【解決手段】車両の外部環境を含む情報を取得する複数のセンサ10〜18と、複数のセンサ10〜18から情報が入力されて、車両の搭載機器を制御する演算装置100とを備え、演算装置100は、各センサ10〜18から入力される情報に基づいて、車両の状態を特定する車両状態特定部31と、車両の状態に応じてそれぞれ作動しかつ搭載機器への制御信号を生成するための複数の機能部21〜25と、車両状態特定部31で特定された車両の状態に応じて予め定められた組合せの各機能部21〜25に電力が供給されるように、各機能部21〜25への電力の供給/遮断を制御する電源制御部32とを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、最近では、車両をはじめとする移動体に搭載されるデバイスは電子制御がベースとなっており、デバイス毎にマイコンが設けられている。このため、移動体一台辺りのマイコンの個数が増大しており、自動車では数百に及ぶものがある。マイコンの数が増大すると、電気系の構成が複雑になってしまう。
【0006】
そこで、1つの演算装置にデバイスを制御するマイコン機能を取り込むことが考えられる。このとき、演算装置の全機能を常に作動させると、消費電力が増大するおそれがある。
【0007】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこは、移動体の電気系統の構成を簡易化するとともに、消費電力の増大を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、移動体の電源制御装置を対象として、前記移動体の外部環境を含む情報を取得する複数のセンサと、前記複数のセンサから情報が入力されて、前記移動体の搭載機器を制御する演算装置とを備え、前記演算装置は、前記各センサから入力される情報に基づいて、前記移動体の状態を特定する移動体状態特定部と、前記移動体の状態に応じてそれぞれ作動しかつ前記搭載機器への制御信号を生成するための複数の機能部と、前記移動体状態特定部で特定された前記移動体の状態に応じて予め定められた組合せの前記各機能部に電力が供給されるように、前記各機能部への電力の供給/遮断を制御する電源制御部と、を有する、という構成とした。
【0009】
この構成によると、演算装置に、移動体の搭載機器の制御量を設定するための複数の機能部が設けられているため、該搭載機器を制御するためのマイコンの数を減らすことができる。これにより、移動体の電気系統の構成を簡易化することができる。
【0010】
また、電源制御部により移動体の状態に応じて、機能部への電力の供給/遮断を制御することができる。すなわち、電源制御部により、移動体が発揮すべき機能に関連する機能部のみに電力を供給する一方、他の機能部への電力供給を遮断することができる。これにより、移動体の動作時間トータルでの消費電力の平均値を下げることができ、消費電力の増大を抑制することができる。
【0011】
前記移動体の電源制御装置において、前記演算装置は、電源と前記各機能部との間の電力伝達経路にそれぞれ配置された電力伝達部を更に有し、前記電源制御部から前記電力伝達部に制御信号が入力されたときに、該制御信号が入力された前記電力伝達部に対応する前記機能部に電力が供給される、という構成でもよい。
【0012】
この構成によると、電源制御部は、移動体状態特定部が特定した移動体の状態に応じて、各電力伝達部に制御信号を出力するだけでよくなる。これにより、電源制御部の処理負荷を軽減することができる。
【0013】
前記移動体の電源制御装置において、前記演算装置は、前記移動体の状態毎に電力を供給すべき前記機能部の組合せが規定された電力供給テーブルが格納された記憶部を更に有し、前記電源制御部は、前記電力供給テーブルに基づいて前記各機能部への電力の供給/遮断を制御する、という構成でもよい。
【0014】
この構成によると、電源制御部は、移動体状態特定部が特定した移動体の状態を電力供給テーブルに当てはめて、各機能部への電力の供給/遮断を制御すればよくなり、電源制御部の処理負荷をより軽減することができる。
【0015】
前記移動体の電源制御装置において、前記複数の機能部は、前記移動体が走行すべき走行経路を設定しかつ該走行経路を追従するための前記移動体の運動を設定する自動走行機能を実行可能に構成されている、という構成でもよい。
【0016】
すなわち、自動走行機能では、移動体の走行経路の算出及び該走行経路を追従するための移動体の運動の設定を行う必要があり、各機能部には高い処理能力が求められる。このため、自動走行機能を実現するための各機能部は消費電力が大きくなりやすい。そこで、例えば、移動体の停止時など、自動走行機能を発揮する必要がないときには、自動走行機能を実現するための各機能部の一部又は全部への電力供給を遮断することで、消費電力の増大を抑制することができる。
【0017】
前記移動体の電源制御装置において、前記移動体は自動車である、という構成でもよい。
【0018】
すなわち、自動車は搭載されるデバイスの数が多いため、1つの演算装置に機能部を統合することで電気系統の簡易化をという効果をより適切に発揮することができる。また、自動車に搭載されるバッテリには容量に限りがあるため、電源制御部を設けて消費電力の増大を抑制するという効果もより適切に発揮することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、移動体の電気系統の構成を簡易化するとともに、消費電力の増大を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電源制御装置1が搭載された移動体の電気系統の構成を示す。本実施形態1において、移動体は自動車の車両である。以下の説明においては、移動体のこと単に車両と表現することがある。
【0023】
電源制御装置1は、車両の外部環境を含む情報を取得する複数のセンサ10〜18と、1つの演算装置100を備える。センサは、例えば、車両のボディ等に設けられかつ車外環境を撮影する複数のカメラ10と、車両のボディ等に設けられかつ車外の物標等を検知する複数のレーダ11と、全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)を利用して、車両の位置(車両位置情報)を検出する位置センサ12と、車両の走行速度を検出する車速センサ13と、車両の乗員の有無を含めて該乗員の状態を取得する乗員状態センサ14と、車両のパーキングロックのロック状態を検出するパーキングロックセンサ15と、自車両の周囲に位置する他車両からの通信情報や演算装置100に格納されたプログラムのアップデート情報を受信して演算装置100に入力する車外通信装置16と、キーレスエントリーシステムの携帯機からの信号を受信するキーレスセンサ17と、盗難防止用のバーグラセンサ18とを含む。尚、ここに示すセンサ10〜18は、演算装置100に情報を入力するセンサの一例であり、センサ10〜18以外のセンサから演算装置100に情報が入力されることを排除しない。
【0024】
各カメラ10は、車両の周囲を水平方向に360°撮影できるようにそれぞれ配置されている。各カメラ10は、車外環境を示す光学画像を撮像して画像データを生成する。各カメラ10は、生成した画像データを演算装置100に出力する。
【0025】
各レーダ11は、カメラ10と同様に、検出範囲が車両の周囲を水平方向に360°広がるようにそれぞれ配置されている。レーダ11の種類は特に限定されず、例えば、ミリ波レーダや赤外線レーダを採用することができる。
【0026】
乗員状態センサ14は、例えば、車室内を撮影する車室内カメラやシートクッションに設けられた荷重センサにより構成されている。各乗員状態センサ14は、生成した画像データ及び検出結果を演算装置100に出力する。尚、乗員状態センサ14を構成する車室内カメラは、車外を撮影するカメラ10と比較して解像度等の性能が低いカメラで構成してもよい。
【0027】
演算装置100は、複数のセンサ10〜18から情報が入力されて、車両の搭載機器を制御する。演算装置100は、1つ又は複数のチップで構成されたマイクロプロセッサである。演算装置100は、ISP(Image Signal Processor)21と、AIアクセラレータ22と、制御マイコン23とを有する。尚、実際に演算装置100が制御するのは、搭載機器のアクチュエータ150である。このアクチュエータ150は、エンジン、ブレーキ、及びステアリングなどの走行用デバイスのアクチュエータのみならず、ヘッドライトやエアコンなどの所謂ボディ系デバイスのアクチュエータも含む。
【0028】
ISP21は、カメラ10の出力に対して画像処理を行う。ISP21は、例えば、カメラ10の撮影した画像データに対して、画像を構成する素子のうちAIアクセラレータ22での処理(物体の認定など)に不要な画素を削除したり、色彩に関するデータを間引いたり(車両を全て同じ色で表すなど)する。ISP21で処理された画像信号は、AIアクセラレータ22に入力される。尚、本実施形態では、乗員状態センサ14を構成する車室内カメラの画像データは、ISP21を経由することなく、AIアクセラレータ22に入力されるようになっている。
【0029】
AIアクセラレータ22は、ISP21から入力された車外の画像を基に、深層学習により生成した学習済みモデルを利用して、車両周囲の物体を認定する。AIアクセラレータ22は、車外の画像及び物体の認定結果に対して、レーダ11で取得される物体との相対距離等の情報を統合して、車外環境を示す3Dマップを作成する。AIアクセラレータ22は、車室内カメラからの画像データや乗員状態センサ14を構成する他のセンサで得られた情報に基づいて、車室内の乗員の状態を推定する。AIアクセラレータ22は、車室内の乗員の状態について、深層学習により生成した学習済みモデルを利用して推定する。尚、乗員の状態とは、乗員の健康状態や感情を意味する。乗員の健康状態としては、例えば、健康、軽い疲労、体調不良、意識低下等がある。乗員の感情としては、例えば、楽しい、普通、退屈、イライラ、不快等がある。
【0030】
制御マイコン23は、車両が自動運転を行うときには、AIアクセラレータ22により作成された3Dマップを基にして、車両の走行経路を算出するための2Dマップを作成する。制御マイコン23は、作成した2Dマップを基に、車両の走行経路を生成する。制御マイコン23は、生成した走行経路を追従するための車両の目標運動を決定し、決定した目標運動を実現するための、駆動力、制動力、及び操舵量をそれぞれ算出する。尚、ここでいう自動運転とは、運転者がステアリング操作等をしない完全自動運転のみでなく、運転者のステアリング操作等をアシストするアシスト運転も含むものである。
【0031】
これらのことから、ISP21、AIアクセラレータ22、及び制御マイコン23は、車両が走行すべき走行経路を設定しかつ該走行経路を追従するための車両の運動を設定する自動走行機能(ここでは自動運転機能)を実行可能に構成されている。
【0032】
一方、制御マイコン23は、乗員によるアクセルペダル等の操作により車両を走行させるマニュアル運転時には、乗員によるアクセルペダル、ブレーキペダル、及びステアリングホイールの操作に応じて、駆動力、制動力、及び操舵量をそれぞれ算出する。
【0033】
また、制御マイコン23は、AIアクセラレータ22により推定された乗員の状態に基づいて、例えば、空調の制御(風量や温度)を行う。
【0034】
さらに、制御マイコン23は、車外通信装置16を介して、例えば、制御マイコン23に格納されたプログラムのアップデート情報が取得されたときには、対応するプログラムをリプログラミングする。
【0035】
演算装置100は、盗難防止機能を制御するバーグラ制御部24を更に有する。バーグラ制御部24は、バーグラセンサ18により車室内への不正な侵入が検出されたときには、バーグラアラームを作動させるように該バーグラアラームに作動信号を出力する。
【0036】
演算装置100は、キーレスエントリー機能を制御するキーレス制御部25を更に有する。キーレス制御部25は、後述する統括制御部30を介して、キーレスセンサ17から携帯機の操作に伴う情報を受信する。キーレス制御部25は、基本的には、ドアをロックするようにアクチュエータ150に作動信号を出力する。一方で、キーレス制御部25は、キーレスセンサ17を介してドアロックを解除する信号を受信したときには、ロックを解除するようにアクチュエータ150に作動信号を出力する。
【0037】
ISP21、AIアクセラレータ22、制御マイコン23、バーグラ制御部24、及びキーレス制御部25は、車両の搭載機器への制御信号を生成するための複数の機能部に相当する。尚、これら以外の機能部が演算装置100に搭載されていてもよい。
【0038】
各機能部21〜25の信号は、演算装置100に設けられた通信IC50に入力され、該通信IC50を介して、各アクチュエータ150に送信されるようになっている。
【0039】
演算装置100は、各機能部21〜25とそれぞれ通信可能に構成された統括制御部30を更に有する。統括制御部30は、各センサ10〜18から入力される情報に基づいて、車両の状態を特定する車両状態特定部31と、特定された車両の状態に応じて予め定められた組合せの各機能部21〜25に電力が供給されるように、各機能部21〜25への電力の供給/遮断を制御する電源制御部32と、後述する電力供給テーブル321が格納された記憶部33とを有する。
【0040】
車両状態特定部31は、車両の状態、特に、乗員の有無を含む車両のシーンを特定する。車両状態特定部31は、例えば、位置センサ12からの情報により車両が市街地に位置するか又は郊外に位置するかを特定し、位置センサ12及び車速センサ13からの情報により車両が走行中か又は停車中かを特定する。また、車両状態特定部31は、例えば、パーキングロックセンサ15からの情報により、車両が駐車中であるか否かを特定する。また、車両状態特定部31は、例えば、乗員状態センサ14からの情報により、車室内の乗員の有無を特定する。また、車両状態特定部31は、例えば、車外通信装置16から制御マイコン23のプログラムのアップデート情報が入力されたか否かにより、リプログラミングが必要な状態であるか否かを特定する。
【0041】
電源制御部32は、電力供給テーブル321に基づいて各機能部21〜25への電力の供給/遮断を制御する。電力供給テーブル321は、
図2に例示するように、車両の状態毎(車両のシーン毎)に電力を供給すべき機能部21〜25の組合せが規定されたテーブルである。尚、
図2に示す電力供給テーブル321は、図中の「ON」は電力を供給することを表し、「OFF」は電力を供給しないことを表す。
【0042】
例えば、
図2に示すように、電力供給テーブル321は、車両が停車中でかつ車室内に乗員がいない状態(
図2のシーン1)では、バーグラ制御部24及びキーレス制御部25に電力を供給する一方で、ISP21、AIアクセラレータ22、及び制御マイコン23には、電力を供給しないように規定している。これは、車両が停車中でかつ乗員がいない状態では、自動運転用の機能は必要ない一方で、ドアのロックと車室内への侵入の監視は必要なためである。
【0043】
また、
図2に示すように、電力供給テーブル321は、車両が停車中でかつ車室内に乗員がいる状態(
図2のシーン2)では、AIアクセラレータ22、制御マイコン23、及びキーレス制御部25に電力を供給する一方で、ISP21及びバーグラ制御部24には、電力を供給しないように規定している。これは、車両が停車中でかつ乗員がいる状態では、カメラ10の画像処理が必要なく、盗難のおそれもない一方で、車室内の環境を整えるために、空調等の制御は必要になるためである。
【0044】
また、
図2に示すように、電力供給テーブル321は、車両が自動運転で走行している状態(
図2のシーン3)では、ISP21、AIアクセラレータ22、制御マイコン23、及びキーレス制御部25に電力を供給する一方で、バーグラ制御部24には、電力を供給しないように規定している。これは、車両の自動運転中であれば、自動運転用の機能は作動させておく必要があるとともに、ドアのロックが不当に解除されないようにしておく必要があるためである。
【0045】
また、
図2に示すように、電力供給テーブル321は、車両がマニュアル運転で走行している状態(
図2のシーン4)では、AIアクセラレータ22、制御マイコン23、及びキーレス制御部25に電力を供給する一方で、ISP21及びバーグラ制御部24には、電力を供給しないように規定している。これは、マニュアル運転での走行中は、カメラ10の画像処理が必要ない一方で、車室内の環境を整えるために、空調等の制御は必要になるためである。
【0046】
尚、
図2で示すシーン1〜4は、説明を簡単にするために車両の状態を大雑把に分けたものの一例である。実際には、電力供給テーブル321は、車両が走行している場所やエンジンのオン/オフ等に基づいて、より細かく車両の状態が分けられている。また、例えば、グレードの高い車両については、車室内に乗員が存在する時や走行時であってもバーグラ制御部24に電力を供給するなど、車種等に応じて
図2の電力供給デーブル321の内容を変更してもよい。
【0047】
本実施形態1では、電源としてのバッテリBと各機能部21〜25との間の電力伝達経路には電力伝達部41〜45がそれぞれ配置されている。以下の説明では、便宜的に、バッテリBとISP21との間の電力伝達部を第1電力伝達部41といい、バッテリBとAIアクセラレータ22との間の電力伝達部を第2電力伝達部42といい、バッテリBと制御マイコン23との間の電力伝達部を第3電力伝達部43といい、バッテリBとバーグラ制御部24との間の電力伝達部を第4電力伝達部44といい、バッテリBとキーレス制御部25との間の電力伝達部を第5電力伝達部45という。
【0048】
第1〜第5電力伝達部41〜45は、車両に搭載されたバッテリBとそれぞれ接続されている。第1〜第5電力伝達部41〜45は、それぞれ、バッテリBと各機能部21〜25との間の電力伝達経路を接続(オン)/遮断(オフ)するスイッチ回路と、バッテリBの電圧を調整するDCDCコンバータとを含む。第1〜第5電力伝達部41〜45は、統括制御部30(特に電源制御部32)からスイッチ回路をオンにする制御信号(以下、オン信号という)を受信したときに、スイッチ回路をオンにする。つまり、本実施形態1では、統括制御部30から電力伝達部41〜45に制御信号(オン信号)が入力されたときに、該制御信号が入力された電力伝達部41〜45に対応する機能部21〜25(例えば、第1電力伝達部41ならISP21)に電力が供給されるようになっている。
【0049】
統括制御部30の電源制御部32は、車両状態特定部31で特定された車両の状態を電力供給テーブル321に当てはめて、該電力供給テーブル321で定められた組合せの各機能部21〜25に対応する各電力伝達部41〜45にオン信号を出力する。
【0050】
例えば、車両状態特定部31により、車両が停車中でかつ乗員がいる状態(
図2のシーン2)であると特定されたときには、電源制御部32は、電力供給テーブル321に従って、第2、第3、及び第5電力伝達部42,43,45にオン信号を出力する一方で、第1及び第4電力伝達部41,44にはオン信号を出力しない。これにより、AIアクセラレータ22、制御マイコン23、及びキーレス制御部25に電力を供給する一方で、ISP21及びバーグラ制御部24には、電力を供給しないようにすることができる。
【0051】
次に、統括制御部30による電源制御の処理動作について、
図3のフローチャートを参照しながら説明する。尚、ここで示すフローチャートは、一例を簡単に説明するために、車両が停車中であることを前提とするもの(
図2で示すシーン1及び2を対象とするもの)を対象としている。実際には、エンジンのオン/オフなど、より細かく車両の状態を分けるフローチャートとなっている。
【0052】
まず、ステップS1において、統括制御部30は、各センサ10〜18からの情報を読み込む。
【0053】
ステップS2では、統括制御部30は、車室内に乗員がいないか否かを判定する。このステップS2では、例えば、統括制御部30は、乗員状態センサ14の検出結果に基づいて判定する。このステップS2において、車両に乗員がいないYESのときには、ステップS3に進む一方で、車両に乗員がいるNOのときには、ステップS6に進む。
【0054】
前記ステップS3では、統括制御部30は、車両の状態がシーン1であることを特定する。
【0055】
次のステップS4では、統括制御部30は、電力供給テーブル321を参照して、車両の状態がシーン1であるときにオン信号を送るべき電力伝達部を特定する。
【0056】
次のステップS5では、統括制御部30は、第4及び第5電力伝達部44,45にオン信号を出力する。ステップS5の後はリターンする。
【0057】
一方、前記ステップS6では、統括制御部30は、車両の状態がシーン2であることを特定する。
【0058】
次のステップS7では、統括制御部30は、電力供給テーブル321を参照して、車両の状態がシーン2であるときにオン信号を送るべき電力伝達部を特定する。
【0059】
次のステップS8では、統括制御部30は、第2,第3,及び第5電力伝達部42,43,45にオン信号を出力する。ステップS8の後はリターンする。
【0060】
したがって、本実施形態1によると、電源制御装置1は、車両の外部環境を含む情報を取得する複数のセンサ10〜18と、複数のセンサ10〜18から情報が入力されて、移動体の搭載機器を制御する演算装置100とを備え、演算装置100は、各センサ10〜18から入力される情報に基づいて、車両の状態を特定する車両状態特定部31と、車両の状態に応じてそれぞれ作動しかつ搭載機器への制御信号を生成するための複数の機能部21〜25と、車両状態特定部31で特定された車両の状態に応じて予め定められた組合せの各機能部21〜25に電力が供給されるように、各機能部21〜25への電力の供給/遮断を制御する電源制御部32とを有する。これにより、演算装置100に、車両の搭載機器の制御量を設定するための複数の機能部21〜25が設けられているため、該搭載機器を制御するためのマイコンの数を減らすことができる。これにより、車両の電気系統の構成を簡易化することができる。また、電源制御部32により、車両が発揮すべき機能に関連する機能部21〜25のみに電力を供給する一方、他の機能部21〜25への電力供給を遮断することができる。この結果、車両の動作時間トータルでの消費電力の平均値を下げることができ、消費電力の増大を抑制することができる。
【0061】
特に、本実施形態1では、ISP21、AIアクセラレータ22、及び制御マイコン23により、車両が走行すべき走行経路を設定しかつ該走行経路を追従するための車両の運動を設定する自動運転機能が実行可能である。自動運転機能では、車両の走行経路の算出及び該走行経路を追従するための車両の運動の設定を行う必要があり、各機能部21〜23には高速の処理が求められる。このため、自動運転機能を実現するための各機能部21〜23は、バーグラ制御部24やキーレス制御部25と比較すると消費電力が大きくなりやすい。そこで、例えば、車両の停止時など、自動運転機能を発揮する必要がないときには、自動運転機能を実現するための各機能部21〜23の一部又は全部への電力供給を遮断することで、消費電力の増大を抑制することができる。このように、消費電力の増大を抑制する効果がより適切に発揮される。
【0062】
また、本実施形態1では、演算装置100は、バッテリBと各機能部21〜25との間の電力伝達経路にそれぞれ配置された第1〜第5電力伝達部41〜45を更に有し、電源制御部32から電力伝達部41〜45にオン信号が入力されたときに、該オン信号が入力された電力伝達部41〜45に対応する機能部21〜25に電力が供給される。これにより、電源制御部32は、車両状態特定部31が特定した車両の状態に応じて、各電力伝達部41〜45にオン信号を出力するだけでよくなる。この結果、電源制御部32の処理負荷を軽減することができる。
【0063】
また、自動運転機能を実現するための各機能部21〜23は高速の処理が求められるため、キーレス制御部25やバーグラ制御部24と比較して暗電流が大きくなりやすい。このため、自動運転機能を実現するための各機能部21〜23とバッテリBとの間に、第1〜第3電力伝達部41〜43があれば、当該各機能部21〜23への電力供給を絶って、暗電流による電力消費を削減することができる。
【0064】
また、本実施形態1では、演算装置100は、車両の状態毎に電力を供給すべき機能部21〜25の組合せが規定された電力供給テーブル321が格納された記憶部33を更に有し、電源制御部32は、電力供給テーブル321に基づいて各機能部21〜25への電力の供給/遮断を制御する。これにより、電源制御部32は、車両状態特定部31が特定した車両の状態を電力供給テーブル321に当てはめて、各機能部21〜25への電力の供給/遮断を制御すればよくなる。この結果、電源制御部32の処理負荷をより軽減することができる。
【0065】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
本実施形態2に係る電源制御装置201では、演算装置100の構成が、前記実施形態1における演算装置100とは異なる。具体的には、本実施形態2では、
図4に示すように、バッテリBと各機能部21〜25との間の電力伝達経路に第1〜第5電力伝達部41〜45が設けられていない。本実施形態2では、前記実施形態1とは異なり、統括制御部30が各機能部21〜25に直接電力を供給するようになっている。
【0067】
本実施形態2では、
図4に示すように、統括制御部30の電源制御部32に、電力の供給(オン)/遮断(オフ)を制御するスイッチ回路及びバッテリBの電圧を調整するDCDCコンバータを含む第1〜第5電力伝達部241〜245が、各機能部21に対応して設けられている。電源制御部32は、電力供給テーブル321に基づいて各機能部21〜25への電力の供給/遮断を制御する。すなわち、電源制御部32は、車両状態特定部31で特定された車両の状態を電力供給テーブル321に当てはめて、該電力供給テーブル321で定められた組合せの各機能部21〜25に対応する各電力伝達部241〜245のスイッチ回路をオン状態にする。
【0068】
本実施形態2でも、前記実施形態1と同様に、電源制御部32により、車両が発揮すべき機能に関連する機能部21〜25のみに電力を供給する一方、他の機能部21〜25への電力供給を遮断することができる。この結果、車両の動作時間トータルでの消費電力の平均値を下げることができ、消費電力の増大を抑制することができる。
【0069】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0070】
例えば、前述の実施形態1及び2では、車両状態特定部31、電源制御部32、及び記憶部33が統括制御部30にまとめて格納されていたが、これに限らず、それぞれが独立して(例えば、独立したチップで)構成されていてもよい。
【0071】
また、前述の実施形態1及び2では、統括制御部30とキーレス制御部25との間に第5電力伝達部45が設けられていたが、キーレス制御部25のように電力を供給する頻度が高いものについては、電力伝達部を設けずに、常に電力を供給するようにしてもよい。
【0072】
また、前述の実施形態1及び2では、自動車は自動運転が可能であったが、自動運転機能は必ずしも備えていなくてもよい。
【0073】
また、前述の実施形態1及び2では、移動体として自動車の車両を例示したが、これに限らず、工場や倉庫などで製品を搬送する搬送用ロボットを対象としてもよい。
【0074】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。