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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-2468(P2020-2468A)
(43)【公開日】2020年1月9日
(54)【発明の名称】陰極防食
(51)【国際特許分類】
   C23F 13/20 20060101AFI20191206BHJP
   C23F 13/02 20060101ALI20191206BHJP
   C23F 13/10 20060101ALI20191206BHJP
   C23F 13/16 20060101ALI20191206BHJP
【FI】
   C23F13/20 Z
   C23F13/02 B
   C23F13/02 L
   C23F13/10 B
   C23F13/16
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-161521(P2019-161521)
(22)【出願日】2019年9月4日
(62)【分割の表示】特願2018-514304(P2018-514304)の分割
【原出願日】2016年11月2日
(31)【優先権主張番号】62/250,153
(32)【優先日】2015年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】515015919
【氏名又は名称】ベクター コロージョン テクノロジーズ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】セルジ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ラソッド,テジャル
(72)【発明者】
【氏名】ウィットモア,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4K060
【Fターム(参考)】
4K060AA03
4K060BA02
4K060BA08
4K060BA13
4K060BA17
4K060BA43
4K060BA45
4K060CA30
4K060EA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法、ならびに/または陽極アセンブリの提供。
【解決手段】コンクリートまたはモルタル内の鋼補強材などのイオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食するおよび/または不動態化するための方法において、印加電流陽極または犠牲陽極が、金属部に電流を伝達し、電池、バッテリー、またはキャパシタでありうる電気エネルギーの蓄積コンポーネントが、陽極のコンポーネントとして提供される。その蓄積コンポーネントは、外部電源からコンポーネントを再充電すること、またはコンポーネントを交換することによって導入される交換エネルギーを有することができる。典型的に、電池または蓄積キャパシタは、一体的な外部コンポーネントとして陽極材料を備える外部ケースを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法であって、その方法が:
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備えた電気エネルギーの蓄積コンポーネントと;
電流が蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して金属部へ流れることができ、それにより、電気エネルギーの合計量を減少させるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接して陽極を配置する工程と;
を含み、ここで、蓄積コンポーネントがもとの位置にある間、交換電気エネルギーが蓄積コンポーネントへと導入されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
陽極および蓄積コンポーネントは、両方とも、イオン伝導性の材料中に少なくとも部分的に含まれている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蓄積コンポーネントは、単一ユニットとして陽極に接続される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
蓄積コンポーネントは、外部表面上の陽極を規定する、閉じているか密閉されたキャニスタ内に含まれる、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
蓄積コンポーネントを再充電することによって、交換電気エネルギーが導入される、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
蓄積コンポーネントは太陽電池によって引き続き再充電される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
蓄積コンポーネントは圧電電池によって引き続き再充電される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
蓄積コンポーネントは引き続き自動的に繰り返し再充電される、請求項5から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
蓄積コンポーネントを備えた一体型ユニットである再充電用電源によって、蓄積コンポーネントが引き続き再充電される、請求項5から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
蓄積コンポーネントの他の極への第1の接続部と、金属部への第2の接続部との間に電圧を印加することにより、蓄積コンポーネントが引き続き再充電される、請求項5から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
再充電用電源からの電流を金属部に向かわせることなく、再充電用電源によって蓄積コンポーネントの充電を可能にする電気的接続部が存在する、請求項5から10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
蓄積コンポーネントが据え付けされた後に充電される一方、金属部への電気的接続が維持され、これが金属部への余分な電流を流すように作用して、金属部を不動態化するか、または不動態を維持するもしくは金属部の腐食を緩和するための今後の電流要求を低減する、請求項1から11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
蓄積コンポーネントを交換することによって、交換電気エネルギーが導入される、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
蓄積コンポーネントは、電池、または電池のバッテリーである、請求項1から13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
蓄積コンポーネントはキャパシタである、請求項1から13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
陽極は金属部よりも卑ではない材料を含む、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
陽極はステンレス鋼を含む、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
陽極は犠牲となるように金属部よりも卑な材料を含む、請求項1から15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
陽極および蓄積コンポーネントは、該蓄積コンポーネントが放電されるときに犠牲陽極が作動するように構成され、その結果、電子が陽極から電気的接続部を介して金属部へと流れることができる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記陽極は、犠牲陽極材料の本体に付随するか、本体と電気的に接する、請求項1から19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法であって、その方法が;
2つの極を備えた蓄積コンポーネントを提供する工程と;
陽極が金属部に対して犠牲にならない材料である場合に、イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接して陽極を配置する工程と;
を含み、ここで陽極が、蓄積コンポーネントの外部ケースの外部表面の少なくとも一部を含むことを特徴とする、方法。
【請求項22】
陽極は、蓄積コンポーネントの外部表面を含むか、その外部表面と実質的に一体的である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
陽極および蓄積コンポーネントは、両方とも、イオン伝導性の材料中に少なくとも部分的に含まれる、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
蓄積コンポーネントは、電池、または電池のバッテリーである、請求項21から23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
蓄積コンポーネントはキャパシタである、請求項21から23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
陽極はステンレス鋼を含む、請求項21から25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法であって、その方法が;
陽極が金属部に対して犠牲にならない材料である場合に、イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを提供する工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して金属部へ流れることができ、それにより、容器内に含まれていた電気エネルギーの合計量を減少させるように1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接して陽極を配置する工程と;
を含み、ここで蓄積コンポーネントが、単一ユニットとして陽極と接続されていることを特徴とする、方法。
【請求項28】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法であって、その方法が;
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーを蓄積するためのキャパシタを提供する工程と;
電流が、キャパシタから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接して陽極を配置する工程と;
を含む、ことを特徴とする、方法。
【請求項29】
外部表面上の陽極を規定するキャニスタ内にキャパシタが含まれる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
交換電気エネルギーは、キャパシタを再充電することによって導入される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
交換電気エネルギーは、キャパシタを交換することによって導入される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項32】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法であって、その方法が;
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するためのステンレス鋼の陽極を提供する工程;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを提供する工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接してステンレス鋼の陽極を配置する工程と;
を含む、ことを特徴とする、方法。
【請求項33】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法であって、その方法が;
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを提供する工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そして陽極をイオン伝導性の材料とイオン的に接して配置する工程と;
容器内に蓄積コンポーネントを位置付ける工程と;
作動期間後に、付加的な電気エネルギーを提供するために容器中の蓄積コンポーネントを交換蓄積コンポーネントに交換する工程と;
を含む、ことを特徴とする、方法。
【請求項34】
陽極および容器は、両方とも、イオン伝導性の材料中に少なくとも部分的に含まれる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
容器は外部表面上の陽極を規定する、請求項33または34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧を供給するために電池または電池のバッテリーを使用して、イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食するための、および/もしくは不動態化するための方法、ならびに/または陽極アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーを用いる外部電源方式は公知である。そのような外部電源方式は、一般的な整流器を含むその他の電源を用いることができ、交流電圧を、適切な電源から、陽極と鋼との間の印加電流のために要求される直流電圧へと整流する。このタイプのシステムで使用される太陽光パネルを提供ことも公知である。
【0003】
いずれの場合も、そのような外部電源方式は、防食される構造内で電源が、鋼の突然で受け入れがたい腐食または過防食を引き起こさないことを確実にするために、電源の状態の通常の保全と検査を必要とする。そのような保全が実施され、したがって電源の安全が保証される一方、これは比較的費用のかかるプロセスである。
【0004】
代替的に、防食をもたらす電流が確実に生成されるように、十分に電気陰性な陽極に対して適切な材料を選択することによって鋼と陽極との間の電圧が提供されるので、電源を必要としない直流電気システムを使用することができる。これらのシステムは大きな成功を収めており、広く使用されている。
【0005】
鉄骨鉄筋コンクリートにおいて使用されるような、通常の流電陽極には2つの主要な制限がある。第1の制限は、必要な電流出力に応じて陽極の耐用年数を制限する、陽極当たりの亜鉛の質量に関する。第2の制限は、鋼の腐食を止めるのに十分であることも、十分ではないこともある、陽極の実際の電流出力である。電流出力は駆動電圧によって制限されており、本質的には、安定した特性であるか、暴露条件、陽極の材齢、および腐食生成物の発生により経時的に変動する。
【0006】
2015年2月24日発行の米国特許第8961746号(Sergi)、2015年3月3日発行の米国特許第8968549号(Sergi)、および2007年9月4日発行の米国特許第7264708号(Whitmore)もまた引用され、当該文献はすべて本譲受人に付与されており、当該文献の開示は、参照によって本明細書において組み込まれるか、より多くの関連情報のために参照されてもよい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの態様に従って、イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法が提供され、その方法は:
2つの極を備えた電池、または電池のバッテリーを提供する工程と;
金属部に対して犠牲にならない材料の陽極を提供する工程と;
電子が、電池、または電池のバッテリーから電気的接続部を介して、金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料と接して陽極を配置する工程と;
を含み、その電池または電池のバッテリーは、単一ユニットとして陽極と接続されている。
【0008】
第1の態様とは無関係に使用可能な本発明の第2の態様に従って、イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法が提供され、その方法は:
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備えた電気エネルギーの蓄積コンポーネントを提供する工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して、金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接して陽極を配置する工程と;
を含み、そこで交換電気エネルギーは、蓄積コンポーネントがもとの位置にある間、蓄積コンポーネントへと導入される。
【0009】
本明細書において定義される他の態様とは無関係に使用可能な本発明の第3の態様に従って、イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法が提供され、その方法は:
陽極が金属部に対して犠牲にならない材料である場合に、イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備えた電気エネルギーの蓄積コンポーネントを提供する工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して金属部へ流れることができ、それにより、容器内に含まれていた電気エネルギーの合計量を減少させるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接して陽極を配置する工程と;
を含み、そこで、蓄積コンポーネントは単一ユニットとして陽極と接続されている。
【0010】
本明細書において定義される他の態様とは無関係に使用可能な本発明の第4の態様に従って、イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法が提供され、その方法は:
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーを蓄積するためのキャパシタを提供する工程と;
電流が、キャパシタから電気的接続部を介して、金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接して陽極を配置する工程と;
を含む。
【0011】
本明細書において定義される他の態様とは無関係に使用可能な本発明の第5の態様に従って、イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法が提供され、その方法は:
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するためのステンレス鋼の陽極を提供すること;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを提供する工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して、金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接してステンレス鋼の陽極を配置する工程と;
を含む。
【0012】
本明細書において定義される他の態様とは無関係に使用可能な本発明の第6の態様に従って、イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法が提供され、その方法は:イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを提供する工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して、金属部へ流れることができるように、1つの極を金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接してステンレス鋼の陽極を配置する工程と;
容器内に蓄積コンポーネントを位置付ける工程と;
動作期間後に、付加的な電気エネルギーを提供するために容器中の蓄積コンポーネントを交換蓄積コンポーネントに交換する工程と;
を含む。
【0013】
上述のように、陽極が金属部に対して犠牲にならない場合、それ故に、典型的には、材料は金属部に対して電気陽性である。しかしながら、陽極のいくつかの部分が犠牲になることもあれば、陽極が部分的に犠牲になることもある。
【0014】
本明細書における構成は、陽極が電池または電池のバッテリーに全て接続された複数の関連する陽極の形をとっている場合に、使用することができる。
【0015】
上に定義されるような蓄積コンポーネントは、電池、バッテリー、または電池/バッテリーのバッテリーとなることができるか、または従来の電解槽またはバッテリーとは異なる電荷を蓄積するためのシステムを提供するキャパシタ、スーパーキャパシタ、またはウルトラキャパシタとなることができる。スーパーキャパシタは、他のキャパシタよりもはるかに高い容量値を備えた高容量の電気化学キャパシタである。これらのキャパシタは、典型的には、標準的なキャパシタまたは従来のキャパシタよりも低い電圧制限を有する。それらは、典型的には、単位体積または単位質量当たり、標準的なキャパシタよりも10倍から100倍多くのエネルギーを蓄積し、電荷をバッテリーよりもはるかに速く受けて送達することができ、そして充電式バッテリーよりもさらに多くの充放電サイクルを許容する。スーパーキャパシタには、標準的なキャパシタの従来の固体誘電体が使用されない。スーパーキャパシタには、電気二重層容量(electrostatic double−layer capacitance)、もしくは電気化学的疑似容量(electrochemical pseudo−capacitance)、または両方の組み合わせが代わりに使用される。電気二重層キャパシタは、電気化学疑似容量よりもはるかに高い電気二重層容量を備えた炭素の電極または誘導体を使用し、導電性電極の表面と電解質との間の界面におけるヘルムホルツ二重層の中で電荷の分離を達成する。その電荷の分離は、従来のキャパシタにおける分離よりもはるかに小さな、数オングストローム程度(0.3−0.8nm)の分離である。
【0016】
スーパーキャパシタは、一度完全に充電されると高い電荷を蓄積することができる正常なキャパシタにおける大きな進歩である。2.7V 200Fスーパーキャパシタの容量では、約500C(A×秒)を超えて電荷を保持することができる。典型的な陰極防食システムは、1日当たり1mの鋼につき約170〜400Cを必要とするため、そのようなキャパシタは完全に充電されたとき、一日間で1m以上の鋼を防食するのに十分な電荷を提供することができる。これは2−5mA/mの電流密度に相当する。例えば、この数値を2倍にするためには、静電容量を約400Fまで2倍にする必要がある。キャパシタが日常的に充電される場合、理論的に、1m以上の鋼に電流を提供するために間隔をおいて配置されたこの大きさのスーパーキャパシタを利用するシステムは、効果的な陰極防食システムになりうる。日常的な再充電は太陽光パネルによって容易に提供することができるが、例えば、電流の適度に規則的なバースト(bursts)を生成する他の手段が、スーパーキャパシタのための充電コンポーネントとして使用されうる。そのような手段の例は、道路、駐車場、橋、滑走路等において組み込むことができ、それらの上を通る構造物または車両の荷重および/または移動により電流を生成することを可能にする圧電材料でありえた。
【0017】
すなわち、外部電源方式に直接動力を供給するための、またはバッテリーまたはキャパシタ/スーパーキャパシタを充電/再充電するための電気を生成するために、圧電材料が使用されえた。
【0018】
いくつかの実施形態では、陽極は、防食される金属部よりも卑な材料から形成された犠牲陽極である。しかしながら、その他の場合において、陽極は金属、すなわち典型的には鋼と同じように、または鋼よりも貴であるように、防食される金属部よりも卑ではなく;その結果、陽極はプロセスの間、部分的にまたは完全に不活性である。その陽極が、十分に不活性な材料の陽極から形成された場合、電子が流れている間は著しく腐食しない。
【0019】
高い電流出力は、バッテリーなどの蓄積コンポーネントから要求される。上記されるように、1つの極が防食される金属部に接続される。電子は、金属部の腐食が低減されるように、蓄積コンポーネントから金属部まで流れる。他の極が陽極に接続されるか、または、適している場合は、蓄積コンポーネント自体のケーシングを陽極として使用することができる。亜鉛アルカリ電池の場合には、バッテリーの分極性は、バッテリーのケースが適する材料で作られている場合に陽極として作用し、かつモルタルまたはコンクリートなどのイオン伝導性の材料を介して必要な電流を分散することができるような特徴がある。大部分のリチウム電池などの他のバッテリーは、典型的には、必要な電流をイオン伝導性の材料へと伝達するほど大きくなくてもよい適切な分極性を有する小さな極のみを有する。別個の陽極が、適切な極へ接続するために提供されうる。陽極は、バッテリーまたはキャパシタなどの蓄積コンポーネント全体を覆ってもよい。陽極は、MMOでコーティングされたチタン、他の貴金属、またはサブ金属の導電性コーティングされた導電性セラミック材料などの不活性な導電性材料で作ることができ、そしてアルカリ性のモルタル、またはアルカリ溶液が添加されることもある砂などの不活性な材料に埋め込まれうる。ステンレス鋼は、水酸化リチウムの飽和溶液などのアルカリが添加されたモルタルまたは締固めた砂に埋め込まれたとき、適切な電流キャリアにもなりうる。陽極は、また防食される金属部よりも卑な亜鉛などの犠牲材料を含んでもよい。
【0020】
好ましくは、いくつかの実施形態では、蓄積コンポーネントは、最初に充電されるか、または蓄積コンポーネントがもとの位置にある間に、すなわち、イオン伝導性の材料と接している間に引き続き再充電される。その構成は、定期的な充電プロセスを果たすために自動切替システムを含んでもよいか、または好ましくは含む。例えば、蓄積コンポーネントは、太陽電池、または第2のバッテリーもしくは電源などの外部の動力源によって充電することができる。また、場合によっては、引き続き、自動的にかつ繰り返して、または定期的に再充電を実行するために作動するシステムが提供されてもよい。
【0021】
別の場合では、蓄積コンポーネントは、陽極および蓄積コンポーネントを備えた一体型ユニットである再充電用電源によって引き続き再充電される。しかしながら、そのシステムは、構造中の陽極アセンブリまたは1セットの陽極アセンブリの再充電を果たすために必要とされるような、電源が定期的に作動される定期メンテナンスプログラムとしても作動してもよい。
【0022】
好ましくは、蓄積コンポーネントは、両方の端子間に、または蓄積コンポーネントの端子への第1の接続部と金属部への第2の接続部との間に、電圧を直接印加することによって引き続き再充電される。
【0023】
一構成において、陽極は犠牲陽極材料を含み、または金属部に対して犠牲である陽極は、犠牲陽極材料が消耗されるまで、電流のブーストを引き起こす犠牲陽極材料の本体に付随するか、もしくはその本体と電気的に接しており、以後、電流放電はその陽極を介する。
【0024】
一構成において、蓄積コンポーネントは、1つの端子への接続、および金属部への第2の接続部による据え付けの後に、最初の充電ステップにおいて、もしくは後の再充電において、金属部に接続され、充電される。この接続法は、金属部を不動態化する充電ステップまたは再充電ステップ中に、余分な電流を金属部へ流すように作用するか、または、金属部の不動態を維持する、または腐食を軽減するために今後の電流要求を低減させるように作用する。
【0025】
典型的には、蓄積コンポーネントおよび陽極(複数可)を含む単一ユニットは、少なくとも部分的にイオン伝導性の材料に埋められる。しかしながら、陽極が材料とイオン的に接する取り付けの表面または他の様式への適用が用いられうる。
【0026】
特に好ましい一構成において、蓄積コンポーネントは、外装ケースを備えた電池を含み、そのケースは、陽極材料から完全に、または部分的に作られ、結果として、その陽極が、同じ材料の外部表面によって、もしくはケースの外面上のコーティングまたは層として、外装ケースによって形成される。この場合は、外装ケースまたは少なくとも外部層は、鋼よりも貴な材料から作られうる。本構成において、陽極は、電池の外装ケースを直接形成し、ここで、そのケースは、電池、電解質、陽極材料、および電池の他のコンポーネントの陰極材料を含み、収容する。すなわち、本実施形態において、陽極は、蓄積コンポーネント自体の外部表面上の層またはコーティングによって規定されるか、または実際に蓄積コンポーネントの外部表面であり、かつ蓄積コンポーネントから切り離された付加的な要素ではない。蓄積コンポーネントが電池である場合、電池の外装ケースは陽極の材料を直接支えることができるか、または電池の外装ケースが陽極であることさえある。陽極材料は、表面全体をカバーしてもよく、または他の領域を露出する部分的なカバーであってもよい。
【0027】
別の場合では、ケースと陽極は独立して形成され、かつ陽極は、電池の外装ケースの形に一致する別個の本体を形成する。典型的に、そのような電池は円柱状であるが、他の形状も使用されうる。オリジナルの電池がもはや有効でないほど十分に消耗された後、その電池が追加のエネルギーを取り入れるために再充電可能であるというよりはむしろ交換可能である場合は、本構成が特に適用可能である。
【0028】
別の場合では、陽極は、蓄積コンポーネントの1つの端子に電気的に接続される別個の本体である。
【0029】
上記の特徴は、好ましくは、腐食生成物の膨張力、および鋼の強度の低下により、腐食がコンクリートの崩壊を引き起こす可能性があるということが周知のコンクリート材料またはモルタル材料において、鋼補強部材または構造部材の防食に使用することができる。しかしながら、他の状況における使用も考えられうる。
【0030】
本明細書に使用される用語、印加電流陽極は、金属部より卑であり、その結果防食される金属部と比較して優先的に腐食する亜鉛の材料から典型的には形成される犠牲陽極とは区別することを目的としている。印加電流陽極は、外部電源と併せて使用され、金属部よりも卑である必要がない陽極である。典型的に、そのような印加電流陽極は、チタン、プラチナ、ニオブ、炭素、および他の貴金属、ならびに容易に腐食しない酸化物から作られるか、または鉄、もしくは亜鉛などの卑な材料から形成されうる。
【0031】
上記方法の動作の、犠牲のまたは直流電気の段階の間の使用に関し、イオン伝導性の充填剤は、好ましくは、犠牲陽極の継続的な腐食を確かなものとするために少なくとも1つの活性剤を含む。しかしながら、活性剤はそのシステムにおいて他の場所に位置することもできる。適切な充填剤は固体、ゲルまたは液体の形状でありうる。
【0032】
ゲルは、カルボキシメチルセルロース、でんぷんおよびそれらの誘導体、ヒュームドシリカ、または高分子ゲル電解質、例えばベントナイト、プロピレンカーボネート、およびもしくはアルミナを添加した水酸化カリウム水溶液またはポリ塩化ビニル/酢酸塩−KOH複合材料中のアクリル酸、を含む可能性がある。これらのゲル中の水酸化アルカリは、適切な活性剤として作用する。
【0033】
適切な活性剤は、犠牲陽極金属に対して腐食性を示す、水酸化アルカリ、湿潤剤、触媒材料、および他の材料を含む。活性剤は、単独でまたは組み合わせて使用されてもよい。
【0034】
上記方法の動作の犠牲または直流電気の段階中に使用に関し、イオン伝導性の充填剤は、好ましくは、発生する犠牲陽極の腐食のための、かつ回避される犠牲陽極上に不動態膜を形成するための十分に高いpHを有する。代替的に、充填剤はより低いpHを有し、および/または発生する犠牲陽極の腐食のための、かつ回避される犠牲陽極上に不動態膜の形成のための他の活性剤を含んでいる。
【0035】
本明細書の陽極および方法は、好ましくは、金属部が鋼で、イオン伝導性の材料がコンクリートまたはモルタルである場合に使用するために設計されている。
【0036】
印加電流コンポーネントおよび犠牲コンポーネントを含む陽極装置は、典型的には、コンクリートまたは充填剤によって完全に包まれるように、コンクリートまたは他の固体材料に埋められているが、それは必須ではなく、その陽極は、単に部分的に埋められるか、またはコンクリートと直接的もしくは間接的に、物理的もしくはイオン的に接してもよい。
【0037】
印加電流、および犠牲のコンポーネントを含む陽極装置は、多孔質材料または多孔性のモルタル材料であってもよい封止材料またはイオン的に伝導する充填剤によって囲まれることもある。適切な封止材料は、無機、または有機である可能性があり、任意のイオン伝導性セメント質の高分子、非セメント質の材料、またはジオポリマーもしくは修飾されたポルトランドセメントを含むモルタルであってもよい。その封止材料は、固体、ゲル、または液体であってもよいし、変形可能であってもよい。
【0038】
電源は、太陽光発電が断続的であるときに、長期の防止を提供するように、印加電流陽極および再充電可能な流電陽極を駆動する太陽光パネルを含んでもよい。
【0039】
本明細書において提案されている構造および方法は、特に、金属部が鋼で、イオン伝導性の材料がコンクリートまたはモルタルである場合を想定して設計されている。しかしながら、同じ構成は、土内のパイプまたは他の構築物などのための他の防食システムにおいて、およびそのような陽極が使用されうる他の多数のシステムにおいて使用されてもよい。
【0040】
好ましくは、アセンブリは、2007年6月5日にWhitmoreに付与された米国特許第7,226,532号において開示されるような補強層を含み、その出願の開示は、引用によって組み込まれるか、陽極の腐食、犠牲陽極イオンの析出、および凍結、融解、湿潤、乾燥、および熱膨張/熱収縮などの他の物理的/環境的な力によって引き起こされることもある膨張、収縮、および歪みの力などの力を抑制し抵抗するための、本明細書において開示されないさらなる詳細のために参照されても良い。
【0041】
本明細書において定義され、記載されるような本発明は、イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法とは対象的に、アセンブリとしても提供されうる。したがって、ここに提示される本発明の以下の定義は、本明細書に含まれる。これらの独立した定義の各々は、上に定義されるような従属的特徴の一つまたは全てと併せて使用されうる。
【0042】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するためのアセンブリであって、そのアセンブリは:
金属部に対して犠牲にならない材料の陽極と;
電気エネルギーの蓄積コンポーネントに電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極と;
金属部に1つの極を電気的に接続するための構成と;
陽極に他の極を電気的に接続するための構成と;
電子が蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、イオン伝導性の材料とイオン的に接する陽極を配置するために構成されているアセンブリと;
単一ユニットとして陽極と接続されている蓄積コンポーネントと;
を含む。
【0043】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するためのアセンブリであって、そのアセンブリは:
陽極と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備えた電気エネルギーの蓄積コンポーネントと;
金属部に1つの極を接続するための構成と;
陽極に他の極を電気的に接続するための構成と;
電子が電池または電池のバッテリーから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、イオン伝導性の材料とイオン的に接する陽極を配置するために構成されているアセンブリと;
を含み、ここで、陽極は蓄積コンポーネントの外部表面の少なくとも一部を含む。
【0044】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するためのアセンブリであって、そのアセンブリは:
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを含むコンテナと;
金属部に1つの極を接続するための構成と;
陽極に他の極を電気的に接続するための構成と;
電子が電池または電池のバッテリーから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、イオン伝導性の材料とイオン的に接する陽極を配置するために構成されているアセンブリと;
を含み、ここで、蓄積コンポーネントは再充電可能である。
【0045】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するためのアセンブリであって、そのアセンブリは:
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを含むコンテナと;
金属部に1つの極を接続するための構成と;
陽極に他の極を電気的に接続するための構成と;
電子が電池または電池のバッテリーから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、イオン伝導性の材料とイオン的に接する陽極を配置するために構成されているアセンブリと;
を含み、ここで、蓄積コンポーネントは交換可能である。
【0046】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するためのアセンブリであって、そのアセンブリは:
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを含むコンテナと;
金属部に1つの極を接続するための構成と;
陽極に他の極を電気的に接続するための構成と;
電子が電池または電池のバッテリーから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、イオン伝導性の材料とイオン的に接する陽極を配置するために構成されているアセンブリと;
を含み、ここで、蓄積コンポーネントはキャパシタである。
【0047】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するためのアセンブリであって、そのアセンブリは:
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極と;
電気エネルギーを放出することによって生成された電流を伝達するための2つの極を備える電気エネルギーの蓄積コンポーネントを含むコンテナと;
金属部に1つの極を接続するための構成と;
陽極に他の極を電気的に接続するための構成と;
電子が電池または電池のバッテリーから電気的接続部を介して金属部へ流れることができるように、イオン伝導性の材料とイオン的に接する陽極を配置するために構成されているアセンブリと;
を含み、ここで、蓄積コンポーネントは、ステンレス鋼の外部表面を少なくとも部分的に有する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
ここで、本発明の実施形態が添付の図面と共に記載される。
図1】陽極装置の第1の構成を使用する、本発明にかかる防食方法の概略的な図である。
図2】印加電流犠牲防食様式における動作のためのコンポーネントの接続を示す図1の概略的な図である。
図3】陽極装置の第2の構成を使用する、本発明にかかる防食方法の概略的な図である。
図4】陽極装置の第3の構成を使用する、本発明にかかる防食方法の概略的な図である。
図5】陽極装置の第4の構成を使用する、本発明にかかる防食方法の概略的な図であり、再充電するためのコンポーネントの接続を示す。
図6】使用可能な図1の別の構成の概略的な図であり、再充電のためのコンポーネントの代替的な接続を示す。
図7】陽極装置のさらなる構成を使用する、本発明にかかる防食方法の概略的な図である。
図8】陽極装置のさらなる構成の概略的な図である。
図9】陽極装置の別の構成を使用する、本発明にかかる防食方法のさらなる実施形態の概略的な図である。
図10】装置が圧電充電システムを使用して充電されるスーパーキャパシタを使用する陽極装置の別の構成を使用する、本発明にかかる防食方法のさらなる実施形態の概略的な図である。
図11】コンクリートスラブの穴内に直接挿入されたバッテリーケーシングに関する電圧および電流対時間のバッテリー陽極の推移グラフであって、第1のセットの例において記載されているような第1のバッテリーに直列に接続された第2のバッテリーに関するグラフを示す。
図12】コンクリートスラブの穴内に直接挿入されたバッテリーケーシングに関する電圧および電流対時間のバッテリー陽極の推移グラフであって、第1のセットの例において記載されているような第1のバッテリーに直列に接続された第2のバッテリーに関するグラフを示す。
図13】本明細書に記載されるようなアセンブリに関する結果のグラフであり、バッテリー、およびMMOでコーティングされたチタン陽極が、再充電の前(受けたとき)および後の電流を示し、その結果は、以下の表1および表2に示される。
図14】本明細書に記載されるようなアセンブリに関する結果のグラフであり、バッテリー、およびZn陽極が、再充電の前(受けたとき)および後の電流を示し、その結果は、以下の表3および表4に示される。
【0049】
図において、参照の類似する特徴は異なる図の対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1に示されるように、典型的なアルカリ二酸化マンガン−亜鉛二次電池は、以下の主要ユニットを含む:円筒状の内部空間を規定する鋼の缶(12)、その缶に圧入された複数の中空の円筒状のペレット(16)によって形成された二酸化マンガン陰極(14)、陽極ゲルで作られ、陰極(14)の中空内部に配置される亜鉛陽極(18)、および陰極(14)から陽極(18)を分離する円筒状セパレータ(20)。陽極と陰極との間のイオン導電性(電解質)は、予め決められた量で電池へと添加される水酸化カリウム、KOH、電解質が存在することによってもたらされる。他のタイプの二次電池は、類似の主要なコンポーネント(缶、陰極、陽極、セパレータ、および電解質)を含むが、構成要素の組成が異なることもある。しかしながら、電池のタイプのいくつかは、鉛蓄電池またはリチウム電池などの異なる構造であってもよい。
【0051】
缶(12)の底部は閉じており、陽端子になる中央の円形のピップ(22)を有する。缶(12)の上方端部は、金属薄板と、陰性キャップ(24)に取り付けられ陽極との電気接触もたらすために陽極ゲルへと深く入り込む集電子(26)と、缶(12)から陰性キャップ(24)を電気的に隔離し、陰極と陽極の構造体を越えて気層をそれぞれ分離しているプラスチック上部(28)と、によって形成された陰性キャップ(negative cap)(24)を含む電池閉鎖アセンブリ(cell closure assembly)によって、空気を通さないように密閉される。
【0052】
セパレータ(20)の材料は、2つの異種材料、すなわち:電解質によって湿潤可能な繊維シート材料で作られる第1の材料(30)、および小さな粒子を通さないがイオン透過性を保持する第2の材料(32)から成る。第1の層のための好都合な材料は、吸収性があり、電解質のためのリザーバとなる不織のポリアミド繊維のシート材料である。吸収層のマクロポーラス構造(macro−porous structure)は、放電/充電サイクリングの間に亜鉛のデンドライトまたは沈殿物によって内部短絡を防止することができない。
【0053】
短絡は、第2の材料(32)によって防止され、この材料は繊維シート材料へと薄くのばされるか、または繊維シート材料上へとコーティングされることもあるミクロポーラス(micro−porous)材料またはノンポーラス(non−porous)材料の層(複数可)であってもよい。1つの適する材料は、不織のポリアミドシートへと薄くのばされる1つ以上のセロファン膜である。別の適する材料は、不織のポリアミドシートにコーティングされ、かつ部分的に染み込ませ、複合材料を結果として生じさせる再生セルロースまたはビスコースの1つ以上のコーティングである。
【0054】
他のタイプの二次電池が使用されてもよい。本構成において、上記されるタイプは、コンクリート(41)などのイオン伝導性の材料中の鋼鉄筋(40)などの金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法において使用される。したがって、電池は、外部ケーシング(12)によって規定された第1の端子(42)、および第2の端子(43)を含む。第1の端子(42)は、陽極材料(18)へと係合されるピンまたは爪(26)に接続される。図2に示されるように、端子(42)は、鋼鉄筋(40)に接続するための陽極材料(18)から伸長する接続線(42A)に接続される。実際問題として、端子(42)に加えて、ピン(26)およびワイヤー(42A)は、全て、ワイヤーが、ピン(26)の形状で陽極材料へと伸長するか、または十分に、溶接される、はんだ付けされる、クランプされる、または電気的に接続される一体構造を形成してもよい。これによって、ワイヤー(42A)と陽極材料(18)との間の効果的な接続を確かなものとする。
【0055】
図1において、陽極(44)は電池のケーシング(12)上へとコーティングとして適用される。本実施形態において、陽極(44)は不活性材料であり、その結果鋼よりも貴である。そのような材料の例は、周知である。したがって、陰極防食プロセスの間、陽極材料(44)は腐食しないか、著しく腐食しない。
【0056】
端子(42)はワイヤー(42A)によって鋼補強材(40)に接続される。他の電気的接続方法および材料が使用されてもよい。ワイヤーは、鋼、銅、黄銅またはチタンを含むかもしれない。ワイヤーは、第2の金属もしくは合金の層、または絶縁体の層を含んでもよい。ケーシングによって規定された第2の端子は、接触面によって陽極へ、その間で接続される。図2に示されるように、電子が電池から電気コネクタ(43)を介して金属部(40)へ流れうるように、陽極(44)はイオン伝導性の材料またはコンクリート(41)と接して配置される。
【0057】
本構成において、陽極が電池に直接接続され、電池を備えた一体式要素を形成する場合、ケーシング(12)の外側表面上への陽極(44)の適用は、一般的な単一ユニットとして構造を提供する。陽極(44)は、1つ以上の層を含むこともあれば、混合金属酸化物(MMO)、触媒、またはサブ酸化物(sub‐oxide)の層を含むこともある。
【0058】
本実施形態において、陽極が防食プロセスにおいて腐食しない不活性材料から形成されるので、本明細書に含まれていた陽極と電池は、多孔性のモルタルマトリックスなどの介在する封止材料の必要性を伴わない、コンクリートまたは他のイオン伝導性の材料へと直接組み込まれるか、埋め込まれうる。いなかる腐食生成物も存在しないので、そのような生成物、またはそれによって生成される膨張力を吸収する必要はない。そのプロセスが、犠牲陽極の継続的な腐食に左右されないので、陽極の表面における活性剤の必要性はない。動作のいかなる不溶性アノードの表面における化学反応が、酸を生成する(またはアルカリを消耗する)ので、陽極の近くの材料が酸性になることを防止するコンクリートまたは高アルカリ性モルタルなどのアルカリ性材料内に陽極が埋められることは有益である。もし望まれるなら、付加的なアルカリは、陽極が接しているコンクリートまたは他の材料へ添加されてもよい。
【0059】
ここで図3に目を向けると、同じ電池が接続され、亜鉛などの犠牲材料から形成された陽極(46)を使用する代替的な構成が示される。また、したがって、陽極はケーシングの外側表面上へとコーティングとして適用される。犠牲陽極(46)の周囲には、犠牲陽極(46)が腐食することによって引き起こされた任意の膨張力を吸収するように構成され、かつ犠牲材料の継続的な腐食を確かなものとするための従来の構造の活性剤を含むこともある、多孔性マトリックスまたは強化マトリックス(47)が提供される。
【0060】
別の実施形態において、ケーシング(12)は、鋼よりも貴な適切な不活性材料から形成され、そして陽極(46)の犠牲材料は、メッキまたは個別の本体として形成され、これらは比較的短い時間後に腐食するが、陰極防食をさらに継続させるために、ケーシングによって規定される不活性陽極が残る。このように、ケーシングによって規定される不活性陽極は、犠牲陽極材料(46)の本体に付随するか、またはその本体と電気的に接し、そして陽極材料は犠牲陽極材料が消耗されるまで、電流の初期のブーストを提供するように作用し、以後、さらなる陰極防食は、ケーシング(12)によって規定される不活性陽極を介する電流放電によって得られる。
【0061】
図4において、システム内の十分な亜鉛および陰極材料の存在による作動の期間を確かなものとし、電池からの陽極(44)および端子(42)を介する電流の流れを維持し、鋼(40)が陰極防食することを確かなものとするために、不活性陽極(44)を使用するが、電池内の固形亜鉛の内部供給部(48)を提供するさらなる実施形態が示される。亜鉛は、鋳造圧延されても、圧入されても、またそうでなければ形成されてもよい。
【0062】
ここで図5に目を向けると、図1に示されるタイプのバッテリーまたは電池を充電するためのシステムが示されている。陽極アセンブリを形成する組み合わせは、電池のケーシングが電池を直接囲み、陽極に直接取り付けられている単一電池によって形成されうることが理解されよう。図5に概略的に示される他の構成において、電流は、別個の電池(49A)、(49B)、および(49C)によって規定されたバッテリー(49)によって供給される。適切な構成で電池を構成することができ、そしてバッテリーへのアセンブリは、図5に単に概略的に示される。その構造は、バッテリー(49)の外部ケーシング上に位置付けられる陽極(44)を含む。バッテリーは第1の端子(42)および第2端子(43)を含む。
【0063】
バッテリー(49)の各々を充電するために使用されうる、再充電システム(50)が提供される。再充電システム(50)は、バッテリーにわたる接続のための適切な電圧出力を生成する従来の整流形動力源を含みうる。代替的に、太陽ソース(solar source)(51)は、バッテリー(50)に適用される充電器(50)によって制御される電力を生成するために使用されうる。
【0064】
電池の各々は、電池が充電されうるように構成される。そのような二次電池はもちろん周知であり、それらの構造は様々な先の開示から入手可能である。
【0065】
図5に示される構成において、バッテリーの各々は、バッテリー充電器(50)を接続するための、端子(42)および(43)、またはむき出しのこれらの端子に対する電気的接続部を残してコンクリート内に埋め込まれる。端子は単純に接点またはトロリ線を含むこともあり、そしてその端子が、充電器上の出力リードまたは出力コネクタを接続するための任意の特定の構造、または任意の接続コンポーネントを必要とすることは意図されていない。単純に、必要なときに、充電器とバッテリーとの間に接続が存在することが要求される。
【0066】
バッテリーがコンクリート中の適切な位置にあり、適切な位置にとどまっている間、充電器は、バッテリーの各々を充電するために使用されうる。充電器(50)は、構造内の複数バッテリーを接続するために配置され、そしてバッテリーの電圧が必要なレベルにとどまることを確かなものとするために、設定時間でそれらのバッテリーの繰り返しの自動的な再充電を提供するように配置されうる。代替的に、システムは、必要とされるとき、例えば、許容できないほど低い容量まで放電が生じることが予想される公知の時間の後に、バッテリーが手動接続によって手動で充電されるように、メンテナンスシステムの一部として管理されてもよい。
【0067】
充電プロセス中にいかなる追加の電流も金属部に供給されないことが要求されるイベントにおいて、金属部(40)から電池を遮断するために使用される、(62)で示されたようなスイッチまたは遮断機構(disconnect mechanism)が提供される。
【0068】
図5では、端子(42)とバッテリーの端子(43)との間に電圧を印加することにより、再充電プロセスが実行されることが示される。しかしながら、ケーシング、または陽極(44)におけるバッテリーへの接続、および端子(42)への、または鋼(40)へ接続されるもしくは鋼(40)へ直接接続されるワイヤーへのさらなる接続を提供することにより、再充電を実行することも可能であることが理解されうる。構造内の鋼が電気的に相互に接続される場合、複数のバッテリーは、複数のバッテリーの端子(43)の接続と組み合わせて、鋼(40)への単一接続を使用することにより充電されてもよい。
【0069】
図6では、全ての棒鋼の間の電気的な相互接続が存在する場合において、単一のワイヤー(64)が棒鋼のうちの1つで鋼に接続されるように、充電器(50)がわずか2本のワイヤー(64)および(65)しか使用することなく、バッテリー(49)を充電するために接続される別の構成が示される。
【0070】
端子(42)が金属部(40)に電気的に接続されている間、端子(42)および(43)への充電器の電気的接続部による据え付け後の再充電は、充電中に金属部の余分な電流を流すように作用することが理解されよう。これによって、再充電プロセスが、金属部の不動態化を引き起こすか、または不動態の維持、または金属部の腐食の軽減を完了した後に、今後の電流要求を低減させるだろう。
【0071】
図7では、これらのコンポーネントの一体構造を形成するように陽極(60)および鋼(43)に接続され、そして再充電システム(61)も接続される電池(59)が提供される代替的な構成(58)が示される。したがって、陽極(60)が電池(59)を囲む必要はないが、陽極は、並んでもしくは隣接して存在するか、そうでなければ電池に接続されうる。再充電システム(61)は、システムの一体部分を形成するが、任意の特定の方法で電池に接続される必要はない。示されるように、再充電システム(61)はまた、コンクリート(41)内に含まれるか、またはコンクリート(41)に接するが、もちろんその必要はない。再充電システムは、太陽光パネル、バッテリー、および交流を直流電力に変換する変圧整流器、直流電源、または他のバッテリー充電器を含んでもよい。
【0072】
図8において、犠牲陽極、およびバッテリーまたは電池が、組み合わせたユニットでなく、かつコンクリート内に別々に取り付けられ、電気的接続部によって接続されるさらなる代替的な構成が示される。したがって、電池の1つの極は、鋼(40)に接続され、また別の極は示されるような犠牲陽極に接続される。この場合は、バッテリーは、端子(66)および(67)において接続される充電器(50)によって再充電される。バッテリー電圧が閾値以下に低下する場合、およびバッテリーが、示されるように再充電するために接続されている充電器(50)によって定期的に再充電されるまで、閉回路となるように切り替え、犠牲陽極が直流電気の様式で作動することを可能にする端子(66)と(67)との間に接続される電界効果トランジスタ(FET)などの電気的なスイッチ機構(68)が提供される。FET(68)は、充電電圧が印加されたときに、回路を閉回路の状態から再び開くように作動する。
【0073】
したがって、そのシステムは、Josef Daniel−Ivadによって開発されたタイプの充電式バッテリーを使用することができる。コンクリート中の鋼に伝達されうる電流の大きさは、犠牲の亜鉛陽極ではなくむしろ上記の不活性な陽極材料を使用するときでさえ、効果的な防食を提供するのに十分であることが分かってきた。バッテリーはまた、動作の合理的な長さを提供する一方で、現実的な量の電流を伝達することが分かってきた。一般的にバッテリーは、単3サイズのバッテリーを1年から2年の期間にわたって使用して、かなりの電流を提供することができる。単3電池の平均の公称電力容量はおよそ2.35Ahであり、単1電池の平均の公称電力容量は15Ahである。したがって、標準的な単1電池は、電流出力のレベルに応じておよそ6〜12年持続することが予想されるだろう。特別に設計されたバッテリーが、最低10年持続するように製造される可能性があることは現実的である。単1サイズの電池は、陽極に電流を提供するように機能するために、サイズおよび亜鉛の質量が現実的なものである。
【0074】
図9では、充電するためのバッテリーまたは他の蓄積コンポーネントが交換可能である、陽極装置のさらなる構成を使用する本発明に記載の防食方法のさらなる実施形態の概略図が示される。これは、前記した方法で陽極を形成する外部表面(101)を備えるケーシングまたは包囲体(100)として示される。したがって、ケーシング(100)は陽極材料から全体的に形成されうるか、または陽極材料の層によってカバーされてもよい。ケーシングの内部に、ケーシングに接続された1つの端子(103)を備える電池(102)が、そのケーシングと電気的に通じるように提供される。ケーシングは、ケーシングの上部開口部(105)上が密閉されるように配置される上部カバー(104)を含む。上部カバー(14)は適切な絶縁体(107)によってケーシング自体から絶縁される中心端子(106)を含む。端子(106)は、バッテリーの別の端子に接続される部分(108)、および鋼(40)に通じるワイヤー(110)に接続される部分(109)を含む。本構成において、バッテリー(102)を充電する代わりに、上部カバーを取り除き、1つの端子におけるケーシング、およびバッテリーの別の端子におけるカバーと係合するように新しいバッテリーを挿入することによって、バッテリーを交換することができる。このような交換を実行することができる一方、ケーシングは、むき出しの位置の上部カバーを単に提供することによってコンクリート材料(41)内の適切な位置にとどまる。ケーシング(100)は、コンクリートと接してとどまるその外部表面を有する。
【0075】
貴な陽極によって提供される陰極防食が、犠牲陽極材料からの腐食生成物の蓄積物によって干渉されないように、ケーシングによって形成された陽極は、外部に位置した、またはそうでなければ犠牲陽極材料の一部または層から分離された、貴な材料または非犠牲材料を有する。したがって、図9では、不活性の、または非犠牲陽極材料の付加的な層または部分(図示せず)は、層(101)の外側に適用される。
【0076】
アセンブリは、陽極が短絡を結果としてもたらす鋼と電気的に接することを防ぐために、非導電性のスタンドオフ、またはスペーサー(111)と共に使用されてもよい。非導電性のスタンドオフは、陽極アセンブリの一体的部分であってもよいし、例えば取り付け部材(112)によって、陽極アセンブリに対して取り付けられてもよい。取り付けは、陽極アセンブリ上の任意の適切な位置で行われてもよい。非導電性のスタンドオフは、コンクリートの配置中に陽極を適所に保持するために使用されてもよい。非導電性のスタンドオフは、陽極が鋼と接して据え付けられることを可能にするために、陽極と鋼との間の無孔層を形成することもあれば、適度に均一なイオン電流の分配を鋼の部分に維持することもある。この構成は、コンクリートの一部が鋼に隣接して取り除かれ、かつ陽極アセンブリがコンクリートを取り除くことによって生成された開口部または穴に挿入される断面修復工法において特に重要である。この構成は、鋼がむき出しにされ、かつ陽極アセンブリと鋼との間の接触を防止し、より均一な電流分布を鋼に提供することが望まれる新設工事の用途においても重要である。これらの場面では、陽極アセンブリの位置は、上に示された適切なスタンドオフ部材(111)を提供することによって制御されるべきである。
【0077】
円柱状の陽極アセンブリがドリル穴と共に使用される場合、ドリル穴は、スペーサー(111)の提供が要求されることがないように、陽極アセンブリの形状とほぼ一致するように配置されうる。充填剤は、イオン的接続(ionic connection)を提供し、かつ適所に陽極アセンブリを維持するように穴へと挿入されうる。
【0078】
一実施形態において、電池のケースは犠牲陽極材料から形成され、そしてこの材料が腐食し、アセンブリの動作中に消耗される。犠牲陽極材料が少なくとも1つの位置で消耗される時、電池は穴が開き、したがって、それらは電池内の電解質と、イオン伝導性の材料またはコンクリートとの間で、イオン的に接するだろう。ここで、これらの2つのコンポーネントが互いにイオン的に接するとき、犠牲材料から形成されるケースの残存する部分は、電池の陰極に対して腐食し続けるだろう。この反応は、ケーシングから犠牲陽極および犠牲材料を消耗し、かつケーシングが有効な陽極として機能する性能を低下させるだろう。
【0079】
電池の陽極が鋼よりも卑な亜鉛、または他のいくつかの材料から形成される場合、ここで電池の陽極と鋼との間にイオン接続が存在するとき、電池の陽極は鋼に対して犠牲陽極として機能し始めるだろう。この方法において、電池のケーシングの犠牲陽極材料が消耗された後、アセンブリは、典型的には、単純な流電陽極として鋼に防食を提供し続けるだろう。
【0080】
この構成は、アセンブリが鋼に対して2段階の防食を提供することを可能にする。第1の段階は、より高い駆動電圧を提供し、したがって、鋼の電池電圧のより高い電流、および犠牲陽極材料ケーシングと鋼との間の電位は累積的である。第2の段階はより低い駆動電圧を提供し、したがって鋼により低い電流を提供する。完全に電池の効果がなくなったとき、その駆動電圧は、電池の陽極と鋼との間の電位差である。この陽極の構成は、介入なしに、第1の段階から第2段階まで自動的に移行することができる。
【0081】
いくつかの構成において、本明細書に記載されるような、蓄積コンポーネントが犠牲陽極に関連付けられる。蓄積コンポーネントは、蓄積コンポーネントの単一の充電の持続期間以上に、陽極アセンブリの寿命を十分に伸ばすように、再充電可能か、または交換可能であってもよい。同時に、しかしながら、犠牲陽極材料の量または位置が防食プロセスを抑制するか停止させるほどの腐食生成物を生成する場合、電池の再充電または交換はもはや有効にはならないこともある。したがって、アセンブリが作動し続ける性能に一致する犠牲陽極材料の量を選択することが必要である。このことは、場合によっては、犠牲材料の内部の層として提供されることもある陽極体の一部として、不活性な陽極材料も提供することにより克服されうる。したがって、犠牲材料が消耗されたとき、システムの動作が腐食生成物の存在によって劣化する前に、アセンブリはむき出しになった不活性な陽極を使用して作動し続ける。
【0082】
図10では、ケーシングまたは包囲体(100)を使用するさらなる構成が示される、外部表面(101)が前記の方法で陽極を形成している。本構成において、前記されたように、蓄積コンポーネントは、スーパーキャパシタ(120)によって提供され、かつ端子(103)と(108)によって、端子(109)およびケース(100)に接続される。本実施形態において、制御回路(50)は、制御回路(50)が取り付けられたコンクリート構造の負荷または動きによって、例えば、車両の動きによって始動される圧電充電システム(121)から充電電流を受ける。そのような圧電充電システムは従来より公知であり、当業者は継続電流(ongoing current)を生成するために利用可能であり、その継続電流は、印加電流陰極防食(impressed current cathodic protection)を実施するために消耗される電流を交換する目的で蓄積するためのスーパーキャパシタに印加されうる。キャパシタ(120)は容器(100)内に含まれており、陽極を備えた一定型コンポーネントとして外部表面上に陽極を提供する。そのようなキャパシタは、典型的には、作動するコンポーネントを防食し絶縁するように、プラスチック材料の外部容器壁を有し、そしてこれが分離したコンポーネントとして容器(100)へと挿入されうるか、またはその容器と陽極は、キャパシタのハウジングの外部表面の上へと形成されうる。そのキャパシタは、必要ならば、新しいキャパシタを容器へと挿入することによって交換することができる。
【0083】
日常的な再充電は太陽光パネルによって容易に提供されうるが、例えば、電流の適度に規則的なバーストを生成する他の手段が、本発明の例におけるスーパーキャパシタなどの蓄積コンポーネントのための充電コンポーネントとして使用されうるだろう。そのような手段の例は、道路、駐車場、橋、滑走路等において組み込むことができ、それらの上を通る構造物または車両を乗せること、または移動させることにより電流を生成することを可能にする圧電材料でありうるだろう。
【0084】
すなわち、外部電源方式に直接動力を供給するための、またはバッテリーまたはキャパシタ/スーパーキャパシタを充電/再充電するための電気を生成するために、圧電材料が使用されえた。
【実施例】
【0085】
一実施例において、Duracellの単1サイズの電池からそのラベルを取り除き、そのバッテリーを寸法28×19×10.5cm高の鉄筋コンクリートスラブの穴へと直接挿入した。そのバッテリーの地金のケーシングを、深さが38mmであった、直径42mmの穴へと部分的に挿入した。バッテリーと穴の内部表面との間の空間を、水酸化リチウム、水、およびカルボキシメチルセルロースから構成されたイオン伝導性のゲルで満たした。電子が鋼に流れ、鋼が防食されるように、バッテリーの他の端子を、コンクリートスラブ内の棒鋼の全て(4つの側方の棒・2つの長手方向の棒、それぞれ直径2cm)に接続した。このタイプの構成は、試験時に、約3mAの初期電流を供給し、145日の間にわたって1mAを超える電流を維持した。胴体それ自体は、完全に不活性というわけではないニッケルでコーティングされた鋼である。一旦そのニッケルコーティングが剥がれると、腐食が金属の表面に広がった状態で鋼の腐食が生じるだろう。このことは、より厚くてもよいコーティング、またはMMOでコーティングされたチタン、チタンサブ酸化物(sub−oxide)、プラチナ、ニオブ、または任意の他のそのような材料などの、より効果的で不活性な陽極材料であるコーティングを提供することによって、克服されてもよい。鋼の胴体は、上にリストされるような効果的で不活性な陽極材料から全体的に作られている胴体も交換されてもよい。
【0086】
鋼の胴体が腐食されると、最終的には穴が空き、結果として、そのバッテリーはもはや閉じた電池ではなくなる。このようなことが起こる場合、バッテリーの陽極からのイオン電流のいくらかまたは全ては、バッテリーの陰極へ流れる代わりに補強鋼へ直接流れることもある。このことはバッテリーの追加電圧を降下させるが、バッテリーの陽極が単純な直流電気システムとして補強鋼を防食し続けることを可能にするだろう。
【0087】
2つのバッテリーの仕組みが使用されうる。第2の例では、上記されるようなサンプルを準備し、第2のバッテリーを第1のバッテリーと直列に接続した。第1のバッテリーのケーシングを直接挿入し、陽極として使用した。この構成では、駆動電圧は2つの因子によって上昇し、驚くべきことに、鋼補強材への電流は3−4つの因子によって上昇した。初期電流は9.5mAであり、3ー4mAの電流が110日以上の間にわたって維持された。さらなるバッテリー(#3および#4)を、駆動電圧をさらに上昇させるために、連続して添加した。鋼補強材への電流の増大は、電圧の増大とほぼ比例した。
【0088】
さらなる例では、単1サイズの電池を、MMOでコーティングされたチタン、チタンサブ酸化のチューブ、黄銅、および亜鉛を含む、様々な貴な材料および犠牲陽極材料に接続した。試験は上記されるような同じ寸法の鉄筋コンクリートブロック上で行われた。陽極をイオン伝導性のゲルを用いてコンクリートの穴に埋め込んだ。バッテリーを陽極材料および鉄筋に電気的に接続した。非不活性陽極、とりわけ亜鉛によって、不活性陽極よりも高い初期電流が送られた。それにもかかわらず、少なくとも1mAの電流が全ての陽極によって達成された。
【0089】
さらなる例では、ステンレス鋼の陽極を使用し、水酸化リチウムの飽和溶液が添加された締固めた砂に埋め込こんだ。ステンレス鋼の陽極を、30−50mAの電流を14日間にわたって流すように使用した。12.5A−hrsの充電の全充電を流した後、最小の腐食は、ステンレス鋼の陽極表面上に認められた。
【0090】
またさらなる一連の例では、亜鉛アルカリの再充電可能な単3サイズのバッテリーを、上記されるような鉄筋コンクリートブロックの穴内のイオン伝導性のゲルに部分的に埋め込まれる、混合金属酸化物(MMO)でコーティングされたチタンおよび亜鉛陽極に接続した。各ケースで、充電式バッテリーを受けて、陽極を+で印された端子に接続し、鋼を−で印された端子に接続した。鋼へ流れる電流を記録した。その後、バッテリーを遮断し、放電させた。バッテリーが放電した後、バッテリーが放電しきったことを確認するためにその電圧を測定した。その後、バッテリーを充電し、再度接続した。バッテリーを充電した後、電流を記録した。これらのステップを、不活性なMMOチタン陽極および犠牲の亜鉛陽極の両方を用いて行った。
【0091】
バッテリーが犠牲陽極に接続されたときに生成された電流は、バッテリーが不活性なMMOでコーティングされたチタン陽極に接続されたときに生成された電流よりも大きかった。いずれの場合も、充電されたバッテリーからの電流は、オリジナルのバッテリーからの電流を上回った。
【0092】
本明細書に記載されたタイプのバッテリーまたは充電式バッテリーを使用するコンセプトは、市販されている従来の流電陽極に対する改良である。1mAを超える電流出力は、バッテリー電圧が著しく低下することなく数週間にわたって維持され、そのことが、陰極防食が数年間にわたって維持されうることを示す。MMOでコーティングされたチタンなどの不活性陽極は、バッテリーのケーシングのまわりに包まれるか、その上へとコーティングされるか、そうでなければそれに電気的に接続されうる。代替的に、バッテリーの胴体は、部分的にまたは完全にチタンを含んでもよく、MMOまたはチタンのサブ酸化物(sub−oxide)でコーティングされうる。亜鉛などの犠牲陽極材料の一部分は、犠牲部分が消耗されるまで、追加電流を提供するために不活性陽極と組み合わせて提供されうる。鋼を不動態化する目的で初充電を提供するために付加的な電源が使用される場合において、バッテリーの外部胴体は、印加電流陽極としても使用されうる。特別に設計されたバッテリーは、低電流で、長持ちする動作などの、この応用のための所望のパラメーターを提供するように、かつコンクリートへと直接埋め込むのにより適するように変更されうる。
【0093】
図11および図12は、コンクリートスラブの穴内に直接挿入されたバッテリーケーシングに関する電圧および電流対時間のバッテリー陽極の推移グラフであって、第1のセットの例において記載されているような第1のバッテリーに直列に接続された第2のバッテリーに関するグラフを示す。
【0094】
図13は、本明細書に記載されるようなアセンブリに関する結果のグラフであり、バッテリー、およびMMOでコーティングされたチタン陽極が、再充電の前(受けたとき)および後の電流を示し、このグラフは表1および表2に示された結果に基づいている。
【0095】
図14は、本明細書に記載されるようなアセンブリに関する結果のグラフであり、バッテリー、およびZn陽極が、再充電の前(受けたとき)および後の電流を示し、このグラフは、表3および表4に示された結果に基づいている。
【0096】
<表1>
Ti MMO
むき出しのTi MMOの領域 6cm
バッテリー lgo Green 1.5V
バッテリーの負端子は、MMOチタンリボンの陽極に接続されるバッテリーの6本の鋼の陽端子に接続される。MMOチタンリボンは、コンクリートサンプル中の導電性ゲル内に配置される。
受けた状態(received condition)のオリジナルのバッテリーに関するバッテリーの初期電圧 1.571V。
【0097】
【表1】
【0098】
<表2>
Ti MMOにもう一度接続して再充電されたlgoバッテリー
初期電圧 1.569V
【0099】
【表2】
【0100】
<表3>
亜鉛の棒状陽極
むき出しの亜鉛の領域 6cm
バッテリー lgo Green 1.5V
単3サイズバッテリー上に印されるような負端子は、亜鉛の棒状陽極に接続されるバッテリーの6本の鋼の陽端子に接続される。
亜鉛棒は、コンクリートリザーバ中の導電性ゲル(水酸化リチウム、カルボキシメチルセルロースおよび水)内に配置される。
オリジナルのバッテリー:バッテリーの初期電圧 1.5694V(受けたとき)
【0101】
【表3】
【0102】
<表4>
亜鉛の棒状陽極にもう一度接続して再充電されたlgoバッテリー
初期電圧 1.644V
【0103】
【表4】
【0104】
本明細書に上記のように記載された発明、および特許請求の範囲の範囲と精神を逸脱することなく、その精神と範囲内で作られる本発明の多くの明らかに多種多様な実施形態は、様々な変更を行うことができるため、添付の明細書に含まれるすべての事は、単に例示目的であるとして解釈され、限定する意味では解釈されないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2019年10月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導性の材料中の金属部を陰極防食する、および/または不動態化するための方法であって、その方法は:
2つの極を備えた電池を提供する工程であって、電池は、電池陰極、電池陽極、および電池電解質を備えており、これらが、電池陰極が1つの極に接続され、且つ電池陽極が他の極に接続されるように、閉じた外部鋼ケーシング内に含まれる、工程と;
イオン伝導性の材料中の金属部へ電流を伝達するための陽極を提供する工程であって、陽極が金属部に対して犠牲にならない材料である工程と;
電流が、蓄積コンポーネントから電気的接続部を介して金属部へ流れることができ、それにより、電池内に含まれていた電気エネルギーの合計量を減少させるように、極のうち1つを金属部へ電気的に接続し、他の極を陽極へ電気的に接続し、そしてイオン伝導性の材料とイオン的に接して陽極を配置する工程と
を含み、
ここで非犠牲陽極が、外面上に陽極を画定するように外部鋼ケーシングの外部表面を備える、または前記外部表面に実質的に統合されること、を特徴とする方法。
【請求項2】
陽極および容器は、両方とも、イオン伝導性の材料中に少なくとも部分的に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
陽極はステンレス鋼を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電池は、陽極がイオン伝導性の材料とイオン的に接したままである間に再充電される、請求項1、2、または3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
再充電用電源からの電流を金属部に向かわせることなく、再充電用電源によって電池の充電を可能にする電気切替アセンブリが存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電池は太陽電池によって引き続き再充電される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
電池は圧電電池によって引き続き再充電される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
電池は引き続き自動的に繰り返し再充電される、請求項4から7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
陽極および電池を備えた一体型ユニットである再充電用電源によって、電池が引き続き再充電される、請求項4から8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
他の極への第1の接続部と、金属部への第2の接続部との間に電圧を印加することにより、蓄積コンポーネントが引き続き再充電される、請求項4から9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
非犠牲陽極によって提供される陰極防食が、犠牲陽極材料からの腐食生成物の蓄積物によって干渉されないように、非犠牲陽極から分離された犠牲陽極材料の一部または層が提供される、請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
陽極は電池のケーシング上にコーティングとして適用される、請求項1から10のいずれか1つに記載の方法。
【外国語明細書】
2020002468000001.pdf