【解決手段】二次側に配置される同期整流トランジスタの駆動を制御する同期整流コントローラであって、前記同期整流トランジスタのゲートに電気的に接続可能なゲート端子と、前記同期整流トランジスタのドレインに第1抵抗を介して電気的に接続可能なドレイン端子と、前記ドレイン端子に発生するドレイン端子電圧を負の第1閾値電圧と比較する第1コンパレータと、前記ドレイン端子電圧を前記第1閾値電圧よりも高い負の第2閾値電圧と比較する第2コンパレータと、前記第1コンパレータによる比較結果および前記第2コンパレータによる比較結果に基づいて前記同期整流トランジスタのオンオフ制御を行うドライバと、を備え、前記同期整流トランジスタがオンのときに、第2抵抗に応じて前記第1抵抗に電流が流れることによって前記ドレイン端子電圧に電圧が付加される、同期整流コントローラとしている。
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の同期整流コントローラと、前記同期整流トランジスタと、前記第1抵抗と、前記第2抵抗と、を有する絶縁同期整流型DC/DCコンバータ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
<1.第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、本発明をLLCコンバータに適用した一例である。
<1−1.LLCコンバータの全体構成>
図1は、第1実施形態に係るDC/DCコンバータ200Aの回路図である。DC/DCコンバータ200Aは、LLCコンバータとしての絶縁同期整流型DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ200Aは、入力端子P1に印加される入力電圧Vinに基づいて出力電圧Voutを生成して出力端子P2から出力する。
【0021】
DC/DCコンバータ200Aは、一次側の構成としてスイッチングトランジスタM11,M12、一次側コントローラ202A、共振コンデンサCr、およびトランスT1の一次巻線W1を有し、二次側の構成としてトランスT1の二次巻線W21,W22、第1同期整流トランジスタM21、第2同期整流トランジスタM22、出力コンデンサC1、抵抗R21,R22、および同期整流コントローラ300Aを有する。スイッチングトランジスタM11,M12は、ともにnチャネルMOSFETにより構成される。また、第1同期整流トランジスタM21および第2同期整流トランジスタM22も、ともにnチャネルMOSFETにより構成される。
【0022】
スイッチングトランジスタM11のドレインは、直流の入力電圧Vinが印加される入力端子P1に接続される。スイッチングトランジスタM11のソースは、スイッチングトランジスタM12のドレインに接続される。スイッチングトランジスタM12のソースは、グランドの印加端に接続される。スイッチングトランジスタM11とスイッチングトランジスタM12とが接続される接続ノードには、共振コンデンサCrの一端が接続される。共振コンデンサCrの他端は、一次巻線W1の一端に接続される。一次巻線W1の他端は、スイッチングトランジスタM12のソースに接続される。
【0023】
一次側コントローラ202Aは、スイッチングトランジスタM11,M12のゲートに駆動信号を出力することでスイッチングトランジスタM11,M12をスイッチング制御する。
【0024】
二次巻線W21の一端は、第1同期整流トランジスタM21のドレインに接続される。第1同期整流トランジスタM21は、ボディダイオードBD1を有する。第1同期整流トランジスタM21のソースは、接地端子P3に接続される。接地端子P3は、グランドの印加端に接続される。
【0025】
二次巻線W21の他端は、二次巻線W22の一端に接続される。二次巻線W22の他端は、第2同期整流トランジスタM22のドレインに接続される。第2同期整流トランジスタM22は、ボディダイオードBD2を有する。第2同期整流トランジスタM22のソースは、接地端子P3に接続される。
【0026】
二次巻線W21と二次巻線W22とが接続される接続ノードは、出力端子P2に接続される。出力端子P2と接地端子P3との間には、出力コンデンサC1が接続される。また、出力端子P2と接地端子P3との間には、抵抗R21と抵抗R22とが直列に接続される。抵抗R21と抵抗R22とが接続される接続ノードには、FB(フィードバック)回路206が接続される。
【0027】
FB回路206は、例えばシャントレギュレータ等を有し、出力電圧Voutを抵抗R21,R22により分圧した後の電圧と、所定の目標電圧との誤差に応じた電流でフォトカプラ204の発光素子を駆動する。フォトカプラ204の受光素子には、誤差に応じたフィードバック電流Ifbが流れる。一次側コントローラ202AのFB(フィードバック)ピンには、フィードバック電流Ifbに応じたフィードバック信号Vfbが発生し、一次側コントローラ202Aは、フィードバック信号Vfbに基づいてスイッチングトランジスタM11,M12を駆動する。
【0028】
同期整流コントローラ300Aは、セレクタ301と、分周器302と、フリップフロップ303と、第1コンパレータ304と、第2コンパレータ305と、セレクタ306と、第1ドライバDr21と、第2ドライバDr22と、を一つの半導体パッケージに収めて有する。
【0029】
また、同期整流コントローラ300Aは、外部との電気的接続を確立するための第1ドレイン端子D21、第1ゲート端子G21、第1ソース端子S21、第2ドレイン端子D22、第2ゲート端子G22、および第2ソース端子S22を有する。
【0030】
第1同期整流トランジスタM21のドレインは、抵抗RD21の第1端に接続される。抵抗RD21の第2端は、第1ドレイン端子D21に接続される。第1ドレイン端子D21は、セレクタ301の入力端301Aにおける一方の端子に接続される。第2同期整流トランジスタM22のドレインは、抵抗RD22の第1端に接続される。抵抗RD22の第2端は、第2ドレイン端子D22に接続される。第2ドレイン端子D22は、入力端301Aにおける他方の端子に接続される。セレクタ301の出力端子301Bは、第1コンパレータ304、第2コンパレータ305それぞれの反転入力端(−)に接続される。セレクタ301は、第1ドレイン端子D21から出力端301Bへの経路の導通と、第2ドレイン端子D22から出力端301Bへの経路の導通とを切替える。すなわち、セレクタ301は、第1ドレイン端子D21の第1ドレイン端子電圧VDT21と第2ドレイン端子D22の第2ドレイン端子電圧VDT22のいずれを、第1コンパレータ304、および第2コンパレータ305の検出対象とするかを選択する。
【0031】
第1コンパレータ304の非反転入力端(+)には、負の第1閾値電圧VthAが印加される。セレクタ306の出力端306Bが第1閾値電圧VthAの基準電位となる。セレクタ306の入力端306Aにおける一方の端子は、第1ソース端子S21に接続され、入力端306Aにおける他方の端子は、第2ソース端子S22に接続される。セレクタ306により第1ソース端子S21と出力端306Bが導通した場合、第1閾値電圧VthAは、第1ソース端子S21の電位が基準となり、セレクタ306により第2ソース端子S22と出力端306Bが導通した場合、第1閾値電圧VthAは、第2ソース端子S22の電位が基準となる。第1コンパレータ304の出力端は、フリップフロップ303のセット端子に接続される。
【0032】
第1コンパレータ304は、スイッチングトランジスタM11,M12のターンオンによりドレイン端子電圧VDT21,VDT22が負電圧に低下したことを、ドレイン端子電圧VDT21,VDT22が第1閾値電圧VthA(例えば−200mV)より低くなったことで検出する。このとき、第1コンパレータ304は、オン信号Sonをアサートする。アサートされたオン信号Sonによって第1同期整流トランジスタM21,第2同期整流トランジスタM22はターンオンされる。
【0033】
第2コンパレータ305の非反転入力端(+)には、第1閾値電圧VthAよりも高い負の第2閾値電圧VthBが印加される。セレクタ306の出力端306Bが第2閾値電圧VthBの基準電位となる。セレクタ306により第1ソース端子S21と出力端306Bが導通した場合、第2閾値電圧VthBは、第1ソース端子S21の電位が基準となり、セレクタ306により第2ソース端子S22と出力端306Bが導通した場合、第2閾値電圧VthBは、第2ソース端子S22の電位が基準となる。第2コンパレータ305の出力端は、フリップフロップ303のリセット端子に接続される。第2コンパレータ305は、オンとされた第1同期整流トランジスタM21、第2同期整流トランジスタM22により流れる電流Is1,Is2が実質的にゼロとなるゼロカレントを、ドレイン端子電圧VDT21,VDT22が第2閾値電圧VthB(例えば−6mV)より高くなったことで検出する。このとき、第2コンパレータ305は、オフ信号Soffをアサートする。アサートされたオフ信号Soffによって第1同期整流トランジスタM21,第2同期整流トランジスタM22はターンオフされる。
【0034】
第2閾値電圧VthBが第1ソース端子S21の電位を基準としていることにより、第1同期整流トランジスタM21がオンのときにグランドと第1同期整流トランジスタM21との間に寄生するインピーダンスの影響を受けないソースを基準としたドレイン端子電圧VDT21を検出に利用できる。同様に、第2閾値電圧VthBが第2ソース端子S22の電位を基準としていることにより、第2同期整流トランジスタM22がオンのときにグランドと第2同期整流トランジスタM22との間に寄生するインピーダンスの影響を受けないソースを基準としたドレイン端子電圧VDT22を検出に利用できる。
【0035】
フリップフロップ303のQ出力端子は、分周器302の入力端に接続される。分周器302は、例えば
図2に示す構成であり、Dフリップフロップ302Aと、インバータ302Bと、を有する。Dフリップフロップ302Aのクロック端子に、フリップフロップ303からのQ出力信号SQが入力される。Dフリップフロップ302AのQ出力端子には、インバータ302Bの入力端が接続される。インバータ302Bの出力端は、Dフリップフロップ302AのD入力端子に接続される。
【0036】
このような構成により、Q出力信号SQのHighからLowへの立下りタイミングごとに、Dフリップフロップ302AのQ出力端子から出力される分周器出力信号Sfは、HighとLowが切替わる。分周器302は、入力されるQ出力信号SQの周期を2倍として分周器出力信号Sfを出力する。
【0037】
分周器出力信号Sfは、セレクタ301に出力される。セレクタ301は、分周器出力信号Sfのレベルに応じて、入力端301Aと出力端301Bとの間の切替え、および入力端301Dと出力端301Cとの切替えを行う。入力端301Dは、フリップフロップ303のQ出力端子に接続される。
【0038】
出力端301Cにおける一方の端子は、第1ドライバDr21の入力端に接続される。第1ドライバDr21の出力端は、第1ゲート端子G21に接続される。第1ゲート端子G21は、抵抗RG21の第1端に接続される。抵抗RG21の第2端は、第1同期整流トランジスタM21のゲートに接続される。ダイオードDG21のカソードは、抵抗RG21の第1端に接続される。ダイオードDG21のアノードは、抵抗RG21の第2端に接続される。
【0039】
第1ドライバDr21は、入力される信号のレベルに応じてレベルを切替えたゲート端子電圧GT21を出力する。ゲート端子電圧GT21が急峻に立ち上がる際には、抵抗RG21によって第1同期整流トランジスタM21のゲートに印加されるゲート電圧VG21は緩やかに立ち上がる。ゲート端子電圧GT21が急峻に立ち下がる際には、ダイオードDG21によってゲート電圧VG21も急峻に立ち下がる。
【0040】
出力端301Cにおける他方の端子は、第2ドライバDr22の入力端に接続される。第2ドライバDr22の出力端は、第2ゲート端子G22に接続される。第2ゲート端子G22は、抵抗RG22の第1端に接続される。抵抗RG22の第2端は、第2同期整流トランジスタM22のゲートに接続される。ダイオードDG22のカソードは、抵抗RG22の第1端に接続される。ダイオードDG22のアノードは、抵抗RG22の第2端に接続される。
【0041】
第2ドライバDr22は、入力される信号のレベルに応じてレベルを切替えたゲート端子電圧GT22を出力する。ゲート端子電圧GT22が急峻に立ち上がる際には、抵抗RG22によって第2同期整流トランジスタM22のゲートに印加されるゲート電圧VG22は緩やかに立ち上がる。ゲート端子電圧GT22が急峻に立ち下がる際には、ダイオードDG22によってゲート電圧VG22も急峻に立ち下がる。
【0042】
セレクタ301により、フリップフロップ303のQ出力端から第1ドライバDr21までの経路の導通と、上記Q出力端から第2ドライバDr22までの経路の導通と、が切替えられる。
【0043】
また、分周器出力信号Sfは、セレクタ306にも出力される。セレクタ306は、分周器出力信号Sfのレベルに応じて、入力端306Aと出力端306Bとの間の導通の切替えを行う。
【0044】
なお、本実施形態では、抵抗RGD21の第1端が抵抗RG21の第2端と第1同期整流トランジスタM21のゲートとの間に接続され、抵抗RGD21の第2端が抵抗RD21の第2端と第1ドレイン端子D21との間に接続される。また、抵抗RGD22の第1端が抵抗RG22の第2端と第2同期整流トランジスタM22のゲートとの間に接続され、抵抗RGD22の第2端が抵抗RD22の第2端と第2ドレイン端子D22との間に接続される。このような抵抗RGD21,RGD22を設ける理由については後述する。
【0045】
<1−2.LLCコンバータの基本的な動作>
次に、このように構成されたDC/DCコンバータ200Aの動作について
図3に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、
図3は、負荷電流の一例の場合である。また、
図3に示すドレイン端子電圧VDT21,VDT22は、便宜上、波形を概略的に示しており、より具体的な波形については後に説明する。
【0046】
タイミングt0の手前で、分周器出力信号SfはLowであり、セレクタ301により、検出対象として第2ドレイン端子D22のドレイン端子電圧VDT22、Q出力信号SQの出力先として第2ドライバDr22がそれぞれ選択されている。また、セレクタ306により、第1閾値電圧VthAおよび第2閾値電圧VthBの基準電位として、第2ソース端子S22の電位が選択される。
【0047】
そして、タイミングt0において、スイッチングトランジスタM11がターンオンされると、第2同期整流トランジスタM22のボディダイオードBD2を介して電流Is2が流れ始め、ドレイン端子電圧VDT22が負電圧に低下したことが第1コンパレータ304により検出され、オン信号Sonがアサートされる。これにより、Q出力信号SQはHighに切替えられ、第2ドライバDr22によりゲート端子電圧GT22がオンレベルとなり、タイミングt1で第2同期整流トランジスタM22がターンオンされる。従って、電流Is2は、第2同期整流トランジスタM22をソースからドレイン側へ流れ始める。
【0048】
電流Is2は共振電流であり、正弦波状となる。そして、タイミングt2において、電流Is2がゼロカレントとなったことがドレイン端子電圧VDT22に基づき第2コンパレータ305により検出され、オフ信号Soffがアサートされる。これにより、Q出力信号SQはLowに切替えられ、ゲート端子電圧GT22はオフレベルとなり、第2同期整流トランジスタM22はターンオフされる。このとき、分周器出力信号SfはHighに切替えられる。これにより、セレクタ301により、検出対象として第1ドレイン端子D21のドレイン端子電圧VDT21、Q出力信号SQの出力先として第1ドライバDr21がそれぞれ選択される。また、セレクタ306により、第1閾値電圧VthAおよび第2閾値電圧VthBの基準電位として、第1ソース端子S21の電位が選択される。
【0049】
なお、ターンオフされた第2同期整流トランジスタM22においては、ボディダイオードBD2を介して電流Is2は流れ続け、タイミングt3にて電流Is2は流れなくなる。
【0050】
そして、タイミングt4において、スイッチングトランジスタM12がターンオンされると、第1同期整流トランジスタM21のボディダイオードBD1を介して電流Is1が流れ始め、ドレイン端子電圧VDT21が負電圧に低下したことが第1コンパレータ304により検出され、オン信号Sonがアサートされる。これにより、Q出力信号SQはHighに切替えられ、第1ドライバDr21によりゲート端子電圧GT21がオンレベルとなり、タイミングt5で第1同期整流トランジスタM21がターンオンされる。従って、電流Is1は、第1同期整流トランジスタM21をソースからドレイン側へ流れ始める。
【0051】
電流Is1は共振電流であり、正弦波状となる。そして、タイミングt6において、電流Is1がゼロカレントとなったことがドレイン端子電圧VDT21に基づき第2コンパレータ305により検出され、オフ信号Soffがアサートされる。これにより、Q出力信号SQはLowに切替えられ、ゲート端子電圧GT21はオフレベルとなり、第1同期整流トランジスタM21はターンオフされる。このとき、分周器出力信号SfはLowに切替えられる。これにより、セレクタ301により、検出対象として第2ドレイン端子D22のドレイン端子電圧VDT22、Q出力信号SQの出力先として第2ドライバDr22がそれぞれ選択される。また、セレクタ306により、第1閾値電圧VthAおよび第2閾値電圧VthBの基準電位として、第2ソース端子S22の電位が選択される。
【0052】
なお、ターンオフされた第1同期整流トランジスタM21においては、ボディダイオードBD1を介して電流Is1は流れ続け、タイミングt7にて電流Is1は流れなくなる。以降は、同様の繰り返し動作となる。
【0053】
<1−3.比較例について>
ここで、本実施形態に係る構成と比較するための比較例における同期整流トランジスタのオンオフ制御について説明する。
図4は、同期整流トランジスタM周辺の比較例に係る構成を示す。なお、同期整流トランジスタM21,M22(
図1)のいずれについても
図4の構成は共通であるので、
図4において構成要素の符号から“21”“22”等の数字は省略している。また、
図4において、同期整流コントローラ300Aが有するドレイン端子D、ゲート端子G、およびソース端子Sを示している。また、比較例に係る
図4の構成では、本実施形態に係る構成との相違として、抵抗RGD(
図1のRGD21,RGD22)を設けていない。
【0054】
図5は、
図4に示す比較例に係る構成における同期整流トランジスタMのオンオフ制御の一例を示すタイミングチャートである。なお、
図5は、負荷が軽負荷である場合の挙動を示す。
図5では、上段から順に、電流Is、ドレイン端子電圧VDT、およびゲート端子電圧GTを示す。
【0055】
ここで、
図4に示すように、ドレイン端子Dに接続される端子容量CTが同期整流コントローラ300Aには内蔵される。これにより、抵抗RDと端子容量CTから構成されて同期整流トランジスタMのドレイン電圧を入力、ドレイン端子電圧VDTを出力とするRC回路(ローパスフィルタ)が形成される。
【0056】
抵抗RDが小さい場合は、
図5において破線で示すように、タイミングt10にて、ドレイン端子電圧VDTは比較的に急峻に負電圧に立ち下り、電流Isが流れ始める。ドレイン端子電圧VDTが立ち下って第1閾値電圧VthA(
図1)より低くなったことが検出されると、ゲート端子電圧GT(破線)はHighレベルに立ち上げられる。これにより、同期整流トランジスタMはターンオンされる。
【0057】
その後、電流Isはゼロに近づくので、ドレイン端子電圧VDTは0Vへ向かって上昇し、タイミングt11にてドレイン端子電圧VDTが第2閾値電圧VthB(
図1)より高くなると、ゲート端子電圧GTはLowレベルに立ち下げられる。これにより、同期整流トランジスタMはターンオフされる。
【0058】
このように抵抗RDが小さく、負荷が軽負荷である場合、同期整流トランジスタMはターンオン後にすぐにターンオフされてしまい、その後、電流Isは同期整流トランジスタMのボディダイオードBDを流れるので、損失が大きくなってしまう。
【0059】
そこで、抵抗RDを大きくすると、
図5に実線で示すようにドレイン端子電圧VDTは比較的緩やかに負電圧に立ち下る。これにより、タイミングt11よりも後のタイミングt12にてドレイン端子電圧VDTの立ち下がりが検出され、ゲート端子電圧GT(実線)は立ち上げられ、同期整流トランジスタMはターンオンされる。
【0060】
タイミングt12以降は電流Isは上昇してから下降するので、ドレイン端子電圧VDTは負電圧を維持され、タイミングt13にてドレイン端子電圧VDTが第2閾値電圧VthBより高くなったことが検出され、ゲート端子電圧GTは立ち下げられる。これにより、同期整流トランジスタMはターンオフされる。
【0061】
このように、抵抗RDを大きくすれば、負荷が軽負荷の場合でも、同期整流トランジスタMのターンオフタイミングが適正化され、損失を抑えることができる。
【0062】
一方、
図6は、負荷が重負荷である場合の
図4に示す比較例に係る構成における同期整流トランジスタMのオンオフ制御の一例を示すタイミングチャートである。
【0063】
抵抗RDが小さい場合は、
図6において破線で示すように、タイミングt20にて、ドレイン端子電圧VDTは比較的に急峻に負電圧に立ち下り、電流Isが流れ始める。ドレイン端子電圧VDTが立ち下って第1閾値電圧VthA(
図1)より低くなったことが検出されると、ゲート端子電圧GT(破線)はHighレベルに立ち上げられる。これにより、同期整流トランジスタMはターンオンされる。すると、ドレイン端子電圧VDTは0V側に急峻に近づいてから、上昇後に下降する電流Isに応じて負電圧を推移し、タイミングt22にてドレイン端子電圧VDTは第2閾値電圧VthBより高くなる。すると、ゲート端子電圧GT(破線)はLowレベルに立ち下げられる。これにより、同期整流トランジスタMはターンオフされる。
【0064】
一方、抵抗RDが大きい場合は、
図6において実線で示すようにドレイン端子電圧VDTは比較的緩やかに負電圧に立ち下る。これにより、タイミングt20よりも後のタイミングt21にてドレイン端子電圧VDTの立ち下がりが検出され、ゲート端子電圧GT(実線)は立ち上げられ、同期整流トランジスタMはターンオンされる。すると、ドレイン端子電圧VDTは、上昇後に下降する電流Isに応じて負電圧を推移し、タイミングt23にてドレイン端子電圧VDTは第2閾値電圧VthBより高くなる。すると、ゲート端子電圧GT(実線)はLowレベルに立ち下げられる。これにより、同期整流トランジスタMはターンオフされる。
【0065】
このように、抵抗RDを大きくした場合、先述したように負荷が軽負荷である場合は有利であるが、負荷が重負荷である場合は、同期整流トランジスタMがターンオフするタイミングが電流Isの逆流が開始されるタイミング(すなわちゼロクロスタイミング)に近づいてしまう。すなわち、逆流マージンが減少してしまう。
【0066】
<1−4.本実施形態について>
図7は、同期整流トランジスタM周辺における本実施形態に係る構成を示す。
図7の
図4(比較例)との相違は、抵抗RGD(
図1のRGD21,RGD22)を設けていることである。
【0067】
図8は、負荷が重負荷である場合の
図4に示す比較例に係る構成および
図7に示す本実施形態に係る構成における同期整流トランジスタMのオンオフ制御の一例を示すタイミングチャートである。
【0068】
抵抗RDを大きくすると、負荷が重負荷である場合、抵抗RGDを設けない比較例(
図4)においては、先述した
図6(実線)と同様に
図8に破線で示す波形となり、逆流マージンは減少してしまう。一方、抵抗RGDを設ける本実施形態(
図7)であれば、抵抗RDを大きくすると、負荷が重負荷である場合、
図8に示すタイミングt31にてドレイン端子電圧VDTの立ち下りが検出されてゲート端子電圧GT(実線)が立ち上げられて同期整流トランジスタMがターンオンされるのは、比較例(破線)と同様である。しかしながら、同期整流トランジスタMがターンオンされると、本実施形態(
図7)では、ドレイン端子電圧VDTにはゲート電圧VGを抵抗RGDおよび抵抗RDによって分圧した電圧が付加される。これにより、
図8の実線で示すドレイン端子電圧VDTは、比較例に係るドレイン端子電圧VDT(破線)よりも0V側を推移し、タイミングt33よりも前のタイミングt32にて第2閾値電圧VthBより高くなる。ここで、ゲート端子電圧GT(実線)は立ち下げられ、同期整流トランジスタMはターンオフされる。
【0069】
従って、本実施形態のように抵抗RGDを設ける構成であれば、抵抗RDを大きくすれば、負荷が重負荷である場合に、同期整流トランジスタMのターンオフタイミングを電流Isの逆流が開始されるタイミングよりも、より前とすることができる。すなわち、逆流マージンを適切に確保することができる。さらに言えば、本実施形態であれば、抵抗RDを大きくすることで、軽負荷における同期整流トランジスタMのターンオフタイミングの適正化と、重負荷における逆流マージンの確保を両立できる。
【0070】
なお、本実施形態において、同期整流トランジスタMがオンのときにゲート電圧VGを抵抗RGD,RDによって分圧することでドレイン端子電圧VDTに電圧を付加することは、抵抗RGDに応じた電流を抵抗RDに流すことによりドレイン端子電圧VDTに電圧を付加することに相当する。
【0071】
<1−5.第1変形例>
図9は、本実施形態の第1変形例に係る構成を示す。
図9の構成の先述した
図7の構成との相違は、抵抗RGDの第1端が抵抗RGの第1端とゲート端子Gとの間に接続されることである。
【0072】
先述した
図7の構成で抵抗RDを大きくして負荷が重負荷である場合の
図10に示すタイミングチャートのように、ドレイン端子電圧VDTが緩やかに立ち下がったことがタイミングt41にて検出されると、ゲート端子電圧GTが立ち上げられる。このとき、ゲート電圧VGは、
図10に示すように、抵抗RGによって比較的に緩やかに立ち上がる。従って、
図7の構成であれば、緩やかに立ち上がるゲート電圧VGが抵抗RGD,RDによって分圧されることでドレイン端子電圧VDTに電圧が付加されるので、
図10に実線で示すように、ドレイン端子電圧VDTは緩やかに0V側へ近づけられる。
【0073】
一方、第1変形例に係る
図9の構成の場合、タイミングt41にて急峻に立ち上がるゲート端子電圧GTが抵抗RGD,RDによって分圧されるので、
図10で破線にて示すように、ドレイン端子電圧VDTは急峻に0V側へ近づけられる。これにより、
図10で破線にて示すように、ドレイン端子電圧VDTにオーバーシュートが生じ、ドレイン端子電圧VDTが第2閾値電圧VthBより高くなり、ターンオンされた同期整流トランジスタMが即時にターンオフされてしまう虞がある。
【0074】
このように、逆流マージンを確保する効果は第1変形例でも得ることができるが、同期整流トランジスタMが誤ってターンオフされることを抑制するには、先述した
図7に示す構成を採用することが望ましい。
【0075】
<1−6.第2変形例>
図11は、本実施形態の第2変形例に係る構成を示す。
図11の構成の先述した
図7の構成との相違は、ダイオードDGDを設けることである。具体的には、ダイオードDGDのアノードは、抵抗RGDの第2端に接続され、ダイオードDGDのカソードは、抵抗RDの第2端とドレイン端子Dとの間に接続される。
【0076】
このような構成によれば、
図12に示すタイミングチャートにおける一点鎖線で示す範囲、すなわち同期整流トランジスタMはオフであってドレイン端子電圧VDTが0V以上であるときに、
図11に破線で示す抵抗RGDを流れる電流をダイオードDGDによって抑制することができる。従って、抵抗RGDによる電力消費を低減することができる。
【0077】
なお、同様の目的で、先述した
図9(第1変形例)の構成における抵抗RGDに対して、ダイオードを上記と同様に設けてもよい。
【0078】
<1−7.第3変形例>
図13は、本実施形態の第3変形例に係る構成を示す。
図13に示すように、抵抗RDを含むRC回路(ローパスフィルタ)を構成する容量としては、同期整流コントローラ300Aに内蔵される端子容量CTに加えて、抵抗RDの第2端とドレイン端子Dとの間に一端を接続される外付け容量CDを追加してもよい。なお、
図13の構成において、端子容量CTが設けられない構成もとりうる。
【0079】
<1−8.第4変形例>
図14は、本実施形態の第4変形例に係る構成を示す。
図14に示す構成では、先述した
図7の構成との相違として、ツェナーダイオードZDを設けている。具体的には、ツェナーダイオードZDのアノードは、抵抗RGDの第1端に接続され、ツェナーダイオードZDのカソードは、同期整流トランジスタMのゲートと抵抗RGの第2端との間に接続される。
【0080】
このような
図14の構成におけるゲート電圧VGと、ツェナーダイオードZDのアノード電圧VAの波形の一例を
図15に示す。
図15に示すように、ゲート端子電圧GTの立ち上りによってタイミングt50にてゲート電圧VGが立ち上がりを開始し、タイミングt52でゲート電圧VGが例えば12Vに達するとする。このとき、ツェナーダイオードZDのツェナー電圧が例えば5Vである場合、ゲート電圧VGが5Vに達するタイミングt51にてアノード電圧VAは立ち上りを開始する。そして、タイミングt52にてアノード電圧は、12Vから5Vを差し引いた7Vに達する。
【0081】
このように、抵抗RGDと抵抗RDとで分圧するアノード電圧VAの立ち上り開始タイミングをt50からt51へ遅らせることができる。
【0082】
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、先述の第1実施形態の変形例であり、具体的には同期整流コントローラの構成が第1実施形態と異なっている。
【0083】
図16は、第2実施形態に係る同期整流コントローラ300A’を含めた同期整流トランジスタM周辺の構成を示す図である。
図16に示すように、本実施形態に係る同期整流コントローラ300A’は、ドレイン端子Dおよびゲート端子Gに加えて外付けの抵抗RRを接続するための抵抗端子Rを有する。
【0084】
また、同期整流コントローラ300A’は、ドライバDrと、エラーアンプEAと、nチャネルMOSFETで構成されるトランジスタNMと、pチャネルMOSFETで構成されるトランジスタPM1,PM2から構成されるカレントミラーCMと、を有する。エラーアンプEAの非反転入力端(+)には基準電圧Vrefが印加される。エラーアンプEAの出力端は、トランジスタNMのゲートに接続される。トランジスタNMのソースは、エラーアンプEAの反転入力端(−)に接続されるとともに、抵抗端子Rに接続される。抵抗端子Rには、外付けの抵抗RRの第1端が接続される。
【0085】
トランジスタPM1のドレインは、トランジスタNMのドレインに接続される。トランジスタPM2のドレインは、ドレイン端子Dに接続される。
【0086】
このような本実施形態に係る構成の動作について述べると、まず、同期整流トランジスタMがオフのときに同期整流トランジスタMのドレインが急峻に負電圧に立ち下がると、先述した第1実施形態と同様に、抵抗RDと端子容量CTによるローパスフィルタによってドレイン端子電圧VDTは緩やかに立ち下がる。そして、ドレイン端子電圧VDTが第1閾値電圧VthAより低くなると、ドライバDrによってゲート端子電圧GTがHighに立ち上げられ、同期整流トランジスタMがターンオンされる。
【0087】
ゲート端子電圧GTが立ち上げられると、エラーアンプEAが有効となり、エラーアンプEAの出力によりトランジスタNMを駆動することで、トランジスタNMのソース電圧Vsは、基準電圧Vrefと一致するように制御される。従って、ソース電圧Vsと抵抗RRによってトランジスタNMには一定の電流IM1が流れる。そして、カレントミラーCMにより電流IM1に応じた電流IM2がトランジスタPM2を流れる。
【0088】
従って、抵抗RDを流れる電流IM2によってドレイン端子電圧VDTに電圧が付加される。よって、先述の第1実施形態と同様に、ドレイン端子電圧VDTが第2閾値電圧VthBより高くなってゲート端子電圧GTがLowに立ち下げられるタイミング(同期整流トランジスタMのオフタイミング)を早めることができ、逆流マージンを確保できる。
【0089】
<3.第3実施形態>
本発明は、以上の実施形態で例示したLLCコンバータのみではなく、フライバックコンバータに適用することも可能である。
図17は、第3実施形態に係るDC/DCコンバータ500の回路図である。DC/DCコンバータ500は、フライバックコンバータとしての絶縁同期整流型DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ500は、入力端子P11に印加される入力電圧Vinに基づいて出力電圧Voutを生成して出力端子P12から出力する。
【0090】
DC/DCコンバータ500は、一次側の構成として、トランスT10に含まれる一次巻線W101、スイッチングトランジスタM1、および一次側コントローラ401を有し、二次側の構成として、トランスT10に含まれる二次巻線W102、出力コンデンサCo、同期整流トランジスタM2、同期整流コントローラ402、抵抗RD、および抵抗RGDを有する。
【0091】
直流の入力電圧Vinが印加される入力端子P11は、一次巻線W101の第1端に接続される。一次巻線W101の第2端は、スイッチングトランジスタM1のドレインに接続される。スイッチングトランジスタM1のソースは、グランドの印加端に接続される。
【0092】
二次巻線W102の第1端は、出力端子P2に接続される。二次巻線W102の第2端は、同期整流トランジスタM2のドレインに接続される。同期整流トランジスタM2のソースは、グランドの印加端に接続される。出力コンデンサCoは、出力端子P12とグランドの印加端との間に接続される。
【0093】
抵抗RDの第1端は、同期整流トランジスタM2のドレインに接続される。抵抗RDの第2端は、同期整流コントローラ402のドレイン端子Dに接続される。同期整流トランジスタM2のゲートは、同期整流コントローラ402のゲート端子Gに接続される。抵抗RGDの第1端は、同期整流トランジスタM2のゲートとゲート端子Gとの間に接続される。抵抗RGDの第2端は、抵抗RDの第2端とドレイン端子Dとの間に接続される。
【0094】
このような構成のDC/DCコンバータ500における動作について、
図18に示すタイミングチャートを用いて説明する。
図18には、上段より順にスイッチングトランジスタM1のゲートに一次側コントローラ401から印加させるゲート電圧G1、スイッチングトランジスタM1に流れる1次側電流I1、同期整流トランジスタM2に流れる2次側電流I2、ドレイン端子電圧VDT、および同期整流トランジスタM2のゲートに同期整流コントローラ402から印加させるゲート電圧G2を示す。
【0095】
まず、タイミングt60にてゲート電圧G1がHighに立ち上げられてスイッチングトランジスタM1がターンオンされると、1次側電流I1が流れ始めて時間とともに増加する。このとき、ドレイン端子電圧VDTは出力電圧Voutよりも高い電圧であり、2次側電流I2は流れない。
【0096】
そして、タイミングt61にてゲート電圧G1がLowに立ち下げられてスイッチングトランジスタM1がターンオフされると、1次側電流I1は流れなくなり、ドレイン端子電圧VDTは負電圧に立ち下がり、同期整流トランジスタM2のボディダイオードBDMに2次側電流I2が流れ始めて時間とともに減少する。
【0097】
ドレイン端子電圧VDTが第1閾値電圧VthA(例えば−100mV)より低くなったことが同期整流コントローラ402によって検出されると、ゲート電圧G2がHighに立ち上げられて同期整流トランジスタM2がターンオンされる。
【0098】
これにより、抵抗RGDを仮に設けない場合は、
図18で実線にて示すようにドレイン端子電圧VDTは0V側へ近づいてから時間とともに上昇する。そして、タイミングt63にてドレイン端子電圧VDTが第2閾値電圧VthB(例えば−6mV)より高くなったことが同期整流コントローラ402によって検出されると、ゲート電圧G2がLowに立ち下げられて同期整流トランジスタM2がターンオフされる。
【0099】
一方、本実施形態のように抵抗RGDを設ける構成であれば、タイミングt61にて同期整流トランジスタM2がターンオンされるときに、ゲート電圧G2が抵抗RGDおよび抵抗RDによって分圧されることによりドレイン端子電圧VDTに電圧が付加される。従って、
図18で破線にて示すように、ドレイン端子電圧VDTは実線の場合よりもより0V側へ近づけられてから時間とともに上昇する。これにより、タイミングt63よりも前のタイミングt62にてドレイン端子電圧VDTは第2閾値電圧VthBより高くなり、ゲート電圧G2が立ち下げられる。すなわち、同期整流トランジスタM2をターンオフするタイミングを早めて、逆流マージンを確保できる。
【0100】
なお、フライバックコンバータに対して、先述した第1実施形態のような抵抗RGおよびダイオードDGの構成を付加してもよいし、先述した第1実施形態の各種変形例を適用してもよいし、先述した第2実施形態のような構成の同期整流コントローラを適用することも可能である。
【0101】
<4.その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変更が可能である。例えば、先述した各実施形態は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組合せて実施可能である。