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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-205681(P2020-205681A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20201127BHJP
【FI】
   H02M7/48 E
   H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-111497(P2019-111497)
(22)【出願日】2019年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】ラクスマン マハルジャン
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA11
5H770CA04
5H770CA05
5H770DA23
5H770DA30
5H770DA31
5H770HA02Y
5H770HA03X
5H770HA09X
5H770LB09
(57)【要約】
【課題】本発明は、ブリッジセルの一部の動作が停止しても全体のエネルギー容量の低下を抑制できる電力変換装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電力変換装置1は、複数のブリッジセル31u−1〜31u−3と、複数のブリッジセル31v−1〜31v−3と、複数のブリッジセル31w−1〜31w−3と、複数の単位電力変換器UPCのうちの少なくとも1つを短絡状態に設定するとともに、短絡状態に設定されていない単位電力変換器UPCを有するU相クラスタ31uに設けられたブリッジセル、V相クラスタ31vに設けられたブリッジセル及びW相クラスタ31wに設けられたブリッジセルの間で有効電力が均等に負担されるようにデルタ結線部に循環させる零相電流を制御する制御装置5とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体スイッチをブリッジ接続してなるブリッジ部及び前記ブリッジ部に並列接続された有効電力供給部を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器をそれぞれ含み、直列接続された複数の第一ブリッジセルと、
複数の半導体スイッチをブリッジ接続してなるブリッジ部及び前記ブリッジ部に並列接続された有効電力供給部を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器をそれぞれ含み、直列接続された複数の第二ブリッジセルと、
複数の半導体スイッチをブリッジ接続してなるブリッジ部及び前記ブリッジ部に並列接続された有効電力供給部を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器をそれぞれ含み、前記複数の第一ブリッジセル及び前記複数の第二ブリッジセルとともにデルタ結線部を構成し、直列接続された複数の第三ブリッジセルと、
複数の前記単位電力変換器のうちの少なくとも1つを短絡状態に設定するとともに、短絡状態に設定されていない前記単位電力変換器を有する前記第一ブリッジセル、前記第二ブリッジセル及び前記第三ブリッジセルの間で有効電力が均等に負担されるように前記デルタ結線部に循環させる零相電流を制御する制御部と
を備える電力変換装置。
【請求項2】
前記複数の第一ブリッジセル、前記複数の第二ブリッジセル及び前記複数の第三ブリッジセルのそれぞれは、前記単位電力変換器の前記交流出力端子の間に接続された短絡スイッチを有する
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、故障が検出された前記単位電力変換器に接続された前記短絡スイッチをオン状態に制御して、該単位電力変換器を短絡状態に設定する
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記複数の第一ブリッジセル、前記複数の第二ブリッジセル及び前記複数の第三ブリッジセルのそれぞれに流れる電流が追従される電流指令値を生成する生成部と、
前記零相電流が追従される零相電流指令値を演算する演算部と、
前記生成部で生成された前記電流指令値及び前記演算部で演算された前記零相電流指令値を加算する加算部と、
前記生成部で生成された前記電流指令値及び前記加算部から出力される加算指令値の一方を選択する選択部と
を有する
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記有効電力供給部は、二次電池、太陽電池、燃料電池、電気二重層コンデンサ又はコンデンサである
請求項1から4までのいずれか一項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体スイッチを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高圧・大容量次世代電力変換器として、モジュラーマルチレベル変換器(Modular Multilevel Cascade Converter:MMC)への注目度が高まっている。特にデルタ結線型のMMCは、正相無効電流及び逆相電流の制御が要求されるフリッカ補償装置として注目されている。
【0003】
特許文献1から3には、直列接続された3個のブリッジセルで構成された3つの相がデルタ接続された構成のデルタ結線MMCが開示されている。当該ブリッジセルは、二次電池と、当該二次電池に並列接続された2個の半導体スイッチ群とを有している。また、当該ブリッジセルは、当該ブリッジセルの交流出力端子の間に接続されて当該交流端子間を短絡可能に構成されたバイパススイッチを有している。
【0004】
デルタ結線MMCにおいて、電力系統電圧が三相平衡でブリッジセルの損失が等しいと考えた場合は、各ブリッジセルの出力電圧と電流が同等となり、制御する有効電力はブリッジセル間で均等に負担される。デルタ結線MMCは、信頼性及び利用性の向上を目的に、ブリッジセルのいずれかが故障した場合に故障したブリッジセルの交流出力端子の間をバイパススイッチによって短絡するように構成されている。これにより、デルタ結線MMCは、運転を継続できるが、故障モードにおいてもエネルギー容量を最大限に使用するために、通常モードと同じ有効電力を健全なブリッジセルの間で均等に負担させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−245168号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S.Wei,B.Wu,F.Li and X.Sun,“Control method for cascaded H−bridge multilevel inverter with faulty power cells,”in Proc.IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition,Feb.2003,vol.1,pp.261−267.
【非特許文献2】W.Song and A.Q.Huang,“Control strategy for fault−tolerant cascaded multilevel converter based STATCOM,”in Proc.IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition,Feb./Mar.2007,pp.1073−1076.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び非特許文献1には、ブリッジセルのいずれかが故障した場合に、故障したブリッジセルのみをバイパスしてデルタ結線MMCの運転を継続する方法(以下、「方法1」と称する)が開示されている。また、非特許文献2には、ブリッジセルのいずれかが故障した場合に、故障したブリッジセル及び健全相の故障していないブリッジセルをバイパススイッチでバイパスさせて各相で動作するブリッジセルの個数を同じにしてデルタ結線MMCの運転を継続する方法(以下、「方法2」と称する)が開示されている。
【0008】
しかしながら、方法1及び2のいずれもデルタ結線MMCに適用した場合、ブリッジセルの故障時に、故障したブリッジセルの分を健全なブリッジセルで負担しながら運転継続できるように、ブリッジセルは電圧余裕をもって設計される必要がある。方法1を用いた場合は、故障したブリッジセルを有する相の健全なブリッジセルの二次電池の負担が増え、故障したブリッジセルを有さない他の相のブリッジセルの二次電池と比較して、充放電が早くなる。その結果、デルタ結線MMCは、各相のエネルギー容量が故障した相の容量に制限され、全体のエネルギー容量が低下する。また、方法2を用いた場合は、デルタ結線MMCが制御する有効電力がブリッジセル間で均等に負担されるが、故障したブリッジセルを有さない他の相の健全なブリッジセルが所定数(故障数と同数)バイパスされる。このため、方法2では、デルタ結線MMCのエネルギー容量は、故障したブリッジセルの個数の3倍低下する。このように、従来のデルタ結線MMCは、ブリッジセルに故障が発生した場合、全体のエネルギー容量が低下するという問題を有している。
【0009】
本発明の目的は、ブリッジセルの一部の動作が停止しても全体のエネルギー容量の低下を抑制できる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による電力変換装置は、複数の半導体スイッチをブリッジ接続してなるブリッジ部及び前記ブリッジ部に並列接続された有効電力供給部を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器をそれぞれ含み、直列接続された複数の第一ブリッジセルと、複数の半導体スイッチをブリッジ接続してなるブリッジ部及び前記ブリッジ部に並列接続された有効電力供給部を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器をそれぞれ含み、直列接続された複数の第二ブリッジセルと、複数の半導体スイッチをブリッジ接続してなるブリッジ部及び前記ブリッジ部に並列接続された有効電力供給部を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器をそれぞれ含み、前記複数の第一ブリッジセル及び前記複数の第二ブリッジセルとともにデルタ結線部を構成し、直列接続された複数の第三ブリッジセルと、複数の前記単位電力変換器のうちの少なくとも1つを短絡状態に設定するとともに、短絡状態に設定されていない前記単位電力変換器を有する前記第一ブリッジセル、前記第二ブリッジセル及び前記第三ブリッジセルの間で有効電力が均等に負担されるように前記デルタ結線部に循環させる零相電流を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、ブリッジセルの一部の動作が停止しても全体のエネルギー容量の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による電力変換装置が用いられる電力制御システムの概略構成を示す回路ブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたU相クラスタを構成するブリッジセルの故障前後における零相電流を説明するフェーザ図であって、図2(a)は、U相クラスタを構成するブリッジセルの故障前の状態を示すフェーザ図であり、図2(b)は、U相クラスタを構成する3個のブリッジセルのうちの1個が故障した後の零相電流が重畳されていない状態を示すフェーザ図であり、図2(c)は、U相クラスタを構成する3個のブリッジセルのうちの1個が故障した後の零相電流が重畳されている状態を示すフェーザ図である。
図3】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられた制御の要部の概略構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による電力変換装置に備えられたU相クラスタを構成する3個のブリッジセルのうちの1個及びV相クラスタを構成する3個のブリッジセルのうちの1個が故障した後の零相電流が重畳されている状態を示すフェーザ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態による電力変換装置について図1から図4を用いて説明する。本実施形態による電力変換装置について、電力系統に連系することができる三相モジュラーマルチレベル変換器(以下、「モジュラーマルチレベル変換器」を「MMC」と略記する場合がある)を例にとって説明する。
【0014】
(電力制御システム)
本実施形態による電力変換装置が用いられる電力制御システムについて図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による電力変換装置1が用いられる電力制御システムPSの概略構成を示す回路ブロック図である。
【0015】
図1に示すように、電力制御システムPSは、三相電力系統2と、三相電力系統2に三相の交流電力を供給する三相交流電源(不図示)と、三相交流電源から三相電力系統2を介して供給される交流電力を電源として動作する負荷装置(不図示)と、三相電力系統2に連系する電力変換装置1とを備えている。三相電力系統2は、三相交流電源で生成された交流電力が供給されるケーブル21を有している。ケーブル21は、三相交流電源で生成されたU相の交流電力が供給されるU相ケーブル211と、三相交流電源で生成されたV相の交流電力が供給されるV相ケーブル212と、三相交流電源で生成されたW相の交流電力が供給されるW相ケーブル213とを有している。
【0016】
(電力変換装置)
次に、電力制御システムPSに設けられた電力変換装置の構成について図1を用い説明する。
図1に示すように、本実施形態による電力変換装置1は、三相電力系統2に連系されたクラスタ部3と、クラスタ部3を制御する制御装置(制御部の一例)5(詳細は後述する)とを備えている。クラスタ部3は、直列接続された複数(本実施形態では3個)のブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3(複数の第一ブリッジセルの一例)を有している。また、クラスタ部3は、直列接続された複数(本実施形態では3個)のブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3(複数の第二ブリッジセルの一例)を有している。さらに、クラスタ部3は、直列接続された複数(本実施形態では3個)のブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3(複数の第三ブリッジセルの一例)を有している。
【0017】
ブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3は、三相電力系統2のU相ケーブル211に接続されたリアクトル31uLと直列に接続されている。ブリッジセル31u−1、ブリッジセル31u−2、ブリッジセル31u−3及びリアクトル31uLによってU相クラスタ31uが構成されている。
【0018】
ブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3は、三相電力系統2のV相ケーブル212に接続されたリアクトル31vLと直列に接続されている。ブリッジセル31v−1、ブリッジセル31v−2、ブリッジセル31v−3及びリアクトル31vLによってV相クラスタ31vが構成されている。
【0019】
ブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3は、三相電力系統2のW相ケーブル213に接続されたリアクトル31wLと直列に接続されている。ブリッジセル31w−1、ブリッジセル31w−2、ブリッジセル31w−3及びリアクトル31wLによってW相クラスタ31wが構成されている。
このように、クラスタ部3は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wを有している。
【0020】
U相クラスタ31uの一端及びW相クラスタ31wの他端は、結線部32uにおいて互いに接続されている。また、W相クラスタ31wの一端及びV相クラスタ31vの他端は、結線部32wにおいて互いに接続されている。また、V相クラスタ31vの一端及びU相クラスタ31uの他端は、結線部32vにおいて互いに接続されている。さらに、結線部32uにはU相ケーブル211が接続され、結線部32vにはV相ケーブル212が接続され、結線部32wにはW相ケーブル213が接続されている。このように、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、デルタ結線された状態で三相電力系統2に接続されている。つまり、電力変換装置1は、デルタ結線MMCの構成を有するクラスタ部3を備えている。
【0021】
リアクトル31uL、リアクトル31vL及びリアクトル31wLは、例えばU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのそれぞれに流れるクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwu(詳細は後述)を平滑化するために設けられている。また、リアクトル31uL、リアクトル31vL及びリアクトル31wLは、例えばU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wに過電流が流れることを防止するために設けられている。
【0022】
本実施形態では、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、それぞれ3個のブリッジセルを有しているが、直列に接続された2個又は4個以上のブリッジセルを有していてもよい。
【0023】
U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、互いに同一の構成を有している。このため、以下、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wの具体的な構成について、U相クラスタ31uを例にとって説明する。また、ブリッジセル31u−1、ブリッジセル31u−2、ブリッジセル31u−3、ブリッジセル31v−1、ブリッジセル31v−2、ブリッジセル31v−3、ブリッジセル31w−1、ブリッジセル31w−2及びブリッジセル31w−3は、互いに同一の構成を有している。このため、以下、ブリッジセル31u−1〜31w−3の具体的な構成について、ブリッジセル31u−1を例にとって説明する。
【0024】
図1に示すように、U相クラスタ31uに設けられたブリッジセル31u−1は、直列に接続された複数(本実施形態では2個)の半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2と、直列に接続された複数(本実施形態では2個)の半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4を有している。半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2と、半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4とは、並列に接続されている。さらに、ブリッジセル31u−1は、半導体モジュールM1,M2及び半導体モジュールM3,M4に並列に接続された二次電池(有効電力供給部の一例)33を有している。
【0025】
ブリッジセル31u−1は、半導体モジュールM1,M2及び半導体モジュールM3,M4と、半導体モジュールM1,M2及び半導体モジュールM3,M4に並列に接続された二次電池33とを有する単位電力変換器UPCを含んでいる。
【0026】
半導体モジュールM1は、半導体スイッチQ1と、半導体スイッチQ1に逆並列接続された還流用ダイオードD1とを有している。半導体モジュールM2は、半導体スイッチQ2と、半導体スイッチQ2に逆並列接続された還流用ダイオードD2とを有している。半導体モジュールM3は、半導体スイッチQ3と、半導体スイッチQ3に逆並列接続された還流用ダイオードD3とを有している。半導体モジュールM4は、半導体スイッチQ4と、半導体スイッチQ4に逆並列接続された還流用ダイオードD4とを有している。
【0027】
本実施形態では、半導体スイッチQ1,Q2,Q3,Q4は、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)で構成されている。半導体スイッチQ1のコレクタ端子は、還流用ダイオードD1のカソード端子、半導体スイッチQ3のコレクタ端子及び還流用ダイオードD3のカソード端子に接続されている。半導体スイッチQ1のエミッタ端子は、還流用ダイオードD1のアノード端子、半導体スイッチQ2のコレクタ端子及び還流用ダイオードD2のカソード端子に接続されている。半導体スイッチQ1のゲート端子は、制御装置5に接続されている。
【0028】
半導体スイッチQ2のエミッタ端子は、半導体スイッチQ4のエミッタ端子及び還流用ダイオードD4のアノード端子に接続されている。半導体スイッチQ2のゲート端子は、制御装置5に接続されている。
【0029】
半導体スイッチQ3のエミッタ端子は、還流用ダイオードD3のアノード端子、半導体スイッチQ4のコレクタ端子及び還流用ダイオードD4のカソード端子に接続されている。半導体スイッチQ3のゲート端子は、制御装置5に接続されている。半導体スイッチQ4のゲート端子は、制御装置5に接続されている。
【0030】
二次電池33の正極側端子は、半導体スイッチQ1のコレクタ端子、還流用ダイオードD1のカソード端子、半導体スイッチQ3のコレクタ端子及び還流用ダイオードD3のカソード端子に接続されている。二次電池33の負極側端子は、半導体スイッチQ2のエミッタ端子、還流用ダイオードD2のアノード端子、半導体スイッチQ4のエミッタ端子及び還流用ダイオードD4のアノード端子に接続されている。
【0031】
半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xは、単位電力変換器UPCの一方の交流出力端子となり、半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、単位電力変換器UPCの他方の交流出力端子となる。
【0032】
ブリッジセル31u−1は、単位電力変換器UPCの交流出力端子の間に接続された短絡スイッチSSWを有している。短絡スイッチSSWの一方の端子は、単位電力変換器UPCの一方の交流出力端子である半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。短絡スイッチSSWの他方の端子は、単位電力変換器UPCの他方の交流出力端子である半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yに接続されている。詳細は後述するが、ブリッジセル31u−1に設けられた短絡スイッチSSWは、単位電力変換器UPCが故障した場合など単位電力変換器UPCにクラスタ電流Iuvを流したくない場合に、クラスタ電流Iuvを単位電力変換器UPCに流さずにバイパスするために設けられている。
【0033】
半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xは、リアクトル31uLを介して三相電力系統2のU相ケーブル211に接続されている。半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xは、半導体スイッチQ1のエミッタ端子及び還流用ダイオードD1のアノード端子と、半導体スイッチQ2のコレクタ端子及び還流用ダイオードD2のカソード端子とが接続された部分である。
【0034】
半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、ブリッジセル31u−2に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、半導体スイッチQ3のエミッタ端子及び還流用ダイオードD3のアノード端子と、半導体スイッチQ4のコレクタ端子及び還流用ダイオードD4のカソード端子とが接続された部分である。
【0035】
ブリッジセル31u−2に設けられた半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、ブリッジセル31u−3に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。ブリッジセル31u−3に設けられた半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、リアクトル31vLを介してブリッジセル31v−1に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。
【0036】
ブリッジセル31v−1に設けられた半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、ブリッジセル31v−2に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。ブリッジセル31v−2に設けられた半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、ブリッジセル31v−3に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。
【0037】
ブリッジセル31v−3に設けられた半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、リアクトル31wLを介してブリッジセル31w−1に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。
【0038】
ブリッジセル31w−1に設けられた半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、ブリッジセル31w−2に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。ブリッジセル31w−2に設けられた半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、ブリッジセル31w−3に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。
【0039】
ブリッジセル31w−3に設けられた半導体モジュールM3及び半導体モジュールM4の接続部Yは、リアクトル31uLを介してブリッジセル31u−1に設けられた半導体モジュールM1及び半導体モジュールM2の接続部Xに接続されている。
【0040】
このように、電力変換装置1は、複数(本実施形態では4個)の半導体スイッチQ1〜Q4をブリッジ接続してなるブリッジ部及び当該ブリッジ部に並列接続された二次電池33を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器UPCをそれぞれ含み、直列接続された複数(本実施形態では3個)のブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3を備えている。当該ブリッジ部は、直列接続された半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ2と、半導体スイッチQ1,Q2に並列に接続されて直列接続された半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ4とで構成されている。
【0041】
また、電力変換装置1は、複数(本実施形態では4個)の半導体スイッチQ1〜Q4をブリッジ接続してなるブリッジ部及び当該ブリッジ部に並列接続された二次電池33を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器UPCをそれぞれ含み、直列接続された複数(本実施形態では3個)のブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3を備えている。当該ブリッジ部は、直列接続された半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ2と、半導体スイッチQ1,Q2に並列に接続されて直列接続された半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ4とで構成されている。
【0042】
さらに、電力変換装置1は、複数(本実施形態では4個)の半導体スイッチQ1〜Q4をブリッジ接続してなるブリッジ部及び当該ブリッジ部に並列接続された二次電池33を有し交流出力端子が短絡可能な単位電力変換器UPCをそれぞれ含み、直列接続された複数(本実施形態では3個)のブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3を備えている。当該ブリッジ部は、直列接続された半導体スイッチQ1及び半導体スイッチQ2と、半導体スイッチQ1,Q2に並列に接続されて直列接続された半導体スイッチQ3及び半導体スイッチQ4とで構成されている。
【0043】
また、上述のとおり、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wは、デルタ結線された状態で三相電力系統2に接続されている。このため、複数のブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3は、複数のブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3及び複数のブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3とともにデルタ結線部を構成している。さらに、複数のブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3、複数のブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3及び複数のブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3のそれぞれは、単位電力変換器UPCの交流出力端子の間に接続された短絡スイッチSSWを有している。
【0044】
図示は省略するが、電力変換装置1は、ブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3ごとに設けられて二次電池33の直流電圧Vcu1,Vcu2,Vcu3を検出する電圧検出部を備えている。同様に図示は省略するが、電力変換装置1は、ブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3ごとに設けられて二次電池33の直流電圧Vcv1,Vcv2,Vcv3を検出する電圧検出部を備えている。同様に図示は省略するが、電力変換装置1は、ブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3ごとに設けられて二次電池33の直流電圧Vcw1,Vcw2,Vcw3を検出する電圧検出部を備えている。これらの電圧検出部は、制御装置5に接続されている。これにより、ブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3にそれぞれ設けられた電圧検出部が検出する二次電池33の直流電圧Vcu1,Vcu2,Vcu3は、制御装置5に入力される。また、ブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3にそれぞれ設けられた電圧検出部が検出する二次電池33の直流電圧Vcv1,Vcv2,Vcv3は、制御装置5に入力される。さらに、ブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3にそれぞれ設けられた電圧検出部が検出する二次電池33の直流電圧Vcw1,Vcw2,Vcw3は、制御装置5に入力される。
【0045】
また、図示は省略するが、電力変換装置1は、U相クラスタ31uに流れるクラスタ電流Iuvを検出する電流検出部を備えている。同様に図示は省略するが、電力変換装置1は、V相クラスタ31vに流れるクラスタ電流Ivwを検出する電流検出部を備えている。同様に図示は省略するが、電力変換装置1は、W相クラスタ31wに流れるクラスタ電流Iwuを検出する電流検出部を備えている。これらの電流検出部は、制御装置5に接続されている。これにより、U相クラスタ31uに設けられた電流検出部が検出するクラスタ電流Iuv、V相クラスタ31vに設けられた電流検出部が検出するクラスタ電流Ivw及びW相クラスタ31wに設けられた電流検出部が検出するクラスタ電流Iwuは、制御装置5に入力される。
【0046】
詳細は後述するが、制御装置5は、複数の単位電力変換器UPCのうちの少なくとも1つを短絡状態に設定するとともに、短絡状態に設定されていない単位電力変換器UPCを有するU相クラスタ31uに設けられたブリッジセル、V相クラスタ31vに設けられたブリッジセル及びW相クラスタ31wに設けられたブリッジセルの間で有効電力が均等に負担されるようにデルタ結線部に循環させる零相電流を制御するように構成されている。制御装置5は、故障が検出された単位電力変換器UPCに接続された短絡スイッチSSWをオン状態に制御して、当該単位電力変換器UPCを短絡状態に設定するように構成されている。例えば、制御装置5は、ブリッジセル31u−1に設けられた電圧検出部で検出される直流電圧Vcu1が異常値であると判定した場合、ブリッジセル31u−1に設けられた短絡スイッチSSWをオン状態に制御し、ブリッジセル31u−1に設けられた単位電力変換器UPCを短絡状態に設定する。さらに、制御装置5は、短絡状態に設定されていない単位電力変換器UPCを有するブリッジセル31u−2,31u−3、ブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3及びブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3の間で有効電力が均等に負担されるようにデルタ結線部に循環させる零相電流を制御する。これにより、電力変換装置1は、クラスタ部3が制御する有効電力を健全なブリッジセル(すなわち故障した単位電力変換器を有していないブリッジセル)の間で負担し、エネルギー利用率を向上できる。
【0047】
ここで、制御装置5が短絡状態に設定されていない単位電力変換器を有するブリッジセルの間で有効電力が均等に負担されるように、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wで構成されるデルタ結線部に循環させる零相電流を制御する原理について図1を参照しつつ図2を用いて説明する。以下、U相クラスタ31uを構成するブリッジセル31u−1の単位電力変換器UPCが故障した場合を例にとって説明するが、他のブリッジセルの単位電力変換器が故障した場合も、デルタ結線部に循環させる零相電流は同様に制御される。
【0048】
図2は、電力変換装置1に備えられたU相クラスタ31uを構成するブリッジセル31u−1の単位電力変換器UPCの故障前後におけるクラスタ部3に流れる零相電流を説明するフェーザ図である。図2(a)は、ブリッジセル31u−1の単位電力変換器UPCの故障前の状態を示すフェーザ図である。図2(b)は、3個のブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3のうちの1個(図2(b)ではブリッジセル31u−1)が故障した後の零相電流が重畳されていない状態を示すフェーザ図である。図2(c)は、3個のブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3のうちの1個(図2(c)ではブリッジセル31u−1)に設けられた単位電力変換器UPCが故障した後の零相電流がクラスタ電流に重畳されている状態を示すフェーザ図である。
【0049】
図1に示す三相電力系統2の線間電圧Vsuv,Vsvw,Vswuは、三相平衡として、以下の式(1)、式(2)及び式(3)のように表わすことができる。
【0050】
【数1】
【0051】
【数2】
【0052】
【数3】
【0053】
式(1)から式(3)において、「V」は2の線間電圧Vsuv,Vsvw,Vswuの実効値を示す。また、三相電力系統2において、線間電圧VsuvはV相電圧Vsvに対するU相電圧Vsuの電圧であり、線間電圧VsvwはW相電圧Vswに対するV相電圧Vsvの電圧であり、線間電圧VswuはU相電圧Vsuに対するW相電圧Vswの電圧である。
【0054】
また、電力変換装置1では、クラスタ部3が有効電力を制御するために、U相クラスタ31uに流れるクラスタ電流Iuvは線間電圧Vsuvと同位相(又は逆位相)であり、V相クラスタ31vに流れるクラスタ電流Ivuは線間電圧Vsvwと同位相(又は逆位相)であり、W相クラスタ31wに流れるクラスタ電流Iwuは線間電圧Vswuと同位相(又は逆位相)であり、以下の式(4)、式(5)及び式(6)のように表すことができる。
【0055】
【数4】
【0056】
【数5】
【0057】
【数6】
【0058】
式(4)から式(6)において、「I」はクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwuの実効値を示す。
【0059】
ここで、理解を容易にするため、ブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3にそれぞれ設けられた二次電池33の直流電圧Vcuj、ブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3にそれぞれ設けられた二次電池33の直流電圧Vcvj及びブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3にそれぞれ設けられた二次電池33の直流電圧Vcwjが等しく、直流電圧Vdとする。「j」は自然数であり、「j」の最大値は、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wにそれぞれ設けられたブリッジセルの個数である。本実施形態では、j=1,2,3である。さらに、理解を容易にするため、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wを構成するリアクトル31uL、31vL,31wLの電圧降下が零とする。そうすると、ブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3のそれぞれの出力電圧Vju、ブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3のそれぞれの出力電圧Vjv、及びブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3のそれぞれの出力電圧Vjwは、以下の式(7)、式(8)及び式(9)のように表すことができる。
【0060】
【数7】
【0061】
【数8】
【0062】
【数9】
【0063】
式(7)から式(9)において、「m」は変調率を示す。変調率mは、キャリア波のピーク値に対する出力電圧Vju、Vjv,Vjwを追従させる出力電圧指令値のピーク値の比率である。
【0064】
U相クラスタ31uの出力電圧Vuvは、ブリッジセル31u−1〜31u−3の出力電圧V1u,V2u,V3uの総和である。V相クラスタ31vの出力電圧Vvwは、ブリッジセル31v−1〜31v−3の出力電圧V1v,V2v,V3vの総和である。W相クラスタ31wの出力電圧Vwuは、ブリッジセル31w−1〜31w−3の出力電圧V1w,V2w,V3wの総和である。また、ブリッジセル31u−1〜31u−3,31v−1〜31v−3,31w−1〜31w−3のそれぞれに設けられた単位電力変換器UPCのいずれも故障していない(以下、「無故障状態」と称する場合がある)場合、出力電圧Vju、Vjv,Vjwの大きさは互いに等しくなる。また、無故障状態の場合、線間電圧Vsvwは線間電圧Vsuvに対して位相が120°遅れ、線間電圧Vswuは線間電圧Vsuvに対して位相が120°進む。さらに、無故障状態の場合、クラスタ電流Iuvは線間電圧Vsuvと同位相(又は逆位相)であり、クラスタ電流Ivuは線間電圧Vsvwと同位相(又は逆位相)であり、クラスタ電流Iwuは線間電圧Vswuと同位相(又は逆位相)である。
【0065】
このため、無故障状態の場合、ブリッジセル31u−1〜31u−3の出力電圧V1u,V2u,V3u、ブリッジセル31v−1〜31v−3の出力電圧V1v,V2v,V3v、ブリッジセル31w−1〜31w−3の出力電圧V1w,V2w,V3w及びクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwの関係は、図2(a)に示すフェーザ図で表すことができる。
【0066】
ここで、ブリッジセル31u−1〜31u−3,31v−1〜31v−3,31w−1〜31w−3に設けられた単位電力変換器UPCのいずれか1つが故障したとする。制御装置5は、故障した単位電力変換器UPCに接続された短絡スイッチSSWをオン状態に制御することによって当該単位電力変換器UPCの交流出力端子を短絡してクラスタ部3の運転を継続する。このため、故障した単位電力変換器UPCを有する相では、健全なブリッジセルが故障したブリッジセルの分の交流電圧も出力する必要がある。例えば、ブリッジセル31u−1に設けられた単位電力変換器UPCが故障した場合、ブリッジセル31u−1に設けられた短絡スイッチSSWがオン状態に制御されて当該単位電力変換器UPCの交流出力端子が短絡されるので、ブリッジセル31u−1の出力電圧V1uは以下の式(10)によって表すことができる。
【0067】
【数10】
【0068】
一方、U相クラスタ31uを構成し故障していないブリッジセル31u−2,31u−3の出力電圧V2u,V3uは、U相クラスタ31uに設けられたブリッジセルの個数をNとし、U相クラスタ31uにおいて故障した単位電力変換器UPCの個数をnとすると、以下の式(11)によって表すことができる。なお、本例では、N=3かつn=1である。
【0069】
【数11】
【0070】
ここで例えば、式(4)から式(6)に表わす三相平衡のクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwuをクラスタ部3に流して、有効電力を制御すると、故障した単位電力変換器UPCを有するU相クラスタ31uの健全なブリッジセル31u−2,31u−3が負担する出力電圧V2u,V3uは、V相クラスタ31vのブリッジセル31v−1〜31v−3が負担する出力電圧V1v〜V3v及びW相クラスタ31wのブリッジセル31w−1〜31w−3が負担する出力電圧V1w〜V3wと比較して大きくなる。
【0071】
ブリッジセル31u−1の短絡スイッチSSWがオン状態に設定されている状態で三相平衡のクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwuがクラスタ部3に流されている場合は、無故障状態の場合と同様に、線間電圧Vsuv,Vsvw,Vswuの大きさは互いに等しく、かつ線間電圧Vsuvの位相に対して、線間電圧Vsvwの位相は120°遅れ、線間電圧Vswuの位相は120°進む。
【0072】
ブリッジセル31u−1の短絡スイッチSSWがオン状態、その他の短絡スイッチSSWがオフ状態に制御され、かつ式(4)から式(6)で表される三相平衡のクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwuがクラスタ部3に流されている場合、ブリッジセル31u−1〜31u−3の出力電圧V1u,V2u,V3u、ブリッジセル31v−1〜31v−3の出力電圧V1v,V2v,V3v、ブリッジセル31w−1〜31w−3の出力電圧V1w,V2w,V3w及びクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwの関係は、図2(b)に示すフェーザ図で表すことができる。
【0073】
クラスタ部3における出力電圧V1u〜V3u,V1v〜V3v,V1w〜V3w及びクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwが図2(b)に示す状態の場合、健全なブリッジセル31u−2,31u−3の出力電圧V2u,V3uは、線間電圧Vsuvの1/2となる。一方、V相クラスタ31vのブリッジセル31v−1〜31v−3の出力電圧V1v〜V3vは、線間電圧Vsvwの1/3となる。また、W相クラスタ31wのブリッジセル31w−1〜31w−3の出力電圧V1w〜V3wは、線間電圧Vsvwの1/3となる。このため、クラスタ部3のエネルギー容量が故障した相(図2(b)では、U相クラスタ31u)の容量に制限され、クラスタ部3の全体のエネルギー容量が低下するという問題が生じる。
【0074】
本実施形態による電力変換装置1は、単位電力変換器が故障した場合にクラスタ部の全体のエネルギー容量の低下を抑制するために、単位電力変換器UPCが故障した場合、制御装置5がクラスタ部3に構成されるデルタ結線部に適切な振幅・位相の零相電流を循環させるようにクラスタ部3を制御する。これにより、電力変換装置1は、クラスタ部3が制御する有効電力を健全なブリッジセル(すなわち故障した単位電力変換器を有するブリッジセル以外のブリッジセル)の間で均等に負担させることができる。
【0075】
次に、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wで構成されるデルタ結線部に適切な振幅・位相の零相電流の算出方法について説明する。ブリッジセルに設けられた単位電力変換器の故障時にクラスタ部に形成されたデルタ結線部に循環すべき零相電流Izは、零相電流Izの振幅をIとし、位相をφとすると、以下の式(12)のように表すことができる。
【0076】
【数12】
【0077】
零相電流Izの位相φは、故障した単位電力変換器を有する相に流れるクラスタ電流の位相と逆位相となるように設定される。つまり、U相クラスタ31uに設けられたブリッジセル31u−1〜31u−3のいずれかの単位電力変換器UPCが故障した場合の零相電流Izは、以下の式(13)のように表すことができる。
【0078】
【数13】
【0079】
また、V相クラスタ31vに設けられたブリッジセル31v−1〜31v−3のいずれかの単位電力変換器UPCが故障した場合の零相電流Izは、以下の式(14)のように表すことができる。
【0080】
【数14】
【0081】
また、W相クラスタ31wに設けられたブリッジセル31w−1〜31w−3のいずれかの単位電力変換器UPCが故障した場合の零相電流Izは、以下の式(15)のように表すことができる。
【0082】
【数15】
【0083】
ここで、ブリッジセル31u−1に設けられた単位電力変換器UPCが故障した場合を想定して零相電流Izの振幅を求める。ブリッジセル31u−1の単位電力変換器UPCが故障した場合、デルタ結線部に流すべき零相電流Izは、上述の式(13)に示すとおりとなり、ブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3の出力電圧V1u,V2u,V3u、ブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3の出力電圧V1v,V2v,V3v及びブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3の出力電圧V1w,V2w,V3wは、以下の式(16)、式(17)、式(18)及び式(19)のように表すことができる。
【0084】
【数16】
【0085】
【数17】
【0086】
【数18】
【0087】
【数19】
【0088】
式(17)から式(19)において、「vd」は、ブリッジセル31u−2,31u−3,31v−1〜31v−3,31w−1〜31w−3にそれぞれ設けられた二次電池33の直流電圧を示している。式(17)から式(19)において、「m」は、変調率を示している。変調率mは、キャリア波のピーク値に対する出力電圧Vju、Vjv,Vjwを追従させる出力電圧指令値のピーク値の比率である。式(17)において、「N」は、U相クラスタ31uに設けられたブリッジセルの個数を示し、「n」は、U相クラスタ31uにおいて故障した単位電力変換器UPCの個数を示している。本例では、N=3かつn=1である。
【0089】
上述のとおり、零相電流Izの位相φは、故障した単位電力変換器を有する相に流れるクラスタ電流の位相と逆位相となるように設定される。このため、クラスタ部3に形成されるデルタ結線部に式(13)に示す零相電流Izが流れている場合にU相クラスタ31uに流れるクラスタ電流である変更クラスタ電流Iuv_newは、式(4)及び式(13)を用いて以下の式(20)のように表すことができる。
【0090】
【数20】
【0091】
また、クラスタ部3に形成されるデルタ結線部に式(13)に示す零相電流Izが流れている場合にV相クラスタ31vに流れるクラスタ電流である変更クラスタ電流Ivw_newは、式(5)及び式(13)を用いて以下の式(21)のように表すことができる。
【0092】
【数21】
【0093】
また、クラスタ部3に形成されるデルタ結線部に式(13)に示す零相電流Izが流れている場合にW相クラスタ31wに流れるクラスタ電流である変更クラスタ電流Iwu_newは、式(6)及び式(13)を用いて以下の式(22)のように表すことができる。
【0094】
【数22】
【0095】
ブリッジセル31u−1は、式(16)に示すように、出力電圧V1uが「0」であるため、有効電力P1uは以下の式(23)のように表すことができる。
【0096】
【数23】
【0097】
また、ブリッジセル31u−2,31u−3の有効電力Pjuは、式(17)及び式(20)を用いて以下の式(24)のように表すことができる。
【0098】
【数24】
【0099】
また、ブリッジセル31v−1〜31v−3の有効電力Pjvは、式(18)及び式(21)を用いて以下の式(25)のように表すことができる。
【0100】
【数25】
【0101】
また、ブリッジセル31w−1〜31w−3の有効電力Pjwは、式(19)及び式(22)を用いて以下の式(26)のように表すことができる。
【0102】
【数26】
【0103】
ここで、制御装置5は、クラスタ部3において健全なブリッジセル31u−2,31u−3,31v−1〜31v−3,31w−1〜31w−3が有効電力を均等に負担するように制御する。このため、U相クラスタ31uの有効電力Pju、V相クラスタ31vの有効電力Pjv及びW相クラスタ31wの有効電力Pjwの関係は、以下の式(27)のように表すことができる。
【0104】
【数27】
【0105】
したがって、制御装置5は、ブリッジセル31u−1の単位電力変換器UPCが故障した場合に、以下の式(28)のように表すことができる振幅の零相電流Izを、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wによってクラスタ部3に形成されるデルタ結線部に流すように制御する。
【0106】
【数28】
【0107】
ブリッジセル31u−1の短絡スイッチSSWがオン状態、その他の短絡スイッチSSWがオフ状態に制御され、かつ式(28)で表される振幅の零相電流IzがU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wによってクラスタ部3に形成されるデルタ結線部に流れている場合、ブリッジセル31u−1〜31u−3の出力電圧V1u,V2u,V3u、ブリッジセル31v−1〜31v−3の出力電圧V1v,V2v,V3v、ブリッジセル31w−1〜31w−3の出力電圧V1w,V2w,V3w及びクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwの関係は、図2(c)に示すフェーザ図で表すことができる。
【0108】
電力変換装置1に備えられた制御装置5は、ブリッジセル31u−1〜31u−3,31v−1〜31v−3,31w−1〜31w−3に設けられた単位電力変換器UPCに故障が生じた場合、U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wによってクラスタ部3に形成されるデルタ結線部に流す零相電流を適切な振幅・位相に制御するように構成されている。ここで、適切な振幅の零相電流は、上述の式(28)で表される振幅を最大振幅とする電流である。また、適切な位相の零相電流は、故障が生じた単位電力変換器を有するクラスタに流れるクラスタ電流の位相と逆位相の電流である。上述のとおり、例えばブリッジセル31u−1の単位電力変換器UPCが故障した場合、図2(c)に示すように、制御装置5は、U相クラスタ31uに流れるクラスタ電流Iuvと逆位相であり、かつ式(28)で表される最大振幅の零相電流Izがクラスタ部3のデルタ結線部に流れるように制御する。
【0109】
これにより、図2(b)及び図2(c)に示すように、U相クラスタ31uに流れる変更クラスタ電流Iuv_newは、零相電流Izが当該デルタ結線部に流れていない場合にU相クラスタ31uに流れるクラスタ電流Iuvよりも小さくなる。
【0110】
一方、図2(b)及び図2(c)に示すように、V相クラスタ31vに流れる変更クラスタ電流Ivw_newは、零相電流Izが当該デルタ結線部に流れていない場合にV相クラスタ31vに流れるクラスタ電流Ivwよりも大きくなる。同様に、W相クラスタ31wに流れる変更クラスタ電流Iwu_newは、零相電流Izが当該デルタ結線部に流れていない場合にW相クラスタ31wに流れるクラスタ電流Iwuよりも大きくなる。
【0111】
このように、制御装置5は、クラスタ部3に設けられたU相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうち、動作を継続するブリッジセルの個数が相対的に少ないクラスタ(図2ではU相クラスタ31u)のクラスタ電流を低減し、動作を継続するブリッジセルの個数が相対的多いクラスタ(図2ではV相クラスタ31v及びW相クラスタ31w)のクラスタ電流を増加するように制御する。これにより、電力変換装置1は、動作を継続する全てのブリッジセル(図2ではブリッジセル31u−2,31u−3,31v−1〜31v−3,31w−1〜31w−3)における有効電力を均等に負担させることができる。その結果、電力変換装置1は、故障した単位電力変換器UPCを有するクラスタに律速されて動作を継続するブリッジセル全体のエネルギー容量の低下を抑制できる。
【0112】
(制御装置の構成)
次に、本実施形態による電力変換装置1に備えられた制御装置5の要部の概略構成について図1を参照しつつ図3を用いて説明する。図3は、電力変換装置1に備えられた制御装置5が発揮する複数の機能のうち、三相電力系統2と電力のやり取りを行うための出力電圧指令値Vju,Vjv,Vjwを生成するための機能に関連する構成を示す図(機能ブロック図)である。
【0113】
図3に示すように、本実施形態による電力変換装置1に備えられた制御装置5は、ブリッジセル31u−1〜31u−3,31v−1〜31v−3,31w−1〜31w−3が接続される三相電力系統2と電力のやり取りを行うための充放電電流指令値を生成する電流指令生成部51を有している。また、制御装置5は、U相クラスタ31uのブリッジセル31u−1〜31u−3の出力電圧Vjuを追従させる出力電圧指令値Vju、V相クラスタ31vのブリッジセル31v−1〜31v−3の出力電圧Vjvを追従させる出力電圧指令値Vjv及びW相クラスタ31wのブリッジセル31w−1〜31w−3の出力電圧Vjwを追従させる出力電圧指令値Vjwを生成する電流制御部52を有している。
【0114】
図3に示すように、制御装置5に設けられた電流指令生成部51は、複数のブリッジセル31u−1,31u−2,31u−3、複数のブリッジセル31v−1,31v−2,31v−3及び複数のブリッジセル31w−1,31w−2,31w−3のそれぞれに流れるクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwu(電流の一例)が追従されるクラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwu(電流指令値の一例)を生成するクラスタ電流指令生成部(生成部の一例)511を有している。
【0115】
また、電流指令生成部51は、零相電流Izが追従される零相電流指令値Izを演算する零相電流指令演算部(演算部の一例)512を有している。また、電流指令生成部51は、クラスタ電流指令生成部511で生成されたクラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwu及び零相電流指令演算部512で演算された零相電流指令値Izを加算する加算部513を有している。また、電流指令生成部51は、クラスタ電流指令生成部511で生成されたクラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwu及び加算部513から出力される加算指令値Iuv_new,Ivw_new,Iwu_newの一方を選択する選択部514を有している。加算指令値Iuv_new,Ivw_new,Iwu_newは、クラスタ部3に形成されるデルタ結線部に零相電流Izが流れている場合の変更クラスタ電流Iuv_new,Ivw_new,Iwu_newが追従される指令値である。
【0116】
さらに、電流指令生成部51は、選択部514によって切り替えが制御されるスイッチ群515,516を有している。スイッチ群515は、切り替え動作が連動する3個のスイッチ515u,515v,515wを有している。スイッチ群516は、切り替え動作が連動するスイッチ516u,516v,516wを有している。
【0117】
クラスタ電流指令生成部511は、瞬時有効電力指令値pおよび瞬時無効電力指令値qに基づいて、クラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwuを生成するように構成されている。電力系統と有効電力のみのやり取りを行う場合は、瞬時無効電力指令値qは零となる。クラスタ電流指令生成部511は、クラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwuを生成してスイッチ群515に出力する。
【0118】
図3に示すように、スイッチ群515は、クラスタ電流指令値Iuvが入力されるスイッチ515uと、クラスタ電流指令値Ivwが入力されるスイッチ515vと、クラスタ電流指令値Iwuが入力されるスイッチ515wとを有している。スイッチ515u,515v,515wのそれぞれの一方の出力端子は、スイッチ群516に接続されている。スイッチ515u,515v,515wのそれぞれの他方の出力端子は、加算部513に接続されている。スイッチ群515は、スイッチ515u,515v,515wのそれぞれが入力端子と一方の出力端子とを接続している状態(以下、「第一状態」と称する場合がある)又はスイッチ515u,515v,515wのそれぞれが入力端子と他方の出力端子とを接続している状態(以下、「第二状態」と称する場合がある)のいずれかの状態に設定される。
【0119】
スイッチ群515は、選択部514から入力される選択信号SELの例えば信号レベルに応じて、スイッチ515u,515v,515wを第一状態及び第二状態のいずれか一方の状態に設定する。このため、スイッチ515u,515v,515wは、選択部514から入力される選択信号SELの例えば信号レベルに応じて、第一状態又は第二状態に連動して設定される。スイッチ群515は、スイッチ515u,515v,515wが第一状態に設定されている場合には、クラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwuをスイッチ群516に出力するようになっている。一方、スイッチ群515は、スイッチ515u,515v,515wが第二状態に設定されている場合には、クラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwuを加算部513に出力するようになっている。
【0120】
図3に示すように、零相電流指令演算部512には、クラスタ部3に設けられた電圧検出部で検出された複数の二次電池33のそれぞれの直流電圧Vcu1〜Vcu3,Vcv1〜Vcv3,Vcw1〜Vcw3が入力される。また、零相電流指令演算部512には、クラスタ部3に設けられた電流検出部で検出されたクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwuが入力される。零相電流指令演算部512は、電圧検出部から入力される直流電圧Vcu1〜Vcu3,Vcv1〜Vcv3,Vcw1〜Vcw3及び電流検出部から入力されるクラスタ電流Iuv,Ivw,Iwuに基づいて零相電流指令値Izを演算し、演算した零相電流指令値Izを加算部513に出力するように構成されている。
【0121】
例えばブリッジセル31u−1(図1参照)に設けられた二次電池33の直流電圧Vcu1が異常値であり、ブリッジセル31u−1の単位電力変換器UPCが故障したと判定されたとする。この場合、零相電流指令演算部512は、U相クラスタ31uに流れるクラスタ電流Iuvとは逆位相かつ振幅I0(式(28)参照)の零相電流Izをクラスタ部3に形成されるデルタ結線部に流すための零相電流指令値Izを、U相クラスタ31uに設けられたブリッジセルの個数、故障が生じた単位電力変換器の個数及び電流検出部で検出されたクラスタ電流Iuvを用いて演算する。
【0122】
図3に示すように、加算部513は、3個の加算器513u,513v,513wを有している。加算器513uの一方の入力端子は、スイッチ群515のスイッチ515uの他方の出力端子に接続されている。加算器513uの他方の入力端子は、零相電流指令演算部512の出力端子に接続されている。加算器513uの出力端子は、スイッチ群516に接続されている。加算器513vの一方の入力端子は、スイッチ群515のスイッチ515vの他方の出力端子に接続されている。加算器513vの他方の入力端子は、零相電流指令演算部512の出力端子に接続されている。加算器513uの出力端子は、スイッチ群516に接続されている。加算器513wの一方の入力端子は、スイッチ群515のスイッチ515wの他方の出力端子に接続されている。加算器513wの他方の入力端子は、零相電流指令演算部512の出力端子に接続されている。加算器513uの出力端子は、スイッチ群516に接続されている。
【0123】
加算器513uは、以下の式(29)に示すように、一方の入力端子に入力されるクラスタ電流指令値Iuvと、他方の入力端子に入力される零相電流指令値Izとを加算して、変更クラスタ電流Iuv_newを追従させる加算指令値Iuv_newを生成する。
【0124】
【数29】
【0125】
加算器513vは、以下の式(30)に示すように、一方の入力端子に入力されるクラスタ電流指令値Ivwと、他方の入力端子に入力される零相電流指令値Izとを加算して、変更クラスタ電流Ivw_newを追従させる加算指令値Ivw_newを生成する。
【0126】
【数30】
【0127】
加算器513wは、以下の式(31)に示すように、一方の入力端子に入力されるクラスタ電流指令値Iwuと、他方の入力端子に入力される零相電流指令値Izとを加算して、変更クラスタ電流Iwu_newを追従させる加算指令値Ivw_newを生成する。
【0128】
【数31】
【0129】
図3に示すように、スイッチ群516は、スイッチ515u及び加算器513uに接続されたスイッチ51uと、スイッチ515v及び加算器513vに接続されたスイッチ51vと、スイッチ515w及び加算器513wに接続されたスイッチ51wとを有している。スイッチ516uの一方の入力端子は、スイッチ515uの一方の入力端子に接続されている。スイッチ516uの他方の入力端子は、加算器513uの出力端子に接続されている。スイッチ516uの出力端子は、電流制御部52に接続されている。スイッチ516vの一方の入力端子は、スイッチ515vの一方の入力端子に接続されている。スイッチ516vの他方の入力端子は、加算器513vの出力端子に接続されている。スイッチ516vの出力端子は、電流制御部52に接続されている。スイッチ516wの一方の入力端子は、スイッチ515wの一方の入力端子に接続されている。スイッチ516wの他方の入力端子は、加算器513wの出力端子に接続されている。スイッチ516wの出力端子は、電流制御部52に接続されている。
【0130】
スイッチ群516は、スイッチ516u,516v,516wのそれぞれが一方の入力端子と出力端子とを接続している状態(以下、「第一状態」と称する場合がある)又はスイッチ516u,516v,516wのそれぞれが他方の入力端子と出力端子とを接続している状態(以下、「第二状態」と称する場合がある)のいずれかの状態に設定される。
【0131】
スイッチ群516は、選択部514から入力される選択信号SELの例えば信号レベルに応じて、スイッチ516u,516v,516wを第一状態及び第二状態のいずれか一方の状態に設定する。このため、スイッチ516u,516v,516wは、選択部514から入力される選択信号SELの例えば信号レベルに応じて、第一状態又は第二状態に連動して設定される。スイッチ群516は、スイッチ516u,516v,516wが第一状態に設定されている場合には、クラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwuを充放電電流指令値として電流制御部52に出力するようになっている。一方、スイッチ群516は、スイッチ516u,516v,516wが第二状態に設定されている場合には、加算指令値Ivu_new,Ivw_new,Iwu_newを充放電電流指令値として電流制御部52に出力するようになっている。
【0132】
図3に示すように、選択部514には、クラスタ部3に設けられた電圧検出部で検出された複数の二次電池33のそれぞれの直流電圧Vcu1〜Vcu3,Vcv1〜Vcv3,Vcw1〜Vcw3が入力されるようになっている。選択部514は、入力される直流電圧Vcu1〜Vcu3,Vcv1〜Vcv3,Vcw1〜Vcw3のいずれも正常値である場合には、スイッチ群515のスイッチ515u,515v,515wを第一状態に設定し、スイッチ群516のスイッチ516u,516v,516wを第一状態に設定するための選択信号SELをスイッチ群515,516に出力する。一方、〜Vcu3,Vcv1〜Vcv3,Vcw1〜Vcw3が入力されるようになっている。選択部514は、入力される直流電圧Vcu1〜Vcu3,Vcv1〜Vcv3,Vcw1〜Vcw3の少なくとも1つが異常値である場合には、スイッチ群515のスイッチ515u,515v,515wを第二状態に設定し、スイッチ群516のスイッチ516u,516v,516wを第二状態に設定するための選択信号SELをスイッチ群515,516に出力する。
【0133】
これにより、電流指令生成部51は、クラスタ部3に設けられた電圧検出部で検出された直流電圧Vcu1〜Vcw3のいずれも正常値である場合には、クラスタ部3に設けられた全ての単位電力変換器UPCが正常であると判定し、クラスタ電流指令生成部511で生成されたクラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwuを充放電電流指令値として電流制御部52に出力する。一方、電流指令生成部51は、クラスタ部3に設けられた電圧検出部で検出された直流電圧Vcu1〜Vcw3の少なくとも1つが異常値である場合には、クラスタ部3に設けられた複数の単位電力変換器UPCの少なくとも1つが故障していると判定し、加算部513で加算された加算指令値Ivu_new,Ivw_new,Iwu_newを充放電電流指令値として電流制御部52に出力する。
【0134】
電流制御部52は、電流指令生成部51から入力される電流指令値に基づいて、出力電圧指令値Vju,Vjv,Vjwを生成するように構成されている。このため、電流制御部52は、クラスタ部3に設けられた全ての単位電力変換器UPCが正常である場合には、クラスタ電流指令生成部511で生成されたクラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwuに基づいて、出力電圧指令値Vju,Vjv,Vjwを生成する。一方、電流制御部52は、クラスタ部3に設けられた複数の単位電力変換器UPCの少なくとも1つが故障している場合には、加算部513で加算された加算指令値Ivu_new,Ivw_new,Iwu_newに基づいて、出力電圧指令値Vju,Vjv,Vjwを生成する。
【0135】
このため、制御装置5は、単位電力変換器UPCに故障が生じている場合、クラスタ電流指令値Iuv,Ivw,Iwuに零相電流指令値Izが重畳された加算指令値Iuv_new,Ivw_new,Iwu_newにクラスタ電流Iuv、Ivw、Iwuそれぞれが追従させるようにブリッジセル31u−1〜31u−3,31v−1〜31v−3,31w−1〜31w−3の出力電圧V1u〜V3uv,V1v〜V3v,V1w〜V3wを制御できる。これにより、電力変換装置1は、ブリッジセルの一部の動作が停止しても全体のエネルギー容量の低下を抑制できる。
【0136】
(変形例1)
上記実施形態では、単位電力変換器UPCが故障した場合の制御について、U相クラスタ31uのブリッジセル31u−1に設けられた1個の単位電力変換器UPCのみが故障した場合を例にとって説明した。U相クラスタ31u、V相クラスタ31v及びW相クラスタ31wのうちのいずれかのクラスタに設けられた単位電力変換器UPCが2個以上故障した場合には、零相電流Izの振幅I0を最適化(具体的には、上述の式(28)中のN及びnの値を調整)することによって、動作継続中のブリッジセルに有効電力を均等に負担させることができる。
【0137】
(変形例2)
複数のクラスタにおいて単位電力変換器が故障した場合には、故障した単位電力変換器を有するクラスタのそれぞれに対して、上述の式(28)の最大振幅を有し且つ当該クラスタのクラスタ電流と逆位相の零相電流を演算し、これらの零相電流をベクトル合成して得られる電流を最終的な零相電流に設定する。図4は、U相クラスタ31uのブリッジセル31u−1及びV相クラスタ31vのブリッジセル31v−1のそれぞれに設けられた単位電力変換器UPCが故障した場合のフェーザ図である。
【0138】
図4に示すように、U相クラスタ31uにおける零相電流とV相クラスタ31vにおける零相電流とをベクトル合成した零相電流Izは、W相クラスタ31wのクラスタ電流Iwuと同位相となる。U相クラスタ31uのクラスタ電流Iuvに零相電流Izが重畳された変更クラスタ電流Iuv_newは、クラスタ電流Iuvよりも小さくなる。V相クラスタ31vのクラスタ電流Ivwに零相電流Izが重畳された変更クラスタ電流Ivw_newは、クラスタ電流Ivwよりも小さくなる。一方、W相クラスタ31wのクラスタ電流Iwuに零相電流Izが重畳された変更クラスタ電流Iwu_newは、クラスタ電流Iwuよりも大きくなる。これにより、動作を継続するブリッジセル31u−2,31u−3、ブリッジセル31v−2,31v−3及びブリッジセル31w−1〜31w−3が負担する有効電力は等しくなる。その結果、本変形例による電力変換装置は、故障が生じた単位電力変換器UPCを有するクラスタに律速されて動作を継続するブリッジセル全体のエネルギー容量の低下を抑制できる。
【0139】
以上説明したように、本実施形態及び変形例1,2による電力変換装置は、ブリッジセルの一部の動作が停止しても全体のエネルギー容量の低下を抑制できる。
【0140】
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
上記実施形態による電力変換装置1は、有効電力供給部として二次電池33を有しているが、本発明はこれに限られない。有効電力供給部は、二次電池の他に、太陽電池、燃料電池、電気二重層コンデンサ又はコンデンサであってもよい。
【0141】
上記実施形態では、ブリッジセルの一部の動作が停止する例として、単位電力変換器UPCが故障した場合について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、ブリッジセルの一部を意図的(例えばメンテナンスや交換作業など)に停止する場合にも、本発明は適用できる。
【0142】
上記実施形態による電力変換装置1は、IGBTで構成された半導体スイッチQ1〜Q4を有しているが、本発明はこれに限られない。電力変換装置1は、例えば、ゲートターンオフサイリスタ(Gate Turn−Off thyristor:GTO)、集積化ゲート転流型サイリスタ(Integrated Gate Commutated Turn−off thyristor:GCT)、又はMOS型電界効果トランジスタ(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)などで構成された半導体スイッチを有していてもよい。
【0143】
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0144】
1 電力変換装置
2 三相電力系統
3 クラスタ部
5 制御装置
21 ケーブル
31u U相クラスタ
31u−1,31u−2,31u−3,31v−1,31v−2,31v−3,31w−1,31w−2,31w−3 ブリッジセル
31uL,31vL,31wL リアクトル
31v V相クラスタ
31w W相クラスタ
32u,32v,32w 結線部
33 二次電池
51 電流指令生成部
52 電流制御部
211 U相ケーブル
212 V相ケーブル
213 W相ケーブル
511 クラスタ電流指令生成部
512 零相電流指令演算部
513 加算部
513u,513v,513w 加算器
514 選択部
515,516 スイッチ群
515u,515v,515w,516u,516v,516w スイッチ
D1,D2,D3,D4 還流用ダイオード
M1,M2,M3,M4 半導体モジュール
Q1,Q2,Q3,Q4 半導体スイッチ
SSR 短絡スイッチ
図1
図2
図3
図4