特開2020-24790(P2020-24790A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-24790(P2020-24790A)
(43)【公開日】2020年2月13日
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/48 20180101AFI20200121BHJP
   F21S 41/10 20180101ALI20200121BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20200121BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20200121BHJP
   F21S 41/657 20180101ALI20200121BHJP
   B60Q 1/068 20060101ALI20200121BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20200121BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20200121BHJP
【FI】
   F21S45/48
   F21S41/10
   F21V29/503
   F21V29/74
   F21S41/657
   B60Q1/068 100
   F21W102:00
   F21Y101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-147454(P2018-147454)
(22)【出願日】2018年8月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】中矢 喜昭
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA12
3K339BA13
3K339CA01
3K339GA14
3K339GB01
3K339GC05
3K339HA01
3K339HA11
(57)【要約】
【課題】ハウジングのサイズの大小にかかわらず、ヘッドライトからの熱をハウジング外に高効率に放熱することができ、光源部の寿命が短くなったり、輝度低下を招いたりするのを抑制可能な車両用照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置2は、車両の前部に設けられている。照明装置2では、光透過性を有するアウターガラス10と、アウターガラス10の後方側に接続され、開口部11cを有する背面ケース11と、によりハウジング18が構成されている。ハウジング18内の灯室2aには、アウターガラス10の前面部10bを通して車両の前方に向けて光を照射可能なヘッドライト5が収納されている。ヘッドライト5の後方側には、ヒートシンク8が接続されている。ヒートシンク8は、その一部が背面ケース11の開口部11cを通してハウジング18の外方に延出された状態で配設されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられた車両用照明装置であって、
前方側に内側から外側に光が透過可能な光透過部を有するとともに、開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、前記光透過部を通過して前記車両の前方に向けて光を照射可能なヘッドライトと、
前記ヘッドライトの後方側に接続されているとともに、少なくとも一部が前記開口部を通して前記ハウジングの外方に延出された状態で配設されているヒートシンクと、
を備える、
車両用照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用照明装置において、
前記ハウジングにおける前記開口部の周囲の縁部と、前記ヒートシンクにおける前記縁部に対向する外周面と、の間の隙間を塞ぎ、弾性変形可能なシール部材をさらに備える、
車両用照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用照明装置において、
前記ハウジングと前記ヘッドライトとの間に設けられ、前記ハウジングに対して前記ヘッドライトの姿勢を変化させることにより光軸を調整する光軸調整部をさらに備え、
前記ヒートシンクは、前記光軸の調整により、前記ヘッドライトとともに姿勢が変化する、
車両用照明装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の車両用照明装置において、
前記ヒートシンクの前記外周面のうちの少なくとも前記シール部材が当接する領域は、平滑な面で構成されている、
車両用照明装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用照明装置において、
前記ヒートシンクは、筒形状を有し、当該筒内部に1または複数のフィンを有する、
車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の車両用照明装置において、
前記ハウジングは、
前記ヘッドライトの前方を覆う前面部と、前記ヘッドライトの側周を囲む側周部と、が一体形成されてなるアウターガラスと、
前記ヘッドライトの後方において、前記アウターガラスにおける前記側周部の後端部に接続された背面ケースと、
を有し、
前記開口部は、前記背面ケースに設けられている、
車両用照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用照明装置において、
前記ヒートシンクにおける前記少なくとも一部は、前記開口部を通過して前記ハウジングの後方に延出されている、
車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関し、特にヘッドライトに接続されたヒートシンクの配設構成に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両では、夜間などの走行時に前方を照らすヘッドライトが設けられている。自動車においては、ヘッドライトは車両前部における車幅方向の両側部分に設けられている。
【0003】
特許文献1には、ヘッドライトを含むユニットが、複数の補助ラントのユニットとともにハウジング内に収容されてなる車両用照明装置が開示されている。ここで、特許文献1に開示の車両用照明装置では、ヘッドライトを含むユニットに、放熱のためのヒートシンクが接続されている。
【0004】
上記ヒートシンクは、点灯時におけるヘッドライトの光源部からの熱をユニットの外へ逃がし、光源部の寿命を長くし輝度低下を抑制する目的で設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−173942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示の車両用照明装置では、熱を逃がすためのヒートシンクもユニット等が収容されたハウジング内に配設されているため、ヒートシンクからの熱がハウジング内に籠ることとなる。
【0007】
このようにハウジング内で熱が籠ってしまう構成を採用する上記特許文献1の車両用照明装置では、ヘッドライトの点灯状況や周囲の環境などにより、光源部の寿命が短くなったり、輝度低下を招いたりするおそれがある。
【0008】
特に、上記特許文献1に開示の車両用照明装置が採用する構造では、車両の意匠面を含む設計の自由度を確保するためにハウジングの小型化を図ろうとする場合に、ハウジング内での熱の籠りの問題が顕著になることが考えられる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図るためになされたものであって、ハウジングのサイズの大小にかかわらず、ヘッドライトからの熱をハウジング外に高効率に放熱することができ、光源部の寿命が短くなったり、輝度低下を招いたりするのを抑制可能な車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る車両用照明装置は、車両の前部に設けられた車両用照明装置であって、前方側に内側から外側に光が透過可能な光透過部を有するとともに、開口部を有するハウジングと、前記ハウジング内に収容され、前記光透過部を通して前記車両の前方に向けて光を照射可能なヘッドライトと、前記ヘッドライトの後方側に接続されているとともに、少なくとも一部が前記開口部を通過して前記ハウジングの外方に延出された状態で配設されているヒートシンクと、を備える。
【0011】
上記態様に係る車両用照明装置では、ヒートシンクの少なくとも一部が開口部を通過してハウジングの外方に延出された状態で配設されているので、ヘッドライトの点灯時に当該ヘッドライトの光源部で生じた熱をハウジングの外方へと放熱させることができる。よって、上記態様に係る車両用照明装置では、ハウジングのサイズの大小にかかわらず、ヘッドライトからの熱をハウジング外に高効率に放熱することができ、光源部の寿命が短くなったり、輝度低下を招いたりするのを抑制可能である。
【0012】
上記態様に係る車両用照明装置では、前記ハウジングにおける前記開口部の周囲の縁部と、前記ヒートシンクにおける前記縁部に対向する外周面と、の間の隙間を塞ぎ、弾性変形可能なシール部材をさらに備える、とすることもできる。
【0013】
上記態様に係る車両用照明装置では、開口部の周囲の縁部とヒートシンクの外周面との間の隙間がシール部材により塞がれているので、該隙間からハウジング内に水分や埃などが侵入するのが抑制される。
【0014】
また、上記態様に係る車両用照明装置では、シール部材が弾性変形可能となっているので、組み付け精度などによる縁部と外周面との隙間が周方向にばらついた場合にも、シール部材で隙間を確実に塞ぐことが可能である。
【0015】
上記態様に係る車両用照明装置では、前記ハウジングと前記ヘッドライトとの間に設けられ、前記ハウジングに対して前記ヘッドライトの姿勢を変化させることにより光軸を調整する光軸調整部をさらに備え、前記ヒートシンクは、前記光軸の調整により、前記ヘッドライトとともに姿勢が変化する、とすることもできる。
【0016】
上記態様に係る車両用照明装置では、光軸調整部を用いて光軸調整がなされ、当該光軸調整による姿勢変化で、ヒートシンクの周方向において、周方向で隙間の広狭が生じた場合にも、当該隙間を弾性変形可能なシール部材で確実に塞ぐことができる。よって、上記態様に係る車両用照明装置では、光軸調整に伴って縁部と外周面との間における隙間の広狭が生じても、上記隙間をシール部材で塞ぐことができ、外部からハウジング内に水分や埃の侵入を防ぐことができる。
【0017】
上記態様に係る車両用照明装置では、前記ヒートシンクの前記外周面のうちの少なくとも前記シール部材が当接する領域は、平滑な面で構成されている、とすることもできる。
【0018】
上記態様に係る車両用照明装置では、ヒートシンクの外周面のうちのシール部材との当接領域が平滑な面で構成されているので、ヒートシンクとの外周面とシール部材との間に隙間が生じ難く、水分や埃がハウジング内に侵入するのをより確実に抑制することができる。
【0019】
上記態様に係る車両用照明装置では、前記ヒートシンクは、筒形状を有し、当該筒内部に1または複数のフィンを有する、とすることもできる。
【0020】
上記態様に係る車両用照明装置では、ヒートシンクにおける筒内部にフィンが設けられているので、外周面を平滑な面で構成することでシール部材によるシール性を確保しながら、ヘッドライトの光源部で生じた熱を高効率にハウジングの外方へと放熱することができる。
【0021】
上記態様に係る車両用照明装置では、前記ハウジングは、前記ヘッドライトの前方を覆う前面部と、前記ヘッドライトの側周を囲む側周部と、が一体形成されてなるアウターガラスと、前記ヘッドライトの後方において、前記アウターガラスにおける前記側周部の後端部に接続された背面ケースと、を有し、前記開口部は、前記背面ケースに設けられている、とすることもできる。
【0022】
上記態様に係る車両用照明装置では、アウターガラスと背面ケースとの組み合わせを以ってハウジングを構成しているので、ハウジングを一体で構成する場合に比べて製造が容易であり、製造コストの低減を図るのに優位である。
【0023】
また、上記態様に係る車両用照明装置では、前面部の光透過性を確保しながら、背面ケースに対してヘッドライトなどを取り付けることで、装置の設計に係る高い自由度を確保することができる。
【0024】
上記態様に係る車両用照明装置では、前記ヒートシンクにおける前記少なくとも一部は、前記開口部を通過して前記ハウジングの後方に延出されている、とすることもできる。
【0025】
上記態様に係る車両用照明装置では、ヒートシンクの少なくとも一部がハウジングから後方側へと延出されているので、ヒートシンクを介して外方に放熱された熱が再度ハウジングに伝熱され難い。よって、上記態様に係る車両用照明装置では、ヘッドライトからの熱がハウジング内に影響を及ぼすのをより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
上記態様の車両用照明装置では、ハウジングのサイズの大小にかかわらず、ヘッドライトからの熱をハウジング外に高効率に放熱することができ、光源部の寿命が短くなったり、輝度低下を招いたりするのを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る車両の前部構成を示す模式正面図である。
図2】照明装置とシグネチャウィングとの配置構成を示す模式正面図である。
図3図2のA部を模式的に拡大して示す模式図である。
図4図2のIV−IV断面を示す図であって、照明装置の内部構成を示す模式断面図である。
図5】ヒートシンクを斜め後方側から見た模式斜視図である。
図6】(a)は、ヒートシンクを側方側から見た模式側面図であり、(b)は、ヒートシンクを後方側から見た模式背面図である。
図7】(a)は、ヒートシンクが傾斜していない状態でのシール部材の状態を示す模式断面図であり、(b)は、ヒードシンクが光軸調整により傾斜した状態でのシール部材の状態を示す模式断面図であり、(c)は、ヒートシンクが光軸調整により(b)とは反対側に傾斜した状態でのシール部材の状態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0029】
なお、以下の説明で用いる図において、「FR」は車両の前方(進行方向)、「RE」は車両の後方、「LE」は車両の左方、「RI」は車両の右方、「UP」は車両の上方、「LO」は車両の下方を示す。
【0030】
[実施形態]
1.車両前部1aの構成
実施形態に係る車両1の車両前部1aの構成について、図1を用いて説明する。
【0031】
図1に示すように、車両1の車両前部1aには、車幅方向の端部(図1では、左側部分)に車両後方側に凹んだ凹部1bが設けられている。凹部1bは、車両1の前方からの正面視で、車幅方向の中央側から車両側部1c側に向けて横方向に細長い形状を有する。
【0032】
凹部1bの奥側部分(図1の紙面奥側の部分)には、照明装置2とシグネチャウィング3とが配設されている。シグネチャウィング3は、凹部1bに沿って細長く延びる板状のウィング部分を有する。また、シグネチャウィング3は、凹部1bの奥側から外側(車両1の前方側)に向けて延びるように形成されている。
【0033】
2.照明装置2とシグネチャウィング3との配置構成
照明装置2とシグネチャウィング3との配置構成について、図2および図3を用いて説明する。図2は、照明装置2とシグネチャウィング3との配置構成を示す模式正面図であり、図3は、図2のA部を模式的に拡大して示す模式図である。
【0034】
図3に示すように、本実施形態に係る照明装置2は、ヘッドライト5とリング発光部6とウィング発光部4とを備える。そして、図2および図3に示すように、リング発光部6の周上の一部箇所は、シグネチャウィング3の先端部3aにより前方側が覆われている。
【0035】
ヘッドライト5は、正面視で略円形の外観形状を有している。リング発光部6は、正面視でヘッドライト5の外周を囲むようにリング状に形成されている。
【0036】
一方、ウィング発光部4は、シグネチャウィング3の前端部(最も車両1の前方側に突出した峰部分)に沿って設けられている。
【0037】
なお、本実施形態では、詳細な図示を省略しているが、ヘッドライト5は、半導体発光素子の1種であるLED(Light Emitting Diode)が1または複数有する光源部を備えている。
【0038】
3.照明装置2の内部構成
照明装置2の内部構成について、図4を用いて説明する。図4は、図2のIV−IV断面を示す模式断面図である。
【0039】
図4に示すように、照明装置2は、灯室2a内にヘッドライト5を有する。ヘッドライト5の後方部分には、当該ヘッドライト5の点灯時に発生する熱を外部に放出するためのヒートシンク8が接続されている(ヘッドライト5の光源部と熱結合されている)。
【0040】
また、ヘッドライト5には、枠状のヘッドライトベース7も接合されている。ヘッドライト5およびヒートシンク8は、ヘッドライトベース7と一体に構成されている。
【0041】
灯室2aは、光透過性を有するアウターガラス10と、当該アウターガラス10の後側部10cに接続された背面ケース11との組み合わせを以って構成されたハウジング18の内部に形成されている。
【0042】
背面ケース11は、後方側からの平面視でリング状をしており、中央部分に開口部11cを有する。そして、ヒートシンク8は、開口部11cを通してハウジング18の外方(後方側)へと延出された状態で配設されている。背面ケース11における開口部11cの周囲の縁部11bとヒートシンク8の外周面8aとの間の隙間SPは、ゴム製のシール部材12により全周に亘って塞がれている。
【0043】
また、背面ケース11には、ヘッドライト5の光軸を調整するための光軸調整部9が取り付けられており、背面ケース11の後方側に光軸調整部9の操作部9aが設けられている。光軸調整部9の前方側の部分は、ヘッドライトベース7に接続されている。そして、光軸調整部9の操作部9aを矢印Bのように回転操作することにより、ヘッドライトベース7における光軸調整部9の接続部分が前後移動され、ヘッドライト5の光軸(ヘッドライト中心軸Ax)が矢印Cのように移動する。
【0044】
なお、上記のようにヘッドライト5のヘッドライト中心軸Axが動く場合には、ヒートシンク8も一緒に動くこととなる。このようにヒートシンク8が動いた場合においても、ゴム製のシール部材12は弾性変形することで隙間SPを塞いだ状態を維持する。
【0045】
灯室2a内には、ヘッドライト5とは別の光源として、1または複数の半導体発光素子(例えば、LEDチップ)を以って構成された光源部13と、当該光源部13に対して当接または近接した状態で配され、前方に向けて直線状に延びるライトガイド14、およびライトガイド14の根元部分から分岐したライトガイド16、さらにはヘッドライト5の周囲を囲むリング状のライトガイド17も設けられている。
【0046】
なお、灯室2aの外部には、ライトガイド14に対してアウターガラス10の介挿部10dを挟んで設けられたライトガイド15が設けられている。ライトガイド15は、シグネチャウィング3の前端部に沿って車幅方向内側に向けて延びている。
【0047】
照明装置2では、光源部13の発光駆動により、ライトガイド14,16からライトガイド15,17へと光が導光される。そして、ライトガイド15からは、車両1の前方側に光を射出する。即ち、ライトガイド15は、ウィング発光部4を構成する。
【0048】
一方、ライトガイド17を周方向に導光された光は、周方向の全域から前方側に向けて光を射出し、当該射出された光は、アウターガラス10の側周部10aから前方側へと射出される。車両1の前方側から見た場合に、ライトガイド17から射出された光がアウターガラス10の側周部10bの前端部から射出されることにより、アウターガラス10の前面部(光透過部)10bの周囲を囲むようにリング状に光って見える。即ち、本実施形態では、ライトガイド17と、アウターガラス10の側周部10aと、によりリング発光部6が構成されている。
【0049】
4.ヒートシンク8の構成とハウジング18からのヒートシンク8の延出形態
ヒートシンク8の構成とハウジング18からのヒートシンク8の延出形態について、図5および図6を用いて説明する。図5は、ヒートシンク8と背面ケース11の一部とを斜め後方側から見た模式斜視図であり、図6(a)は、ヒートシンク8を側方側から見た模式側面図であり、図6(b)は、ヒートシンク8を後方側から見た模式背面図である。
【0050】
図6(a)および図6(b)に示すように、ヒートシンク8は、外周面が平滑な面で構成された有底円筒形状を有する。そして、ヒートシンク8は、筒底方向を車両1の前方側に向けた状態で配され、筒底部分がヘッドライト5に熱結合されている。
【0051】
図6(b)に示すように、ヒートシンク8は、筒内となる部分に複数の縦フィン8bと横フィン8cとが設けられている。複数の縦フィン8bと横フィン8cとは、突合せ箇所で一体に接合されている。
【0052】
図6(a)および図6(b)に示すように、隣り合う縦フィン8b同士の間は、筒底まで繋がる凹部8dとなっている。
【0053】
図5に示すように、ヒートシンク8を後方側から見るとき、凹部8dの開口部分が車両1の後方側に向けて開口した状態となっている。このため、ヒートシンク8の凹部8d内には、空気の出入りが自由となっており、ヘッドライト5の点灯により生じた熱を効率よく後方側に放出することができるようになっている。
【0054】
隙間SPを塞ぐシール部材12は、平滑な面で構成されたヒートシンク8の外周面8aに対して略隙間なく当接している。これより、照明装置2では、隙間SPを通して外部から灯室2a内に水分や埃が侵入するのが抑制される。
【0055】
5.光軸調整時におけるシール部材12の弾性変形
光軸調整時におけるシール部材12の弾性変形について、図7を用いて説明する。図7(a)は、ヒートシンク8が傾斜していない状態でのシール部材12の状態を示す模式断面図であり、図7(b)は、ヒードシンク8が光軸調整により一方側に傾斜した状態でのシール部材12の状態を示す模式断面図であり、図7(c)は、ヒートシンク8が光軸調整により図7(b)とは反対側に傾斜した状態でのシール部材12の状態を示す模式断面図である。
【0056】
先ず、図7(a)に示すように、シール部材12は、複数のC字部12a〜12cが連続する蛇腹状の断面形状を有する。シール部材12の最も径方向外側のC字部12aには、背面ケース11の後方側に向けて突出した突部11aが掛止されている。
【0057】
そして、背面ケース11の縁部11bとヒートシンク8の外周面8aとの間の隙間SPは、C字部12b,12cにより塞がれている。ヒートシンク8の外周面8aには、シール部材12の径方向内側の面部である当接部12dが略隙間なく当接している。
【0058】
図7(a)に示すように、ヒートシンク8が傾斜していない状態では、シール部材12は、周方向において略均一な断面形状を以って隙間SPを塞いでいる。
【0059】
次に、図7(b)に示すように、光軸調整によりヒートシンク8が矢印D1,D2のように傾斜した場合には、シール部材12の弾性変形により全周に亘って隙間SPが塞がれた状態が維持される。具体的には、ヒートシンク8が矢印D1,D2のように傾斜した場合にも、C字部12aに対する凸部11aの掛止状態、およびヒートシンク8の外周面8aに対する当接部12dの当接状態は、そのまま維持される。
【0060】
そして、ヒートシンク8の傾斜による周方向での隙間SPの大小の偏りは、C字部12b,12cの断面形状の変形により吸収される。これにより、ヒートシンク8が矢印D1,D2のように傾斜した場合にも、隙間SPが略塞がれた状態が維持される。
【0061】
次に、図7(c)に示すように、図7(b)とは反対側の矢印D3,D4のようにヒートシンク8が傾斜した場合にも、シール部材12の弾性変形により全周に亘って隙間SPが塞がれた状態が維持される。この場合においても、C字部12aに対する凸部11aの掛止状態、およびヒートシンク8の外周面8aに対する当接部12dの当接状態は、そのまま維持され、周方向での隙間SPの大小の偏りは、C字部12b,12cの断面形状の変形により吸収される。
【0062】
6.効果
本実施形態に係る照明装置2では、ヒートシンク8の後端部(少なくとも一部)が背面ケース11の開口部11cを通してハウジング18の外方に延出された状態で配設されているので、ヘッドライト5の点灯駆動時に当該ヘッドライト5の光源部で生じた熱をハウジング18の外方へと放熱させることができる。よって、本実施形態に係る照明装置2では、ハウジング18のサイズの大小にかかわらず、ヘッドライト5からの熱をハウジング18外に高効率に放熱することができ、ヘッドライト5の光源部の寿命が短くなったり、輝度低下を招いたりするのを抑制可能である。
【0063】
なお、本実施形態では、開口部11cがハウジング18の後側部分に設けられているので、当該開口部を通過して延出されたヒートシンク8から放熱された熱が再度ハウジング18に影響を及ぼすのを抑制することができる。即ち、車両1の走行中では、前方から後方に向けて走行風が流れ、ヒートシンク18から放熱された熱も走行風により後方側へと送られ、走行風の上流側となるハウジング18に対して影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0064】
本実施形態に係る照明装置2では、背面ケース11の開口部11cの周囲の縁部11bとヒートシンク8の外周面8aとの間の隙間SPがシール部材12により塞がれているので、該隙間SPからハウジング18内に水分や埃などが侵入するのが抑制される。
【0065】
また、本実施形態に係る照明装置2では、図7(b)および図7(c)を用いて説明したように、シール部材12が弾性変形可能となっているので、組み付け精度などによる背面ケース11の縁部11bとヒートシンク8の外周面8aとの隙間SPが周方向にばらついた場合にも、シール部材12で隙間SPを確実に塞ぐことが可能である。
【0066】
本実施形態に係る照明装置2では、光軸調整部9を用いて光軸調整がなされ、ヒートシンク8の周方向において、隙間SPが周方向にばらついた場合にも、隙間SPを弾性変形可能なシール部材12で確実に塞ぐことができる。よって、本実施形態に係る照明装置2では、光軸調整に伴って背面ケース11の縁部11bとヒートシンク8の外周面8aとの間の隙間SPが周方向でばらつきが生じても、隙間SPをシール部材12で塞ぐことができ、外部からハウジング18内に水分や埃の侵入を防ぐことができる。
【0067】
本実施形態に係る照明装置2では、ヒートシンク8の外周面8aが平滑な面で構成されているので、ヒートシンク8との外周面8aとシール部材12の当接部12dとの間の当接状態が確実に維持され、外周面8aと当接部12dとの間に隙間が生じ難く、水分や埃がハウジング18内に侵入するのをより確実に抑制することができる。
【0068】
本実施形態に係る照明装置2では、ヒートシンク7が有底円筒形状を有し、当該筒内部に複数のフィン(縦フィン8bおよび横フィン8c)が設けられているので、外周面8aを平滑な面で構成することでシール部材12によるシール性を確保しながら、ヘッドライト5の光源部で生じた熱を高効率にハウジング18の外方へと放熱することができる。
【0069】
本実施形態に係る照明装置2では、ハウジング18がアウターガラス10と背面ケース11との組み合わせを以って構成されているので、ハウジング18を一体で構成する場合に比べて製造が容易であり、製造コストの低減を図るのに優位である。
【0070】
また、本実施形態に係る照明装置2では、アウターケース10の前面部10bの光透過性を確保しながら、背面ケース11に対してヘッドライト5などを取り付けることで、装置2の設計に係る高い自由度を確保することができる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る照明装置2では、ハウジング18のサイズの大小にかかわらず、ヘッドライト5からの熱をハウジング18外に高効率に放熱することができ、ヘッドライト5の光源部の寿命が短くなったり、輝度低下を招いたりするのを抑制可能である。
【0072】
[変形例]
上記実施形態に係る照明装置2では、ヘッドライト5に付帯したウィング発光部4およびリング発光部6を設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ヘッドライトに付帯する発光部を設けなくてもよいし、3つ以上の発光部を設けることとしてもよい。
【0073】
上記実施形態に係る照明装置2では、ヘッドライト5の光源部として、1または複数のLED素子を以って構成された光源部を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、光源部として、有機EL素子や無機EL素子、あるいは半導体レーザ素子などを採用することも可能である。
【0074】
上記実施形態に係る照明装置2では、外周面8aの全体が平滑な面で構成されたヒートシンク8を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、シール部材の当接部が当接する領域だけを平滑な面で構成したヒートシンクや、ヒートシンクの外周面にも凸部を設けておき、シール部材を掛止する構成を採用することもできる。
【0075】
上記実施形態に係る照明装置2では、有底円筒形状のヒートシンク8を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、有底角筒形状のヒートシンクや、楕円断面の筒形状のヒートシンクなどを採用することもできる。
【0076】
また、上記実施形態に係る照明装置2では、ヒートシンク8の筒内部に縦フィン8bと複数の横フィン8cとが設けられてなる構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、筒内周面から径方向内側に向けて突出した板状またはピン状のフィンが設けられてなる構成や、筒長手方向に複数のピンが設けられてなる構成のヒートシンクを採用することもできる。
【0077】
上記実施形態に係る照明装置2では、シール部材12の材質の一例としてゴムを採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、複数のリング状板材によりシール部材を構成することも可能である。このような構成を採用する場合には、光軸調整などでヒートシンクが傾斜して、周方向で隙間にばらつきが生じた場合に、リング状板材の重なりの大小により、隙間を塞いだ状態が維持されるようにすることもできる。
【0078】
上記実施形態に係る照明装置2では、ハウジング18をアウターガラス10と背面ケース11との組み合わせを以って構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、1つの部材からハウジングを構成することもできるし、インサート形成などにより構成された、樹脂部と金属部とを有するハウジングを採用することなどもできる。
【符号の説明】
【0079】
1 車両
1a 車両前部
2 照明装置
2a 灯室
5 ヘッドライト
8 ヒートシンク
9 光軸調整部
10 アウターガラス
10b 前面部(光透過部)
11 背面ケース
11b 縁部
11c 開口部
12 シール部材
18 ハウジング
SP 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7