特開2020-20736(P2020-20736A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-20736(P2020-20736A)
(43)【公開日】2020年2月6日
(54)【発明の名称】層流型差圧流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/48 20060101AFI20200110BHJP
【FI】
   G01F1/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-146656(P2018-146656)
(22)【出願日】2018年8月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】蔡 智
(72)【発明者】
【氏名】結城 興仁
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CA04
2F030CD15
2F030CF01
(57)【要約】
【課題】層流発生機構を用いた差圧式の流量測定で、測定対象の流体の温度をより正確に測定できるようにする。
【解決手段】温度センサ104は、層流発生機構102の最も外側の細流路106の外側に接して設けられて層流発生機構102を通過する流体の温度を測定する。温度センサ104は、層流発生機構102の最も外側の層流板107の外側に接して設けられている。温度センサ104は、層流発生機構102の最も外側の細流路106の路壁(層流板107)を介して層流発生機構102を通過する流体の温度を測定する。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の流体が流れる流路と、
前記流路の途中に設けられ、複数の細流路から構成されて前記複数の細流路を通過させることで流体を層流とするように構成された層流発生機構と、
前記層流発生機構の上流側と下流側の流体の圧力の差を差圧として取得するように構成された差圧取得部と、
前記層流発生機構の最も外側の細流路の外側に接して設けられて前記層流発生機構を通過する流体の温度を測定するように構成された温度センサと、
前記差圧取得部が取得した差圧および前記温度センサが測定した温度により前記流路を通過する流体の流量を求めるように構成された流量計測部と
を備えることを特徴とする層流型差圧流量計。
【請求項2】
請求項1記載の層流型差圧流量計において、
前記温度センサは、前記層流発生機構の最も外側の細流路の路壁を介して前記層流発生機構を通過する流体の温度を測定する
ことを特徴とする層流型差圧流量計。
【請求項3】
請求項1または2記載の層流型差圧流量計において、
前記層流発生機構は、金属から構成されていることを特徴とする層流型差圧流量計。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の層流型差圧流量計において、
前記温度センサが設けられた細流路の前記温度センサの周囲に形成され、前記温度センサが設けられた細流路の路壁の厚さを薄くする溝部を備えることを特徴とする層流型差圧流量計。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の層流型差圧流量計において、
前記温度センサを覆って形成され、前記温度センサと周囲とを断熱するための断熱構造を備えることを特徴とする層流型差圧流量計。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の層流型差圧流量計において、
前記層流発生機構は、各々同じ板厚とされた複数の層流板が所定の間隔を開けて前記流路の流れの方向に平行に配置され、複数の層流板の間を細流路として通過させることで流体を層流とし、
前記温度センサは、前記層流発生機構の最も外側の層流板の外側に接して設けられている
ことを特徴とする層流型差圧流量計。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の層流型差圧流量計において、
前記層流発生機構は、機構本体と、前記機構本体を貫通する複数の貫通孔とから構成され、貫通孔を細流路として通過させることで流体を層流とし、
前記温度センサは、前記層流発生機構の最も外側の貫通孔の壁の外側に接して設けられている
ことを特徴とする層流型差圧流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の途中に設けられた層流発生機構の上流側と下流側の流体の圧力の差から流路を流れる流体の流量を計測する層流型差圧流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
流路を流れる流体の流量や流速を測定する技術が工業・医療分野などで幅広く利用されている。流量や流速を測定する装置として、可動部がなく、低流量を感度よく測定可能で有などの特長を有する層流型差圧流量計がある。層流型差圧流量計は、流路の途中に流体の流れを層流とする層流発生機構を備え、層流発生機構の上流側と下流側の流体の圧力の差から流路を流れる流体の流量を計測する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
流体の温度は、密度や粘性に影響を及ぼし流量値に影響を与えるので、流量を精度良く計測するには、差圧を発生させる層流発生機構を通過する流体の温度をできるだけ正確に計測することが重要となる。質量流量を求めるために用いる粘性係数μには温度依存性があり、これまで、レイノルズの式、アンドレードの式、WLFの式、増子マギルの式など、粘性係数と温度の関係を表す数式がいくつか提案されている。いずれも温度が変わると粘性係数が変化し、流量換算の結果が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−116283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現在、一般には、流体の温度を測定する温度センサを、流路に挿入し、また、配管の管壁内に埋め込んで用いている。しかしながら、このような構成では、管壁の熱容量による熱的応答性の遅れや、管壁に取り付けられた他の部品からの伝熱の影響などを受けて、流体の温度が正確に測定できず、流量計測に誤差が発生するという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、層流発生機構を用いた差圧式の流量測定で、測定対象の流体の温度をより正確に測定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る層流型差圧流量計は、測定対象の流体が流れる流路と、流路の途中に設けられ、複数の細流路から構成されて複数の細流路を通過させることで流体を層流とするように構成された層流発生機構と、層流発生機構の上流側と下流側の流体の圧力の差を差圧として取得するように構成された差圧取得部と、層流発生機構の最も外側の細流路の外側に接して設けられて層流発生機構を通過する流体の温度を測定するように構成された温度センサと、差圧取得部が取得した差圧および温度センサが測定した温度により流路を通過する流体の流量を求めるように構成された流量計測部とを備える。
【0008】
上記層流型差圧流量計において、温度センサは、層流発生機構の最も外側の細流路の路壁を介して層流発生機構を通過する流体の温度を測定する。
【0009】
上記層流型差圧流量計において、層流発生機構は、金属から構成されていればよい。
【0010】
上記層流型差圧流量計において、温度センサが設けられた細流路の温度センサの周囲に形成され、温度センサが設けられた細流路の路壁の厚さを薄くする溝部を備えるようにしてもよい。
【0011】
上記層流型差圧流量計において、温度センサを覆って形成され、温度センサと周囲とを断熱するための断熱構造を備えるようにしてもよい。
【0012】
上記層流型差圧流量計において、層流発生機構は、各々同じ板厚とされた複数の層流板が所定の間隔を開けて流路の流れの方向に平行に配置され、複数の層流板の間を細流路として通過させることで流体を層流とし、温度センサは、層流発生機構の最も外側の層流板の外側に接して設けられている。
【0013】
上記層流型差圧流量計において、層流発生機構は、機構本体と、機構本体を貫通する複数の貫通孔とから構成され、貫通孔を細流路として通過させることで流体を層流とし、温度センサは、層流発生機構の最も外側の貫通孔の壁の外側に接して設けられている。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、温度センサを、層流発生機構の最も外側の細流路の外側に接して設けるようにしたので、層流発生機構を用いた差圧式の流量測定で、測定対象の流体の温度がより正確に測定できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、本発明の実施の形態1における層流型差圧流量計の構成を示す構成図である。
図1B図1Bは、本発明の実施の形態1における層流型差圧流量計の層流発生機構102の断面を示す断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1における他の層流型差圧流量計の構成を示す構成図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1における他の層流型差圧流量計の構成を示す構成図である。
図4A図4Aは、本発明の実施の形態2における層流型差圧流量計の構成を示す構成図である。
図4B図4Bは、本発明の実施の形態2における層流型差圧流量計の層流発生機構102aの断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態おける層流型差圧流量計について説明する。
【0017】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1における層流型差圧流量計について図1A図1Bを参照して説明する。なお、図1Aの層流発生機構102は、測定対象の流体が流れる方向に平行な断面を示し、図1Bは、測定対象の流体が流れる方向に垂直な断面を示している。この層流型差圧流量計は、測定対象の流体が流れる流路101と、流路101の途中に設けられた層流発生機構102と、差圧取得部103と、温度センサ104と、流量計測部105とを備える。
【0018】
層流発生機構102は、複数の細流路106から構成されて複数の細流路106を通過させることで流体を層流とする。実施の形態1において、層流発生機構102は、各々同じ板厚とされた複数の層流板107が所定の間隔を開けて流路101の流れの方向に平行に配置されている。層流発生機構102は、複数の層流板107の間を細流路106として通過させることで流体を層流とする。層流発生機構102(層流板107)は、例えば、ステンレス鋼などの金属から構成されている。なお、層流板107は、枠部108に支持されて固定されている。
【0019】
層流発生機構102は、例えば、断面視矩形とされ、幅30mm以下、厚さ10mm以下程度の大きさである。また、層流発生機構102は、流れの方向の長さが30mm以下程度とされている。また、層流発生機構102は、1〜100枚程度の層流板107から構成され、層流板107は、厚さ0.1〜10mm程度とされている。複数の層流板107を用いる場合は、層流発生機構102の厚さ方向に、0.01〜1mm程度の間隔で配置されている。層流板107の各寸法、使用枚数,配置間隔などは、層流発生機構102の断面視の寸法により、適宜に設定すればよい。例えば、層流発生機構102の厚さを10mm以下と例示したが、層流発生機構102を2枚の層流板107から構成するのであれば、層流発生機構102の厚みは2枚の層流板107の厚みに等しい0.2mm程度となる。
【0020】
差圧取得部103は、層流発生機構102の上流側と下流側の流体の圧力の差を差圧として取得する。例えば、層流発生機構102の上流側には、上流側の流体の圧力を引き出す第1導圧路(不図示)が設けられ、層流発生機構102の下流側には、下流側の流体の圧力を引き出す第2導圧路(不図示)が設けられている。また、第1導圧路の末端には、上流側の流体の圧力(P1)を検出する上流側圧力センサ(不図示)が設けられ、第2導圧路の末端には、下流側の流体の圧力(P2)を検出する下流側圧力センサ(不図示)が設けられている。差圧取得部103は、上流側圧力センサが測定した圧力P1と、下流側圧力センサが測定した圧力P2との差を差圧ΔPとして求める。
【0021】
温度センサ104は、層流発生機構102の最も外側の細流路106の外側に接して設けられて層流発生機構102を通過する流体の温度を測定する。実施の形態1において、温度センサ104は、層流発生機構102の最も外側の層流板107の外側に接して設けられている。温度センサ104は、層流発生機構102の最も外側の細流路106の路壁(層流板107)を介して層流発生機構102を通過する流体の温度を測定する。温度センサ104は、例えば、よく知られた白金薄膜温度センサである。白金薄膜温度センサは、一般的な熱電対に比べ、自身の熱容量が1/50程度と小さく、自身の伝熱の影響などが発生しにくい。
【0022】
流量計測部105は、差圧取得部103が取得した差圧および温度センサ104が測定した温度により流路101を通過する流体の流量を求める。よく知られているように、質量流量は、差圧に比例し、流体の粘性係数に反比例する。また、流体の粘性係数は、よく用いられている粘性係数と温度の関係を表す数式より、測定した流体の温度より求めることができる。
【0023】
以上に説明したように、実施の形態1によれば、温度センサ104を、層流発生機構102の最も外側の細流路106(層流板107)の外側に接して設けている。層流発生機構102では、多くの細流路106を用いるようにするため、細流路106の路壁(層流板107)は、薄い構造体となる。このため、細流路106の路壁(層流板107)は、熱容量が少なく、細流路106を流れる流体の温度は、路壁(層流板107)を介して、より損失が少なく、かつ、より少ない熱応答で、温度センサ104に伝わる。これらのことにより、実施の形態1によれば、温度センサ104は、流体の温度をより正確に測定することが可能となり、測定対象の流体の温度がより正確に測定できるようになる。
【0024】
ところで、図2に示すように、温度センサ104が設けられた細流路106の温度センサ104の周囲に、細流路106の路壁(層流板107)の厚さを薄くする溝部109を備えるようにしてもよい。溝部109を設けて薄くすることで、温度センサ104の周囲の路壁(層流板107)における熱容量を、より低減することができる。
【0025】
また、図3に示すように、温度センサ104を覆う断熱構造110を設け、断熱構造110により温度センサ104を封止し、温度センサ104と周囲とを断熱するようにしてもよい。断熱構造110は、例えば、断熱構造110の内部を真空排気した真空容器である。また、断熱構造110は、例えば、断熱材から構成した塗膜である。このように断熱構造110を設けることで、温度センサ104の上部側の伝熱経路を遮断して周囲温度変動の影響を低減することができ、流体の温度をより正確に測定することが可能となる。
【0026】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2における層流型差圧流量計について図4A図4Bを参照して説明する。なお、図4Aの層流発生機構102aは、測定対象の流体が流れる方向に平行な断面を示し、図4Bは、測定対象の流体が流れる方向に垂直な断面を示している。なお、図4A図4Bとは、異なる縮尺としている。この層流型差圧流量計は、測定対象の流体が流れる流路101と、流路101の途中に設けられた層流発生機構102と、差圧取得部103と、温度センサ104と、流量計測部105とを備える。
【0027】
実施の形態2では、層流発生機構102aを、機構本体202と、機構本体202を貫通する複数の貫通孔207とから構成し、貫通孔207を細流路106として通過させることで流体を層流としている。複数の貫通孔207は、流れの方向の断面方向に、所定の間隔で配列(例えば正方配列)した状態で配置されている。温度センサ104は、層流発生機構102aの最も外側の貫通孔207の壁の外側に接して設ける。他の構成は、前述した実施の形態1と同様である。層流発生機構102a(機構本体202)は、例えば、金属から構成されている。
【0028】
層流発生機構102aは、例えば、断面視矩形とされ、幅30mm以下、厚さ50mm以下程度の大きさである。また、層流発生機構102aは、流れの方向の長さが30mm以下程度とされている。また、貫通孔207は、孔径が30mm以下程度とされ、断面視で0.1mm〜10mm程度のピッチで配列されている。また、最も外側の貫通孔207の壁の厚さは、0.1mm程度とされている。貫通孔207の孔径や、数、配置間隔などは、層流発生機構102aの断面視の寸法により、適宜に設定すればよい。
【0029】
以上に説明したように、実施の形態2では、温度センサ104を、層流発生機構102aの最も外側の貫通孔207の外側に接して設けている。層流発生機構102aでは、多くの細流路106を用いるようにするため、隣り合う細流路106(貫通孔207)の間隔や、最も外側の貫通孔207の壁は、薄い構造体となる。
【0030】
このため、温度センサ104と、これに隣り合って配置される貫通孔207との間の機構本体202の壁は、熱容量が少なく、貫通孔207を流れる流体の温度は、この壁を介して、より損失が少なく、かつ、より少ない熱応答で、温度センサ104に伝わる。これらのことにより、実施の形態2においても、温度センサ104は、流体の温度をより正確に測定することが可能となり、測定対象の流体の温度がより正確に測定できるようになる。
【0031】
なお、実施の形態2においても、例えば、温度センサを覆って形成され、温度センサと周囲とを断熱するための断熱構造を備えるようにしてもよい。
【0032】
以上に説明したように、本発明によれば、温度センサを、層流発生機構の最も外側の細流路の外側に接して設けるようにしたので、層流発生機構を用いた差圧式の流量測定で、測定対象の流体の温度がより正確に測定できるようになる。
【0033】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0034】
101…流路、102…層流発生機構、103…差圧取得部、104…温度センサ、105…流量計測部、106…細流路、107…層流板、108…枠部。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B