特開2020-205679(P2020-205679A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-205679(P2020-205679A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】回転電機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20201127BHJP
【FI】
   H02K9/19 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-111481(P2019-111481)
(22)【出願日】2019年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピディン アンドレイ
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP05
5H609QQ05
5H609QQ08
5H609SS06
5H609SS21
(57)【要約】
【課題】ウォーマを設けることなく、冷却液を加熱することができる回転電機及びその制御方法を提供する。
【解決手段】回転電機20は、ロータ22と、コイル242が取り付けられたステータコア241を有するステータ24と、ロータ22及びステータ24を収容する回転電機ケース25と、を備える。コイル242は、ステータコア241の軸方向の少なくとも一端側の第1端面241aから軸方向に突出するコイルエンド部242aを有する。回転電機ケース25には、冷却液Rを貯留する貯留部252aが形成されている。回転電機20は、コイルエンド部242aから貯留部252aへと延び、貯留部252aに貯留した冷却液Rに少なくとも一部が浸漬する伝熱部材26を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円環形状のロータと、
前記ロータの外周面から径方向に所定の間隔を隔てて配置され、コイルが取り付けられたステータコアを有するステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容する回転電機ケースと、を備え、
前記コイルは、前記ステータコアの軸方向の少なくとも一端側の第1端面から軸方向に突出するコイルエンド部を有する、回転電機であって、
前記回転電機ケースには、冷却液を貯留する貯留部が形成されており、
前記コイルエンド部から前記貯留部へと延び、前記貯留部に貯留した前記冷却液に少なくとも一部が浸漬する伝熱部材を備える、回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記貯留部は、前記回転電機ケースの下部領域に設けられている、回転電機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転電機であって、
前記伝熱部材は、
前記コイルエンド部の全周に亘って設けられた環状のリング部材と、
前記リング部材から延出し、前記貯留部に貯留した前記冷却液に少なくとも一部が浸漬する延出部材と、を備える、回転電機。
【請求項4】
請求項3に記載の回転電機であって、
前記リング部材と前記ステータコアとの間には空隙部が形成されている、回転電機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転電機であって、
前記伝熱部材は、一部が前記回転電機ケースと当接している、回転電機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転電機であって、
前記回転電機は、インホイールモータ装置のインホイールモータである、回転電機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の回転電機を制御する、回転電機の制御方法であって、
前記コイルに電力を供給しつつ前記ロータの回転を抑制するように前記回転電機の駆動を制御する加熱駆動モードを備える、回転電機の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の回転電機の制御方法であって、
前記冷却液の冷却液温度に基づいて、前記回転電機の駆動を制御する、回転電機の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の回転電機の制御方法であって、
前記冷却液温度が所定温度未満であれば、前記加熱駆動モードによって前記回転電機を駆動し、
前記冷却液温度が前記所定温度以上であれば、前記加熱駆動モードを解除して前記回転電機を駆動するように制御する、回転電機の制御方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載の回転電機の制御方法であって、
前記回転電機の駆動開始時に、前記冷却液の冷却液温度が所定温度未満であれば、前記加熱駆動モードによって前記回転電機を駆動するように制御する、回転電機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インホイールモータ装置などに搭載される回転電機及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インホイールモータ装置を備える車両が知られている。インホイールモータ装置のインホイールモータとして用いられる回転電機は、ホイールのホイールリム部よりも径方向内側のスペースに配置されるため、小型化、省スペース化が求められている。
【0003】
また、従来から、潤滑及び冷却のために、ロータやステータに冷却液が供給される回転電機が知られている。この種の回転電機では、特に駆動開始時や低速回転時など、冷却液の温度が低い場合は、冷却液の粘性が高いため、冷却液の粘性抵抗によって回転電機の駆動効率が低下してしまう。
【0004】
変速機においては、冷却液の昇温を早期に行う技術として、例えば、特許文献1には、排ガス(EGRガス)を熱源としてCVTフルードを加熱するCVTウォーマを、CVTの外部に設けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−141513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のCVTウォーマを、回転電機のウォーマとして適用しようとすると、ウォーマを設置するためのスペースが必要となるため、装置全体が大型化してしまう。装置全体が大型化してしまうと、インホイールモータ装置のインホイールモータとして用いられる回転電機に適用することが難しい、という課題があった。
【0007】
本発明は、ウォーマを設けることなく、冷却液を加熱することができる回転電機及びその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
略円環形状のロータと、
前記ロータの外周面から径方向に所定の間隔を隔てて配置され、コイルが取り付けられたステータコアを有するステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容する回転電機ケースと、を備え、
前記コイルは、前記ステータコアの軸方向の少なくとも一端側の第1端面から軸方向に突出するコイルエンド部を有する、回転電機であって、
前記回転電機ケースには、冷却液を貯留する貯留部が形成されており、
前記コイルエンド部から前記貯留部へと延び、前記貯留部に貯留した前記冷却液に少なくとも一部が浸漬する伝熱部材を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コイルで生じた熱が伝熱部材を介して冷却液に伝熱することによって、冷却液を加熱することができる。これにより、ウォーマを設けることなく、冷却液を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の回転電機が搭載されたインホイールモータ装置の要部断面図である。
図2図1の回転電機及び減速装置の斜視図である。
図3図1の回転電機において、コイルで発生した熱が伝熱する流れを説明する図である。
図4図1の回転電機の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の回転電機が搭載されたインホイールモータ装置の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るインホイールモータ装置10は、インホイールモータである回転電機20と、減速装置30と、ハブ40と、ホイール50と、ブレーキ装置60と、を備える。
【0013】
インホイールモータ装置10は、例えば、車両の駆動装置として用いられる。
【0014】
なお、本明細書等では、説明を簡単且つ明確にするために、図面に示すように、軸方向外側及び軸方向内側を定義する。具体的には、軸方向外側とは、インホイールモータ装置10が車両の駆動装置として用いられた場合の車幅方向外側であり、軸方向内側とは、インホイールモータ装置10が車両の駆動装置として用いられた場合の車幅方向中央側である。また、本明細書等では、軸方向、径方向、周方向というときは、インホイールモータ装置10の駆動軸線CLを基準にした方向をいう。
【0015】
<回転電機の構成>
回転電機20は、回転軸が駆動軸線CLと一致するように配置された中空のシャフト21と、シャフト21の外周面に固定された略円環形状のロータ22と、ロータ22の軸方向両端面に配置された一対の端面板23と、ロータ22の外周面から径方向に所定の間隔を隔てて配置されたステータ24と、回転電機ケース25と、を備える。
【0016】
シャフト21は、回転電機20が電動機として機能する場合には、回転電機20の出力軸として、回転電機20の回転動力を外部に出力する。また、シャフト21は、回転電機20が発電機として機能する場合には、回転電機20の入力軸として、外部からの回転動力を回転電機20に入力する。
【0017】
ロータ22は、略円環形状を有するロータコア221と、ロータコア221に取り付けられた不図示の永久磁石と、を備える。
【0018】
一対の端面板23は、いずれも軸方向から見て、外周縁がロータコア221の外周縁と略同一の略円環形状を有する。ロータ22は、一対の端面板23によって軸方向に挟持されて、シャフト21に軸方向で固定されている。
【0019】
ステータ24は、略円環形状を有するステータコア241と、ステータコア241に取り付けられ、U相、V相、W相の複数の巻線によって構成されるコイル242と、を備える。コイル242は、ステータコア241の軸方向内側端面241aから軸方向に突出する第1コイルエンド部242aと、ステータコア241の軸方向外側端面241bから軸方向に突出する第2コイルエンド部242bと、を有する。
【0020】
回転電機ケース25は、収容壁251によって囲まれた収容部252に、シャフト21と、ロータ22と、一対の端面板23と、ステータ24と、を収容する。ステータ24は、ステータコア241に形成された軸方向に貫通するボルト挿通孔241c(図2参照)を挿通するボルト243によって、回転電機ケース25の収容壁251に固定されている。回転電機ケース25の収容部252の下部領域には、貯留部252aが形成されている。回転電機ケース25の貯留部252aには、冷却液Rが貯留されている。
【0021】
貯留部252aは、回転電機ケース25の収容部252の下部領域に形成されているので、重力によって貯留部252aに冷却液Rを貯留することができ、簡単な構成で、貯留部252aに冷却液Rを貯留することができる。
【0022】
貯留部252aに貯留された冷却液Rは、回転電機ケース25内に設けられた不図示のオイルポンプを介して、シャフト21、ロータ22、ステータ24等に供給される。
【0023】
<伝熱部材>
回転電機20は、第1コイルエンド部242aの外周面に、全周に亘って設けられた環状のリング部材261と、リング部材261から延出し、少なくとも一部が回転電機ケース25の貯留部252aに貯留した冷却液Rに浸漬する延出部材262と、を備える伝熱部材26を備える。
【0024】
図2に示すように、伝熱部材26の延出部材262は、上端がリング部材261に当接し、リング部材261から鉛直下方に延びる延出部262aと、延出部262aの上端からリング部材261の外周面の一部に当接して延びる略円弧形状の当接部262bと、延出部262aの下端から略渦巻状に形成された脚部262cと、を備える。脚部262cは、回転電機ケース25の収容壁251に当接している。本実施形態では、脚部262cは、回転電機ケース25の貯留部252aの底面を形成する収容壁251に当接している(図1図3参照)。
【0025】
図3に示すように、回転電機20が駆動するとコイル242が発熱し、コイル242で生じた熱は、図中の矢印で示すように、伝熱部材26のリング部材261へと伝熱し、リング部材261から、延出部262aの当接部262bを介して、延出部材262へと伝熱する。延出部材262へ伝熱した熱は、一部が延出部262a及び脚部262cから冷却液Rへと伝熱する。これにより、冷却液Rが加熱される。また、延出部材262へ伝熱した熱は、一部が脚部262cから、当接する回転電機ケース25の収容壁251へと伝熱し、回転電機ケース25の収容壁251から放熱される。
【0026】
このように、回転電機20は、コイル242で生じた熱が伝熱部材26を介して冷却液Rに伝熱することによって、冷却液Rを加熱することができる。これにより、ウォーマを設けることなく、冷却液Rを加熱することができる。
【0027】
特に、回転電機20の駆動開始時や低速回転時においては、冷却液Rの温度が低く粘性が高いため、冷却液Rの粘性抵抗によって回転電機20の駆動効率が低下するが、回転電機20は、ウォーマを設けることなく冷却液Rを加熱することができるので、小型化、省スペース化を図りつつ、回転電機20の駆動効率を向上させることができる。
【0028】
また、回転電機20は、コイル242で生じた熱が伝熱部材26を介して冷却液Rに吸熱されることによって、コイル242を冷却することができる。
【0029】
さらに、コイル242で生じた熱が伝熱部材26を介して回転電機ケース25に伝熱し、回転電機ケース25から放熱されるので、コイル242で生じた熱を回転電機ケース25から抜熱することができる。
【0030】
特に、回転電機20の中速回転時や高速回転時においては、コイル242の発熱量が増大するが、回転電機20は、伝熱部材26を介して、コイル242で生じた熱を冷却液Rに吸熱させることができ、また、回転電機ケース25から抜熱することができるので、コイル242を冷却することができ、回転電機20の出力性能を向上させることができる。
【0031】
また、コイル242で生じた熱は、第1コイルエンド部242aの外周面に、全周に亘って設けられた環状のリング部材261に伝熱するので、コイル242の全周で生じた熱によって、冷却液Rを加熱することができる。また、コイル242の全周で生じた熱が伝熱部材26に伝熱するので、コイル242の全周を均一に冷却することができる。
【0032】
伝熱部材26のリング部材261と、ステータコア241との間には、軸方向に空隙部27が形成されている。すなわち、伝熱部材26のリング部材261は、ステータコア241と接触していない。
【0033】
これにより、コイル242で生じた熱が、ステータコア241に伝熱することを防止できる。
【0034】
<インホイールモータの構成>
図1に戻って、回転電機20の軸方向外側には、減速装置30が設けられている。減速装置30は、第1遊星歯車装置31と、第1遊星歯車装置31の軸方向外側に配置された第2遊星歯車装置32と、第1遊星歯車装置31及び第2遊星歯車装置32の径方向外側を取り囲む減速装置ケース33と、を備える。減速装置ケース33は、回転電機20の回転電機ケース25に固定されている。
【0035】
第1遊星歯車装置31は、第1サンギヤ311と、第1リングギヤ312と、複数の第1プラネタリギヤ313と、第1プラネタリキャリヤ314と、を備える。
【0036】
第1サンギヤ311は、駆動軸線CLを回転軸として回転する。第1サンギヤ311は、回転電機20の中空のシャフト21と結合する連結シャフト310と一体に成形されている。連結シャフト310は、第1サンギヤ311から、駆動軸線CLに沿って回転電機20の中空のシャフト21の内部を延び、回転電機20の中空のシャフト21と連結している。したがって、第1サンギヤ311は、回転電機20のシャフト21と一体に回転する。
【0037】
第1リングギヤ312は、回転電機20の回転電機ケース25に固定されている。したがって、第1リングギヤ312は、回転しない。
【0038】
複数の第1プラネタリギヤ313は、第1サンギヤ311及び第1リングギヤ312に噛合されており、第1サンギヤ311の回転に伴って、自転及び公転する。
【0039】
第1プラネタリキャリヤ314は、複数の第1プラネタリギヤ313を回転自在に連結しており、第1プラネタリギヤ313の公転と一体に回転する。
【0040】
第2遊星歯車装置32は、第2サンギヤ321と、第2リングギヤ322と、複数の第2プラネタリギヤ323と、を備える。
【0041】
第2サンギヤ321は、駆動軸線CLを回転軸として回転する。第2サンギヤ321は、第1遊星歯車装置31の第1プラネタリキャリヤ314に連結している。したがって、第2サンギヤ321は、第1プラネタリキャリヤ314と一体に回転する。
【0042】
第2リングギヤ322は、減速装置ケース33に固定されている。したがって、第2リングギヤ322は、回転しない。
【0043】
複数の第2プラネタリギヤ323は、第2サンギヤ321及び第2リングギヤ322に噛合されており、第2サンギヤ321の回転に伴って、自転及び公転する。
【0044】
減速装置30の軸方向外側、すなわち減速装置ケース33の軸方向外側には、ハブ40が設けられている。
【0045】
ハブ40は、駆動軸線CLを中心軸とする円盤形状のハブディスク部41と、ハブディスク部41の外周縁から軸方向内側に突出する略円筒形状のハブ筒部42と、を有する。ハブディスク部41とハブ筒部42は、ボルト43によって締結されている。
【0046】
ハブディスク部41には、複数の第2プラネタリギヤ323が回転自在に連結している。ハブ筒部42は、減速装置30の減速装置ケース33の外周面と、ハブ筒部42の内周面との間に設けられた軸受44を介して、回転自在に減速装置ケース33の外周面と嵌合している。
【0047】
したがって、ハブ40は、駆動軸線CLを回転軸として、第2プラネタリギヤ323の公転と一体に回転する。
【0048】
ハブディスク部41には、軸方向に貫通する挿通孔41aが、周方向に沿って円環状に複数形成されている(図示は1つ)。各挿通孔41aには、それぞれハブボルト45が挿通している。ハブボルト45は、ボルトヘッドがハブディスク部41の軸方向内側となるように配置され、ハブディスク部41の軸方向外側に突出している。
【0049】
ハブ40の軸方向外側にはホイール50が取り付けられている。
【0050】
ホイール50は、駆動軸線CLを中心とする略円筒形状のホイールリム部51と、ホイールリム部51の内周側に設けられたホイールディスク部52と、を備える。ホイールディスク部52は、駆動軸線CLを中心とする略円盤形状のハブ取付部521と、ハブ取付部521からホイールリム部51に向かって延びる複数のスポーク部522と、を備える。本実施形態では、スポーク部522は、ホイールリム部51の軸方向外側の端部に向かって延びている。ホイールリム部51は、回転電機20及び減速装置30を取り囲むように配置される。
【0051】
ホイール50のハブ取付部521には、挿通孔521aが、周方向に沿って円環状に複数形成されている(図示は1つ)。ハブ取付部521の各挿通孔521aには、それぞれハブボルト45が挿通している。ハブボルト45は、ハブ取付部521の軸方向外側に突出している。そして、ホイールナット53が、ハブ取付部521の軸方向外側からハブボルト45に締結している。これにより、ホイール50はハブ40に固定されている。
【0052】
これにより、回転電機20が電動機として機能する場合には、回転電機20のシャフト21から出力された回転動力は、第1遊星歯車装置31の第1サンギヤ311に入力し、減速されて第1遊星歯車装置31の第1プラネタリキャリヤ314から第2遊星歯車装置32の第2サンギヤ321に伝達し、さらに減速されて第2遊星歯車装置32の第2プラネタリギヤ323からハブ40へと伝達し、ホイール50が回転する。
【0053】
このようにして、回転電機20が電動機として機能する場合、回転電機20のシャフト21から出力された回転動力は、第1遊星歯車装置31及び第2遊星歯車装置32で減速されてハブ40へと伝達し、ホイール50が回転する。
【0054】
一方、回転電機20が発電機として機能する場合には、ホイール50の回転動力は、ハブ40を介して第2遊星歯車装置32の第2プラネタリギヤ323に入力し、増速されて第2遊星歯車装置32の第2サンギヤ321から第1遊星歯車装置31の第1プラネタリキャリヤ314に伝達し、さらに増速されて、第1遊星歯車装置31の第1サンギヤ311に伝達し、連結シャフト310を介して回転電機20のシャフト21が回転して、回転電機20が発電する。
【0055】
さらに、インホイールモータ装置10は、ブレーキ装置60を備える。
【0056】
ブレーキ装置60は、ブレーキロータ61と、ブレーキロータ61を軸方向の両側から挟み込む一対のブレーキパッド62a、62bと、一対のブレーキパッド62a、62bをブレーキロータ61に向かって軸方向に押圧する不図示のピストンが内蔵されたブレーキキャリパ63と、を備える。
【0057】
ブレーキキャリパ63は、ホイール50のホイールリム部51の径方向内側に配置されており、回転電機20の回転電機ケース25、及び減速装置30の減速装置ケース33に固定されている。
【0058】
ブレーキロータ61は、軸方向でハブ40のハブディスク部41と、ホイール50のハブ取付部521の間に配置され、駆動軸線CLを中心軸とする略円盤形状のハブ取付部611と、ハブ取付部611の外周縁から軸方向内側に突出し、ハブ40のハブディスク部41及びハブ筒部42の一部を取り囲むように配置された駆動軸線CLを中心軸とする略円筒形状のハット部612と、ハット部612の軸方向内側端部から径方向外側に突出した略円環形状の摩擦部613と、を備える。
【0059】
ブレーキロータ61のハブ取付部611には、挿通孔611aが、周方向に沿って円環状に複数形成されている(図示は1つ)。ハブ取付部611の各挿通孔611aには、それぞれハブボルト45が挿通している。そして、ホイールナット53が、ホイール50のハブ取付部521の軸方向外側からハブボルト45に締結していることによって、ブレーキロータ61のハブ取付部611は、ホイール50及びハブ40に挟持され、共締めされて固定されている。したがって、ブレーキロータ61は、ハブ40及びホイール50と一体に回転する。
【0060】
ブレーキロータ61の摩擦部613に軸方向両側に、一対のブレーキパッド62a、62bが配置されている。ブレーキキャリパ63に内蔵された不図示のピストンによって、一対のブレーキパッド62a、62bは、ブレーキロータ61の摩擦部613に向かって軸方向に押圧されると、一対のブレーキパッド62a、62bとブレーキロータ61の摩擦部613の摩擦力によって、回転電機20及びホイール50の回転動力が制動される。
【0061】
このように、インホイールモータ装置10は、ホイール50のホイールリム部51よりも径方向内側の限られたスペースに、回転電機20及び減速装置30が配置されている。回転電機20は、ウォーマを設けることなく、冷却液Rを加熱することができるので、小型化、省スペース化が可能である。これにより、回転電機20は、ホイール50のホイールリム部51よりも径方向内側の限られたスペースに配置でき、インホイールモータ装置10のインホイールモータとして用いることができる。そして、インホイールモータ装置10のインホイールモータが回転電機20であることによって、ウォーマを設けることなく、インホイールモータの冷却液を加熱することができる。
【0062】
<回転電機の駆動制御>
次に、回転電機20の駆動制御について説明する。
【0063】
回転電機20は、加熱駆動モードによって駆動可能となっている。加熱駆動モードは、コイル242に電力を供給しつつ、ロータ22の回転を抑制するように回転電機20の駆動を制御するモードである。加熱駆動モードでは、ロータ22の回転が抑制されているため、コイル242に供給された電力は、ジュール損失となる割合が増大し、コイル242の発熱量が増大する。本実施形態では、加熱駆動モードは、コイル242に電力を供給しつつ、ロータ22が回転しないように回転電機20の駆動を制御する。これにより、加熱駆動モードでは、コイル242に供給された電力のほぼ全てがジュール損失となり、コイル242の発熱量がより増大する。
【0064】
回転電機20では、コイル242で生じた熱は、伝熱部材26を介して冷却液Rに伝熱するので、回転電機20を加熱駆動モードによって駆動すると、コイル242の発熱量の増大に伴って、伝熱部材26を介して冷却液Rに伝熱する熱も増大し、冷却液Rを早期に昇温させることができる。これにより、特別なデバイスを設けることなく、冷却液Rを早期に昇温させることができる。
【0065】
続いて、本発明の回転電機の制御方法の一実施形態として、車両の駆動装置として用いられるインホイールモータ装置10における回転電機20の制御方法について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0066】
回転電機20の制御は、まずステップS110に進む。ステップS110では、回転電機20の駆動を開始するか否かを判定する。回転電機20の駆動を開始すると判定された場合は、次のステップS120へと進む。一方、回転電機20の駆動を開始しないと判定された場合は、再びステップS110へと戻る。
【0067】
ステップS110において、回転電機20の駆動を開始するか否かの判定は、車両の運転者が携帯するスマートフォン等の携帯端末から発信された駆動開始信号を受信したか否かによって判定してもよいし、車両内部の運転席周辺に設けられたスタートボタン(駆動開始ボタン)が押されたか否かによって判定してもよい。
【0068】
ステップS120では、回転電機20の貯留部252aに貯留する冷却液Rの冷却液温度Tが、所定温度T1以上であるか否かを判定する。冷却液温度Tが所定温度T1以上であると判定された場合は、ステップS131へと進む。一方、冷却液温度Tが所定温度T1未満であると判定された場合は、ステップS132へと進む。所定温度T1は、コイル242を構成する巻線の被膜の許容温度より十分低い温度となっている。
【0069】
ステップS131では、加熱駆動モードを解除して回転電機20を駆動する。
【0070】
ステップS132では、加熱駆動モードによって回転電機20を駆動する。そして、再びステップS120に戻る。
【0071】
したがって、冷却液温度Tが所定温度T1未満であれば、加熱駆動モードによって回転電機20を駆動するので、冷却液温度Tを早期に所定温度T1以上にすることができ、また、冷却液温度Tを所定温度T1以上に維持することができる。一方、冷却液温度Tが所定温度T1以上であれば、加熱駆動モードを解除して回転電機20を駆動するので、冷却液温度Tが高くなり過ぎることを防止でき、また、コイル242に供給された電力のジュール損失を最小限とすることができる。
【0072】
このように、冷却液温度Tに基づいて、回転電機20の駆動を制御することによって、冷却液温度Tに基づいてコイル242の発熱量を調節でき、冷却液温度Tを適正温度に維持することができる。
【0073】
さらに、回転電機20の駆動開始時に、冷却液温度Tが所定温度T1未満であれば、加熱駆動モードによって回転電機20を駆動するように制御するので、回転電機20の駆動開始時に、低温の冷却液を早期に昇温させることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0075】
例えば、本実施形態では、回転電機は、インホイールモータ装置のインホイールモータであるものとしたが、任意の回転電機に適用できる。
【0076】
また、例えば、本実施形態では、伝熱部材26のリング部材261は、第1コイルエンド部242aの外周面に配置されるものとしたが、第2コイルエンド部242bの外周面に配置されていてもよいし、第1コイルエンド部242aの外周面と第2コイルエンド部242bの外周面と双方に配置されていてもよい。
【0077】
また、例えば、伝熱部材26は、線状の部材であってもよいし、パイプ状の部材であってもよい。
【0078】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0079】
(1) 略円環形状のロータ(ロータ22)と、
前記ロータの外周面から径方向に所定の間隔を隔てて配置され、コイル(コイル242)が取り付けられたステータコア(ステータコア241)を有するステータ(ステータ24)と、
前記ロータ及び前記ステータを収容する回転電機ケース(回転電機ケース25)と、を備え、
前記コイルは、前記ステータコアの軸方向の少なくとも一端側(軸方向内側)の第1端面(軸方向内側端面241a)から軸方向に突出するコイルエンド部(第1コイルエンド部242a)を有する、回転電機(回転電機20)であって、
前記回転電機ケースには、冷却液(冷却液R)を貯留する貯留部(貯留部252a)が形成されており、
前記コイルエンド部から前記貯留部へと延び、前記貯留部に貯留した前記冷却液に少なくとも一部が浸漬する伝熱部材(伝熱部材26)を備える、回転電機。
【0080】
(1)によれば、コイルエンド部から貯留部へと延び、貯留部に貯留した冷却液に少なくとも一部が浸漬する伝熱部材を備えるので、コイルで生じた熱が伝熱部材を介して冷却液に伝熱することによって、冷却液を加熱することができる。これにより、ウォーマを設けることなく、冷却液を加熱することができる。
また、コイルで生じた熱が伝熱部材を介して冷却液に吸熱されることによって、コイルを冷却することができる。
【0081】
(2) (1)に記載の回転電機であって、
前記貯留部は、前記回転電機ケースの下部領域に設けられている、回転電機。
【0082】
(2)によれば、貯留部は、回転電機ケースの下部領域に設けられているので、重力によって貯留部に冷却液を貯留することができ、簡単な構成で、貯留部に冷却液を貯留することができる。
【0083】
(3) (1)または(2)に記載の回転電機であって、
前記伝熱部材は、
前記コイルエンド部の全周に亘って設けられた環状のリング部材(リング部材261)と、
前記リング部材から延出し、前記貯留部に貯留した前記冷却液に少なくとも一部が浸漬する延出部材(延出部材262)と、を備える、回転電機。
【0084】
(3)によれば、伝熱部材は、コイルエンド部の全周に亘って設けられた環状のリング部材を備えるので、コイルの全周で生じた熱によって、冷却液を加熱することができる。また、コイルの全周で生じた熱が伝熱部材に伝熱するので、コイルの全周を均一に冷却することができる。
【0085】
(4) (3)に記載の回転電機であって、
前記リング部材と前記ステータコアとの間には空隙部(空隙部27)が形成されている、回転電機。
【0086】
(4)によれば、リング部材とステータコアとの間には空隙部が形成されているので、コイルで生じた熱がステータコアに伝熱することを防止できる。
【0087】
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の回転電機であって、
前記伝熱部材は、一部が前記回転電機ケースと当接している、回転電機。
【0088】
(5)によれば、伝熱部材は、一部が回転電機ケースと当接しているので、コイルで生じた熱が伝熱部材を介して回転電機ケースから放熱され、コイルで生じた熱を回転電機ケースから抜熱することができる。
【0089】
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の回転電機であって、
前記回転電機は、インホイールモータ装置(インホイールモータ装置10)のインホイールモータである、回転電機。
【0090】
(6)によれば、回転電機は、インホイールモータ装置のインホイールモータであるので、ウォーマを設けることなく、インホイールモータの冷却液を加熱することができる。
【0091】
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の回転電機を制御する、回転電機の制御方法であって、
前記コイルに電力を供給しつつ前記ロータの回転を抑制するように前記回転電機の駆動を制御する加熱駆動モードを備える、回転電機の制御方法。
【0092】
(7)によれば、加熱駆動モードによって回転電機の駆動を制御することにより、コイルに電力を供給しつつロータの回転を抑制することでコイルの発熱量が増大し、冷却液を早期に昇温させることができる。
【0093】
(8) (7)に記載の回転電機の制御方法であって、
前記冷却液の冷却液温度(冷却液温度T)に基づいて、前記回転電機の駆動を制御する、回転電機の制御方法。
【0094】
(8)によれば、冷却液温度に基づいて、回転電機の駆動を制御するので、冷却液温度に基づいてコイルの発熱量を調節でき、冷却液温度を適正温度に維持することができる。
【0095】
(9) (8)に記載の回転電機の制御方法であって、
前記冷却液温度が所定温度(所定温度T1)未満であれば、前記加熱駆動モードによって前記回転電機を駆動し、
前記冷却液温度が前記所定温度以上であれば、前記加熱駆動モードを解除して前記回転電機を駆動するように制御する、回転電機の制御方法。
【0096】
(9)によれば、冷却液温度が所定温度未満であれば、加熱駆動モードによって回転電機を駆動し、冷却液温度が所定温度以上であれば、加熱駆動モードを解除して回転電機を駆動するように制御するので、冷却液温度を所定温度以上に維持することができる。
【0097】
(10) (7)〜(9)のいずれかに記載の回転電機の制御方法であって、
前記回転電機の駆動開始時に、前記冷却液の冷却液温度(冷却液温度T)が所定温度(所定温度T1)未満であれば、前記加熱駆動モードによって前記回転電機を駆動するように制御する、回転電機の制御方法。
【0098】
(10)によれば、回転電機の駆動開始時に、冷却液温度が所定温度未満であれば、加熱駆動モードによって回転電機を駆動するように制御するので、回転電機の駆動開始時に、低温の冷却液を早期に昇温させることができる。
【符号の説明】
【0099】
10 インホイールモータ装置
20 回転電機
22 ロータ
24 ステータ
241 ステータコア
241a 軸方向内側端面(第1端面)
242 コイル
242a 第1コイルエンド部(コイルエンド部)
25 回転電機ケース
252a 貯留部
26 伝熱部材
261 リング部材
262 延出部材
27 空隙部
R 冷却液
T 冷却液温度
T1 所定温度
図1
図2
図3
図4