【解決手段】導電性高分子複合材料は、導電性ポリマー、セルロースナノファイバー、およびポリオールを含む。前記セルロースナノファイバーの表面は、カルボン酸官能基を含む。1つ実施形態において、100重量部の導電性ポリマー合計に対し、セルロースナノファイバーの含有量は、1〜100重量部であり、且つポリオールの含有量は、10〜3,000重量部である。また、前記導電性高分子複合材料を含むコンデンサも提供する。
前記ドープされた導電性ポリマーが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)、またはその誘導体である請求項2に記載の導電性高分子複合材料。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、導電性ポリマー、セルロースナノファイバー、およびポリオールを含む導電性高分子複合材料を提供する。1つの実施形態において、100重量部の導電性ポリマー合計に対し、セルロースナノファイバーの含有量は、1〜100重量部であり、且つポリオールの含有量は、10〜3,000重量部である。別の実施形態において、100重量部の導電性ポリマー合計に対し、セルロースナノファイバーの含有量は、1〜50重量部であり、且つポリオールの含有量は、50〜2,000重量部である。別の実施形態において、100重量部の導電性ポリマー合計に対し、セルロースナノファイバーの含有量は、1〜50重量部であり、且つポリオールの含有量は、100〜1,000重量部である。
【0013】
本発明の導電性ポリマーは、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレンビニレン、硫化ポリフェニレン、またはポリアニリン、およびその誘導体、例えば、ポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)(poly(3,4-alkylenedioxythiophene))、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(poly(3,4-ethylenedioxythiophene), PEDOT)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)(poly(3,4-propylenedioxythiophene), PProDOT)、ポリ(チエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン−2−メタノール)(poly(Thieno[3,4-b]-1,4-dioxin-2-methanol))、または上述した構造を含む共重合体、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−コ−ポリエチレングリコール(PEDOT-co-polyethylene glycol)、またはブレンド、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(ビニルピロリドン)ブレンド、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリエチレングリコールブレンド、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリビニルアルコールブレンドを含むことができる。
【0014】
導電性高分子複合材料中の導電性ポリマーが優れた導電率を有するために、ドープされた導電性ポリマーを採用することができる。ドーピング剤は、スルホン酸類化合物、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸;スルホン酸類高分子、例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)(poly(styrene sulfonic acid), PSS)、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyether ether ketone)、またはその共重合体、例えば、ポリスチレンスルホン酸−コ−ポリ(ビニルピロリドン)、ポリスチレンスルホン酸−コ−ポリエチレングリコール;カルボン酸類化合物、例えば、安息香酸、テレフタル酸、またはコハク酸(succinic acid);カルボン酸類高分子、例えば、ポリアクリル酸、またはその共重合体;アミノ酸、例えば、グリシン;リン酸類化合物、例えば、リン酸、エチドロン酸(Etidronic acid)、リン酸ジフェニル;その誘導体、または組み合わせを含むことができる。
【0015】
上述した導電性ポリマーのドーピング方法は、まず、共役高分子を重合してからドーピング剤を添加してドーピングを行う方法であってもよく、導電性ポリマーの重合過程において、ドーピング剤を添加するか、あるいは酸化剤により共役高分子の重合を引き起こした時に生成された副産物をドーピング剤としてドーピングを行う。例を挙げて説明すると、p−トルエンスルホン酸鉄により共役高分子の重合を引き起こす時、生成されるp−トルエンスルホン酸をドーピング剤とすることができる。本発明が開示するドーピング剤の用量は、特に限定されない。一部の実施形態において、ドーピング剤は、導電性ポリマーの導電率を増やすだけでなく、過剰なドーピング剤は、導電性ポリマーの物理性質、例えば、溶液中の浮遊度を改善することもできる。1つの実施形態において、100重量部の導電性ポリマー合計に対し、ドーピング剤の含有量は、10〜1,000重量部である。本発明の導電性ポリマーは、導電性ポリマーとドーピング剤をドーピングした後の混合物、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)を含む。
【0017】
本発明が使用するセルロースナノファイバーの単一ナノファイバー構造は、直径が1nm〜900nm、長さが10nm〜1,000μmである。
【0018】
セルロースナノファイバーの製造は、植物繊維を機械分解、酵素分解、および化学酸化分解等の方法により行うことができる。
【0019】
1つの実施形態において、セルロースナノファイバーの製造方法として化学酸化分解を例に挙げると、アルカリ性溶液中で、およびTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)(TEMPO (2,2,6,6-tetramethylpiperidine-1-oxyl))、臭化ナトリウム、および次亜塩素酸ナトリウムの作用の下で、植物繊維の無定形領域を酸化分解させて、高結晶度のセルロースナノ結晶ブロックを残し;均質機または超音波等の方法でセルロースナノ結晶間の水素結合作用力を破壊することにより、均一な分散の目的を達成する。
【0020】
1つの実施形態において、セルロースナノファイバーは、カルボン酸官能基を含む。
【0022】
ポリオールは、3個または3個以上のアルコール基を有する化合物であってもよい。ポリオールは、脂肪族ポリオール化合物、例えば、グリセロール(glycerol)、ペントース(pentose)、ヘキソース(hexose)、ソルビトール(sorbitol)、ポリグリセリン、またはその組み合わせ;あるいは芳香族ポリオール化合物、例えば、没食子酸(gallic acid)等を含むことができる。ポリオールの使用量は、選択したポリオールの種類およびセルロースナノファイバーの相対含有量等の要素に基づき、比較的大きな使用範囲を有する。1つの実施形態において、100重量部の導電性ポリマー合計に対し、ポリオールの含有量は、10〜3,000重量部である。
【0024】
上述した導電性高分子複合材料は、その他の化合物を添加して、その特性を調整することにより、様々な異なる目的に符合させてもよい。例を挙げて説明すると、架橋性樹脂、例えば、エポキシ樹脂を添加して、電解質構造をさらに安定させることができる。
【0025】
導電性高分子複合材料の特性、例えば、分散性、酸アルカリ値等の特性を調整するため、1種類または多種類の含窒素化合物を使用して調整してもよい。1つの実施形態において、窒素化合物を添加して、導電性高分子複合材料の前駆体水溶液のpH値が2よりも低くならないようにする。含窒素化合物は、例えば、1級アミン、2級アミン、3級アミン、または4級アミンであってもよい。含窒素化合物は、アミン類(amine);アミド類(amide)、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、カプロラクタム、またはこれらの組み合わせ;イミド類(imide)、例えば、クシンイミド(succinimide);ウレタン類(urethane)、例えば、カルバミン酸エチル;イミダゾール類(imidazole)、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、またはこれらの組み合わせ;トリアゾール類(triazole);ピリジン類(pyridine)、例えば、ピリジン;ピロリドン類(pyrrolidone)、例えば、N−メチルピロリドン;カルバミン酸エチル類、例えば、ジメチルカルバミン酸エチル、テトラメチルカルバミン酸エチル、またはこれらの組み合わせ;尿素;またはこれらの組み合わせであってもよい。1つの実施形態において、含窒素化合物は、イミダゾール類化合物(imidazole)、イミダゾリン類化合物(imidazoline)、ウレタン類化合物(urethane)、イミド類化合物(imide)、アミド類化合物(amide)、ウレア類化合物(urea)、ピリジン類化合物(pyridine)、マラミン類化合物(malamine)、トリアゾール類化合物(triazole)、またはその組み合わせを含む。別の実施形態において、含窒素化合物は、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、またはポリエチレンイミン、ポリアミド(polyamide)、ポリイミド(polyimide)、またはその組み合わせを含む。含窒素化合物は、小分子構造であっても、高分子構造であってもよい。本発明が開示する含窒素化合物の用量は、特に限定されない。選択した導電性ポリマーの特性、および含窒素化合物の性質に基づき、比較的大きな使用範囲を有する。例を挙げて説明すると、導電性ポリマーのドーピング剤の使用量が比較的多い場合、比較的多い含窒素化合物を使用してそのpH値を調整する。1つの実施形態において、100重量部の導電性ポリマー合計に対し、含窒素化合物の含有量は、1〜900重量部である。
【0026】
本発明の導電性高分子複合材料をコンデンサに含浸させるため、または導電性ポリマーとセルロースナノファイバーが優れた混合分散を有するよう、適量の溶剤を使用して、導電性高分子複合材料の前駆体を分散させてもよい。ここで述べる導電性高分子複合材料の前駆体は、導電性ポリマー、セルロースナノファイバー、ポリオール、含窒素化合物等を含む。溶剤の含有量は、特に限定されないが、懸濁液の粘度を下げる、または混合物を分散または溶解させるのを手伝うことができる。1つの実施形態において、1重量部の導電性ポリマーに基づいて、溶剤の含有量は10〜1000重量部である。
【0027】
上述した溶剤は、水、例えば、純水(DI water);エステル類、例えば、γ−ブチロラクトン(γ-butyrolactone);炭酸エステル、例えば、エチレンカーボネート(ethylene carbonate, EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate, PC)、またはこれらの組み合わせ;エーテル類、例えば、ジエチレングリコールジブチルエーテル(diethylene glycol dibutyl ether)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol);ケトン(ketone)、例えば、メチルイソブチルケトン;アルコール、例えば、エタノール、エチレングリコール(ethylene glycol)、またはこれらの組み合わせ;アミン類(amine);アミド類(amide)、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、カプロラクタム、またはこれらの組み合わせ;イミド類(imide);ウレタン類(urethane);イミダゾール類(imidazole)、例えば、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、またはこれらの組み合わせ;トリアゾール類(triazole);ピリジン類(pyridine)、例えば、ピリジン;ピロリドン類(pyrrolidone)、例えば、N−メチルピロリドン;カルバミン酸エチル類、例えば、ジメチルカルバミン酸エチル、テトラメチルカルバミン酸エチル、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0029】
図1は、本発明の1つの実施形態に基づくコンデンサの製造方法のフロー図である。
【0030】
図1を参照すると、まず、ステップ100を行い、導電性高分子複合材料の前駆体を提供する。導電性高分子複合材料の前駆体は、導電性ポリマー、セルロースナノファイバー、ポリオール、溶剤、含窒素化合物等を含む。
【0031】
その後、ステップ102を行い、本発明の導電性高分子複合材料の混合液を調製する。1つの実施形態において、導電性ポリマー、セルロースナノファイバー、およびポリオールを互いに物理方式で均一に混合し、含窒素化合物を適度に追加して、導電性高分子複合材料の特性を調整する。1つの実施形態において、含窒素化合物を添加して、導電性高分子複合材料の前駆体水溶液のpH値が2よりも低くならないようにする。1つの実施形態において、導電性ポリマー、セルロースナノファイバー、およびポリオールは、お互いの間に水素結合、ファンデルワールス力等の物理性結合を有することができる。
【0032】
続いて、ステップ104を行い、コンデンサ素子を混合液中に含浸させて、加熱乾燥(最高温度は170℃)し、導電性高分子複合材料を形成する。
【0033】
1つの複合材料の製造方法は、導電性ポリマー単体をセルロースナノファイバー、ポリオールを少なくとも含む混合液の中に追加し、誘電体層表面で電気化学重合を行い、あるいは酸化剤で酸化重合を行い、導電性高分子複合材料を形成する。上述した酸化重合法で使用する酸化剤は、鉄イオンを含む塩類、銅イオンを含む塩類、または過硫酸塩であってもよい。上述した鉄イオンを含む塩類は、ベンゼンスルホン酸鉄、p−トルエンスルホン酸鉄、塩化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、またはこれらの組み合わせであってもよい。また、既に合成された導電性高分子(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフエン):ポリ(スチレンスルホナート)(poly(3,4-ethylenedioxythiophene):poly(styrenesulfonate), PEDOT:PSS)と、少なくともセルロースナノファイバーとポリオールを含む混合した後の水溶液は、コンデンサ誘電体層表面に塗布または含浸させてから、加熱乾燥し、溶剤を除去する。
【0034】
その後、ステップ106を行い、密封し、老化処理する。本発明の導電性高分子固体電解コンデンサは、各種周知の方法で形成することができ、上述した実施形態に限定されない。
【0035】
図2は、本発明の1つの実施形態に基づくコンデンサの部分的断面概略図である。
【0036】
図2を参照すると、本発明のコンデンサは、金属層200、誘電体層202、導電性高分子複合材料204、および導電層206を含む。
【0037】
金属層200は、電極層、例えば、正極電極層として使用される。金属層200の材料は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、またはその合金を含む。1つの実施形態において、金属層200は、複数の孔201を有するメソ多孔性基板(meso-porous substrate)であってもよい。
【0038】
誘電体層202は、金属層200の上に配置される。具体的に説明すると、誘電体層202は、金属層200および孔201の表面に配置される。1つの実施形態において、誘電体層202は、金属層200の表面に直接配置される。別の実施形態において、誘電体層202は、金属層200の上方に配置され、誘電体層202と金属層200の間にその他の層が存在する。
【0039】
本発明のコンデンサに使用される誘電体層202は、金属酸化物または有機化合物であってもよい。金属酸化物は、アルミニウム、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、またはこれらの合金の酸化物であってもよい。誘電体層の形状は、ストリップ状、または顆粒焼結して形成された多孔タブレット状であってもよく、状況を見てエッチング処理を行い、その比表面積を増加させることができる。電気化学電解反応を採用して正極を処理することにより誘電体層を形成することができるが、その他の方法を採用して誘電体層を形成してもよく、例えば、無機酸化物、有機無機複合材料、またはこれらの多層構造をスパッタリングする。有機化合物誘電体層は、ポリエステル、セルロースナノファイバー等であってもよい。
【0040】
特に注意すべきこととして、誘電体層202は、再化成ステップにおいて、例えば、陽極酸化により酸化アルミニウムを形成する時、この酸化アルミニウム誘電体層は、異種結晶構造であり、且つ酸化アルミニウムの結晶粒界には裂け目203が生じやすいため、漏電流増加の問題が生じる。しかしながら、本発明のコンデンサでは、誘電体層202の上に被覆力の良い導電性高分子複合材料204を配置し、裂け目203を有効に修復することができるため、周知の漏電現象が生じず、インピーダンスを下げてコンデンサの収率を上げることができる。
【0041】
導電性高分子複合材料204は、固体電解層または固液体混合電解層として使用される。導電性高分子複合材料204は、誘電体層202の上に配置される。1つの実施形態において、導電性高分子複合材料204は、導電性ポリマー、セルロースナノファイバー、およびポリオールを含む。
【0042】
本発明が開示する導電性高分子複合材料は、コンデンサ誘電体層に直接分布してもよく、あるいは需要に応じて導電性高分子複合材料と誘電体層の間に単層または複数層の異なる物質、例えば、シロキサン、ポリエチレングリコール、PVA等の物質を増やしてもよい。
【0043】
導電層206は、導電性高分子複合材料204の上に配置される。導電層206は、コンデンサ負極として使用される。本発明が開示するコンデンサ負極は、金属箔、例えば、アルミニウム箔であってもよく、状況を見て負極を電気化学エッチングし、その比表面積を増やしてもよい。また、その他の物質、例えば、炭素またはチタンをアルミニウム箔の表面に付着させて負極上にし、その化学安定性または静電容量を増やしてもよい。ある実施形態において例を挙げて説明すると、負極は、蒸着金属、導電性銀ペーストまたはグラファイトであってもよい。
【0044】
続いて、状況を見て正極と負極の間に隔離紙を挟設してから、固体電解コンデンサ素子(element)に巻きつけてもよい。
【0045】
本発明が開示するコンデンサ構造は、渦巻状または層状の堆積構造であってもよい。
【0048】
67Vの電気化学電解反応により形成された酸化アルミニウム誘電体層の正極アルミニウム箔と高表面積負極炭素箔の中間に隔離紙を挟めてから、固体電解コンデンサ素子に巻きつける。この素子は、有機酸水溶液により破損した酸化アルミニウム誘電体層を選択的に修復することができる。
【0049】
その後、この素子を[表1]で構成される混合物に含浸させた後、温度を上げて溶剤を除去する。加熱期間、最高温度は、溶剤の残留がないことを確保するため、170℃に達してもよい。この含浸および乾燥プロセスを2回繰り返して行うことにより、導電性高分子混合物が誘電体層の間隙に十分に充填することを確保する。
【0050】
この固体電解コンデンサ素子は、続いて、アルミニウムシェルおよびゴムカバーでコンデンサを密封し、125℃において、35Vで30分充電させる。その後、室温でコンデンサ特性を測定し、その結果を[表2]に示す。
【0052】
注1:PEDOT:PSS 2wt% aq.は、米国特許7,411,779の実施例一に開示されている合成方法で合成し、水中に分散させて生成されたPEDOT:PSS含有量が2wt%の水溶液であり、実施例における重量部は、PEDOT:PSSの実際の重量により計算したものである。
【0053】
注2:CNF−Hは、表面にカルボン−COOHを含有するセルロースナノファイバーである。Biomacromolecules (2010) 11, p1696-1700に掲載されている方法を採用して合成し、水中に分散させて生成されたCNF−Hの含有量が1wt%の水溶液であり、実施例における重量部は、CNF−Hの実際の重量により計算したものである。
【0055】
[表2]の実験一と実験二のコンデンサ特性を比較するとわかるように、導電性高分子水溶液中にグリセリンを添加することによって、コンデンサの静電容量を上げ、コンデンサの誘電正接(DF:dissipation factor)と100kHz等価直列抵抗(ESR:equivalent series resistance)を下げることができる。DF値は、導電性高分子酸化アルミニウムに被覆される状況を表し、一般的に、低ければ低いほど被覆性が良好であることを表す。100kHz ESRは、固体電解質の導電率を表し、一般的に、低ければ低いほど導電率が良好であることを表す。
【0056】
実験三の結果が示すように、導電性高分子水溶液がセルロースナノファイバーのみを添加した時、静電容量が下がり、且つDFと100kHz ESRが上がる。しかし、実験四の結果が示すように、グリセリンとセルロースナノファイバーを同時に導電性高分子水溶液に追加した場合は、コンデンサの静電容量が最も高く、且つDFと100kHz ESRも最も低いため、導電性高分子と酸化被膜の間の界面インピーダンスを下げ、成膜性を上げるのに有用である。この結果からわかるように、セルロースナノファイバーとグリセリンは、相乗効果を有する。
【0058】
導電性高分子水溶液が[表3]のように構成される以外、その他のステップは、実施例一と同じである。コンデンサ特性は、[表4]に示した通りである。
【0060】
注1:PVP3.5kは、分子量3,500のpoly(vinylpyrrolidone)を表す。
【0061】
注2:PVP360Kは、分子量360,000のpoly(vinylpyrrolidone)を表す。
【0062】
注3:PEG400は、分子量400のpolyethylehe glycolを表す。
【0063】
注4:PAC2kは、分子量2,000のpolyacrylic acidを表す。
【0065】
本実施例は、導電性高分子水溶液にセルロースナノファイバーおよび異なる高分子添加剤を追加した時のコンデンサ特性に対する影響を比較したものである。[表4]の結果が示すように、添加剤の種類を実験五のCNF−Hから異なる分子量のPVP、PEGおよびPAC等の高分子添加剤に変更した時(例えば、比較一〜四)、得られるコンデンサの静電容量は、いずれも前者よりも低く、且つコンデンサDFと100kHz ESRも前者より高かった。
【0067】
導電性高分子水溶液が[表5]のように構成される以外、その他のステップは、実施例一と同じである。コンデンサ特性は、[表6]に示した通りである
【0070】
本実施例は、実施例一で使用したグリセリンを異なるポリオール(例えば、ソルビトール)に変更したものである。[表6]の結果からわかるように、水溶性導電性高分子水溶液中にソルビトールとCNF−Hが同時に存在する時、コンデンサは、最も優れた静電容量およびDF、ESRを表すことができる。CNF−Hと異なる構造のポリオールが相互作用を広げ、コンデンサ特性に相乗効果をもたらすことを示している。
【0071】
以上のように、本発明は、導電性ポリマーを含む電解質と誘電体層材料の界面インピーダンス等の問題を解決する。導電性ポリマーとセルロースナノファイバーおよびポリオール等の物質を混ぜることにより、コンデンサの界面インピーダンスを下げ、コンデンサの高周波低インピーダンス特性を上げることができる。
【0072】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。