【課題】白金族元素を利用することなく廉価に作ることができ、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができるカーボンナノチューブ電極提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブ電極10Aは、各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物を圧縮した後に焼成したアロイ成形物のアロイ微粒子と、カーボンナノチューブの凝集体とを含む。遷移金属微粉体混合物では、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択されている。カーボンナノチューブ電極10Aでは、アロイ微粒子がカーボンナノチューブの表面に担持されている。
前記カーボンナノチューブの表面又は前記カーボンナノホーンの表面には、該カーボンナノチューブ又は該カーボンナノホーンの表面から外側へ向かって重なり合う前記アロイ微粒子によってアロイ微粒子積層ポーラス構造が形成されている請求項1に記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記遷移金属微粉体の粒径が、10μm〜200μmの範囲にあり、前記カーボンナノチューブ電極又は前記カーボンナノホーン電極の厚み寸法が、0.03mm〜0.3mmの範囲にある請求項1又は請求項2に記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記遷移金属微粉体混合物が、Ni(ニッケル)の微粉体を主成分とし、前記遷移金属微粉体混合物では、前記Niの仕事関数と該Niを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が前記白金族元素の仕事関数に近似するように、前記各種の遷移金属の中から前記Niの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されている請求項1ないし請求項3いずれかに記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する前記Ni(ニッケル)の微粉体の重量比が、30%〜50%の範囲にあり、前記Niの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が、20%〜50%の範囲にあり、前記Niの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある請求項4に記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記遷移金属微粉体混合物が、Fe(鉄)の微粉体を主成分とし、前記遷移金属微粉体混合物では、前記Feの仕事関数と該Feを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が前記白金族元素の仕事関数に近似するように、前記各種の遷移金属の中から前記Feの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されている請求項1ないし請求項3いずれかに記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する前記Fe(鉄)の微粉体の重量比が、30%〜50%の範囲にあり、前記Feの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が、20%〜50%の範囲にあり、前記Feの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある請求項6に記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記遷移金属微粉体混合物が、Cu(銅)の微粉体を主成分とし、前記遷移金属微粉体混合物では、前記Cuの仕事関数と該Cuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が前記白金族元素の仕事関数に近似するように、前記各種の遷移金属の中から前記Cuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されている請求項1ないし請求項3いずれかに記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する前記Cu(銅)の微粉体の重量比が、30%〜50%の範囲にあり、前記Cuの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が、20%〜50%の範囲にあり、前記Cuの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の前記遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が、3%〜20%の範囲にある請求項8に記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記アロイ成形物では、前記選択された遷移金属のうちの少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が遷移金属微粉体混合物の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属の遷移金属微粉体をバインダーとしてそれら遷移金属の遷移金属微粉体が接合されている請求項1ないし請求項9いずれかに記載のカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極。
前記アロイ微粒子担持工程が、前記カーボンナノチューブ又は前記カーボンナノホーンの生成と同時にアロイ成形物を蒸発させ、前記アロイ成形物のアロイ微粒子を該カーボンナノチューブの表面又は該カーボンナノホーンの表面に担持させる請求項11に記載の電極製造方法。
前記遷移金属微粉体混合物作成工程が、前記遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属を10μm〜200μmの粒径に微粉砕する請求項11又は請求項12に記載の電極製造方法。
前記遷移金属微粉体圧縮物作成工程が、前記遷移金属微粉体混合物作成工程によって作られた遷移金属微粉体混合物を500Mpa〜800Mpaの圧力で加圧して前記遷移金属微粉体圧縮物を作る請求項11ないし請求項13いずれかに記載の電極製造方法。
前記アロイ成形物作成工程が、前記遷移金属選択工程によって選択された遷移金属のうちの少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体を溶融させる温度で前記遷移金属微粉体圧縮物を焼成し、溶融した遷移金属の遷移金属微粉体をバインダーとしてそれら遷移金属の遷移金属微粉体を接合する請求項11ないし請求項14いずれかに記載の電極製造方法。
前記アロイ微粒子担持工程が、前記カーボンナノチューブ電極又は前記カーボンナノホーン電極を0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形し、前記カーボンナノチューブ又は前記カーボンナノホーンの表面から外側へ向かって重なり合う前記アロイ微粒子によってアロイ微粒子積層ポーラス構造を形成する請求項11ないし請求項15いずれかに記載の電極製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示のカーボンナノチューブ電極はカーボンナノチューブに白金を担持させているが、白金族元素は貴金属であり、その生産量に限りがある希少な資源であることから、その使用量を抑えることが求められている。さらに、今後の固体高分子形燃料電池の普及に向けて高価な白金以外の金属を利用した白金レス触媒を有する廉価なカーボンナノチューブ電極の開発が求められている。
【0005】
本発明の目的は、白金族元素を利用することなく、廉価に作ることができ、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができるカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極及びその電極の電極製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、水素ガス発生装置において電気分解を効率よく行うことができ、多量の水素ガスを発生させることができるカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極及びその電極の電極製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、アノード又はカソードとして使用するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極である。
【0007】
前記第1の前提における本発明の電極の特徴は、カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が、各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物を圧縮した後に焼成したアロイ成形物のアロイ微粒子と、カーボンナノチューブの凝集体又はカーボンナノホーンの凝集体とを含み、遷移金属微粉体混合物では、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択され、カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極では、アロイ微粒子がカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面に担持されていることにある。
【0008】
本発明の電極の一例として、カーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面には、カーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンの表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子によってアロイ微粒子積層ポーラス構造が形成されている。
【0009】
本発明の電極の他の一例としては、遷移金属微粉体の粒径が10μm〜200μmの範囲にあり、カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極の厚み寸法が0.03mm〜0.3mmの範囲にある。
【0010】
本発明の電極の他の一例としては、遷移金属微粉体混合物がNi(ニッケル)の微粉体を主成分とし、遷移金属微粉体混合物では、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されている。
【0011】
本発明の電極の他の一例としては、遷移金属微粉体混合物の全重量に対するNi(ニッケル)の微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Niの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Niの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。
【0012】
本発明の電極の他の一例としては、遷移金属微粉体混合物がFe(鉄)の微粉体を主成分とし、遷移金属微粉体混合物では、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されている。
【0013】
本発明の電極の他の一例としては、遷移金属微粉体混合物の全重量に対するFe(鉄)の微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Feの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Feの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。
【0014】
本発明の電極の他の一例としては、遷移金属微粉体混合物がCu(銅)の微粉体を主成分とし、遷移金属微粉体混合物では、Cuの仕事関数と該Cuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されている。
【0015】
本発明の電極の他の一例としては、遷移金属微粉体混合物の全重量に対するCu(銅)の微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Cuの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Cuの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。
【0016】
本発明の電極の他の一例として、アロイ成形物では、選択された遷移金属のうちの少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が遷移金属微粉体混合物の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属の遷移金属微粉体をバインダーとしてそれら遷移金属の遷移金属微粉体が接合されている。
【0017】
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、アノード又はカソードとして使用するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極を製造する電極製造方法である。
【0018】
前記第2の前提における本発明の電極製造方法の特徴は、電極製造方法が、各種の遷移金属から選択する少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属を選択する遷移金属選択工程と、遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物を作る遷移金属微粉体混合物作成工程と、遷移金属微粉体混合物作成工程によって作られた遷移金属微粉体混合物を所定圧力で加圧して遷移金属微粉体圧縮物を作る遷移金属微粉体圧縮物作成工程と、遷移金属微粉体圧縮物作成工程によって作られた遷移金属微粉体圧縮物を所定温度で焼成してアロイ成形物を作るアロイ成形物作成工程と、カーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンを生成し、アロイ成形物作成工程によって作られたアロイ成形物を蒸発させてカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面にアロイ成形物のアロイ微粒子を担持させるアロイ微粒子担持工程とを有することにある。
【0019】
本発明の電極製造方法の一例としては、アロイ微粒子担持工程がカーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンの生成と同時にアロイ成形物を蒸発させ、アロイ成形物のアロイ微粒子をカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面に担持させる。
【0020】
本発明の電極製造方法の他の一例としては、遷移金属微粉体混合物作成工程が遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属を10μm〜200μmの粒径に微粉砕する。
【0021】
本発明の電極製造方法の他の一例としては、遷移金属微粉体圧縮物作成工程が遷移金属微粉体混合物作成工程によって作られた遷移金属微粉体混合物を500Mpa〜800Mpaの圧力で加圧して遷移金属微粉体圧縮物を作る。
【0022】
本発明の電極製造方法の他の一例としては、アロイ成形物作成工程が遷移金属選択工程によって選択された遷移金属のうちの少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体を溶融させる温度で遷移金属微粉体圧縮物を焼成し、溶融した遷移金属の遷移金属微粉体をバインダーとしてそれら遷移金属の遷移金属微粉体を接合する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極によれば、それが各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物を圧縮した後に焼成したアロイ成形物のアロイ微粒子と、カーボンナノチューブの凝集体又はカーボンナノホーンの凝集体とを含み、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択され、アロイ成形物のアロイ微粒子がカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面に担持されているから、アロイ微粒子を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池や水素ガス発生装置の電極として好適に使用することができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)が各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体から形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極を廉価に作ることができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、それが白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0024】
カーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンの表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子によってアロイ微粒子積層ポーラス構造がカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面に形成されているカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、カーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面にアロイ微粒子積層ポーラス構造を形成することで、アロイ微粒子の比表面積を大きくすることができ、アロイ微粒子の触媒作用を十分に利用することができるとともに、アロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池や水素ガス発生装置の電極として好適に使用することができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、アロイ微粒子積層ポーラス構造を形成した電極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0025】
遷移金属微粉体の粒径が10μm〜200μmの範囲にあり、カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極の厚み寸法が0.03mm〜0.3mmの範囲にあるカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極の厚み寸法を前記範囲にすることで、電極の電気抵抗を小さくすることができ、電極に電流をスムースに流すことができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、電流がスムースに流れるから、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0026】
遷移金属微粉体混合物がNi(ニッケル)の微粉体を主成分とし、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているから、アロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池や水素ガス発生装置の電極として好適に使用することができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)がNiの微粉体と各種の遷移金属から選択されたNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体とから形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極を廉価に作ることができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0027】
遷移金属微粉体混合物の全重量に対するNi(ニッケル)の微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Niの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Niの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にあるカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているとともに、Niの微粉体の重量比やNiの微粉体を除く少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の重量比、Niの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の重量比を前記範囲にすることで、アロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0028】
遷移金属微粉体混合物がFe(鉄)の微粉体を主成分とし、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているから、アロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池や水素ガス発生装置の電極として好適に使用することができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)がFeの微粉体と各種の遷移金属から選択されたFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体とから形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極を廉価に作ることができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0029】
遷移金属微粉体混合物の全重量に対するFe(鉄)の微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Feの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Feの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にあるカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているとともに、Feの微粉体の重量比やFeの微粉体を除く少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の重量比、Feの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の重量比を前記範囲にすることで、アロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0030】
遷移金属微粉体混合物がCu(銅)の微粉体を主成分とし、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているから、アロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池や水素ガス発生装置の電極として好適に使用することができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)がCuの微粉体と各種の遷移金属から選択されたCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体とから形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極を廉価に作ることができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0031】
遷移金属微粉体混合物の全重量に対するCu(銅)の微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Cuの微粉体を除く1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Cuの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の遷移金属微粉体混合物の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にあるカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているとともに、Cuの微粉体の重量比やCuの微粉体を除く少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の重量比、Cuの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属の遷移金属微粉体の重量比を前記範囲にすることで、アロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0032】
アロイ成形物において、選択された遷移金属のうちの少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が遷移金属微粉体混合物の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属の遷移金属微粉体をバインダーとしてそれら遷移金属の遷移金属微粉体が接合されているカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、遷移金属のうちの少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が溶融することでアロイ成形物を作ることができるとともに、アロイ成形物のアロイ微粒子を作ることができ、アロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極を作ることができる。カーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極は、アロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、電極を燃料電池に使用することで、燃料電池において十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極を水素ガス発生装置に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0033】
本発明に係る電極製造方法によれば、各種の遷移金属から選択する少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属を選択する遷移金属選択工程と、遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物を作る遷移金属微粉体混合物作成工程と、遷移金属微粉体混合物作成工程によって作られた遷移金属微粉体混合物を所定圧力で加圧して遷移金属微粉体圧縮物を作る遷移金属微粉体圧縮物作成工程と、遷移金属微粉体圧縮物作成工程によって作られた遷移金属微粉体圧縮物を所定温度で焼成してアロイ成形物を作るアロイ成形物作成工程と、カーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンを生成し、アロイ成形物作成工程によって作られたアロイ成形物を蒸発させてカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面にアロイ成形物のアロイ微粒子を担持させるアロイ微粒子担持工程との各工程によってカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極を作ることができるから、白金族元素を利用しない白金レスの電極を廉価に作ることができ、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有して燃料電池や水素ガス発生装置に好適に使用することが可能な白金レスの電極を作ることができる。
【0034】
アロイ微粒子担持工程がカーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンの生成と同時にアロイ成形物を蒸発させ、アロイ成形物のアロイ微粒子をカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面に担持させる電極製造方法は、カーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンを生成しつつアロイ成形物を蒸発させてカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面にアロイ成形物のアロイ微粒子を担持させるから、カーボンナノチューブの表面やカーボンナノホーンの表面にアロイ微粒子を均一に分散させた状態で担持させることができ、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンの表面にアロイ微粒子を均一に担持させた白金レスの電極を廉価に作ることができ、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有して燃料電池や水素ガス発生装置に好適に使用することが可能な白金レスの電極を作ることができる。
【0035】
遷移金属微粉体混合物作成工程が遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属を10μm〜200μmの粒径に微粉砕する電極製造方法は、遷移金属を前記範囲の粒径に微粉砕することでアロイ成形物を作ることができるとともに、アロイ成形物のアロイ微粒子を担持させたアロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極を作ることができ、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有して燃料電池や水素ガス発生装置に好適に使用することが可能な白金レスの電極を作ることができる。
【0036】
遷移金属微粉体圧縮物作成工程が遷移金属微粉体混合物作成工程によって作られた遷移金属微粉体混合物を500Mpa〜800Mpaの圧力で加圧して遷移金属微粉体圧縮物を作る電極製造方法は、遷移金属微粉体混合物を前記範囲の圧力で加圧(圧縮)することで、遷移金属微粉体圧縮物を作ることができ、その遷移金属微粉体圧縮物を焼成してアロイ成形物を作ることができるとともに、アロイ成形物のアロイ微粒子を担持させたアロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極を作ることができ、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有して燃料電池や水素ガス発生装置に好適に使用することが可能な白金レスの電極を作ることができる。
【0037】
アロイ成形物作成工程が遷移金属選択工程によって選択された遷移金属のうちの少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体を溶融させる温度で遷移金属微粉体圧縮物を焼成し、溶融した遷移金属の遷移金属微粉体をバインダーとしてそれら遷移金属の遷移金属微粉体を接合する電極製造方法は、遷移金属のうちの少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が溶融することでアロイ成形物を作ることができ、アロイ成形物のアロイ微粒子を担持させたアロイ微粒子又はアロイ微粒子積層ポーラス構造を有するカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極を作ることができるとともに、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有して燃料電池や水素ガス発生装置に好適に使用することが可能な白金レスの電極を作ることができる。
【0038】
アロイ微粒子担持工程がカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極を0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形し、カーボンナノチューブ又はカーボンナノホーンの表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子によってアロイ微粒子積層ポーラス構造を形成する電極製造方法は、アロイ成形物を蒸発させてカーボンナノチューブの表面又はカーボンナノホーンの表面にアロイ微粒子積層ポーラス構造を形成することができ、アロイ粉体の比表面積を大きくしたアロイ粉体積層ポーラス構造物を有する白金レスのカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極を作ることができる。電極製造方法は、電極の厚み寸法を前記範囲にすることで、電極の電気抵抗を小さくすることができ、電流をスムースに流すことが可能な白金レスの電極を作ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
一例として示すカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bの斜視図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るカーボンナノチューブ電極又はカーボンナノホーン電極の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、
図2は、一例として示すカーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aの部分拡大正面図であり、
図3は、アロイ微粒子19を担持した一例として示すカーボンナノチューブ15の概念図である。
図4は、アロイ微粒子19を担持した一例として示すカーボンナノホーン16の概念図である。
図1では、厚み方向を矢印Xで示し、径方向を矢印Yで示す。
【0041】
カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aは、アノード(陽極)又はカソード(陰極)として使用され、燃料電池24の電極10A(触媒)(
図10参照)や水素ガス発生装置37の電極10A(触媒)(
図13参照)として利用される。カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aは、前面11及び後面12を有するとともに、所定面積及び所定の厚み寸法L1を有し、その平面形状が四角形に成形されている。なお、カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10A(カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bを含む)の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、その用途にあわせて円形や楕円形、多角形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
【0042】
カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aは、アロイ成形物52(合金成形物)のアロイ微粒子19(合金微粒子)と、所定面積の金属電極薄板13又は所定面積のカーボン電極薄板14と、金属電極薄板13又はカーボン電極薄板14と、所定面積のカーボンナノチューブ15の凝集体17(凝集板)又は所定面積のカーボンナノホーン16の凝集体18(凝集板)とから形成されている。アロイ成形物52(合金成形物)(
図14参照)は、粉状に加工(微粉砕)された各種の遷移金属48から選択された少なくとも3種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50(
図14参照)を圧縮した後に焼成(焼結)することから作られている。
【0043】
なお、アロイ成形物52(合金成形物)を微粉砕して粒径が10μm〜200μmのアロイ微粉体53(合金微粉体)(
図14参照)とし、カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aがアロイ微粉体53のアロイ微粒子19(合金微粒子)と、所定面積の金属電極薄板13又は所定面積のカーボン電極薄板14と、所定面積のカーボンナノチューブ15の凝集体17(凝集板)又は所定面積のカーボンナノホーン16の凝集体18(凝集板)とから形成される場合がある。
【0044】
遷移金属48としては、3d遷移金属や4d遷移金属が使用される。3d遷移金属には、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)が使用される。4d遷移金属には、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀)が使用される。遷移金属48の遷移金属微粉体49には、粉状に加工(微粉砕)されたTi(チタン)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCr(クロム)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたMn(マンガン)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたFe(鉄)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCo(コバルト)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたNi(ニッケル)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたCu(銅)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたZn(亜鉛)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたNb(ニオブ)微粉体、粉状に加工(微粉砕)されたMo(モリブデン)微粉体、粉状に加工されたAg(銀)微粉体が使用される。
【0045】
Tiの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたTi)やCrの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCr)、Mnの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたMn)、Feの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたFe)、Coの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCo)、Niの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたNi)、Cuの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたCu)、Znの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたZn)、Nbの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたNb)、Moの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたMo)、Agの微粉体(粉状に加工(微粉砕)されたAg)は、それらの粒径が10μm〜200μmの範囲にある。
【0046】
遷移金属微粉体混合物50(アロイ成形物52)では、選択された少なくとも3種類の遷移金属48の仕事関数(物質から電子を取り出すのに必要なエネルギー)の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属48の中から少なくとも3種類の遷移金属48が選択されている。Tiの仕事関数は、4.14(eV)、Crの仕事関数は、4.5(eV)、Mnの仕事関数は、4.1(eV)、Feの仕事関数は、4.67(eV)、Coの仕事関数は、5.0(eV)、Niの仕事関数は、5.22(eV)、Cuの仕事関数は、5.10(eV)、Znの仕事関数は、3.63(eV)、Nbの仕事関数は、4.01(eV)、Moの仕事関数は、4.45(eV)、Agの仕事関数は、4.31(eV)である。なお、白金の仕事関数は、5.65(eV)である。
【0047】
遷移金属微粉体混合物50の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたNi(ニッケル)の微粉体を主成分とし、Niの微粉体とNiを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の少なくとも2種類の遷移金属48(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の遷移金属微粉体49とを均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50である。
【0048】
主成分となるNi(ニッケル)の微粉体とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49とを混合した遷移金属微粉体混合物50は、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属48の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属48の中からNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49が選択されている。
【0049】
Niの微粉体を主成分としたアロイ成形物52では、選択された遷移金属48のうちの少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49が遷移金属微粉体混合物50の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属48の遷移金属微粉体49をバインダーとしてそれら遷移金属48の遷移金属微粉体49が接合されている。なお、Niを主成分としたアロイ成形物52を微粉砕して作られたアロイ微粉体53は、Niの微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物53を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0050】
Ni(ニッケル)の微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物50では、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するNiの微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Niの微粉体を除く1種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Fe(鉄)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Cu(銅)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物50の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Niの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Fe(鉄)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Cu(銅)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの他の少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物50の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。
【0051】
Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ成形物52の具体例としては、Niの微粉体、Cuの微粉体、ZNの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成したアロイ成形物52である。また、Niを主成分としたアロイ微粉体52(Niを主成分とした合金微粉体)の具体例としては、Niの微粉体、Cuの微粉体、ZNの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0052】
このアロイ成形物52(アロイ微粉体)は、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するNiの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するCuの微粉体の重量比が42%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するZnの微粉体の重量比が10%である。Niの融点が1455℃、Cuの融点が1084.5℃、Znの融点が419.85℃であるから、Znの微粉体及びCuの微粉体が溶融し、溶融したZn及びCuの微粉体がバインダーとなってNiの微粉体を接合している。
【0053】
Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ成形物の他の具体例としては、Niの微粉体、Mnの微粉体、Moの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成したアロイ成形物52である。また、Niを主成分としたアロイ微粉体52(Niを主成分とした合金微粉体)の他の具体例としては、Niの微粉体、Mnの微粉体、Moの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0054】
このアロイ成形物52(アロイ微粉体)は、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するNiの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するMnの微粉体の重量比が7%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するMoの微粉体の重量比が45%である。Niの融点が1455℃、Mnの融点が1246℃、Moの融点が2623℃であるから、Mnの微粉体及びNiの微粉体が溶融し、溶融したMn及びNiの微粉体がバインダーとなってMoの微粉体を接合している。
【0055】
遷移金属微粉体混合物50の他の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたFe(鉄)の微粉体を主成分とし、Feの微粉体とFeを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の少なくとも2種類の遷移金属48(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のCu(銅)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の遷移金属微粉体49とを均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50である。
【0056】
主成分となるFe(鉄)の微粉体とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49とを混合した遷移金属微粉体混合物50は、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属48の中からFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49が選択されている。
【0057】
Feの微粉体を主成分としたアロイ成形物52では、選択された遷移金属48のうちの少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49が遷移金属微粉体混合物49の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属48の遷移金属微粉体49をバインダーとしてそれら遷移金属48の遷移金属微粉体49が接合されている。なお、Feを主成分としたアロイ成形物52を微粉砕して作られたアロイ微粉体53は、Feの微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物52を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0058】
Fe(鉄)の微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物50では、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するFeの微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Feの微粉体を除く1種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Ni(ニッケル)微粉体、Cu(銅)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物50の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Feの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Ni(ニッケル)微粉体、Cu(銅)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの他の少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物50の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。
【0059】
Fe(鉄)を主成分としたアロイ成形物52の具体例としては、Feの微粉体、Niの微粉体、Cuの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成したアロイ成形物52である。また、Fe(鉄)を主成分としたアロイ微粉体52(Feを主成分とした合金微粉体)の具体例としては、Feの微粉体、Niの微粉体、Cuの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0060】
このアロイ成形物52(アロイ微粉体)は、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するFeの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するNiの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するCuの微粉体の重量比が4%である。Feの融点が1536℃、Niの融点が1455℃、Cuの融点が1084.5℃であるから、Cuの微粉体及びNiの微粉体が溶融し、溶融したCu及びNiの微粉体がバインダーとなってFeの微粉体を接合している。
【0061】
Fe(鉄)を主成分としたアロイ成形物52の他の具体例としては、Feの微粉体、Tiの微粉体、Agの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成したアロイ成形物52である。また、Feを主成分としたアロイ微粉体53(Feを主成分とした合金微粉体)の他の具体例としては、Feの微粉体、Tiの微粉体、Agの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0062】
このアロイ成形物52(アロイ微粉体)は、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するFeの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するTiの微粉体の重量比が46%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するAgの微粉体の重量比が6%である。Feの融点が1536℃、Tiの融点が1666℃、Agの融点が961.93℃であるから、Agの微粉体及びFeの微粉体が溶融し、溶融したAg及びFeの微粉体がバインダーとなってTiの微粉体を接合している。
【0063】
遷移金属微粉体混合物50の他の一例としては、粉状に加工(微粉砕)されたCu(銅)の微粉体を主成分とし、Cuの微粉体とCuを除く粉状に加工(微粉砕)されたその他の少なくとも2種類の遷移金属48(粉状のTi(チタン)、粉状のCr(クロム)、粉状のMn(マンガン)、粉状のFe(鉄)、粉状のCo(コバルト)、粉状のNi(ニッケル)、粉状のZn(亜鉛)、粉状のNb(ニオブ)、粉状のMo(モリブデン)、粉状のAg(銀)のうちの少なくとも2種類)の遷移金属微粉体49とを均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50である。
【0064】
主成分となるCu(銅)の微粉体とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49とを混合した遷移金属微粉体混合物50は、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属48の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属48の中からCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49が選択されている。
【0065】
Cuの微粉体を主成分としたアロイ成形物52では、選択された遷移金属48のうちの少なくとも2種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49が遷移金属微粉体混合物50の焼成時に溶融し、溶融した遷移金属48の遷移金属微粉体49をバインダーとしてそれら遷移金属48の遷移金属微粉体49が接合されている。なお、Cuを主成分としたアロイ成形物52を微粉砕して作られたアロイ微粉体53は、Cuの微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成することから作られたアロイ成形物53を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0066】
Cu(銅)の微粉体を主成分とした遷移金属微粉体混合物50では、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するCuの微粉体の重量比が30%〜50%の範囲にあり、Cuの微粉体を除く1種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Fe(鉄)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Ni(ニッケル)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物50の全重量に対する重量比が20%〜50%の範囲にあり、Cuの微粉体を除く他の少なくとも1種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49(Ti(チタン)微粉体、Cr(クロム)微粉体、Mn(マンガン)微粉体、Fe(鉄)微粉体、Co(コバルト)微粉体、Ni(ニッケル)微粉体、Zn(亜鉛)微粉体、Nb(ニオブ)微粉体、Mo(モリブデン)微粉体、Ag(銀)微粉体のうちの他の少なくとも1種類)の遷移金属微粉体混合物50の全重量に対する重量比が3%〜20%の範囲にある。
【0067】
Cu(銅)を主成分としたアロイ成形物52の具体例としては、Cuの微粉体、Feの微粉体、Znの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成したアロイ成形物52である。また、Cu(銅)を主成分としたアロイ微粉体53(Cuを主成分とした合金微粉体)の具体例としては、Cuの微粉体、Feの微粉体、Znの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0068】
このアロイ成形物52(アロイ微粉体53)は、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するCuの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するFeの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するZnの微粉体の重量比が4%である。Cuの融点が1084.5℃、Feの融点が1536℃、Znの融点が419.58℃であるから、Znの微粉体及びCuの微粉体が溶融し、溶融したZn及びCuの微粉体がバインダーとなってFeの微粉体を接合している。
【0069】
Cu(銅)を主成分としたアロイ成形物52の他の具体例としては、Cuの微粉体、Feの微粉体、Agの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成したアロイ成形物52である。また、Cuを主成分としたアロイ微粉体53(Cuを主成分とした合金微粉体)の他の具体例としては、Cuの微粉体、Feの微粉体、Agの微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕した粒径が10μm〜200μmの微粉砕物である。
【0070】
このアロイ成形物52(アロイ微粉体53)は、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するCuの微粉体の重量比が48%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するFeの微粉体の重量比が46%、遷移金属微粉体混合物50の全重量に対するAgの微粉体の重量比が6%である。Cuの融点が1084.5℃、Feの融点が1536℃、Agの融点が961.93℃であるから、Agの微粉体及びCuの微粉体が溶融し、溶融したAg及びCuの微粉体がバインダーとなってFeの微粉体を接合している。
【0071】
金属電極薄板13は、前面及び後面を有するとともに、所定面積及び0.02〜0.2mmの厚み寸法を有する。金属電極薄板13は、導電性の金属(銀や銅、鉄、又は、導電性の合金)を薄板状に成形したものであり、その平面形状が四角形に成形されている。金属電極薄板13には、気体や液体が通流する微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成されている。なお、金属電極薄板13の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、円形や楕円形、多角形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
【0072】
カーボン電極薄板14は、前面及び後面を有するとともに、所定面積及び0.02〜0.2mmの厚み寸法を有し、その平面形状が四角形に成形されている。カーボン電極薄板14には、気体や液体が通流する微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成されている。なお、カーボン電極板14の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、円形や楕円形、多角形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
【0073】
カーボン電極薄板14の一例としては、数μm〜数10μmのカーボングラファイト(黒鉛)粉末と導電性バインダー(導電性結合材)とを冷間静水圧プレスによって成形した後、約3000℃で黒鉛化したシート状の電極材を使用する。カーボン電極薄板14の他の一例としては、数μm〜数10μmのカーボングラファイト(黒鉛)粉末と導電性バインダー(導電性結合材)とを押出型から押し出し成形した後、約3000℃で黒鉛化したシート状の電極材を使用する。カーボン電極薄板14としては、ガラス状カーボンを使用することもできる。
【0074】
カーボンナノチューブ15の凝集体17は、微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成された金属電極薄板13の両面(前後面)に固着(成長)し、又は、微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成されたカーボン電極薄板14の両面(前後面)に固着(成長)している。カーボンナノチューブ15の表面には、
図3に示すように、アロイ成形物のアロイ微粒子19(アロイ成形物を蒸発させたアロイ微粒子19)又はアロイ成形物を微粉砕したアロイ微粉体のアロイ微粒子19(アロイ微粉体を蒸発させたアロイ微粒子19)が満遍なく均一に分散した状態で担持されている。アロイ微粒子19を担持したカーボンナノチューブ15には、気体や液体が通流する多数の微細な開口が形成されている。
【0075】
カーボンナノホーン16の凝集体18は、微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成された金属電極薄板13の両面(前後面)に固着(成長)し、又は、微細な多数の流路(微細貫通孔)が形成されたカーボン電極薄板14の両面(前後面)に固着(成長)している。カーボンナノホーン16の表面には、
図4に示すように、アロイ成形物のアロイ微粒子19(アロイ成形物を蒸発させたアロイ微粒子19)又はアロイ成形物を微粉砕したアロイ微粉体のアロイ微粒子19(アロイ微粉体を蒸発させたアロイ微粒子19)が満遍なく均一に分散した状態で担持されている。アロイ微粒子19を担持したカーボンナノホーン16には、気体や液体が通流する多数の微細な開口が形成されている。
【0076】
カーボンナノチューブ電極10A(カーボンナノチューブ15の凝集体17)又はカーボンナノホーン電極10A(カーボンナノホーン16の凝集体18)は、その厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にある。カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aの厚み寸法L1が0.03mm未満では、その強度が低下し、衝撃が加えられたときに電極10Aが容易に破損又は損壊し、その形状を維持することができない場合がある。カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aの厚み寸法L1が0.3mmを超過すると、電極10Aの電気抵抗が大きくなり、電極10Aに電流がスムースに流れず、電極10Aが燃料電池24に使用されたときに燃料電池24において十分な電気を発電することができず、燃料電池24に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができない。また、電極10Aが水素ガス発生装置37に使用されたときに電気分解を効率よく行うことができず、水素ガス発生装置37において短時間に多量の水素ガスを発生させることができない。
【0077】
カーボンナノチューブ電極10A(カーボンナノチューブ15の凝集体17)又はカーボンナノホーン電極10A(カーボンナノホーン16の凝集体18)は、その厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にあるから、電極10Aが高い強度を有してその形状を維持することができ、電極10Aに衝撃が加えられたときの電極10Aの破損や損壊を防ぐことができる。さらに、厚み寸法L1を前記範囲にすることで、カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aの電気抵抗を小さくすることができ、電極10Aに電流がスムースに流れ、電極10Aが燃料電池24に使用されたときに燃料電池24において十分な電気を発電することができ、燃料電池24に接続された負荷36に十分な電気エネルギーを供給することができる。また、電極10Aが水素ガス発生装置37に使用されたときに電気分解を効率よく行うことができ、水素ガス発生装置37において短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。
【0078】
図5は、他の一例として示すカーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bの部分拡大正面図であり、
図6は、アロイ微粒子19を担持した他の一例として示すカーボンナノチューブ15の概念図である。
図7は、アロイ微粒子19を担持した他の一例として示すカーボンナノホーン16の概念図である。
【0079】
図5に示すカーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bが
図2の電極10Aと異なるところは、カーボンナノチューブ15の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子19によってアロイ微粒子積層ポーラス構造20がカーボンナノチューブ15の表面に形成されている点、カーボンナノホーン16の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子19によってアロイ微粒子積層ポーラス構造20がカーボンナノホーン16の表面に形成されている点にあり、その他の構成は
図2のカーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aのそれらと同一であるから、
図2と同一の符号を付すとともに、
図2の電極10Aの説明を援用することで、この電極10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
【0080】
カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bは、
図2の電極10Aと同様に、アノード(陽極)又はカソード(陰極)として使用され、燃料電池24の電極10B(触媒)(
図10参照)や水素ガス発生装置37の電極10B(触媒)(
図13参照)として利用される。カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bは、前面11及び後面12を有するとともに、所定の面積及び所定の厚み寸法L1を有し、その平面形状が四角形に成形されている。
【0081】
カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bは、アロイ成形物52(合金成形物)のアロイ微粒子19(合金微粒子)と、所定面積の金属電極薄板13又は所定面積のカーボン電極薄板14と、所定面積のカーボンナノチューブ15の凝集体17(凝集板)又は所定面積のカーボンナノホーン16の凝集体18(凝集板)とから形成されている。なお、カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bがアロイ成形物52を微粉砕した粒径が10μm〜200μmのアロイ微粉体53(合金微粉体)のアロイ微粒子19(合金微粒子)と、所定面積の金属電極薄板13又は所定面積のカーボン電極薄板14と、所定面積のカーボンナノチューブ15の凝集体17(凝集板)又は所定面積のカーボンナノホーン16の凝集体18(凝集板)とから形成される場合がある。
【0082】
カーボンナノチューブ15の凝集体17は、厚み寸法が0.02〜0.2mmであって微細な多数の流路(微細孔)が形成された金属電極薄板13の両面(前後面)に固着し、又は、厚み寸法が0.02〜0.2mmであって微細な多数の流路(微細孔)が形成されたカーボン電極薄板14の両面(前後面)に固着している。カーボンナノチューブ15の表面には、
図6に示すように、アロイ成形物52のアロイ微粒子19(アロイ成形物52を蒸発させたアロイ微粒子19)又はアロイ成形物52を微粉砕したアロイ微粉体53のアロイ微粒子19(アロイ微粉体53を蒸発させたアロイ微粒子19)が担持され、カーボンナノチューブ15の表面から外側へ向かって重なり合うそれらアロイ微粒子19によってアロイ微粒子積層ポーラス構造20が形成されている。
【0083】
カーボンナノホーン16の凝集体18は、厚み寸法が0.02〜0.2mmであって微細な多数の流路(微細孔)が形成された金属電極薄板13の両面(前後面)に固着し、又は、厚み寸法が0.02〜0.2mmであって微細な多数の流路(微細孔)が形成されたカーボン電極薄板14の両面(前後面)に固着している。カーボンナノホーン16の表面には、
図7に示すように、アロイ成形物52のアロイ微粒子19(アロイ成形物52を蒸発させたアロイ微粒子19)又はアロイ成形物52を微粉砕したアロイ微粉体53のアロイ微粒子19(アロイ微粉体53を蒸発させたアロイ微粒子19)が担持され、カーボンナノホーン16の表面から外側へ向かって重なり合うそれらアロイ微粒子19によってアロイ微粒子積層ポーラス構造20が形成されている。
【0084】
アロイ微粉体53(合金微粉体)は、アロイ成形物52(合金成形物)を微粉砕することから作られている。アロイ成形物52は、粉状に加工(微粉砕)された各種の遷移金属48から選択された少なくとも3種類の遷移金属微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した後に焼成(焼結)することから作られている。遷移金属48や遷移金属微粉体混合物50、アロイ成形物52、アロイ微粉体53は、
図2の電極10Aのそれらと同一である。遷移金属微粉体49の粒径やアロイ微粉体53の粒径、電極10Bの厚み寸法L1は、
図2の電極10Aのそれらと同一である。
【0085】
アロイ微粒子積層ポーラス構造20には、径が異なる多数の微細な流路21(通路孔)が形成されている。それら流路21(通路孔)には、気体(水素ガスや酸素ガス)または液体(水)が通流する。それら流路21(通路孔)は、カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bの前面11の側に開口する複数の通流口22と電極10Bの後面12の側に開口する複数の通流口22とを有し、カーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16に向かってアロイ微粒子積層ポーラス構造20を貫通している。それら流路21は、アロイ微粒子積層ポーラス構造20の様々な方向(厚み方向や縦横方向)へ不規則に曲折しながら延びている。それら流路21は、アロイ微粒子積層ポーラス構造20の内部において部分的につながり、一方の流路21と他方の流路21とが互いに連通している。それら流路21(通路孔)の開口面積(開口径)は、アロイ微粒子積層ポーラス構造20の内部において一様ではなく、不規則に変化している。
【0086】
アロイ微粒子積層ポーラス構造20は、その空隙率が15%〜30%の範囲にあり、その相対密度が70%〜85%の範囲にある。アロイ微粒子積層ポーラス構造20の空隙率が15%未満であって相対密度が85%を超過すると、アロイ微粒子積層ポーラス構造20に多数の微細な流路21(通路孔)が形成されず、アロイ微粒子積層ポーラス構造20の比表面積を大きくすることができない。アロイ微粒子積層ポーラス構造20の空隙率が30%を超過し、相対密度が70%未満では、流路21(通路孔)の開口面積(開口径)が必要以上に大きくなり、アロイ微粒子積層ポーラス構造20の強度が低下し、衝撃が加えられたときにアロイ微粒子積層ポーラス構造20が容易に破損又は損壊し、その形態を維持することができない場合がある。
【0087】
アロイ微粒子積層ポーラス構造20は、その空隙率及び相対密度が前記範囲にあるから、アロイ微粒子積層ポーラス構造20が開口面積(開口径)の異なる多数の微細な流路21(通路孔)を有し、アロイ微粒子積層ポーラス構造20の比表面積を大きくすることができ、それら流路21(通路孔)を気体や液体が通流しつつ気体や液体をアロイ微粒子積層ポーラス構造20の接触面(アロイ微粒子19(合金微粒子)の表面)に広く接触させることができる。
【0088】
図8は、カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bを使用したセル23の一例を示す分解斜視図であり、
図9は、カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bを使用したセル23の側面図である。
図10は、カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bを使用した燃料電池(固体高分子形燃料電池)の発電を説明する図であり、
図11は、カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bの起電圧試験の結果を示す図である。
図12は、カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10BのI−V特性試験の結果を示す図である。
【0089】
カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bを使用したセル23の一例としては、
図8に示すように、電極10A,10Bを使用した燃料極25(アノード)と、電極10A,10Bを使用した空気極26(カソード)と、燃料極25及び空気極26の間に介在する固体高分子電解質膜27(電極接合体膜)(スルホン酸基を有するフッ素系イオン交換膜)と、燃料極25の厚み方向外側に位置するセパレータ28(バイポーラプレート)と、空気極26の厚み方向外側に位置するセパレータ29(バイポーラプレート)とから形成されている。それらセパレータ28,29には、反応ガス(水素や酸素等)の供給流路が刻設されている(彫り込まれている)。
【0090】
セル23では、
図9に示すように、燃料極25や空気極26、固体高分子電解質膜27が厚み方向へ重なり合って一体化し、膜/電極接合体30(Membrane Electrode Assembly, MEA)を構成し、膜/電極接合体30をそれらセパレータ28,29が挟み込んでいる。固体高分子電解質膜27と燃料極25(カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10B)及び空気極26(カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10B)とは、ホットプレスによって積層され、固体高分子電解質膜と27カーボンナノホーン15の凝集体17(アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20)又はカーボンナノホーン16の凝集体18(アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20)とが隙間なく重なり合い、カーボンナノホーン15の凝集体17(アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20)又はカーボンナノホーン16の凝集体18(アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20)とが隙間なく密着している。燃料電池24(固体高分子形燃料電池)では、複数のセル23(単セル)が一方向へ重なり合い、それらセル23が直列につながれてセルスタック(燃料電池スタック)を形成する。
【0091】
固体高分子電解質膜27(電極接合体膜)は、プロトン導電性があり、電子導電性がない。燃料極25とセパレータ28との間には、ガス拡散層31が形成され、空気極26とセパレータ29との間には、ガス拡散層32が形成されている。燃料極25とセパレータ28との間であってガス拡散層31の上部及び下部には、ガスシール33が設置されている。空気極26とセパレータ29との間であってガス拡散層32の上部及び下部には、ガスシール34が設置されている。
【0092】
燃料電池24(固体高分子形燃料電池)では、
図10に示すように、燃料極25(カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10B)に水素(燃料)が供給され、空気極26(カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10B)に空気(酸素)が供給される。燃料極25では、水素がH
2→2H
++2e
−の反応(触媒作用)によってプロトン(水素イオン、H
+)と電子とに分解される。その後、プロトンが固体高分子電解質膜27内を通って空気極26に移動し、電子が導線35内を通って空気極26に移動する。固体高分子電解質膜27には、燃料極25で生成されたプロトンが通流する。空気極26では、固体高分子電解質膜27から移動したプロトンと導線35を移動した電子とが空気中の酸素と反応し、4H
++O
2+4e→2H
2Oの反応によって水が生成される。
【0093】
少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択され、選択された少なくとも3種類の遷移金属から作られたアロイ成形物のアロイ微粒子19がカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面に担持され又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20がカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面に形成され、又は、アロイ成形物を微粉砕したアロイ微粉体のアロイ微粒子がカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面に担持され又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20がカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面に形成され、アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20が燃料極25(電極10A又は電極10B)や空気極26(電極10A又は電極10B)を構成するから、燃料極25や空気極26が優れた触媒活性(触媒作用)を示し、水素がプロトンと電子とに効率よく分解される。
【0094】
起電圧試験では、水素ガスを注入してから15分の間、燃料極25と空気極26との間(電極10Aの間や電極10Bの間)の電圧(V)を測定した。
図11の起電圧試験の結果を示す図では、横軸に測定時間(min)を表し、縦軸に電極間の電圧(V)を表す。白金族元素を利用した(担持させた)電極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池では、起電圧試験の結果を示す
図11から分かるように、燃料極と空気極との間の電圧が1.079(V)前後であった。それに対し、燃料極25(白金レスの電極10A,10B)及び空気極26(白金レスの電極10A,10B)を使用した固体高分子形燃料電池24では、燃料極25と空気極26との間の電圧(起電力)が1.04(V)〜1.03(V)であった。
【0095】
I−V特性試験では、燃料極25と空気極26との間(電極10Aの間や電極10Bの間)に負荷36を接続し、電圧と電流との関係を測定した。
図12のI−V特性試験の結果を示す図では、横軸に電流(A)を表し、縦軸に電圧(V)を表す。燃料極25(白金レスの電極10A,10B)及び空気極26(白金レスの電極10A,10B)を使用した固体高分子形燃料電池24では、I−V特性試験の結果を示す
図12から分かるように、白金族元素を利用した(担持させた)電極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池の電圧降下率と大差のない結果が得られた。
図11の起電圧試験の結果や
図12のI−V特性試験の結果に示すように、白金族元素を利用していない白金レスの燃料極25及び空気極26が電子を放出させて水素イオンとなる反応を促進させる優れた触媒作用を有するとともに、白金を利用した電極と略同様の酸素還元機能(触媒作用)を有することが確認された。
【0096】
図13は、カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bを使用した水素ガス発生装置37の電気分解を説明する図である。カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bを使用した水素ガス発生装置37の一例は、
図13に示すように、電極10A又は電極10Bを使用した陽極38(アノード)と、電極10A又は電極10Bを使用した陰極39(カソード)と、陽極38及び陰極39の間に介在する固体高分子電解質膜40(電極接合体膜)(スルホン酸基を有するフッ素 系イオン交換膜)と、陽極給電部材41及び陰極給電部材42と、陽極用貯水槽43及び陰極用貯水槽44と、陽極主電極45及び陰極主電極46とから形成されている。水素ガス発生装置37は、陽極38及び陰極39に電気を通電し、陽極38で酸化反応を起こすとともに陰極39で還元反応を起こすことで水を化学分解する。
【0097】
水素ガス発生装置37では、陽極38や陰極39、固体高分子電解質膜40が厚み方向へ重なり合って一体化し、膜/電極接合体47 (Membrane Electrode Assembly, MEA)を構成し、膜/電極接合体47を陽極給電部材41と陰極給電部材42とが挟み込んでいる。固体高分子電解質膜40と陽極38(カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10B)及び陰極39(カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10B)とは、ホットプレスによって積層され、固体高分子電解質膜40とカーボンナノチューブ15の凝集体17(アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20)又はカーボンナノホーン16の凝集体18(アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20)とが隙間なく重なり合い、カーボンナノチューブ15の凝集体17(アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20)又はカーボンナノホーン16の凝集体18(アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20)とが隙間なく密着している。
【0098】
陽極給電部材41は、陽極38の外側に位置して陽極38に密着し、陽極38に+の電流を給電する。陽極用貯水槽43は、陽極給電部材41の外側に位置して陽極給電部材41に密着している。陽極主電極45は、陽極用貯水槽43の外側に位置して陽極給電部材41に+の電流を給電する。陰極給電部材42は、陰極39の外側に位置して陰極39に密着し、陰極39に−の電流を給電する。陰極用貯水槽44は、陰極給電部材42の外側に位置して陰極給電部材42に密着している。陰極主電極46は、陰極用貯水槽44の外側に位置して陰極給電部材42に−の電流を給電する。
【0099】
水素ガス発生装置37における水の電気分解では、
図13に矢印に示すように、陽極用貯水槽43及び陰極用貯水槽44に水(H
2O)が給水され、陽極主電極45に電源から+の電流が給電されるとともに、陰極主電極46に電源から−の電流が給電される。陽極主電極45に給電された+の電流が陽極給電部材41から陽極38(アノード)に給電され、陰極主電極46に給電された−の電流が陰極給電部材42から陰極39(カソード)に給電される。
【0100】
陽極38(カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10B)では、2H
2O→4H
++4e
−+O
2の陽極反応(触媒作用)によって酸素が生成され、陰極39(カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10B)では、4H
++4e
−→2H
2の陰極反応(触媒作用)によって水素が生成される。プロトン(水素イオン:H
+)は、固体高分子電解質膜40内を通って陽極38から陰極39に移動する。固体高分子電解質膜40には、陽極38で生成されたプロトンが通流する。
【0101】
少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択され、選択された少なくとも3種類の遷移金属から作られたアロイ成形物のアロイ微粒子19がカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面に担持され又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20がカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面に形成され、又は、アロイ成形物を微粉砕したアロイ微粉体のアロイ微粒子19がカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面に担持され又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20がカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面に形成され、アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20が陽極38(電極10A又は電極10B)や陰極39(電極10A又は電極10B)を構成するから、陽極38や陰極39が優れた触媒活性(触媒作用)を示し、水素ガス発生装置37において効率よく電気分解が行われ、短時間に多量の水素ガスが発生する。
【0102】
カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aは、それが各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物を圧縮した後に焼成したアロイ成形物(又はアロイ成形物を微粉砕したアロイ微粉体)のアロイ微粒子19と、金属電極薄板13又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)に固着したカーボンナノチューブ15の凝集体17又はカーボンナノホーン16の凝集体18とから形成され、選択された少なくとも3種類の遷移金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中から少なくとも3種類の遷移金属が選択され、アロイ成形物のアロイ微粒子19がカーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面に担持されているから、アロイ微粒子19を有するカーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aが白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池24や水素ガス発生装置37の電極10Aとして好適に使用することができる。
【0103】
カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aは、カーボンナノチューブ15の凝集体17又はカーボンナノホーン16の凝集体18にアロイ微粒子19が担持された電極10Aが白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極10Aを燃料電池24に使用することで、燃料電池24において十分な電気を発電することができ、燃料電池24に接続された負荷36に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極10Aを水素ガス発生装置37に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、水素ガス発生装置37において短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aは、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)が各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体から形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極10Aを廉価に作ることができる。
【0104】
カーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子19によってアロイ微粒子積層ポーラス構造20がカーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面に形成されているカーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bは、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成することで、アロイ微粒子19の比表面積を大きくすることができ、アロイ微粒子19の触媒作用を十分に利用することができるとともに、アロイ微粒子積層ポーラス構造20を有するカーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bが白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池24や水素ガス発生装置37の電極として好適に使用することができる。
【0105】
カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bは、カーボンナノチューブ15の凝集体17又はカーボンナノホーン16の凝集体18にアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成した電極10Bが白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極10Bを燃料電池24に使用することで、燃料電池24において十分な電気を発電することができ、燃料電池24に接続された負荷36に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極10Bを水素ガス発生装置37に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、水素ガス発生装置37において短時間に多量の水素ガスを発生させることができる。カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bは、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)が各種の遷移金属から選択された少なくとも3種類の遷移金属の遷移金属微粉体から形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極10Bを廉価に作ることができる。
【0106】
遷移金属微粉体混合物(アロイ微粉体19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)がNi(ニッケル)の微粉体を主成分としたカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、Niの仕事関数とNiを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているから、アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20を有するカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bが白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池24や水素ガス発生装置37の電極として好適に使用することができる。
【0107】
遷移金属微粉体混合物(アロイ微粉体19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)がNi(ニッケル)の微粉体を主成分としたカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極10A,10Bを燃料電池24に使用することで、燃料電池24において十分な電気を発電することができ、燃料電池24に接続された負荷36に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極10A,10Bを水素ガス発生装置37に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、水素ガス発生装置37において多量の水素ガスを発生させることができる。カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)がNiの微粉体と各種の遷移金属から選択されたNiの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体とから形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極10A,10Bを廉価に作ることができる。
【0108】
遷移金属微粉体混合物(アロイ微粉体19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)がFe(鉄)の微粉体を主成分としたカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、Feの仕事関数とFeを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているから、アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20を有するカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bが白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池24や水素ガス発生装置37の電極として好適に使用することができる。
【0109】
遷移金属微粉体混合物(アロイ微粉体19やアロイ微粒子積層ポーラス構造29)がFe(鉄)の微粉体を主成分としたカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極10A,10Bを燃料電池24に使用することで、燃料電池24において十分な電気を発電することができ、燃料電池24に接続された負荷36に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極10A,10Bを水素ガス発生装置37に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、水素ガス発生装置37において多量の水素ガスを発生させることができる。カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)がFeの微粉体と各種の遷移金属から選択されたFeの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体とから形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極10A,10Bを廉価に作ることができる。
【0110】
遷移金属微粉体混合物(アロイ微粉体19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)がCu(銅)の微粉体を主成分としたカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、Cuの仕事関数とCuを除く他の少なくとも2種類の遷移金属の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属の中からCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体が選択されているから、アロイ微粒子19又はアロイ微粒子積層ポーラス構造20を有するカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bが白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、燃料電池25や水素ガス発生装置37の電極として好適に使用することができる。
【0111】
遷移金属微粉体混合物(アロイ微粉体19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)がCu(銅)の微粉体を主成分としたカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、電極10A,10Bを燃料電池24に使用することで、燃料電池24において十分な電気を発電することができ、燃料電池24に接続された負荷36に十分な電気エネルギーを供給することができるとともに、電極10A,10Bを水素ガス発生装置37に使用することで、電気分解を効率よく行うことができ、水素ガス発生装置37において多量の水素ガスを発生させることができる。カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bは、遷移金属微粉体混合物(アロイ成形物)がCuの微粉体と各種の遷移金属から選択されたCuの微粉体を除く他の少なくとも2種類の遷移金属の遷移金属微粉体とから形成され、高価な白金族元素が利用されていない白金レスであり、電極10A,10Bを廉価に作ることができる。
【0112】
図14は、カーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bの製造方法を説明する図である。電極10A,10Bは、
図14に示すように、遷移金属選択工程S1、遷移金属微粉体混合物作成工程S2、遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3、アロイ成形物作成工程S4、アロイ微粒子担持工程S5を有する電極製造方法によって製造される。なお、アロイ成形物作成工程S4とアロイ微粒子担持工程S5との間にアロイ微粉体作成工程S6が行われる場合がある。
【0113】
遷移金属選択工程S1では、各種の遷移金属48から選択する少なくとも3種類の遷移金属48の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属48の中から少なくとも3種類の遷移金属48(Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ag(銀))を選択する。
【0114】
遷移金属選択工程S1において、既述のように、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体混合物50(アロイ微粒子19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)では、Cu(銅)及びZN(亜鉛)を選択し、又は、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)を選択する。Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体混合物50(アロイ微粒子19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)では、Ni(ニッケル)及びCu(銅)を選択し、又は、Ti(チタン)及びAg(銀)を選択する。Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体混合物50(アロイ微粒子19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)では、Fe(鉄)及びZn(亜鉛)を選択し、又は、Fe(鉄)及びAg(銀)を選択する。
【0115】
遷移金属微粉体混合物作成工程S2では、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属48の遷移金属微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を作る。遷移金属微粉体混合物作成工程S2において、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体混合物50(アロイ微粒子19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたNi、Cu(銅)、ZN(亜鉛)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してNiの微粉体49、Cuの微粉体49、Znの微粉体49を作成する。次に、Niの微粉体49やCuの微粉体49、Znの微粉体49を混合機に投入して混合機によってNiの微粉体49、Cuの微粉体49、Znの微粉体49を攪拌・混合し、Niの微粉体49、Cuの微粉体49、Znの微粉体49が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を作る。
【0116】
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたNi(ニッケル)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してNiの微粉体49、Mnの微粉体49、Moの微粉体49を作成する。次に、Niの微粉体49やMnの微粉体49、Moの微粉体49を混合機に投入して混合機によってNiの微粉体49、Mnの微粉体49、Moの微粉体49を攪拌・混合し、Niの微粉体49、Mnの微粉体49、Moの微粉体49が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を作る。
【0117】
遷移金属微粉体混合物作成工程S2において、Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体混合物50(アロイ微粒子19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたFe、Ni(ニッケル)、Cu(銅)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してFeの微粉体49、Niの微粉体49、Cuの微粉体49を作成する。次に、Feの微粉体49やNiの微粉体49、Cuの微粉体49を混合機に投入して混合機によってFeの微粉体48、Niの微粉体49、Cuの微粉体49を攪拌・混合し、Feの微粉体49、Niの微粉体49、Cuの微粉体49が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を作る。
【0118】
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたFe(鉄)、Ti(チタン)、Ag(銀)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してFeの微粉体49、Tiの微粉体49、Agの微粉体49を作成する。次に、Feの微粉体49やTiの微粉体49、Agの微粉体49を混合機に投入して混合機によってFeの微粉体49、Tiの微粉体49、Agの微粉体49を攪拌・混合し、Feの微粉体49、Tiの微粉体49、Agの微粉体49が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を作る。
【0119】
遷移金属微粉体混合物作成工程S2において、Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体混合物50(アロイ微粒子19やアロイ微粒子積層ポーラス構造20)では、遷移金属選択工程S1によって選択されたCu、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してCuの微粉体49、Feの微粉体49、Znの微粉体49を作成する。次に、Cuの微粉体49やFeの微粉体49、Znの微粉体49を混合機に投入して混合機によってCuの微粉体49、Feの微粉体49、Znの微粉体49を攪拌・混合し、Cuの微粉体49、Feの微粉体49、Znの微粉体49が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を作る。
【0120】
又は、遷移金属選択工程S1によって選択されたCu(銅)、Fe(鉄)、Ag(銀)のそれぞれを微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してCuの微粉体49、Feの微粉体49、Agの微粉体49を作成する。次に、Cuの微粉体49やFeの微粉体49、Agの微粉体49を混合機に投入して混合機によってCuの微粉体49、Feの微粉体49、Agの微粉体49を攪拌・混合し、Cuの微粉体49、Feの微粉体49、Agの微粉体49が均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を作る。
【0121】
遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3では、遷移金属微粉体混合物作成工程S2によって作られた遷移金属微粉体混合物50を所定圧力で加圧し、遷移金属微粉体混合物50を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物51を作る。遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3では、遷移金属微粉体混合物50を所定の金型に入れ、金型をプレス機によって加圧(プレス)するプレス加工によって遷移金属微粉体圧縮物51を作る。プレス加工時におけるプレス圧(圧力)は、500Mpa〜800Mpaの範囲にある。
【0122】
プレス圧(圧力)が500Mpa未満では、遷移金属微粉体混合物50を十分に圧縮することができず、所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物51を作ることができない。プレス圧(圧力)が800Mpaを超過すると、アロイ成形物作成工程S4によって作られるアロイ成形物52の硬度が必要以上に高くなり、アロイ微粒子担持工程S5においてアロイ成形物52をスムースに蒸発させることができず、アロイ微粉体作成工程S6において所期する粒径のアロイ微粉体53を作ることができない。電極製造方法は、遷移金属微粉体混合物50を前記範囲の圧力で加圧(圧縮)することで、所定硬度の遷移金属微粉体圧縮物51を作ることができ、その遷移金属微粉体圧縮物51を焼成して所定硬度のアロイ成形物52を作ることができ、アロイ成形物52をスムースに蒸発させることができるとともに、アロイ成形物52を微粉砕した所定粒径のアロイ微粉体53を作ることができる。
【0123】
遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3において、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体混合物50では、Niの微粉体49、Cu(銅)の微粉体49、ZN(亜鉛)微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物50をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物50を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物51を作る。又は、Niの微粉体49、Mn(マンガン)の微粉体49、Mo(モリブデン)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物50をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物50を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物51を作る。
【0124】
遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3において、Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体混合物で50は、Feの微粉体49、Ni(ニッケル)の微粉体49、Cu(銅)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物50をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物50を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物51を作る。又は、Feの微粉体48、Ti(チタン)の微粉体49、Ag(銀)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物50をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物50を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物51を作る。
【0125】
遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3において、Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体混合物50では、Cuの微粉体49、Fe(鉄)の微粉体49、Zn(亜鉛)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物50をプレス加工によって加圧(圧縮)して遷移金属微粉体混合物50を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物51を作る。又は、Cuの微粉体49、Fe(鉄)の微粉体49、Ag(銀)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50の所定量を金型に投入し、その遷移金属微粉体混合物50をプレス加工によって加圧して遷移金属微粉体混合物50を圧縮した所定面積及び所定厚みの遷移金属微粉体圧縮物51を作る。
【0126】
アロイ成形物作成工程S4では、遷移金属微粉体圧縮物作成工程S3によって作られた遷移金属微粉体圧縮物51を炉(蒸気過熱炉や電気炉等)に投入し、遷移金属微粉体圧縮物51を炉において所定温度で焼成(焼結)し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物52を作る。アロイ成形物作成工程S4では、遷移金属選択工程S1によって選択された少なくとも3種類の遷移金属48うちの少なくとも2種類の遷移金属48を溶融させる温度で遷移金属微粉体圧縮物51を長時間焼成する。焼成(焼結)時間は、3時間〜6時間である。アロイ成形物作成工程S4では、所定面積及び所定厚みに圧縮された遷移金属微粉体圧縮物51の焼成時において、少なくとも2種類の遷移金属48の微粉体49が溶融し、溶融した遷移金属48の微粉体49をバインダーとして他の遷移金属48の微粉体49を接合(固着)する。
【0127】
アロイ成形物作成工程S4において、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物51では、Niの微粉体49、Cu(銅)の微粉体49、ZN(亜鉛)微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物52を作る。Niの微粉体49、Cuの微粉体49、Znの微粉体49から形成されたアロイ成形物52では、Zn及びCuの微粉体49を溶融させる温度(例えば、1100℃〜1200℃)で遷移金属微粉体圧縮物51を焼成(焼結)し、溶融したZn及びCuの微粉体49によってNiの微粉体49が接合(固着)される。
【0128】
また、アロイ成形物作成工程S4において、Ni(ニッケル)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物51では、Niの微粉体49、Mn(マンガン)の微粉体49、Mo(モリブデン)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物52を作る。Niの微粉体49、Mnの微粉体49、Moの微粉体49から形成されたアロイ成形物52では、Mn及びNiの微粉体49を溶融させる温度(例えば、1460℃〜1500℃)で遷移金属微粉体圧縮物51を焼成し、溶融したMn及びNiの微粉体49によってMoの微粉体49が接合(固着)される。
【0129】
アロイ成形物作成工程S4において、Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物51では、Feの微粉体49、Ni(ニッケル)の微粉体49、Cu(銅)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物52を作る。Feの微粉体49、Niの微粉体49、Cuの微粉体49から形成されたアロイ成形物52では、Cu及びNiの微粉体49を溶融させる温度(例えば、1460℃〜1500℃)で遷移金属微粉体圧縮物51を焼成し、溶融したCu及びNiの微粉体49によってFeの微粉体49が接合(固着)される。
【0130】
また、アロイ成形物作成工程S4において、Fe(鉄)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物51では、Feの微粉体49、Ti(チタン)の微粉体49、Ag(銀)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物52を作る。Feの微粉体49、Tiの微粉体49、Agの微粉体49から形成されたアロイ成形物52では、Ag及びFeの微粉体49を溶融させる温度(例えば、1540℃〜1600℃)で遷移金属微粉体圧縮物51を焼成し、溶融したAg及びFeの微粉体49によってTiの微粉体49が接合(固着)される。
【0131】
アロイ成形物作成工程S4において、Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物51では、Cuの微粉体49、Fe(鉄)の微粉体49、Zn(亜鉛)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物52を作る。Cuの微粉体49、Feの微粉体49、Znの微粉体49から形成されたアロイ成形物52では、Zn及びCuの微粉体49を溶融させる温度(例えば、1090℃〜1200℃)で遷移金属微粉体圧縮物51を焼成し、溶融したZn及びCuの微粉体49によってFeの微粉体49が接合(固着)される。
【0132】
また、アロイ成形物作成工程S4において、Cu(銅)を主成分とした遷移金属微粉体圧縮物51では、Cuの微粉体49、Fe(鉄)の微粉体49、Ag(銀)の微粉体49を混合した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を炉において長時間焼成し、開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造のアロイ成形物52を作る。Cuの微粉体49、Feの微粉体49、Agの微粉体49から形成されたアロイ成形物52では、Ag及びCuの微粉体49を溶融させる温度(例えば、1090℃〜1200℃)で遷移金属微粉体圧縮物51を焼成し、溶融したAg及びCuの微粉体49によってFeの微粉体49が接合(固着)される。
【0133】
アロイ微粒子担持工程S5では、アロイ成形物作成工程S4によって作られたアロイ成形物52をレーザー蒸発法によって蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ成形物52のアロイ微粒子19を担持させる。アロイ微粒子19は、カーボンナノチューブ15の表面に均一に分散した状態でカーボンナノチューブ15の表面に担持され、カーボンナノホーン16の表面に均一に分散した状態でカーボンナノホーン16の表面に担持される。カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粒子19を担持させることでカーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aが作られる。アロイ微粒子担持工程S5では、カーボンナノチューブ電極10A又はカーボンナノホーン電極10Aが0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形される。
【0134】
アロイ微粒子19の担持方法としては、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成した(成長させた)後、レーザー蒸発法によってアロイ成形物52を蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ成形物52のアロイ微粒子19を担持させる場合、又は、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成すると(成長させると)同時に、レーザー蒸発法によってアロイ成形物52を蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ成形物52のアロイ微粒子19を担持させる場合がある。
【0135】
また、アロイ微粒子担持工程S5では、アロイ成形物作成工程によって作られたアロイ成形物52をレーザー蒸発法によって蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ成形物52のアロイ微粒子19を担持させつつ、カーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子19によってアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する。アロイ微粒子19は、カーボンナノチューブ15の表面に均一に分散した状態でカーボンナノチューブ15の表面に担持されて重なり合い、カーボンナノホーン16の表面に均一に分散した状態でカーボンナノホーン16の表面に担持されて重なり合ってアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する。カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面に多数のアロイ微粒子19からなるアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成することでカーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bが作られる。アロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成するアロイ微粒子担持工程S5では、カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bが0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形される。
【0136】
アロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する方法としては、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成した(成長させた)後、レーザー蒸発法によってアロイ成形物52を蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ成形物52のアロイ微粒子19を担持させてアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する場合、又は、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成すると(成長させると)同時に、レーザー蒸発法によってアロイ成形物52を蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ成形物52のアロイ微粒子19を担持させてアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する場合がある。
【0137】
なお、アロイ成形物作成工程S4とアロイ微粒子担持工程S5との間にアロイ微粉体作成工程S6が行われる場合、アロイ微粉体作成工程S6では、アロイ成形物作成工程S4によって作られたアロイ成形物52を微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕してアロイ微粉体53を作る。Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ微粉体52(Niを主成分とした合金微粉体)の一例としては、Niの微粉体49、Cuの微粉体49、ZNの微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Ni(ニッケル)を主成分としたアロイ微粉体53の他の一例としては、Niの微粉体48、Mnの微粉体49、Moの微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
【0138】
Fe(鉄)を主成分としたアロイ微粉体53(Feを主成分とした合金微粉体)の一例としては、Feの微粉体49、Niの微粉体49、Cuの微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Fe(鉄)を主成分としたアロイ微粉体53の他の一例としては、Feの微粉体49、Tiの微粉体49、Agの微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
【0139】
Cu(銅)を主成分としたアロイ微粉体53(Cuを主成分とした合金微粉体)の一例としては、Cuの微粉体49、Feの微粉体49、Znの微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。Cu(銅)を主成分としたアロイ微粉体53の他の一例としては、Cuの微粉体49、Feの微粉体49、Agの微粉体49を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を圧縮した遷移金属微粉体圧縮物51を焼成してアロイ成形物52を作り、そのアロイ成形物52を微粉砕機によって10μm〜200μmの粒径に微粉砕した微粉砕物である。
【0140】
アロイ微粉体作成工程S6の後に行われるアロイ微粒子担持工程S5では、アロイ微粉体作成工程S6によって作られたアロイ微粉体53をレーザー蒸発法によって蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粉体53のアロイ微粒子19を担持させる。アロイ微粒子19は、カーボンナノチューブ15の表面に均一に分散した状態でカーボンナノチューブ15の表面に担持され、カーボンナノホーン16の表面に均一に分散した状態でカーボンナノホーン16の表面に担持される。カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粒子19を担持させることでカーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bが作られる。アロイ微粒子担持工程S5では、カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bが0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法L1に成形される。
【0141】
アロイ微粒子19の担持方法としては、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成した(成長させた)後、レーザー蒸発法によってアロイ微粉体53を蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粉体53のアロイ微粒子19を担持させる場合、又は、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成すると(成長させると)同時に、レーザー蒸発法によってアロイ微粉体53を蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粉体53のアロイ微粒子19を担持させる場合がある。
【0142】
また、アロイ微粒子担持工程S5では、アロイ微粉体作成工程S6によって作られたアロイ微粉体53をレーザー蒸発法によって蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粉体53のアロイ微粒子19を担持させつつ、カーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面から外側へ向かって重なり合うアロイ微粒子19によってアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する。アロイ微粒子19は、カーボンナノチューブ15の表面に均一に分散した状態でカーボンナノチューブ15の表面に担持されて重なり合い、カーボンナノホーン16の表面に均一に分散した状態でカーボンナノホーン16の表面に担持されて重なり合ってアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する。カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面に多数のアロイ微粒子19からなるアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成することでカーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bが作られる。アロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成するアロイ微粒子担持工程S5では、カーボンナノチューブ電極10B又はカーボンナノホーン電極10Bが0.03mm〜0.3mmの範囲の厚み寸法に成形される。
【0143】
アロイ微粒子積層ポーラス構造を形成する方法としては、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成した(成長させた)後、レーザー蒸発法によってアロイ微粉体53を蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粉体53のアロイ微粒子19を担持させてアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する場合、又は、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にレーザー蒸発法によってカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成すると(成長させると)同時に、レーザー蒸発法によってアロイ微粉体53を蒸発させ、カーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粉体53のアロイ微粒子19を担持させてアロイ微粒子積層ポーラス構造20を形成する場合がある。
【0144】
電極製造方法は、各種の遷移金属48から選択する少なくとも3種類の遷移金属48の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、各種の遷移金属48の中から少なくとも3種類の遷移金属48を選択する遷移金属選択工程と、遷移金属選択工程によって選択された少なくとも3種類の遷移金属48の遷移金属微粉体を均一に混合・分散した遷移金属微粉体混合物50を作る遷移金属微粉体混合物作成工程と、遷移金属微粉体混合物作成工程によって作られた遷移金属微粉体混合物50を所定圧力で加圧して遷移金属微粉体圧縮物51を作る遷移金属微粉体圧縮物作成工程と、遷移金属微粉体圧縮物作成工程によって作られた遷移金属微粉体圧縮物51を所定温度で焼成してアロイ成形物52を作るアロイ成形物作成工程と、カーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16を生成し、アロイ成形物作成工程によって作られたアロイ成形物52を蒸発させてカーボンナノチューブ15の表面又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ成形物52のアロイ微粒子19を担持させるアロイ微粒子担持工程との各工程によってカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bを作ることができるから、白金族元素を利用しない白金レスの電極10A,10Bを廉価に作ることができ、触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有して燃料電池24や水素ガス発生装置37に好適に使用することが可能な白金レスの電極10A,10Bを廉価に作ることができる。
【0145】
電極製造方法は、金属電極薄板13の両面(前後面)又はカーボン電極薄板14の両面(前後面)にカーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16が固着され、カーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粒子19が担持され、又は、カーボンナノチューブ15又はカーボンナノホーン16の表面にアロイ微粒子19を積層した積層ポーラス構造20が形成された厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmのカーボンナノチューブ電極10A,10B又はカーボンナノホーン電極10A,10Bを作ることができるから、電極10A,10Bの電気抵抗を低くすることができ、電極10A,10Bに電流がスムースに流れ、燃料電池24において十分な電気を発電することが可能であって燃料電池24に接続された負荷36に十分な電気エネルギーを供給することが可能な電極10A,10Bを作ることができるとともに、水素ガス発生装置37において電気分解を効率よく行うことができ、水素ガス発生装置37において短時間に多量の水素ガスを発生させることが可能な電極10A,10Bを廉価に作ることができる。