特開2020-31208(P2020-31208A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-31208(P2020-31208A)
(43)【公開日】2020年2月27日
(54)【発明の名称】コイル電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/26 20060101AFI20200131BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20200131BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20200131BHJP
【FI】
   H01F1/26
   H01F17/04 F
   H01F41/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-83406(P2019-83406)
(22)【出願日】2019年4月24日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0097772
(32)【優先日】2018年8月22日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0155329
(32)【優先日】2018年12月5日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュン ロク
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ビョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、チャン ハク
(72)【発明者】
【氏名】イェオ、ジェオン グ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン イル
【テーマコード(参考)】
5E041
5E070
【Fターム(参考)】
5E041AA01
5E041AA02
5E041AA07
5E041AA19
5E041BB05
5E041BC01
5E041BD12
5E041CA02
5E041HB14
5E041HB17
5E041NN05
5E041NN06
5E070BB03
5E070CB02
5E070CB06
5E070CB12
5E070DA13
5E070EA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本体に含まれる導電性粒子の絶縁特性の向上により降伏電圧特性を改善したコイル電子部品を提供する。
【解決手段】コイル電子部品は、コイル部が埋設され、複数の磁性粒子111を含む本体101と、コイル部と接続された外部電極と、を含み、複数の磁性粒子111のうち少なくとも一部の粒子は、表面に形成された第1層112及び第1層112の表面に形成された第2層113を含む。第1層112は、P成分を含む無機コーティング層であり、第2層113は原子層蒸着層である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル部が埋設され、複数の磁性粒子を含む本体と、
前記コイル部と接続された外部電極と、を含み、
前記複数の磁性粒子のうち少なくとも一部の粒子は、表面に形成された第1層、及び前記第1層の表面に形成された第2層を含み、
前記第1層はP成分を含む無機コーティング層であり、
前記第2層は原子層蒸着層である、コイル電子部品。
【請求項2】
前記第1層の厚さは10〜15nmである、請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項3】
前記第2層の厚さは10〜15nmである、請求項1または2に記載のコイル電子部品。
【請求項4】
前記第1層及び第2層の合計厚さは20〜30nmである、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項5】
前記第1層及び第2層は互いに異なる物質からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項6】
前記第2層の表面に形成された第3層をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項7】
前記第3層は前記第1層と同一の物質からなる、請求項6に記載のコイル電子部品。
【請求項8】
前記第3層はP成分を含む無機コーティング層である、請求項6または7に記載のコイル電子部品。
【請求項9】
前記第2層はアルミナ(Al)及びシリカ(SiO)のうち少なくとも一つの成分を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項10】
前記複数の磁性粒子は、複数の第1粒子、及び前記複数の第1粒子よりもサイズが小さい複数の第2粒子を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項11】
前記複数の第1粒子はFe系合金からなる、請求項10に記載のコイル電子部品。
【請求項12】
前記複数の第1粒子は直径が10〜25μmである、請求項10または11に記載のコイル電子部品。
【請求項13】
前記複数の第2粒子は純鉄からなる、請求項10から12のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項14】
前記複数の第2粒子は直径が5μm以下である、請求項10から13のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルTV、モバイルフォン、ノートブックなどのような電子機器の小型化及び薄型化に伴い、かかる電子機器に適用されるコイル部品にも小型化及び薄型化が求められている。また、このようなニーズに符合するために、多様な形態の巻線型又は薄膜型のコイル部品に対する研究開発が活発に行われている。
【0003】
コイル電子部品の小型化及び薄型化による主なイシューは、かかる小型化及び薄型化にもかかわらず、従来と同一の特性を実現することである。このような要求を満たすためには、磁性物質が充填されるコアにおける磁性物質の割合を増加させる必要があるが、インダクタ本体の強度、絶縁性に応じた周波数特性の変化などの理由でその割合を増加させるには限界がある。
【0004】
コイル電子部品を製造するために、一例として、磁性粒子や樹脂などを混合したシートをコイルに積層した後、加圧して本体を実現する方法が用いられている。かかる磁性粒子としては、フェライトや金属などを用いることができる。金属磁性粒子を用いる場合には、コイル電子部品の透磁率特性などの面において粒子の含有量を増加させることが有利であるが、この場合、本体の絶縁性が低下して降伏電圧(breakdown voltage)特性が低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの目的の一つは、本体の絶縁特性、具体的には、本体に含まれる導電性粒子の絶縁特性の向上により降伏電圧特性を改善したコイル電子部品を提供することである。かかるコイル電子部品の場合、本体の絶縁性が向上するため、磁気的特性の向上及び小型化に有利となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は、一実施形態を通じてコイル電子部品の新規の構造を提案する。具体的には、コイル部が埋設され、複数の磁性粒子を含む本体と、上記コイル部と接続された外部電極と、を含み、上記複数の磁性粒子のうち少なくとも一部の粒子は、表面に形成された第1層、及び上記第1層の表面に形成された第2層を含み、上記第1層はP成分を含む無機コーティング層であり、上記第2層は原子層蒸着層である。
【0007】
一実施形態において、上記第1層の厚さは10〜15nmであってもよい。
【0008】
一実施形態において、上記第2層の厚さは10〜15nmであってもよい。
【0009】
一実施形態において、上記第1層及び第2層の合計厚さは20〜30nmであってもよい。
【0010】
一実施形態において、上記第1層及び第2層は互いに異なる物質からなることができる。
【0011】
一実施形態において、上記第2層の表面に形成された第3層をさらに含むことができる。
【0012】
一実施形態において、上記第3層は上記第1層と同一の物質からなることができる。
【0013】
一実施形態において、上記第3層はP成分を含む無機コーティング層であってもよい。
【0014】
一実施形態において、上記第2層は、アルミナ(Al)及びシリカ(SiO)のうち少なくとも一つの成分を含むことができる。
【0015】
一実施形態において、上記複数の磁性粒子は、複数の第1粒子、及び上記第1粒子よりもサイズが小さい複数の第2粒子を含むことができる。
【0016】
一実施形態において、第1粒子はFe系合金からなることができる。
【0017】
一実施形態において、第1粒子は直径が10〜25μmであってもよい。
【0018】
一実施形態において、上記第2粒子は純鉄からなることができる。
【0019】
一実施形態において、上記第2粒子は直径が5μm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によるコイル電子部品の場合、本体の絶縁特性の向上により降伏電圧特性を改善することができる。さらに、磁性粒子の表面に薄いコーティング層を採用することにより小型化に適する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態によるコイル電子部品を示す概略的な透過斜視図である。
図2図1のI−I'線に沿ってコイル電子部品を切断して示した概略断面図である。
図3図1のコイル電子部品における本体の一領域を拡大して示した図である。
図4】変形例によるコイル電子部品における本体の一領域を拡大して示した図である。
図5】変形例によるコイル電子部品における本体の一領域を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0023】
図1は本発明の一実施形態によるコイル電子部品を示す概略的な透過斜視図であり、図2図1のI−I'線に沿ってコイル電子部品を切断して示した概略断面図であり、図3から図5図1のコイル電子部品における本体の一領域を拡大して示した図である。
【0024】
先ず、図1から図3を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル電子部品100は、支持基板102やコイルパターン103などを含む本体101と、外部電極105、106と、を含み、本体101は複数の磁性粒子111を含む。ここで、複数の磁性粒子111のうち少なくとも一部の粒子は第1層112及び第2層113を含み、第1層112はP成分を含む無機コーティング層であり、第2層113は原子層蒸着層である。
【0025】
本体101は、支持基板102及びコイルパターン103の少なくとも一部を封止するとともに、コイル電子部品100の外観をなすことができる。また、本体101は、引き出しパターンLの一部の領域が外部に露出するように形成されることができる。図3に示す形態のように、本体101は、複数の磁性粒子111を含み、かかる磁性粒子111は、絶縁材110の内部に分散されることができる。絶縁材110は、エポキシ樹脂やポリイミドなどの高分子成分を含むことができる。
【0026】
本体101に含まれ得る磁性粒子111としてはフェライトや金属などが挙げられる。磁性粒子111が金属の場合には、例えば、Fe系合金などからなることができる。具体的には、磁性粒子111は、Fe−Si−B−Cr組成のナノ結晶粒合金やFe−Ni系合金などで形成されることができる。複数の磁性粒子111は直径d1が10〜25μmであってもよい。このようにFe系合金で磁性粒子111を実現する場合には透磁率などの磁気特性に優れるものの、静電気放電(ESD、Electrostatic Discharge)には弱いため、本実施形態では、磁性粒子111の表面に多層構造の絶縁層、すなわち、第1層112及び第2層113を形成する。具体的には、複数の磁性粒子111のうち少なくとも一部の粒子は、表面に形成された第1層112、及び上記第1層112の表面に形成された第2層113を含む。
【0027】
第1層112は、P成分を含む無機コーティング層であり、例えば、P系ガラス(glass)であることができる。第1層112に含まれるP系無機コーティング層は、P、Zn、Siなどの成分を含むことができ、かかる成分の酸化物を含むことができる。P系無機コーティング層である第1層112の場合には、磁性粒子111を安定的にコーティングして磁性粒子111を効果的に絶縁させることができるが、厚さを均一に形成することが容易ではなく、かかる厚さの不均一性は第1層112が厚くなるほど顕著になる。これに対し、本実施形態の場合、第1層112は比較的薄く形成されることができ、その厚さt1は10〜15nmであることができる。本実施形態の磁性粒子111の絶縁構造は、第1層112を薄く形成し、その上に絶縁性及び均一性に優れた第2層113を形成した形態である。
【0028】
第2層113は、原子層蒸着層(ALD、Atomic Layer Deposition)である。これにより、磁性粒子111の絶縁性を強化するとともに、多層絶縁構造の増加を最小限に抑えることができる。原子層蒸着とは、反応物の周期的供給及び排出の過程中に表面化学反応によって対象物体の表面を原子層レベルで非常に均一にコーティングできる工程のことである。この方法により得られた第2層113は、厚さが薄くて均一であるため絶縁性に優れる。結果として、本体101内に多量の磁性粒子111が充填される場合であっても、本体101の絶縁性を効果的に確保することができる。P系無機コーティング層である第1層112の場合には、その上にP系無機コーティング層をさらにコーティングすることが難しいが、本実施形態のように、第2層113を原子層蒸着層で形成する場合、追加のコーティング層を容易に形成することができる。第2層113は、第1層112とは異なる物質、例えば、セラミックからなることができる。具体的には、第2層113は、アルミナ(Al)やシリカ(SiO)などを含むことができる。但し、かかる物質以外にも、第2層113は、原子層蒸着で形成し得る様々な物質で形成されることができる。具体的な例として、第2層113は、TiO、ZnO、HfO、Ta、Nb、Sc、Y、MgO、B、GeOなどの物質を含むことができる。また、第2層113は、相対的に薄く形成されて本体101の小型化に有利であり、その厚さt2は10〜15nmであることができる。
【0029】
上述のように、第1層112及び第2層113はそれぞれ10〜15nmであることができ、第1層112及び第2層113の合計厚さ(t1+t2)は20〜30nmであることができる。従来、磁性粒子111の絶縁層は、60nmのレベルで採用された。これに対し、本実施形態は、多層絶縁構造(すなわち、第1層112及び第2層113)が従来の半分のレベルである20〜30nmの厚さを有するため、磁性粒子111が占める体積を増加させることができる。このように、本体101内の磁性粒子111の量を増やすことができるため、従来の絶縁構造に比べてコイル電子部品100の透磁率を向上させることができる。また、原子層蒸着層の形である第2層113をP系無機コーティング層の第1層112上に形成することで、薄い厚さでも優れた絶縁性を得ることができる。このように、磁性粒子111の絶縁性が向上するため、コイル電子部品100の破壊電圧(BDV)の特性を向上させることができる。
【0030】
一方、製造方法の一例に関連し、本体101は、積層工法で形成されることもできる。具体的には、支持基板102上にめっきなどの方法を用いてコイル部103を形成した後、本体101を製造するための単位積層体を複数個設けてからこれを積層する。ここで、上記単位積層体は、金属などの磁性粒子111と、熱硬化性樹脂、バインダー及び溶剤などの有機物を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法でキャリアフィルム(carrier film)上に数十μmの厚さで塗布してから乾燥してシート(sheet)状に製造することができる。これにより、単位積層体は、磁性粒子がエポキシ樹脂又はポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂に分散された形態で製造されることができる。また、磁性粒子111は、上述の形を有することができ、表面には第1層112及び第2層113がコーティングされている。上述した単位積層体を複数個形成し、これを加圧した後、コイル部103の上部及び下部に積層して本体101を実現することができる。
【0031】
支持基板102は、コイル部103を支持する役割を果たし、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板又は金属系軟磁性基板などで形成されることができる。図面に示された形態のように、支持基板102の中央部は貫通されて貫通孔が形成され、かかる貫通孔に本体101が充填されて磁気コア部Cを形成することができる。
【0032】
コイル部103は、本体101の内部に埋設され、コイル電子部品100のコイルから発現される特性により、電子機器内で様々な機能を行う役割を果たす。例えば、コイル電子部品100は、パワーインダクタであってもよく、この場合、コイル部103は、電気を磁場の形で保存して出力電圧を維持し、電源を安定させる役割などを果たすことができる。ここで、コイル部103をなすコイルパターンは、支持基板102の両面上にそれぞれ積層された形態であることができ、支持基板102を貫通する導電性ビアVを介して電気的に連結されることができる。コイル部103は、螺旋(spiral)状に形成されることができる。このような螺旋状のコイル部103の最外側には、外部電極105、106との電気的連結のために、本体101の外部に露出する引き出し部Lが含まれることができる。
【0033】
コイル部103は、支持基板102において互いに対向する第1面(図2に示す支持基板の上面)及び第2面(図2に示す支持基板の下面)のうち少なくとも一つに配置される。本実施形態のように、支持基板102の第1面及び第2面にともにコイル部103が配置されることができ、この場合、上記第1面に配置されたものを第1コイル部103a、上記第2面に配置されたものを第2コイル部103bと称することができる。ここで、コイル部103にはパッド領域Pが含まれることができる。但し、これとは異なり、コイル部103は、支持基板102の一面のみに配置されることもできる。一方、コイル部103をなすコイルパターンは、当技術分野で用いられるめっき工程、例えば、パターンめっき、異方めっき、等方めっきなどの方法を用いて形成されることができ、上記工程のうち複数の工程を用いることで多層構造で形成されることもできる。
【0034】
外部電極105、106は、本体101の外部に形成され、引き出し部Lと接続されるように形成されることができる。外部電極105、106は、電気導電性に優れた金属を含むペーストを用いて形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、銀(Ag)などを単独で含むか、又はこれらの合金などを含む導電性ペーストであることができる。また、外部電極105、106上にめっき層(不図示)をさらに形成することができる。この場合、上記めっき層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、及びスズ(Sn)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層とスズ(Sn)層が順に形成されたものであってもよい。
【0035】
図4及び図5を参照して、変形例に採用されることができるコイル電子部品の本体構造について説明する。先ず、図4には、磁性粒子111の表面に3層の絶縁構造が示されている。具体的には、磁性粒子111は、第2層113の表面に形成された第3層114をさらに含む形態であり、磁性粒子111の絶縁性をさらに向上させる場合に採用されることができる。第3層114は、第1層112と同一の物質からなることができ、具体的には、P成分を含む無機コーティング層であってもよい。また、第3層114の厚さも第1層112と同一のレベルであることができ、例えば、10〜15nmであることができる。図4の実施形態のように、追加の絶縁構造が必要な場合、第2層113をカバーする第3層114を採用することができる。尚、その上に第4層をさらに形成することもあり得る。例えば、磁性粒子111の絶縁構造は、P系無機コーティング層/原子層蒸着層/P系無機コーティング層/原子層蒸着層の多層構造を有することができる。
【0036】
次に、図5の実施形態の場合、本体101内には互いに粒度分布が異なる粒子が配置される。具体的に、複数の磁性粒子は、複数の第1粒子111、及びこれよりもサイズが小さい複数の第2粒子121を含む。この場合、第1粒子111は、図3の実施形態で説明した粒子111と同一のものであり、Fe系合金からなることができる。 第2粒子121は第1層122及び第2層123を含むことができる。これよりもサイズが小さい第2粒子121は、第1粒子111間のスペースを充填することで、本体101内に存在する磁性粒子111、121の全体の量を増やすことができる。第2粒子121は、純鉄からなることができ、例えば、カルボニル鉄粉(CIP、Carbonyl Iron Powder)の形であってもよい。また、第2粒子121の直径d2は5μm以下であることができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0038】
100 コイル電子部品
101 本体
102 支持基板
103 コイルパターン、コイル部
110 絶縁材
111、121 磁性粒子
112、122 第1層
113、123 第2層
114 第3層
C コア部
P パッド領域
V 導電性ビア
図1
図2
図3
図4
図5