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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-222(P2020-222A)
(43)【公開日】2020年1月9日
(54)【発明の名称】LED集魚灯
(51)【国際特許分類】
   A01K 79/00 20060101AFI20191206BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20191206BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20191206BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20191206BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20191206BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20191206BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20191206BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20191206BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20191206BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20191206BHJP
【FI】
   A01K79/00 H
   F21S2/00 642
   F21V29/503
   F21V29/76
   F21V29/83
   F21V5/00 510
   F21V3/00 510
   F21Y105:16
   F21Y113:13
   F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-80565(P2019-80565)
(22)【出願日】2019年4月19日
(31)【優先権主張番号】特願2018-132714(P2018-132714)
(32)【優先日】2018年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518134448
【氏名又は名称】株式会社KOU
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】特許業務法人フェニックス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 孝充
【テーマコード(参考)】
2B105
3K243
【Fターム(参考)】
2B105LA10
3K243MA01
(57)【要約】
【課題】放熱性能に優れ、高効率な発光が可能なLED集魚灯を提供すること。
【解決手段】一または複数のLED光源11を有する発光部1と、LED光源11を点灯させる電源部と、LED光源11を空冷する放熱部とを備えたLED集魚灯10において、放熱部は、発光部1の背面側に設けた背面放熱フィンと、発光部1の両側面側に設けた側面放熱フィン32とを備え、この側面放熱フィン32は、発光部1の正面側から背面側へ通気させる通気路33を有しており、発光部1は、その正面において全てのLED光源11を覆って前方へ突出する単一のレンズ12等の透光凸状部材を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数のLED光源を有する発光部と、前記LED光源を点灯させる電源部と、前記LED光源を空冷する放熱部とを備えたLED集魚灯であって、
前記放熱部は、前記発光部の背面側に設けた背面放熱フィンと、前記発光部の両側面側に設けた側面放熱フィンとを備え、
前記側面放熱フィンは、前記発光部の正面側から背面側へ通気させる通気路を有しており、
前記発光部は、該発光部の正面において全ての前記LED光源を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材を備えていることを特徴としたLED集魚灯。
【請求項2】
前記透光凸状部材が、レンズであることを特徴とした請求項1記載のLED集魚灯。
【請求項3】
前記透光凸状部材が、カバーであることを特徴とした請求項1記載のLED集魚灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED光源を有する集魚灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、漁業や観光釣船に於いて集魚の為には主としてメタルハライド灯が用いられてきており、発光効率は最も効果的と言われてきたが、一方では膨大な点灯燃料を必要とし、場合に依っては漁場までの航行燃料よりも多大な燃料を要することもあった。
【0003】
その為、最近ではこれに代わりLEDに依る集魚灯が登場してきたが、製作側が集魚に必要な要素や厭忌事項を十分に把握しないまま、ただ大光量を出す事にのみ傾倒するあまりに、必ずしも高効率な結果を上げているとは言い難く、登場して相当な時間が経過していてもLED集魚灯が既存機種に代わり大々的に普及していないことがその現状を物語っていると言える。
【0004】
現在までにLEDの特性である指向性の強さや発光波長の設定のし易さを利用した集魚灯で、収穫効率を向上させるための装置が提案されている(例えば、下記特許文献1〜5参照)。
【0005】
しかしながら、これら従来のLED集魚灯は、大光量を求める余り、単光源ではなく多灯式が採用されがちであり、そうすると熱が籠らないよう光源同士の距離を離して設置する必要があり、それに依る放熱も器具の背面に集中する事になる為、器具が大型化する難点があった。LEDは、その発光に伴って温度が上昇すると発光効率が低下し、しかも、温度上昇によりLED自身が劣化する為、十分な放熱が重要である。
【0006】
大型化しがちであった従来のLED集魚灯は、船舶全体の総重量・形態に比して高所に取付けられる集魚灯の重量や、横風の影響を十分に考慮しているとはいえず、集魚灯の耐風面積や重量が大きくなりがちで、横風や横波の影響を強く受けやすく中小型船舶の集魚灯環境を改変するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5510549号公報
【特許文献2】特開2017−143782号公報
【特許文献3】特開2017−50283号公報
【特許文献4】特許第5536615号公報
【特許文献5】実用新案登録第3202618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のLED集魚灯に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、放熱性能に優れ、高効率な発光が可能なLED集魚灯を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一または複数のLED光源を有する発光部と、前記LED光源を点灯させる電源部と、前記LED光源を空冷する放熱部とを備えたLED集魚灯であって、
前記放熱部は、前記発光部の背面側に設けた背面放熱フィンと、前記発光部の両側面側に設けた側面放熱フィンとを備え、前記側面放熱フィンは、前記発光部の正面側から背面側へ通気させる通気路を有しており、前記発光部は、該発光部の正面において全ての前記LED光源を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、前記透光凸状部材がレンズであることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、前記透光凸状部材がカバーであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るLED集魚灯によれば、一または複数のLED光源を有する発光部の背面側に背面放熱フィンを設け、発光部の両側面側に側面放熱フィンを設けているので、LED光源の発熱を効率よく放熱することができ、LEDの本来有する能力を最大値で発光させることができる。
【0013】
そして、発光部の正面において全てのLED光源を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材を設けているので、発光部の正面に当たる風を抵抗少なくスムーズに側面放熱フィンの通気路へ導き、背面放熱フィンへ導くことができ、発光部の正面に対する風圧を低減化すると同時に、発熱の多い発光部の背面における背面放熱フィンによる熱交換を促進することができ、放熱性能を高めることができる。
【0014】
したがって、本発明に係るLED集魚灯は、従来品のように放熱のために大型化せざるを得ない難点もなく、高出力でコンパクトに構成することができ、集魚灯の耐風面積や器具重量/総合光束量を小さく抑えることができ、横風や横波を受けたときの船舶の揺れや転倒のリスクを大幅に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一実施形態のLED集魚灯の正面図である。
図2】第一実施形態のLED集魚灯の平面図である。
図3】第一実施形態のLED集魚灯の側面図である。
図4】第一実施形態のLED集魚灯の背面図である。
図5】第一実施形態のLED集魚灯の放熱作用の説明図である。
図6】比較例のLED集魚灯の放熱作用の説明図である。
図7】第一実施形態のLED集魚灯の支持具への取り付け操作を説明する側面図である。
図8】第一実施形態のLED集魚灯の支持具への取り付け操作を説明する部分平面図である。
図9】第二実施形態のLED集魚灯の正面図である。
図10】第二実施形態のLED集魚灯の平面図である。
図11】第二実施形態のLED集魚灯の背面図である。
図12図9におけるA―A線部分断面図である。
図13】第二実施形態のLED集魚灯のLED光源の概略平面図である。
図14】第三実施形態のLED集魚灯の要部断面図である。
図15】第四実施形態のLED集魚灯の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「第一実施形態」
図1図4に示すように、第一実施形態のLED集魚灯10は、LED光源11を有する発光部1と、LED光源11を点灯させる電源部2と、LED光源11を空冷する放熱部3と、支持具5に対し着脱自在な取付部4とから構成されている。
【0017】
発光部1は、捕獲目的魚種の捕食対象の小魚やプランクトンの可視域光を照射する第一LED光源と、この捕獲目的魚種の可視域光を照射する第二LED光源とを一つのLED基板上に一体に備えている。本実施形態の発光部1は、その使用電力が100W未満であり、第一LED光源は、ピーク565nmを中心としてその近辺波長を均等に発光し、第二LED光源は、烏賊の可視光であるピーク480nmの波長を発光する。
【0018】
また、本実施形態の発光部1は、その正面において突出するレンズ12を備えている。即ち、本実施形態では、発光部1の正面において全てのLED光源11を覆った状態で前方へ突出する単一の透光凸状部材として、レンズ12が設けられている。
【0019】
電源部2は、図4に示すように、AC/DC変換電源22から成り、給電線21を介して上記発光部1とは別体に設けられている。
【0020】
放熱部3は、発光部1の背面に設けた背面放熱フィン31と、発光部1の左右両側面に設けた側面放熱フィン32とを備えている。そして各側面放熱フィン32は、発光部1の正面側から背面側へ通気させる通気路33を形成している。
【0021】
取付部4は、円柱状の突起部41と、突起部41の先端側に形成された鍔部42を備えた傘状の突起から成り、側面放熱フィン32の先端が連結された補強枠43の側面に外向きに突設されている。
【0022】
このように本実施形態の集魚灯10は、発光部1の背面に背面放熱フィン31を設け、発光部1の両側面に、背面放熱フィン31と一部連結するように一体成型された側面放熱フィン32を設けており、LED光源11の基板より発せられる熱を効率よく大気中に発散させることができる為、LEDの本来有する能力を最大値で点灯させることが可能となり、発光効率=総発光光束量/使用電力を、従来品より向上させている為、青白発光器具でも5350lm/60W、白色発光器具に於いては8300lm/60Wで138lm/Wと、現在最も発光効率が高いと言われるメタルハライドランプの発光効率130lm/Wを抜くまでとなっている。
【0023】
また、本実施形態の集魚灯10は、発光部1の両側面に、発光部1の正面側から背面側へ通気させる通気路33を形成するように側面放熱フィン32を設けているので、図5に示すように、発光部1の正面に当たった風を通気路33に導くことができ、側面放熱フィン32による放熱効果を高めることができる。
【0024】
しかも、本実施形態の集魚灯10は、発光部1の正面において全てのLED光源11を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材であるレンズ12を設けているので、正面からの風を抵抗少なく側面放熱フィン32により成された通気路33から背面放熱フィン31側へスムーズに導くことができ、背面放熱フィン31による放熱効果も高めることができる。
【0025】
従来の集魚灯では多光源はその機構上、例え単光源であっても発光保護面は、器具に風が当たった場合、まずはその表面に器具を押す速度圧が発生し、また背面でも複雑に巻込む風に依り吸引力が働き、その両方の合力が器具に発生するが、本実施形態の集魚灯10は、発光部1の正面に全てのLED光源11を覆う大きな単一の球形のレンズ12を設けているので、図5に示すように、発光部1の正面に当たった風は自然に両サイドに分割されるように流れ、背面にも渦を巻かずに流れ込み易くなる為、背面の吸引力も減少させることが可能となっている。これは建築基準法の風圧計算に用いられる形状係数からも明らかである。
【0026】
これに対し、図6に示す比較例のように、発光部1の正面に透光凸状部材を設けていない場合、発光部1の正面に当たった風は、正面中央付近で一部滞留するなどして、側面放熱フィン32の通気路33へ流れ込む気流の流速が遅くなり、その気流の向きも発光部1の正面と平行な方向に近くなる。その結果、この通気路33を通過して背面放熱フィン31側へ回り込む気流の流量も少なくなり、背面放熱フィン31による放熱効果が大幅に低下してしまう。
【0027】
このように本実施形態の集魚灯10は、構造の複雑化を伴うことなく、発光部1の正面に全てのLED光源11を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材を設けるという至って簡素な構成を採用することによって、発光部1の正面に対する風圧を低減化すると同時に、発熱の多い発光部1の背面における背面放熱フィン31による熱交換を促進しているのである。
【0028】
また、本実施形態の集魚灯10は、放熱性能に優れているので、従来品のように1灯を大型化するのではなく、高出力でコンパクトに構成することができ、器具重量/総合光束量も軽く抑える事ができる為、横波を受けた時の揺れや転倒リスクを減らしたい軽量船舶に於いては最適な方向性といえる。
【0029】
本実施形態の集魚灯10は、従来品に有りがちであった二灯以上のLEDを用いた多灯LED発光型ではなく、電源を船舶の下部に別置きとした100W以下の小型単一基盤発光型とし、それを直接放熱フィンが付いた筐体に固定して放熱効果を大きく向上させる事により、小型でも総発光量を多くすることで、最大光量/本体単位重量の指数を従来品より大きくすることができ、高い位置に取付けても、集魚灯、電源、及び船舶の総合重心の位置を従来品より下げることが可能となる為、横波に対し船舶の横揺れを低減しリスクを下げる事を可能としている。
【0030】
また、本実施形態の集魚灯10は、同上の理由による小型化と、放熱フィンを発光部筐体の後部及びその左右に直結して設ける事で、最大光量/見付面積の指数も従来品より大きくでき、更にLED発光体の見付面にLEDを保護する風防レンズを大きく張り出させて設ける事で、船舶に対する横風、言い換えれば当該発明品に正面方向から吹付ける風圧を上下左右に受け流すことを可能にしており、上記の実質的指数を更に上げる効果を出す事ができ、風に依る船の転倒モーメントを減少させることができる。
【0031】
また、本実施形態の集魚灯10は、捕獲目的魚種の捕食対象の小魚やプランクトンの可視域光を照射する第一LED光源と、この捕獲目的魚種の可視域光を照射する第二LED光源とを備えているので、捕獲目的魚とその食物連鎖に必要な波長を発光し、効率のよい集魚の為の環境を構築することができる。
【0032】
従来のLED集魚灯は、目標製品がメタルハライドの高輝度さにあった為、ただひたすら高出力を目指していた。また実験室で、例えば光に対する烏賊の挙動を探り、それを基にした特許も提唱されている。しかし烏賊が青色系に反応する事は生態学からも示されていた事であり、烏賊はあくまでも捕食の為に夜間に行動するので、発明者の海上での観察では、烏賊は種類により青色系の光471nm、484nm、501nmの波長帯のどれかで物を見ているようであるが、そこに食物連鎖が構成されていないと、つまりは自分の餌になるようなものが居ないと、自己の保護の為にその場をはなれようとするものと考えられる。その為、まずは烏賊の餌になる小魚と、それが捕食する動物性プランクトンを集められなければ釣人の為の集魚灯にはなり得ないものと考え、事実青色LED灯のみの集魚灯では烏賊が余り釣れないと言われるのもそれが原因と考えている。
【0033】
本実施形態の集魚灯10の発光部は、捕獲目的魚種の捕食対象の小魚やプランクトンの可視光:ピーク565nmを中心としてその近辺波長を均等に発光する第一LED光源と、前記捕獲目的魚種、例えば烏賊を対象とするのであればピーク480nmの可視光を照射する第二LED光源とを、一つのLED基盤上に備える事で、第一LED光源でそれらの波長を可視域とする動物性プランクトンや小型魚を捕獲対象魚の餌として集め、第二LED光源が、それを捕獲対象魚に映像として視認させることで、捕食対象魚は船舶の底に潜みながら継続的に小型魚の捕食体制に入ることになり、釣り人に長時間つり上げの機会を与えることができる。
【0034】
また、本実施形態のLED集魚灯10は、複数の側面放熱フィン32の先端が連結する補強枠43に取付部4を設けているので、図7及び図8に示すように、LED集魚灯10を、船体に設けた集魚灯支持具5に対して簡単に取り付け、取り外しすることができる。
【0035】
大型のLEDでは捕獲目的魚種に合わせて波長を、言い換えればLEDを取り替える事は大変困難である為、既存品の多くは包括的な波長を具備した器具となる傾向にあったが、別な見方をすれば目的魚種捕獲に不必要なエネルギーを消費している事になるので、そのやり方は不経済であったと言える。
【0036】
本発明ではこれを解消する為に、上記の如く器具のコンパクト化を図った訳であるが、その取付け方法も、図7に示すように、支持具5の支持アングルに落ち込み部の長さが異なる逆L字型の上溝51及び下溝52を設けておき、図7(a)に示すように、最初に、LED集魚灯10の上側の取付部4Aを上溝51の途中まで先に落とし込み、次に、下側の取付部4Bが下溝52に合致したところでそのまま取付部4Bも下溝52へ落とし込むことによって、本実施形態のLED集魚灯10を支持具5に取り付けることができる。
【0037】
この取り付け構造によれば、図7(b)に示すように、LED集魚灯10が単純に下から何らかの力Fで押し上げられても、上側の取付部4Aは上溝51から外れていない為、LED集魚灯10そのものが外れて落下する事はまず有り得ず、入れた時と同様に、人の手でこの下側の取付部4Bを横にずらして下溝52から外さなければ上側の取付部4Aを上溝51から外すことは出来ない為、風圧や船舶の揺れで灯具が一人で外れる事は皆無に近いものと考える。
【0038】
従来の集魚灯はその大きさや重量、また取り付け部分の複雑さから、取付けや取替えに専門家の技術が必要とされる為、どうしても一種類の器具に多くの魚種を寄せる為の汎用性を組み込む必要があった。これは言い換えればその季節に旬となる魚種に特化した集魚環境を構築しにくいという事の裏返しでもあるので、本発明では漁師や船主が簡単にLED灯具を取り替えられる機構を持たせている。季節の変化や規制解禁で捕獲目的魚が変わった場合にその魚種に最適の灯具へと取り替える事で、効率の高い漁が可能となる。またこの機能は灯具の故障などへの対応も短時間で行える事も併せ持つ為、旧来のように灯具が故障した場合、漁を諦め寄港する必要もなく、海上で他の器具を点灯させたままでも対処可能となり総合的なロスを減少させることが可能となる。
【0039】
「第二実施形態」
図9図13に示す第二実施形態のLED集魚灯20は、LED光源61を有する発光部6と、LED光源61を点灯させる電源部7と、LED光源61を空冷する放熱部8と、支持具5(図7参照)に対し着脱自在な取付部9とから構成されている。
【0040】
発光部6は、図12に示すように、集魚灯の本体となる金属製の支持基板64上にLED光源61が配設されて構成されている。そして、発光部6の正面において全てのLED光源61を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材65が設けられている。本実施形態では、透光凸状部材65としてレンズ66が設けられている。
【0041】
LED光源61は、図13に示すように、一つのLED基板62上に複数のLEDチップ63が実装されて構成されている。本実施形態では、LEDチップ63として、420〜650nmの波長光を発する1W、計60個の第一LEDチップ63aと、470〜480nmの波長光を発する1W、計20個の第二LEDチップ63bと、480〜490nmの波長光を発する1W、計10個の第三LEDチップ63cと、490〜500nmの波長光を発する1W、計10個の第四LEDチップ63dとを実装している。なお、本発明は、これに限定されるものではなく、各LEDチップの発光波長の組み合わせ、個数、配置等は種々の設計変更が可能である。一つのLED基板62上に単一色のLEDチップを複数実装してもよい。
【0042】
また、単一色又は複数色のLEDチップを異なるLED基板62上にそれぞれ実装して複数のLED光源61を準備し、これら複数のLED光源61を発光部6の支持基板64上に設けるようにしてもよい。捕獲目的魚種やその捕食対象の可視域に応じて種々の設計変更が可能である。
【0043】
電源部7は、図11に示すように、AC/DC変換電源72から成り、給電線71を介して上記発光部6とは別に設けられている。
【0044】
放熱部8は、図10及び図11に示すように、発光部6の背面側に設けた背面放熱フィン81と、発光部6の左右両側面側に設けた側面放熱フィン82とを備えている。そして、各側面放熱フィン82は、発光部6の正面側から背面側へ通気させる通気路83を形成している。
【0045】
本実施形態の背面放熱フィン81は、図12に示すように、発光部6の支持基板64におけるLED光源61の配設面とは反対の面に一体に立設されており、この背面放熱フィン81と連続して側面放熱フィン82が一体に設けられている。
【0046】
取付部9は、図10に示すように、円柱状の突起部91と、突起部91の先端側に形成された鍔部92とから成り、側面放熱フィン82の先端同士を連結する補強枠93に、持出部材94を介して外向きに突設されている。
【0047】
本実施形態における発光部6の支持基板64と、放熱部8の背面放熱フィン81及び側面放熱フィン82とは、アルミ押出成形材から成り、この押出成形材を一部切り欠き加工することによって、発光部6の支持基板64、側面放熱フィン82の通気路83、及び取付部9の補強枠93が形成されている。
【0048】
このように第二実施形態のLED集魚灯20においても、発光部6の正面において全てのLED光源61を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材65を設けているので、上述した第一実施形態のLED集魚灯10と同様に、発光部6の正面に当たる風を抵抗少なくスムーズに側面放熱フィン82の通気路83へ導き、背面放熱フィン83へ導くことができ、発光部6の正面に対する風圧を低減化すると同時に、発熱の多い発光部6の背面における背面放熱フィン83による熱交換を促進することができ、優れた放熱性能を発揮する。
【0049】
さらに、第二実施形態のLED集魚灯20は、放熱部8の背面放熱フィン81と側面放熱フィン82とを一体成形しているので、背面放熱フィン81から側面放熱フィン82への熱伝導を利用してLED光源61の発熱をより効果的に放熱することができる。
【0050】
「第三実施形態」
図14に示す第三実施形態のLED集魚灯30は、透光凸状部材65として、ほぼ一定の厚みを有するカバー67を採用している点に特徴があり、他の構成は上述した第二実施形態のLED集魚灯20と同様である。
【0051】
このように第三実施形態のLED集魚灯30においても、発光部6の正面において全てのLED光源61を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材65を設けているので、発光部6の正面に対する風圧を低減化すると同時に、発熱の多い発光部6の背面における背面放熱フィン83による熱交換を促進することができ、優れた放熱性能を発揮する。
【0052】
そして、透光凸状部材65として、比較的に肉薄なカバー67を採用しているので、より軽量なLED集魚灯を構成することができる。
【0053】
「第四実施形態」
図15に示す第四実施形態のLED集魚灯40は、発光部6の支持基板64上に複数のLED光源61を配設し、発光部6の正面において、これら複数のLED光源61の全てを覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材65を設けている点に特徴があり、他の構成は上述した第三施形態のLED集魚灯30と同様である。
【0054】
この第四実施形態のLED集魚灯40においても、発光部6の正面において全てのLED光源61を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材65を設けているので、発光部6の正面に対する風圧を低減化すると同時に、発熱の多い発光部6の背面における背面放熱フィン83による熱交換を促進することができ、優れた放熱性能を発揮する。
【0055】
なお、このLED集魚灯40のカバー67の内側において、複数のLED光源61のそれぞれにレンズを設けるようにしてもよい。
【0056】
以上、本発明に係る実施形態のLED集魚灯について説明したが、本発明は、その他、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施してもよく、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10、20、30、40 LED集魚灯
1、6 発光部
11、61 LED光源
12、66 レンズ
2、7 電源部
3、8 放熱部
31、81 背面放熱フィン
32、82 側面放熱フィン
33、83 通気路
65 透光凸状部材
67 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2019年10月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
一または複数のLED光源を有する発光部と、前記LED光源を点灯させる電源部と、前記LED光源を空冷する放熱部と、集魚灯の支持具に対し着脱自在な取付部とを備えたLED集魚灯であって、
前記放熱部は、前記発光部の背面側に設けた背面放熱フィンと、前記発光部の両側面側に設けた側面放熱フィンとを備え、
前記側面放熱フィンは、前記発光部の正面側から背面側へ通気させる通気路を有しており、
前記発光部は、該発光部の正面において全ての前記LED光源を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材を備え、
前記側面放熱フィンは、前記透光凸状部材よりも側方へ突出し、該側面放熱フィンの先端に前記取付部が設けられていることを特徴としたLED集魚灯。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明は、一または複数のLED光源を有する発光部と、前記LED光源を点灯させる電源部と、前記LED光源を空冷する放熱部と、集魚灯の支持具に対し着脱自在な取付部とを備えたLED集魚灯であって、
前記放熱部は、前記発光部の背面側に設けた背面放熱フィンと、前記発光部の両側面側に設けた側面放熱フィンとを備え、前記側面放熱フィンは、前記発光部の正面側から背面側へ通気させる通気路を有しており、前記発光部は、該発光部の正面において全ての前記LED光源を覆って前方へ突出する単一の透光凸状部材を備え、前記側面放熱フィンは、前記透光凸状部材よりも側方へ突出し、該側面放熱フィンの先端に前記取付部が設けられていることを特徴としている。