特開2020-27997(P2020-27997A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプスアルパイン株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2020027997-通信装置及び通信方法 図000003
  • 特開2020027997-通信装置及び通信方法 図000004
  • 特開2020027997-通信装置及び通信方法 図000005
  • 特開2020027997-通信装置及び通信方法 図000006
  • 特開2020027997-通信装置及び通信方法 図000007
  • 特開2020027997-通信装置及び通信方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-27997(P2020-27997A)
(43)【公開日】2020年2月20日
(54)【発明の名称】通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/04 20090101AFI20200124BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20200124BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20200124BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20200124BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20200124BHJP
   H04B 1/401 20150101ALI20200124BHJP
   H04B 1/00 20060101ALI20200124BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20200124BHJP
【FI】
   H04W72/04 131
   H04B7/06 890
   H04W88/02 140
   H04W88/06
   H04M1/00 R
   H04B1/401
   H04B1/00 264
   H04B7/0413
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-151273(P2018-151273)
(22)【出願日】2018年8月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】早川 宜延
【テーマコード(参考)】
5K011
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K011DA01
5K011JA01
5K067AA13
5K067CC04
5K067EE02
5K067EE04
5K067KK03
5K127AA36
5K127BA03
5K127DA11
5K127DA12
5K127DA15
5K127GA26
5K127GA29
5K127GA30
5K127HA11
5K127JA04
5K127JA07
5K127MA38
5K127NA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通信内容や通信環境に合わせて共存動作の通信効率を最適化することを目的とする。
【解決手段】通信装置は、第1の通信動作を実行する第1通信回路と、第2の通信動作を実行する第2通信回路と、第1通信回路及び第2通信回路に接続可能な第1アンテナと、第2通信回路に接続可能な第2アンテナと、制御する制御回路と、を備える。第2通信回路は、単アンテナ通信と、多アンテナ通信と、を実行可能である。第1通信回路及び第2通信回路は、第1の通信動作と第2の通信動作とを時分割で切替える共存動作を実行可能である。制御回路は、共存動作を実行する場合、単アンテナ通信の通信効率と、多アンテナ通信の通信効率と、に基づいて、第2の通信動作として単アンテナ通信及び多アンテナ通信のいずれを実行するかを選択する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信規格により第1の通信動作を実行する第1通信回路と、
前記第1の無線通信規格とは異なる第2の無線通信規格により第2の通信動作を実行する第2通信回路と、
前記第1通信回路及び前記第2通信回路に接続可能な第1アンテナと、
前記第2通信回路に接続可能な第2アンテナと、
前記第1通信回路及び前記第2通信回路を制御する制御回路と、
を備え、
前記第2通信回路は、前記第2の通信動作として、前記第2アンテナを利用した単アンテナ通信と、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを利用した多アンテナ通信と、を実行可能であり、
前記第1通信回路及び前記第2通信回路は、前記第1の通信動作と前記第2の通信動作とを時分割で切替える共存動作を実行可能であり、
前記制御回路は、前記共存動作を実行する場合、前記単アンテナ通信の通信効率と、前記多アンテナ通信の通信効率と、に基づいて、前記第2の通信動作として前記単アンテナ通信及び前記多アンテナ通信のいずれを実行するかを選択する
通信装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第2の通信動作における前記単アンテナ通信の通信効率が前記多アンテナ通信の通信効率より高い場合、前記第2の通信動作として前記単アンテナ通信を実行すると選択し、前記第2の通信動作における前記単アンテナ通信の通信効率が前記多アンテナ通信の通信効率より低い場合、前記第2の通信動作として前記多アンテナ通信を実行すると選択する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信効率は、前記第2の通信動作の実行時間と、前記第1アンテナの接続切替に伴う時間ロスと、前記第2の通信動作のデータ転送レートと、に基づいて算出される
請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御回路が選択した前記第2の通信動作が、実行中の前記第2の通信動作と異なる場合、前記第2通信回路は、実行中の前記第2の通信動作を終了し、前記制御回路が選択した前記第2の通信動作を再開する
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記共存動作を実行する場合、前記第2の通信動作が前記多アンテナ通信であるときの前記第2の通信動作の時間配分を、前記第2の通信動作が前記単アンテナ通信であるときの前記第2の通信動作の時間配分より大きくする
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記単アンテナ通信は、SISO通信及びSIMO通信を含み、
前記多アンテナ通信はMIMO通信及びMISO通信を含む
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
第1の無線通信規格により第1の通信動作を実行する第1通信回路と、
前記第1の無線通信規格とは異なる第2の無線通信規格により第2の通信動作を実行する第2通信回路と、
前記第1通信回路及び前記第2通信回路に接続可能な第1アンテナと、
前記第2通信回路に接続可能な第2アンテナと、
前記第1通信回路及び前記第2通信回路を制御する制御回路と、
を備えた通信装置の通信方法であって、
前記第2通信回路は、前記第2の通信動作として、前記第2アンテナを利用した単アンテナ通信と、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを利用した多アンテナ通信と、を実行可能であり、
前記第1通信回路及び前記第2通信回路は、前記第1の通信動作と前記第2の通信動作とを時分割で切替える共存動作を実行可能であり、
前記制御回路は、前記共存動作を実行する場合、前記単アンテナ通信の通信効率と、前記多アンテナ通信の通信効率と、に基づいて、前記第2の通信動作として前記単アンテナ通信及び前記多アンテナ通信のいずれを実行するかを選択する
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第1の無線通信規格による第1の通信動作と、第2の無線通信規格による第2の通信動作と、を時分割で切替えることにより、2種類の通信動作を共存させる通信動作(以下「共存動作」という。)を実行可能な通信装置が実用化されている。このような通信装置として、第1及び第2の通信動作で共用される共用アンテナと、第2の通信動作でのみ利用される専用アンテナと、を備えたものが提案されている。この通信装置は、共用アンテナを利用して第1の通信動作を実行し、共用アンテナ及び専用アンテナを利用して第2の通信動作を実行することにより、共存動作を実行しつつ、第2の通信動作としてMIMO(Multi Input Multi Output)通信を実行することができる。MIMO通信とは、複数のアンテナを利用した通信(多アンテナ通信)の一種であり、空間多重の原理を用いることにより、SISO通信等の1つのアンテナを利用した通信(単アンテナ通信)と比較して、通信効率を高め易いという特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−005195号公報
【特許文献2】特開2014−131284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、共存動作とMIMO通信を同時に実行する場合、共用アンテナの接続切替等が原因となって、第1の通信動作と第2の通信動作との時分割切替えに伴う時間ロス(データ転送を実行できない時間)が生じる。この時間ロスに伴い、通信内容(アプリケーションの種類、ストリーム配信の有無、データのフォーマットや圧縮方式、データ再送信の要否等)や、通信環境(電波の干渉の有無、受信信号強度等)によっては、MIMO通信であるにもかかわらず、SISO通信の場合より通信効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、通信内容や通信環境に合わせて共存動作の通信効率を最適化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る通信装置は、第1の無線通信規格により第1の通信動作を実行する第1通信回路と、前記第1の無線通信規格とは異なる第2の無線通信規格により第2の通信動作を実行する第2通信回路と、前記第1通信回路及び前記第2通信回路に接続可能な第1アンテナと、前記第2通信回路に接続可能な第2アンテナと、前記第1通信回路及び前記第2通信回路を制御する制御回路と、を備え、前記第2通信回路は、前記第2の通信動作として、前記第2アンテナを利用した単アンテナ通信と、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを利用した多アンテナ通信と、を実行可能であり、前記第1通信回路及び前記第2通信回路は、前記第1の通信動作と前記第2の通信動作とを時分割で切替える共存動作を実行可能であり、前記制御回路は、前記共存動作を実行する場合、前記単アンテナ通信の通信効率と、前記多アンテナ通信の通信効率と、に基づいて、前記第2の通信動作として前記単アンテナ通信及び前記多アンテナ通信のいずれを実行するかを選択する通信装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明の各実施形態によれば、通信内容や通信環境に合わせて共存動作の通信効率を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】通信装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図2】第1の共存動作の一例を示すタイミングチャート。
図3】第2の共存動作の一例を示すタイミングチャート。
図4】第2の通信動作の通信効率の一例を示す表。
図5】共存動作の一例を示すフローチャート。
図6】通信装置に設定された実行時間T2、時間ロスTL、及びデータ転送レートDTRの一例を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重畳した説明を省略する。
【0010】
一実施形態に係る通信装置1について、図1図6を参照して説明する。本実施形態に係る通信装置1は、共存動作(第1の無線通信規格による通信動作と、第2の無線通信規格による通信動作と、を時分割で切替える通信動作)を実行可能な通信装置である。
【0011】
まず、通信装置1のハードウェア構成について説明する。図1は、通信装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。図1の通信装置1は、第1通信回路11と、第2通信回路12と、制御回路13と、第1アンテナA1と、第2アンテナA2と、スイッチ回路14と、を備える。
【0012】
第1通信回路11は、第1の無線通信規格により、通信相手となる対向端末2との間で通信動作を実行する回路である。第1通信回路11が実行する通信動作を第1の通信動作と称する。また、第1の通信動作の実行時間を、実行時間T1と称する。第1の無線通信規格は、例えば、Bluetooth(登録商標)(以下「BT」という。)等の近距離無線通信、Wi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)等のWLAN(Wireless Local Area Network)、又はLTE等の移動体通信であるが、これに限られない。また、対向端末2は、第1の無線通信規格により通信可能な任意の通信装置で有り得る。
【0013】
第2通信回路12は、第2の無線通信規格により、通信相手となる対向端末2との間で通信動作を実行する回路である。第2通信回路12が実行する通信動作を第2の通信動作と称する。また、第2の通信動作の実行時間を、実行時間T2と称する。第2の無線通信規格は、多アンテナ通信を実行可能であり、且つ、第1の無線通信規格とは異なる任意の無線通信規格で有り得る。第2の無線通信規格は、例えば、Wi−Fi、WiMAX等のWLAN、又はLTE等の移動体通信であるが、これに限られない。また、対向端末2は、第2の無線通信規格により通信可能な任意の通信装置で有り得る。なお、第1通信回路11及び第2通信回路12は、それぞれ異なる対向端末と通信してもよい。
【0014】
制御回路13は、第1通信回路11、第2通信回路12、及びスイッチ回路14を制御する回路である。制御回路13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、第1通信回路11及び第2通信回路12と接続するための接続インタフェース、及びフラッシュメモリなどの補助記憶装置を備える。CPUがROMなどに記憶されたプログラムをRAM上で実行することにより、制御回路13の機能が実現される。制御回路13の動作については後述する。
【0015】
第1アンテナA1は、第1通信回路11及び第2通信回路12に接続可能なアンテナである。第1アンテナA1は、第1通信回路11又は第2通信回路12に、スイッチ回路14を介して接続され、無線信号を送受信する。すなわち、第1アンテナA1は、第1の通信動作及び第2の通信動作で共用される共用アンテナに相当する。
【0016】
第2アンテナA2は、第2通信回路12に接続可能なアンテナである。第2アンテナA2は、第2通信回路12に、スイッチ回路14を介して接続され、無線信号を送受信する。すなわち、第2アンテナA2は、第2の通信動作のみで利用される専用アンテナに相当する。
【0017】
スイッチ回路14は、第1アンテナA1と、第1通信回路11及び第2通信回路12と、の間を接続及び接続解除し、第2アンテナA2と、第2通信回路12と、の間を接続又は接続解除する。スイッチ回路14による接続及び接続解除は、制御回路13により制御される。本実施形態では、第1アンテナA1と第1通信回路11とが接続されている時には、第1アンテナA1と第2通信回路12との間の接続が解除され、第1アンテナA1と第2通信回路12とが接続されている時には、第1アンテナA1と第1通信回路11との間の接続が解除されるように、スイッチ回路14が制御されるが、これに限られない。
【0018】
なお、通信装置1のハードウェア構成は図1の例に限られない。例えば、図1の例では、第1通信回路11及び第2通信回路12がそれぞれ独立した通信モジュールである場合を想定しているが、第1通信回路11及び第2通信回路12は、一体化された通信モジュールであってもよい。また、第1通信回路11及び第2通信回路12は、それぞれの機能がソフトウェア上で規定されるコグニティブ無線のような通信回路であってもよい。また、図1の例では、1つの制御回路13により、第1通信回路11及び第2通信回路12が制御される場合を想定しているが、第1通信回路11及び第2通信回路12は、それぞれ独立した2つの制御回路により制御され、2つの制御回路が連携することにより、制御回路13の機能が実現されてもよい。また、第2アンテナA2と第2通信回路12との間は、スイッチ回路14を介さずに、常時接続されていてもよい。
【0019】
次に、通信装置1の動作について説明する。本実施形態において、第1通信回路11は第1の通信動作として単アンテナ通信を実行可能であり、第2通信回路12は第2の通信動作として単アンテナ通信及び多アンテナ通信を実行可能である。単アンテナ通信は、1つのアンテナを利用した通信であり、SISO(Single Input Single Output)による通信(以下「SISO通信」という。)及びSIMO(Single Input Multi Output)による通信(以下「SIMO通信」という。)を含む。多アンテナ通信は、複数のアンテナを利用した通信であり、MIMO(Multi Input Multi Output)による通信(以下「MIMO通信」という。)及びMISO(Multi Input Single Output)による通信(以下「MISO通信」という。)を含む。MIMO通信は、空間多重の原理を用いることにより、SISO通信等の単アンテナ通信と比較して、通信効率を高め易いという特徴を有している。以下、単アンテナ通信がSISO通信、多アンテナ通信がMIMO通信である場合を例に説明する。
【0020】
通信装置1が第1の通信動作のみを実行する場合、制御回路13は、スイッチ回路14により、第1通信回路11と第1アンテナA1とを接続し、第1通信回路11に第1の通信動作としてSISO通信を実行させる。
【0021】
一方、通信装置1が第2の通信動作のみを実行する場合、制御回路13は、スイッチ回路14により、第2通信回路12と第2アンテナA2とを接続し、第2通信回路12に第2の通信動作としてSISO通信を実行させることができる。また、通信装置1が第2の通信動作のみを実行する場合、制御回路13は、スイッチ回路14により、第2通信回路12と第1アンテナA1及び第2アンテナA2とを接続し、第2通信回路12に第2の通信動作としてMIMO通信を実行させることもできる。通信装置1が第2の通信動作のみを実行する場合、制御回路13は、対向端末2とのネゴシエーションにより、第2の通信動作としてSISO通信及びMIMO通信のいずれを実行するかを決定すればよい。
【0022】
これに対して、通信装置1が第1の通信動作及び第2の通信動作の両方を実行する、すなわち、共存動作を実行する場合、制御回路13は、通信動作の周期Tを実行時間T1,T2に分割し、第1通信回路11及び第2通信回路12に第1の通信動作及び第2の通信動作を交互に実行させる。第2の通信動作がSISO通信である共存動作を第1の共存動作、第2の通信動作がMIMO通信である共存動作を第2の共存動作と称する。
【0023】
通信装置1が第1の共存動作を実行する場合、制御回路13は、スイッチ回路14により、第1通信回路11と第1アンテナA1とを接続し、第2通信回路12と第2アンテナA2とを接続する。そして、制御回路13は、実行時間T1の間、第1通信回路11に第1の通信動作としてSISO通信を実行させ、実行時間T2の間、第2通信回路12に第2の通信動作としてSISO通信を実行させる。
【0024】
図2は、第1の共存動作の一例を示すタイミングチャートである。図2の例では、第1の無線通信規格が2.4GHzのBTであり、第2の無線通信規格が2.4GHzのWLANである場合を想定している。また、実行時間T1,T2の時間配分は均等(5:5)である。通信装置1は、第1の共存動作をこのように実行することにより、第1の通信動作と第2の通信動作とを干渉させることなく、同時に実行することができる。
【0025】
一方、通信装置1が第2の共存動作を実行する場合、制御回路13は、実行時間T1の間、スイッチ回路14により、第1通信回路11と第1アンテナA1とを接続し、第1通信回路11に第1の通信動作を実行させる。また、制御回路13は、実行時間T2の間、スイッチ回路14により、第2通信回路12と第1アンテナA1及び第2アンテナA2とを接続し、第2通信回路12に第2の通信動作としてMIMO通信を実行させる。一般に、MIMO通信はSISO通信より通信効率が高いため、第2の通信動作によりストリーミング配信や音声通話のような高い通信効率がもとめられる通信を実行する場合に、制御回路13は、第2の共存動作を選択する。なお、ここでいう通信効率は、1周期の間に転送可能なデータ量を示す指標である。
【0026】
図3は、第2の共存動作の一例を示すタイミングチャートである。図3の例では、第1の無線通信規格が2.4GHzのBTであり、第2の無線通信規格が2.4GHzのWLANである場合を想定している。また、実行時間T1,T2の時間配分は均等(5:5)である。通信装置1は、第2の共存動作をこのように実行することにより、第1の通信動作と第2の通信動作とを干渉させることなく、同時に実行することができる。
【0027】
図3からわかるように、第2の共存動作では、スイッチ回路14により、共用アンテナである第1アンテナA1の接続先を、第1通信回路11と第2通信回路12との間で切替えるので、第1アンテナA1の接続切替等が原因となって、第1の通信動作と第2の通信動作との時分割切替えに伴う時間ロスが生じる。このため、第2の共存動作では、実行時間T1,T2におけるデータ転送のために利用できる時間が、第1の共存動作より短くなる。この結果、通信内容に応じて共存動作(第2の通信動作)を機械的に選択すると、通信内容(アプリケーションの種類、ストリーム配信の有無、データのフォーマットや圧縮方式、データ再送信の要否等)や、通信環境(電波の干渉の有無、受信信号強度等)によっては、第2の通信動作の通信効率を高めるために第2の共存動作を選択したにもかかわらず、第1の共存動作を利用した場合より第2の通信動作の通信効率が低下するおそれがある。
【0028】
ここで、図4は、第2の通信動作の通信効率の一例を示す表である。図4における「T1:T2」は、実行時間T1,T2の時間配分、「T2」は周期Tを1とした場合の実行時間T2の値、「TL」は周期Tを1とした場合の第1アンテナA1の接続切替に伴う時間ロス、「DTR」はSISO通信のデータ転送レートを1とした場合の第2の通信動作のデータ転送レート、「E」はE=DTR×(T2−TL)として算出される第2の通信動作の通信効率の指標である。T2−TLは、実行時間T2におけるデータ転送に利用できる時間に相当する。
【0029】
共存動作が第1の共存動作(第2の通信動作がSISO通信)である場合、第1アンテナA1の接続切替が行われないため、時間ロスTLは0となる。したがって、図4に示すように、時間配分T1:T2が5:5である場合、通信効率Eは0.5(=1.0×(0.5−0.0))となる。
【0030】
一方、共存動作が第2の共存動作(第2の通信動作がMIMO通信)である場合、第1アンテナA1の接続切替が行われるため、時間ロスTLが発生する。また、MIMO通信時のデータ転送レートDTRは、常に一定ではなく、通信内容や通信環境によって変化する。図4の例では、時間ロスTLは一律0.2であり、データ転送レートDTRは1.5又は2.0である。したがって、図4に示すように、時間配分T1:T2が5:5であり、データ転送レートDTRが1.5である場合、通信効率Eは0.45(=1.5×(0.5−0.2))となる。同様に、時間配分T1:T2が5:5であり、データ転送レートDTRが2.0である場合、通信効率Eは0.6(=2.0×(0.5−0.2))となる。
【0031】
このように、通信装置1が共存動作を実行する場合、第2の通信動作のデータ転送レートによっては、第2の通信動作がMIMO通信である場合の通信効率E(MIMO通信の通信効率E)が、第2の通信動作がSISO通信である場合の通信効率E(SISO通信の通信効率E)より低くなることが有り得る。
【0032】
そこで、本実施形態では、通信装置1が共存動作を実行する場合、制御回路13は、SISO通信の通信効率Eと、MIMO通信の通信効率Eと、に基づいて、第2の通信動作としてSISO通信及びMIMO通信のいずれを実行するかを選択する。具体的には、制御回路13は、SISO通信及びMIMO通信の通信効率Eをそれぞれ算出し、SISO通信の通信効率EがMIMO通信の通信効率Eより高い場合、第2の通信動作としてSISO通信を実行すると選択し、SISO通信の通信効率EがMIMO通信の通信効率Eより低い場合、第2の通信動作としてMIMO通信を実行すると選択する。第2の通信動作の選択は、共存動作の開始時に行なわれてもよいし、共存動作における通信内容の変化時に行われてもよいし、共存動作の実行中に定期的に行われてもよい。制御回路13は、選択した第2の通信動作を第2通信回路12に実行させる。
【0033】
上述の通り、通信効率Eは、実行時間T2と、時間ロスTLと、データ転送レートDTRと、に基づいて算出される。各通信条件での実行時間T2(時間配分T1:T2)は、設定値として、制御回路13のROMなどに記憶される。各通信条件での時間ロスTLと、データ転送レートDTRと、は例えば、第2の通信動作の通信内容(アプリケーションの種類、ストリーム配信の有無、データのフォーマットや圧縮方式、データ再送信の要否等)と、通信装置1と対向端末2との間通信環境(電波の干渉の有無、受信信号強度等)と、のうちの少なくとも1つと対応付けて計算された予測値が予め設定され、制御回路13のROMなどに記憶される。なお、MIMO通信のデータ転送レートDTRの予測値は、SISO通信の標準的な通信動作でのデータ転送レートDTRを1とした場合の相対的な値として設定される。
【0034】
制御回路13は、SISO通信の実行時間T2と、時間ロスTL(=0)と、データ転送レートDTR(=1)と、に基づいて、SISO通信の通信効率Eを算出する。また、制御回路13は、第2の通信動作の通信内容や、通信装置1と対向端末2との間通信環境に基づいて、MIMO通信のデータ転送レートDTR(予測値)を選択し、当該データ転送レートDTRと、MIMO通信の実行時間T2と、時間ロスTLと、に基づいて、MIMO通信の通信効率Eを算出する。制御回路13は、こうして算出したSISO通信及びMIMO通信の通信効率Eを比較することにより、第2の通信動作としてSISO通信を実行するかMIMO通信を実行するか選択することができる。
【0035】
なお、SISO通信の時間ロスTLは、時分割に伴うアンテナの接続切替以外の理由による時間ロスを考慮して、0より大きい値に設定されてもよい。また、SISO通信のデータ転送レートDTRは、MIMO通信のデータ転送レートDTRと同様に、第2の通信動作の通信内容等と対応付けて予測値が設定されてもよい。
【0036】
また、共存動作における第2の通信動作がMIMO通信である場合の実行時間T2の時間配分は、第2の通信動作がSISO通信である場合の実行時間T2の時間配分より、大きくなるように設定されてもよい。例えば、図4に示すように、T1:T2が5:5であり、データ転送レートDTRが1.5である場合、MIMO通信の通信効率Eは0.45となる。これに対して、T1:T2が4:6であり、データ転送レートDTRが1.5である場合、MIMO通信の通信効率Eは0.6となる。このように、実行時間T2の時間配分を大きくすることにより、MIMO通信の通信効率Eを高めることができる。
【0037】
ここで、図5は、共存動作の一例を示すフローチャートである。図5の処理の開始時点で、共存動作は実行中であるものとする。
【0038】
制御回路13は、共存動作の実行中、第2の通信動作の選択タイミングが到来したか定期的に確認する(ステップS101)。選択タイミングが到来していない場合(ステップS101:NO)、制御回路13は、第1通信回路11及び第2通信回路12に第1の通信動作及び第2の通信動作を交互に実行させ、対向端末2との共存動作を実行する(ステップS107)。
【0039】
一方、選択タイミングが到来した場合(ステップS101:NO)、制御回路13は、SISO通信の通信効率Eと、MIMO通信の通信効率Eと、をそれぞれ算出する(ステップS102)。選択タイミングが通信内容の変化時である場合、制御回路13は、新たに開始される通信内容(例えば、ストリーム配信)などに応じた通信効率Eを算出すればよい。これは、選択タイミングが共存動作の開始時である場合も同様である。また、選択タイミングが定期的に到来する場合、制御回路13は、現在実行中の通信内容(例えば、ストリーム配信)などに応じた通信効率Eを算出すればよい。通信効率Eの算出方法は上述の通りである。
【0040】
次に、制御回路13は、SISO通信の通信効率Eと、MIMO通信の通信効率Eと、を比較し、第2の通信動作を選択する(ステップS103)。制御回路13は、SISO通信の通信効率EがMIMO通信の通信効率Eより高い場合、第2の通信動作としてSISO通信を選択し、SISO通信の通信効率EがMIMO通信の通信効率Eより低い場合、第2の通信動作としてMIMO通信を選択する。
【0041】
続いて、制御回路13は、選択した第2の通信動作が、現在実行中の第2の通信動作と同一であるか確認する(ステップS104)。選択した第2の通信動作と現在実行中の第2の通信動作とが同一である場合(ステップS104:YES)、制御回路13は、第1通信回路11及び第2通信回路12に第1の通信動作及び第2の通信動作を交互に実行させ、対向端末2との共存動作を実行する(ステップS107)。
【0042】
一方、選択した第2の通信動作と現在実行中の第2の通信動作とが異なる場合(ステップS104:NO)、制御回路13は、第2の通信動作を終了し、第2通信回路12と対向端末2との接続を解除し(ステップS105)、第2通信回路12と対向端末2とが選択された第2の通信動作を実行可能なように再接続し(ステップS106)、第2の通信動作を再開する。現在実行中の第2の通信動作と、選択された第2の通信動作と、に設定された実行時間T1,T2の時間配分が異なる場合、制御回路13は、実行時間T1,T2の時間配分も変更する。
【0043】
その後、制御回路13は、第1通信回路11及び第2通信回路12に第1の通信動作及び第2の通信動作を交互に実行させ、対向端末2との共存動作を実行する(ステップS107)。
【0044】
制御回路13は、第1の通信動作及び第2の通信動作のいずれかが終了するまでステップS101〜S107の処理を繰り返し実行する。第1の通信動作及び第2の通信動作のいずれかが終了した場合、制御回路13は、終了した通信動作に対応する対向端末2との接続を解除し、共存動作を終了する(ステップS109)。具体的には、第2の通信動作が終了した場合、制御回路13は、第2通信回路12と対向端末2との接続を解除し、第1通信回路11と対向端末2との間の第1の通信動作を継続する。また、第1の通信動作が終了した場合、制御回路13は、第1通信回路11と対向端末2との接続を解除し、第2通信回路12と対向端末2との間の第2の通信動作を継続する。
【0045】
なお、第2の通信動作がSISO通信である場合、制御回路13は、第1の通信動作を終了するタイミングで、第2通信回路12と対向端末2との接続を解除し、第2通信回路12と対向端末2とが第2の通信動作としてMIMO通信を実行可能なように再接続してもよい。これにより、共存動作における第2の通信動作としてSISO通信が実行されていた場合であっても、第2の通信動作が単独で実行される際には、第2の通信動作としてMIMO通信を実行することができる。第2の通信動作が単独で実行される場合、SISO通信よりMIMO通信の通信効率Eの方が高くなるため、第2の通信動作の通信効率Eを高めることができる。
【0046】
ここで、共存動作の具体例を説明する。図6は、通信装置1に設定された実行時間T2、時間ロスTL、及びデータ転送レートDTRの一例を示す表である。図6の例では、データ転送レートDTRは通信内容ごとに設定されている。また、図6におけるデータ通信は、ストリーム配信及び音声通話を除くデータ通信である。以下では、選択タイミングは通信内容の変化時であり、通信装置1は第1の共存動作を実行中であるものとする。
【0047】
通信装置1が第1の共存動作の実行中に通信内容が変化すると(ステップS101:YES)、制御回路13は、SISO通信及びMIMO通信の通信効率Eをそれぞれ算出する(ステップS102)。新たに開始される通信内容がストリーム配信である場合、図6の例では、SISO通信の通信効率Eは0.5となり、MIMO通信の通信効率Eは0.6となるため、制御回路13は、第2の通信動作としてMIMO通信を選択する(ステップS103)。実行中の第2の通信動作(SISO通信)と選択された第2の通信動作(MIMO通信)とは異なるため(ステップS104:NO)、制御回路13は、第2の通信動作を終了し、第2通信回路12と対向端末2との接続を解除し(ステップS105)、第2通信回路12と対向端末2とがMIMO通信を実行可能なように再接続し(ステップS106)、MIMO通信により第2の通信動作を再開する。また、制御回路13は、実行時間T2を0.6(時間配分T1:T2を4:6)に変更する。以降、制御回路13は、第2の共存動作を実行する(ステップS107)。
【0048】
一方、新たに開始される通信内容がデータ通信である場合、図6の例では、SISO通信の通信効率Eは0.5となり、MIMO通信の通信効率Eは0.4となるため、制御回路13は、第2の通信動作としてSISO通信を選択する(ステップS103)。実行中の第2の通信動作(SISO通信)と選択された第2の通信動作(SISO通信)とは同一であるため(ステップS104:YES)、制御回路13は、第2の通信動作としてSISO通信を継続し、第1の共存動作を実行する(ステップS107)。実行時間T2は0.5(時間配分T1:T2は5:5)のままである。
【0049】
以上説明した通り、本実施形態によれば、通信装置1では、第1の通信動作と第2の通信動作とを時分割で切替える共存動作を実行する場合、制御回路13が、単アンテナ通信の通信効率Eと、多アンテナ通信の通信効率Eと、に基づいて、第2の通信動作として単アンテナ通信及び多アンテナ通信のいずれを実行するかを選択するので、通信効率Eが高い第2の通信動作を選択して実行でき、それによって、通信内容や通信環境に合わせて共存動作の通信効率を最適化することができる。そして、通信効率Eを考慮せずに第2の通信動作が選択される従来の通信装置に比べて、共存動作における第2の通信動作の通信効率Eを高め、共存動作全体の通信効率を高めることができる。結果として、第2の通信動作として、ストリーム配信や音声通話などの通信負荷が高い通信内容を実行する場合であっても、パケットロスを抑制し、画像や音声の欠落を抑制することができる。
【0050】
具体的には、本実施形態において、制御回路13は、第2の通信動作における単アンテナ通信の通信効率Eが多アンテナ通信の通信効率Eより高い場合、第2の通信動作として単アンテナ通信を実行すると選択し、第2の通信動作における単アンテナ通信の通信効率Eが多アンテナ通信の通信効率Eより低い場合、第2の通信動作として多アンテナ通信を実行すると選択する。制御回路13が、このような選択を行うことによって、MIMO通信のような単アンテナ通信を選択したにもかかわらず、SISO通信のような単アンテナ通信の場合より通信効率Eが低下するケースを避けることができ、共存動作の通信効率を最適化し易くなる。
【0051】
また、本実施形態において、通信効率Eは、第1の通信動作と第2の通信動作との時分割切替えに伴う時間ロスTLと、第2の通信動作のデータ転送レートDTRと、に基づいて、E=DTR×(T2−TL)として算出される。このような通信効率Eの算出方法により、共用アンテナである第1アンテナA1の接続切替を時分割で行う場合の共存動作の通信効率Eを、実行時間T2と、時間ロスTLと、データ転送レートDTRと、に基づいて、的確に算出することができる。
【0052】
なお、通信効率Eの算出において、通信装置1が、干渉の有無や対向端末2からの電波の受信強度を検出する検出回路を更に有し、この検出回路の検出結果に基づいて、第2の通信動作のデータ転送レートDTRを設定すれば、更に的確に通信効率Eを算出することができる。
【0053】
また、本実施形態において、制御回路13が選択した第2の通信動作が、実行中の第2の通信動作と異なる場合、第2通信回路12は、実行中の第2の通信動作を終了し、制御回路13が選択した第2の通信動作を再開しても構わない。このような方法を行うことにより、第1共存動作から第2共存動作への切替動作や、第2共存動作から第1共存動作への切替動作を円滑に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態において、制御回路13は、共存動作を実行する場合、第2の通信動作が多アンテナ通信であるときの第2の通信動作の時間配分を、第2の通信動作が単アンテナ通信であるときの第2の通信動作の時間配分より大きくしても構わない。このような方法を行うことにより、多アンテナ通信の通信効率Eを改善することができ、より柔軟な通信動作の選択が可能になる。
【0055】
また、本実施形態において、単アンテナ通信は、SISO通信及びSIMO通信を含み、多アンテナ通信はMIMO通信及びMISO通信を含むことが望ましい。多アンテナ通信がMIMO通信やMISO通信である場合には、共用アンテナである第1アンテナA1の接続切替を時分割で行なう必要があるため、本実施形態のように共存動作の通信効率を最適化することによる効果が特に顕著になる。そして、多アンテナ通信において、MIMO通信とMISO通信とを選択可能である場合には、多アンテナ通信がMIMO通信かMISO通信かによって、データ転送レートDTRが異なる可能性が高いので、本実施形態のように共存動作の通信効率を最適化することによる効果が更に顕著になる。
【0056】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0057】
1:通信装置
2:対向端末
11:第1通信回路
12:第2通信回路
13:制御回路
14:スイッチ回路
A1:第1アンテナ
A2:第2アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6