特開2020-205715(P2020-205715A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-205715(P2020-205715A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】推定装置および推定方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/40 20160101AFI20201127BHJP
【FI】
   H02P29/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-113156(P2019-113156)
(22)【出願日】2019年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 晃一
(72)【発明者】
【氏名】高木 智也
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501BB06
5H501DD04
5H501GG05
5H501HB07
5H501JJ03
5H501JJ04
5H501JJ16
5H501JJ17
5H501LL22
(57)【要約】
【課題】安価にノイズ対策を行うこと。
【解決手段】実施形態に係る推定装置は、取得部と、推定部とを備える。取得部は、3相交流モータへ流れる各相電流のそれぞれの電流値を取得する。推定部は、取得部によって取得された各相電流の電流値の総和に基づき、各相電流にそれぞれ含まれるノイズ成分を推定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流モータへ流れる各相電流のそれぞれの電流値を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記各相電流のそれぞれの電流値の総和に基づき、前記各相電流にそれぞれ含まれるノイズ成分を推定する推定部と
を備えることを特徴とする推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、
前記電流値の総和を3で除することで、前記ノイズ成分を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記推定部によって推定された前記ノイズ成分に基づいて、前記電流値を補正する補正部
を備えること
を特徴とする請求項1または2に記載の推定装置。
【請求項4】
前記補正部は、
前記ノイズ成分のうち、一部のノイズ成分を前記電流値から取り除くことで、前記電流値を補正すること
を特徴とする請求項3に記載の推定装置。
【請求項5】
前記補正部は、
前記ノイズ成分に対して、前記一部のノイズ成分が占める割合を所定条件に基づいて切り替えること
を特徴とする請求項4に記載の推定装置。
【請求項6】
前記補正部は、
前記ノイズ成分が所定範囲に収まる場合に、前記電流値を補正すること
を特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の推定装置。
【請求項7】
3相交流モータへ流れる各相電流のそれぞれの電流値を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された前記各相電流のそれぞれの電流値の和に基づき、前記各相電流に含まれるノイズ成分を推定する推定工程と
を含みことを特徴とする推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定装置および推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3相交流モータに流れる3相電流(U相、V相、W相)の電流値の総和が「0A」となることに着目し、3相電流のうち、2相の電流値の総和に基づいて、残りの1相の電流値を推定する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−164159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、3相電流にノイズ成分が含まれる場合については考慮されていなかった。また、一般的に、ノイズ対策用の部品を別途必要とするため、コストが増加する。そのため、安価にノイズ対策を行うことが求められる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安価にノイズ対策を行うことができる推定装置および推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係る推定装置は、取得部と、推定部とを備える。前記取得部は、3相交流モータへ流れる各相電流のそれぞれの電流値を取得する。前記推定部は、前記取得部によって取得された前記各相電流の電流値の総和に基づき、前記各相電流にそれぞれ含まれるノイズ成分を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安価にノイズ対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、モータシステムの概要を示す図である。
図1B図1Bは、推定方法の概要を示す図である。
図2図2は、モータ制御システムのブロック図である。
図3図3は、補正部による判定処理の説明図である。
図4図4は、係数とモータへ流れる電流値との関係を示す図である。
図5図5は、推定装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る推定装置および推定方法について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、図1Aおよび図1Bを用いて、実施形態に係る推定装置および推定方法の概要について説明する。図1Aは、モータ制御システムの概要を示す図である。図1Bは、推定方法の概要を示す図である。なお、実施形態に係る推定方法は、図1Aに示す推定装置1によって実行される。
【0011】
図1Aに示すモータシステム100は、推定装置1と、モータ2と、モータ制御装置3と、インバータ4とを備える。
【0012】
モータ2は、例えば、永久磁石をロータ表面に貼り付けた表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)の同期モータであり、例えば負荷5に接続される。
【0013】
モータ制御装置3は、電流ベクトル制御によってモータ2の制御を行う。モータ制御装置3は、例えば、d-q座標系において電流制御を実施し、3相座標系に変換した電圧をインバータ4を介してモータ2に出力することでモータ2の制御を行う。
【0014】
モータ制御装置3は、モータ2へ流れる3相交流電流に基づくフィードバック制御によって、モータ2へ通電する電圧の目標値を決定する。本実施形態において、モータ制御装置3は、推定装置1によってノイズ成分が補正された各相電流の電流値を取得することになる。
【0015】
実施形態に係る推定装置1は、モータ2へ流れる各相電流にそれぞれ含まれるノイズ成分を推定するとともに、かかるノイズ成分に基づいて各相電流の電流値を補正する。
【0016】
ところで、各相電流のノイズ対策として、シールドや、ローパスフィルタなどの部品を用いるのが一般的である。しかしながら、上記の部品を設けると、かかる部品の分だけ、製造コストの増大を招くとともに、例えば、フィルタを用いると、各相電流の位相が変化する等の不具合が生じ得る。
【0017】
これに対して、本実施形態に係る推定方法では、ソフトウェアによる処理によってノイズ成分を推定することで、ノイズ対策用の部品が不要となる。ここで、例えば、各相電流を検出する各電流センサ(不図示)には、同じ特性のセンサや回路が用いられる。このため、各相電流には、同一のノイズ成分が重畳することが想定される。
【0018】
本実施形態に係る推定方法では、かかる点に着目し、各相電流に含まれるノイズ成分を推定することとした。つまり、本実施形態に係る推定方法では、各相電流に同一のノイズ成分が含まれるものと仮定し、各相電流の電流値の総和が「0A」になる特性を利用して、ノイズ成分を推定する。
【0019】
具体的には、図1Bに示すように、各相電流Iu、Iv、Iwの電流値の総和Isumを算出する。このとき、各相電流Iu、Iv、Iwにノイズ成分が含まれていないときの総和Isumは「0」となる。
【0020】
一方、例えば、図1Bの時刻t1に示すように、各相電流Iu、Iv、Iwにノイズ成分が含まれる場合、総和Isumはノイズ成分に応じたノイズ値Nとなり、「0」以外の値を取る。
【0021】
ここで、上述のように、各相電流Iu、Iv、Iwに同一のノイズ成分が含まれると仮定した場合、ノイズ値Nは、各相電流Iu、Iv、Iwにそれぞれ含まれるノイズ成分にそれぞれ対応するノイズ値nu、nv、nw(nu=nv=nw)の和である。
【0022】
したがって、ノイズ値nu、nv、nwは、ノイズ値Nを「3」で除することで求めることができる。そして、実施形態に係る推定方法では、ノイズ値nu、nv、nwに基づいて、各相電流の電流値を補正した後に、モータ制御装置3へ出力することができる。
【0023】
このように、実施形態に係る推定方法では、各相電流Iu、Iv、Iwの総和Isumに基づいて、各相電流Iu、Iv、Iwに含まれるノイズ値nu、nv、nwを推定することが可能である。
【0024】
したがって、ノイズ対策用の部品を別途必要としないので、かかる部品の分だけ、安価にノイズ対策を行うことが可能である。なお、以下では、ノイズ値nu、nv、nwを区別する必要がない場合、「ノイズ値n」と記載する場合がある。また、上述の例では、ノイズ値Nを「3」で除することで、ノイズ値nを推定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、ノイズ値nu、nv、nwが等価でない場合を考慮し、「3+α」(αは所定の係数)で除することにしてもよい。
【0025】
次に、図2を用いて実施形態に係る推定装置1の構成例について説明する。図2は、推定装置1のブロック図である。なお、図2においては、モータシステム100を併せて示す。なお、図2に破線で示す推定装置1、モータ制御装置3およびA/D変換器6は、同一マイコンに内蔵される。
【0026】
図2に示すように、推定装置1は、制御部10と、記憶部20とを備える。制御部10は、取得部11と、推定部12と、補正部13とを備える。制御部10は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0027】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部10の取得部11、推定部12および補正部13として機能する。
【0028】
また、記憶部20は、たとえば、RAMやHDDに対応する。RAMやHDDは、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、推定装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0029】
取得部11は、3相交流モータへ流れる各相電流のそれぞれの電流値を取得する。図2に示すように、例えば、インバータ4からモータ2へ流れる各相電流は、アンプ7によって増幅された後に、A/D変換器6によってアナログからデジタルの信号へ変換される。
【0030】
取得部11は、各相電流の電流値をデジタルの信号として、A/D変換器6から取得することになる。取得部11は、取得した電流値を記憶部20に格納する。
【0031】
推定部12は、取得部11によって取得された各相電流の電流値の総和に基づいて、各相電流に含まれるノイズ成分を推定する。また、推定部12は、推定したノイズ成分の値(ノイズ値n)を補正部13へ通知する。
【0032】
具体的には、推定部12は、図1Bにて示したように、各相電流(Iu、Iv、Iw)の総和Isumを算出する。なお、総和Isumは、各相電流(Iu、Iv、Iw)の瞬時値を合計した値である。
【0033】
上述のように、各相電流(Iu、Iv、Iw)にノイズ成分が含まれていない場合、総和Isumは「0」となり、ノイズ成分が含まれていた場合、総和Isumは「0」以外の値を取ることになる。このため、推定部12は、総和Isumに基づいて、図1Bに示したノイズ値Nを算出し、ノイズ値Nに基づいて、各相電流に含まれる各ノイズ値nを算出する。
【0034】
ノイズ値Nには、各ノイズ値nに応じて変動し、各相電流に、同一のノイズ成分が含まれるとした場合、ノイズ値Nは、各ノイズ値nの3倍の値を取ることになる。
【0035】
したがって、推定部12は、ノイズ値Nを3で除算することで、各ノイズ値nu、nv、nwをそれぞれ推定する。このように、推定部12は、各相電流の電流値の総和に基づいて、各ノイズ値nを推定することで、各相電流に含まれるノイズ値nを容易に推定することができる。
【0036】
また、本実施形態では、ソフトウェアによる処理によって推定部12による処理を実現することが可能である。したがって、ノイズ対策用の部品を必要としないので、安価にノイズ対策を実現することが可能である。
【0037】
なお、推定部12は、各ノイズ値nを例えば、図示しない上位装置へ通知することにしてもよい。
【0038】
補正部13は、推定部12によって推定されたノイズ値nに基づいて、電流値を補正し、モータ制御装置3へ通知する。すなわち、補正部13は、各相電流に含まれるノイズ値nu、nv、nwを除去した電流値を求めることになる。
【0039】
具体的には、補正部13は、各ノイズ値nを各相電流に対応する電流値から減算することで、電流値からノイズ値nを取り除くことができる。つまり、実施形態に係る推定装置1では、ノイズ値nを容易に推定することができ、さらに、ノイズ値nに基づいて、電流値を補正することで、極簡便な処理によってノイズ値nを電流値から除去することが可能となる。
【0040】
ここで、補正部13は、例えば、ノイズ値nが所定範囲内に収まる場合に、電流値を補正し、かかる所定範囲から逸脱する場合に、補正を行わないようにしてもよい。図3は、補正部13による判定処理の説明図である。
【0041】
図3に示すように、例えば、所定範囲Rは、「0A」を基準とする範囲である。なお、かかる所定範囲Rの具体的な値については、実験等によって予め設定されるものとする。図3に示すように、補正部13は、所定範囲Rから逸脱したノイズ値N1について、補正対象外とし、所定範囲R内に収まるノイズ値N2について補正対象とする。
【0042】
つまり、補正部13は、ノイズ値Nが所定範囲から逸脱する場合、電流値の補正を行わず、ノイズ値Nが所定範囲R内に収まる場合にのみ電流値を補正する。ここで、通常のノイズ値Nの上限および下限は、予め実験等によって求めることができ、これに基づき、所定範囲Rが設定される。
【0043】
したがって、ノイズ値Nが所定範囲Rを逸脱する場合、相電流を検出する電流センサ等の故障などのその他の異常が原因として考えられる。このため、補正部13は、ノイズ値Nが所定範囲Rを逸脱した場合、アラートとともに、各相電流の電流値をそのまま、上位装置へ出力する。
【0044】
つまり、各相電流を補正せずに、上位装置へ出力することで、異常時の生データ(各相電流の電流値)を確実に上位装置へ通知することが可能となる。
【0045】
ところで、これまでの説明では、ノイズ値nu、nv、nwが同一のノイズ値nである場合を想定して説明したが、ノイズ値nu、nv、nwの値が互いに異なる場合も想定される。
【0046】
かかる場合に、例えば、上記の補正を行うと、補正後の電流値が実際の電流値との乖離を招くおそれがある。このため、補正部13は、ノイズ値nu、nv、nwの値が互いに異なる場合を考慮して、例えば、ノイズ値Nのうち、一部のノイズ値Nを電流値から取り除くことで、電流値を補正することも可能である。
【0047】
つまり、補正部13は、各相電流の補正後の電流値を「I」、補正前の電流値を「I´」とした場合、「I=I´−n×α」として補正することができる。ここで、nは、上述のノイズ値であり、αは、所定の係数であり、0≦α≦1の関係を満たす。
【0048】
つまり、補正部13は、ノイズ成分のうち、一部のノイズ成分を電流値I´から取り除くことで、電流値Iを求める。これにより、各相電流にランダムなノイズ成分が含まれる場合であって、電流値I´を適切に補正することが可能となる。
【0049】
また、補正部13は、係数αを所定条件に基づいて、切り替えることも可能である。すなわち、係数αを動的に設定することも可能である。例えば、補正部13は、モータ2へ流れる電流の電流値の大きさに基づき、係数αを設定する。
【0050】
図4は、係数αとモータ2へ流れる電流値との関係を示す図である。図4に示すように、例えば、電流値と、係数αとは、線形の関係を示し、電流値が大きくなるにつれて、係数αの値も大きくなる。
【0051】
これは、各相電流に含まれるノイズ成分がインバータ4に基づくものであるものとした場合、インバータ4からモータ2へ大電流が流れるほど、インバータ4に基づくノイズ成分が各相電流に重畳する可能性が高いためである。
【0052】
また、インバータ4に基づくノイズ成分がランダムなノイズ成分であると仮定した場合、モータ2へ大電流が流れるほど、インバータ4に基づくノイズ成分が支配的となり、モータ2へ流れる電流が小さい場合、インバータ4以外のノイズ成分が支配的となる。
【0053】
つまり、図4に示す例では、補正部13は、モータ2へ流れる電流値が大きいほど、係数αに大きな値を設定することで、補正量を大きくし、かかる電流値が小さいほど、係数αに小さい値を設定することで、補正量を小さくする。
【0054】
このように、補正部13は、係数αを動的に設定することで、電流値を適切に補正することができる。なお、上述の例では、電流値に基づいて、係数αを動的に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、モータ2の回転速度など、その他の条件に基づいて、係数αを設定することにしてもよい。
【0055】
また、上述の例では、電流値が大きいほど、係数αを大きな値に設定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、電流値が小さいほど、係数αを大きく設定することにしてもよい。また、電流値と係数αとは、線形の関係である必要はなく、その他の関係であってもよい。すなわち、電流値と係数αとの関係は、ノイズ源の種別などに基づき、実験等によって予め決定することにすればよい。
【0056】
次に、図5を用いて、実施形態に係る推定装置1が実行する処理手順について説明する。図5は、推定装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、制御部10によって繰り返し実行される。
【0057】
図5に示すように、推定装置1は、各相電流の電流値を取得すると(ステップS101)、電流値の総和Isumを算出する(ステップS102)。続いて、推定装置1は、総和Isumの絶対値が所定範囲内であるか否かを判定し(ステップS103)、総和Isumの絶対値が所定範囲内でなかった場合(ステップS103,No)、総和Isumに基づいて、各相電流のノイズ成分を算出する(ステップS104)。
【0058】
続いて、推定装置1は、ステップS104にて推定したノイズ成分に基づき、各相電流の電流値を補正して(ステップS105)、かかる電流値を出力して(ステップS106)、処理を終了する。
【0059】
また、推定装置1は、ステップS103の判定処理において、総和Isumの絶対値が所定範囲内であった場合(ステップS103,Yes)、ステップS106の処理へ移行する。
【0060】
上述したように、実施形態に係る推定装置1は、取得部11と、推定部12とを備える。取得部11は、モータ2(3相交流モータに対応)へ流れる各相電流のそれぞれの電流値を取得する。推定部12は、取得部11によって取得された各相電流のそれぞれの電流値の総和Isumに基づき、各相電流に含まれるノイズ成分を推定する。したがって、実施形態に係る推定装置1によれば、安価にノイズ対策を行うことができる。
【0061】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 推定装置
2 モータ
3 モータ制御装置
4 インバータ
5 負荷
10 制御部
11 取得部
12 推定部
13 補正部
100 モータシステム
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5