DR、V
A及びV
Bは、二次側電圧V
Sと同様にグランドGND2を基準とする電圧である。
【0038】
SRトランジスタM2のソースはグランドGND2に接続される。上述したように、出力端子TM
2H及びTM
2L間に出力コンデンサC2が設けられ、故に出力コンデンサC2の両端子間に二次側電圧V
Sが加わる。
【0039】
二次側制御回路20は二次側電圧V
Sを電源電圧(駆動電圧)として用いて駆動する。二次側制御回路20は、SRトランジスタM2のゲート電圧を制御することでSRトランジスタM2のオン、オフを制御する。二次側制御回路20は、当該制御を、電圧V
Aに基づき又は電圧V
A及びV
Bに基づき行っても良く、この際、トランジスタM1及びM2が同時にオンとならないようにSRトランジスタM2のゲート電圧を制御することができる。
【0040】
DC/DCコンバータ4において、一次側回路と二次側回路とに亘ってパルストランス部30が設けられている。パルストランス部30は、一次側制御回路10及び二次側制御回路20間の通信を実現するための通信用トランスであり、1以上のパルストランスを備えて構成される。パルストランス部30を介した通信は絶縁形式の通信である(即ち一次側回路と二次側回路とを絶縁した状態での通信である)。制御回路10及び20間の通信は、制御回路10及び20の内の一方から他方への信号伝達のみが可能な一方向通信、又は、制御回路10及び20間の双方向通信である。本実施形態において、以下では、パルストランス部30を介した二次側制御回路20から一次側制御回路10への信号伝達が可能であることを想定する。
【0041】
一次側制御回路10は、センス抵抗R
CSでの電圧降下に相当する電流センス電圧V
CSに基づいて駆動信号DRVを生成することができる他、パルストランス部30を介した二次側制御回路20の制御の下で、駆動信号DRVを生成することもできる。
【0042】
一次側制御回路10には複数の端子が設けられており、一次側制御回路10に設けられた複数の端子には、スイッチングトランジスタM1のゲートに接続される端子TM11と、電源電圧VCCを受ける端子TM12と、グランドGND1に接続される端子TM13と、電流センス電圧V
CSを受ける端子TM14と、一次側にてパルストランス部30に接続される端子TM15と、が含まれる。端子TM15は2以上の端子にて構成されることもある。
【0043】
二次側制御回路20には複数の端子が設けられており、二次側制御回路20に設けられた複数の端子には、SRトランジスタM2のゲートに接続される端子TM21と、二次側電圧V
Sを受ける端子TM22と、グランドGND2に接続される端子TM23と、電圧V
Aを受ける端子TM24と、電圧V
Bを受ける端子TM25と、二次側にてパルストランス部30に接続される端子TM26と、が含まれる。端子TM26は2以上の端子にて構成されることもある。
【0044】
このように構成されたDC/DCコンバータ4では、スイッチングトランジスタM1をスイッチングすることにより(換言すればスイッチングトランジスタM1をスイッチング制御することにより)一次側電圧V
Pから二次側電圧V
Sを得ることができる。即ち、スイッチングトランジスタM1のオン区間において一次側巻線W1にエネルギが蓄積され、蓄積されたエネルギがスイッチングトランジスタM1のオフ区間にて二次側巻線W2から放出されることにより出力コンデンサC2が充電されて二次側電圧V
Sが得られる。エネルギが二次側巻線W2から放出される際にSRトランジスタM2をオンにしておくことで損失の低減が図られる。
【0045】
尚、一次側電源回路11を設ける代わりに、トランスTRに補助巻線を設けておき、補助巻線を含んで構成される自己電源回路にて一次側制御回路10の電源電圧VCCが生成されるようにしても良い。
【0046】
また、センス抵抗R
CSを介して流れる電流を一次側電流と称し、記号“I
P”にて参照する。一次側電流I
Pは、入力端子TM
1Hから一次側巻線W1及びスイッチングトランジスタM1を通じてグランドGND1へと流れる電流である。二次側回路において、グランドGND2から二次側巻線W2を通じて出力端子TM
2Hへと流れる電流を二次側電流と称し、記号“I
S”にて表す。
【0047】
[同期整流時の信号波形例]
図3に、DC/DCコンバータ4において行われ得る同期整流の際の各信号波形例を示す。
図3の例では、タイミングt
A1及びt
A2間の区間においてスイッチングトランジスタM1がオン状態とされ、その後、タイミングt
A5までの区間においてスイッチングトランジスタM1がオフ状態とされる。
【0048】
スイッチングトランジスタM1のオン区間において、一次側巻線W1に電流I
Pが流れ、電圧V
DRが二次側電圧V
Sよりも電圧V
OR2だけ高くなる。電圧V
OR2はスイッチングトランジスタM1のオン区間において二次側巻線W2に生じる誘起電圧である。タイミングt
A2にてスイッチングトランジスタM1がターンオフすると、電圧V
DR及びV
AがグランドGND2より低い電圧まで急峻に低下し、ダイオードD2を通じて二次側電流I
Sが流れる。二次側制御回路20は、スイッチングトランジスタM1がターンオフすると速やかにSRトランジスタM2をターンオンすることができる。例えば、電圧V
Aが所定の負のターンオン判定電圧(例えば−100mV)を下回ったことが二次側制御回路20にて検知されたとき、二次側制御回路20はSRトランジスタM2をターンオンすることができる。タイミングt
A3はSRトランジスタM2のターンオンタイミングを表す。
【0049】
SRトランジスタM2がターンオンした後、二次側電流I
SはSRトランジスタM2のチャネルを通じて流れ、二次側電流I
Sの大きさはトランスTRの蓄積エネルギの低下と共に低下してゆく。タイミングt
A3の後のタイミングt
A4において、二次側制御回路20は、SRトランジスタM2をターンオフする。例えば、二次側制御回路20は、電圧V
Aが所定の負のターンオフ判定電圧(例えば−10mV)以上となったことを受けてSRトランジスタM2をターンオフすることができる。ターンオフ判定電圧の電位はターンオン判定電圧の電位よりも高い。その後、タイミングt
A5にてスイッチングトランジスタM1がターンオンされる。以後、同様の動作が繰り返される。
【0050】
このようなSRトランジスタM2の制御方式はコンパレータ方式と称される。後述されるように、DC/DCコンバータ4では、二次側制御回路20が主体となってスイッチングトランジスタM1のオン/オフを制御することができ、この場合にはコンパレータ方式は使用されない(但し、使用されても良い)。何れにせよ、トランジスタM1及びM2が同時にオンとならないように、トランジスタM1及びM2が制御される。
【0051】
[動作フローチャート]
図4はAC/DCコンバータ1及びDC/DCコンバータ4の動作フローチャートである。AC/DCコンバータ1に対する交流電圧V
ACの入力が開始されると(ステップSTP1)、一次側電圧V
Pが上昇することで一次側制御回路10が起動可能な駆動電圧VCCが生成されて一次側制御回路10が起動する(ステップSTP2)。一次側制御回路10が起動すると、一次側制御回路10は、まず所定のバースト動作を行う(ステップSTP3)。バースト動作において、一次側制御回路10は、スイッチングトランジスタM1をターンオンした後、電流センス電圧V
CSの電圧値が所定値に達した時点でスイッチングトランジスタM1をターンオフするという動作を周期的に繰り返し実行する。これにより、出力コンデンサC2が充電されてゆき、二次側電圧V
Sが所定の二次側起動電圧に達すると二次側制御回路20が起動する(ステップSTP4)。二次側制御回路20が起動すると、二次側制御回路20に設けられたスタート回路(不図示)が主体となって、所定の起動信号をパルストランス部30を介して一次側制御回路10に伝達する処理を含む起動シーケンス処理を実行する(ステップSTP5)。起動シーケンス処理が正常終了すると、以後は、二次側制御回路20の制御の下でトランジスタM1がスイッチング駆動される二次側制御が開始される(ステップSTP6)。
【0052】
起動シーケンス処理の一例を挙げる。起動シーケンス処理において、二次側制御回路20に設けられたスタート回路(不図示)は、電圧V
Aに基づきトランジスタM1がオン状態であると判断される区間中に第1起動信号をパルストランス部30を介して一次側制御回路10に送信する。一次側制御回路10は第1起動信号の受信に応答してバースト動作を終了させると共にトランジスタM1を直ちにターンオフする。スタート回路は、第1起動信号に応答してトランジスタM1がターンオフされたことを電圧V
Aに基づいて確認した後、複数の第2起動信号を順次パルストランス部30を介して一次側制御回路10に送信する。一次側制御回路10は第2起動信号を受信する度にトランジスタM1の状態をオン及びオフ間で切り替える。スタート回路は、第2起動信号の送信ごとにトランジスタM1の状態がオン及びオフ間で切り替えられていることを電圧V
Aに基づき確認すると、起動シーケンス処理を正常終了させる。
【0053】
尚、起動シーケンス処理において、起動信号に応答するトランジスタM1のオン及びオフ間の切り替えが確認されない場合などにあっては、所定のエラー対応処理が行われる。エラー対応処理において、スタート回路は例えば起動シーケンス処理を最初からやり直すことができる。
【0054】
尚、起動シーケンス処理の正常終了時点のトランジスタM1の状態はオフ状態であるとする。以下、本実施形態では、起動シーケンス処理が正常終了した後の二次側制御の内容、及び、二次側制御を行うための構成について説明する。
【0055】
[各制御回路の内部構成]
二次側制御の実現に関わる構成を説明する。
図5は二次側制御回路20Aの一部構成図であり、
図6は一次側制御回路10Aの一部構成図である。本実施形態では、以下、二次側制御回路20Aが二次側制御回路20として且つ一次側制御回路10Aが一次側制御回路10として用いられることを想定する。
【0056】
図5に示す如く、二次側制御回路20Aは、PWM制御部(制御信号生成部)210と、二次側送信部220と、整合判定部230と、を備える。
図6に示す如く、一次側制御回路10Aは、一次側受信部110と、復元部120と、駆動部130と、を備える。整合判定部230についての説明は後に設けるものとし、
図5及び
図6に示す部位の内、整合判定部230以外の部位の機能及び動作について説明する。
【0057】
PWM制御部210は、二次側電圧V
Sに応じた電圧V
Bに基づき信号S
PWM2を生成する。信号S
PWM2は、スイッチングトランジスタM1に対するPWM信号であって、原スイッチング制御信号の例である。PWM制御部210は生成した信号S
PWM2を二次側送信部220に出力する。
【0058】
二次側送信部220は、PWM制御部210にて生成された信号S
PWM2に基づく信号をパルストランス部30に出力する。
図7を参照し、信号S
PWM2に基づく信号の、二次側制御回路20Aから一次側制御回路10Aへの伝達の流れを説明する。パルストランス部30には、二次側制御回路20Aから一次側制御回路10Aへの信号伝達を可能とするパルストランス31が設けられている。パルストランス31は、互いに絶縁されつつ磁気結合された一次側巻線31_1及び二次側巻線31_2から成る。一次側巻線31_1は一次側回路内に配置され、二次側巻線31_2は二次側回路内に配置される。
【0059】
二次側送信部220は、信号S
PWM2に基づきパルストランス31に対し、送信信号として送信パルス信号TP2に出力する。パルストランス31に対する送信パルス信号TP2の出力とは、送信パルス信号TP2をパルストランス31の二次側巻線31_2に供給することを指す。送信パルス信号TP2をパルストランス31の二次側巻線31_2に供給するとは、送信パルス信号TP2によるパルス状の電圧を二次側巻線31_2に供給することで二次側巻線31_2に流れる電流に変化を与えることを意味し、二次側巻線31_2に流れる電流に変化が生じる限りパルス状の電圧の供給の仕方は任意である。上記電流の変化により一次側巻線31_1にて電圧が発生する。
【0060】
一次側受信部110は、送信パルス信号TP2の上記供給に伴って一次側巻線31_1に発生した電圧に基づき、受信信号としての受信パルス信号RP1を生成する。一次側受信部110は、例えば、コンパレータを用いて一次側巻線31_1の両端子間電圧の大きさを所定の判定電圧と比較し、一次側巻線31_1の両端子間電圧の大きさが判定電圧以上であるときに、1つのパルス信号を受信パルス信号RP1として生成する。一次側受信部110は生成した受信パルス信号RP1を復元部120に出力する(
図6参照)。
【0061】
復元部120は、一次側受信部110にて生成された受信パルス信号RP1に基づき、信号S
PWM1を生成する。ここにおける信号S
PWM1は、信号S
PWM2を一次側制御回路10A内で復元した信号(復元スイッチング制御信号)に相当する。駆動部130は、信号S
PWM1に基づいて駆動信号DRVを生成することでスイッチングトランジスタM1をスイッチングさせる。
【0062】
図8に、信号S
PWM2と、送信パルス信号TP2と、受信パルス信号RP1と、信号S
PWM1と、トランジスタM1の状態と、電圧V
DR(V
A)との関係を示す。信号S
PWM1及びS
PWM2の夫々は、ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値化信号である。本実施形態では、二次側制御において、トランジスタM1を所定のPWM周波数でスイッチングさせるPWM制御を実施する。
【0063】
信号S
PWM2において、互いに隣接する2つのアップエッジの発生間隔はPWM周波数の逆数に相当するPWM周期の長さに等しい。信号S
PWM2において、或る1つのアップエッジの発生タイミングから次のアップエッジの発生タイミングまでの区間を単位制御区間と称する。各単位制御区間の長さはPWM周期の長さに等しい。PWM制御が行われるとき、時系列上に並ぶ複数の単位制御区間が順次発生する。
【0064】
二次側送信部220は、信号S
PWM2にてアップエッジが生じるたびに且つ信号S
PWM2にてダウンエッジが生じるたびに、パルストランス31に対して1つの送信パルス信号TP2を出力する(即ち1つの送信パルス信号TP2をパルストランス31の二次側巻線31_2に供給する)。このため、一次側受信部110では、信号S
PWM2にてアップエッジが生じるたびに且つ信号S
PWM2にてダウンエッジが生じるたびに、1つの受信パルス信号RP1が生成されて復元部120に送られることになる。
【0065】
復元部120は、一次側受信部110から受信パルス信号RP1を受けるたびに信号S
PWM1のレベルをローレベル及びハイレベル間で切り替える。ここで、二次側制御の開始時点における信号S
PWM1及びS
PWM2の初期レベルは共にローレベルであるとする。故に、信号S
PWM1は信号S
PWM2を復元した信号となり、信号S
PWM2の波形と実質的に同じ波形を有する。厳密には、信号遅延分だけ、信号S
PWM2のアップエッジタイミングから信号S
PWM1のアップエッジタイミングが遅れるが、ここでは、その信号遅延が微小であるとして無視する(ダウンエッジタイミングについても同様)。
【0066】
駆動部130は、信号S
PWM1のハイレベル区間においてハイレベルの駆動信号DRVをトランジスタM1のゲートに供給することでトランジスタM1をオン状態とし、信号S
PWM1のローレベル区間においてローレベルの駆動信号DRVをトランジスタM1のゲートに供給することでトランジスタM1をオフ状態とする。トランジスタM1の状態に応じてSRトランジスタM2のドレイン電圧に相当する電圧V
DRが変動する(
図8参照)。
【0067】
信号S
PWM2のハイレベル区間及び信号S
PWM1のハイレベル区間は夫々にオン制御区間に相当し、信号S
PWM2のローレベル区間及び信号S
PWM1のローレベル区間は夫々にオフ制御区間に相当する。各単位制御区間は1つのオン制御区間と1つのオフ制御区間との合計に相当する。オン制御区間はトランジスタM1がオン状態に制御されるべき区間(第1区間)であり、オフ制御区間はトランジスタM1がオフ状態に制御されるべき区間(第2区間)である。
【0068】
PWM制御では、信号S
PWM2又はS
PWM1によってオン制御区間とオフ制御区間が交互に指定されることになる。但し、二次側制御回路20Aでは信号S
PWM2(原スイッチング制御信号)によりオン制御区間及びオフ制御区間が指定され、一次側制御回路10Aでは信号S
PWM1(復元スイッチング制御信号)によりオン制御区間及びオフ制御区間が指定されることになる。故に、一次側制御回路10Aにおける駆動部130は、信号S
PWM1にて指定されるオン制御区間(信号S
PWM1のハイレベル区間)にてトランジスタM1をオン状態とし、信号S
PWM1にて指定されるオフ制御区間(信号S
PWM1のローレベル区間)にてトランジスタM1をオフ状態とすることになる。
【0069】
図9にPWM制御部210の構成例を示す。
図9のPWM制御部210は、エラーアンプ211、スロープ信号生成部212及びPWMコンパレータ213を備える。
【0070】
エラーアンプ211は、電圧V
Bと所定の基準電圧V
REFを比較し、それらの差に応じた誤差信号S
ERRを生成して出力する。エラーアンプ211は、“V
B<V
REF”であれば誤差信号S
ERRの信号値を増大させるよう動作し、“V
B>V
REF”であれば誤差信号S
ERRの信号値を減少させるよう動作する。エラーアンプ211は、“V
B=V
REF”のとき誤差信号S
ERRの信号値に変化をもたらさない。二次側電圧V
Sが所定の目標電圧V
TGと一致するとき、電圧V
Bが基準電圧V
REFと一致する。
【0071】
スロープ信号生成部212は、所定のPWM周波数を有した電圧信号であるスロープ信号S
SLPを生成する。スロープ信号S
SLPは、PWM周波数の逆数の周期(以下、PWM周期とする)で信号値が周期的に増減する三角波又は鋸波状の電圧信号である。
【0072】
PWMコンパレータ213は、非反転入力端子、反転入力端子及び出力端子を備える。PWMコンパレータ213において、非反転入力端子には誤差信号S
ERRが入力され、反転入力端子にはスロープ信号S
SLPが入力される。PWMコンパレータ213は、誤差信号S
ERR及びスロープ信号S
SLPを比較し、それらの高低関係に応じたPWM信号である信号S
PWM2を自身の出力端子から出力する。誤差信号S
ERRの信号値がスロープ信号S
SLPの信号値より高い(大きい)区間において信号S
PWM2はハイレベルとなり、それ以外の区間において信号S
PWM2はローレベルとなる。但し、“S
ERR=S
SLP”のとき、信号S
PWM2はハイレベルとなり得る。
【0073】
このように構成されることで、“V
B<V
REF”であれば誤差信号S
ERRの上昇を通じて信号S
PWM2のデューティが増大し、“V
B>V
REF”であれば誤差信号S
ERRの低下を通じて信号S
PWM2のデューティが減少する。
図8に示す如く、信号S
PWM2のデューティ、信号S
PWM1のデューティ、トランジスタM1のデューティは、実質的に互いに一致することになるため、“V
B<V
REF”であればトランジスタM1のデューティが増大して二次側への伝達エネルギが増大し、“V
B>V
REF”であればトランジスタM1のデューティが低下して二次側への伝達エネルギが減少する。結果、電圧V
Bが基準電圧V
REFと一致するようにフィードバックが働いて二次側電圧V
Sが所定の目標電圧V
TGにて安定化されることになる。
【0074】
信号S
PWM2のデューティとは、信号S
PWM2のローレベル区間及びハイレベル区間の合計区間に対して、信号S
PWM2のハイレベル区間が占める割合を指す(換言すれば各単位制御区間において信号S
PWM2のハイレベル区間が占める割合を指す)。信号S
PWM1のデューティについても同様である。トランジスタM1のデューティとは、トランジスタM1のオン区間及びオフ区間の合計区間に対してトランジスタM1のオン区間が占める割合を指す(換言すれば各単位制御区間においてトランジスタM1のオン区間が占める割合を指す)。
【0075】
二次側制御回路20Aには、SRトランジスタM2のゲート電圧を制御することでSRトランジスタM2を駆動する同期整流駆動部(
図5において不図示)が設けられている。二次側制御の開始前にはSRトランジスタM2はオフ状態に固定されている。二次側制御が開始されると、同期整流駆動部は、信号S
PWM2のハイレベル区間にてSRトランジスタM2をオフ状態とし、信号S
PWM2のローレベル区間の全部又は一部にてSRトランジスタM2をオン状態とする。これにより損失の低減が図れる。但し、後にも述べられるが、DC/DCコンバータ4においてダイオード整流方式が採用されても良く、この場合、SRトランジスタM2は存在しないので上記同期整流駆動部は不要となる。
【0076】
[整合判定部による補正]
通信エラー等が発生しなければ信号S
PWM1は正確に信号S
PWM2を復元したものとなるが、通信エラー等が発生したとき、信号S
PWM1の波形が信号S
PWM2の波形と相違することがある。この現象を
図10を参照して説明する。
【0077】
図10では、パルストランス31の周辺でノイズNPが発生し、ノイズNPに基づく受信パルス信号RP1が発生したことが想定されている。ノイズNPに基づく受信パルス信号RP1は、送信パルス信号TP2に基づくパルス信号では無く、信号S
PWM2とは関係のないものであるが、ノイズNPに基づく受信パルス信号RP1が発生すると、信号S
PWM1のレベルが信号S
PWM2のレベルから見て逆転する。
【0078】
図10では、
図5の整合判定部230が設けられていない仮想構成での各種波形が示されており、仮想構成では、一旦信号S
PWM1のレベルが信号S
PWM2のレベルから見て逆転すると、以後、その逆転状態が継続することになる。結果、二次側電圧V
Sに基づくPWM制御が正しく機能せず、二次側電圧V
Sの異常低下又は異常上昇が発生しうる。また、上記同期整流駆動部を用いた同意整流が行われる場合には、トランジスタM1及びM2の同時オンによる過電流も発生しうる。
図10において、破線波形511は、信号S
PWM1が信号S
PWM2と一致していたならば観測されたであろう電圧V
DRの波形を示している(後述の
図11でも同様)。
【0079】
これを考慮し、
図5に示す如く、二次側制御回路20Aには整合判定部230が設けられている。整合判定部230は、信号S
PWM1及びS
PWM2の整合性(整合性の有無)を判定する二次側整合判定処理を実行し、信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合していないと判断したとき二次側補正処理を実行する。信号S
PWM1及びS
PWM2の整合性の判定とは、信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合しているか否かの判定を指す。二次側補正処理は信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合していないと判断された場合に限り実行される。
【0080】
信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合しているとは、信号S
PWM1により指定されるオン制御区間及びオフ制御区間がそれぞれ信号S
PWM2により指定されるオン制御区間及びオフ制御区間と一致している状態を指す。信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合していないとは、信号S
PWM1により指定されるオン制御区間及びオフ制御区間と信号S
PWM2により指定されるオン制御区間及びオフ制御区間とが逆転している状態(即ち、信号S
PWM1により指定されるオン制御区間において信号S
PWM2により指定される区間がオフ制御区間となり、且つ、信号S
PWM1により指定されるオフ制御区間において信号S
PWM2により指定される区間がオン制御区間となる状態)を指し、信号レベルを用いて表現すれば、信号S
PWM1及びS
PWM2の内、一方がハイレベルであるときに他方がローレベルとなる状態を指す。
【0081】
図11は、整合判定部230が設けられた本実施形態の構成における各種信号及び電圧波形の例を示している。
【0082】
二次側補正処理において、整合判定部230は、二次側送信部220に対し所定の補正指示信号を出力する。補正指示信号を受けた二次側送信部220は、信号S
PWM2とは関係なく、補正信号としての補正パルス信号TP2_Cを出力する(
図11参照)。つまり、二次側補正処理において、整合判定部230は、二次側送信部220を用い、パルストランス31に対して補正パルス信号TP2_Cに出力する、と言える。パルストランス31に対する補正パルス信号TP2_Cの出力とは、詳細には、補正パルス信号TP2_Cをパルストランス31の二次側巻線31_2に供給することを指す。補正パルス信号TP2_Cをパルストランス31の二次側巻線31_2に供給するとは、補正パルス信号TP2_Cによるパルス状の電圧を二次側巻線31_2に供給することで二次側巻線31_2に流れる電流に変化を与えることを意味し、二次側巻線31_2に流れる電流に変化が生じる限りパルス状の電圧の供給の仕方は任意である。上記電流の変化により一次側巻線31_1にて電圧が発生する。補正パルス信号TP2_Cは、信号S
PWM2に基づく送信パルス信号TP2と同じ波形を有するパルス状の信号であって良い。
【0083】
結果、二次側送信部220は、信号S
PWM2(原スイッチング制御信号)にて指定されるオフ制御区間からオン制御区間への遷移タイミング及びオン制御区間からオフ制御区間への遷移タイミングの夫々において(信号S
PWM2のアップエッジタイミング及びダウンエッジタイミングの夫々において)送信パルス信号TP2(送信信号)をパルストランス31(通信用トランス)の二次側巻線31_2に供給し、これとは別に、信号S
PWM1(復元スイッチング制御信号)が信号S
PWM2(原スイッチング制御信号)と整合していないと判断されたときには補正パルス信号TP2_C(補正信号)をパルストランス31の二次側巻線31_2に供給することになる。
【0084】
一次側受信部110は、補正パルス信号TP2_Cの上記供給に伴って一次側巻線31_1に発生した電圧に基づき受信パルス信号RP1を生成する(
図11参照)。故に、一次側受信部110は、パルストランス31の二次側巻線31_2に対し、信号S
PWM2に基づく送信パルス信号TP2が供給されたときにも、二次側補正処理に基づく補正パルス信号TP2_Cが供給されたときにも、パルストランス31の一次側巻線31_1に発生した電圧に基づき受信パルス信号RP1を生成することになる。
【0085】
復元部120は、一次側受信部110から提供される受信パルス信号RP1が送信パルス信号TP2及び補正パルス信号TP2_Cの何れに基づいているのかを区別することなく(認識することなく)、受信パルス信号RP1を受けるたびに信号S
PWM1のレベルをローレベル及びハイレベル間で切り替える、即ち信号S
PWM1にて指定される区間をオン制御区間とオフ制御区間との間で切り替える。これにより、一時的に崩れていた信号S
PWM1と信号S
PWM2との整合性が再び確保されることになる。
【0086】
このように本実施形態では、通信異常が発生したとしても自己復帰することが可能となる。つまり例えば、ノイズNPの発生に基づき信号S
PWM1のレベルが信号S
PWM2のレベルから見て逆転する現象が発生したとしても、その現象は一時的なものに留まり、速やかに正常な制御状態に復帰させることができる。結果、当該現象による二次側電圧V
Sの異常低下又は異常上昇を回避することができる。尚、信号S
PWM1及びS
PWM2間のレベル逆転現象の要因としてノイズに注目したが、本来伝達されるべきパルス信号の伝達不良によっても同様の現象が生じ、この場合にも本実施形態の構成は有効に機能する。
【0087】
整合判定部230による二次側整合判定処理について説明する。整合判定部230は、PWM制御部210にて生成される信号S
PWM2と、トランジスタM1のスイッチングに応答して変動する電圧V
DRに基づいて、信号S
PWM1及びS
PWM2の整合性(整合性の有無)を判定する。信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合している場合と整合していない場合とで電圧V
DRに大きな相違があるため(
図10及び
図11参照)、信号S
PWM2と共に電圧V
DRを参照すれば、容易に信号S
PWM1及びS
PWM2の整合性(整合性の有無)を判定可能である。整合判定部230は、所定の不整合条件が成立するとき、信号S
PWM1が信号S
PWM2に整合していないと判定し、それ以外では、信号S
PWM1が信号S
PWM2に整合していると判定する。
【0088】
具体的には例えば、整合判定部230は、信号S
PWM2のハイレベル区間における電圧V
Aを所定の正の第1判定電圧と比較し、信号S
PWM2のハイレベル区間における電圧V
Aが第1判定電圧以下であれば(詳細には例えば、信号S
PWM2のハイレベル区間において電圧V
Aが第1判定電圧以下となる状態が所定時間以上継続して観測されれば)、不整合条件が成立すると判断する。
【0089】
或いは例えば、整合判定部230は、信号S
PWM2のローレベル区間における電圧V
Aを所定の正の第2判定電圧と比較し、信号S
PWM2のローレベル区間における電圧V
Aが第2判定電圧以上であれば(詳細には例えば、信号S
PWM2のローレベル区間において電圧V
Aが第2判定電圧以上となる状態が所定時間以上継続して観測されれば)、不整合条件が成立すると判断する。
【0090】
また、
図5に示す構成とは異なるが、整合判定部230は、PWM制御部210にて生成される信号S
PWM2と、二次側電流I
Sとに基づいて、信号S
PWM1及びS
PWM2の整合性(整合性の有無)を判定する変形方法を採用しても良い。この場合、二次側電流I
Sに比例する電圧(以下、電圧V
ISと称する)を発生させる抵抗(不図示)を二次側巻線W2に直列に接続しておき、その電圧V
ISを信号S
PWM2と共に整合判定部230に与えれば良い。この場合においても、整合判定部230は、所定の不整合条件が成立するとき、信号S
PWM1が信号S
PWM2に整合していないと判定し、それ以外では、信号S
PWM1が信号S
PWM2に整合していると判定する。
【0091】
具体的には例えば、変形方法に係る整合判定部230は、信号S
PWM2のハイレベル区間において、電圧V
ISにて示される二次側電流I
Sの大きさが所定値以上であるとき(詳細には例えば、信号S
PWM2のハイレベル区間において二次側電流I
Sの大きさが所定値以上となる状態が所定時間以上継続して観測されれば)、不整合条件が成立すると判断する。信号S
PWM2のハイレベル区間は、本来、トランジスタM1のオン区間であって、二次側電流I
Sが流れないはずだからである。
【0092】
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態及び後述の第3〜第5実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2〜第5実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2〜第5実施形態にも適用される。第2実施形態の記載を解釈するにあたり、第1及び第2実施形態間で矛盾する事項については第2実施形態の記載が優先されて良い(後述の第3〜第5実施形態についても同様)。矛盾の無い限り、第1〜第5実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
【0093】
第1実施形態は、二次側制御回路20がマスタとして機能し且つ一次側制御回路10がスレーブとして機能する二次側マスタ方式が採用されているが、一次側制御回路10がマスタとして機能し且つ二次側制御回路20がスレーブとして機能する一次側マスタ方式が採用されても良く、一次側マスタ方式の採用時にも第1実施形態で述べた技術を適用できる。第2実施形態では一次側マスタ方式が採用されることを前提として、第1実施形態で述べた技術の適用例を説明する。
【0094】
図12は、第2実施形態に係るDC/DCコンバータ4(
図2参照)の一部構成図である。第2実施形態では、
図2の一次側制御回路10として
図12の一次側制御回路10Bが用いられ、且つ、
図2の二次側制御回路20として
図12の二次側制御回路20Bが用いられる。また、第2実施形態に係るDC/DCコンバータ4には、
図2を参照して上述したものに加えて、
図12のコンデンサ12、フィードバック回路40及びフォトカプラ41が設けられる。コンデンサ12は一次側制御回路に設けられ、フィードバック回路40は二次側回路に設けられ、フォトカプラ41は一次側回路と二次側回路とに亘って設けられる。
【0095】
フォトカプラ41は、二次側回路に配置された発光素子と、一次側回路に配置された受光素子と、を有する。フィードバック回路40は、二次側電圧V
Sに応じた電流をフォトカプラ41の発光素子に供給する。フィードバック回路40には、二次側電圧V
Sそのものが入力されていても良いし、二次側電圧V
Sの分圧である電圧V
B(
図2参照)が入力されていても良い。一次側制御回路10Bはフォトカプラ41の受光素子に接続され、フォトカプラ41の受光素子に流れるフィードバック電流I
FBに応じたフィードバック電圧V
FBが一次側制御回路10Bに入力される。コンデンサ12はフォトカプラ41の受光素子に並列接続され、コンデンサ12の両端子間にフィードバック電圧V
FBが生じる。
【0096】
この際、フィードバック電流I
FBの増大に伴ってフィードバック電圧V
FBが低下し、フィードバック電流I
FBの減少に伴ってフィードバック電圧V
FBが上昇する。例えば、コンデンサ12とフォトカプラ41の受光素子との並列回路に対し定電流を供給する電流源(不図示)が一次側制御回路10Bに備えられる。そうすると、フィードバック電流I
FBが増大すればするほどフィードバック電圧V
FBが低下し、フィードバック電流I
FBが減少すればするほどフィードバック電圧V
FBが上昇することになる(但し、フィードバック電圧V
FBには上下限が存在する)。
【0097】
負荷LDの消費電流の低減に伴って二次側電圧V
Sが目標電圧V
TGよりも高くなると、フィードバック回路40は、フォトカプラ41の発光素子への供給電流を増大させる。これに伴って、フィードバック電流I
FBが増大してフィードバック電圧V
FBが低下する。逆に、負荷LDの消費電流の増大に伴って二次側電圧V
Sが目標電圧V
TGよりも低くなると、フィードバック回路40は、フォトカプラ41の発光素子への供給電流を減少させる。これに伴って、フィードバック電流I
FBが減少してフィードバック電圧V
FBが上昇する。
【0098】
第2実施形態では
図4の動作が以下のように変形される。第2実施形態において
図4のステップSTP5及びSTP6の動作は実行されず、
図4のステップSTP3において、一次側制御回路10Bがバースト動作を行う。バースト動作の開始直後では、二次側電圧V
Sが0V近辺であることからフィードバック電圧V
FBが速やかにフィードバック電圧V
FBの上限電圧に達する。バースト動作の実行により二次側電圧V
Sが目標電圧V
TG近辺まで上昇することでフィードバック電圧V
FBが上記の上限電圧から低下し、その後は、フィードバック電圧V
FBに基づく一次側制御が一次側制御回路10により実行される。バースト動作の実行により二次側電圧V
Sが目標電圧V
TGに向けて上昇する過程において二次側制御回路20Bが起動する。以下、第2実施形態では、一次側制御の内容及び一次側制御を行うための構成について説明する。
【0099】
図13は一次側制御回路10Bの一部構成図であり、
図14は二次側制御回路20Bの一部構成図である。
【0100】
図13に示す如く、一次側制御回路10Bは、PWM制御部(制御信号生成部)150と、駆動部160と、一次側送信部170と、整合判定部180と、を備える。
図14に示す如く、二次側制御回路20Bは、二次側受信部250と、復元部260と、同期整流駆動部270と、を備える。整合判定部180についての説明は後に設けるものとし、
図13及び
図14に示す部位の内、整合判定部180以外の部位の機能及び動作について説明する。
【0101】
PWM制御部150は、二次側電圧V
Sに応じたフィードバック信号の例であるフィードバック電圧V
FBに基づいて、信号S
PWM1を生成する。第2実施形態における信号S
PWM1は、第1実施形態における信号S
PWM1と同様に、スイッチングトランジスタM1に対するPWM信号である。但し、第2実施形態において、信号S
PWM1は、復元スイッチング制御信号ではなく、原スイッチング制御信号の例である。PWM制御部150は生成した信号S
PWM1を駆動部160及び一次側送信部170に出力する。
【0102】
駆動部160は、PWM制御部150からの信号S
PWM1に基づいて駆動信号DRVを生成することでスイッチングトランジスタM1をスイッチングさせる。
【0103】
一次側送信部170は、PWM制御部150にて生成された信号S
PWM1に基づく信号をパルストランス部30に出力する。
図15を参照し、信号S
PWM1に基づく信号の、一次側制御回路10Bから二次側制御回路20Bへの伝達の流れを説明する。パルストランス部30には、一次側制御回路10Bから二次側制御回路20Bへの信号伝達を可能とするパルストランス32が設けられている。パルストランス32は、互いに絶縁されつつ磁気結合された一次側巻線32_1及び二次側巻線32_2から成る。一次側巻線32_1は一次側回路内に配置され、二次側巻線32_2は二次側回路内に配置される。
【0104】
一次側送信部170は、信号S
PWM1に基づきパルストランス32に対し、送信信号として送信パルス信号TP1に出力する。パルストランス32に対する送信パルス信号TP1の出力とは、詳細には、送信パルス信号TP1をパルストランス32の一次側巻線32_1に供給することを指す。送信パルス信号TP1をパルストランス32の一次側巻線32_1に供給するとは、送信パルス信号TP1よるパルス状の電圧を一次側巻線32_1に供給することで一次側巻線32_1に流れる電流に変化を与えることを意味し、一次側巻線32_1に流れる電流に変化が生じる限りパルス状の電圧の供給の仕方は任意である。上記電流の変化により二次側巻線32_2にて電圧が発生する。
【0105】
二次側受信部250は、送信パルス信号TP1の上記供給に伴って二次側巻線32_2に発生した電圧に基づき、受信信号としての受信パルス信号RP2を生成する。二次側受信部250は、例えば、コンパレータを用いて二次側巻線32_2の両端子間電圧の大きさを所定の判定電圧と比較し、二次側巻線32_2の両端子間電圧の大きさが判定電圧以上であるときに、1つのパルス信号を受信パルス信号RP2として生成する。二次側受信部250は生成した受信パルス信号RP2を復元部260に出力する(
図14参照)。
【0106】
復元部260は、二次側受信部250にて生成された受信パルス信号RP2に基づき、信号S
PWM2を生成する。第2実施形態に係る信号S
PWM2は、信号S
PWM1を二次側制御回路20B内で復元した信号(復元スイッチング制御信号)に相当する。復元部260にて生成された信号S
PWM2は同期整流駆動部270に送られる。
【0107】
同期整流駆動部270は、復元部260から提供される信号S
PWM2に基づき、信号S
PWM2のハイレベル区間にてSRトランジスタM2をオフ状態とし、信号S
PWM2のローレベル区間の全部又は一部にてSRトランジスタM2をオン状態とする。同期整流駆動部270は、SRトランジスタM2にハイレベルのゲート電圧を与えることでSRトランジスタM2をオン状態にすることができ、SRトランジスタM2にローレベルのゲート電圧を与えることでSRトランジスタM2をオフ状態にすることができる。
【0108】
詳細には、同期整流駆動部270は、トランジスタM1及びM2の同時オンを回避すべく、信号S
PWM2のハイレベル区間の全部においてSRトランジスタM2をオフ状態とする。同期整流駆動部270は、信号S
PWM2のローレベル区間の全部においてSRトランジスタM2をオン状態としても良い。或いは、同期整流駆動部270は、信号S
PWM2のローレベル区間の一部においてのみSRトランジスタM2をオン状態としても良い。この場合、同期整流駆動部270は、信号S
PWM2のダウンエッジの発生に応答してSRトランジスタM2をターンオンし、電圧V
Aが所定の負のターンオフ判定電圧(例えば−10mV)以上となったことを受けてSRトランジスタM2をターンオフすることができる。
【0109】
図16に、第2実施形態に係る、信号S
PWM1と、送信パルス信号TP1と、受信パルス信号RP2と、信号S
PWM2と、トランジスタM1の状態と、電圧V
DR(V
A)との関係を示す。第1実施形態と同様、信号S
PWM1及びS
PWM2の夫々は、ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値化信号である。但し、第2実施形態では、一次側制御において、トランジスタM1を所定のPWM周波数でスイッチングさせるPWM制御を実施する。
【0110】
信号S
PWM1において、互いに隣接する2つのアップエッジの発生間隔はPWM周波数の逆数に相当するPWM周期の長さに等しい。第1実施形態と同様、信号S
PWM1(又は信号S
PWM2)において、或る1つのアップエッジの発生タイミングから次のアップエッジの発生タイミングまでの区間が単位制御区間に相当する。各単位制御区間の長さはPWM周期の長さに等しい。PWM制御が行われるとき、時系列上に並ぶ複数の単位制御区間が順次発生する。
【0111】
一次側送信部170は、信号S
PWM1にてアップエッジが生じるたびに且つ信号S
PWM1にてダウンエッジが生じるたびに、パルストランス32に対して1つの送信パルス信号TP1を出力する(即ち1つの送信パルス信号TP1をパルストランス32の一次側巻線32_1に供給する)。このため、二次側受信部250では、信号S
PWM1にてアップエッジが生じるたびに且つ信号S
PWM1にてダウンエッジが生じるたびに、1つの受信パルス信号RP2が生成されて復元部260に送られることになる。
【0112】
復元部260は、二次側受信部250から受信パルス信号RP2を受けるたびに信号S
PWM2のレベルをローレベル及びハイレベル間で切り替える。ここで、一次側制御の開始時点における信号S
PWM1及びS
PWM2の初期レベルは共にローレベルであるとする。故に、信号S
PWM2は信号S
PWM1を復元した信号となり、信号S
PWM1の波形と実質的に同じ波形を有する。厳密には、信号遅延分だけ、信号S
PWM1のアップエッジタイミングから信号S
PWM2のアップエッジタイミングが遅れるが、ここでは、その信号遅延が微小であるとして無視する(ダウンエッジタイミングについても同様)。
【0113】
駆動部160は、信号S
PWM1のハイレベル区間においてハイレベルの駆動信号DRVをトランジスタM1のゲートに供給することでトランジスタM1をオン状態とし、信号S
PWM1のローレベル区間においてローレベルの駆動信号DRVをトランジスタM1のゲートに供給することでトランジスタM1をオフ状態とする。トランジスタM1の状態に応じてSRトランジスタM2のドレイン電圧に相当する電圧V
DRが変動する(
図16参照)。
【0114】
第1実施形態で述べたように、信号S
PWM1のハイレベル区間及び信号S
PWM2のハイレベル区間は夫々にオン制御区間に相当し、信号S
PWM1のローレベル区間及び信号S
PWM2のローレベル区間は夫々にオフ制御区間に相当する。各単位制御区間は1つのオン制御区間と1つのオフ制御区間との合計に相当する。第1実施形態で述べたように、オン制御区間はトランジスタM1がオン状態に制御されるべき区間(第1区間)であり、オフ制御区間はトランジスタM1がオフ状態に制御されるべき区間(第2区間)である。
【0115】
PWM制御では、信号S
PWM1又はS
PWM2によってオン制御区間とオフ制御区間が交互に指定されることになる。但し、一次側制御回路10Bでは信号S
PWM1(原スイッチング制御信号)によりオン制御区間及びオフ制御区間が指定され、二次側制御回路20Bでは信号S
PWM2(復元スイッチング制御信号)によりオン制御区間及びオフ制御区間が指定されることになる。故に、一次側制御回路10Bにおける駆動部160は、信号S
PWM1にて指定されるオン制御区間(信号S
PWM1のハイレベル区間)にてトランジスタM1をオン状態とし、信号S
PWM1にて指定されるオフ制御区間(信号S
PWM1のローレベル区間)にてトランジスタM1をオフ状態とすることになる。一方で、二次側制御回路20Bにおける同期整流駆動部270は、信号S
PWM2にて指定されるオン制御区間(信号S
PWM2のハイレベル区間)にてSRトランジスタM2をオフ状態とし、信号S
PWM2にて指定されるオフ制御区間(信号S
PWM2のローレベル区間)の全部又は一部にてSRトランジスタM2をオン状態とすることになる。
【0116】
一次側制御回路10BにてPWM制御が行われる際、PWM制御部150は、フィードバック電圧V
FBの上昇に伴って信号S
PWM1のデューティが増大するように、フィードバック電圧V
FBの低下に伴って信号S
PWM1のデューティが減少するように、信号S
PWM1を生成すれば良い。信号S
PWM1は、電流センス電圧V
CSも考慮されて生成されても良い。
【0117】
[整合判定部による補正]
通信エラー等が発生しなければ信号S
PWM2は正確に信号S
PWM1を復元したものとなるが、通信エラー等が発生したとき、信号S
PWM2の波形が信号S
PWM1の波形と相違することがある。この現象を
図17を参照して説明する。
【0118】
図17では、パルストランス32の周辺でノイズNPが発生し、ノイズNPに基づく受信パルス信号RP2が発生したことが想定されている。ノイズNPに基づく受信パルス信号RP2は、送信パルス信号TP1に基づくパルス信号では無く、信号S
PWM2とは関係のないものであるが、ノイズNPに基づく受信パルス信号RP2が発生すると、信号S
PWM2のレベルが信号S
PWM1のレベルから見て逆転する。
【0119】
図17では、
図13の整合判定部180が設けられていない仮想構成での各種波形が示されており、仮想構成では、一旦信号S
PWM2のレベルが信号S
PWM1のレベルから見て逆転すると、以後、その逆転状態が継続することになる。結果、同期整流が正しく行われなくなり、スイッチングトランジスタM1が過電流状態になることもある。
【0120】
これを考慮し、
図13に示す如く、二次側制御回路20Bには整合判定部180が設けられている。整合判定部180は、信号S
PWM1及びS
PWM2の整合性(整合性の有無)を判定する一次側整合判定処理を実行し、信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合していないと判断したとき一次側補正処理を実行する。信号S
PWM1及びS
PWM2の整合性の判定とは、信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合しているか否かの判定を指す。一次側補正処理は信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合していないと判断された場合に限り実行される。
【0121】
信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合していることの意義、及び、信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合していないことの意義は、第1実施形態で述べた通りである。
【0122】
図18は、整合判定部180が設けられた本実施形態の構成における各種信号及び電圧波形の例を示している。
【0123】
一次側補正処理において、整合判定部180は、一次側送信部170に対し所定の補正指示信号を出力する。補正指示信号を受けた一次側送信部170は、信号S
PWM1とは関係なく、補正信号としての補正パルス信号TP1_Cを出力する(
図18参照)。つまり、一次側補正処理において、整合判定部180は、一次側送信部170を用い、パルストランス32に対して補正パルス信号TP1_Cに出力する、と言える。パルストランス32に対する補正パルス信号TP1_Cの出力とは、詳細には、補正パルス信号TP1_Cをパルストランス32の一次側巻線32_1に供給することを指す。補正パルス信号TP1_Cをパルストランス32の一次側巻線32_1に供給するとは、補正パルス信号TP1_Cよるパルス状の電圧を一次側巻線32_1に供給することで一次側巻線32_1に流れる電流に変化を与えることを意味し、一次側巻線32_1に流れる電流に変化が生じる限りパルス状の電圧の供給の仕方は任意である。上記電流の変化により二次側巻線32_2にて電圧が発生する。補正パルス信号TP1_Cは、信号S
PWM1に基づく送信パルス信号TP1と同じ波形を有するパルス状の信号であって良い。
【0124】
結果、一次側送信部170は、信号S
PWM1(原スイッチング制御信号)にて指定されるオフ制御区間からオン制御区間への遷移タイミング及びオン制御区間からオフ制御区間への遷移タイミングの夫々において(信号S
PWM1のアップエッジタイミング及びダウンエッジタイミングの夫々において)送信パルス信号TP1(送信信号)をパルストランス32(通信用トランス)の一次側巻線32_1に供給し、これとは別に、信号S
PWM2(復元スイッチング制御信号)が信号S
PWM1(原スイッチング制御信号)と整合していないと判断されたときには補正パルス信号TP1_C(補正信号)をパルストランス32の一次側巻線32_1に供給することになる。
【0125】
二次側受信部250は、補正パルス信号TP1_Cの上記供給に伴って二次側巻線32_2に発生した電圧に基づき受信パルス信号RP2を生成する(
図18参照)。故に、二次側受信部250は、パルストランス32の一次側巻線32_1に対し、信号S
PWM1に基づく送信パルス信号TP1が供給されたときにも、一次側補正処理に基づく補正パルス信号TP1_Cが供給されたときにも、パルストランス32の二次側巻線32_2に発生した電圧に基づき受信パルス信号RP2を生成することになる。
【0126】
復元部260は、二次側受信部250から提供される受信パルス信号RP2が送信パルス信号TP1及び補正パルス信号TP1_Cの何れに基づいているのかを区別することなく(認識することなく)、受信パルス信号RP2を受けるたびに信号S
PWM2のレベルをローレベル及びハイレベル間で切り替える、即ち信号S
PWM2にて指定される区間をオン制御区間とオフ制御区間との間で切り替える。これにより、一時的に崩れていた信号S
PWM1と信号S
PWM2との整合性が再び確保されることになる。
【0127】
このように本実施形態では、通信異常が発生したとしても自己復帰することが可能となる。つまり例えば、ノイズNPの発生に基づき信号S
PWM2のレベルが信号S
PWM1のレベルから見て逆転する現象が発生したとしても、その現象は一時的なものに留まり、速やかに正常な制御状態に復帰させることができる。尚、信号S
PWM1及びS
PWM2間のレベル逆転現象の要因としてノイズに注目したが、本来伝達されるべきパルス信号の伝達不良によっても同様の現象が生じ、この場合にも本実施形態の構成は有効に機能する。
【0128】
整合判定部180による一次側整合判定処理について説明する。整合判定部180は、一次側巻線W1及びスイッチングトランジスタM1に流れる電流、即ち一次側電流I
Pに基づいて、信号S
PWM1及びS
PWM2の整合性(整合性の有無)を判定することができる。信号S
PWM1と信号S
PWM2とが整合しない場合、トランジスタM1及びM2の同時オンが発生するが、トランジスタM1及びM2が同時にオンとされているとき、相当に大きな電流がトランジスタM1に流れるからである。整合判定部180は、所定の不整合条件が成立するとき、信号S
PWM2が信号S
PWM1に整合していないと判定し、それ以外では、信号S
PWM2が信号S
PWM1に整合していると判定する。
【0129】
具体的には例えば、整合判定部180は、一次側電流I
Pに応じた電流センス電圧V
CSを参照し、信号S
PWM1のハイレベル区間において、所定の閾電圧以上の電流センス電圧V
CSが観測されたとき、不整合条件が成立すると判断する。電流センス電圧V
CSが所定の閾電圧以上となることは、所定値以上の大きさを持つ一次側電流I
Pが流れたことに相当する。尚、スイッチングに伴うサージ電圧の影響を排除するべく、信号S
PWM1のアップエッジタイミングから所定のマスク時間が経過するまでは不整合条件の成否を判定せず、マスク時間の経過後にのみ不整合条件の成否を判定するようにしても良い。
【0130】
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。AC/DCコンバータ1に含まれるDC/DCコンバータ4として絶縁同期整流型DC/DCコンバータの構成を上述したが、DC/DCコンバータ4は、一次側巻線W1に加わる一次側電圧V
Pからスイッチング方式によりトランスTRの二次側において二次側電圧V
Sを生成する絶縁型DC/DCコンバータであれば任意である。
【0131】
例えば、
図2に示したDC/DCコンバータ4では、いわゆるローサイドアプリケーションが採用されているが、ハイサイドアプリケーションが採用されても良い。ハイサイドアプリケーションが採用されたDC/DCコンバータ4では、SRトランジスタM2が出力端子TM
2H側に設けられ、二次側電圧V
Sが加わる出力端子TM
2HとトランスTRの二次側巻線W2との間にSRトランジスタM2が直列に挿入される。この他、本発明の主旨を損なわない形態で、二次側回路におけるSRトランジスタM2の配置位置を変更することが可能である。
【0132】
また例えば、DC/DCコンバータ4は、ダイオード整流方式を採用したDC/DCコンバータ(絶縁ダイオード整流型DC/DCコンバータ)であっても良い(但し第2実施形態を除く)。この場合、DC/DCコンバータ4において、
図2のSRトランジスタM2及び寄生ダイオードD2の代わりに、整流ダイオードを二次側回路に設ける。整流ダイオードは二次側巻線W2とコンデンサC2との間に挿入され、一次側巻線W1から二次側巻線W2に伝搬された電力を整流する。
【0133】
また例えば、DC/DCコンバータ4を、フォワード方式の絶縁型DC/DCコンバータとして構成しても良く、この場合にも、同期整流方式及びダイオード整流方式の何れが採用されて良い。
【0134】
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。
【0135】
AC/DCコンバータ1を用いて電源アダプタを構成しても良い。
図19は、AC/DCコンバータ1を備える電源アダプタ620を示す図である。電源アダプタ620は、AC/DCコンバータ1、プラグ621、筐体622及び出力コネクタ623を備え、筐体622内にAC/DCコンバータ1が収容及び配置される。プラグ621は図示されないコンセントから商用交流電圧V
ACを受け、AC/DCコンバータ1はプラグ621を通じて入力された商用交流電圧V
ACから直流の二次側電圧V
Sを生成する。二次側電圧V
Sが、出力コネクタ623を通じ、図示されない任意の電気機器に供給される。電気機器としては、ノート型パーソナルコンピュータ、情報端末機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機(スマートフォンに分類されるものを含む)、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
【0136】
AC/DCコンバータ1を備える電気機器を構成しても良い。
図20(a)及び(b)は、AC/DCコンバータ1を備える電気機器640を示す図である。
図20(a)及び(b)に示される電気機器640はディスプレイ装置であるが、電気機器640の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、AC/DCコンバータを内蔵する機器であれば任意である。電気機器640は、AC/DCコンバータ1、プラグ641、筐体642及び負荷643を備え、筐体642内にAC/DCコンバータ1及び負荷643が収容及び配置される。プラグ641は図示されないコンセントから商用交流電圧V
ACを受け、AC/DCコンバータ1はプラグ641を通じて入力された商用交流電圧V
ACから直流の二次側電圧V
Sを生成する。生成された二次側電圧V
Sは負荷643に供給される。負荷643は
図1の負荷LDに相当する。負荷643は、二次側電圧V
Sに基づいて駆動する任意の負荷であって良く、例えば、マイコンコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路又はデジタル回路である。
【0137】
<<第5実施形態>>
本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態では、第1〜第4実施形態に適用可能な応用技術、変形技術などを説明する。
【0138】
DC/DCコンバータ4をAC/DCコンバータ1の構成要素として用いることを上述したが、本発明は、これに限定されない。即ち例えば、DC/DCコンバータ4は、直流電圧を生成する任意の電圧源(例えばバッテリ)の出力電圧を一次側電圧V
Pとして受けて、二次側電圧V
Sを生成するものであっても構わない。
【0139】
上述の信号S
PWM1及びS
PWM2はスイッチング制御信号の例である。トランジスタM1に対するスイッチング制御として、トランジスタM1を所定のPWM周波数にてスイッチングするPWM制御を例示したが、本発明はこれに限定されない。即ち例えば、オンタイム制御方式を利用したPFM(Pulse Frequency Modulation)制御にてトランジスタM1をスイッチングするようにしても良い。この場合、スイッチング制御信号S
PWM1及びS
PWM2の周波数の可変調整を通じて、二次側電圧V
Sの目標電圧V
TGへの安定化が図られる。
【0140】
一次側制御回路10、二次側制御回路20及びパルストランス部30を1チップの半導体基板上に集積化した半導体装置SMC1を構成するようにしても良い。一次側制御回路10、二次側制御回路20及びパルストランス部30が集積化された1チップの半導体基板が樹脂にて構成されたパッケージ(筐体)に収容されて封止されることで半導体装置SMC1が構成される。
【0141】
或いは、一次側制御回路10を第1半導体基板上に集積化した第1チップと、二次側制御回路20を第2半導体基板上に集積化した第2チップと、パルストランス部30を第3半導体基板上に集積化した第3チップとを作成し、第1〜第3チップを共通のパッケージ(筐体)に収容して封止することで半導体装置SMC2を構成しても良い。
【0142】
但し、一次側制御回路10及び二次側制御回路20を別々の半導体装置として構成するようにしても良い。即ち、一次側制御回路10を第1半導体基板上に集積化した第1チップを第1パッケージに収容して封止することで半導体装置SMC3
Aを構成し、これとは別に、二次側制御回路20を第2半導体基板上に集積化した第2チップを第2パッケージに収容して封止することで半導体装置SMC3
Bを構成しても良い。この場合、パルストランス部30は、半導体装置SMC3
A及びSMC3
Bとは別に設けられたディスクリート部品であって良いが、パルストランス部30を第3半導体基板上に集積化した第3チップを第3パッケージに収容して封止することで半導体装置SMC3
Cを構成しても良い。半導体装置SM1、SMC2及びSMC3
Cにおいて、既存の集積回路プロセスを利用し、パルストランスを構成することが可能である。
【0143】
一次側制御回路10が集積化された半導体装置(SM1、SMC2又はSMC3
A)に、スイッチングトランジスタM1が更に集積化されて含まれていても良いし、センス抵抗R
CSが更に集積化されて含まれていても良い。
【0144】
二次側制御回路20が集積化された半導体装置(SM1、SMC2又はSMC3
B)に、SRトランジスタM2が更に集積化されて含まれていても良いし、分圧抵抗R1及びR2が更に集積化されて含まれていても良いし、分圧抵抗R3及びR4が更に集積化されて含まれていても良い。
【0145】
上述の主旨を損なわない形で、任意の信号又は電圧に関して、それらのハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。また、上述の主旨を損なわない形で、FETのチャネル型を任意に変更可能である。即ち例えば、スイッチングトランジスタM1がPチャネル型のMOSFETとして構成されるよう、DC/DCコンバータ4の構成が変形されても良い。
【0146】
上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタ(特に例えばスイッチングトランジスタM1)を、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0147】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。