特開2020-23135(P2020-23135A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-23135転写体、インクジェット画像形成装置、及びインクジェット画像形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-23135(P2020-23135A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】転写体、インクジェット画像形成装置、及びインクジェット画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20200121BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20200121BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20200121BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20200121BHJP
【FI】
   B41J2/01 101
   C09D11/30
   B41J2/01 129
   B41J2/01 301
   B41M5/00 120
   B41M5/00 100
   B41M5/52 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2018-149548(P2018-149548)
(22)【出願日】2018年8月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 秀和
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA12
2C056EC06
2C056EC29
2C056HA44
2H186AB11
2H186AB12
2H186AB17
2H186AB23
2H186BA11
2H186BB07X
2H186BB10X
2H186BB12X
2H186BB54X
2H186FA18
2H186FB03
2H186FB07
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB18
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB34
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB48
2H186FB53
2H186FB55
4J039AD21
4J039BC09
4J039BE01
4J039BE02
4J039BE08
4J039BE12
4J039BE22
4J039BE23
4J039BE27
4J039BE28
4J039CA06
4J039EA06
4J039GA05
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、転写体へのインクの濡れ性と、転写体からのインク形成画像の離型性とを両立した転写体と、当該転写体を具備したインクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明の転写体は、インクジェットインクを用いるインクジェット画像形成装置用の転写体であって、転写基材上に外部刺激により接触角が変化する材料を担持していることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットインクを用いるインクジェット画像形成装置用の転写体であって、
転写基材上に外部刺激により接触角が変化する材料を担持していることを特徴とする転写体。
【請求項2】
前記外部刺激が、熱刺激であることを特徴とする請求項1に記載の転写体。
【請求項3】
前記外部刺激により接触角が変化する材料が、感熱応答性高分子であり、かつ下限臨界溶液温度(LCST)を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写体。
【請求項4】
転写体温度が前記感熱応答性高分子のLCST未満であるときの前記転写体における前記インクジェットインクの接触角Aが、前記転写体温度が前記感熱応答性高分子のLCST以上であるときの前記転写体における前記インクジェットインクの接触角Bより小さいことを特徴とする請求項3に記載の転写体。
【請求項5】
前記接触角Aが5〜90度の範囲内であり、かつ前記接触角Bが前記接触角Aより大きいことを特徴とする請求項4に記載の転写体。
【請求項6】
前記インクジェットインクが、活性光線により硬化する活性光線硬化型インクジェットインクであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の転写体。
【請求項7】
前記活性光線硬化型インクジェットインクがゲル化剤を含有し、ゲル化温度が、転写体が含有する感熱応答性高分子のLCST以上であり、かつゲル化温度以下でゲル状態をとることを特徴とする請求項6に記載の転写体。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の転写体を有することを特徴とするインクジェット画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の転写体を用いたインクジェット画像形成方法であって、
インクジェットインクとして、活性光線硬化型インクジェットインクを用い、
前記転写体を冷却して、前記活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴に対する接触角の度合いを変化させる工程と、
前記活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴を前記転写体に着弾させる工程と、
前記転写体を加熱して、転写体表面の前記インク液滴に対する接触角の度合いを変化させる工程と、
記録媒体上に前記インク液滴を転写させる工程と、
当該記録媒体上に転写したインク液滴に活性光線を照射してインクジェット画像を構成する硬化膜を形成する工程と、かつ、
前記転写体に残留したインクジェット画像を除去するクリーニング工程と、
を有することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部刺激によりインクの濡れ性(接触角)が変化する材料を有し、高品位の画像が得られる転写体と、当該転写体を具備したインクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式による画像形成方法は、液体吐出用のインクジェットヘッドから画像情報に応じてインク液滴を吐出して、記録媒体上にインクドットを形成して記録画像を得る方法が一般的である。ここで使用するインクジェットインク(以下、単に「インク」ともいう。)には、インクジェットヘッドからの安定した吐出性能と記録媒体上での高品位の画像形成能が要求される。
【0003】
インクジェット記録方式での画像形成においては、インクジェット専用用紙以外に、普通紙を含む様々な記録媒体に対する画像形成適性が求められている。そのような要求に対応するインクジェット画像記録方法の一つとして、転写方式のインクジェット画像形成方法が知られている。
【0004】
例えば、特開平5−255623号公報には、中間転写体上にインクジェット記録方式により中間画像を形成し、この中間画像を記録媒体へ転写することにより、記録媒体上に目的とする画像を得る転写式インクジェット記録形成方法が開示されている。しかしながら、当該特許文献には、シリコンフィルムからなる中間転写体とインクの初期接触角が30〜70度の範囲に入る構成とし、接触角30度未満の場合は、不定形なドット形成となったり、インクのドット径が大きくなったり、実用に適さないという問題を抱えている。
【0005】
更に、転写方式のインクジェット画像形成方法では、適用するインクの物性と転写体表面の材質の組合せによっては、中間画像の形成段階のブリードや画像の歪などが発生する場合がある。
【0006】
上記問題に対し、転写体に記録液中の少なくとも1つの成分と反応する成分を含む前処理液を付着させる前処理手段と、前記転写体に記録液を付着させ画像を形成する画像形成手段と、前記転写体から記録媒体に画像を転写する転写手段とを備えたインクジェット記録装置が開示され、フェザリングを生じることなく、細線再現性に優れ、色境界にじみのない高品質の画像を低コストで記録できるインクジェット記録装置を提供できるとされている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、転写体に求められる特性は、インク液に対する適度な濡れ性と、インク液の転写体からの適度な離型性を持ち合わせることが好ましいとある。濡れが悪ければ、転写体上での画像劣化が生じ、また離型性が不十分であれば、画像の欠落などを生じることがある。このような中間転写体を構成する材料として、シリコーン系樹脂やその他各種樹脂を用いることができ、これら樹脂の表面を化学的あるいは物理的に処理することで、表面特性を制御することもできるとしている。しかしながら、特許文献1におけるインク液を用いた転写体への印字では、転写体に求められる特性として、インク液の転写体への「濡れ性」と、形成した転写画像の「離型性」が求められる。しかしながら、精細な画像形成を求める濡れ性と、転写画像を記録媒体へ転写する離型性は両立しないことが多い。すなわち、転写体に対するインク液の濡れ性を良くすれば、インク液滴の濡れ広がりにより精細な画像形成が可能となるが、離型性が低下して転写性が悪化する。逆に、離型性を良くすれば、インク液の転写体への濡れ性が低下するために画像形成が困難になる場合がある。転写体への適度な濡れ性と適度な離型性を達成するためには、どちらかの適性の低下を許容するバランス設計となるため、両者の特性を高レベルで両立させることが困難となる。
【0007】
また、特許文献2においては、中間転写体への反応液及びインクの濡れ性と、中間画像を記録媒体へ転写する離型性の両立を確保した転写型画像形成方法として、エレクトロウェッティングにより中間転写体の反応液及びインクに対する濡れ性を制御する工程を有する画像形成方法が開示されている。しかしながら、特許文献2では、転写体への適度な濡れ性と適度な離型性の両立を果たすという点では十分ではなく、加えて、エレクトロウェッティングを付与させるための制御が煩雑であり、多くの課題を抱えている。
【0008】
すなわち、転写型のインクジェット画像形成方式では、転写体へのインク着弾時の濡れ広がりを確保しつつ、色混じりを防ぎ、転写体から印刷デバイスである記録媒体への転写を行う工程において、転写体への濡れ広がりを確保しつつ、転写体からの離型性も確保するということで矛盾が生じ、それぞれの特性を両立させることが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−321350号公報
【特許文献2】特開2015−189109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、転写体へのインクの濡れ性と、転写体からの形成したインクジェット画像の離型性とを両立した転写体と、当該転写体を具備したインクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を積み重ねた結果、インクジェットインクを用いたインクジェット画像形成装置用の転写体で、当該転写体の表面に、外部刺激により接触角が変化する材料を担持していることを特徴とする転写体により、転写体へのインクの濡れ性と、転写体からの形成したインクジェット画像の離型性とを両立した転写体を提供することができることを見いだし、本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
【0013】
1.インクジェットインクを用いるインクジェット画像形成装置用の転写体であって、
転写基材上に外部刺激により接触角が変化する材料を担持していることを特徴とする転写体。
【0014】
2.前記外部刺激が、熱刺激であることを特徴とする第1項に記載の転写体。
【0015】
3.前記外部刺激により接触角が変化する材料が、感熱応答性高分子であり、かつ下限臨界溶液温度(LCST)を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の転写体。
【0016】
4.転写体温度が前記感熱応答性高分子のLCST未満であるときの前記転写体における前記インクジェットインクの接触角Aが、前記転写体温度が前記感熱応答性高分子のLCST以上であるときの前記転写体における前記インクジェットインクの接触角Bより小さいことを特徴とする第3項に記載の転写体。
【0017】
5.前記接触角Aが5〜90度の範囲内であり、かつ前記接触角Bが前記接触角Aより大きいことを特徴とする第4項に記載の転写体。
【0018】
6.前記インクジェットインクが、活性光線により硬化する活性光線硬化型インクジェットインクであることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の転写体。
【0019】
7.前記活性光線硬化型インクジェットインクがゲル化剤を含有し、ゲル化温度が転写体が含有する感熱応答性高分子のLCST以上であり、かつゲル化温度以下でゲル状態をとることを特徴とする第6項に記載の転写体。
【0020】
8.第1項から第7項までのいずれか一項に記載の転写体を有することを特徴とするインクジェット画像形成装置。
【0021】
9.第1項から第7項までのいずれか一項に記載の転写体を用いたインクジェット画像形成方法であって、
インクジェットインクとして、活性光線硬化型インクジェットインクを用い、
前記転写体を冷却して、前記活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴に対する接触角の度合いを変化させる工程と、
前記活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴を前記転写体に着弾させる工程と、
前記転写体を加熱して、転写体表面の前記インク液滴に対する接触角の度合いを変化させる工程と、
記録媒体上に前記インク液滴を転写させる工程と、
当該記録媒体上に転写したインク液滴に活性光線を照射してインクジェット画像を構成する硬化膜を形成する工程と、かつ、
前記転写体に残留したインクジェット画像を除去するクリーニング工程と、
を有することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、転写体へのインクの濡れ性と、転写体からの形成したインクジェット画像の離型性とを両立した転写体と、当該転写体を具備したインクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法を提供することができる。
【0023】
本発明で規定する構成からなる転写体の効果発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
【0024】
前述の通り、従来の転写方式のインクジェット画像形成方法では、出射するインク液滴の転写基材への着弾時の濡れ広がりを確保しつつ、色混じりを防ぎ、転写基材から記録媒体へインク成分の転写を行う工程があるが、濡れ広がりを確保すること、転写体からの離型性を確保すること、という2つの特性間で矛盾が生じ、両立させることが難しい。
【0025】
本発明者は、上記問題に鑑み鋭意検討を進めた結果、転写体の転写基材の表面に、外部刺激により接触角が変化する特性を備えた材料を、例えば、熱刺激により接触角が変化する感熱応答性高分子を転写基材の表面に設け、着弾時及び転写時に、転写基材の温度をコントロールすることにより、転写体表面における接触角を制御することで、転写体表面におけるインク液滴の濡れ広がり性と離型性(転写性)の両立を図ることできることを見いだしたものである。更には、インクジェットインクにゲル化剤を含有させることにより、転写体へインク液滴が着弾した際のゲル化効果により、色混じりを防止し、またゲル化剤の再溶融が起こらない温度範囲で接触角を制御できるため、再溶融による色混じりなども防止できる点で好ましい態様である。
【0026】
以下に、更に詳しく説明する。
【0027】
インクジェット記録画像の形成において、インクとして親水性インクを適用する際、転写基材が親水性である場合には、当該基材上で着弾したインク液滴が濡れ広がりやすくなるが、転写基材との親和性が高いゆえに、転写する記録媒体への転写性が低下してしまう。逆に、転写基材が疎水性である場合には、転写基材上に着弾したインク液滴は濡れ広がりにくく、色混じりも起こりやすくなるが、一方では、転写基材との親和性が低いため、転写時の記録媒体への転写性は高まることとなる。
【0028】
このような様々な特性を備えた転写体の表面特性において、転写体としては、濡れ広がりを確保しつつ、転写性を向上させるためには、基本的には、転写体へのインク液滴着弾時には親水性の度合いが高く、すなわち、着弾するインク液滴の接触角が小さくなり、記録媒体への転写時には疎水性の度合いが高い、すなわち、着弾するインク液滴の接触角が大きくなる特性を備えていることが好ましいと考えられる。
【0029】
本発明者は、転写基材に適用する材料として、環境温度や様々な波長の光、磁場、音波などの外部刺激により接触角が変化する材料を用いて、濡れ広がり性を確保するとともに、転写効率を高めることができる技術について鋭意検討を進めた結果、転写体に、外部刺激により接触角が変化する材料を担持することにより、上記目的が達成できることを見いだした。例えば、外部刺激として熱刺激により接触角が変化する材料、より詳しくは、外部刺激により接触角が変化する感熱応答性高分子を適用することが有効であることを見いだした。
【0030】
より好ましい態様としては、転写体に、着弾するインク液滴の接触角が変化する材料として、低温環境では小さな接触角となり、高温環境では大きな接触角を示すポリ−N−イソプロピルアクリルアミドを含む膜を転写基材上へ形成することにより、転写体へ吐出されたインク、例えば、ゲル化剤を含有するインクは着弾後に濡れ広がったのちにゲル化し、他色のインク液滴との色混じりを防止することができる。転写時に転写体を、感熱応答性高分子のLCST(親水性・疎水性変化点)以上、ゲルインクの溶解温度以下に加熱することで、転写体表面は疎水性側にスイッチングし、インクが転写体から離型しやすくなり、かつゲルインクの溶解温度には到達しないため、再溶融による色混じりを起こさず転写することができるという特徴を発現させることができたと推測される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の転写体を用いたインクジェット画像形成方法の工程の一例を示すフロー図
図2】本発明の転写体を具備したインクジェット画像形成装置の一例を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の転写体は、インクジェットインクを用いるインクジェット画像形成装置用の転写体であって、転写基材上に外部刺激により、着弾するインク液滴の接触角が変化する材料を担持していることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
【0033】
本発明の実施形態としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、外部刺激が熱刺激であること、外部刺激として熱刺激により接触角が変化する材料が感熱応答性高分子で、かつ下限臨界溶液温度(LCST)を有する材料であることが、機械的な制御が容易で、特に高速印刷といった領域でも活用できる観点から好ましい。
【0034】
また、転写体温度が前記感熱応答性高分子のLCST未満であるときの前記転写体におけるインクジェットインクの接触角Aが、前記転写体温度が前記感熱応答性高分子のLCST以上であるときの前記転写体におけるインクジェットインクの接触角Bより小さい構成とすることにより、インクの濡れ性と離型性の両立をより達成することができる点で好ましい。
【0035】
より具体的には、(接触角B−接触角A)の値が1度以上であることが好ましく、より好ましくは1〜30度の範囲内であり、更に好ましくは2〜20度の範囲内であり、特に好ましくは3〜15度の範囲内である。
【0036】
また、インクジェットインクとして、活性光線により硬化する活性光線硬化型インクジェットインクを適用することにより、インク液滴の過度の濡れ広がりを防止でき、転写時に内部凝集力を強めることができ、転写効率を高めることができる点で好ましい。
【0037】
また、本発明においては、活性光線硬化型インクジェットインクが、ゲル化剤を含有し、ゲル化温度が、転写体が含有する感熱応答性高分子のLCST以上であり、かつゲル化温度以下でゲル状態をとることが好ましい態様である。ゲル化剤を含まないインクでは、記録媒体への転写時に、多少のインク移動が起こるため画質に影響を及ぼすことがある。一方、ゲル化剤を含有するインクを用いた画像形成では、インク液滴が転写体上に着弾した時に濡れ広がりつつゲル化し、他色のインク液滴との混じりが抑制され、かつ加熱時もゲル化点はLCSTよりも高いため、LCST<温度<ゲル化点との関係にあれば、ゲル化剤の再溶融が起こらないため、画質の劣化が起こらず転写することができる点で好ましい。
【0038】
転写体に感熱応答性高分子を適用する場合、LCSTが低いものの方が、応答が早いため転写率が高まる。ただし、LCSTが低すぎると、例えば、常温より低いLCSTであると、加温の有無にかかわらず高接触角側にシフトする場合があり、濡れ広がりや画質への影響が生じる場合がある。
【0039】
また、本発明の転写体を用いたインクジェット画像形成方法では、インクジェットインクとして活性光線硬化型インクジェットインクを用い、前記転写体を冷却して、活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴に対する接触角の度合いを変化させる工程と、前記活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴を前記転写体に着弾させる工程と、前記転写体を加熱して、転写体表面の前記インク液滴に対する接触角の度合いを変化させる工程と、記録媒体上に前記インク液滴を転写させる工程と、当該記録媒体上に転写したインク液滴に活性光線を照射してインクジェット画像を構成する硬化膜を形成する工程と、前記転写体に残留したインクジェット画像を除去するクリーニング工程と、を有することを特徴とするインクジェット画像形成方法により、転写体へのインクの濡れ性と、転写体からのインク形成画像の離型性とを両立し、画質劣化のない、より高品位なインクジェット転写画像を得ることができる。
【0040】
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。また、以下の図を用いた説明において、各構成成分のあとの括弧内に記載の数字は、各図に記載した各構成成分の符号を表す。
【0041】
《転写体》
本発明の転写体は、インクジェットインクを用いるインクジェット画像形成装置用の転写体であって、転写基材上に、外部刺激により、着弾するインクジェットインクに対する接触角が変化する材料を担持していることを特徴とする。更には、外部刺激が熱刺激であること、外部刺激、例えば、熱刺激により接触角が変化する材料が感熱応答性高分子であり、かつ下限臨界溶液温度(LCST)を有することが好ましい態様である。
【0042】
以下に、本発明の転写体の構成要素の詳細について説明する。
【0043】
〔転写基材〕
本発明に係る転写基材を構成する材料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等)、ポリカーボネート、ポリウレタン、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、シクロオレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等を挙げることができる。その中でも、耐熱性の観点から、ポリイミドが好ましい。
【0044】
また、転写基材には、必要に応じて表面処理を施すことができ、例えば、紫外線処理、エキシマ処理、フレーム処理、オゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理、シリル処理、又はフッ化処理等が挙げられる。
【0045】
転写基材の形状としては、ローラー状、無端ベルト状、シート状など、記録媒体と接触することができる形状であれば、特に制限はない。
【0046】
〔外部刺激応答層〕
(外部刺激により接触角が変化する材料)
本発明の転写体においては、転写体を構成する転写基材上に、外部刺激により接触角が変化する材料を担持する層(以下、外部刺激応答層ともいう。)を有する。外部刺激応答層は、転写基材表面に薄膜状の被覆膜として形成しても、特定の層厚を有する構成層として形成してもよい。
【0047】
本発明でいう「外部刺激」としては、例えば、pH変化、化学物質(例えば、界面活性剤等)の吸脱着、熱・電気・光・磁気等のエネルギー付与等の刺激が挙げられる。
【0048】
pH変化の刺激により応答する材料としては、電解質系高分子、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0049】
また、化学物質の吸脱着により刺激応答する材料としては、強イオン性高分子が挙げられる。また、電気による酸化・還元により刺激応答するものとしては、例えば、カチオン性高分子ゲルと電子受容性化合物とのCT錯体(電荷銅錯体)等を挙げることができる。
【0050】
また、熱の付与により刺激応答する材料としては、下限臨界溶液温度(LCST)をもつ高分子の架橋体や互いに水素結合する2成分の高分子ゲルのIPN体(相互浸入網目構造体)などが挙げられる。
【0051】
また、光の付与により刺激応答する材料としては、アゾベンゼン系化合物、トリアリールメタン誘導体スピロベンゾフラン誘導体等の光によりイオン解離する官能基を有する親水性高分子化合物等が挙げられる。
【0052】
〔感熱応答層〕
以下に、外部刺激応答層の代表例として、本発明に好適な熱刺激により応答する感熱応答層について説明する。
【0053】
〈下限臨界溶液温度(LCST)を有する感熱応答性高分子〉
上記で列挙した外部刺激により接触角が変化する材料の中でも、本発明では、下限臨界溶液温度(LCST)を有する感熱応答性高分子を適用することが好ましい。
【0054】
以下、本発明において、外部刺激により接触角が変化する材料として好適な感熱応答性高分子について、その詳細を説明する。
【0055】
本発明において、感熱応答性高分子とは、インク液滴に対する接触角が温度により可逆的に変化する機能を有する高分子材料のことである。感熱応答性高分子においては、例えば、接触角が変化する温度を臨界温度といい、特に高温側では高い接触角を、低温側では低い接触角を示す閾値の温度を下限臨界温度(LCST)という。
【0056】
本発明においては、感熱応答性高分子としては、例えば、D.Roy,W.L.A.Brooks and B.S.Sumerlin,Chem.Soc.Rev.,2013,42,7214−7243.に記載の感熱応答性高分子を構成するモノマーを構成単位とするオリゴマーを挙げることができる。
【0057】
このような感熱応答性高分子を形成する有機モノマーの例としては、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体などを好ましく使用することができ、具体的にはN−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリディン、N−アクリロイルピロリジンが挙げられる。
【0058】
上記有機モノマーにより調製される感熱応答性高分子としては、例えば、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−エトキシエチルアクリルアミド)、ポリ(N−エトキシエチルメタクリルアミド)、ポリ(N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド)、ポリ(N−テトラフルフリルメタクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピペリディン)、ポリ(N−アクリロイルピロリディン)が挙げられる。
【0059】
また上記有機モノマーの重合体としては、以上のような単一有機モノマーからの重合体のほか、これらから選ばれる複数の異なる有機モノマーを重合して得られる共重合体を用いることも有効である。
【0060】
本発明に係る感熱応答性高分子は、上記有機モノマーからなる重合体であることが好ましいが、上記有機モノマーとそれ以外の水溶性有機モノマー又は有機溶媒可溶性有機モノマーとの共重合体も、得られた重合体が親水性及び疎水性の両方を示すものであれば使用することができる。共重合に用いられる有機モノマーとしては、具体的には、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、アクリルアミド等のアクリルアミド類、又は、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、メタクリルアミド等のメタクリルアミド類が挙げられる。なお、より好ましくは、N−アルキルアクリルアミド又はN,N−ジアルキルアクリルアミドが用いられる。アルキル基としては、炭素数が1〜4のものが好ましく選択される。その他には、アクリロイルモルフォリン、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルメチルホモピペラディン、N−アクリロイルメチルピペラディン等も用いることができる。
【0061】
感熱応答性高分子の少なくとも一つがアクリル系モノマーとその重合体(アクリル樹脂)を含有してもよく、アクリル系樹脂との共重合比率により、感熱応答性高分子の下限臨界温度を変更できる。
【0062】
本発明におけるアクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート等の一般的なアクリル系樹脂でもよく、その誘導体でかまわない。また脂環式炭化水素骨格からなる多環式炭化水素系化合物であるアクリル樹脂でもよく、多環式炭化水素系化合物としては、脂肪族の多環構造を有し、3次元的な架橋構造を含むものでもよい、例えば、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートや、アダマンチルメタクリレート、アダマンチルアクリレート等や、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ビニルノルボルネン等が挙げられる。
【0063】
また、例えば(ポリオキシアルキレン)アクリレート及びメタクリレートは、市販のヒドロキシポリ(オキシアルキレン)材料、例えば商品名“プルロニック”[Pluronic(旭電化工業(株)製)]、アデカポリエーテル(旭電化工業(株)製)、カルボワックス[Carbowax(グリコ・プロダクス)]、トリトン[Toriton(ローム・アンド・ハース(Rohm and Haas製))]及びP.E.G(第一工業製薬(株)製)として販売されているものを公知の方法でアクリル酸、メタクリル酸、アクリルクロリド、メタクリルクロリド又は無水アクリル酸等と反応させることによって製造できる。
【0064】
また、上市されているものとして、日本油脂株式会社製のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしてブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーAE−400、ブレンマーPP−1000、ブレンマーPP−500、ブレンマーPP−800、ブレンマーAP−150、ブレンマーAP−400、ブレンマーAP−550、ブレンマーAP−800、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B、ブレンマーAEPシリーズ、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー55PET−800、ブレンマーAETシリーズ、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー70PPT−800、ブレンマーAPTシリーズ、ブレンマー10PPB−500B、ブレンマー10APB−500Bなどがあげられる。
【0065】
共重合の形態としては、ランダム共重合でもよく、ブロック共重合でもよい。下限臨界温度の親水、疎水変化をシャープにするためには、ランダム共重合が好ましい。
【0066】
これらの、感熱応答性高分子においては、重合開始剤としては、アクリル系モノマーとアミド系モノマーの重合であるため、ラジカルを発生する開始剤であることが好ましく、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を用いることができる。
【0067】
油溶性の過酸化物系あるいはアゾ系開始剤が好ましく、一例を挙げると、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メメチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メチキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4′−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート等がある。
【0068】
特に、ターシャリイソブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物類、過酸化水素等が好ましい。
【0069】
また、そのほか、光重合開始剤も同様に好ましい重合開始剤として挙げられる。例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の光ラジカル開始剤等が挙げられる。
【0070】
これら重合開始剤は、上記モノマーに対して、0.01〜20質量%の範囲内、特に、0.1〜10質量%の範囲内で使用されるのが好ましい。
【0071】
本発明において、重合体の製造過程での反応の場では、有機溶媒又は水を使ってもよく、又は使わなくてもよい。後工程で溶媒を除く必要があるため、好ましくは、溶媒を使用しない方がよい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、エーテル、イソプロピルエーテル等エーテル類、またテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、あるいは芳香族炭化水素であるトルエン等特に制限はない。
【0072】
(感熱応答層の形成方法)
本発明に係る感熱応答性高分子を転写基材の表面に被覆する方法としては、転写基材にモノマーで塗布して重合する方法と、あらかじめモノマーを重合して感熱応答性高分子にしてから塗布する方法、あるいは、モノマーを含有する溶液中に転写基材を浸漬した後、重合して形成する方法があり、いずれの方法であってもよい。
【0073】
転写基材上に感熱応答性高分子、又はそのモノマーを付与する方法には、特に制限はなく、例えば、バーコーター法、カーテンコート法、浸漬法、エアーナイフ法、ホッパー塗布法、リバースロール塗布法、グラビア塗布法、エクストリュージョン塗布法、真空蒸着法(スパッタリング法)等の公知の方法を用いることができる。
【0074】
感熱応答性高分子を転写基材上へ固定化する技術としては、熱による硬化、又はUV照射による硬化のいずれも採用してもよい。
【0075】
反応が早いという観点でUV照射による硬化が好ましく、UV光を用いる場合は、光源として、例えば、0.1kPa〜1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長を持つキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知のものが用いられる。
【0076】
なお、本発明において、感熱応答性高分子の転写基材への塗布量としては、特に制限はないが、0.1〜5.0μg/cmの範囲内であることが好ましく、0.5〜3.0μg/cmの範囲内であることがより好ましい。
【0077】
以下に、感熱応答層の形成方法の一例を示すが、本発明では、ここで例示する方法に限定されるものではない。
【0078】
転写基材として、例えば、ポリイミドフィルムを用い、転写基材表面にコロナ放電処理を施して表面を親水化したのち、アミノプロピルトリエトキシシランを噴射し、次いで、アンモニア水溶液を噴霧した後、80℃で乾燥する。
【0079】
次いで、ポリイミドフィルムを、2−ブロモイソブチリルブロミド及びトリエチルアミンのジクロロメタン溶液に浸漬し、25℃で12時間する。その後、ポリイミドフィルムをジクロロメタンでかけ洗い・乾燥する。得られたポリイミドフィルムを、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、及び塩化銅(I)/臭化銅(II)を含むメタノール/水溶液に浸漬させ、室温で所定時間静置する。得られたポリイミドフィルムをメタノールでかけ洗いしたのち、55℃にて乾燥することにより、感熱応答性高分子として、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を有する転写体を作製することができる。
【0080】
《インクジェット画像形成方法》
以下、本発明の転写体を用いたインクジェット画像形成方法について説明する。
【0081】
はじめに、本発明の転写体を用いたインクジェット画像形成方法に関する基本的な工程フローについて説明する。
【0082】
インクジェット画像形成方法をとしては、
1)インクとして、例えば、活性光線硬化型インクジェットインクを用い、
2)転写体を冷却して、上記活性光線硬化型インクジェットインクのインク液滴に対する接触角の度合いを変化させる、具体的には、接触角を小さくする工程と、
3)当該インク液滴を転写体に着弾させる工程と、
4)前記転写体を対し、外部刺激として熱刺激を適用し、転写体を加熱して転写体表面のインク液滴に対する接触角の度合いを変化させる工程、具体的には、転写体の表面特性を小さな接触角特性から大きな接触角特性へと変化させ、表面のインク液滴に対する接触角を大きくする工程と、
5)インク画像を記録媒体上に転写させる工程と、
6)当該記録媒体上に転写したインク液滴に、例えば、活性光線を照射して画像の硬化膜を形成する工程と、
7)前記転写体に残留したインクジェット画像を除去するクリーニング工程と、
により構成することができる。
【0083】
次いで、図を交えて、インクジェット画像形成方法の詳細について説明する。
【0084】
図1は、本発明の転写体を用いたインクジェット画像形成方法の画像形成工程の一例で、外部刺激により接触角が変化する材料として感熱応答性高分子を用いた例を示すフロー図である。
【0085】
図1のステップaで示す転写体(1)は、転写基材(2)上に、感熱応答性高分子を含有する感熱応答層(3)が形成されている。図1のステップaでは、転写体を冷却して、感熱応答性高分子の下限臨界溶液温度(LCST)以下とすることにより、感熱応答層(3A)の表面特性を、インク液滴(4)に対する接触角の度合いを小さい接触角側に変化させる。
【0086】
次いで、ステップbでは、このような状態で、感熱応答層(3A)上に、インク液滴(4)を着弾させる。
【0087】
次いで、図1のステップcで示すように、下限臨界溶液温度(LCST)以下である感熱応答層(3A)に着弾したインク液滴(4A)は、小さな接触角特性を有する感熱応答層(3A)上で濡れ広がる状態となる。
【0088】
次いで、図1のステップdで示すように、インク液滴(4A)が着弾した転写体(1)を、感熱応答層が含有する感熱応答性高分子の下限臨界溶液温度(LCST)以上となるように、熱刺激(加熱処理)を行うことにより、感熱応答層(3B)の表面特性は、インク液滴に対する接触角として小さい状態から大きい状態へとシフトし、これに伴い、着弾しているインク液滴(4B)の接触角も大きくなる。
【0089】
次いで、図1のステップeで示すように、接触角が大きい状態のインク液滴(4B)を、被転写体である記録媒体(5)に加圧・密着させることにより、インク液滴(4B)を、記録媒体(5)上に転写する。
【0090】
次いで、図1には示していないが、クリーニング工程にて、前記転写体に残留したインクジェット画像残留物を除去する。
【0091】
最後に、再び、転写体を下限臨界溶液温度(LCST)以下に冷却することにより、感熱応答層の表面特性は、インク液滴に対し、大きい接触角特性を有する感熱応答層(3B)から小さい接触角特性を有する感熱応答層(3A)に変化させた図1のステップaに戻る。
【0092】
これを繰り返すことにより、連続して転写体を用いたインクジェット画像を形成することができる。
【0093】
次いで、本発明の転写体を用いたインクジェット画像形成方法に適用可能な記録媒体、インクジェットインク及びインクジェット記録装置の詳細について説明する。
【0094】
[記録媒体]
前記図1のステップeで説明したように、転写体に形成したインク液滴を、転写するのに用いる記録媒体(5)について説明する。
【0095】
本発明に適用可能な記録媒体としては、例えば、インク吸収層を有するインクジェット専用紙の他に、コピー等で使用されている普通紙、アート紙等の紙製の基材、通常の非コート紙、基紙の両面を樹脂等で被覆したコート紙、各種貼合紙、合成紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリスチレン(OPS)、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ナイロン(ONy)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート(PP)、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類やガラス類にも適用可能である。
【0096】
本発明に適用可能な普通紙としては、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄様印刷紙、微塗工印刷用紙、色上質紙等特殊印刷用紙、フォーム用紙、PPC用紙(コピー用紙)、その他情報用紙等が挙げられる。
【0097】
また、アート紙としては、例えば、OK金藤N、サテン金藤N、SA金藤、ウルトラサテン金藤N、OKウルトラアクアサテン、OK金藤片面、Nアートポスト、NK特両面アート、雷鳥スーパーアートN、雷鳥スーパーアートMN、雷鳥アートN、雷鳥ダルアートN等が挙げられる。
【0098】
また、コート紙としては、例えば、PODグロスコート、OKトップコート+、OKトップコートS、オーロラコート、ミューコート、ミューホワイト、雷鳥コートN、ユトリロコート、パールコート、ホワイトパールコート、PODマットコート、ニューエイジ、ニューエイジW、OKトップコートマットN、OKロイヤルコート、OKトップコートダル等が挙げられる。
【0099】
[インク組成]
本発明のインクジェット画像形成方法に適用可能なインクとしては、特に制限はなく、水溶性有機溶剤を含有する水性インク(染料タイプ、顔料タイプ)、有機溶剤をベヒクルとした溶剤インク、紫外線等により硬化する光重合性化合物を含有する活性光線硬化型インク、ワックス等が含有する固体インク(ホットメルトインク)等を挙げることができる。
【0100】
水性インクとしては、例えば、特開2010−270322号公報、特開2011−006657号公報、特開2011−144303号公報、特開2012−031246号公報、特開2014−025067号公報、特開2015−178624号公報、特開2016−053184号公報等に記載されているインク組成物を挙げることができる。
【0101】
また、溶剤インクとしては、例えば、特開2008−094976号公報、特開2011−089026号公報、特開2016−166311号公報等に記載さされているインク組成物を挙げることができる。
【0102】
〔活性光線硬化型インク〕
本発明においては、上記各種インクの中でも、活性光線により硬化する活性光線硬化型インクであることが、本発明の目的効果をより発現させることができる点で好ましい。更に好ましくは、活性光線硬化型インクが、ゲル化剤を含有し、ゲル化温度が、転写体が含有する感熱応答性高分子のLCST温度以上であり、かつゲル化温度以下でゲル状態をとることが好ましい形態である。
【0103】
以下、本発明に適用可能な活性光線硬化型インクについて説明する。
【0104】
本発明に係る活性光線硬化型インクは、主には、色材(例えば、顔料や染料等。)、光重合性化合物、光重合開始剤、重合禁止剤等から構成されている。
【0105】
更に、本発明に係る活性光線硬化型インクでは、上記のとおり、ゲル化剤を含有することが好ましい態様である。以下、本発明に係る活性光線硬化型インクの各構成要素の詳細について説明する。
【0106】
(光重合性化合物)
本発明に好適な活性光線硬化型インクでは、少なくとも活性光線により硬化する機能を有する光重合性化合物を含有することが好ましい。
【0107】
光重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマー又はこれらの混合物のいずれであってもよい。光重合性化合物は、本発明に係るインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0108】
ここでいう活性光線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、γ線、及びエックス線等のエネルギー線であり、好ましくは、紫外線又は電子線である。光重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物又はカチオン重合性化合物を挙げることができ、好ましくはラジカル重合性化合物である。
【0109】
光重合性化合物の含有量は、例えば、本発明に係るインクの全質量に対して1〜97質量%の範囲内とすることが硬化性や柔軟性などの膜物性の観点で好ましく、30〜95質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0110】
〈ラジカル重合性化合物〉
本発明に適用可能なラジカル重合性化合物としては、不飽和カルボン酸エステルであることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
【0111】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0112】
(メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸及びt−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートを含む単官能のアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA構造を有するジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びトリプロピレングリコールジアクリレートを含む2官能の(メタ)アクリレート、並びに、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートを含む3官能以上の(メタ)アクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー、並びにこれらの変性物が含まれる。
【0113】
上記変性物の例には、エチレンオキサイド基を挿入したエチレンオキサイド変性(EO変性)アクリレート、及びプロピレンオキサイドを挿入したプロピレンオキサイド変性(PO変性)アクリレートが含まれる。
【0114】
〈分子量及びClogP値を規定したアクリレート化合物A〉
本発明に係る活性光線硬化型インクにおいては、ラジカル重合性化合物として、分子量が280〜1500の範囲内であり、かつ、ClogP値が4.0〜7.0の範囲内の(メタ)アクリレート化合物(以下、単に「(メタ)アクリレート化合物A」ともいう)を含むことが好ましい。
【0115】
(メタ)アクリレート化合物Aは、(メタ)アクリレート基を2以上有することがより好ましい。
【0116】
(メタ)アクリレート化合物Aの分子量は、上記のように280〜1500の範囲内であり、300〜800の範囲内であることがより好ましい。
【0117】
インクジェット記録ヘッドからインクを安定に吐出するためには、80℃でのインク粘度を3〜20、好ましくは7〜14mPa・sの間にすることができる。
【0118】
分子量が280以上の(メタ)アクリレート化合物と、後述するゲル化剤とをインク組成物に含ませることで、着弾後のインク粘度が高まり、記録媒体へのインクの浸透を抑制することができるので、硬化性の低下を抑える効果が期待できる。一方、分子量が1500以下の(メタ)アクリレート化合物を含ませることで、インクのゾル粘度の過剰な高まりを抑えることができ、塗膜の光沢均一性の向上が期待できる。
【0119】
ここで、(メタ)アクリレート化合物Aの分子量は、下記市販のソフトウェアパッケージ1又は2を用いて測定することができる。
【0120】
ソフトウェアパッケージ1:MedChem Software (Release 3.54,1991年8月、Medicinal Chemistry Project, Pomona College,Claremont,CA)、
ソフトウェアパッケージ2:Chem Draw Ultra ver.8.0.(2003年4月、CambridgeSoft Corporation,USA)。
【0121】
本発明においては、活性光線光型インクが光重合性化合物の少なくとも一部として(メタ)アクリレート化合物Aを含んでいると、ClogP値が4.0未満の(メタ)アクリレート化合物を光重合性化合物として使用した活性光線硬化型インクよりも光沢値が低下する傾向にある。よって、コロナ放電処理前の60°光沢値が比較的低い記録媒体に画像形成するためのインクに使用すると、印字部と非印字部と光沢差を小さくすることができるので好ましい。(メタ)アクリレート化合物AはClogP値が4.0未満の(メタ)アクリレート化合物よりも疎水性が高いため、より多くのゲル化剤が反発してインクの硬化膜表面に移動し、凹凸を増やすことによって、印字部の光沢値が低下すると考えられる。さらに、(メタ)アクリレート化合物AのClogP値は、4.5〜6.0の範囲内であることがより好ましい。
【0122】
ここで「logP値」とは、水と1−オクタノールに対する有機化合物の親和性を示す係数である。
【0123】
1−オクタノール/水分配係数Pは、1−オクタノールと水の二液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPで示す。すなわち、「logP値」とは、1−オクタノール/水の分配係数の対数値であり、分子の親疎水性を表す重要なパラメータとして知られている。
【0124】
「ClogP値」とは、計算により算出したlogP値である。ClogP値は、フラグメント法や、原子アプローチ法等により算出されうる。より具体的に、ClogP値を算出するには、文献(C.Hansch及びA.Leo、“Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology”(John Wiley & Sons, New York, 1969))に記載のフラグメント法又は下記市販のソフトウェアパッケージ1又は2を用いればよい。
【0125】
ソフトウェアパッケージ1:MedChem Software (Release 3.54,1991年8月、Medicinal Chemistry Project, Pomona College,Claremont,CA)、
ソフトウェアパッケージ2:Chem Draw Ultra ver.8.0.(2003年4月、CambridgeSoft Corporation,USA)。
【0126】
本発明でいう「ClogP値」の数値は、ソフトウェアパッケージ2を用いて計算した「ClogP値」である。
【0127】
インクに含まれる(メタ)アクリレート化合物Aの量に特に限定はないが、インク全質量中、1〜40質量%の範囲内であることが好ましく、5〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。(メタ)アクリレート化合物Aの量を1質量%以上とすることで、インクが親水的になりすぎず、ゲル化剤がインクに十分に溶解するため、インクがゾル−ゲル相転移しやすくなる。一方、(メタ)アクリレート化合物Aの量を40質量%以下とすることで、光重合開始剤をインクに十分に溶解させることができる。
【0128】
(メタ)アクリレート化合物Aのより好ましい例には、(1)分子内に(−C(CH)H−CH−O−)で表される構造を3〜14個有する、3官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物、及び(2)分子内に環状構造を持つ2官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物が含まれる。これらの(メタ)アクリレート化合物は、光硬化性が高く、かつ硬化したときの収縮が少ない。さらに、ゾル−ゲル相転移の繰り返し再現性が高い。
【0129】
分子内に(−C(CH)H−CH−O−)で表される構造を3〜14個有する、3官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物とは、例えば、3個以上のヒドロキシ基を有する化合物のヒドロキシ基をプロピレンオキシド変性し、得られた変性物を(メタ)アクリル酸でエステル化したものである。
【0130】
この化合物の具体例としては、
3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート Photomer 4072(分子量:471、ClogP:4.90、Cognis社製)、
3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート Miramer M360(分子量:471、ClogP:4.90、Miwon社製)
等が含まれる。
【0131】
分子内に環状構造を持つ2官能以上のメタクリレート又はアクリレート化合物とは、例えば、2以上のヒドロキシ基とトリシクロアルカンとを有する化合物のヒドロキシ基を、(メタ)アクリル酸でエステル化したものである。
【0132】
この化合物の具体例には、
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート NKエステルA−DCP(分子量:304、ClogP:4.69)、
トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート NKエステルDCP(分子量:332、ClogP:5.12)
等が含まれる。
【0133】
(メタ)アクリレート化合物Aの別の具体例としては、1,10−デカンジオールジメタクリレート NKエステルDOD−N(分子量:310、ClogP:5.75、新中村化学社製)なども含まれる。
【0134】
光重合性化合物には、(メタ)アクリレート化合物A以外の光重合性化合物がさらに含まれていてもよい。
【0135】
その他の光重合性化合物には、例えば、ClogP値が4.0未満である(メタ)アクリレートモノマー、又はオリゴマー、ClogP値が7.0を超える(メタ)アクリレートモノマー、又はオリゴマー、その他の重合性オリゴマー等がある。
【0136】
これらの(メタ)アクリレートモノマー、又はオリゴマーの例には、4EO変性ヘキサンジオールジアクリレート(CD561、Sartomer社製、分子量358);3EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR454、Sartomer社製、分子量429);4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494、Sartomer社製、分子量528);6EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(SR499、Sartomer社製、分子量560);カプロラクトンアクリレート(SR495B、Sartomer社製、分子量344);ポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA−400、新中村化学社製、分子量508)、(NKエステルA−600、新中村化学社製、分子量708);ポリエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル9G、新中村化学社製、分子量536)、(NKエステル14G、新中村化学社製);テトラエチレングリコールジアクリレート(V#335HP、大阪有機化学社製、分子量302);ステアリルアクリレート(STA、大阪有機化学社製);フェノールEO変性アクリレート(M144、Miwon社製);ノニルフェノールEO変性アクリレート(M166、Miwon社製)等が含まれる。
【0137】
その他の重合性オリゴマーの例には、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等が含まれる。
【0138】
〈カチオン重合性化合物〉
本発明に適用可能なカチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物及びオキセタン化合物等を挙げることができる。
【0139】
カチオン重合性化合物は、インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0140】
エポキシ化合物は、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド又は脂肪族エポキシド等であり、硬化性を高めるためには、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましい。
【0141】
芳香族エポキシドは、多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるジ又はポリグリシジルエーテルでありうる。
【0142】
反応させる多価フェノール又はそのアルキレンオキサイド付加体の例には、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加体等が含まれる。
【0143】
アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等でありうる。
【0144】
脂環式エポキシドは、シクロアルカン含有化合物を、過酸化水素や過酸等の酸化剤でエポキシ化して得られるシクロアルカンオキサイド含有化合物でありうる。シクロアルカンオキサイド含有化合物におけるシクロアルカンは、シクロヘキセン又はシクロペンテンでありうる。
【0145】
脂肪族エポキシドは、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるジ又はポリグリシジルエーテルでありうる。
【0146】
脂肪族多価アルコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール等が含まれる。アルキレンオキサイド付加体におけるアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等でありうる。
【0147】
ビニルエーテル化合物の例には、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物;
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物等が含まれる。これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性や密着性などを考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましい。
【0148】
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物であり、その例には、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報、特開2005−255821号公報等に記載のオキセタン化合物等が含まれる。中でも、特開2005−255821号公報の段落番号(0089)に記載の一般式(1)で表される化合物、同号公報の段落番号(0092)に記載の一般式(2)で表される化合物、同号公報の段落番号(0107)に記載の一般式(7)で表される化合物、同号公報の段落番号(0109)に記載の一般式(8)で表される化合物、同号公報の段落番号(0116)に記載一般式(9)で表される化合物等が挙げられる。
【0149】
(ゲル化剤)
本発明に係る活性光線硬化型インクがゲル化剤を含有し、ゲル化温度が、転写体が含有する感熱応答性高分子のLCST以上であり、かつゲル化温度以下でゲル状態をとることが好ましい。
【0150】
ゲル化剤は、転写基材上に着弾したインク液滴をゲル状態にして仮固定(ピニング)する機能を有する。ゲル化剤を含むインクは、ゲル状態でピニングされると、インクの濡れ広がりが抑えられて隣り合うドットが合一しにくくなるため、より高精細な画像を形成することができる。
【0151】
ゲル化剤は、活性光線硬化型インクのゲル化温度以下の温度で結晶化することが好ましい。ゲル化温度とは、加熱によりゾル化又は液体化したインクを冷却したときに、ゲル化剤がゾルからゲルに相転移し、インクの粘度が急変する温度をいう。具体的には、ゾル化又は液体化したインクを、粘弾性測定装置(例えば、MCR300、アントンパール社製)で粘度を測定しながら冷却していき、粘度が急激に上昇したときの温度を、そのインクのゲル化温度とすることができる。
【0152】
ゲル化剤がインク中で結晶化すると、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間に光重合性化合物が内包される構造、いわゆるカードハウス構造が形成される。カードハウス構造が形成されると、液体の光重合性化合物が前記三次元空間内に保持されるため、インク液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、記録媒体に着弾したインク液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。
【0153】
カードハウス構造を形成するには、インク中で溶解している光重合性化合物とゲル化剤とが相溶していることが好ましい。
【0154】
カードハウス構造の形成に適したゲル化剤の例には、脂肪族ケトン、脂肪族エステル、石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、硬化ヒマシ油、変性ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール、ヒドロキシステアリン酸、N−置換脂肪酸アミド及び特殊脂肪酸アミドを含む脂肪酸アミド、高級アミン、ショ糖脂肪酸のエステル、合成ワックス、ジベンジリデンソルビトール、ダイマー酸並びにダイマージオールが含まれる。中でも、ピニング性をより高める観点から、炭素数9〜25の範囲内の炭化水素基を有する、脂肪族ケトン、脂肪族エステル、高級脂肪酸、及び高級アルコールが好ましい。ゲル化剤は、インク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0155】
脂肪族ケトンの例には、ジリグノセリルケトン、ジベヘニルケトン、ジステアリルケトン、ジエイコシルケトン、ジパルミチルケトン、ジラウリルケトン、ジミリスチルケトン、ミリスチルパルミチルケトン及びパルミチルステアリルケトンが含まれる。
【0156】
脂肪族エステルの例には、ベヘニン酸ベヘニル、イコサン酸イコシル、パルミチン酸オレイル等のモノアルコールの脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル及びポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の多価アルコールの脂肪酸エステルが含まれる。
【0157】
上記脂肪族エステルの市販品の例には、EMALEXシリーズ、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)、リケマールシリーズ及びポエムシリーズ、理研ビタミン社製(「リケマール」及び「ポエム」はいずれも同社の登録商標)が含まれる。
【0158】
高級脂肪酸の例には、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、及びエルカ酸が含まれる。
【0159】
高級アルコールの例には、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールが含まれる。
【0160】
中でも、本発明においては、ゲル化剤として、下記一般式(G1)で表される脂肪族ケトン又は下記一般式(G2)で表される脂肪族エステルが、特に好ましい。
【0161】
一般式(G1):R−CO−R
一般式(G1)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が12〜26の範囲内の直鎖部分を含み、かつ、分岐を含んでもよいアルキル基を表す。R及びRは、同じであっても、異なっていてもよい。
【0162】
一般式(G2):R−COO−R
一般式(G2)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が12〜26の範囲内の直鎖部分を含み、かつ、分岐を含んでもよいアルキル基を表す。R及びRは、同じであっても、異なっていてもよい。
【0163】
一般式(G1)及び(G2)において、直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基の炭素数が12以上であるため、一般式(G1)で表される脂肪族ケトンや一般式(G2)で表される脂肪族エステルの結晶性がより高まり、かつ上記カードハウス構造においてより十分な空間が生じる。そのため、光重合性化合物が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性がより高くなる。直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基の炭素原子数が26以下であるため、一般式(G1)で表される脂肪族ケトンや一般式(G2)で表される脂肪族エステルの融点が過度に高まらず、インクを出射するときにインクを過度に加熱する必要がない。
【0164】
一般式(G1)で表される脂肪族ケトンの例には、ジリグノセリルケトン(炭素数:23〜24)、ジベヘニルケトン(炭素数:21〜22)、ジステアリルケトン(炭素数:17〜18)、ジエイコシルケトン(炭素数:19〜20)、ジパルミチルケトン(炭素数:15〜16)、ジミリスチルケトン(炭素数:13〜14)、ジラウリルケトン(炭素数:11〜12)、ラウリルミリスチルケトン(炭素数:11〜14)、ラウリルパルミチルケトン(炭素数:11〜16)、ミリスチルパルミチルケトン(炭素数:13〜16)、ミリスチルステアリルケトン(炭素数:13〜18)、ミリスチルベヘニルケトン(炭素数:13〜22)、パルミチルステアリルケトン(炭素数:15〜18)、バルミチルベヘニルケトン(炭素数:15〜22)及びステアリルベヘニルケトン(炭素数:17〜22)が含まれる。括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
【0165】
一般式(G1)で表される脂肪族ケトンの市販品の例には、18−Pentatriacontanon、Alfa Aeser社製、Hentriacontan−16−on、Alfa Aeser社製及びカオーワックスT−1、花王社製が含まれる。
【0166】
一般式(G2)で表される脂肪族エステルの例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21〜22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19〜20)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17〜18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17〜16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17〜12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15〜6)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15〜18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13〜14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13〜16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13〜20)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17〜18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21〜18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17〜18)、オレイン酸ベヘニル(炭素数:18〜22)及びリノール酸アラキジル(炭素数:17〜20)が含まれる。括弧内の炭素数は、エステル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
【0167】
一般式(G2)で表される脂肪族エステルの市販品の例には、ユニスターM−2222SL及びスパームアセチ、日油社製(「ユニスター」は同社の登録商標)、エキセパールSS及びエキセパールMY−M、花王社製(「エキセパール」は同社の登録商標)、EMALEX CC−18及びEMALEX CC−10、日本エマルジョン社製(「EMALEX」は同社の登録商標)並びにアムレプスPC、高級アルコール工業社製(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。
【0168】
ゲル化剤の含有量は、インクの全質量に対して1.0〜10.0質量%の範囲内であることが好ましい。ゲル化剤の含有量を1.0質量%以上とすることで、インクのピニング性を十分に高め、より高精細な画像を形成することができる。また、インクのピニング性を高めることで、特に吸水性の記録媒体に画像を形成したときに、インクが記録媒体の内部に入り込むことによる発色不足を抑制しうる。ゲル化剤の含有量を10.0質量%以下とすることで、形成した画像の表面からのゲル化剤の析出を抑制でき、かつインクジェットヘッドからのインクの吐出性を損ないにくい。
【0169】
ゲル化剤の含有量は、インクの全質量に対して1.0〜7.0質量%の範囲内であることがより好ましく、1.1〜5.0質量%の範囲内であることがさらに好ましく、1.3〜4.0質量%の範囲内であることが最も好ましい。
【0170】
(光重合開始剤)
本発明に係る光重合性化合物を含有する活性光線硬化型インクでは、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、光重合性化合物がラジカル重合性化合物であるときは、光ラジカル開始剤であり、光重合性化合物がカチオン重合性化合物であるときは、光酸発生剤である。
【0171】
光重合開始剤は、インク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。光重合開始剤は、光ラジカル開始剤と光酸発生剤の両方の組み合わせであってもよい。
【0172】
光ラジカル開始剤としては、開裂型ラジカル開始剤又は水素引き抜き型ラジカル開始剤を挙げることができる。
【0173】
開裂型ラジカル開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンを含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルを含むベンゾイン系の開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドを含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジル及びメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
【0174】
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンを含むベンゾフェノン系の開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン及び2,4−ジクロロチオキサントンを含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン及び4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンを含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン及びカンファーキノンが含まれる。
【0175】
光酸発生剤の例には、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページに記載の化合物が含まれる。
【0176】
光重合開始剤の含有量は、光重合性化合物を十分に硬化させうる範囲であればよく、例えばインクの全質量に対して0.01〜10質量%の範囲内とすることができる。
【0177】
(その他の添加剤)
本発明に適用する活性光線硬化型インクは、本発明の効果が得られる範囲において、光重合開始剤助剤、重合禁止剤、高分子分散剤、界面活性剤等の他の成分をさらに含んでいてもよい。
【0178】
〈光重合開始剤助剤及び重合禁止剤〉
本発明に適用する活性光線硬化型インクには、必要に応じて光重合開始剤助剤や重合禁止剤などをさらに含んでもよい。
【0179】
光重合開始剤助剤は、第3級アミン化合物であってよく、芳香族第3級アミン化合物が好ましい。芳香族第3級アミン化合物の例には、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸イソアミルエチルエステル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、トリエチルアミン及びN,N−ジメチルヘキシルアミン等が含まれる。なかでも、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ−p−安息香酸イソアミルエチルエステルが好ましい。これらの化合物は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0180】
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシム、シクロヘキサノンオキシム等が含まれる。
【0181】
〈高分子分散剤〉
高分子分散剤として、例えば、ヒドロキシ基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
【0182】
また、高分子分散剤として、例えば、塩基性基を有するくし型ブロックコポリマーを用いてもよい。
【0183】
塩基性基を有するくし型ブロックコポリマーにおけるくし型ブロックコポリマーとは、主鎖を形成する直鎖状のポリマーと、直鎖状の主鎖を構成するモノマー由来のそれぞれの構成単位に対してグラフト重合した別の種類のポリマーとを有するコポリマーをいう。
【0184】
側鎖としては、長鎖ポリオキシアルキル基(EO−PO共重合基)が好ましい。くし型ブロックコポリマーの例には、主鎖がアクリル酸エステルのポリマーであり、側鎖が長鎖ポリオキシアルキル基(EO−PO共重合基)であるものが含まれる。
【0185】
塩基性基を有するくし型ブロックコポリマーにおける塩基性基は、4級、3級、2級又は1級のアミン基であることが好ましい。
【0186】
高分子分散剤の重量平均分子量は、1000〜50000の範囲内であることが好ましく、5000〜30000の範囲内であることがより好ましい。高分子分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によりポリスチレン換算にて求めることができる。
【0187】
塩基性基を含む高分子分散剤の市販品の例には、BYK社製のDISPERBYK−109、161、168、180、2013、2155、BYKJET−9150及びBYKJET−9151;BASF社製のEfka−4431、PX4701;味の素ファインテクノ社製のPB−821、822、824;Lubrizol社製のSolsperse 24000GR、32000、39000、71000及びJ−200等が含まれる。「DISPERBYK」、「BYKJET」はBYK社の登録商標であり、「Efka」はBASF社の登録商標であり、「Solsperse」はLubrizol社の登録商標である。
【0188】
高分子分散剤の含有量は、色材が顔料である場合、顔料の全質量に対して30〜70質量%の範囲内であることが好ましい。高分子分散剤の含有量が、顔料に対して30質量%以上であると、顔料の凝集をより生じにくくしうるだけでなく、顔料とゲル化剤との相互作用を効果的に抑制し、高温保存下の光沢変動、ドット径変動をより抑制しうる。高分子分散剤の含有量が、顔料に対して70質量%より多いと、顔料分散に寄与しない余分な高分子分散剤が、ゲル化阻害を起こし、初期光沢値、初期ドット径が大きくなってしまう。
【0189】
高分子分散剤の含有量は、顔料の全質量に対して35〜65質量%の範囲内であることがより好ましい。
【0190】
高分子分散剤は、本発明のインクジェットインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
【0191】
顔料と高分子分散剤の分散は、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル又はペイントシェーカーにより行うことができる。
【0192】
〈界面活性剤〉
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、及び第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、並びにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
【0193】
シリコーン系の界面活性剤の例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物、具体的には、KF−351A、KF−352A、KF−642及びX−22−4272、信越化学工業製、BYK307、BYK345、BYK347及びBYK348、ビッグケミー製(「BYK」は同社の登録商標)、並びにTSF4452、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製が含まれる。
【0194】
フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部又は全部をフッ素で置換したものを意味する。フッ素系の界面活性剤の例には、Megafac F、DIC社製(「Megafac」は同社の登録商標)、Surflon、AGCセイケミカル社製(「Surflon」は同社の登録商標)、Fluorad FC、3M社製(「Fluorad」は同社の登録商標)、Monflor、インペリアル・ケミカル・インダストリー社製、Zonyls、イー・アイ・デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー社製、Licowet VPF、ルベベルケ・ヘキスト社製、及びFTERGENT、ネオス社製(「FTERGENT」は同社の登録商標)が含まれる。
【0195】
界面活性剤の量は、本発明の効果が得られる範囲において、任意に設定することができる。界面活性剤の量は、インクの全質量に対して、例えば0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
【0196】
(色材)
本発明に係る活性光線硬化型インクに適用可能な色材としては、染料又は顔料を適用することができ、インクの構成成分に対して良好な分散性を有し、かつ耐候性に優れることから、顔料がより好ましい。
【0197】
〈染料〉
染料としては、油溶性染料等を適用することができる。油溶性染料は、以下の各種染料が挙げられる。マゼンタ染料の例には、MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta HSo−147(以上、三井東圧社製)、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR−31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)が含まれる。
【0198】
シアン染料の例には、MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan HSo−144、MS Cyan VPG(以上、三井東圧社製)、AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB−LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL−5 200、Light Blue BGL−5 200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
【0199】
イエロー染料の例には、MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(三井東圧)、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3、AIZEN SOT Yellow−6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY−68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
【0200】
ブラック染料の例には、MS Black VPC(三井東圧社製)、AIZEN SOT Black−1、AIZEN SOT Black−5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A−N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB−202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等が含まれる。
【0201】
〈顔料〉
本発明に係る活性光線硬化型インクには、色材として顔料を適用することが好ましく、顔料として特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.)に記載される下記番号の有機顔料又は無機顔料を挙げることができる。
【0202】
赤あるいはマゼンタ顔料の例には、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36等が含まれる。青又はシアン顔料の例には、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60等が含まれる。緑顔料の例には、Pigment Green 7、26、36、50が含まれる。黄顔料の例には、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193等が含まれる。黒顔料の例には、Pigment Black 7、28、26等が含まれる。
【0203】
顔料の市販品の例には、クロモファインイエロー2080、5900、5930、AF−1300、2700L、クロモファインオレンジ3700L、6730、クロモファインスカーレット6750、クロモファインマゼンタ6880、6886、6891N、6790、6887、クロモファインバイオレット RE、クロモファインレッド6820、6830、クロモファインブルーHS−3、5187、5108、5197、5085N、SR−5020、5026、5050、4920、4927、4937、4824、4933GN−EP、4940、4973、5205、5208、5214、5221、5000P、クロモファイングリーン2GN、2GO、2G−550D、5310、5370、6830、クロモファインブラックA−1103、セイカファストエロー10GH、A−3、2035、2054、2200、2270、2300、2400(B)、2500、2600、ZAY−260、2700(B)、2770、セイカファストレッド8040、C405(F)、CA120、LR−116、1531B、8060R、1547、ZAW−262、1537B、GY、4R−4016、3820、3891、ZA−215、セイカファストカーミン6B1476T−7、1483LT、3840、3870、セイカファストボルドー10B−430、セイカライトローズR40、セイカライトバイオレットB800、7805、セイカファストマルーン460N、セイカファストオレンジ900、2900、セイカライトブルーC718、A612、シアニンブルー4933M、4933GN−EP、4940、4973(大日精化工業製);
KET Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製);
Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製);
Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ製)、 Toner Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製);
Novoperm P−HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製);
カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)などが挙げられる。
【0204】
また、白色顔料として、酸化チタン(特にルチル型の二酸化チタン)を用いることもできる。
【0205】
顔料の体積平均粒子径は0.1〜0.5μmであることが好ましい。顔料の最大粒子径は0.1〜1.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmであり、特に好ましくは、0.2〜0.5μmの範囲内である。顔料の粒子径を調整することによって、インクジェット記録ヘッドのノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
【0206】
本発明において、活性光線硬化型インクが含有する色材の量は、インク全質量に対して0.1〜20質量%の範囲内であることが好ましく、0.4〜10質量%の範囲内であることがより好ましい。顔料又は染料の含有量が少なすぎると、得られる画像の発色が十分ではなく、多すぎるとインクの粘度が高くなり、吐出性が低下するからである。
【0207】
《インクジェット画像形成装置》
次いで本発明の転写体を用いたインクジェット画像形成装置と、インクジェット画像の形成方法について説明する。
【0208】
図2は、本発明の転写体を具備したインクジェット画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0209】
図2では、転写体として、無端ベルト状の転写体を用い、当該転写体は外部刺激として熱刺激により接触角が変化する感熱応答性高分子を有し、インクジェットインクとしては、活性光線硬化型インクを用いた一例を示してある。
【0210】
図2において、インクジェット画像形成装置(8)は、インクジェットプリント方式を利用した転写型のインクジェット画像形成装置である。インクジェット画像形成装置(8)は、主に、各色のインクジェットヘッドを搭載したヘッドキャリッジ(10)と、転写部(20)と、記録媒体搬送ローラー(30)と、光照射部(50)と、加熱部(H)、冷却部(C)と、制御部(不図示)とで構成されている。
【0211】
図2に示すように、ヘッドキャリッジ(10)は、各色のインクジェットヘッド(11Y、11C、11M、11K)を備え、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のインクを、転写体(1)に吐出してインクに基づく画像を形成する(ステップbに相当)。この段階では、転写体(1)の表面は親水性となっており、着弾したインク液滴は濡れ拡がる(ステップcに相当)。
【0212】
各インクジェットヘッド(11)から吐出されるインクは、水及び任意に少量の有機溶剤を液体成分として含有する水型インクであっても良いし、有機溶剤を液体成分として含有するが実質的に水を含有しない溶剤系インクであっても良いし、紫外線および電子線などの活性光線を照射されることにより重合および架橋して硬化する光重合性化合物を液体成分として含有する活性光線硬化型インクであっても良い。図2で示す構成では、インクジェットヘッド(11)から吐出されるインクは、活性光線硬化型インクである例を示してある。
【0213】
転写部(20)は、一例としてベルト状の転写体(1)と、3つのベルト支持ローラー(22、23、24)とを有する。ベルト状の転写体(1)は無端状ベルトで構成され、3つのベルト支持ローラー(22、23、24)に逆三角形状に張架される。本発明に係るベルト状の転写体(1)は、少なくとも、ポリイミド等の樹脂材料から構成される転写基板と、当該転写基板上に、外部刺激により接触角が変化する感熱応答性高分子等を含む感熱応答層を有している。
【0214】
3つの支持ローラー(22、23、24)のうち、少なくとも1つのローラーは、駆動ローラーであり、制御部(不図示)の制御の下、駆動する。これにより、ベルト状の転写体(1)が矢印方向(図2における時計回り方向)に搬送される。
【0215】
ベルト状の転写体(1)における、逆三角形状の左右の頂点部分に位置するベルト支持ローラー(22及び24)に張架された部分は、各インクジェットヘッド(11)から吐出されたインクの着弾面となっている。
【0216】
ステップbの下流側には、ベルト状の転写体(1)におけるベルト支持ローラー(22及び23)に張架された領域には、インクが着弾したベルト状の転写体(1)に加熱処理を施して、感熱応答層の感熱応答性高分子を疎水化することにより、インクの接触角を大きくするための加熱部(H)が設けられている(ステップdに相当)。
【0217】
更に、下流側には、ベルト状の転写体(1)の逆三角形状の下側の頂点部分にはベルト支持ローラー(23)が配置され、このベルト支持ローラー(23)は、ベルト状の転写体(1)を記録媒体搬送ローラー(30)に向けて所定のニップ圧により加圧する加圧ローラーとして機能する。
【0218】
ベルト支持ローラー(23)に対向する位置に配置され、被転写体である記録媒体を保持する記録媒体搬送ローラー(30)は、金属ドラムで構成され、ベルト支持ローラー(23)により加圧されることで、転写ニップを形成する。記録媒体搬送ローラー(30)は、記録媒体(5)の先端を固定する爪(不図示)を有している。記録媒体搬送ローラー(30)は、制御部(不図示)の制御の下、当該爪に記録媒体(5)の先端を固定し、図2における反時計回り方向に回転することで、記録媒体(5)を転写ニップ部に搬送する(ステップe)。
【0219】
記録媒体(5)上に転写された活性光線硬化型インクにより作成されたインクジェット画像に対し、活性光線照射部(50)より、例えば、紫外線を照射して、当該インクジェット画像を硬化させる。
【0220】
次いで、ステップdの下流側で、ベルト状の転写体(1)におけるベルト支持ローラー(23及び24)に張架された領域には、記録媒体(5)への転写が完了したベルト状の転写体(1)に対し、その表面に転写時に残留したインクジェット画像を除去するためのクリーニング部(CL)が設けられている。クリーニング部は、転写体上の残留インク画像を物理的に剥離させる方法が有効であり、例えば、クリーンブレードを転写体表面に接触させ、物理的に残留インク画像を剥離させるクリーニングブレード法や、回転するブラシを用いて残留しているインク画像を剥離する方法、粘着ローラーやスポンジローラーを用い、残留しているインク画像を剥離する方法等を挙げることができる。
【0221】
次いで、表面のクリーニングが完了した転写体は、冷却部(C)により冷却を行い、ベルト状の転写体(1)を含有する感熱応答性高分子の下限臨界溶液温度(LCST)以下に冷却することにより、感熱応答層の表面特性を、疎水性から初期状態の親水性に変化させ、1サイクルが完了する(ステップaに相当)。
【0222】
上記においては、外部刺激としては熱刺激によるインクジェット画像形成方法について説明したが、後述の実施例に記載する印刷物20〜23の作製で適用するような転写体が外部刺激として、光刺激により、表面状態が親水性から疎水性に変化する光感応性高分子を適用する場合には、図2で示すように、ヘッドキャリッジ(10)の上流側に、予め転写体に光照射、例えば、紫外線照射を行う予備光照射部(51)を設け、事前に光照射により転写体を親水性にしたのち、インクを吐出し、その後、加熱部(H)による加熱処理により、疎水化及び転写を行うこともできる。
【0223】
上記インクジェット画像形成方法で用いられるインクジェットヘッドとしては、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でもよい。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いてもよい。また、印字方式としては、シリアルヘッド方式、ラインヘッド方式等を制限なく用いることができる。
【0224】
インクジェットヘッドとしては、例えば、特開2012−140017号公報、特開2013−010227号公報、特開2014−058171号公報、特開2014−097644号公報、特開2015−142979号公報、特開2015−142980号公報、特開2016−002675号公報、特開2016−002682号公報、特開2016−107401号公報、特開2017−109476号公報、特開2017−177626号公報等に記載されている構成からなるインクジェットヘッドを適宜選択して適用することができる。
【0225】
また、活性光線照射部(50)又は予備光照射部(51)における活性光線照射手段としては、活性光線が紫外線である場合、活性光線照射光源の例には、蛍光管(例えば、低圧水銀ランプ、殺菌灯等)、冷陰極管、紫外レーザー、数100Pa〜1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ及びLED等が含まれる。硬化性の観点から、照度が100mW/cm以上の紫外線を照射する紫外線照射手段、具体的には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、又はLED等が好ましく、消費電力の少ない点から、LEDがより好ましい。具体的には、Phoseon Technology社製(波長:395nm)、水冷LEDを用いることができる。
【0226】
また、加熱部(H)を構成する加熱手段としては、加熱温風、高温水加熱、電気ヒーター、マイクロ波等の公知の手段を適用することができる。
【実施例】
【0227】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行った。
【0228】
《印刷物の作製》
[印刷物1の作製]
〔転写体1の作製〕
転写基材として、ポリイミドフィルム(厚さ:40μm)を用い、転写基材表面にコロナ放電(コロナ出力強度:2.0kW,ライン速度:18m/分)を施して、転写基材表面を活性化したのち、アミノプロピルトリエトキシシランの5.0質量%エタノール溶液を噴射し、次いで、3.0%アンモニア水溶液を噴霧した後、80℃で1時間乾燥した。
【0229】
次いで、ポリイミドフィルムを、2−ブロモイソブチリルブロミド及びトリエチルアミンのジクロロメタン溶液に浸漬し、25℃で12時間静置した。その後、ポリイミドフィルムをジクロロメタンでかけ洗い・乾燥した。得られたポリイミドフィルムを、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、及び塩化銅(I)/臭化銅(II)を含む、メタノール/水溶液に浸漬させ、25℃で5時間静置した。得られたポリイミドフィルムをメタノールでかけ洗いしたのち、55℃にて30分乾燥し、感熱応答性高分子として、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を有する転写体1を作製した。感熱応答性高分子であるポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の下限臨界溶液温度(LCST)は、35℃である。
【0230】
〔インク1の調製:水系染料インク〕
分散剤として、DISPERBYK−190(ビックケミー社製、くし型ブロックポリマー分散剤、酸価10mgKOH/g、固形分40%)と、イオン交換水とを均一になるまで撹拌混合したのち、シアン染料として、Disperse Blue−60(分散染料)を加えて、プレミックスした後、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーで、ゼータサイザー1000(Malvern社製)を使用して動的光散乱法によって測定したZ−平均粒子径が130nmになるまで分散し、色材固形分が20質量%の分散液1を調製した。
【0231】
次いで、分散液1を10質量部と、溶剤としてエチレングリコール(EG)を5質量部、プロピレングリコール(PG)を3質量部及びグリセリン(GLY)を1質量部と、シリコーン系界面活性剤としてKF−351A(信越化学工業株式会社製)を0.2質量部、防黴剤としてプロキセルGXL(アーチ・ケミカルズ・ジャパン社製)を0.2質量部、及びイオン交換水の80.6質量部を、混合・撹拌して均一にした後、1μmメッシュのフィルターでろ過して、インク1を得た。
【0232】
〔接触角の測定〕
次いで、転写体1に対するインク1の25℃及び50℃における接触角を、下記の方法で測定した。
【0233】
転写体1の表面に対するインク1の接触角の測定は、JIS−R3257に基づいて、25℃、55%RHの雰囲気下、及び50℃、55%RHの雰囲気下で、転写体1及びインク1をそれぞれ、25℃、50℃に保温し、接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名DropMaster DM100)を用いて、インク1を1μL滴下し1分後における接触角を測定した。測定は、転写体1上の任意の10か所について測定し、その平均値を求めた。上記方法で測定した結果、転写体1に対するインク1の25℃における接触角は38度、50℃における接触角は65度であり、転写体1は外部刺激により接触角が変化する特性を有することを確認できた。
【0234】
〔インクジェット画像の形成〕
ペルチェ冷却・加温ユニットを用い、25℃とした転写体1に対し、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置よりインク1を射出し画像形成したのち、ペルチェ加温ユニットにて転写体1を45℃(LCST温度以上)に加熱した状態で、記録媒体として印刷用コート紙A(OKトップコート 米坪量128g/m 王子製紙社製)へ加圧転写を行ったのち、80℃で15秒間の加熱乾燥を施して、印刷物1を作製した。
【0235】
[印刷物2の作製]
上記印刷物1の作製において、転写体1を用い、インク1を下記に記載のインク2に変更し、更に、インクジェット画像の形成を下記に記載の形成方法に変更した以外は同様にして、印刷物2を作製した。
【0236】
〔インク2の調製:溶剤系染料インク〕
シアン染料としてDisperse Blue−60を20質量部、分散剤としてDISPERBYK−111(ビッグケミー社製の酸性分散剤、NV(Non Volataile Organic Compound)値=95質量%)を6.5質量部、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルの73.5質量部を、それぞれ混合・撹拌したのち、0.5mmジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーで、ゼータサイザー1000(Malvern社製)を使用して動的光散乱法によって測定したZ−平均粒子径が140nmとなるまで分散し、色材固形分が20質量%の分散液2を調製した。
【0237】
次いで、上記調製した分散液2を10質量部と、塩化ビニル共重合体樹脂としてH14/36(Wacker Chemie AG社製)を6.0質量部と、溶剤としてジエチレングリコールメチルエチルエーテルを54質量部、ジエチレングリコールジエチルエーテルを10.0質量部、ガンマブチロラクトンを10.0質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.0質量部を混合、撹拌して均一に混合した後、1μmメッシュのフィルターでろ過して、インク2を調製した。
【0238】
〔接触角の測定〕
次いで、転写体1に対するインク2の25℃及び50℃における接触角を、前記と同様の方法で測定した結果、転写体1に対するインク2の25℃における接触角は60度、50℃における接触角は68度であった。
【0239】
〔インクジェット画像の形成〕
ペルチェ冷却ユニットを用い、25℃とした転写体1に対し、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置よりインク2を射出し画像形成したのち、ペルチェ加温ユニットにて転写体1を45℃(LCST温度以上)に加熱した状態で、記録媒体として印刷用コート紙B(マット合成紙 SV−YPM−170 紙厚170μm 日本エフ・ディー・シー株式会社製)へ加圧転写を行ったのち、60℃で15秒間の加熱乾燥を施して、印刷物2を作製した。
【0240】
[印刷物3の作製]
上記印刷物1の作製において、転写体1を用い、インク1を下記に記載のインク3に変更し、更に、インクジェット画像の形成を下記に記載の形成方法に変更した以外は同様にして、印刷物3を作製した。
【0241】
〔インク3の調製:紫外線硬化型顔料インク、ゲル化剤なし〕
シアン顔料としてLionol Blue FG−7400−G(トーヨーカラー社製)を20質量部と、分散剤としてBYKJET−9151(BYK社製)を6.5質量部と、光重合性化合物としてポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA−400 新中村化学社製)を73.2質量部と、光重合禁止剤としてIrgastab UV10(BASF社製)を0.3質量部と、ジルコニアビーズ(YTZボール 0.3mm ニッカトー)とを100mLのポリ容器に入れ、ペイントシェーカーにて3時間分散した後、ジルコニアビーズを取り除き、分散液3を調製した。
【0242】
次いで、分散液3を10質量部と、光重合性化合物として、1)NKエステルA−400(前出)を43.9質量部と、2)4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494 サートマー・ジャパン社製)を25質量部と、3)3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(EM2381 長興化学社製)を15質量部と、光開始剤としてIRGACURE819(BASF社製)を6質量部、重合禁止剤としてIrgastab UV10(BASF社製)を0.1質量部加え、105℃で45分撹拌した後、ADVANTEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターでろ過して、インク3を調製した。
【0243】
〔接触角の測定〕
次いで、転写体1に対するインク3の25℃及び50℃における接触角を、前記と同様の方法で測定した結果、転写体1に対するインク3の25℃における接触角は75度、50℃における接触角は82度であった。
【0244】
〔インクジェット画像の形成〕
ペルチェ冷却ユニットを用い、25℃とした転写体1に対し、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置よりインク3を射出し画像形成したのち、ペルチェ加温ユニットにて転写体1を45℃(LCST温度以上)に加熱するとともに、印刷用コート紙Aへ加圧転写を行った。その後、転写画像に対し395nmのUV光を積算350mJ照射し、インクを硬化して印刷物3を得た。
【0245】
[印刷物4の作製]
上記印刷物3の作製において、転写体1を用い、インク3を下記に記載のインク4に変更した以外は同様にして、印刷物4を作製した。
【0246】
〔インク4の調製:紫外線硬化型顔料インク、ゲル化剤あり〕
印刷物3の作製において、インク3の調製で用いた分散液3を10質量部と、光重合性化合物として、1)NKエステルA−400を42.9質量部、2)4EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(SR494:SARTOMER)を23質量部、3)3PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(EM2381 長興化学)を13質量部と、光開始剤としてIRGACURE819(BASF社製)6質量部、ゲル化剤として、ユニスターRM−2222SL(ベヘニン酸ベヘニル 日油社製)を5質量部と、重合禁止剤としてIrgastab UV10(BASF社製)を0.1質量部加え、105℃で45分撹拌した後、ADVANTEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターでろ過して、インク4を調製した。
【0247】
〔接触角の測定〕
次いで、転写体1に対するインク4の25℃及び50℃における接触角を、前記と同様の方法で測定した結果、転写体1に対するインク4の25℃における接触角は80度、50℃における接触角は88度であった。
【0248】
〔インクジェット画像の形成〕
ペルチェ冷却ユニットを用い、25℃とした転写体1に対し、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置よりインク4を射出し画像形成したのち、ペルチェ加温ユニットにて転写体1を45℃(LCST温度以上、ゲル化点以下)に加熱するとともに、印刷用コート紙Aへ加圧転写を行った。その後、転写画像に対し395nmのUV光を積算350mJ照射し、インクを硬化して印刷物4を得た。
【0249】
[印刷物5〜8の作製]
上記印刷物1〜4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体2を用いた以外は同様にして、印刷物5〜8を作製した。
【0250】
〔転写体2の作製〕
上記転写体1の作製において、感熱応答性高分子のモノマーであるN−イソプロピルアクリルアミドに代えて、N,N−ジメチルアクリルアミドを用い、感熱応答性高分子である(ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、LCST:25℃)を調製し、これを用いた以外は同様にして、転写体2を作製した。
【0251】
[印刷物9〜12の作製]
上記印刷物1〜4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体3を用い、更に、インクジェット画像の形成を下記に記載の形成方法に変更した以外は同様にして、印刷物9〜12を作製した。
【0252】
〔転写体3の作製〕
上記転写体1の作製において、感熱応答性高分子のモノマーであるN−イソプロピルアクリルアミドに代えて、N−シクロプロピルアクリルアミドを用い、感熱応答性高分子である(ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、LCST:47℃)を調製し、これを用いた以外は同様にして、転写体3を作製した。
【0253】
〔インクジェット画像の形成〕
上記印刷物1〜4の作製において、ペルチェ加温ユニットによる転写体3の加熱温度を55℃に変更した以外は同様にして印刷物9〜12を作製した。
【0254】
[印刷物13の作製]
上記印刷物4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体4を用いた以外は同様にして、印刷物13を作製した。
【0255】
〔転写体4の作製〕
上記転写体1の作製において、感熱応答性高分子のモノマーであるN−イソプロピルアクリルアミドに代えて、N−tert−ブチルアクリルアミドを用い、感熱応答性高分子である(ポリ(N−tert−ブチルアクリルアミド)、LCST:40℃)を調製し、これを用いた以外は同様にして、転写体4を作製した。
【0256】
[印刷物14の作製]
上記印刷物4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体5を用い、インクジェット画像の形成時のペルチェ加温ユニットによる転写体5の加熱温度を50℃に変更した以外は同様にして、印刷物14を作製した。
【0257】
〔転写体5の作製〕
上記転写体1の作製において、感熱応答性高分子のモノマーであるN−イソプロピルアクリルアミドに代えて、N−エチルアクリルアミドを用い、感熱応答性高分子である(ポリ(N−エチルアクリルアミド)、LCST:43℃)を調製し、これを用いた以外は同様にして、転写体5を作製した。
【0258】
[印刷物15の作製]
上記印刷物4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体6を用い、インクジェット画像の形成時のペルチェ加温ユニットによる転写体6の加熱温度を60℃に変更した以外は同様にして、印刷物15を作製した。
【0259】
〔転写体6の作製〕
上記転写体1の作製において、感熱応答性高分子のモノマーであるN−イソプロピルアクリルアミドに代えて、1−アクリロイルピロリジンを用い、感熱応答性高分子である(ポリ(1−アクリロイルピロリジン)、LCST:55℃)を調製し、これを用いた以外は同様にして、転写体6を作製した。
【0260】
[印刷物16の作製]
上記印刷物4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体7を用いた以外は同様にして、印刷物16を作製した。
【0261】
〔転写体7の作製〕
上記転写体1の作製において、感熱応答性高分子のモノマーであるN−イソプロピルアクリルアミドに代えて、エチルビニルエーテルを用い、感熱応答性高分子である(ポリ(エチルビニルエーテル)、LCST:22℃)を調製し、これを用いた以外は同様にして、転写体7を作製した。
【0262】
[印刷物17〜19の作製]
上記印刷物4の作製において、インクジェット画像の形成時のペルチェ加温ユニットによる転写体1の加熱温度を、それぞれ40℃、50℃、60℃に変更した以外は同様にして、印刷物17〜19を作製した。
【0263】
[印刷物20〜23の作製]
上記印刷物1〜4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した光応答性の転写体8を用いた以外は同様にして、印刷物20〜23を作製した。
【0264】
〔転写体8の作製〕
転写基材として、ポリイミドフィルム(厚さ:40μm)を用い、転写基材表面にコロナ放電(コロナ出力強度:2.0kW,ライン速度:18m/分)を施して、転写基材表面を活性化したのち、4−ヘキシル−2メトキシ−4′−ブロモメチルスチルベン及び1,2−ジクロロエタンに浸漬したのち濃硫酸を滴下し、60℃にて12時間静置した。その後、ポリイミドフィルムをジクロロメタンでかけ洗いしたのち、55℃にて30分乾燥し、転写体8を得た。転写体8が含む4−ヘキシル−2メトキシ−4′−ブロモメチルスチルベンは、紫外線照射で親水性が高くなり、加熱処理で疎水性が高くなる材料である。
【0265】
〔インクジェット画像の形成〕
ペルチェ冷却ユニットを用い、25℃とした転写体8に対し、図2で示すように、予備光照射部(51)で紫外線を照射して表面を親水化した後、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置より、インク1〜4をそれぞれ射出し画像形成したのち、ペルチェ加温ユニットにて転写体8を45℃に加熱するとともに、印刷用コート紙Aへ加圧転写を行った。なお、インク3及び4を用いた水準では、転写画像に対し395nmのUV光を積算350mJ照射し、インクを硬化して印刷物22及び23を得た。
【0266】
[印刷物24〜27の作製]
上記印刷物1〜4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体9を用いた以外は同様にして、印刷物24〜27を作製した。
【0267】
〔転写体9の作製〕
転写基材として、ポリイミドフィルム(厚さ:40μm)を用い、転写基材表面にコロナ放電(コロナ出力強度:2.0kW,ライン速度:18m/分)を施して、転写基材表面を活性化したのち、アミノプロピルトリエトキシシランの5.0質量%エタノール溶液を噴射し、次いで、3.0%アンモニア水溶液を噴霧した後、80℃で1時間乾燥して、感熱応答性高分子を有していないポリイミドフィルム単体から構成される転写体9を作製した。
【0268】
[印刷物28〜31の作製]
上記印刷物1〜4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体10を用いた以外は同様にして、印刷物28〜31を作製した。
【0269】
〔転写体10の作製〕
転写基材として、ポリイミドフィルム(厚さ:40μm)を用い、転写基材表面にコロナ放電(コロナ出力強度:2.0kW,ライン速度:18m/分)を施して、転写基材表面を活性化したのち、アミノプロピルトリエトキシシランの5.0質量%エタノール溶液を噴射し、次いで、3.0%アンモニア水溶液を噴霧した後、80℃で1時間乾燥した。
【0270】
次いで、ポリイミドフィルムを、2−ブロモイソブチリルブロミド及びトリエチルアミンのジクロロメタン溶液に浸漬し、25℃で12時間静置した。その後、ポリイミドフィルムをジクロロメタンでかけ洗い・乾燥した。得られたポリイミドフィルムを、2−エチルヘキシルビニルエーテル、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、及び塩化銅(I)/臭化銅(II)を含む、メタノール/水溶液に浸漬させ、25℃で5時間静置した。得られたポリイミドフィルムをメタノールでかけ洗いしたのち、55℃にて30分乾燥し、転写体10を作製した。転写体10は、熱刺激により接触角が変化する特性は有していない。
【0271】
[印刷物32〜35の作製]
上記印刷物1〜4の作製において、転写体1に代えて、下記の記載の方法で作製した転写体11を用いた以外は同様にして、印刷物32〜35を作製した。
【0272】
〔転写体11の作製〕
転写基材として、ポリイミドフィルム(厚さ:40μm)を用い、転写基材表面にコロナ放電(コロナ出力強度:2.0kW,ライン速度:18m/分)を施して、転写基材表面を活性化したのち、アミノプロピルトリエトキシシランの5.0質量%エタノール溶液を噴射し、次いで、3.0%アンモニア水溶液を噴霧した後、80℃で1時間乾燥した。
【0273】
次いで、ポリイミドフィルムを、2−ブロモイソブチリルブロミド及びトリエチルアミンのジクロロメタン溶液に浸漬し、25℃で12時間静置した。その後、ポリイミドフィルムをジクロロメタンでかけ洗い・乾燥した。得られたポリイミドフィルムを、トリメチル(ビニルオキシ)シラン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、及び塩化銅(I)/臭化銅(II)を含む、メタノール/水溶液に浸漬させ、25℃で5時間静置した。得られたポリイミドフィルムをメタノールでかけ洗いし、風による乾燥を行ったのち、0.1規定の塩酸に浸漬させ、25℃で15分静置した。得られたポリイミドフィルムをメタノールでかけ洗いしたのち55℃にて30分乾燥し、転写体11を作製した。転写体11は、熱刺激により接触角が変化する特性は有していない。
【0274】
《印刷物の評価》
〔外部刺激による接触角変化の測定〕
(印刷物1〜19、24〜35における熱刺激に対する接触角の測定)
上記各印刷物において、インク1及びインク2を用いた水準では、常温時の接触角を25℃で測定し、熱刺激を与えた加熱時の接触角を50℃で測定し、得られた結果を表Iに示す。
【0275】
また、上記各印刷物において、インク3及びインク4を用いた水準では、常温時の接触角を25℃で測定し、熱刺激を与えた加熱時の接触角を50℃で測定し、得られた結果を表Iに示す。なお、インク4と転写体6を用いた印刷物15においては、加熱時の接触角は60℃で測定した。
【0276】
なお、接触角の測定は、前述のとおり、接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名DropMaster DM100)を用いて、インクを1μL滴下し1分後における接触角を測定した。測定は、各転写体上の任意の10か所について測定し、その平均値を求めた。
【0277】
(印刷物20〜23における光刺激に対する接触角の測定)
上記各印刷物20〜23においては、光刺激として紫外線を照射した後の接触角を25℃で測定し、熱刺激を与えた加熱時の接触角を50℃で測定し、得られた結果を表Iに示す。表Iでは、光刺激として紫外線を照射した後の接触角(25℃)を、「常温時接触角」欄に記載し、熱刺激を与えた加熱時(50℃)の接触角を「加熱時接触角」欄に記載した。
【0278】
〔転写性の評価〕
インクジェットヘッドからの各インクの出射質量を、記録媒体の質量増量及び転写体上のインク残留質量の総和から算出し、下式より、転写率を求め、下記の基準に従って転写性の評価を行った。
【0279】
転写率(%)=(記録媒体に転写されたインクの質量/転写体に吐出したインク総質量)×100
◎:転写率が95%以上である
○:転写率が90%以上、95%未満である
△:転写率が80%以上、90%未満である
×:転写率が80%未満である。
【0280】
〔画質/ドット径の評価〕
上記方法で記録媒体上に、ドット径が60μmとなる条件で形成したインクジェット画像のドット径及びその形状を光学顕微鏡で観察し、下記の評価基準に従って画質/ドットの評価を行った。
【0281】
◎:形成されたドット径が56〜64μmの範囲内にあり、かつ、形成したドットにムラやエッジボケが認められない
○:形成されたドット径が51〜55μm又は65〜70μmの範囲内であり、かつ形成したドットにムラやエッジボケが認められない
△:形成されたドット径が41〜50μm又は71〜80μmの範囲内であり、かつ形成したドットにムラやエッジボケが認められない
×:形成されたドット径が41μm未満又は81μm以上である、又は形成されたドットにムラやエッジボケが認められる。
【0282】
以上により得られた結果を、表Iに示す。
【0283】
【表1】
【0284】
表Iに記載の結果より明らかなように、本発明で規定する外部刺激により接触角が変化する材料を担持している転写体を用いたインクジェット画像形成方法により形成した印刷物は、比較例に対し、転写体に形成したインクジェット画像の記録媒体への転写性に優れ、かつ形成した画像のドット径再現性及び形状に優れていることが分かる。特に、外部刺激として熱刺激により接触角が変化する感熱応答性高分子を有する転写体と、インクとして活性光線硬化型インク、その中でもゲル化剤を含む活性光線硬化型インクとを用いることにより、上記効果がより発揮されていることが分かる。
【符号の説明】
【0285】
1 転写体
2 転写基材
3A 小さな接触角表面を有する感熱応答層
3B 大きな接触角表面を有する感熱応答層
4 インク液滴
5 記録媒体
8 インクジェット画像形成装置
10 ヘッドキャリッジ
11Y、11C、11M、11K インクジェットヘッド
20 転写部
22、23、24 ベルト支持ローラー
30 記録媒体搬送ローラー
50 活性光線照射部
51 予備光照射部
C 冷却部
CL クリーニング部
H 加熱部
図1
図2