(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-23727(P2020-23727A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】金属製の三次元造形物および金属製の三次元造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 3/105 20060101AFI20200121BHJP
C22C 1/08 20060101ALI20200121BHJP
B22F 7/04 20060101ALI20200121BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20200121BHJP
【FI】
B22F3/105
C22C1/08 F
B22F7/04 E
B22F3/16
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-147411(P2018-147411)
(22)【出願日】2018年8月6日
(11)【特許番号】特許第6532180号(P6532180)
(45)【特許公報発行日】2019年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】廣田 敦司
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 秀二
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
4K018HA01
4K018KA18
4K018KA22
(57)【要約】
【課題】ポーラス構造の気体流路は、通気性と強度が不十分である。
【解決手段】気体流路2は、ラティス構造の第1の構造部位2Aでなり、望ましくは、ラティス構造のような角形状の空間分割構造の第2の構造部位2Bとでなる。第1の構造部位2Aは、最大幅が0.01mm以上0.10mm以下の複数の直線状の通気孔10と、幅が0.08mm以上0.25mm以下で固化密度が90%以上の枠体部位20とでなるラティス構造であって、厚さが1mm以上10mm以下である。また、第2の構造部位2Bは、最大幅が第1の構造部位の通気孔10の最大幅の1.5倍以上を有し、通気孔10と接続する複数の直線状の通気孔30と、焼結密度が固化密度が90%以上の枠体部位40とでなるラティス構造のような角形状の空間分割構造であって、第1の構造部位2Aと一体で結合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大幅が0.01mm以上0.10mm以下の複数の直線状の通気孔と幅が0.08mm以上0.25mm以下で固化密度が90%以上の枠体部位とでなるラティス構造であって厚さが1mm以上10mm以下の構造部位を含んでなる気体流路を有する金属製の三次元造形物。
【請求項2】
最大幅が0.01mm以上0.10mm以下の複数の直線状の通気孔と幅が0.08mm以上0.25mm以下で固化密度が90%以上の枠体部位とでなるラティス構造であって厚さが1mm以上10mm以下の第1の構造部位と、最大幅が前記第1の構造部位における前記通気孔の最大幅の1.5倍以上を有し前記通気孔と接続する複数の直線状の通気孔と焼結密度が固化密度が90%以上の枠体部位とでなる角形状の空間分割構造であって前記第1の構造部位と一体で結合する第2の構造部位と、を含んでなる気体流路を有する金属製の三次元造形物。
【請求項3】
前記第2の構造部位が前記気体流路の中心部位ほど厚さが小さくなるテーパ形状であることを特徴とする請求項2に記載の金属製の三次元造形物。
【請求項4】
金属粉末積層造形法によるラティス構造の気体流路を有する金属製の三次元造形物の製造方法であって、所要の出力を有するレーザ光のスポット径を0.1mmφ以上0.2mmφ以下とし、前記レーザ光の走査経路がラスタ走査線形状であって前記ラスタ走査線間のピッチをラティス構造における直線状の通気孔の所望の最大幅以上にした状態で、積層する第N層目の粉末層における前記走査経路を第1のラスタ走査線とするときに、第N+1層目の粉末層における前記走査経路を第1のラスタ走査線に対して直交する第2のラスタ走査線とし、第N+2層目の粉末層における前記走査経路を前記第1のラスタ走査線とし、第N+3層目の粉末層における前記走査経路を前記第2のラスタ走査線として、前記粉末層の各層毎に前記第1のラスタ走査線または前記第2のラスタ走査線の前記走査経路に沿って前記レーザ光を所定の走査速度で移動させながらレーザ光の照射を繰り返して、前記通気孔の最大幅が0.01mm以上0.10mm以下のラティス構造の気体流路を形成することを特徴とする金属製の三次元造形物の製造方法。
【請求項5】
前記ラティス構造の気体流路を第1の構造部位として、前記第1の構造部位における前記通気孔と連通し前記第1の構造部位の前記通気孔の最大幅よりも大きい最大幅の通気孔を有する角形状の空間分割構造の第2の構造部位を第1の構造部位と一体で結合するように生成し前記気体流路を形成することを特徴とする金属製の三次元造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の三次元造形物および金属製の三次元造形物の製造方法に関する。特に、本発明は、ラティス構造の気体流路を有する金属製の三次元造形物および金属製の三次元造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の三次元造形物を製造する三次元造形装置、いわゆる金属3Dプリンタにおける三次元造形物の製造方法の1つとして、金属材料粉体を均一に撒布して粉末層を形成し、粉末層上の所定の照射領域にレーザ光または電子ビームを照射して所定の照射領域の材料粉体を溶融固化することを繰り返して焼結層を積層していき、三次元造形物を生成する金属粉末積層造形法が知られている。
【0003】
ところで、三次元造形物に気体だけを流通させるための気体流路が要求されることがある。具体的には、例えば、樹脂成形金型において、コア型とキャビティ型の少なくとも一方の金型にキャビティ空間内に滞留するガスだけをキャビティ空間の外に排出するベントが設けらる。あるいは、例えば、真空チャックにおいて、空気を吸引して吸着面と吸着する物体の面との間を真空に近い状態にする吸気孔が設けられる。
【0004】
金属粉末積層造形法によると、特許文献1に代表的に開示されているように、レーザ光のエネルギ密度を比較的小さくして、気体流路に相当する部位を低密度で焼結することによって、ポーラス構造(多孔質構造)の気体流路を形成することができる。特許文献1に開示されているような金属粉末積層造形法によると、気体だけを流通させる気体流路を比較的容易に生成することができる。
【0005】
しかしながら、レーザ光によって材料粉体を焼結して形成されるポーラス構造の気体流路は、固化した材料の密度を低くすることによって生成されているので、比較的強度が小さい。また、ポーラス構造の気体流路は、気体が流通する経路が直線状に繋がっておらず、気体流路における気体の流量が比較的少ない。
【0006】
そのため、気体が流通する経路が長くなると、十分な通気性を確保することができないことから、ポーラス構造部位の厚さを増大することによって強化することができない。その結果、焼結式粉末積層造形法によって形成されたポーラス構造の気体流路を有する三次元造形物は、例えば、金型のような高い強度と耐久性が要求される物品としての使用に適していない。
【0007】
非特許文献1および非特許文献2は、粉末積層造形法によって気体の入口側の部位をポーラス構造で形成し、気体の出口側の部位をラティス構造(格子構造)で形成して、気体の入口側のポーラス構造体を出口側のラティス構造体で補強する造形方法を開示している。非特許文献1または非特許文献2の造形方法によると、ポーラス構造体をラティス構造体で補強することによって、気体流路における通気性を確保しながら、三次元構造物を強化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5776004号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】2016年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集第(第547頁−第548頁「産業用3Dプリンタを用いた金属通気性金型の電子ビーム加工による性能向上」(藤丸浩宣,是澤宏之,楢原弘之)
【非特許文献2】2016年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集第(第549頁−第550頁「産業用3Dプリンタを用いた金属光造形通気性金型における基本通気特性の調査」(吉岡亮祐,楢原弘之,是澤宏之)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ポーラス構造の気体流路において、通気性を十分に確保するためには、多数のポア(空洞)が0.1mmφ以上の均一の大きさである必要がある。しかしながら、高い技能を有する作業者であっても、適するレーザ光の照射条件を設定して均一な形状と大きさの多数のポアを有するポーラス構造の気体流路を安定して得るということは、容易なことではない。
【0011】
とりわけ、例えば、金属製の三次元造形物が樹脂成形金型の場合では、高温高圧の成形材料がポアに押し込まれるように流入してポアを詰まらせたりするので、頻繁に金型を清掃する必要があり、作業性を低下させている。そして、成形材料が気体流路の奥まで侵入して固化してしまうと、成形材料を気体流路から除去することが困難になり、継続して使用することができなくなることがある。また、気体流路の入口がポーラス構造であって、粗面であるので、成形品に気体流路の入口の表面形状が転写されてしまって成形品の品質を低下させることがある。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みて、複数の通気孔の断面形状が均一であって通気性が十分に確保できるとともに、十分な強度を有する気体流路を含んでなる金属製の三次元造形物を提供することを目的とする。また、複数の通気孔の断面の形状が均一であって通気性が十分に確保できるとともに、十分な強度を有する気体流路を含んでなる金属製の三次元造形物をより容易に製造することができる金属製の三次元造形物の製造方法を提供することを目的とする。その他、本発明によって得ることができるいくつかの有利な点については、具体的な実施の形態の説明において、その都度詳しく示される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の金属製の三次元造形物は、上記課題を解決するために、最大幅が0.01mm以上0.10mm以下の複数の直線状の通気孔と幅が0.08mm以上0.25mm以下で固化密度が90%以上の枠体部位とでなるラティス構造であって厚さが1mm以上10mm以下の構造部位を含んでなる気体流路を有する金属製の三次元造形物とする。
【0014】
望ましくは、最大幅が0.01mm以上0.10mm以下の複数の直線状の通気孔と幅が0.08mm以上0.25mm以下で固化密度が90%以上の枠体部位とでなるラティス構造であって厚さが1mm以上10mm以下の第1の構造部位と、最大幅が第1の構造部位における通気孔の最大幅の1.5倍以上を有し上記通気孔と接続する複数の直線状の通気孔と焼結密度が固化密度が90%以上の枠体部位とでなる角形状の空間分割構造であって第1の構造部位と一体で結合する第2の構造部位と、を含んでなる気体流路を有する金属製の三次元造形物とする。
【0015】
特に、本発明の金属製の三次元造形物は、第2の構造部位が気体流路の中心部位ほど厚さが小さくなるテーパ形状であるようにして、通気性を維持して強度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の金属製の三次元造形物の製造方法は、金属粉末積層造形法によるラティス構造の気体流路を有する金属製の三次元造形物の製造方法であって、所要の出力を有するレーザ光のスポット径を0.1mmφ以上0.2mmφ以下とし、レーザ光の走査経路がラスタ走査線形状であってラスタ走査線間のピッチをラティス構造における直線状の通気孔の所望の最大幅以上にした状態で、積層する第N層目の粉末層における走査経路を第1のラスタ走査線とするときに、第N+1層目の粉末層における走査経路を前記第1のラスタ走査線に対して直交する第2のラスタ走査線とし、第N+2層目の粉末層における走査経路を第1のラスタ走査線とし、第N+3層目の粉末層における走査経路を第2のラスタ走査線として、粉末層の各層毎に第1のラスタ走査線または第2のラスタ走査線の走査経路に沿ってレーザ光を所定の走査速度で移動させながらレーザ光の照射を繰り返して、前記通気孔の最大幅が0.01mm以上0.10mm以下のラティス構造の気体流路を形成する。
【0017】
また、ラティス構造の気体流路を第1の構造部位として、第1の構造部位における通気孔と連通し第1の構造部位の通気孔の最大幅よりも大きい最大幅の通気孔を有する角形状の空間分割構造の第2の構造部位を第1の構造部位と一体で結合するように生成し気体流路を形成する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の三次元造形物は、気体流路がラティス構造であって枠体が高密度で形成されているので、強度が要求される三次元造形物として使用に耐える十分な強度を有する。また、本発明の三次元構造物は、ポーラス構造の気体流路に比べて通気性に優れる均一な直線状の通気孔を有するラティス構造の気体流路を有する。その結果、本発明の三次元造形物は、最大幅が十分に小さい気体流路を有する。
【0019】
そのため、気体以外の物質が気体流路により侵入しにくいので、三次元造形物のメインテナンスにおける作業性が向上する。また、各通気孔に侵入した物質を除去することができるので、三次元造形物の寿命を長くすることができる。とりわけ、三次元構造物が金型である場合に、ラティス構造体における通気孔の入口の構成形状が成形品に転写されにくいので、成形品の品質を保持することができる。
【0020】
本発明の金属製の三次元造形物の製造方法によると、作業者が再現性が高い適する照射条件を設定しやすく、レーザ光を走査するだけで均一な形状と大きさの直線状の通気孔を効率よく形成することができるとともに、高密度の格子枠体を形成することができる。そして、通気性に優れ、十分な強度を有する気体流路を含む三次元造形物を製造することができ、金属製の三次元造形物における作業性が向上し、三次元造形物の寿命を長くすることができる。とりわけ、三次元造形物が金型であるときに、成形品の品質を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態の三次元造形物における気体流路の構造を示す垂直方向の断面図である。
【
図2】
図1に示される本発明の実施の形態の三次元造形物における気体流路の構造を示す上面図である。
【
図3】本発明の他の実施の形態の三次元造形物における気体流路の構造を示す垂直方向の断面図である。
【
図4】本発明の金属製の三次元造形物の製造方法におけるレーザ光の走査経路を示す平面図である。
【
図5】試験加工の結果を示す試料の水平方向の断面の画像である。
【
図6】他の試験加工の結果を示す試料の水平方向の断面の画像である。
【
図7】他の試験加工の結果を示す試料の水平方向の断面の画像である。
【
図8】他の試験加工の結果を示す試料の水平方向の断面の画像である。
【
図9】他の試験加工の結果を示す試料の水平方向の断面の画像である。
【
図10】他の試験加工の結果を示す試料の水平方向の断面の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の代表的な実施の形態の金属製の三次元造形物の構造を模式的に示す。
図1は、三次元造形物の全体のうちの気体流路がある部位を抽出して部分的に示している。
図1に示される三次元造形物において、第1の構造部位と第2の構造部位の各通気孔が繋がっていないように見受けられる箇所があっても、別の方向から見たときには、繋がっているものとする。
【0023】
図1に示される金属製の三次元造形物1は、複数の気体流路2を有する。気体流路2は、ラティス構造の第1の構造部位2Aと、第1の構造部位2Aと一体で結合して第1の構造部位2Aを補強するラティス構造の第2の構造部位2Bと、空洞部位2Cとを含んでなる。ただし、概念上は、空洞部位2Cを単なる空間として、空洞部位2Cを気体流路2に含まないと見做すこともできる。また、三次元造形物1の最大厚Tが比較的薄い場合には、空洞部位2Cが存在しないことがある。
【0024】
第1の構造部位2Aが要求される通気性を確保するためには、通気孔10の形状と大きさが均一であって、直線状に設けられている必要がある。このとき、理論的には、各通気孔10が気体を通過することができる大きさを有しているならば、気体流路2の機能を有していると言える。しかしながら、断面形状が正方形の通気孔10の場合、実用上、気体が十分な流量で通気孔10を通過するためには、気体流路2の各通気孔10の最大幅dxは、0.01mm以上必要である。なお、広く通気孔には、様々な断面形状が存在することから、本発明においては、通気孔の大きさを最大幅で示す。
【0025】
レーザ光のエネルギによって材料粉体を溶融固化させる特性上、高密度に焼結させるための大きいエネルギのレーザ光を照射する際に、レーザ光のスポットよりも外側の材料粉体に熱的エネルギが及んで、予定よりも通気孔10の大きさが小さくなる傾向にある。そのため、レーザ光による粉末積層造形法によって要求される強度を満足する高密度の枠体部位20を形成しながら明確な輪郭形状を有する通気孔10を形成することができる製造可能な最大幅dxの下限値もおよそ0.01mmである。
【0026】
通気孔10の最大幅dxが大きいほど通気性が向上することは当然のことである。しかしながら、通気孔10の最大幅dxが0.10mmを超えると、気体以外の物質、例えば、気体よりも粘性があって高温で高密度の溶融樹脂のような高分子化合物であっても、通気孔10に侵入してくる可能性が高い。したがって、通気孔10の最大幅dxは、0.10mm以下であることが望ましい。
【0027】
通気孔10の最大幅dxが0.10mm以下である場合は、気体流路2の第1の構造部位2Aの厚さt1、言い換えると、直線状の通気孔10の長さは、気体が加圧空気である場合で、10mm以下であることが望ましい。少なくとも、通気孔10の最大幅が0.10mmである場合であっても、通気孔10の長さが15mmを超えているときは、加圧空気であっても、実用上、要求に耐える流量が不足することが判明している。
【0028】
ただし、第1の構造部位2Aの厚さt1を同じようなレーザ光による粉末積層造形法によって形成されているポーラス構造の気体流路2の最大厚に比べて大きくすることができるので、実施の形態の三次元造形物1は、依然として優位である。
【0029】
第1の構造部位2Aが要求される強度を満足するためには、少なくとも、枠体部位20の幅wxが通気孔10の最大幅dxよりも大きく、所定の密度以上の高密度である必要がある。具体的には、通気孔10の最大幅dxが0.02mmのときで、枠体部位20の幅wxは、0.08mm程度必要である。一方、第1の構造部位2Aの気体流路2における全体の通気性を確保するために、十分な数の通気孔10を設けるためには、枠体部位20の幅wxが0.25mm以下であるとよい。
【0030】
密度は、焼結密度または固化密度(嵩密度)の何れで表現してもよいが、本発明において、高密度とは、固化密度で90%以上、望ましくは、99%以上の場合をいう。密度の測定は、三次元造形物を切断したときの断面を画像処理して空間の体積を解析する方法で行なっている。なお、密度を焼結密度で表わした場合でも、高密度として要求される数値は、固化密度とおよそ同じ数値になると推定される。
【0031】
図1に示される実施の形態の気体流路2における第1の構造部位2Aがラティス構造であって、通気孔10が直線状に貫通して設けられているので、仮に、通気孔2に溶融樹脂が侵入してしまったときでも、侵入した樹脂を取り除くことが可能であり、三次元造形物の寿命を長くすることができる。
【0032】
第1の構造部位2Aの気体流路2をハニカム構造(正六角形構造)にして形成することは可能である。しかしながら、ハニカム構造は、ラスタ走査線の走査経路に沿って枠体部位20を一気に形成し通気孔10を容易に得ることができるラティス構造に比べて設計がより難しく、また、製造プロセスがより複雑であって、作業に要する時間を余計に要するので、ラティス構造に比べて利益が小さい。
【0033】
第2の構造部位2Bにおいては、主に気体だけを流通させたい第1の構造部位2Aの通気孔10に対して、通気孔30の最大幅をより大きくすることができる。第2の構造部位2Bは、第1の構造部位2Aと一体で結合して第1の構造部位2Aを補強する。第2の構造部位2Bにおける通気孔30は、最大幅が第1の構造部位2における通気孔10の最大幅の1.5倍以上を有する。ただし、第2の構造部位2Bにおいて、気体流路2の強度を維持するための枠体部位40の剛性を考慮して、通気孔30の最大幅が制限されることがある。
【0034】
第2の構造部位2Bは、通気孔30の最大幅を第1の構造部位2Aの通気孔10の最大幅dxに対して大きくすることができるので、十分な通気性を有することから、気体部位2Aに比べて厚さt2を十分に大きくすることができる。例えば、第2の構造部位2Bの厚さt2を第1の構造部位2Aの厚さt1の2倍以上にすることができる。
【0035】
通気孔30は、第1の構造部位2Aにおける通気孔10と接続する。枠体部位40は、密度が固化密度で90%以上であって、望ましくは、99%以上である。なお、第2の構造部位2Bは、第1の構造部位1Aよりも厚さを大きくすることができるので、十分な厚さを有しているならば、第1の構造部位1Aに比べて低い密度であっても強度を得ることは可能である。
【0036】
第2の構造部位2Bの枠体部位40の幅に制約を設ける必要はないが、第1の構造部位2Aにおける通気孔10と第2の構造部位2Bにおける通気孔30とを連通させるために、第2の構造部位2Bにおける通気孔30の中心位置を第1の構造部位2Aにおける通気孔10の中心位置に合わせることが望ましい。
【0037】
第2の構造部位2Bは、通気孔10の最大幅dxに実質的な制約がないので、ラティス構造以外の角形状の空間分割構造にすることができる。本発明でいう角形状の空間分割構造とは、正方形を組み合わせた格子構造のラティス構造のように、枠体部位で多数の多角形の空間を形成した構造をいう。具体的には、例えば、第2の構造部位をハニカム構造にすることができる。
【0038】
図3は、本発明の他の実施の形態の金属製の三次元造形物の構造を模式的に示す。
図3は、三次元造形物の全体のうちの気体流路がある部位を抽出して部分的に示している。
図3に示される三次元造形物において、第1の構造部位と第2の構造部位の各通気孔が繋がっていないように見受けられる箇所があっても、別の方向から見たときには、繋がっているものとする。
【0039】
図3に示される金属製の三次元造形物1は、複数の気体流路2を有する。気体流路2は、ラティス構造の第1の構造部位2Aと、第1の構造部位2Aと一体で結合して第1の構造部位2Aを補強するラティス構造の第2の構造部位2Bと、空洞部位2Cとを含んでなる。ただし、概念上は、空洞部位2Cを単なる空間として、空洞部位2Cを気体流路2に含まないと見做すこともできる。また、三次元造形物1の最大厚Tが比較的薄い場合には、空洞部位2Cが存在しないことがある。
【0040】
図3に示される実施の形態における気体流路2の第1の構造部位2Aは、
図1に示される実施の形態における気体流路2の第1の構造部位2Aと実質同じである。具体的には、気体流路2における第1の構造部位2Aは、ラティス構造であって、複数の直線状の通気孔10の最大幅dxが0.01mm以上0.10mm以下であり、枠体部位20の幅wxが0.08mm以上0.25mm以下で、密度は、固化密度で90%以上であって、厚さt1が1mm以上10mm以下である。
【0041】
図3に示される三次元造形物1における第2の構造部位2Bは、気体流路2の中心部位ほど厚さが小さくなるようなテーパ面50を有するテーパ形状である。第1の構造部位2Aにおける複数の通気孔10と第2の構造部位2Bにおける通気孔30とは、基本的に接続して連通し、第1の構造部位2Aにおける通気孔10が第2の構造部位2Bの枠体部位40によって完全に塞がれてしまわないように設計される。
【0042】
図3に示される三次元構造物1は、強度を低下させることなく、気体流路2の構造体全体における中央の周囲の通気孔10と通気孔30とにおける長さを短くすることができるので、結果的に、第1の構造部位2Aにおける通気性を確保する点で有利である。
【0043】
図4は、本発明の金属製の三次元造形物の製造方法の1つの実施の形態におけるレーザ光の走査経路を示す図である。
図4において、実線は、第1の構造部位におけるレーザ光の走査経路を示し、二点鎖線は、第2の構造部位におけるレーザ光の走査経路を示す。矢印を含む点線は、レーザ光を照射しないアプローチ経路である。また、括弧内の番号は、レーザ光を照射する順番を示す。また、符号Kは、第1の構造部位における通気孔の輪郭線を示し、符号Hは、第2の構造部位における通気孔の輪郭線を示し、符号Oは、通気孔の中心を示す。
【0044】
レーザ光の走査経路は、ラスタ走査線である。ラスタ走査線の開始位置から終了位置までのレーザ光の照射を1回の照射とすると、レーザ光のスポット径が0.1mmφ以上0.2mmφ以下で第1の構造部位2Aにおける枠体部位20の幅wxが0.08mm以上0.25mm以下であるとするなら、走査速度を調整することによって原則1回の照射で粉末層1層の焼結を完了する。したがって、本発明の製造方法によると、レーザ光の照射条件の設定がしやすく、レーザ光をラスタ走査線の走査経路に沿って照射するだけで高密度の格子枠体を形成し効率よく通気孔を形成することができる。
【0045】
例えば、厚さが5mmで、通気孔の最大幅が0.10mm以下のラティス構造の気体流路を炭素鋼の鋼板から形成して製作しようとする場合、切削加工によると、作業が相当に困難である。放電加工によると、平坦面に通気孔10を形成することは可能であるが、相当に多く時間を要する。また、放電加工であっても、三次元造形物における気体流路の配置によっては、より困難であるか、実質的に不可能であるかも知れない。実施の形態の製造方法によると、切削加工または放電加工のような金属加工に比べて、より容易にラティス構造の気体流路を得ることができる。
【0046】
通気孔10の最大幅dxが0.10mm以下のとき、気体流路2における全体の通気性を確保するためには、相当多数の均一な形状の通気孔10が要求される。レーザ光を照射して材料粉体を溶融固化して気体流路2を生成する場合、通気孔10の輪郭形状を維持しながら、固化密度で99%の高密度の枠体部位20を形成して強度を得るために要求されるエネルギ密度を考慮すると、可能な限りスポット径を小さくすることが望まれる。例えば、ファイバレーザの場合で、安定して繰返し良好な結果を得ることができるレーザ光のスポット径の下限は、現在のところ、0.1mmφであることを確認している。
【0047】
レーザ光のエネルギを大きくするほど密度を高くして強度を大きくすることができるが、通気孔10の最大幅dxが0.10mm以下と極めて小さいことから、ラスタ走査線に沿った1回のレーザ光の照射によって通気孔10の輪郭形状を維持しながら、枠体部位20を高密度に形成しようとするときは、レーザ光のエネルギが大きいほど、余剰硬化部位が枠体部位20の外側に拡大することによって、通気孔10の輪郭線を維持しにくくする関係にある。
【0048】
表1に示されるように、試料1において、レーザ光のスポット径が0.2mmφでラスタ走査線間のピッチが0.2mmのときは、計算上は、平行する2本の直線状の照射軌跡の間隔が0mmであるので、そもそも通気孔10が形成されないはずである。しかしながら、走査速度を比較的高速である2000mm/secにしてレーザ光を走査すると、最大幅dxが平均で0.08mmの通気孔が概ね均一に形成されることが確認できた。なお、試験結果には、孔として形成されていないものも存在するが、そのようなものを含めて全て「孔」と総称する。
【0050】
スポット径を0.2mmφよりも大きくすると、枠体部位20の幅wxが大きくなるので、生成できる通気孔10の数が減って通気性を確保しにくくなる。また、焼結層各層毎に通気孔10の輪郭に生じる余剰硬化部位がより大きくなって、通気孔10の輪郭形状を得ることが難しくなり、通気孔10が途中で塞がってしまう可能性がある。したがって、基本的にスポット径を0.2mmφ以下にしないとならない。
【0051】
表1において、試料2から試料6における通気孔10の最大幅dxと枠体部位20の格子幅wxは、実際に測定せず、所定量の圧縮空気を供給して通気性だけを確認した。ただし、ラスタ走査線間のピッチの間隔が0mmである試料1における通気孔10の最大幅dxと枠体部位20の幅wxを測定し、圧縮空気の流通度合から通気性を確認しているので、計算上は、試料1における通気孔10の最大幅dxよりも大きい最大幅dxの通気孔10が形成されていると推定できる。
【0052】
レーザ光のスポット径が0.1mmφの場合は、走査速度が速すぎて枠体部位20の密度が低くなり、輪郭形状が均一の通気孔10を得ることができなかった。加圧空気の通気性と輪郭形状の状態が最も良好であった試料1の水平切断面の写真を
図5に示す。また、加圧空気の通気性が最も不良であった試料6の水平切断面の写真を
図6に示す。
【0053】
表2に示されるように、走査速度を1400mm/secの中速度領域にした場合、余剰硬化部位が拡がって通気孔10の開口面積が狭くなり、通気性が低下するが、走査速度が2000mm/secのときに比べて所定距離毎の加熱時間が長くなるので、枠体部位20の密度が上がって強度が増し、通気孔10の輪郭形状をより均一にすることができている。
【0055】
走査速度が1400mm/secでラスタ走査線間のピッチを小さくすると、余剰硬化部位が拡大することによって通気孔10が埋まって輪郭形状が崩れる。例えば、表2における試料11の場合は、通気孔10が殆ど形成されていない。
【0056】
結論として、走査速度が中速度領域である場合は、ラスタ走査線のピッチをより大きくしないと、通気孔10の輪郭形状を得ることができず、ピッチを大きくすると、通気孔10の最大幅dwが大きくならざるを得ない。通気孔10が形成されたかった試料11の水平切断面の写真を
図7に示し、通気性と通気孔10の輪郭形状が比較的良好であった試料16の水平切断面の写真を
図8に示す。なお、
図7および
図8の写真は、倍率10倍のレーザ顕微鏡による拡大写真である。
【0057】
次に、スポット径を0.1mmφとして枠体部位20の最大幅dxを可能な限り狭くなるようにし、余剰硬化部位の拡大を考慮してピッチをより大きくして、走査速度を段階的に低下させていき、通気性と通気孔10の輪郭形状を確認した。
【0058】
表3に示されるように、走査速度が600mm/secのときに、枠体部位20の最大幅dxが比較的大きくなるものの、余剰硬化部位がそれほど大きくならず、通気孔10の最大幅dxをより小さくし均一で安定した輪郭形状を得ることができる。走査速度が600mm/secである試料26の水平切断面の写真を
図9に示す。なお、
図9の写真は、倍率10倍のレーザ顕微鏡による拡大写真である。
【0060】
表4に示すように、出力370Wで、走査速度を600mm/secにして、スポット径を0.1mmφにし、ピッチを0.10mmずつ小さくした場合に、十分な通気性を有する通気孔10の最大幅dxを41μmまで小さくすることができることが確認できた。通気孔10の最大幅dxが41μmのときの試料35の水平切断面の写真を
図10に示す。なお、
図10の写真は、倍率10倍のレーザ顕微鏡による拡大写真である。
【0062】
本発明の製造方法において、基本は、レーザ光の出力を350W以上とし、スポット径を0.1mmφ以上0.2mmφ以下にし、レーザ光の走査経路をラスタ走査線形状とし、ラスタ走査線のピッチを通気孔10の最大幅dx以上として、通気孔10の最大幅が0.03mm以上0.10mm以下のラディス構造の気体流路2を形成するようにする。その結果、ラスタ走査線の走査経路に従う1回のレーザ光の照射によって高密度の枠体部位20を形成し、通気性が十分で輪郭形状が良好な通気孔10を得ることができる。
【0063】
とりわけ、スポット径が0.1mmφで小さいときは、レーザ光の所定の走査速度が600mm/sec以上800mm/sec以下程度の低速度領域であることが望ましく、スポット径0.2mmφで大きいときは、所定の走査速度が1000mm/sec以上1400mm/sec以下程度の中速度領域であることが望ましい。ただし、適する走査速度は、照射エネルギあるいは材料の種類のようなパラメータとの関係で相対的に決まるので、本発明が高速度領域の走査速度で実施できないというものではなく、また、本発明において、走査速度が具体的な数値の範囲に限定されるものではない。
【0064】
そして、ラスタ走査線間のピッチを通気孔10の所望の最大幅dxよりも十分に大きくした状態で、積層する第N層目の粉末層における走査経路を第1のラスタ走査線とするときに、第N+1層目の粉末層における走査経路を第1のラスタ走査線に対して直交する第2のラスタ走査線とし、第N+2層目の粉末層における走査経路を第1のラスタ走査線とし、第N+3層目の粉末層における走査経路を第2のラスタ走査線として、粉末層の各層毎に各走査経路に沿ってレーザ光を所定の走査速度で移動させながらレーザ光の照射を繰り返すようにする。
【0065】
第1の構造部位2Aの枠体部位20が必要な剛性を有しておらず、気体流路2の強度が不足する場合には、第1の構造部位2Aにおける通気孔10と連通し第1の構造部位2Aの通気孔10の最大幅よりも大きい最大幅を有する通気孔30を有するラティス構造またはハニカム構造の第2の構造部位2Bを第1の構造部位2Aと一体に結合するように生成して、第1の構造部位2Aを第2の構造部位2Bで補強するようにすることができる。
【0066】
このとき、第2の構造部位2Bが角形状の空間分割構造である場合は、第1の構造部位2Bにおける空洞部位を橋渡しするように第1の構造部位2Aを形成していく、いわゆる“アンダー焼結”の状態になる。
【0067】
アンダー焼結の状態で最大幅dxが小さい第1の構造部位2Aの通気孔10を閉塞しないようにするためには、
図4に示されるように、第1の構造部位2Aにおけるラスタ走査線に沿って形成される通気孔10の中心Oに、第1の構造部位2Aにおけるラスタ走査線よりも大きいピッチの第2の構造部位2Bにおけるラスタ走査線に沿って生成される通気孔30の中心が一致するように、第2の構造部位2Bにおけるラスタ走査線を設定することが望ましい。
【0068】
ただし、通気孔10と通気孔30の中心が一致するように第1の構造部位2Aにおけるラスタ走査線と第2の構造部位におけるラスタ走査線とを設定できない場合、言い換えると、第1の構造部位2Aにおけるラスタ走査線間の中心軸線と第2の構造部位2Bにおけるラスタ走査線間の中心軸線がずれている場合でも、第2の構造部位2Bを気体流路2の中心部位ほど厚さが小さくなるテーパ形状に形成することによって、通気性を確保しながら気体流路2を形成することができる。
【0069】
すでに示されているが、第2の構造部位2Bにおける通気孔30の最大幅と枠体部位40の幅は、第1の構造部位2Aの通気孔10の最大幅dxと枠体部位20の幅wxに比べてより大きくすることができるので、通気性を著しく低下させることがない範囲で第2の構造部位2Bをラティス構造以外の角形状の空間分割構造にすることができる。
【0070】
第2の構造部位2Bをハニカム構造体で形成する場合は、ラティス構造体に比べてより強度を大きくすることができるので、気体流路2の通気孔の最大幅をより大きくすることができる。ハニカム構造体を生成するときの走査経路は、ラスタ走査線形状に限定されず、任意に設定することができる。
【0071】
本発明は、以上に説明される実施の形態に限定されず、すでにいくつかの例が示されているが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、第2の構造部位をラティス構造体以外の角形状の空間分割構造として、トラス構造(三角形構造)、あるいはアイソグリッド構造(正三角形構造)にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、金属粉末積層造形法において、金属製の三次元造形物の製造に利用することができる。とりわけ、本発明は、金型産業と金属製部品産業の発展に寄与する。
【符号の説明】
【0073】
1 三次元造形物
2 気体流路
2A 第1の構造部位
2B 第2の構造部位
2C 空洞部位
10 通気孔
20 枠体部位
30 通気孔
40 枠体部位
50 テーパ部位
【手続補正書】
【提出日】2019年4月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大幅が0.01mm以上0.10mm以下の複数の直線状の通気孔と幅が0.08mm以上0.25mm以下で固化密度が90%以上の枠体部位とでなるラティス構造であって厚さが1mm以上10mm以下の第1の構造部位と、最大幅が前記第1の構造部位における前記通気孔の最大幅の1.5倍以上を有し前記通気孔と接続する複数の直線状の通気孔と焼結密度が固化密度が90%以上の枠体部位とでなる角形状の空間分割構造であって前記第1の構造部位と一体で結合する第2の構造部位と、を含んでなる気体流路を有する金属製の三次元造形物。
【請求項2】
前記第2の構造部位が前記気体流路の中心部位ほど厚さが小さくなるテーパ形状であることを特徴とする請求項1に記載の金属製の三次元造形物。
【請求項3】
金属粉末積層造形法によるラティス構造の気体流路を有する金属製の三次元造形物の製造方法であって、所要の出力を有するレーザ光のスポット径を0.1mmφ以上0.2mmφ以下とし、前記レーザ光の走査経路がラスタ走査線形状であって前記ラスタ走査線間のピッチをラティス構造における直線状の通気孔の所望の最大幅以上にした状態で、積層する第N層目の粉末層における前記走査経路を第1のラスタ走査線とするときに、第N+1層目の粉末層における前記走査経路を第1のラスタ走査線に対して直交する第2のラスタ走査線とし、第N+2層目の粉末層における前記走査経路を前記第1のラスタ走査線とし、第N+3層目の粉末層における前記走査経路を前記第2のラスタ走査線として、前記粉末層の各層毎に前記第1のラスタ走査線または前記第2のラスタ走査線の前記走査経路に沿って前記レーザ光を所定の走査速度で移動させながらレーザ光の照射を繰り返して、前記通気孔の最大幅が0.01mm以上0.10mm以下のラティス構造の気体流路を形成することを特徴とする金属製の三次元造形物の製造方法。
【請求項4】
前記ラティス構造の気体流路を第1の構造部位として、前記第1の構造部位における前記通気孔と連通し前記第1の構造部位の前記通気孔の最大幅よりも大きい最大幅の通気孔を有する角形状の空間分割構造の第2の構造部位を第1の構造部位と一体で結合するように生成し前記気体流路を形成することを特徴とする請求項3に記載の金属製の三次元造形物の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の金属製の三次元造形物は、上記課題を解決するために、最大幅が0.01mm以上0.10mm以下の複数の直線状の通気孔と幅が0.08mm以上0.25mm以下で固化密度が90%以上の枠体部位とでなるラティス構造であって厚さが1mm以上10mm以下の第1の構造部位と、最大幅が第1の構造部位における通気孔の最大幅の1.5倍以上を有し上記通気孔と接続する複数の直線状の通気孔と焼結密度が固化密度が90%以上の枠体部位とでなる角形状の空間分割構造であって第1の構造部位と一体で結合する第2の構造部位と、を含んでなる気体流路を有する金属製の三次元造形物とする。