【解決手段】基礎1は、構造物を上部に取り付けるための支柱部2と、支柱部2を下部で支えるための土台部と、土台部を地面に固定するための4本の杭3とを備える。土台部は、杭3と連結する杭連結部4と、支柱部2を回動可能に取り付けるための回動支持部5と、立脚させた支柱部2が転倒しないように、杭連結部4に固定されるリブ部6及び連結部7とを含む。杭3のフランジ部3cと杭連結部4とには、位置調整が可能な穴がそれぞれに設けられている。支柱部2を倒した状態で、支柱部2の上部に構造物を取り付け、支柱部2を立ち上げた後、リブ部6及び連結部7を取り付けて、支柱部2が転倒するのを防止する。
前記杭連結部の板状部材に設けられた第3の穴と前記回動支持部の板状部材に設けられた第4の穴とは、少なくともどちらか一方が、前記回動支持部の取付位置を調整することができる形状を有することを特徴とする、請求項3に記載の基礎。
前記転倒防止部は、下部が前記土台部に固定され、上部で前記支柱部に当接して、前記支柱部が倒れる力を支える構造であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の基礎。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ポスト(13)の垂直を維持するために、二本のケーブル(55,56)を用いているに過ぎない。そのため、強風や積雪、地震などの影響によって、ポスト(13)の垂直が維持できないこともあり、使用する地域によっては、特許文献1に開示されている基礎構造を用いることができない場合がある。特に、日本のように、強風や積雪、地震が多い国では、特許文献1に記載の基礎構造では、不十分な基礎となる可能性がある。
【0007】
また、特許文献1では、一本のスクリュー杭(16)を用いて、プレート(6)を地面に固定しているが、一本のスクリュー杭(16)によって、上の構造物を支持するための支持力を発揮させるためには、スクリュー杭(16)を長くする必要がある。スクリュー杭(16)を長くした場合、施工場所によっては、岩盤まで、スクリュー杭(16)が到達してしまい、それ以上、スクリュー杭(16)を打ち込むことが出来ない場合がある。
【0008】
上記のような課題が存在するが、スクリュー杭を用いた特許文献2ないし8に記載された基礎構造では、支柱を回動して、起き上がらせることができず、特許文献2ないし8に記載された基礎構造は、そのまま用いることができない。
【0009】
なお、支柱を回動させることができないような特許文献2ないし8に記載された基礎構造を用いると、支柱の長さによっては、高所作業車が必要となる。高所作業車を用いた施工は、その分、施工コストの増大につながる。また、施工場所によっては、高所作業車を用いることができない場合もある。
【0010】
それゆえ、本発明は、支柱の上に構造物を固定するための基礎及びその施工方法であって、施工が容易で、かつ、丈夫な構造の基礎及び施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、構造物の基礎であって、構造物を上部に取り付けるための支柱部と、支柱部を下部で支えるための土台部と、土台部を地面に固定するための一以上の杭とを備える。土台部は、杭と連結する杭連結部と、支柱部を回動可能に取り付けるための回動支持部と、立脚させた支柱部が転倒しないように、土台部に固定される転倒防止部とを含む。
【0012】
好ましくは、杭は、複数である。杭連結部は、複数の杭と連結可能な一枚の板状部材である。回動支持部は、杭連結部と一体化されているか、若しくは、杭連結部に取り付けけられる部材である。
【0013】
好ましくは、杭は、複数である。杭連結部は、複数の杭と連結可能な複数の板状部材である。回動支持部は、各杭連結部を取り付けるための板状部材を有し、かつ、支柱部の下部を回動可能に支持する構造を有する。
【0014】
好ましくは、杭の上部のフランジ部に設けられた第1の穴と、杭連結部に設けられた第2の穴とを用いて、杭と杭連結部とを連結することができる。第1の穴及び/又は第2の穴は、フランジ部に対する杭連結部の取付位置を調整することができる形状を有する。
【0015】
一実施形態として、第1の穴は、円周状に配置された複数の長穴である。第2の穴は、放射線状に配置された複数の長穴である。
【0016】
一実施形態として、第1の穴は、放射線状に配置された複数の長穴である。第2の穴は、円周状に配置された複数の長穴である。
【0017】
一実施形態として、第1の穴は、放射線状に配置された複数の長穴である。第2の穴は、第1の穴と少なくとも一部が対向するように配置された複数の長穴である。
【0018】
一実施形態として、杭連結部の板状部材に設けられた第3の穴と回動支持部の板状部材に設けられた第4の穴とは、少なくともどちらか一方が、回動支持部の取付位置を調整することができる形状を有する。
【0019】
好ましくは、転倒防止部は、下部が土台部に固定され、上部で支柱部に当接して、支柱部が倒れる力を支える構造である。
【0020】
一実施形態として、転倒防止部は、土台部に固定される複数のリブ部と、リブ部を連結する複数の連結部とを含む。
【0021】
一実施形態として、転倒防止部は、土台部に固定される複数のリブ部を含む。リブ部は、上部に、フランジ部又は湾曲部を有する。
【0022】
また、本発明は、構造物を架設するための基礎構造であって、構造物を支えるための第1及び第2の基礎を具備する。第1及び第2の基礎は、構造物を上部に取り付けるための支柱部と、支柱部を下部で支えるための土台部と、土台部を地面に固定するための一以上の杭とを備える。土台部は、杭と連結する杭連結部と、支柱部を回動可能に取り付けるための回動支持部と、立脚させた支柱部が転倒しないように、土台部に固定される転倒防止部とを含み、第1及び第2の基礎の支柱部によって、構造物を架設する。
【0023】
また、本発明は、構造物を二以上の支柱部に架設するための施工方法であって、構造物の基礎として、構造物を上部に取り付けるための支柱部と、支柱部を下部で支えるための土台部と、土台部を地面に固定するための一以上の杭とを備える第1及び第2の基礎を用い、杭を地中に設置する工程と、第1及び第2の基礎の土台部を杭に連結する工程と、支柱部を倒した状態で、土台部に対して、支柱部を回動可能に取り付ける工程と、第1及び第2の基礎の支柱部の上部に構造物を取り付ける工程と、構造物が取り付けられた第1及び第2の基礎の支柱部を立ち上げる工程と、立ち上がった支柱部が転倒しないように、土台部に転倒防止部を固定する工程とを有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、回動支持部を用いて、支柱部を、倒れた状態から、立脚させることができる。したがって、支柱部に構造物を取り付けた状態で、構造物を立ち上げることができるので、高所作業車による作業が不要となり、施工が容易となる。そして、転倒防止部を用いて、支柱部を、転倒しないようにすることができるので、従来のように、ワイヤで支柱部を引っ張って支柱部を支持する形態に比べて、丈夫に構造物を設置することが可能となる。
【0025】
杭を複数用いることで、1本毎の杭の長さを短くしたとしても、保持力を高めることができるので、岩盤に杭が当たって、それ以上杭を打設したりねじ込んだりできなくなるという事態を回避することが可能となる。
【0026】
杭を複数の用いる場合の形態として、一枚の板状部材による杭連結部と複数の杭とを連結する形態を採用することで、杭連結部を地面に頑丈に固定することが可能となり、結果、丈夫な基礎となる。
【0027】
また、杭を複数の用いる場合の形態として、複数の板状部材による杭連結部と複数の杭とを連結する形態を採用し、複数の杭連結部に回動支持部を取り付けることで、杭連結部と回動支持部との位置決めが容易となる。また、杭連結部及び回動支持部を地面に頑丈に固定することが可能となり、結果、丈夫な基礎となる。
【0028】
第1及び第2の穴を、適宜、フランジ部に対する杭連結部の取付位置を調整できるようにしておくことで、杭の打設又はねじ込み位置が多少ずれたとしても、杭に対して、土台部を取り付けることが可能となる。そのため、杭の打設又はねじ込み精度を下げることができるため、施工が容易となる。
【0029】
第1の穴を円周状に配置された複数の長穴とし、第2の穴を放射線状に配置された複数の長穴とすることで、フランジ部に対する杭連結部の取付位置を調整できるようになる。
【0030】
第1の穴を放射線状に配置された複数の長穴とし、第2の穴を円周状に配置された複数の長穴とすることで、フランジ部に対する杭連結部の取付位置を調整できるようになる。
【0031】
第1の穴を放射線状に配置された複数の長穴とし、第2の穴を第1の穴と少なくとも一部が対向するように配置された複数の長穴することで、フランジ部に対する杭連結部の取付位置を調整できるようになる。
【0032】
杭連結部の板状部材に設けられた第3の穴と回動支持部の板状部材に設けられた第4の穴とを、少なくともどちらか一方が、回動支持部の取付位置を調整することができる形状にしておくことで、回動支持部の位置決めが容易となり、施工が容易となる。
【0033】
転倒防止部において、下部が土台部に固定され、上部で支柱部に当接することで、支柱部が倒れる力を支える構造とすれば、簡易な構造で、支柱部を支えることが可能となる。
【0034】
転倒防止部において、土台部に固定される複数のリブ部と、リブ部を連結する複数の連結部とを有するようにすれば、支柱部を丈夫に支えることが可能となる。
【0035】
転倒防止部において、土台部に固定される複数のリブ部の上部に、フランジ部又は湾曲部を有するようにすれば、支柱部を丈夫に支えることが可能となる。
【0036】
本発明の基礎構造よって、構造物を容易かつ丈夫に架設することが可能となる。
【0037】
本発明の施工方法を用いれば、構造物を容易かつ丈夫に架設することが可能となる。
【0038】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における基礎1に、支柱部2を取り付けたときの様子を示す斜視図である。
図2は、
図1のV方向を正面としたときの正面図である。
図3は、
図2の平面図である。
図4は、
図2の底面図である。
図5は、基礎1と支柱部2との連結部分を示す拡大分解斜視図である。以下、
図1ないし
図5を参照しながら、基礎1の構造について、説明する。なお、各図において、同じ機能を有していることが明らかな箇所については、図面を視認し易くするため、適宜、代表的な部分にのみ参照符号を付している(以下同様)。
【0041】
基礎1は、4本の杭3と、杭連結部4と、回動支持部5と、4つのリブ部6と、4つの連結部7と、ピン8とを備える。杭連結部4、回動支持部5、4つのリブ部6、及び4つの連結部7は、支柱部2を下部で支えるための土台部となる。
【0042】
支柱部2は、上部の構造物固定部2aと、下部の回動部2bとを備える。構造物固定部2aに、支柱部2の上に固定したい構造物を取り付ける。回動部2bは、離間した二枚の板状部材で挟まれた構造を有しており、杭連結部4上に取り付けられた回転支持部5の支持板5aに対して、支柱部2を回動可能に取り付けるためにピン8を通すことができる穴2cを有している。
【0043】
杭3は、回転しながら、胴部3bの先端側の螺旋部3aが地中にねじ込まれるスクリュー杭である。杭3は、基端側にフランジ部3cを有している。フランジ部3cには、複数の穴3d(第1の穴)が穿孔されている。なお、穴3dの配置位置については、後ほど詳述する。杭3に土台部が連結されることで、基礎1が地面に固定される。
【0044】
杭連結部4は、一枚の板部材であり、四隅に、杭3の穴3dに対応する複数の穴4a(第1の穴)を有している。穴3dと穴4aとが、ボルト及びナットなどの締結手段によって連結されることで、杭連結部4と杭3との連結が可能となっている。なお、穴3dの配置位置については、後ほど詳述する。
【0045】
回動支持部5は、板状部材5bと、板状部材5bから垂直に立ち上がった支持板5aとを有する。回動支持部5は、杭連結部4と連結される。ここでは、回動支持部5と杭連結部4とには、対抗する穴を設けておいて、当該穴に、ボルト及びナットなどの締結手段を挿入して、両者を連結することとしているが、回動支持部5と杭連結部4とは、予め一体化されていてもよい。支持板5aには、回動部2bに設けられた穴2cに対応する穴が設けられている。
【0046】
リブ部6は、下端が板状部6aとなっており、板状部6aから斜め上に立脚した支持部6bを有する。板状部6aには、穴6cが設けられている。杭連結部4には、穴6cに対応する穴が設けられている。2つの穴をボルト及びナットなどの締結手段によって、連結する。また、リブ部6を杭連結部4に固定するために、杭連結部4からは、アンカーボルトが立ち上がっているようにして、アンカーボルトを穴6cに通して、ナットで固定するようにしてもよい。または、杭連結部4にナットが固定されており、板状部6aの穴6cの上から、ボルトで締結するようにしてもよい。
【0047】
連結部7は、円弧状部材7aと、円弧状部材7aの両端に設けられた板状部7bとによって、構成されている。板状部7bと、連結用リブ部6の支持部6bとが、ボルト及びナットなどの締結手段によって連結される。
【0048】
リブ部6及び連結部7は、立脚させた支柱部2が転倒しないように、土台部に固定される転倒防止部として機能する。
【0049】
図6及び
図7は、基礎1の施工工程を説明するための図である。
図6は、回動支持部5に支柱部2を取り付けたときの様子を示す図である。
図7は、支柱部2を立ち上げて、リブ部6及び連結部7を架設したときの様子を示す図である。
図6及び
図7において、支柱部2の構造物固定部2に取り付けるための構造物9を破線による想像線で表現している。構造物9の構造については、一切限定されない。2つの基礎1(第1の基礎及び第2の基礎)によって、構造物9が架設される基礎構造が実現されている。
【0050】
以下、
図1、
図5、
図6、及び、
図7を参照しながら、基礎1によって構造物9を支柱部2に固定してから空中に架設するまでの施工工程について説明する。
【0051】
まず、地中に、杭3をねじ込む。杭3がねじ込まれた後、杭3のフランジ部3cの上に、杭連結部4を載せて、穴3dと穴4aとを利用して、フランジ部3cと杭連結部4とを連結する。それに先立ち、杭連結部4と回動支持部5とは、連結されているとよい。
【0052】
杭3の上に、杭連結部4及び回動支持部5が取り付けられた状態で、回動支持部5の支持板5aに対して、支柱部2の回動部2bが挿入され、支持板5aと回動部2bとの穴に、ピン8が挿入される。ピン8は、抜けないように、図示しないナットやリング、抜け防止ピンなどで、抜け止めされている。
【0053】
上記の工程を、必要な基礎1の数だけ実施する。この時点で、
図6に示すように、支柱部2は、地面に対して倒れた状態となっており、構造物固定部2aに、構造物9が取り付けられる。
図6では、2個の基礎1のそれぞれに回動可能に取り付けられた支柱部2を用いて、各構造物固定部2aに構造物9が取り付けられている様子を示しているが、1個の基礎1だけが用いられてもよいし、3個以上の基礎1が用いられてもよい。
【0054】
次に、倒れた状態の支柱部2を立ち上げる。支柱部2を立ち上げた後、リブ部6を杭連結部4に固定する。最後に、連結部7を、2つのリブ部6の間に取り付けて、支柱部2が倒れていかないようにする。このようにして、
図7に示すように、構造物9が、支柱部2の上に、持ち上がった状態で、立脚した支柱部2に固定されたこととなる。
【0055】
なお、適宜、支柱部2は、ワイヤなどで引っ張って、倒れていかないように、補強してもよいことは言うまでもない。
【0056】
図8は、杭3のフランジ部3cの平面図である。
図8によって、フランジ部3cに開けられた穴3dの配置を説明する。
図8に示すように、穴3dは、円形状のフランジ部3cの中心から、円周状に配置された複数の長穴である。
【0057】
図9は、杭連結部4の穴4aの周辺部分の平面図である。
図9によって、杭連結部4の穴4aの配置を説明する。
図9に示すように、穴4aは、フランジ部3cの中心に対応する箇所を中心に、放射線状に延びるように配置された複数の長穴である。
【0058】
図10は、フランジ部3cと杭連結部4とが連結される位置の一例を示す図である。
図10(a)は、ずれ無くフランジ部3cと杭連結部4とが連結された様子を示し、
図10(b)は、フランジ部3cと杭連結部4とがずれて連結された様子を示す。
【0059】
杭3は、地中にねじ込むことで、地面に固定されるため、フランジ部3cを、精度良く配置するのは、困難である。そのため、フランジ部3cの位置が多少ずれてしまう可能性がある。
【0060】
ところが、
図8及び
図9に示すように、ある中心から円弧状に形成された長穴と同じ中心から放射線状に形成された長穴とを用いた場合、
図10(a)に示すずれのない位置から、多少ずれたとしても、
図10(b)に示すように、両方の穴を対向させて、フランジ部3cと杭連結部4とを連結することが可能となる。
【0061】
なお、ここでは、フランジ部3c側を円弧状の長穴とし、杭連結部4側を放射線状の長穴としたが、逆に、フランジ部3c側を放射線状の長穴とし、杭連結部4側を円弧状の長穴としても、ずれが生じたとしても、両方の穴を対向させて、フランジ部3cと杭連結部4とを連結することが可能となる。
【0062】
すなわち、フランジ部3c側の穴3d(第1の穴)と杭連結部4側の穴4a(第2の穴)は、フランジ部3cに対する杭連結部4の取付位置を調整することができる形状であり、余裕を持った大きさの形状を有する穴であればよい。
【0063】
このように、杭3が理想の位置からずれてねじ込まれたとしても、フランジ部3cと杭連結部4とにサイズ調整された穴を形成しておけば、両者を連結することが可能となる。なお、穴の形状については、ずれが生じたとしても、両者を連結することができるものであれば、上述のような長穴に限られない。その他の第1及び第2の穴の例については、第2の実施形態以降においても適宜例示することとする。
【0064】
以上のように、第1の実施形態では、杭3と杭連結部4とを連結し、杭連結部4に支柱部2を回動可能に支持することができる回動支持部5を設けるようにしている。これにより、支柱部2を倒した状態で、支柱部2に構造物9を取り付けて、取り付け後、支柱部2を立ち上げることが可能となる。そして、支柱部2を立ち上げた後、リブ部6及び連結部7による転倒防止部を用いて、支柱部2が倒れてこないように、支えるようにすれば、高所作業車などを使用することなく、支柱部2の上に、構造物9を設置することが可能となる。
【0065】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態における基礎10に、支柱部2を取り付けたときの様子を示す斜視図である。
図12は、
図11のV方向を正面としたときの正面図である。
図13は、
図12の平面図である。
図14は、
図12の底面図である。
図15は、基礎10と支柱部2との連結部分を示す拡大分解斜視図である。以下、
図11ないし
図15を参照しながら、基礎10の構造について、説明する。なお、基礎10において、第1の実施形態の基礎1と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、適宜、説明を省略し、第1の実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0066】
基礎10は、4本の杭3と、4つの杭連結部4と、回動支持部5と、4つのリブ部6と、4つの連結部7と、ピン8とを備える。4つの杭連結部4、回動支持部5、4つのリブ部6、及び4つの連結部7は、支柱部2を下部で支えるための土台部となる。
【0067】
各杭連結部4は、回動支持部5の外周部分から、外側に飛び出るように、回動支持部5に連結された板状部材である。杭連結部4には、杭3のフランジ部3cと連結するための複数の穴4a(第2の穴)と、回動支持部5と連結するための複数の穴4b(第3の穴)が開けられている。なお、穴4a及び4bの配置については、後ほど詳述する。
【0068】
回動支持部5の板状部材5bは、杭連結部4を外周部分で固定するための穴5c(第4の穴)と、リブ部6を固定するための穴5dとを有している。第1の実施形態と異なり、穴5dを介して、リブ部6が、板状部材5bに取り付けられる構造となっている。
【0069】
図15を参照しながら、基礎10によって構造物を支柱部2に固定してから空中に架設するまでの施工工程について説明する。
【0070】
第1の実施形態と同様に、杭3を地中にねじ込む。そして、フランジ部3cに、杭連結部4を取り付ける。
【0071】
杭連結部4に、回動支持部5を取り付ける。
【0072】
その後は、第1の実施形態と同様に、支柱部2に構造物を取り付けて、支柱部2を立ち上げ、リブ部6及び連結部7を取り付ける。
【0073】
図16は、杭3のフランジ部3cの平面図である。
図16によって、フランジ部3cに開けられた穴3d(第1の穴)の配置を説明する。
図16に示すように、穴3dは、円形状のフランジ部3cの中心から放射線状に配置された複数の長穴である。
【0074】
図17は、杭連結部4の平面図である。
図17によって、杭連結部4の穴4a(第2の穴)及び穴4b(第3の穴)の配置を説明する。
図17に示すように、穴4aは、円形状のフランジ部3cの中心から等間隔かつ等角度に形成された複数の長穴であり、穴3dと少なくとも一部が対向するように配置されている。ここでは、中心から、90度毎に、4つの穴4aが形成されているとしているが、穴の数や形状等は、特に限定されない。
【0075】
穴4bは、回動支持部5の穴5cに連結するための穴であるが、長穴であってもよい。
【0076】
なお、フランジ部3c側の穴3dと杭連結部4側の穴4aとの形状は、互いに逆の形状になっていてもよく、その場合でも、杭3のずれを吸収できる。
【0077】
図18は、回動支持部5の穴5c(第4の穴)及び穴5dの周辺部分の平面図である。
図18によって、回動支持部5の穴5c及び5dの配置を説明する。
図18に示すように、穴5cは、杭連結部4の穴4bに対向する穴であるが、杭3のずれを吸収するために、長穴となっている。ただし、穴4b側を長穴にするのであれば、穴5cは、長穴でなくてもよい。すなわち、穴4bと穴5cとは、少なくともどちらか一方が、回動支持部5の取り付け位置を調整することができるように余裕を持った形状であればよい。
【0078】
穴5dは、連結用リブ部6を固定するための穴である。
【0079】
図19は、フランジ部3c、杭連結部4、及び回動支持部5が連結される位置の一例を示す図である。
図19(a)は、ずれ無くフランジ部3c、杭連結部4、及び回動支持部5が連結された様子を示し、
図19(b)は、ずれ無くフランジ部3c、杭連結部4、及び回動支持部5がずれて連結された様子を示す。
【0080】
図19(b)に示すように、杭連結部4に、上下左右の穴4aを配置することで、杭3が上下左右にずれてねじ込まれたとしても、そのずれを吸収して、フランジ部3cに、杭連結部4を取り付けることが可能である。
【0081】
また、
図19(b)に示すように、図上、杭連結部4がずれたとしても、回動支持部5の穴5cを長穴とすることで、そのずれを吸収して、各杭連結部4に、回動支持部5を取り付けることが可能である。
【0082】
なお、フランジ部3cと杭連結部4との穴によって、ずれを吸収できるのであれば、回動支持部5における長穴によるずれ調整は、不要である。
【0083】
以上のように、第2の実施形態では、各杭3に、別々の杭連結部4をそれぞれ取り付け、杭連結部4に、回動支持部5を取り付けることによっても、支柱部2に構造物を取り付けて、支柱部2を立ち上げて、リブ部6及び連結部7による固定施工が可能となる。複数の杭連結部4に回動支持部5を取り付けることで、杭連結部4と回動支持部5との位置決めが容易となる。
【0084】
そして、第2の実施形態では、フランジ部3cと杭連結部4とに設けられた穴をずれが吸収できるように配置しておくことで、杭3がずれてねじ込まれたとしても、杭連結部4に、回動支持部5を適切に取り付けることが可能となる。好ましくは、回動支持部5及び/又は杭連結部4にも、杭連結部4のずれを吸収できるように長穴を設けておけばよい。
【0085】
(第1及び第2の穴の変形例)
図20は、杭3のフランジ部3cに設けられた穴3dの変形例を示す図である。
図20に示すように、穴3dをたとえば45度間隔で、中心から放射線状に形成してもよい。なお、
図20において、等角度で配置されることは必須ではない。
【0086】
図21は、第1又は第2の杭連結部4に設けられた穴4aの変形例を示す図である。
図21に示すように、穴4aは、円弧状ではなく、45度間隔で、中心から等距離に配置された直線状の長穴であってもよい。なお、
図21において、等角度で配置されることは必須ではない。
【0087】
図22は、
図20のフランジ部3cと
図21の杭連結部4とを連結したときの様子を示す図である。
図20(a)は、ずれのない状態での連結を示し、
図20(b)は、ずれた状態での連結を示す。
【0088】
このように、フランジ部3c側を放射線状の長穴とし、杭連結部4側の穴4aを、穴3dと少なくとも一部が対向するように配置された長穴とすることでも、杭3のずれを吸収して、フランジ部3cと杭連結部4とを連結することが可能である。
【0089】
(リブ部6及び連結部7の変形例)
リブ部6及び連結部7は、支柱部2が倒れないように、杭連結部4又は回動支持部5に支持される構造の部材であれば、上述した例に限られるものではない。すなわち、リブ部6及び連結部7は、支柱部2の転倒防止部であればよく、下部が土台部に固定されていて、上部で、支柱部2に当接して、支柱部2が倒れる力を支える構造であればよい。
【0090】
このような観点から、転倒防止部の変形例を以下にします。
図23及び
図24は、支柱部2の転倒防止部の変形例の一例である。
【0091】
図23に示すように、支柱部2を円筒状ではなく、多角柱状の部材とするならば、リブ部6の上端にフランジ部6dを設けて、フランジ部6dを多角柱状の支柱に固定して当接させ、リブ部6の下端の板状部6aを杭連結部4に固定するようにしてもよい。
【0092】
なお、フランジ部6dを、他のリブ部6のフランジ部6dに、直接又は部材を挟んで連結するようにして、フランジ部6dと支柱部2とは固定せずに当接させるようにしてもよい。
【0093】
図24に示すように、円筒状の支柱部2を用いる場合、リブ部6の上端に円弧状の湾曲部材6eを設けて、湾曲部材6eを円筒状の支柱に固定し、リブ部6の下端の板上部6aを杭連結部4に固定するようにしてもよい。
【0094】
なお、湾曲部材6eを、他のリブ部6の湾曲部材6eに、直接又は部材を挟んで固定するようにして、湾曲部材6eと支柱部2とは固定せずに当接させるようにしてもよい。
【0095】
図23及び
図24では、第1の実施形態の杭連結部4及び回動支持部5を用いたが、第2の実施形態の回動支持部5に、
図23及び
図24に示した構造を採用してもよいことは、言うまでもない。
【0096】
なお、リブ部6及び連結部7は、それぞれ1つずつ予め連結したような構造であってもよい。
【0097】
上記実施形態において、リブ部6及び連結部7は、90度毎に等間隔に配置しており、それぞれ4つずつ設けられていたが、これに限られるものではない。リブ部6及び連結部7は、支柱部2が倒れてこないように構成されているのであれば、その数や配置間隔の角度などは、限定されない。たとえば、支柱部2が倒れる方向に、リブ部6及び連結部7を多く配置したり、丈夫な構造のリブ部6及び連結部7を配置したりするなどしてもよい。
【0098】
(その他の変形例)
以下、その他の変形例について列記する。
適宜、各部材を溶接によって固定してもよいことは、言うまでもない。
【0099】
上記実施形態では、杭3を4本用いることしたが、少なくとも1本の杭3が用いられればよく、2,3本の杭を用いるだけでなく、5本以上の杭が用いられてもよい。その場合、用いる杭の本数に合わせて、杭連結部4や回動支持部5の形状を適宜変更したり、杭連結部4の穴の配置を適宜変更すればよい。
【0100】
設置する構造物によっては、螺旋部3aを有しない杭であっても、構造上、堪えうることが出来る場合がある。そのような場合は、螺旋部3aを有さないフランジ付きの杭を用いるようにしてもよい。よって、本発明では、スパイラル杭を用いることには、限定されない。
【0101】
上記実施形態では、杭連結部4と回転支持部5とを別部材としたが、既に述べたとおり、杭連結部4に、直接垂直に立ち上がった支持板5aを一体的に設けることとして、杭連結部4に支柱部2の回動部2bを回動可能に支持する構造を設けてもよい。
【0102】
上記実施形態において、ボルト等の締結手段で固定すると記載した点については、適宜、リベットや溶接などの周知の締結手段に置き換えてもよいことは、言うまでもない。
【0103】
上記実施形態において、別々の部材とした部分について、一体化可能な部材については、適宜、一体化して構成されていてもよい。
【0104】
フランジ部3cは、円形状である場合に限られない。フランジ部3cは、四角形やその他の多角形、又は、適宜角取りされた多角形など、どのような形状でもよい。フランジ部3cに、適切な位置に穴が設けられていればよい。
【0105】
上記実施形態では、ピン8によって、回動支持部5と支柱部2とを回動可能に支持することとしているが、支持構造はピン8だけに限られるものではなく、回動可能に支持することが可能な周知のあらゆる構造を採用することができる。たとえば、単純な変形としては、支柱部2の下端を一枚の板とし、回動支持部5側を二枚の板として、支柱部2の下端を挟み込んで、回動可能としてもよい。また、回動方向を自由に調整できるようにしたければ、たとえば、支柱部2と回動支持部5とを自在継手構造で連結してもよい。
【0106】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。