特開2020-2797(P2020-2797A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-2797(P2020-2797A)
(43)【公開日】2020年1月9日
(54)【発明の名称】多気筒エンジンの吸気装置
(51)【国際特許分類】
   F02B 29/04 20060101AFI20191206BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20191206BHJP
【FI】
   F02B29/04 P
   F02B29/04 K
   F02M35/10 301P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-119933(P2018-119933)
(22)【出願日】2018年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神本 雅章
(72)【発明者】
【氏名】吉川 高史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 英成
(72)【発明者】
【氏名】三浦 保秀
(57)【要約】
【課題】インタークーラにより生じる凝縮水による失火の発生を抑止すると共に、吸気の流通抵抗を増大させることなく、コンパクト化を可能とする吸気経路レイアウトを実現できるようにする。
【解決手段】多気筒エンジンの吸気装置は、エンジン1の吸気管30に接続された過給機32と、吸気管における過給機の下流側に接続されたインタークーラ37と、インタークーラの下流側に配設されたサージタンク38と、吸気管のインタークーラの上流側にEGRガスを導入する外部EGR通路56とを備えている。インタークーラは、サージタンクと並列に配置されると共に、接続吸気管30bにより接続される。接続吸気管は、平面U字状に形成されてサージタンクの気筒列の一端側と接続される。インタークーラの底面は、下流側が上流側よりも低くなるように傾斜している。接続吸気管の底面はインタークーラの底面の最も低い部分よりも低いか同一である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多気筒エンジンに設けられた吸気管に接続された過給機と、
前記吸気管における前記過給機の下流側に接続されたインタークーラと、
前記インタークーラの下流側に配設されたサージタンクと、
前記吸気管における前記インタークーラの上流側にEGRガスを導入するEGR通路とを備えた多気筒エンジンの吸気装置であって、
前記インタークーラは、前記サージタンクと並列に配置されると共に、接続吸気管により接続され、
前記接続吸気管は、平面視でU字状に形成されて、前記サージタンクの気筒列の一端側と接続され、
前記インタークーラの底面は、下流側が上流側よりも低くなるように傾斜しており、
前記接続吸気管の底面は、前記インタークーラの底面の最も低い部分よりも低いか同一である多気筒エンジンの吸気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記吸気管における前記インタークーラの上流側には、吸気調整弁が接続されており、
前記吸気調整弁は、平面視で前記サージタンクと近接して配設されている多気筒エンジンの吸気装置。
【請求項3】
請求項2に記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記吸気管における前記吸気調整弁の上流側部分は、エンジン本体の上側に配置されており、
前記吸気調整弁の上流側部分は、その途中から下り傾斜となるように配設されている多気筒エンジンの吸気装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多気筒エンジンの吸気装置において、
前記インタークーラは、液体冷媒を用いた水冷式のインタークーラである多気筒エンジンの吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多気筒エンジンの吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、エンジン本体の側方に配置された機械式過給機の上方で、且つ吸気マニホールドの外側に近接してインタークーラを配置する構成が記載されている。このインタークーラの入口及び出口はエンジン本体の上下方向に配置され、この出口部は、サージタンクの長手方向の一方の端部と連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−242548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載されたインタークーラは、その入口及び出口をエンジン本体の上下方向に配置した、いわゆる縦置きタイプのインタークーラであり、例えば、インタークーラの上流側にEGR(排気再循環)ガスを導入する構成の場合には、インタークーラによって生じる凝縮水がインタークーラの内部に滞留する。
【0005】
このとき、エンジンを加速状態とした場合には、滞留していた凝縮水が吸気マニホールドに一挙に流れ込み、一部の気筒に失火が発生するという問題がある。
【0006】
本発明は、前記従来の問題を解決し、吸気管にEGRガスを導入する構成において、特にインタークーラにより生じる凝縮水による失火の発生を抑止すると共に、吸気の流通抵抗を増大させることなく、コンパクト化を可能とする吸気経路レイアウトを実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明は、エンジンの吸気管におけるサージタンクの側部で気筒列の一端側との接続部分に平面U字状の接続吸気管を配設し、該接続吸気管の底面を下流側で低くする構成とする。
【0008】
具体的に、本発明は、多気筒エンジンの吸気装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、多気筒エンジンに設けられた吸気管に接続された過給機と、吸気管における過給機の下流側に接続されたインタークーラと、インタークーラの下流側に配設されたサージタンクと、吸気管におけるインタークーラの上流側にEGRガスを導入するEGR通路とを備えた多気筒エンジンの吸気装置である。インタークーラは、サージタンクと並列に配置されると共に、接続吸気管により接続される。接続吸気管は、平面視でU字状に形成されて、サージタンクの気筒列の一端側と接続される。インタークーラの底面は、下流側が上流側よりも低くなるように傾斜している。接続吸気管の底面は、インタークーラの底面の最も低い部分よりも低いか同一である。
【0010】
これによれば、サージタンクと並列に配置され且つ接続吸気管により接続されたインタークーラの底面は、下流側が上流側よりも低くなるように傾斜しており、平面U字状に形成され、サージタンクの気筒列の一端側と接続された接続吸気管の底面は、インタークーラの底面の最も低い部分よりも低いか同一である。この構成により、特にEGRガスによる凝縮水の吸気管における滞留が低減される。このため、滞留した凝縮水が吸気マニホールドに一気に流れ込むことがなくなるので、一部の気筒に失火が発生することを抑止できる。その上、吸気流通抵抗を増加させることなく、サージタンクとインタークーラとが並列に配置されるので、コンパクト化を図ることができる。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、吸気管におけるインタークーラの上流側には、吸気調整弁が接続されており、吸気調整弁は平面視でサージタンクと近接して配設されていてもよい。
【0012】
これによれば、インタークーラの、吸気調整弁と近接配置されたサージタンクとの並列配置により、コンパクト化をより高めることができる。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、吸気管における吸気調整弁の上流側部分は、エンジン本体の上側に配置されており、吸気調整弁の上流側部分は、その途中から下り傾斜となるように配設されていてもよい。
【0014】
これによれば、過給機の吸気管をも含めた、下り傾斜の過給経路によって凝縮水の滞留を効果的に抑制することができる。
【0015】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明において、インタークーラは、液体冷媒を用いた水冷式のインタークーラであってもよい。
【0016】
これによれば、水冷式のインタークーラは、空冷式と比べて凝縮水が生じやすいので、本発明の効果が顕著となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インタークーラにより生じる凝縮水による失火の発生を抑止すると共に、吸気の流通抵抗を増大させることなく、コンパクト化を可能とする吸気経路レイアウトを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明の一実施形態に係るエンジンを示す模式的な構成図である。
図2図2は本発明の一実施形態に係るエンジンにおける吸気経路を含む平面図である。
図3図3は本発明の一実施形態に係るエンジンにおける吸気経路を含む左側面図である。
図4図4は本発明の一実施形態に係るエンジンにおける吸気経路を含む左上前方斜視図である。
図5図5は本発明の一実施形態に係るエンジンにおけるサージタンク及び吸気導入路を示す左上後方斜視図である。
図6図6図5のVI−VI線における断面斜視図である。
図7図7図5のVII−VII線における断面図である。
図8図8図5のVIII−VIII線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することを意図しない。
【0020】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は本実施形態に係る過給機付多気筒エンジンであって、ここでは、過給機付エンジン(以下、単に「エンジン」と呼称する。)1の構成を概略的に表している。
【0022】
エンジン1は、例えば、自動車に搭載される4ストローク式の内燃機関であり、図1に示すように、ターボチャージャ32を備えている。エンジン1の燃料は、特に限定はされないが、本実施形態においては軽油である。
【0023】
また、エンジン1は、詳細な図示は省略するが、例えば、列状に配置された4つのシリンダ(気筒)11を備えており、4つのシリンダ11が車両の前後方向(車長方向)に沿って並ぶように搭載される、いわゆる直列4気筒の縦置きエンジンとして構成されている。これにより、本構成例においては、4つのシリンダ11の配列方向(気筒列方向)であるエンジンの前後方向が車長方向とほぼ一致していると共に、エンジン幅方向が車幅方向とほぼ一致している。なお、エンジン1は、直列4気筒の縦置きエンジンに限られず、直列多気筒の縦置き又は横置きエンジンであっても本発明は成立する。
【0024】
また、直列多気筒エンジンにおいては、気筒列方向と、機関出力軸としてのクランクシャフト15の中心軸方向(機関出力軸方向)とが一致する。以下の記載では、これらの方向を気筒列方向(又は車長方向)と総称する場合がある。
【0025】
以下、特に断らない限り、前側とは車両の前後方向における前側(エンジンフロント側)を指し、後側とは車両の前後方向における後側(エンジンリヤ側)を指し、左側とは車幅方向の前方に向かって左側を指し、右側とは車幅方向の前方に向かって右側を指す。
【0026】
また、以下の記載において、上側とはエンジン1を車両に搭載した状態(以下、「車両搭載状態」ともいう。)における車高方向の上側を指し、下側とは車両搭載状態における車高方向の下側を指す。
【0027】
(エンジンの概略構成)
本実施形態において、エンジン1は、4つのシリンダ11を有するエンジン本体10と、該エンジン本体10の左側に配置され、吸気ポート18を介して各シリンダ11と連通する吸気管からなる吸気経路30と、エンジン本体10の右側に配置され、排気ポート19を介して各シリンダ11と連通する排気通路50とを備えている。
【0028】
本構成例では、吸気経路30は、新気及び排気(以下、吸気と呼ぶ。)を導く複数の通路と、ターボチャージャ32及びインタークーラ37等の装置とが組み合わされてユニット化された吸気装置を構成している。
【0029】
エンジン本体10は、吸気経路30から供給された吸気と、各シリンダ11内でインジェクタ6から噴射された燃料とを所定の燃焼順に従って燃焼させるように構成されている。具体的に、エンジン本体10は、シリンダブロック12と、該シリンダブロック12の上に載置されるシリンダヘッド13とを有している。
【0030】
シリンダブロック12の内部には、前述の4つのシリンダ11が形成されている。4つのシリンダ11は、クランクシャフト15の中心軸方向(気筒列方向)に沿って並んでいる。なお、図1では、1つのシリンダのみを示す。
【0031】
各シリンダ11の内部には、ピストン14が、それぞれ摺動自在に挿入されている。各ピストン14は、コネクティングロッド141を介してクランクシャフト15と連結されている。各ピストン14は、シリンダ11及びシリンダヘッド13と共に燃焼室16を区画する。なお、ここでいう「燃焼室」は、ピストン14が圧縮上死点に至ったときに形成される空間のみの意味に限定されない。「燃焼室」の語は広義で用いる。
【0032】
シリンダヘッド13には、1つのシリンダ11につき、例えば2つの吸気ポート18が形成されている。図1には1つの吸気ポート18のみを示す。2つの吸気ポート18は、気筒列方向に隣接しており、それぞれ対応するシリンダ11と連通している。
【0033】
2つの吸気ポート18には、それぞれ吸気バルブ21が配設されている。吸気バルブ21は、燃焼室16と各吸気ポート18との間を開閉する。吸気バルブ21は、吸気動弁機構23によって所定のタイミングで開閉する。
【0034】
また、シリンダヘッド13には、1つのシリンダ11につき、例えば2つの排気ポート19が形成されている。図1には1つの排気ポート19のみを示す。2つの排気ポート19は、気筒列方向に隣接しており、それぞれ対応するシリンダ11と連通している。
【0035】
2つの排気ポート19には、それぞれ排気バルブ22が配設されている。排気バルブ22は、燃焼室16と各排気ポート19との間を開閉する。排気バルブ22は、排気動弁機構24によって所定のタイミングで開閉する。
【0036】
シリンダヘッド13には、シリンダ11毎にインジェクタ6が取り付けられている。本構成例においては、各インジェクタ6は、例えば多噴口型の燃料噴射弁であり、各燃焼室16内に、燃料を直接に噴射するように構成されている。
【0037】
また、本実施形態に係る吸気経路30は、エンジン本体10の一側面(具体的には、左側の側面)と接続されており、各シリンダ11の吸気ポート18と連通している。すなわち、吸気経路30は、燃焼室16に導入される吸気が流れる通路であり、従って各吸気ポート18を介して燃焼室16と接続されている。
【0038】
吸気経路30におけるエアクリーナ31とサージタンク38との間には、上流側から、ターボチャージャ32のコンプレッサホイール(以下、コンプレッサと呼ぶ。)32a、通常は全開状態にある吸気調整弁33、及びインタークーラ37が順次配設されている。吸気調整弁33は、その開度を調整することによって、燃焼室16に導入される既燃ガス(EGRガス)の還流量などを調整するように構成されている。
【0039】
インタークーラ37は、ターボチャージャ32を通過した吸気との間で熱交換をするように構成されたコア(不図示)を収容してなり、ターボチャージャ32において圧縮された吸気を冷却するように構成されている。インタークーラ37は、水冷式及び空冷式のいずれでもよく、冷却効率の観点から、ここでは液体冷媒を用いた水冷式としている。
【0040】
一方、図1に示すように、排気通路50は、エンジン本体10の他側面(具体的には、右側の側面)と接続されており、各シリンダ11の排気ポート19と連通している。排気通路50は、燃焼室16から排出された排気が流れる通路である。詳細な図示は省略するが、排気通路50の上流部分は、シリンダ11毎に分岐する独立通路を構成している。これら独立通路の上流端が、各シリンダ11の排気ポート19と接続されている。
【0041】
排気通路50には、上述したターボチャージャ32のタービン32bと、一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)等を酸化するディーゼル酸化触媒(DOC)51及び微粒子を捕集するディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF)52を有する排気浄化システムと、排気の流量を調整する排気シャッターバルブ53とが配設されている。なお、ここでの排気通路50には、ターボチャージャ32のタービン32bへの排気を迂回するウエイストゲートバルブ54が配設されている。ターボチャージャ32には、可変容量ターボチャージャを用いることができ、仕様によっては、ウエイストゲートバルブ54を設けない構成とすることもできる。
【0042】
また、DPF52の下流側には、窒素酸化物(NO)を浄化する尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)と、該尿素SCRからの余剰のアンモニア(NH)を酸化するスリップ触媒とを適宜設けてもよい。尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)には、尿素タンクが付設される。
【0043】
本構成例の吸気通路30には、排気通路50の排気を、排気マニホールド(不図示)の近傍から吸気経路30におけるインタークーラ37の下流部分に導入する内部EGR(高圧EGR)通路55と、排気通路50におけるDPF52の下流側からターボチャージャ32のコンプレッサ32aの上流側に排気を導入する外部EGR(低圧EGR)通路56とが配設されている。内部EGR通路55及び外部EGR通路56は、それぞれ既燃ガスの一部を吸気経路30に還流させる通路である。
【0044】
外部EGR通路56には、例えば、水冷式の低圧EGRクーラ57が配設される。低圧EGRクーラ57は既燃ガスを冷却する。外部EGR通路56を流れる既燃ガスの還流量は、低圧EGRクーラ57と、外部EGR通路の吸気経路30との接続部との間に配設された外部EGRバルブ58によって調節される。
【0045】
一方、内部EGR通路55を流れる既燃ガスの還流量は、内部EGR通路55に配設された内部EGRバルブ59によって調節される。
【0046】
(吸気経路の構成)
以下、吸気経路30の要部の構成について詳細に説明する。
【0047】
吸気経路30を構成する吸気管の各部は、いずれもエンジン本体10の左側、具体的には、シリンダヘッド13及びシリンダブロック12の左側面に沿うように配置されている。なお、吸気経路30におけるターボチャージャ32のコンプレッサ32aからインタークーラ37までの部分は、エンジン本体10の右側面から左側面に、その上側を通過するように配設されている。
【0048】
図2図3及び図4は本実施形態に係るエンジン1の平面図、左側面図及び左側面の前方斜視図をそれぞれ表している。図2図4に示すように、吸気経路30におけるターボチャージャ32から吸気調整弁33までの部分、すなわち、吸気調整弁33の上流部分である第1通路30aは、エンジン本体10の上側に配置され、その途中から下り傾斜となるように配設されている。
【0049】
さらに、インタークーラ37は、サージタンク38と並列に配置されると共に、サージタンク38に対して、接続吸気管30bにより接続されている。なお、インタークーラ37とサージタンク38との接続吸気管30bを導入路30bと呼ぶ場合がある。接続吸気管30bは、平面視でU字状に形成されてサージタンク38の気筒列の前方側と接続されている。また、インタークーラ37の底面は、下流側(前方側)が上流側(後方側)よりも低くなるように傾斜している。接続吸気管30bの管内の底面は、インタークーラ37の内部の底面の最も低い部分(下流側の端部)よりも低いか同一である。すなわち、接続吸気管30bの管内の底面は、インタークーラ37の内部の底面よりも高くならないように配置されている。
【0050】
さらに、図2に示すように、インタークーラ37の上流側に接続された吸気調整弁33は、サージタンク38と平面視で近接して配設されている。
【0051】
このように、インタークーラ37をサージタンク38と並列に配置して、いわゆるサイドエントリタイプとすると共に、接続吸気管30bの管内の底面をインタークーラ37の内部の底面よりも低くするか又は同一とすることにより、低圧のEGRガスによる凝縮水が、特にインタークーラ37及び接続吸気管30bにおいて滞留を生じにくくなる。その上、接続吸気管30bは平面U字状で滑らかに屈曲しており、吸気流通抵抗が増大することなく、サージタンク38とインタークーラ37とが並列に配置されており、また、サージタンク38は吸気調整弁33と近接して配置されているので、エンジン1のコンパクト化を図ることができる。
【0052】
(サージタンクの構成)
図5は本実施形態に係る接続吸気管30b及びサージタンク38を表し、図6図8は、図5のVI−VI線、VII−VII線及びVIII−VIII線における断面構成それぞれを表している。
【0053】
図6に示すように、サージタンク38は、そのエンジン本体側の開口部に吸気マニホールド39が接続されている。さらに、図6図8に示すように、サージタンク38の内部には、接続吸気管(導入路)30bの内部に連続して設けられ、当該サージタンク38の底部から上方に立設されると共に、気筒列方向に延びつつ、その高さが漸次低くなるバッフル壁部38aが設けられている。バッフル壁部38aは、サージタンク38の底部から、エンジン本体側に凸となる湾曲状に立設されている。また、サージタンク38は、吸気が流入する気筒列前方側の幅が広く且つその断面容積が大きく形成される。一方、当該サージタンク38は、気筒列後端側に向かうに連れて幅が狭く且つ断面容積が小さくなるように形成されている。
【0054】
なお、バッフル壁部38aを含むサージタンク38、及び吸気マニホールド39を構成する部材は、特に限定されないが、耐熱性に優れた合成樹脂材であれば、所望の形状を持つバッフル壁部38aをサージタンク38と一体に形成することも容易となる。
【0055】
この構成により、バッフル壁部38aは、サージタンク38の内側に凹状となるので、このバッフル壁部38aの形成に伴う吸気の流通抵抗が低減される。さらに、サージタンク38における下流側の断面容積が小さくなることにより、凝縮水の良好な分配性を確保することができる
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、インタークーラからの凝縮水による失火の発生を抑止すると共に、吸気の流通抵抗を増大させることなく、コンパクト化を可能とする吸気経路レイアウトを実現でき、多気筒エンジンの吸気装置として有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 エンジン(過給機付エンジン)
10 エンジン本体
30 吸気経路(吸気管)
30a 第1通路
30b 接続吸気管(導入路)
31 エアクリーナ
32 ターボチャージャ
32a コンプレッサホイール
32b タービンホイール
33 吸気調整弁
37 インタークーラ
38 サージタンク
38a バッフル壁部
39 吸気マニホールド
50 排気通路
55 内部EGR通路
56 外部EGR通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8