【解決手段】ディスクカッタ31を機内で交換可能なカッタ交換装置32を備えたトンネル掘削機1であって、前記カッタ交換装置32は、前記ディスクカッタ31を着脱可能に支持するカッタ支持ユニット41と、前記カッタ支持ユニット41を回転可能に支持する回転支持ユニット42と、両ユニット間の隙間を封ずるシール部材71,72,73,74とを有し、前記カッタ支持ユニット41は、掘削位置状態において前方空間S
とを連通する貫通穴51aを有し、前記シール部材71,72,73,74は、掘削位置状態および交換位置状態においてそれぞれ前記貫通穴51aの周縁部に配置される第一のシール部材71,72と第二のシール部材73,74とを有して成る。
筒状のスキンプレートと、前記スキンプレートの前方部に回転可能に設けられるカッタヘッドと、前記カッタヘッドに設けられるディスクカッタと、前記ディスクカッタを機内で交換可能とするカッタ交換装置とを備えたトンネル掘削機であって、
前記カッタ交換装置は、前記ディスクカッタを着脱可能に支持するカッタ支持ユニットと、前記カッタヘッドに固定されて前記カッタ支持ユニットを回転可能に支持する回転支持ユニットと、前記カッタ支持ユニットと前記回転支持ユニットとの間の隙間を封ずるシール部材とを有し、
前記カッタ支持ユニットは、前記ディスクカッタを収容可能な貫通穴を有し、前記ディスクカッタが前方の地山を掘削可能な掘削位置と機内で交換可能な交換位置とに位置するように、前記回転支持ユニットに対して回転動作し、
前記貫通穴は、前記ディスクカッタが前記掘削位置に位置しているときに、前記カッタヘッドの前方側に位置する前方空間と前記カッタヘッドの後方側に位置する後方空間とを連通し、
前記シール部材は、前記ディスクカッタが前記掘削位置に位置しているときにおける前記貫通穴の周縁部に配置される第一のシール部材と、前記ディスクカッタが前記交換位置に位置しているときにおける前記貫通穴の周縁部に配置される第二のシール部材とを有する
ことを特徴とするトンネル掘削機。
前記第二のシール部材によって前記前方空間および前記後方空間と隔離されて前記交換位置における前記ディスクカッタが臨む交換作業空間を、前記カッタヘッド内の機内空間と隔離する隔離部材を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機。
前記隔離部材は、前記ディスクカッタが前記交換位置に位置しているときにおける前記貫通穴に対応して一端が前記貫通穴の周縁と接する筒状部材と、前記筒状部材における他端を閉塞可能な蓋部材とを有するものである
ことを特徴とする請求項2に記載のトンネル掘削機。
前記隔離部材は、前記ディスクカッタが前記交換位置に位置しているときにおける前記貫通穴の片側一方に対応して一端が前記貫通穴の片側一方の周縁と接する筒状部材と、前記筒状部材における他端を閉塞可能な蓋部材と、前記ディスクカッタが前記交換位置に位置しているときにおける前記貫通穴の片側他方に対応して一端が前記貫通穴の片側他方の周縁と接する有底の筒状部材とを有するものである
ことを特徴とする請求項2に記載のトンネル掘削機。
前記シール可動機構は、前記第二のシール部材を前記カッタ支持ユニットの外周面に対して接近離反させるものであり、前記ディスクカッタが前記交換位置に位置しているときにおける前記貫通穴に対応して一端が前記貫通穴の周縁と接する筒状部材と、前記筒状部材における一端の周縁部が前記カッタ支持ユニットの外周面に対して接近離反するように前記筒状部材を移動する動作部と、前記筒状部材と係合して当該筒状部材の移動を案内する案内部とを有し、
前記第二のシール部材は、前記筒状部材における一端の周縁部に設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載のトンネル掘削機。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係るトンネル掘削機の実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることは言うまでもない。
[実施例1]
【0025】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の構造について、
図1から
図6Bを参照して説明する。
【0026】
図1および
図2に示すように、トンネル掘削機1には、円筒形状を成すスキンプレート(掘削機本体)11が設けられており、このスキンプレート11の前方部(
図1においては、左方側)には、円盤形状のカッタヘッド12が回転自在に支持されると共に、このカッタヘッド12の後方に位置してバルクヘッド13が取り付けられている。
【0027】
ここで、カッタヘッド12は、中間ビーム21およびリングギヤ22を介して、カッタ駆動モータ23と連結されており、このカッタ駆動モータ23の駆動によって、リングギヤ22および中間ビーム21と共に回転駆動されるようになっている。なお、これらカッタヘッド12、中間ビーム21、リングギヤ22およびカッタ駆動モータ23は、バルクヘッド13を介して、スキンプレート11に支持されている。
【0028】
よって、トンネル掘削機1は、カッタヘッド12を回転駆動することによって前方の地山を掘削し、その掘削土砂をカッタヘッド12に設けられた図示しない土砂取り込み口から当該カッタヘッド12とバルクヘッド13との間に画成される後方空間(チャンバ)S
13内へ取り込むようになっている。
【0029】
また、トンネル掘削機1には、掘削土砂を搬送可能なスクリューコンベア14が設けられている。スクリューコンベア14は、前端部がバルクヘッド13を貫通してチャンバS
13内に臨むと共に、後端部が図示しないベルトコンベア上に位置するように配設されている。よって、チャンバS
13内に取り込まれた掘削土砂は、スクリューコンベア14および図示しないベルトコンベア等を介して外部へ排出されるようになっている。
【0030】
上述したように概略構成されるトンネル掘削機1においては、巨礫や岩盤等を掘削するためのディスクカッタ31と、このディスクカッタ31をトンネル掘削機1の機内空間(カッタヘッド12の内部空間)S
12で交換するためのカッタ交換装置32とが設けられている。
【0031】
図3および
図4Aに示すように、カッタ交換装置32には、ディスクカッタ31を着脱可能に支持するカッタ支持ユニット41と、このカッタ支持ユニット41を回転可能に支持する回転支持ユニット42と、カッタ支持ユニット41を回転支持ユニット42に対して回転動作する回転機構43とが設けられている。
【0032】
そして、ディスクカッタ31は、カッタ支持ユニット41が回転機構43によって回転支持ユニット42に対して回転動作されることにより、前方空間S
100に臨んで前方の地山を掘削可能な「掘削位置」(
図4A参照)と、機内空間S
12に臨んで当該ディスクカッタ31を交換可能な「交換位置」(
図6A参照)とに位置(移動)されるようになっている。
【0033】
以下の説明においては、ディスクカッタ31が掘削位置に位置するように、回転支持ユニット42に対してカッタ支持ユニット41が回転した状態を、カッタ支持ユニット41の「掘削位置状態」(
図4A参照)と称し、ディスクカッタ31が交換位置に位置するように、回転支持ユニット42に対してカッタ支持ユニット41が回転した状態を、カッタ支持ユニット41の「交換位置状態」(
図6A参照)と称する。
【0034】
なお、カッタ交換装置32には、回転支持ユニット42に対するカッタ支持ユニット41の回転動作を停止可能な図示しないロック機構を備えられている。よって、カッタ支持ユニット41が図示しないロック機構によって掘削位置状態または交換位置状態に維持されることにより、ディスクカッタ31は掘削位置または交換位置に位置決め(固定)され(
図4Aおよび
図6A参照)、このロック機構が解除されることにより、カッタ支持ユニット41は回転支持ユニット42に対して回転可能となり、ディスクカッタ31は掘削位置と交換位置との間を移動可能となる(
図5参照)。
【0035】
また、本実施例においては、カッタ支持ユニット41を回転支持ユニット42に対して略90°回転動作することにより、掘削位置状態と交換位置状態との移行を行うようにしている。もちろん、本発明に係るトンネル掘削機は、本実施例に限定されず、カッタ支持ユニットを回転支持ユニットに対して90°以外の所定回転角だけ回転動作することにより、掘削位置状態と交換位置状態との移行を行うようにしても良い。
【0036】
図3および
図4Aに示すように、カッタ支持ユニット41は、ディスクカッタ31を収容可能な貫通穴51aを有する略球状の支持本体部51と、ディスクカッタ31を貫通穴51aに形成された支持溝(装着座面)51bに固定する押さえ部材52とから概略構成されており、支持本体部51の一部が前方空間S
100に臨むように回転支持ユニット42に収容されて成る。
【0037】
図4Aおよび
図4Bに示すように、貫通穴51aは、カッタ支持ユニット41が掘削位置状態にある(ディスクカッタ31が掘削位置に位置している)ときに、前方空間S
100に臨んで開口すると共にトンネル後方に向けて貫通する(前方空間S
100とチャンバS
13とを連通する)ように形成され、ディスクカッタ31の円盤状のカッタ本体部31aよりも大きく形成されている。
【0038】
支持溝51bは、貫通穴51aにおける一端側(
図4Aにおいては、上方側)に寄せて配置され、ディスクカッタ31の軸方向両側に突出するカッタ軸部31bを設置可能なように形成されている。押さえ部材52は、図示しないボルト等によって支持本体部51に着脱可能に固定されることにより、支持溝51bに設置されたカッタ軸部31b(ディスクカッタ31)を当該支持溝51b(支持本体部51)に装着するものである。
【0039】
よって、ディスクカッタ31は、押さえ部材52によって支持溝51bに固定されるカッタ軸部31bに対して、図示しないベアリング等を介して、カッタ本体部31aがその中心を通る回転軸C
31周りに貫通穴51aの内面と干渉することなく回転されるようになっている。
【0040】
図3および
図4Aに示すように、カッタ支持ユニット41に装着されたディスクカッタ31は、その一部が当該カッタ支持ユニット41(支持本体部51)およびカッタヘッド12のヘッド前壁部12aよりも前方空間S
100側に突出し、前方の地山を掘削することができると共に、その外周面が後述するカッタ支持ユニット41の回転動作時に周辺部材(回転支持ユニット42等)と干渉しないようにカッタ支持ユニット41(支持本体部51)の外周面(回転動作時の周面であって、
図4Aにおける二点鎖線参照)よりも内周側に位置するようになっている。
【0041】
図3および
図4Aに示すように、回転支持ユニット42は、ヘッド前壁部12aの一部を構成する平板状(略円板状)の前壁61と、この前壁61からトンネル後方に突出してカッタ支持ユニット41(支持本体部51)の外周を覆う筒状(略円筒状)の側壁62と、この側壁62のトンネル後方側の端部に接続される平板状(略円板状)の後壁63とから概略構成されている。
【0042】
前壁61および後壁63には、それぞれ略円形の前壁開口部61aおよび略円形の後壁開口部63aが設けられており、前壁61および後壁63は、前壁開口部61aおよび後壁開口部63aの周縁部において、回転支持ユニット42内に収容されたカッタ支持ユニット41(支持本体部51)と対接(摺接)するようになっている。
【0043】
図3および
図4Bに示すように、側壁62には、カッタ支持ユニット41の回転軸部53,54が嵌装される軸受部64,65が設けられており、カッタ支持ユニット41は、軸受部64,65の中心を通る回転軸C
41周りに回転可能に支持されている。なお、カッタ支持ユニット41における一方の回転軸部53は、回転支持ユニット42における一方の軸受部64を貫通して機内空間S
12に突出しており、後述する回転機構43と接続されている。ここで、回転軸部53は軸受部64を貫通して機内空間S
12に突出するが、軸受部64に図示しないシール部材を設けることで、機内空間S
12とカッタ支持ユニット41の間の止水を維持するようになっている。
【0044】
また、
図4Aおよび
図4Bに示すように、側壁62には、その外周面に沿って軸受部64,65の略中央に配置され、交換位置状態のカッタ支持ユニット41における貫通穴51aに対応する筒状部材(隔離部材)66,67が設けられている。筒状部材66,67は、ディスクカッタ31を交換するための交換作業空間S
31を形成するものであり、その一端の周縁部において、カッタ支持ユニット41(支持本体部51)と対接(摺接)するようになっている。ここで、交換作業空間S
31は、筒状部材66,67内の空間であって、カッタ支持ユニット41が交換位置状態にある(ディスクカッタ31が交換位置に位置している)ときに、貫通穴51a内の空間(穴内空間)S
41と連通する空間である(
図6Aおよび
図6B参照)。
【0045】
交換作業空間S
31と穴内空間S
41との連通状態は、回転支持ユニット42に対するカッタ支持ユニット41の回転動作によって切り替えられ、交換作業空間S
31は、カッタ支持ユニット41が掘削位置状態にあるときに穴内空間S
41と隔離され(
図4Aおよび
図4B参照)、カッタ支持ユニット41が交換位置状態にあるときに穴内空間S
41と連通される(
図6Aおよび
図6B参照)。
【0046】
また、
図6Aおよび
図6Bに示すように、筒状部材66,67には、交換作業空間S
31と機内空間S
12とを隔離可能(筒状部材66,67における他端を閉塞可能)な蓋部材(隔離部材)68,69が設けられている。交換作業空間S
31と機内空間S
12との連通状態は、蓋部材68,69の開閉動作によって切り替えられ、交換作業空間S
31は、カッタ支持ユニット41の交換位置状態において、蓋部材68,69が閉扉されているときに機内空間S
12と隔離され(
図6Aおよび
図6B参照)、蓋部材68,69が開扉されているときに機内空間S
12と連通される(図示省略)。なお、筒状部材66,67と蓋部材68,69との間に図示しないシール部材を介装することにより、密閉性を確保するようにしても良い。
【0047】
よって、交換位置に位置するディスクカッタ31(穴内空間S
41)は、蓋部材68,69が開扉されているときに、交換作業空間S
31を介して、機内空間S
12に臨むようになっている。つまり、機内空間S
12内の作業者は、カッタ支持ユニット41が交換位置状態にある(ディスクカッタ31が交換位置に位置している)ときに、蓋部材68,69を開扉することにより、交換作業空間S
31を介して、カッタ支持ユニット41に支持されたディスクカッタ31にアクセスする(穴内空間S
41に臨む)ことができる。
【0048】
図3および
図4Aに示すように、カッタ交換装置32には、カッタ支持ユニット41(支持本体部51)と前壁61(前壁開口部61aの周縁部)および後壁63(後壁開口部63aの周縁部)との間の隙間を封ずる第一のシール部材71,72が設けられている。第一のシール部材71,72は、前壁61および後壁63に設けられてカッタ支持ユニット41(支持本体部51)の外周面と対接(摺接)するものであり、掘削位置状態のカッタ支持ユニット41における貫通穴51aの周縁部に配置されるように、前壁開口部61aの周縁部および後壁開口部63aの周縁部に沿って略円環状に形成されて成る。
【0049】
よって、第一のシール部材71,72によれば、カッタ支持ユニット41が掘削位置状態にある(ディスクカッタ31が掘削位置に位置している)ときに、前壁開口部61aの周縁部および後壁開口部63aの周縁部(すなわち、貫通穴51aの周縁部)における止水を行い、前方空間S
100およびチャンバS
13からの機内空間S
12への掘削土砂の流入を防ぐことができる。
【0050】
また、
図6Aおよび
図6Bに示すように、カッタ交換装置32には、カッタ支持ユニット41(支持本体部51)と筒状部材66,67における一端の周縁部との間の隙間を封ずる第二のシール部材73,74が設けられている。第二のシール部材73,74は、筒状部材66,67に設けられてカッタ支持ユニット41(支持本体部51)の外周面と対接(摺接)するものであり、交換位置状態のカッタ支持ユニット41における貫通穴51aの周縁部に配置されるように、筒状部材66,67における一端の周縁部に沿って略円環状に形成されて成る。
【0051】
よって、第二のシール部材73,74によれば、カッタ支持ユニット41が交換位置状態にある(ディスクカッタ31が交換位置に位置している)ときに、筒状部材66,67における一端の周縁部(すなわち、貫通穴51aの周縁部)における止水を行い、前方空間S
100およびチャンバS
13からの機内空間S
12への掘削土砂の流入を防ぐ(止水する)ことができる。
【0052】
このように、第一のシール部材71,72と第二のシール部材73,74とを設けてシール機能を分担させ、カッタ支持ユニット41が掘削位置状態にあるときのシール機能を第一のシール部材71,72によって負担し、カッタ支持ユニット41が交換位置状態にあるときのシール機能を第二のシール部材73,74によって負担することにより、一つのシール部材だけで掘削位置状態および交換位置状態の両方におけるシール機能を負担する場合(従来技術)と比較して、第一のシール部材71,72および第二のシール部材73,74に掛かる負担を軽減し、シール部材としての信頼性を向上させることができる。
【0053】
また、第一のシール部材71,72と第二のシール部材73,74とを設けてシール機能を分担させ、掘削位置状態におけるカッタ支持ユニット41と回転支持ユニット42との相対位置関係を考慮して第一のシール部材71,72を配置し、交換位置状態におけるカッタ支持ユニット41と回転支持ユニット42との相対位置関係を考慮して第二のシール部材73,74を配置することにより、掘削位置状態および交換位置状態の両方を考慮して一つのシール部材を配置する場合(従来技術)と比較して、設計の自由度を向上させることができる。
【0054】
もちろん、第一のシール部材71,72を、カッタ支持ユニット41が交換位置状態にあるときにも、カッタ支持ユニット41(支持本体部51)の外周面と対接(摺接)し、前方空間S
100およびチャンバS
13からの機内空間S
12への掘削土砂の流入を防ぐ(止水する)ことができるものとしても良く(
図6A参照)、また、第二のシール部材73,74を、カッタ支持ユニット41が掘削位置状態にあるときにも、カッタ支持ユニット41(支持本体部51)の外周面と対接(摺接)し、前方空間S
100およびチャンバS
13からの機内空間S
12への掘削土砂の流入を防ぐ(止水する)ことができるものとしても良い(
図4Aおよび
図4B参照)。
【0055】
このように第一のシール部材71,72および第二のシール部材73,74のシール機能を拡張した場合であっても、一つのシール部材だけで掘削位置状態および交換位置状態の両方におけるシール機能を負担する場合(従来技術)と比較して、第一のシール部材71,72および第二のシール部材73,74に掛かる負担を軽減し、シール部材としての信頼性を向上させることができる。
【0056】
また、上述したように第一のシール部材71,72および第二のシール部材73,74のシール機能を拡張した場合には、カッタ支持ユニット41が交換位置状態にあってディスクカッタ31を交換している(蓋部材68,69を開扉している)ときに、第一のシール部材71,72と第二のシール部材73,74との二重のシール機構によって、シール機能を確保することができ(
図6A参照)、また、カッタ支持ユニット41が掘削位置状態にあってトンネル掘削機1が掘進しているときに、第一のシール部材71,72と第二のシール部材73,74と蓋部材68,69との三重のシール機構によって、シール機能を確保することができる(
図4A参照)。
【0057】
また、カッタ支持ユニット41が回転支持ユニット42に対して回転動作している(ディスクカッタ31が掘削位置と交換位置との間に位置し、両位置間を移動している)ときには、蓋部材68,69によって前方空間S
100およびチャンバS
13からの機内空間S
12への掘削土砂の流入を確実に防ぐ(止水する)ことができる(
図5参照)。もちろん、この間において、第一のシール部材71,72または第二のシール部材73,74の少なくとも一方によって前方空間S
100およびチャンバS
13からの機内空間S
12への掘削土砂の流入を防ぐ(止水する)ことができるように配置や構成等を変更しても良い。なお、この場合には、蓋部材68,69の構成を省略することも可能である。
【0058】
また、
図3および
図4Aに示すように、カッタ交換装置32には、後壁63からトンネル後方に突出する延設管44が設けられている。延設管44は、その一端(トンネル前方側の端部であって、
図3および
図4Aにおいては上方側端部)が、後壁63の後壁開口部63aを覆うように、その周縁部近傍に接続されており、その他端(トンネル後方側の端部であって、
図3および
図4Aにおいては下方側端部)が、ヘッド後壁部12bに形成されたヘッド開口部12cを覆うように、その周縁部近傍に接続されている。
【0059】
よって、ディスクカッタ31が掘削位置に位置してトンネル掘削機1が掘進しているときには、前方空間S
100とチャンバS
13とが穴内空間S
41と延設管44内の空間(管内空間)S
44とを介して連通しており、カッタヘッド12(ディスクカッタ31)によって掘削した掘削土砂は、ディスクカッタ31の後方に滞留することなく、これら穴内空間S
41と管内空間S
44とを通ってチャンバS
13に取り込まれるようになっている。つまり、穴内空間S
41および管内空間S
44は、掘削土砂が流通される土砂を取り込む流路(土砂取り込み流路)として機能するようになっている。
【0060】
図3に示すように、回転機構43は、カッタ支持ユニット41の一方の回転軸部53に嵌着(固定)される回転レバー81と、この回転レバー81に接続されるアクチュエータ82とから概略構成されており、このアクチュエータ82を動作することにより、回転レバー81を介して、カッタ支持ユニット41が回転軸C
41周りに回転されるようになっている。
【0061】
アクチュエータ82は、回転レバー81を介してカッタ支持ユニット41を回転支持ユニット42(カッタヘッド12)に対して回転動作することができるものであれば良く、例えば、回転レバー81と機械的に接続される油圧シリンダ、または、回転レバー81とギヤ機構を介して接続されるモータ等を採用することができる。
【0062】
なお、
図1に示すように、トンネル掘削機1の径方向中央に配置されるカッタ交換装置32には、図示しないロータリージョイント等を考慮して、延設管44のトンネル後方に位置してヘッド開口部12cからトンネル後方に向けて径方向外側に傾斜した第二の延設管45が設けられている。
【0063】
よって、トンネル掘削機1の径方向中央に配置されるカッタ交換装置32において、カッタ支持ユニット41が掘削位置状態にある(ディスクカッタ31が掘削位置に位置している)ときには、前方空間S
100とチャンバS
13とは、穴内空間S
41と管内空間S
44と第二の延設管45内の空間(第二の管内空間)S
45とを介して連通しており、複数のディスクカッタ31によって掘削した掘削土砂は、穴内空間S
41と管内空間S
44と第二の管内空間S
45とを通ってチャンバS
13に取り込まれるようになっている。
【0064】
ここで、トンネル掘削機1の径方向中央に配置されるカッタ交換装置32は、複数のディスクカッタ31を同時に(一括で)保持するように当該ディスクカッタ31の連設方向(径方向であって、
図1においては上下方向)に長い形状で形成されている(一つのディスクカッタ31を保持するものであっても良い)。
【0065】
もちろん、トンネル掘削機1の径方向中央以外に配置されるカッタ交換装置32であっても、複数のディスクカッタ31を同時に(一括で)保持するように当該ディスクカッタ31の連設方向に長い形状で形成しても良い。
図2においては、トンネル掘削機1の径方向中央に配置されるカッタ交換装置32の他に、四つのカッタ交換装置32において、二つのディスクカッタ31を同時に(一括で)保持する構成としている。
【0066】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の動作について、
図1から
図6Bを参照して説明する。
【0067】
トンネル掘削機1は、カッタ駆動モータ23を作動し、リングギヤ22および中間ビーム21を介してカッタヘッド12を回転駆動することにより、前方の地山を掘削する(
図1および
図2参照)。そして、カッタヘッド12によって掘削した掘削土砂を、穴内空間S
41と管内空間S
44(および第二の管内空間S
45)ならびに図示しない土砂取り込み口を介してチャンバS
13内に取り込むと共に、スクリューコンベア14によって後方に搬送した後、図示しないベルトコンベア等によって外部へ排出する。
【0068】
ここで、掘進時(掘削時)において、ディスクカッタ31は、掘削位置に位置し、カッタ支持ユニット41は、貫通穴51aが前壁開口部61aと後壁開口部63aとを接続する(前方空間S
100が穴内空間S
41を介して管内空間S
44およびチャンバS
13と連通する)ように配置された掘削位置状態にある(
図3、
図4Aおよび
図4B参照)。よって、ディスクカッタ31による巨礫や岩盤の掘削がなされると共に、ディスクカッタ31によって掘削した掘削土砂が当該ディスクカッタ31の後方に形成された土砂取り込み流路である穴内空間S
41および管内空間S
44を介して直接的にチャンバS
13へ取り込まれる。
【0069】
つまり、ディスクカッタ31の後方に掘削土砂が滞留することはなく、当該ディスクカッタ31周りの掘削土砂の流通性が向上される。よって、ディスクカッタ31の目詰まり等による影響を受けず、掘削時の抵抗を低減することができるので、トンネル掘削機1による掘進作業(掘削作業)を良好に行うことができる。なお、カッタ支持ユニット41は、図示しないロック機構によって位置決め(固定)されているため、掘進時(掘削時)において、回転支持ユニット42(カッタヘッド12)に対して回転されることはない。
【0070】
そして、トンネル掘削機1による掘削作業(掘進作業)が続けられ、ディスクカッタ31が摩耗した際には、カッタ駆動モータ23の作動(カッタヘッド12の回転駆動)を停止し、以下の手順でディスクカッタ31の交換を行う。
【0071】
まず、カッタ支持ユニット41の図示しないロック機構を解除し、アクチュエータ82の作動によって回転レバー81を介してカッタ支持ユニット41を回転支持ユニット42(カッタヘッド12)に対して回転させる(
図5参照)。
【0072】
そして、カッタ支持ユニット41を回転支持ユニット42(カッタヘッド12)に対して所定角度(本実施例においては、略90°)回転させ、ディスクカッタ31を交換位置に位置させた後、カッタ支持ユニット41を図示しないロック機構によって固定(位置決め)する(
図6Aおよび
図6B参照)。
【0073】
続いて、一方の蓋部材68を開扉し、押さえ部材52を取り外して支持溝51bから使用済のディスクカッタ31を取り外した後、新たなディスクカッタ31を支持溝51bに嵌め込んで押さえ部材52を取り付ける。
【0074】
このとき、他方の蓋部材69を開扉し、ディスクカッタ31の取り外しおよび取り付けの作業(補助作業)ならびに他の作業等を行うことも可能である。なお、カッタ支持ユニット41は、図示しないロック機構によって位置決め(固定)されているため、カッタ交換時において、回転支持ユニット42(カッタヘッド12)に対して回転されることはない。
【0075】
次に、上述した手順と逆の手順により、新たなディスクカッタ31を掘削位置に位置させる。
【0076】
つまり、蓋部材68を閉扉した後、カッタ支持ユニット41の図示しないロック機構を解除し、アクチュエータ82の作動によって回転レバー81を介してカッタ支持ユニット41を回転支持ユニット42(カッタヘッド12)に対して所定角度(本実施例においては、略90°)回転させ、ディスクカッタ31を掘削位置に位置させた後、カッタ支持ユニット41を図示しないロック機構によって固定(位置決め)する(
図4Aから
図6B参照)。なお、他方の蓋部材69を開扉していた場合には、蓋部材68と共に蓋部材69も閉扉して上述の手順を行う。
【0077】
以上の手順により、ディスクカッタ31の交換作業が完了し、トンネル掘削機1による掘削作業(掘進作業)を再開する。
【0078】
上述したカッタ支持ユニット41の回転動作、すなわち、ディスクカッタ31の掘削位置と交換位置との両位置間の移動の際には、蓋部材68,69によって、前方空間S
100およびチャンバS
13と機内空間S
12との連通状態が遮断されており、上述したカッタ支持ユニット41の回転動作、すなわち、ディスクカッタ31の掘削位置と交換位置との両位置間の移動を安全に行うことができる。もちろん、第一のシール部材71,72または第二のシール部材73,74の少なくとも一方を適切に配置することにより、第一のシール部材71,72または第二のシール部材73,74の少なくとも一方によってカッタ支持ユニット41の回転動作の際におけるシール機能を確保するようにしても良い。
【0079】
また、上述した蓋部材68,69の開閉動作の際、および、ディスクカッタ31の交換作業の間には、第二のシール部材73,74(または、第一のシール部材71,72および第二のシール部材73,74)によって、前方空間S
100およびチャンバS
13と機内空間S
12との連通状態が遮断されており、上述した蓋部材68,69の開閉動作、および、ディスクカッタ31の交換作業を安全に行うことができる。
【0080】
本実施例に係るトンネル掘削機によれば、カッタ交換装置32によってディスクカッタ31を機内空間S
12において安全に交換することができると共に、前方空間S
100とチャンバS
13とを連通する土砂取り込み流路によってディスクカッタ31の後方における掘削土砂の流通性(チャンバS
13への取り込み性能)をより向上させることができる。
【0081】
そして、カッタ支持ユニット41の回転動作により、掘削時における前方空間S
100とチャンバS
13との連通状態(土砂取り込み機能)と、カッタ交換時における前方空間S
100およびチャンバS
13と穴内空間S
41の遮断状態かつ交換作業空間S
31と穴内空間S
41との連通状態とを切り替えることができるので、従来のナイフゲートバルブ等の部品を削減すると共に、カッタ交換装置32を簡易な構成とすることができる。
【0082】
さらに、第一のシール部材71,72と第二のシール部材73,74とを設けてシール機能を分担させることにより、掘削時およびカッタ交換時における前方空間S
100およびチャンバS
13と機内空間S
12との連通をそれぞれ確実に遮断すると共に、第一のシール部材71,72および第二のシール部材73,74に掛かる負担を軽減してシール部材としての信頼性を向上させることができる。
【0083】
ここで、第一のシール部材71,72を前壁61および後壁63に対して着脱可能とし、第二のシール部材73,74を筒状部材66,67に対して着脱可能とすることにより、第一のシール部材71,72および第二のシール部材73,74を交換可能としてシール部材としての信頼性をより向上させることができる。なお、第二のシール部材73,74は、第一のシール部材71,72によって掘削時(カッタ支持ユニット41が掘削位置状態にあるとき)のシール機能が確保されているので、掘削時であっても蓋部材68,69を開扉することによって交換可能である。
【0084】
[実施例2]
本発明の実施例2に係るトンネル掘削機の構造について、
図7および
図8を参照して説明する。
【0085】
本実施例に係るトンネル掘削機は、カッタ交換装置においてシール可動機構を追設したことを除いて、本発明の実施例1に係るトンネル掘削機と同様な構成を有するものである。よって、本実施例に係るトンネル掘削機における実施例1と同様な構成についての重複説明は適宜省略する。
【0086】
図7に示すように、カッタ交換装置132は、カッタ支持ユニット141を図示しない回転機構(実施例1における回転機構43に相当)によって回転支持ユニット142に対して回転動作することにより、当該カッタ支持ユニット141を掘削位置状態および交換位置状態へ移行してディスクカッタ131を掘削位置および交換位置に位置(移動)すると共に、貫通穴151a(穴内空間S
141)を介した前方空間S
100とチャンバS
113との連通状態、ならびに、前方空間S
100およびチャンバS
113と穴内空間S
141の遮断状態かつ交換作業空間S
131と穴内空間S
141との連通状態を切り替えることができるものである。
【0087】
回転支持ユニット142には、カッタ支持ユニット141を回転可能に支持するように、前壁161と側壁162と後壁163とが設けられており、側壁162には、交換位置状態のカッタ支持ユニット141における貫通穴151aに対応する筒状部材166,167が設けられている。
【0088】
筒状部材166,167は、一端の周縁部がカッタ支持ユニット141の外周面と対接可能な筒状の本体部191a,192aと、この本体部191a,192aにおける他端の周縁部から径方向外側へ延出するフランジ部191b,192bとから概略構成されている。
【0089】
ここで、本体部191a,192aにおける一端の周縁部には、カッタ支持ユニット141と筒状部材166,167(本体部191a,192a)との隙間を封止可能な第二のシール部材173,174が設けられており、フランジ部191b,192bの端面には、交換作業空間S
131と機内空間S
112とを隔離可能(筒状部材166,167における他端を閉塞可能)な蓋部材168,169が設けられている。
【0090】
また、側壁162には、棒状のねじ部材193,194が当該側壁162の径方向外側へ突出して設けられており、このねじ部材193,194には、筒状部材166,167のフランジ部191b,192bが摺動可能に係合されると共に、このフランジ部191b,192bの摺動方向両側に位置してナット195,196が螺合されている。
【0091】
よって、ナット195,196がねじ部材193,194に対して回転されると、当該ナット195,196がねじ部材193,194の延設方向(
図7においては、左右方向)に移動されると共に、筒状部材166,167(フランジ部191b,192b)がナット195,196に押圧されて同方向に移動されることになる。
【0092】
つまり、ナット195,196の動作(回転)によって筒状部材166,167を移動させることにより、本体部191a,192aにおける一端の周縁部すなわち第二のシール部材173,174をカッタ支持ユニット141の外周面に対して接近離反させることができる。なお、側壁162と筒状部材166,167との間、および、筒状部材166,167と蓋部材168,169との間には、それぞれシール部材197,198が介装されており、密閉性が確保されるようになっている。
【0093】
よって、カッタ支持ユニット141を交換位置状態としている(ディスクカッタ131を交換位置に位置させている)ときには、第二のシール部材173,174をカッタ支持ユニット141の外周面に密着(接近および対接)させることにより、カッタ交換時において前方空間S
100およびチャンバS
113からの機内空間S
112への掘削土砂の流入を確実に防ぐ(止水する)ことができる(
図7参照)。
【0094】
一方、カッタ支持ユニット141を回転支持ユニット142に対して回転動作する(ディスクカッタ131を掘削位置と交換位置との両位置間を移動する)ときには、第二のシール部材173,174をカッタ支持ユニット141の外周面から離脱(離反)させることにより、第二のシール部材173,174のカッタ支持ユニット141の外周面との摩擦(特に、貫通穴151a等の角部との干渉)による摩耗および損傷を防ぐことができる(
図8参照)。
【0095】
なお、カッタ支持ユニット141を掘削位置状態としている(ディスクカッタ131を掘削位置に位置させている)ときにも、第二のシール部材173,174をカッタ支持ユニット141の外周面に密着(接近および対接)させても良く、これにより、掘削時においても前方空間S
100およびチャンバS
113からの機内空間S
112への掘削土砂の流入を確実に防ぐ(止水する)ことができる(
図7参照)。
【0096】
本実施例に係るトンネル掘削機によれば、実施例1に係るトンネル掘削機による作用および効果に加え、カッタ支持ユニット141の外周面に対して第二のシール部材173,174を接近離反させるシール可動機構を備えたことにより、第二のシール部材173,174の摩耗および損傷を抑制することができる。
【0097】
なお、本実施例においては、筒状部材166,167とナット195,196とねじ部材193,194とにより、第二のシール部材173,174をカッタ支持ユニット141の外周面に対して接近離反させるシール可動機構を構成している。ここで、ナット195,196は、筒状部材166,167における一端の周縁部がカッタ支持ユニット141の外周面に対して接近離反するように筒状部材166,167を移動する動作部に相当し、ねじ部材193,194は、筒状部材166,167と係合して当該筒状部材166,167の移動を案内する案内部に相当する。
【0098】
もちろん、カッタ支持ユニット141と前壁161との間の隙間を封ずる第一のシール171,172をカッタ支持ユニット141の外周面に対して接近離反させる別途のシール可動機構(不図示)を設けるようにしても良い。このような別途のシール機構を設けることにより、第一のシール171,172の摩耗および損傷を抑制することができる。
【0099】
本発明に係るトンネル掘削機は、上述した実施例1および実施例2のように、カッタ支持ユニット41,141(支持本体部51,151)を略球状に形成したものに限定されない。本発明に係るトンネル掘削機におけるカッタ支持ユニットとしては、回転支持ユニットに対して回転可能であれば良く、例えば、支持本体部を貫通穴に沿った筒状に形成し、この支持本体部の端面を球面状に形成して回転支持ユニットと摺接させるようにしても良い。また、支持本体部をカッタ支持ユニットの回転軸に沿う(貫通穴の軸心と直交する軸心を有する)円柱状または円筒状に形成し、この支持本体部の周面を回転支持ユニットと摺接させるようにしても良い。
【0100】
また、本発明に係るトンネル掘削機は、上述した実施例1および実施例2のように、カッタ支持ユニット41,141をディスクカッタ31,131の回転軸と平行な回転軸周りに回転動作するように構成したものに限定されない。本発明に係るトンネル掘削機におけるカッタ支持ユニットとしては、支持したディスクカッタが他部材と干渉することなく回転支持ユニットに対して回転可能であれば良く、例えば、カッタ支持ユニットをディスクカッタの回転軸と平行でない(所定の角度を成す)方向(例えば、直交する方向)に延びる回転軸周りに回転動作するように構成するようにしても良い。
【0101】
また、本発明に係るトンネル掘削機は、上述した実施例1および実施例2のように、後壁63,163のトンネル後方から突出する延設管44,144を設けたものに限定されない。例えば、後壁63,163をヘッド後壁部12b,112bと密接して設ける、または、後壁63,163をヘッド後壁部12b,112bの一部として構成することにより、延設管44,144を省略することが可能である。
【0102】
また、本発明に係るトンネル掘削機は、上述した実施例1および実施例2のように、複数の筒状部材66,67,166,167および蓋部材68,69,168,169を設けたものに限定されない。例えば、ディスクカッタ31,131の交換作業に必須でない他方の筒状部材67,167を有底の(閉塞された)筒状に形成することにより、他方の蓋部材69,169を省略することができる。また、側壁62,162を支持本体部51,151の外周面に沿って形成し、筒状部材66,67,166,167を省略することもできる。
【0103】
また、本発明に係るトンネル掘削機は、上述した実施例1および実施例2に係るトンネル掘削機に限定されず、種々の変更が可能であり、本発明に係るトンネル掘削機におけるカッタ交換装置として、例えば、ディスクカッタを可動式とする機構(カッタ可動機構)を備えたものであっても良い。
【0104】
ここで、カッタ交換装置にディスクカッタを可動式とする機構を備えた構成例を
図9および
図10に示す。
図9および
図10に示した構成例は、上述した実施例1におけるカッタ交換装置32または実施例2におけるカッタ交換装置132に替えて、ディスクカッタを可動式とするカッタ可動機構を備えたカッタ交換装置232を採用したものであり、ディスクカッタを可動式とするカッタ可動機構を追設したことを除いて、上述した実施例1におけるカッタ交換装置32または実施例2におけるカッタ交換装置132と同様の構成を有するものである。よって、以下においては、上述した実施例1または実施例2と同様な構成についての重複説明は適宜省略する。
【0105】
図9に示すように、カッタ交換装置232は、カッタ支持ユニット241を回転機構243によって回転支持ユニット242に対して回転動作することにより、当該カッタ支持ユニット241を掘削位置状態および交換位置状態へ移行してディスクカッタ231を掘削位置および交換位置に位置(移動)すると共に、貫通穴251−1a(穴内空間S
241)を介した前方空間S
100とチャンバS
213との連通状態、ならびに、前方空間S
100およびチャンバS
213と穴内空間S
241の遮断状態かつ交換作業空間S
231と穴内空間S
241との連通状態を切り替えることができるものである。
【0106】
カッタ支持ユニット241には、その一部が前方空間S
100に臨むように回転支持ユニット242に収容される略球状の支持本体部251−1が設けられており、この支持本体部251−1には、カッタ支持ユニット241が掘削位置状態にある(ディスクカッタ231が掘削位置に位置している)ときに、前方空間S
100に臨んで開口すると共にトンネル後方に向けて貫通する(前方空間S
100とチャンバS
213とを連通する)貫通穴251−1aが形成されている。
【0107】
また、カッタ支持ユニット241には、ディスクカッタ231を着脱可能に支持して貫通穴251−1aに形成された摺動溝251−1b内において摺動可能な支持摺動部251−2と、この支持摺動部251−2を支持本体部251−1(貫通穴251−1aおよび摺動溝251−1b)に対して摺動(移動)する油圧シリンダ255とが設けられている。
【0108】
支持摺動部251−2には、ディスクカッタ231のカッタ本体部231aを収容可能な貫通穴251−2aと、ディスクカッタ231のカッタ軸部231bを設置可能な支持溝251−2bとが形成されており、ディスクカッタ231は、押さえ部材252によって支持溝251−2bに固定されるカッタ軸部231bに対して、カッタ本体部231aが回転軸C
231周りに回転されるようになっている。
【0109】
よって、油圧シリンダ255が伸縮動作されると、支持摺動部251−2が摺動溝251−1bに沿って(
図9においては、上下方向)移動されることになる。
【0110】
つまり、油圧シリンダ255の伸縮動作によって支持摺動部251−2を摺動(移動)させることにより、ディスクカッタ231を、支持本体部251−1および前壁261(ヘッド前壁部212a)に対して出没させることができる。
【0111】
よって、カッタ支持ユニット241を掘削位置状態としている(ディスクカッタ231を掘削位置に位置させている)ときには、油圧シリンダ255を伸長し、回転支持ユニット242に対するカッタ支持ユニット241の回転軌跡の範囲(
図9における二点鎖線参照)からディスクカッタ231の少なくとも一部が突出する突出位置とする(
図10参照)、すなわち、ディスクカッタ231を支持本体部251−1および前壁261(ヘッド前壁部212a)に対して突出させることにより、当該ディスクカッタ231による巨礫や岩盤の掘削を行うことができる。
【0112】
一方、カッタ支持ユニット241を回転支持ユニット242に対して回転動作する(ディスクカッタ231を掘削位置と交換位置との両位置間を移動する)ときには、油圧シリンダ255を縮長し、前記回転支持ユニットに対する前記カッタ支持ユニットの回転軌跡の範囲内に前記ディスクカッタの全部が収容される収容位置とする(
図9参照)、すなわち、ディスクカッタ231を支持本体部251−1内に収容することにより、ディスクカッタ231が周辺部材(回転支持ユニット242等)と干渉することなく、カッタ支持ユニット241を回転軸C
241周りに回転動作することができる。
【0113】
また、カッタ支持ユニット241を交換位置状態としている(ディスクカッタ231を交換位置に位置させている)ときにも、油圧シリンダ255を伸長してディスクカッタ231を支持本体部251−1に対して突出させることにより、機内空間S
212内の作業者は、カッタ支持ユニット241に支持されたディスクカッタ231に容易にアクセスすることができる(図示省略)。
【0114】
なお、図示しないロック機構を備え、掘削時に油圧シリンダ255を伸長してディスクカッタ231を突出させた状態(掘削状態)を維持し、回転時に油圧シリンダ255を縮長してディスクカッタ231を収容した状態(収容状態)を維持し、交換時に油圧シリンダ255を伸長してディスクカッタ231を突出させた状態(交換状態)を維持するようにしても良い。
【0115】
このとき、ディスクカッタ231の掘削状態と収容状態と交換状態とを同一のロック機構(不図示)によってロックおよびアンロックしても良く、また、ディスクカッタ231の掘削状態と収容状態と交換状態とをそれぞれ別々のロック機構(不図示)によってロックおよびアンロックしても良い。
【0116】
このように図示しないロック機構によってディスクカッタ231の掘削状態を維持可能とすることにより、掘削時にディスクカッタ231が後退してしまうことを防ぐと共に、油圧シリンダ255に掛かる負荷を軽減することができる。また、図示しないロック機構によってディスクカッタ231の収容状態および交換状態を維持可能とすることにより、カッタ支持ユニット241の回転時およびディスクカッタ231の交換時に油圧シリンダ255の誤作動等による不具合を防止することができる。
【0117】
このように、ディスクカッタ231を可動式とするカッタ可動機構を備えたカッタ交換装置232を採用することにより、カッタ支持ユニット241の回転動作時にディスクカッタ231をカッタ支持ユニット241の回転中心に近づける(ディスクカッタ231の回転軸C
231とカッタ支持ユニット241の回転軸C
241との距離を短くする)ことができるので、カッタ支持ユニット241を小さく構成することができる。つまり、カッタ可動機構によれば、上述した実施例1および実施例2に係るトンネル掘削機による作用および効果に加え、カッタ支持ユニット241(カッタ交換装置232)の形状寸法を小さく(小型化)することができ、トンネル掘削機におけるカッタ交換装置232の配置の自由度を向上させることができる。