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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-24491(P2020-24491A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】制御装置および異常検知方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20200121BHJP
【FI】
   G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-147493(P2018-147493)
(22)【出願日】2018年8月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】谷 忠直
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EA03
3C223EA05
3C223EB01
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF31
3C223FF33
3C223FF34
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH29
(57)【要約】
【課題】出力切替時における調整出力変化に遅れがあっても、誤りなく異常検知を行う。
【解決手段】判定値算出部16Cが、一定の測定期間M(i)ごとに調整出力値Q(i)を取得して順次保存し、調整出力値Q(i)までに得られた複数の調整出力値Qに基づいて、予め設定されている規定値QSに対する調整出力値Q(i)の到達度を示す判定値D(i)を算出し、待機期間検出部16Dが、調整出力の出力切替時点から、判定値D(i)が判定閾値DSに到達した時点までを待機期間TWとして検出し、異常検知部16Eが、出力切替時点から待機期間TWが経過するまで異常検知を停止し、待機期間TWが経過した時点で異常検知を開始する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス制御の運用時に、プロセス量を調整する機器に対して操作器から出力される調整出力を監視することにより前記機器の異常検知を行う異常検知部と、
一定の測定期間ごとに前記調整出力の値を示す新たな調整出力値を取得して記憶回路に順次保存し、前記記憶回路に保存されている前記新たな調整出力値までに得られた複数の調整出力値に基づいて、予め設定されている規定値に対する前記新たな調整出力値の到達度を示す判定値を算出する判定値算出部と、
前記調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点から、前記判定値が予め設定されている判定閾値に到達した時点までを待機期間として検出する待機期間検出部とを備え、
前記異常検知部は、前記出力切替時点から前記待機期間が経過するまでの期間において前記異常検知を停止し、前記待機期間が経過した時点で前記異常検知を開始する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記判定値算出部は、前記判定値を算出する際、前記新たな調整出力値を取得した時点から一定の判定時間長だけ遡った判定期間内に取得された前記複数の調整出力値に基づいて、前記判定値を算出することを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の制御装置において、
前記判定値算出部は、前記プロセス制御の運用時に、前記調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点以降に得られた前記新たな調整出力値ごとに、前記判定値をそれぞれ算出し、
前記待機期間検出部は、前記運用時に得られた前記判定値に基づいて前記待機期間TWを検出する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の制御装置において、
前記判定値算出部は、前記プロセス制御の非運用時に、試験的に前記調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点以降に得られた前記新たな調整出力値ごとに、前記判定値をそれぞれ算出し、
前記待機期間検出部は、前記非運用時に得られた前記判定値に基づいて前記待機期間TWを検出する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置において、
前記判定値算出部は、前記判定値を算出する際、予め設定されている参照判定値と前記新たな調整出力値との差分または比率を、前記判定値として算出することを特徴とする制御装置。
【請求項6】
プロセス制御の運用時に、プロセス量を調整する機器に対して操作器から出力される調整出力を監視することにより前記機器の異常検知を行う制御装置で用いられる異常検知方法であって、
判定値算出部が、一定の測定期間ごとに前記調整出力の値を示す新たな調整出力値を取得して記憶回路に順次保存し、前記記憶回路に保存されている前記新たな調整出力値までに得られた複数の調整出力値に基づいて、予め設定されている規定値に対する前記新たな調整出力値の到達度を示す判定値を算出する判定値算出ステップと、
待機期間検出部が、前記調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点から、前記判定値が予め設定されている判定閾値に到達した時点までを待機期間として検出する待機期間検出ステップと、
異常検知部が、前記出力切替時点から前記待機期間が経過するまでの期間において前記異常検知を停止し、前記待機期間が経過した時点で前記異常検知を開始する異常検知ステップと
を備えることを特徴とする異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス量を設定値に制御する際に機器の異常を検知するための異常検知技術に関する。
【背景技術】
【0002】
温度、圧力、流量などのプロセス量を、予め設定されている設定値SPに制御する制御装置では、プロセス量に関する測定値PVとSPに基づいてPIDなどのフィードバック方式に基づき新たな操作量MVを算出し、得られた操作量MVに基づいて、操作器から機器に対して出力される調整出力の出力開始または出力停止を切替制御することにより、プロセス量を制御するものとなっている。
【0003】
例えば、制御装置を代表する温度調節計は、プロセス量として測定した測定温度PVと設定温度SPに基づいてPID演算し、得られた操作量MVに基づいてヒータを制御している。これにより、操作器からヒータに供給される電流がオンオフ制御されて、プロセス量である測定温度PVが設定温度SPとなるようヒータにより温度調整されることになる。
【0004】
このような制御装置では、プロセス量を調整する機器での異常発生を精度よく検知する必要がある。従来、このような温度調節計での異常検知技術として、操作器からヒータへ調整出力として供給される電流を監視し、検出した電流値と基準値とを比較することにより、ヒータの異常を検知する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−93178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来技術では、機器の異常を検知する場合、機器のオンオフ制御切替時、すなわち調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時における調整出力変化の遅れを考慮していないため、出力切替時に誤って機器の異常を検知してしまうという問題点があった。
一般に、プロセス量を調整する機器は、ある程度の時定数を有しているため、操作器から出力された調整出力の値は、遅れをもって変化する傾向がある。例えば、ヒータは電流供給開始後、直ぐに電流値が定格値まで到達するのではなく、定格値に到達するまである程度の時間を要する。したがって、操作量MVにより電流供給開始を示した時点で直ぐに異常検知を開始すると、ヒータへの電流が十分流れておらず、誤って異常検知と判定されることになる。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、出力切替時における調整出力変化に遅れがあっても、誤りなく異常検知を行うことができる異常検知技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかる制御装置は、プロセス制御の運用時に、プロセス量を調整する機器に対して操作器から出力される調整出力を監視することにより前記機器の異常検知を行う異常検知部と、一定の測定期間ごとに前記調整出力の値を示す新たな調整出力値を取得して記憶回路に順次保存し、前記記憶回路に保存されている前記新たな調整出力値までに得られた複数の調整出力値に基づいて、予め設定されている規定値に対する前記新たな調整出力値の到達度を示す判定値を算出する判定値算出部と、前記調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点から、前記判定値が予め設定されている判定閾値に到達した時点までを待機期間として検出する待機期間検出部とを備え、前記異常検知部は、前記出力切替時点から前記待機期間が経過するまでの期間において前記異常検知を停止し、前記待機期間が経過した時点で前記異常検知を開始するようにしたものである。
【0009】
また、本実施の形態にかかる上記る制御装置の一構成例は、前記判定値算出部が、前記判定値を算出する際、前記新たな調整出力値を取得した時点から一定の判定時間長だけ遡った判定期間内に取得された前記複数の調整出力値に基づいて、前記判定値を算出するようにしたものである。
【0010】
また、本実施の形態にかかる上記る制御装置の一構成例は、前記判定値算出部が、前記プロセス制御の運用時に、前記調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点以降に得られた前記新たな調整出力値ごとに、前記判定値をそれぞれ算出し、前記待機期間検出部は、前記運用時に得られた前記判定値に基づいて前記待機期間TWを検出するようにしたものである。
【0011】
また、本実施の形態にかかる上記る制御装置の一構成例は、前記判定値算出部が、前記プロセス制御の非運用時に、試験的に前記調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点以降に得られた前記新たな調整出力値ごとに、前記判定値をそれぞれ算出し、前記待機期間検出部は、前記非運用時に得られた前記判定値に基づいて前記待機期間TWを検出するようにしたものである。
【0012】
また、本実施の形態にかかる上記る制御装置の一構成例は、前記判定値算出部が、前記判定値を算出する際、予め設定されている参照判定値と前記新たな調整出力値との差分または比率を、前記判定値として算出するようにしたものである。
【0013】
また、本実施の形態にかかる異常検知方法は、プロセス制御の運用時に、プロセス量を調整する機器に対して操作器から出力される調整出力を監視することにより前記機器の異常検知を行う制御装置で用いられる異常検知方法であって、判定値算出部が、一定の測定期間ごとに前記調整出力の値を示す新たな調整出力値を取得して記憶回路に順次保存し、前記記憶回路に保存されている前記新たな調整出力値までに得られた複数の調整出力値に基づいて、予め設定されている規定値に対する前記新たな調整出力値の到達度を示す判定値を算出する判定値算出ステップと、待機期間検出部が、前記調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点から、前記判定値が予め設定されている判定閾値に到達した時点までを待機期間として検出する待機期間検出ステップと、異常検知部が、前記出力切替時点から前記待機期間が経過するまでの期間において前記異常検知を停止し、前記待機期間が経過した時点で前記異常検知を開始する異常検知ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異常検知部での異常検知が、出力切替時点から調整出力値が規定値に対して一定の到達度を示すまでの待機期間だけ停止されることになる。したがって、出力切替時における調整出力変化に遅れがあっても、遅れが解消された後、異常検知が開始されることになるため、誤りなく異常検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態にかかる判定値算出処理を示すフローチャートである。
図3】第1の実施の形態にかかる判定値算出過程を示す説明図である。
図4】異常検知動作(OFFからON)を示すタイミングチャートである。
図5】異常検知動作(ONからOFF)を示すタイミングチャートである。
図6】第2の実施の形態にかかる判定値算出処理を示すフローチャートである。
図7】第2の実施の形態にかかる判定値算出過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる制御装置10について説明する。図1は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
この制御装置10は、全体として演算処理装置からなり、温度、圧力、流量などのプロセス量を、予め設定されている設定値SPに制御する制御装置では、プロセス量に関する測定値PV、設定値SP、および操作量MVに基づいてPID演算し、得られた操作量MVに基づいて、操作器から機器に対して出力される調整出力の出力開始または出力停止を切替制御することにより、プロセス量を制御する機能を有している。
【0018】
制御装置10の具体例としては、温度調整計などとして用いられるデジタル指示調節計がある。以下では、制御装置10が温度調整計として動作する場合を例として説明する。すなわち、図1に示すように、制御装置10は、プロセス量として温度センサ3で測定した測定温度PVと設定温度SPに基づいてPID演算し、得られた操作量MVに基づいて操作器1を制御する。これにより、操作器1からヒータ2に供給される電流Iがオンオフ制御されて、プロセス量である測定温度PVが設定温度SPとなるようヒータ2により温度調整されることになる。なお、制御装置10の構成例として、プロセス量の制御機能を含まずに後述する異常検知機能のみを備える装置も含まれるものとする。
【0019】
本発明は、制御装置10において、電流検出器4により検出した電流Iに基づいて、ヒータ2の異常を検知する場合、一定の測定期間ごと取得した電流Iが、電流Iの出力切替時点から規定値に到達するまでの期間を待機期間として検出し、出力切替時点から待機期間が経過するまでの期間において異常検知を停止し、待機期間が経過した時点で異常検知を開始するようにしたものである。
【0020】
[制御装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる制御装置10の構成について詳細に説明する。図1に示すように、制御装置10は、主な構成として、機器I/F回路11、通信I/F回路12、操作入力回路13、表示回路14、記憶回路15、および演算処理回路16を備えている。
【0021】
機器I/F回路11は、操作器1、温度センサ3、および電流検出器4との間でデータ通信を行う機能を有している。具体的には、機器I/F回路11は、操作器1に対して操作量MVを送信する機能、温度センサ3で検出されたヒータ2の測定温度PVを取得する機能、電流検出器4で検出された操作器1からヒータ2への電流Iを調整出力値Qとして取得する機能などを有している。
【0022】
通信I/F回路12は、通信回線Lを介して上位装置(図示せず)との間でデータ通信を行う機能を有している。具体的には、通信I/F回路12は、上位装置から指示された各種制御パラメータを取得する機能、異常検知の結果を上位装置へ報知する機能などを有している。
【0023】
操作入力回路13は、操作キー、操作スイッチ、タッチパネルなどの操作入力装置を有し、作業者の操作を検出して演算処理回路16へ出力する機能を有している。
表示回路14は、LEDやLCDなどの表示装置を有し、演算処理回路16から指示された、動作状態、制御状況、異常検知結果などの各種データを表示する機能を有している。
【0024】
記憶回路15は、半導体メモリからなり、演算処理回路16でのプロセス制御や異常検知に用いられる各種処理データやプログラムを記憶する機能を有している。記憶回路15で記憶する主な処理データとしては、PID制御に用いる設定温度(設定値)SP、測定温度(測定値)PV、操作量MV、調整出力値(検出電流)Qなどの制御データがある。記憶回路15で記憶するプログラムは、制御装置10に接続された外部装置や記録媒体(ともに図示せず)から記憶回路15に予め格納される。
【0025】
演算処理回路16は、CPUとその周辺回路を備え、記憶回路15のプログラムを読み込んで実行することにより、各種処理部を実現する機能を有している。演算処理回路16で実現される主な処理部として、設定値取得部16A、機器制御部16B、判定値算出部16C、待機期間検出部16D、および異常検知部16Eがある。
【0026】
設定値取得部16Aは、操作入力回路13で検出された作業者操作、あるいは、通信I/F回路12で受信した制御パラメータに基づいて、プロセス値の目標となる設定温度SPを取得して、記憶回路15に保存する機能を有している。
【0027】
機器制御部16Bは、機器I/F回路11を介して温度センサ3から取得した測定温度PV、設定温度SP、および操作量MVに基づいて、PIDなどのフィードバック演算を行う機能と、得られた新たな操作量MVを機器I/F回路11から操作器1へ出力する機能とを有している。
【0028】
判定値算出部16Cは、一定の測定期間M(i)(i=1,2,…,n;nは2以上の整数)ごとに、機器I/F回路11を介して電流検出器4から電流(調整出力)Iの値を示す新たな調整出力値Q(i)を取得して記憶回路15に順次保存する機能と、記憶回路15に保存されている、新たな調整出力値Q(i)までに得られた複数の調整出力値Qからなる判定対象Q’に基づいて、予め設定されている規定値QSに対する新たな調整出力値Q(i)の到達度を示す判定値D(i)を算出する機能とを有している。
【0029】
待機期間検出部16Dは、機器制御部16Bにより操作器1に対する電流Iの出力開始または出力停止を行った出力切替時点から、判定値D(i)が予め設定されている判定閾値DSに到達する時点までを、待機期間TWとして検出する機能を有している。
【0030】
異常検知部16Eは、プロセス制御の運用時に、プロセス量を調整するヒータ(機器)2に対して操作器1から出力される電流(調整出力)Iを監視することにより、ヒータ2の異常検知を行う機能と、機器制御部16Bによる出力切替時点から、待機期間TWが経過するまでの期間において異常検知を停止し、待機期間TWが経過した時点で異常検知を開始する機能とを有している。
【0031】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図2図5を参照して、本実施の形態にかかる制御装置10の異常検知動作について説明する。図2は、第1の実施の形態にかかる判定値算出処理を示すフローチャートである。図3は、第1の実施の形態にかかる判定値算出過程を示す説明図である。図4は、異常検知動作(OFFからON)を示すタイミングチャートである。図5は、異常検知動作(ONからOFF)を示すタイミングチャートである。
【0032】
ここでは、判定値算出部16Cが一定の判定時間長TNを有する判定期間N(i)ごとに判定値D(i)を算出するものとし、判定期間N(i)には、一定の測定時間長TMを有する測定期間M(i)ごとに取得されたm(mは2以上の整数)個の調整出力値Q(i)が含まれているものとする。また、判定閾値DSは100%であるものとする。なお、操作量MVが電流出力を示すON期間、または、操作量MVが電流停止を示すOFF期間、に含まれる測定期間M(i)の数をn(nは2以上の整数)とし、mはn以下の整数であるものとする。
【0033】
判定値算出部16Cは、測定期間M(i)ごとに図2の判定値算出処理を実行する。
まず、判定値算出部16Cは、測定期間M(i)における取得タイミング到来まで待機し(ステップS100)、取得タイミング到来に応じて機器I/F回路11を介して電流検出器4から新たな調整出力値Q(i)を取得して記憶回路15に保存する(ステップS101)。
次に、判定値算出部16Cは、Q(i)を取得した時点から一定の判定時間長TNだけ遡った判定期間N(i)内に取得されたm個の調整出力値Q(i−m+1)〜Q(i)を、記憶回路15から判定対象Q’として選択する(ステップS102)。
【0034】
続いて、判定値算出部16Cは、Q’に属する調整出力値Q(i−m+1)〜Q(i)のそれぞれを、予め設定されている規定値QS1と比較し(ステップS103)、Q’のうちQS1に到達している割合を判定値D(i)として算出して記憶回路15に保存し(ステップS104)、一連の判定値算出処理を終了する。
なお、記憶回路15からm個の調整出力値Q(i−m+1)〜Q(i)を選択できない場合、不足分のQについてはQS1に到達していないものとして判定値D(i)を算出すればよい。
【0035】
これにより、図3に示すように、測定期間M(m)においてQ(m)が取得された場合、対応する判定期間N(m)に属するm個のQ(1)〜Q(m)がQ’として選択され、これらがQS1に到達している割合がD(m)として算出される。
また、続く測定期間M(m+1)においてQ(m+1)が取得された場合、対応する判定期間N(m+1)に属するm個のQ(2)〜Q(m+1)がQ’として選択され、これらのうちQS1に到達している割合がD(m+1)として算出される。
【0036】
図4に示すように、実際のプロセス制御において、時刻TC1の出力切替時点に、操作量MVにより電流出力開始が指示された場合、電流Iが、時刻TC1から徐々に上昇し、その後の時刻TQ1に、電流出力を示すON期間の規定値QS1(最大定格電流値)に到達したものとする。
したがって、Q(i)はTC1から徐々に上昇し、D(i)はTQ1から上昇を開始する。この際、DS1=100%であることから、TQ1から判定時間長TNだけ遅れた時刻TD1に、判定期間Niに含まれるm個のQがすべてQS1に到達した時点で、D(i)が判定閾値DS1に到達することになる。
【0037】
これにより、待機期間検出部16Dは、出力切替時点であるTC1からTD1まで待機期間TW1として検出する。
したがって、時刻TC1の出力切替時点からTD1までのTW1については、異常検知部16EはQ(i)に基づく異常検知を停止することになる。その後、時刻TD1に待機期間TW1が経過するため、異常検知部16EはQ(i)に基づく異常検知を開始することになる。
【0038】
また、図5に示すように、実際のプロセス制御において、時刻TC2の出力切替時点に、操作量MVにより電流出力停止が指示された場合、電流Iが、時刻TC2から徐々に低下し、その後の時刻TQ2に、電流停止を示すOFF期間の規定値QS2(ゼロ)に到達したものとする。
したがって、Q(i)はTC2から徐々に低下し、D(i)はTQ2から低下を開始する。この際、DS2=100%であることから、TQ2から判定時間長TNだけ遅れた時刻TD2に、判定期間Niに含まれるm個のQがすべてQS2に到達した時点で、D(i)が判定閾値DS2に到達することになる。
【0039】
これにより、待機期間検出部16Dは、出力切替時点であるTC2を待機期間TW2の開始時点として検出し、TD2を待機期間TW2の完了時点として検出する。
したがって、時刻TC2の出力切替時点に待機期間TW2が開始されるため、異常検知部16EはQ(i)に基づく異常検知を停止することになる。その後、時刻TD2に待機期間TW2が完了するため、異常検知部16EはQ(i)に基づく異常検知を開始することになる。
【0040】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、判定値算出部16Cが、一定の測定期間M(i)ごとに新たな調整出力値Q(i)を取得して順次保存し、新たな調整出力値Q(i)までに得られた複数の調整出力値Qに基づいて、予め設定されている規定値QSに対する新たな調整出力値Q(i)の到達度を示す判定値D(i)を算出し、待機期間検出部16Dが、調整出力の出力切替時点から、判定値D(i)が判定閾値DSに到達した時点までを待機期間TWとして検出し、異常検知部16Eが、出力切替時点から待機期間TWが経過するまで異常検知を停止し、待機期間TWが経過した時点で異常検知を開始するようにしたものである。
【0041】
これにより、異常検知部16Eでの異常検知が、出力切替時点から新たな調整出力値Q(i)が規定値QSに対して一定の到達度を示すまでの待機期間TWだけ停止されることになる。したがって、出力切替時における調整出力変化に遅れがあっても、遅れが解消された後、異常検知が開始されることになるため、誤りなく異常検知を行うことができる。
【0042】
また、本実施の形態において、判定値算出部16Cが、判定値D(i)を算出する際、新たな調整出力値Q(i)を取得した時点から一定の判定時間長TNだけ遡った判定期間N(i)内に取得された複数の調整出力値Qに基づいて、判定値D(i)を算出するようにしてもよい。これにより、Q(i)の直近のQがQ(i)の算出に用いられるため、判定値D(i)を精度よく判定することができる。
【0043】
また、本実施の形態において、判定値算出部16Cが、プロセス制御の運用時に、調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点以降に得られた新たな調整出力値Q(i)ごとに、判定値D(i)をそれぞれ算出し、待機期間検出部16Dが、運用時に得られた判定値D(i)に基づいて待機期間TWを検出するようにしてもよい。
これにより、出力切替時点ごとに検出された新たな待機期間TWに基づいて、より正確に異常検知の停止・開始を行うことができる。
【0044】
また、本実施の形態において、判定値算出部16Cが、プロセス制御の非運用時に、試験的に調整出力の出力開始または出力停止を行った出力切替時点以降に得られた新たな調整出力値Q(i)ごとに、判定値D(i)をそれぞれ算出し、待機期間検出部16Dが、非運用時に得られた判定値D(i)に基づいて待機期間TWを検出するようにしてもよい。
これにより、予め検出された新たな待機期間TWに基づいて、異常検知の停止・開始が行われるため、待機期間TWの算出に要する処理負担を軽減できる。
【0045】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる制御装置10について説明する。
第1の実施の形態では、判定値D(i)を算出する際、判定期間N(i)に含まれるm個のQ(i)が規定値QSに到達している割合を判定値D(i)として算出する場合を例として説明したが、D(i)の算出方法については、これに限定されるものではない。
本実施の形態では、予め設定されている参照判定値Q(ref)とQ(i)との差分または比率を判定値D(i)として算出する場合について説明する。
【0046】
すなわち、本実施の形態において、判定値算出部16Cは、判定値D(i)を算出する際、予め設定されている参照判定値Q(ref)と調整出力値Q(i)との差分または比率を、判定値D(i)として算出する機能を備えている。
本実施の形態にかかる制御装置10におけるその他の構成については、第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図6および図7を参照して、本実施の形態にかかる制御装置10の異常検知動作について説明する。図6は、第2の実施の形態にかかる判定値算出処理を示すフローチャートである。図7は、第2の実施の形態にかかる判定値算出過程を示す説明図である。
【0048】
ここでは、判定値算出部16Cが、予め設定されている参照期間M(ref)に得られた調整出力値Qを、記憶回路15から取得して、参照判定値Q(ref)として用いるものとする。また、M(ref)は、図7に示すように、待機期間TWの算出を開始する出力切替時点TC1の1つ前の出力切替時点TC0の直前の測定期間であるものとする。
【0049】
これにより、図4に示すように、TWの算出がON期間に行われる場合には、直前のON期間(の最後)に取得されたQがQ(ref)として用いられることになる。また、図5に示すように、TWの算出がOFF期間に行われる場合には、直前のOFF期間(の最後)に取得されたQがQ(ref)として用いられることになる。
【0050】
判定値算出部16Cは、測定期間M(i)ごとに図6の判定値算出処理を実行する。
まず、判定値算出部16Cは、測定期間M(i)における取得タイミング到来まで待機し(ステップS200)、取得タイミング到来に応じて機器I/F回路11を介して電流検出器4から調整出力値Q(i)を取得して記憶回路15に保存する(ステップS201)。
次に、判定値算出部16Cは、Q(i)とQ(ref)との差分Q(i)−Q(ref)または比率Q(i)/Q(ref)を判定値D(i)として算出して記憶回路15に保存し(ステップS202)、一連の判定値算出処理を終了する。
【0051】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、判定値算出部16Cが、判定値D(i)を算出する際、予め設定されている参照判定値Q(ref)と調整出力値Q(i)との差分または比率を、判定値D(i)として算出するようにしたものである。
これにより、第1の実施の形態と比較して、D(i)算出の要する処理負担を大幅に削減することができる。
【0052】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
10…制御装置、11…機器I/F回路、12…通信I/F回路、13…操作入力回路、14…表示回路、15…記憶回路、16…演算処理回路、16A…設定値取得部、16B…機器制御部、16C…判定値算出部、16D…待機期間検出部、16E…異常検知部、1…操作器、2…ヒータ、3…温度センサ、4…電流検出器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7