特開2020-32782(P2020-32782A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 2020032782-停車支援装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-32782(P2020-32782A)
(43)【公開日】2020年3月5日
(54)【発明の名称】停車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/00 20060101AFI20200207BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20200207BHJP
【FI】
   B60W30/00
   B60W40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-159066(P2018-159066)
(22)【出願日】2018年8月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】菅野 崇
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】伏間 丈悟
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241CC02
3D241CC08
3D241CC17
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DD04Z
(57)【要約】
【課題】より運転者の救助に資する停車支援を行うことが可能な停車支援装置を提供する。
【解決手段】停車支援装置1は、運転者の身体の異常を検出する異常検出部51と、車両の進行方向に存在する複数の停止地点候補を検出する候補検出部55と、それぞれの停止地点候補までの所要時間を推定する所要時間推定部57と、それぞれの停止地点候補への車両の到着時点から、運転者の救助活動が開始されるまでの時間である待機時間を推定する待機時間推定部61と、停止地点を設定する停止地点設定部67と、停止地点まで走行して停止地点に停止するように車両2を制御する車両制御部68と、を備える。停止地点設定部67は、複数の停止地点候補のうち、所要時間と待機時間との和が最も小さい停止地点候補を、停止地点として設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行している車両の停止を支援する停車支援装置であって、
運転者の身体の異常を検出する異常検出部と、
上記車両の進行方向に存在する複数の停止地点候補を検出する候補検出部と、
それぞれの上記停止地点候補までの所要時間を推定する所要時間推定部と、
それぞれの上記停止地点候補への上記車両の到着時点から、運転者の救助活動が開始されるまでの時間である待機時間を推定する待機時間推定部と、
停止地点を設定する停止地点設定部と、
上記停止地点まで走行して該停止地点に停止するように上記車両を制御する車両制御部と、を備え、
上記停止地点設定部は、上記複数の停止地点候補のうち、上記所要時間と上記待機時間との和が最も小さい上記停止地点候補を、上記停止地点として設定することを特徴とする、停車支援装置。
【請求項2】
上記待機時間推定部は、救急自動車が配備されている地点からそれぞれの上記停止地点候補までの経路の距離に基づいて上記待機時間を推定する、請求項1に記載の停車支援装置。
【請求項3】
上記待機時間推定部は、救急自動車が配備されている地点からそれぞれの上記停止地点候補までの経路の交通状況に基づいて上記待機時間を推定する、請求項2に記載の停車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行している車両の停止を支援する停車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が体調の急変等により安全な運転を継続できなくなった場合に、運転者に代わって車両を停止させる装置が知られている。例えば、特許文献1には、運転者の異常を検出した場合に、車両を退避スペースに停止させる装置が開示されている。さらに、特許文献2には、見通しが良好でない領域への車両の停止が禁止されることが開示されている。これらの停車支援装置によれば、運転者、同乗者、及び他の道路ユーザを、車両の衝突による危険から遠ざけるとともに、車両の停止後に運転者を救助することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−1519号公報
【特許文献2】特開2017−190048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の自動運転技術の開発に伴い、高精度地図や車載カメラ等の機器に関する技術が大きく進歩している。停車支援装置においても、これらの機器から提供される情報を有効に利用し、より運転者の救助に資する停車支援を行うことが待望されている。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、より運転者の救助に資する停車支援を行うことが可能な停車支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、走行している車両の停止を支援する停車支援装置であって、運転者の身体の異常を検出する異常検出部と、車両の進行方向に存在する複数の停止地点候補を検出する候補検出部と、それぞれの停止地点候補までの所要時間を推定する所要時間推定部と、それぞれの停止地点候補への車両の到着時点から、運転者の救助活動が開始されるまでの時間である待機時間を推定する待機時間推定部と、停止地点を設定する停止地点設定部と、停止地点まで走行して該停止地点に停止するように車両を制御する車両制御部と、を備え、停止地点設定部は、複数の停止地点候補のうち、所要時間と待機時間との和が最も小さい停止地点候補を、停止地点として設定することを特徴とする。
【0007】
「運転者の救助活動が開始されるまでの時間」とは、救急医療に従事する資格を有する者(例えば、救急救命士や医師)が、救助の目的で運転者に接触するまでの時間をいう。車両の停止後、当該有資格者が運転者に接触することにより、運転者の救助活動(例えば、心肺蘇生)が開始される。
この構成によれば、所要時間と待機時間との和が最も小さい停止地点候補を停止地点として設定することにより、運転者の救助活動を最も早く開始できる地点に車両を停止させることが可能になる。
【0008】
本発明において、好ましくは、待機時間推定部は、救急自動車が配備されている地点からそれぞれの停止地点候補までの経路の距離に基づいて待機時間を推定する。
「救急自動車」とは、傷病者を収容し、緊急走行で医療機関まで搬送する車両をいう。また、「救急自動車が配備されている地点」とは、消防署や病院等、救急自動車が出動に備えて通常置かれる地点をいう。運転者の救助活動においては、救急救命士や医師が乗った救急自動車が、迅速に停止地点に到着することが求められる。救急自動車が配備されている地点から停止地点までの経路の距離が短いほど、待機時間も短くなると期待される。
救急自動車が配備されている地点からそれぞれの停止地点候補までの経路の距離に基づいて待機時間を推定するこの構成によれば、待機時間を容易且つ正確に推定することが可能になる。
【0009】
本発明において、好ましくは、待機時間推定部は、救急自動車が配備されている地点からそれぞれの停止地点候補までの経路の交通状況に基づいて待機時間を推定する。
例えば、救急自動車が配備されている地点から停止地点までの経路に渋滞や工事区間が存在する場合、救急自動車の到着に長時間を要し、運転者の救助活動の開始が遅れるおそれがある。
救急自動車が配備されている地点からそれぞれの停止地点候補までの経路の交通状況に基づいて待機時間を推定するこの構成によれば、待機時間をさらに正確に推定することが可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より運転者の救助に資する停車支援を行うことが可能な停車支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る停車支援装置を示すブロック図である。
図2】第1パターンの説明図である。
図3】第2パターンの説明図である。
図4】第3パターンの説明図である。
図5図1のECUが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0013】
まず、図1を参照しながら、実施形態に係る停車支援装置1(以下「装置1」という。)の構成について説明する。図1は、装置1を示すブロック図である。装置1は、車両に搭載され、緊急措置として、走行している車両の停止を支援する。本明細書では、装置1が搭載される車両を「車両2」という。
【0014】
また、本明細書では、車両2が前進する方向を「前」といい、後退する方向を「後」という。また、車両2が前進する方向を向いた場合の左方向を「左」という。
【0015】
装置1は、車外カメラ31と、車内カメラ32と、ナビゲーション装置33と、アクセルペダルセンサ34と、ブレーキペダルセンサ35と、ステアリングセンサ36と、ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)5と、を備えている。
【0016】
車外カメラ31は、車両2の外部、特に、車両2の前方を撮影し、画像データを取得する。車外カメラ31は、例えばイメージセンサであり、車両2の不図示のルームミラーに設置されている。車外カメラ31は、取得した画像データに対応する信号をECU5に送信する。
【0017】
車内カメラ32は、車両2の内部を撮影し、画像データを取得する。具体的には、車内カメラ32は、車室内の運転者の上体を含む範囲を撮影する。車内カメラ32は、例えばイメージセンサであり、車両2のインストルメントパネルに設置されている。車内カメラ32は、取得した画像データに対応する信号をECU5に送信する。
【0018】
ナビゲーション装置33は、車両2の乗員に種々の情報を提供する。ナビゲーション装置33は、地図情報を記憶しているか、若しくは、車両2外のサーバと通信を行うことにより地図情報を取得する。当該地図情報には、道路形状、法令で各道路に定められた最高速度、各道路の交通状況が含まれている。また、当該地図情報には、消防署や病院等、救急自動車が配備されている地点に関する情報が含まれている。ナビゲーション装置33は、例えば、GPS(Global Positioning System)や自立航法センサ等、車両2の位置を検出するセンサを有している。ナビゲーション装置33は、地図情報、地図上の車両2の位置、車両2が所定地点に到達するまでに必要となる時間等に関する情報を、音や表示により乗員に提供する。また、ナビゲーション装置33は、ECU5と通信可能であり、ECU5の要求に応じて信号を送信することにより、ECU5に種々の情報を提供する。
【0019】
アクセルペダルセンサ34は、車両2のアクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサである。アクセルペダルセンサ34は、検出した踏み込み量に対応する信号をECU5に送信する。
【0020】
ブレーキペダルセンサ35は、車両2のブレーキペダルの踏み込み量を検出するセンサである。ブレーキペダルセンサ35は、検出した踏み込み量に対応する信号をECU5に送信する。
【0021】
ステアリングセンサ36は、車両2のステアリングホイールの操舵方向及び操舵角を検出する。ステアリングセンサ36は、例えば、エンコーダを有しており、ステアリングホイールとともに回転するスリットをカウントする。ステアリングセンサ36は、検出した操舵方向及び操舵角に対応する信号をECU5に送信する。
【0022】
ECU5は、信号を送受信することにより機器を制御する制御装置である。ECU5は、その一部又は全部が、アナログ回路で構成されるか、デジタルプロセッサとして構成される。ECU5は、異常検出部51と、候補検出部55と、所要時間推定部57と、待機時間推定部61と、停止地点設定部67と、車両制御部68と、記憶部69と、を有している。
【0023】
尚、図1は、ECU5の各機能をブロックとして示している。しかしながら、ECU5のアナログ回路又はデジタルプロセッサに組み込まれるソフトウェアのモジュールは、必ずしも図1のように分割されている必要はない。つまり、図1に示される各機能ブロックは更に細分化されていてもよいし、複数の機能ブロックの機能を単一の機能ブロックが有するように構成されていてもよい。後述する処理を実行できるように構成されていれば、当業者は、ECU5の内部の構成を適宜変更できる。
【0024】
異常検出部51は、車両2の運転者の身体の異常を検出する。異常検出部51は、ECU5が車内カメラ32、アクセルペダルセンサ34、ブレーキペダルセンサ35及びステアリングセンサ36から受信する信号に基づいて、運転者の身体の異常を検出する。
【0025】
例えば、異常検出部51は、車内カメラ32が取得した画像データに対して所定の処理を施すことにより、運転者の上体、頭部、顔、眼等を特定するとともに、それらに関する情報を取得する。さらに、異常検出部51は、アクセルペダルセンサ34、ブレーキペダルセンサ35及びステアリングセンサ36から受信する信号に基づいて、運転者の運転操作に関する情報を検出する。そして、異常検出部51は、取得したこれらの情報に基づいて所定の演算を行い、運転者の意識の有無、眼の開閉状態、視線の方向、重心位置等を検出する。
【0026】
また、異常検出部51は、運転者の視線の方向が車両2の進行方向と一致するか否かを判定する。詳細には、異常検出部51は、運転者の視線の方向が、車両2の進行方向を含む所定の範囲に属しているか否かを判定する。さらに、異常検出部51は、運転者が着座するシートの座面から運転者の重心までの距離に基づいて、運転者の重心の位置が適切であるか否かを判定する。
【0027】
また、異常検出部51は、取得した情報に基づいて所定の演算を行い、運転者の身体に発症している疾患を推定する。当該疾患の例として、脳血管疾患、心疾患、消化器疾患、失神等、運転者自身が突然の発症を予測することが困難なものが挙げられる。
【0028】
候補検出部55は、停止地点候補を検出する。ここで、装置1が車両2を停止させる地点を「停止地点」といい、当該停止地点となり得る地点を「停止地点候補」という。候補検出部55は、ナビゲーション装置33から受信する信号に基づいて地図情報を取得するとともに、当該地図情報において車両2の進行方向に存在し、所定条件を満たす複数の停止地点候補を検出する。
【0029】
所要時間推定部57は、候補検出部55が検出した各停止地点候補までの所要時間を推定する。詳細には、所要時間推定部57は、各停止地点候補までの経路を探索し、各経路を走行する場合の車両2の速度パターンを決定するとともに、当該経路や速度パターンに基づいて、車両2が各停止地点候補に到達するのに要する時間を推定する。
【0030】
待機時間推定部61は、候補検出部55が検出した各停止地点候補における待機時間を推定する。待機時間は、停止地点候補への車両2の到着時点から運転者の救助活動が開始されるまでの時間である。「運転者の救助活動が開始されるまでの時間」とは、救急医療に従事する資格を有する者(例えば、救急救命士や医師)が、救助の目的で運転者に接触するまでの時間をいう。車両2の停止後、当該有資格者が運転者に接触することにより、運転者の救助活動(例えば、心肺蘇生)が開始される。
【0031】
待機時間の推定の際、待機時間推定部61は、まず、ナビゲーション装置33から受信する信号に基づいて地図情報を取得する。次に、待機時間推定部61は、当該地図情報において、停止地点候補から3kmの範囲内に存在し、救急自動車が配備されている地点(例えば、消防署や病院)を検出する。さらに、待機時間推定部61は、救急自動車が配備されている地点から、停止地点候補までの経路の距離に基づいて、待機時間を推定する。
【0032】
また、待機時間推定部61は、ナビゲーション装置33から受信する信号に基づいて、救急自動車が配備されている地点から停止地点候補までの経路の交通情報を取得する。当該経路に渋滞や工事区間が存在する場合、待機時間推定部61は、当該経路に渋滞や工事区間が存在しない場合に比べて長い待機時間を推定する。
【0033】
停止地点設定部67は、候補検出部55が検出した複数の停止地点候補に対し、所定条件に基づいて絞り込みを行ったり、1つの停止地点候補を停止地点として設定したりする。停止地点の設定の詳細については後述する。
【0034】
車両制御部68は、車両2の挙動を制御する。具体的には、車両制御部68は、車両2のエンジン41及びブレーキ42に制御信号を送信することにより、車両2の速度を制御する。また、車両制御部68は、車外カメラ31が取得した画像データに対して所定の処理を施すことにより、車両2が走行している道路の区画線を検出する。車両制御部68は、当該区画線を基準として生成した制御信号を電動パワーステアリング43に送信することにより、車両2の進行方向を制御する。
【0035】
記憶部69は、例えば不揮発性メモリにより構成されており、種々の情報を記憶する。記憶部69が記憶している情報は、異常検出部51等により読み出され、各種演算に用いられる。
【0036】
次に、図2から図4を参照しながら、装置1による車両2の制御について説明する。図2から図4は、日本の交通事情のように、法令により車両が左側車線を走行することが定められている環境を示している。道路8は、追越車線81及び走行車線82から成る片道二車線の道路である。車両2の走行中に所定条件が成立した場合、装置1は、緊急措置として運転者に代わって当該車両2を制御し、停止地点SPに停止させる。停止地点SPは、以下の3つのパターンのいずれかで設定される。
【0037】
[第1パターン]
図2は、装置1の停止地点設定部67(図1参照)が、道路8内の地点を停止地点SPとして設定する第1パターンを示している。具体的には、図2は、車両2が追越車線81を走行中に所定条件が成立し、車両2の進行方向における追越車線81上の地点が、停止地点SPとして設定された場合を示している。この場合、装置1の車両制御部68(図1参照)は、車両2が追越車線81を維持しながら走行するように、電動パワーステアリング43(図1参照)に制御信号を送信する。
【0038】
[第2パターン]
図3は、装置1の停止地点設定部67が、道路8の路肩83を停止地点SPとして設定する第2パターンを示している。具体的には、図3は、車両2が走行車線82を走行中に所定条件が成立し、車両2の進行方向に存在する路肩83が停止地点SPとして設定された場合を示している。この場合、装置1の車両制御部68は、車両2が走行車線82を維持しながら走行するとともに、停止地点SP近傍において左前方に進行するように、電動パワーステアリング43に制御信号を送信する。
【0039】
[第3パターン]
図4は、装置1の停止地点設定部67が、道路8の側方に設けられた非常駐車帯84を停止地点SPとして設定する第3パターンを示している。具体的には、図4は、車両2が追越車線81を走行中に所定条件が成立し、車両2の進行方向に存在する非常駐車帯84が停止地点SPとして設定された場合を示している。この場合、装置1の車両制御部68は、車両2がまず追越車線81から走行車線82に移動し、走行車線82を維持しながら走行するとともに、停止地点SP近傍で左前方に進行するように、電動パワーステアリング43に制御信号を送信する。
【0040】
第1パターンから第3パターンのいずれにおいても、車両2が停止地点SPの近傍に到達するまで、車両制御部68は、車両2の速度が50km/hよりも低くなるように、エンジン41及びブレーキ42に制御信号をする。車両制御部68は、車両2を停止地点SPに停止させる。車両2の停止後、装置1は不図示のウインカを点滅させたり、警笛を鳴動させたりすることにより、後続車両の追突を防止するとともに、車両2の運転者が救助を要していることを外部に報知する。
【0041】
次に、図5を参照しながら、ECU5(図1参照)が実行する処理について説明する。図5は、ECU5が実行する処理を示すフローチャートである。当該処理は、車両2の走行中に、所定の周期で繰り返し実行される。尚、説明の簡便のため、詳細にはECU5の各機能ブロックが実行している処理も、総括してECU5が実行するとして説明する。
【0042】
まず、ECU5は、図5に示されるステップS1で、車両2の運転者の身体の状態を検出する。詳細には、ECU5は、車内カメラ32(図1参照)が取得した画像データに基づいて、運転者の意識の有無、眼の開閉状態、視線の方向、重心位置などを検出する。
【0043】
ステップS2で、ECU5は、運転者の身体に異常があるか否かを判定する。詳細には、ECU5は、ステップS1における検出の結果に基づいて、運転者が車両2を安全に運転できないほど、運転者の身体に異常があるか否かを判定する。例えば、ECU5は、運転者の意識の程度を数値化するとともに、当該数値が所定の閾値を下回った場合に、運転者の身体に異常があると判定してもよい。運転者の身体に異常があると判定しなかった場合(S2:NO)、ECU5は停車支援を行わない。一方、運転者の身体に異常があると判定した場合(S2:YES)、ECU5はステップS3に進む。
【0044】
ステップS3で、ECU5は、停止地点候補を検出する。詳細には、ECU5は、ナビゲーション装置33から受信する信号に基づいて地図情報を取得するとともに、車両2の進行方向において車両2から5km以内に存在し、且つ、所定条件を満たす複数の地点を、停止地点候補として検出する。当該所定条件は、車両2の特性や、車両2が走行している道路の特性、ステップS1で検出された運転者の身体の状態等、種々の因子に基づいて設定することができる。
【0045】
ステップS4で、ECU5は、停止地点候補までの所要時間を推定する。詳細には、ECU5は、まず、所定のアルゴリズムに基づいて、ステップS3で検出した各停止地点候補までの経路を探索し、各径路を走行する場合の車両2の速度パターンを決定する。さらに、ECU5は、決定した経路及び速度パターンに基づいて、車両2が各停止地点候補に到達するのに要する時間を推定する。
【0046】
ステップS5で、ECU5は、停止地点候補における待機時間を推定する。詳細には、ECU5は、ステップS3で検出した複数の停止地点候補のそれぞれについて、上述したように待機時間を推定する。
【0047】
ステップS6で、ECU5は、停止地点候補における所要時間と待機時間との和を算出する。詳細には、ECU5は、ステップS3で検出した複数の停止地点候補のそれぞれについて、ステップS4で算出した所要時間と、ステップS5で算出した待機時間と、の線形和を算出する。このとき、所要時間と待機時間とに適宜重み付けをしてもよい。
【0048】
ステップS7で、ECU5は、停止地点を設定する。詳細には、ECU5は、ステップS3で検出した複数の停止地点候補のうち、ステップS6で算出した所要時間と待機時間との和が最も小さい停止地点候補を、停止地点として設定する。
【0049】
ステップS8で、ECU5は、停止地点までの車両2の走行と停止を制御する。詳細には、ECU5は、車両2のエンジン41、ブレーキ42及び電動パワーステアリング43(図1参照)に制御信号を送信し、停止地点まで車両2を走行させるとともに、停止地点に停止させる。この間、運転者によるアクセルペダルの操作は無効とされる。一方、運転者によるブレーキペダルの操作は有効とされる。これは、意識が朦朧とする中でも、障害物への衝突を回避しようとして、運転者が車両2を停止させようとする可能性があるためである。車両2の走行中、アンチロックブレーキングシステムや横滑り防止システム等、車両2の挙動を安定させるシステムが作動していてもよい。
【0050】
[実施形態が奏する作用効果]
上記実施形態の構成によれば、所要時間と待機時間との和が最も小さい停止地点候補を停止地点として設定することにより、運転者の救助活動を最も早く開始できる地点に車両2を停止させることが可能になる。
【0051】
待機時間推定部61は、救急自動車が配備されている地点からそれぞれの停止地点候補までの経路の距離に基づいて待機時間を推定する。
この構成によれば、待機時間を容易且つ正確に推定することが可能になる。
【0052】
待機時間推定部61は、救急自動車が配備されている地点からそれぞれの停止地点候補までの経路の交通状況に基づいて待機時間を推定する。
この構成によれば、待機時間をさらに正確に推定することが可能になる。
【0053】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0054】
上記実施形態では、ECU5の異常検出部51は、車内カメラ32が取得した画像データに基づいて運転者の身体の異常を検出する。しかしながら、本発明はこの形態に限定されない。例えば、運転者の体温や脈波を検出する赤外線センサや、運転者の姿勢に応じた重心位置や脈波を検出するシートセンサ等を備えた車両に本発明に係る停車支援装置が搭載される場合、本発明に係る異常検出部は、各センサの検出情報に基づいて運転者の身体の異常を検出してもよい。
【0055】
上記実施形態では、ECU5の所要時間推定部57が、各停止地点候補までの経路を探索し、各経路を走行する場合の車両2の速度パターンを決定する。しかしながら、本発明はこの形態に限定されない。例えば、本発明に係る所要時間推定部は、当該経路の探索及び当該速度パターンの決定をナビゲーション装置に指示するとともに、ナビゲーション装置から提供される情報に基づいて、所要時間を推定してもよい。
【0056】
上記実施形態では、ECU5の待機時間推定部61が、救急自動車が配備されている地点を検出し、これに基づいて待機時間を推定している。しかしながら、本発明はこの形態に限定されない。例えば、本発明に係る待機時間推定部は、救急自動車が配備されている地点の検出をナビゲーション装置に指示するとともに、ナビゲーション装置から提供される情報に基づいて、待機時間を推定してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 停車支援装置(装置)
2 車両
51 異常検出部
55 候補検出部
57 所要時間推定部
61 待機時間推定部
67 停止地点設定部
68 車両制御部
SP 停止地点
図1
図2
図3
図4
図5