【解決手段】 画素ずらし装置1は、画像投射光が通過する光透過部材17、並びに、該部材を、ある角度振幅及び周期で傾斜振動させる傾斜振動機構を備える。傾斜振動機構が、光透過部材17の傾斜中心軸を支える軸受13と、光透過部材17を往復傾斜運動させる付勢用電磁アクチュエータ20を備える。さらに、光透過部材17の傾斜運動の角度振幅を規定するホールド用電磁アクチュエータ30を備える。
前記光透過部材(17)を前記第一の傾斜角度位置と前記第二の傾斜角度位置の間の中立点に向けて付勢する傾斜復元バネ(12)をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の画素ずらし装置(1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光透過部材117の振動波形としては、極力矩形波に近いものが好ましい。しかしながら、例えば60Hzという高周波となると、アクチュエータに矩形波の駆動入力を与えても、光透過部材117の現実の動きの波形はなまってしまい、サインカーブに近いものになってしまう。
【0008】
本発明は、以下の一以上の点で改良された画素ずらし装置等を提供することを目的とする。
ア)光透過部材の動きの立ち上がりが早い。
イ)傾斜角度位置を正確に維持(ホールド)できる。
ウ)振動軌跡(波形)が極力矩形波に近い。
エ)傾斜角度振幅を容易に調整できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この「課題を解決するための手段」及び「特許請求の範囲」においては、添付図各部の参照符号を括弧書で示すことがあるが、これは単に参考のためであって、権利範囲を添付図のものに限定するものではない。
【0010】
本発明の画素ずらし装置(1)は、 画像投射光が通過する光透過部材(17)と、
該部材を、ある周期で、第一の傾斜角度位置と第二の傾斜角度位置とに交互に位置させる傾斜機構と、 を備える画素ずらし装置(1)であって、 前記傾斜機構が、 前記光透過部材(17)の傾斜中心軸を支える軸受(13)と、 前記光透過部材(17)を、前記二か所の傾斜角度位置に向けて交互に反転付勢する付勢用電磁アクチュエータ(20)と、 前記光透過部材(17)の二か所の傾斜角度位置に交互にホールドするホールド用電磁アクチュエータ(30)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の画素ずらし装置においては、 前記付勢用電磁アクチュエータ(20)を、周期的に変動する電流を印加されるコイル(23)を有するソレノイドとし、 前記ホールド用電磁アクチュエータ(30)を、2ポジションのステッピングモータとすることができる。
【0012】
本発明においては、前記付勢用電磁アクチュエータ(20)への入力波形を、
A1ステップ;前記光透過部材(17)の一方の傾斜角度位置に向かう立ち上がり段階における一定入力印加、
A2ステップ;A1ステップに続いて、オーバーラン抑制のため、A1ステップと逆方向に短時間一定入力印加、
A3ステップ;A2ステップに続いて、次の切り替え時まで入力印加なし、
A4ステップ;前記光透過部材(17)の他方の傾斜角度位置に向かう立ち上がり段階における一定入力印加、
A5ステップ;A4ステップに続いて、オーバーラン抑制のため、A4ステップと逆方向に短時間一定入力印加、
A6ステップ;A5ステップに続いて、次の切り替え時まで入力印加なし、
とすることができる。
上記A1〜A6は、
図5(A)と対比しやすいよう参考のために付したものであって、発明の範囲を
図5の内容に限定するものではない。
【0013】
本発明においては、前記ホールド用電磁アクチュエータ(30)への入力波形を、
B2ステップ又はC3ステップ;前記A1ステップ又は前記A4ステップの途中から、傾斜角度位置に向かう立ち上がり補助のため、一定入力印加、
B3ステップ又はC4ステップ;前記B2ステップの一定入力印加を継続して前記光透過部材(17)の傾斜角度位置をホールド、
B4ステップ又はC5ステップ;前記A3ステップ又は前記A6ステップの終了直前にホールドの一定入力印加を停止すると、バネのトルクにより、フラット位置に傾斜が
戻り、その時、発生した加速が、次の動作を補助し、立ち上がり時間を短縮できる。
上記B2〜B4及びC3〜C5は、
図5(B)・(C)と対比しやすいよう参考のために付したものであって、発明の範囲を
図5の内容に限定するものではない。
【0014】
本発明の画素ずらし装置においては、前記光透過部材(17)を、前記第一の傾斜角度位置と前記第二の傾斜角度位置の間の中立点に向けて付勢する傾斜復元バネ(12)をさらに備えることが好ましい。
【0015】
この傾斜復元バネ(12)の復元力と、前記ホールド用電磁アクチュエータ(30)の力のバランスにより、前記第一及び第二の傾斜角度位値、すなわち傾斜振幅のコントロールができる。つまりホールド用電磁アクチュエータ(30)に印加する入力により振幅幅を容易にコントロールできる。
【0016】
本発明のプロジェクターは、画像投射光学系中に、上記の画素ずらし装置(1)を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、光透過部材(17)の傾斜角度位置を正確に維持(ホールド)できる画素ずらし装置(1)、すなわち、光透過部材(17)が第一及び第二の傾斜角度位値である一定時間停止する(振動の軌跡的には、極力矩形波に近い)画素ずらし装置(1)を提供できる。あるいは、傾斜角度を容易に調整可能な画素ずらし装置(1)を提供できる。これにより、解像度向上効果の高いプロジェクターなどを提供できる。
【符号の説明】
【0019】
1;画素ずらし装置、
11;ベース、11b;ブリッジ部、11c;上部、11d;凹部、11e;駆動部収容部、
11f・11p;角部、11g・11q ;軸受穴、11j;右辺、11m;下辺、11s;左辺、11w;左壁、11x;凹部、11y;右壁、11z;マグネット収容部(凹部)、11zb;孔、11zf;内段部 、
11zj;メネジ、11zs;前側部
12;傾斜復元バネ(ネジレ板バネ)、12b;右上部分、12m;中央部分、12r;左下部分、12t;光路逃げ部、13;軸受、14;芯軸
15;ガラスフレーム、15b;上ツノ部、15d・15j・15m・15s;額縁部
15f・15p;角部、15w;後張り出し部、15y;上張り出し部、15z;孔、15zL・15zR;段部
17;光透過部材(ガラス板)
20;付勢用電磁アクチュエータ、21;マグネット(永久磁石)
23;空芯コイル、25;カバー(プリント基板)
30;ホールド用電磁アクチュエータ(ツーポジションのリニアステッピングモータ)、31;バックヨーク、33;マグネット、35;モータコイル、37;空芯コイル、39;鉄心
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明で、前後方向は画像投射光の光軸方向を示し、左右方向は前側から見た左右方向を示し、上下方向は図の上下方向を示す。各方向は、本発明にとって本質的な意味はなく、上下方向も地球重力の方向に限定されるものではない。
【0021】
まず、
図1・
図2を参照して、本発明の実施形態に係るプロジェクター用の画素ずらし装置1の全体的構成を説明する。
この画素ずらし装置1は、ガラス板(光透過部材)17と、同ガラス板17を傾斜振動させる傾斜振動機構を備える。ガラス板17には、画像の投影光が前後方向に透過する。ガラス板17を傾けると、それを通過する光は、二度屈折して、板の横方向にずれる。このずれた分だけ、画素が横ずれする。
【0022】
ガラス板17は、その周囲を、ガラスフレーム15(プラスチック製など)に保持されている。両者は接着剤で接着されている。この実施形態では、ガラス板17は略正方形状であり、ガラスフレーム15も略正方形の額縁状である。ガラスフレーム15は、四角い枠状の額縁部15d・15j・15m・15sを有する。同額縁部の内縁には、ガラス板17の四周縁の嵌め込まれる段部(図示されず)が形成されている。
【0023】
ガラスフレーム15の上額縁部15dの上の左右方向中央部には、上ツノ部(駆動部)15bが、上方に突出している。上ツノ部15bは、
図3を参照しつつ後述する付勢用電磁アクチュエータ20のマグネット21が固定されており、前後方向(
図1の紙面の表裏方向)に 往復駆動される。
【0024】
ガラスフレーム15の右上の角部15f、及び、左下の角部15pは、面取りされており、軸受13・13´の芯軸14(
図2参照)が植え込まれている。ガラスフレーム15は、これらの対向する二つの軸受13・13´の中心線(ガラス17の対角線上)の回りに、傾斜回動可能である。ガラスフレーム15の左上の角部には、上張り出し部15yが形成されている。この部位15yは、
図4を参照しつつ後述するように、ステッピングモータ30のマグネット33及びバックヨーク31を支持している。
【0025】
ベース11は、四角い枠上の部材であり、ガラスフレーム15の上下・左右を取り囲んでいる。ベース11は、プラスチック製、あるいは非磁性の金属ダイキャスト製などである。ベース11の上部11cの下部には、上記ガラスフレーム15の上ツノ部15bの入り込む凹部11dが形成されている。同凹部11dの上部は、比較的薄肉のブリッジ部11bが存在する。ベース11の右上の角部11f(上部11cと右辺11jの間)、及び、左下の角部11p(下辺11mと左辺11sの間)には、それぞれ、軸受穴11g(
図2参照)及び軸受穴11qが、内側から外に向けて彫り込まれている。この穴11g・11qに、軸受13・13´が嵌合し、圧入や接着、溶着などで固定されている。固定方法については、信頼性(振動、落下衝撃など)を考慮し、選択する。
【0026】
ベース11の左辺11sの上の角には、
図2・4に示すように、凹部11xが形成されている。凹部11xの左側は、左壁11w、右側は右壁11yとなっている。凹部11xには、上述のフレーム上張り出し部15yや、ステッピングモータ30のマグネット33が、入り込んでいる。
【0027】
軸受13は、中空円筒形である。軸受13は滑り軸受の場合、材質は、例えば、焼結軸受、真鍮やリン青銅、低摩擦樹脂などである。小型のニードルベアリングを用いることもできる。軸受13は、軸受穴11g・11qに固定されている。軸受13の内孔に、芯軸14が回転自在に嵌合する。芯軸14は、ガラスフレーム15の穴(図示されず)に圧入されている。
【0028】
ネジレ板バネ12(傾斜復元バネ)は、
図1の右上や、
図2の左上に示すように、全体の平面形状がH型の、薄いステンレスバネ鋼材などの板バネである。ネジレ板バネ12は、その右上部分12bと、左下部分12rと、両部をつなぐ中央部分12mからなる。右上部分12bと左下部分12rは、幅広の羽状である。左下部分12rの下辺は、浅いV字状の抉れ部12t(光路逃げ部)となっている。
【0029】
板バネ12の右上部分12bと左下部分12rの両端部には、
図2に示すように、ビス孔12f・12g・12v・12wが開いている。右上部分12bのビス孔12f・12gは、ビス121・122(
図1)によって、ベース11のメネジ121´・122´(
図2)に固定されている。左下部分12rのビス孔12v・12wは、
図1に示すように、ビス123・124(
図1)によって、ガラスフレーム15のメネジ123´・124´(
図2)に固定されている。
【0030】
このような構成により、ガラスフレーム15がベース11に対して傾くと、ネジレ板バネ12の中央部分12mが捻じれて、その傾きを元に戻そうとする復元力が生じる。ホールド時におけるガラスフレーム15の傾きは、詳しくは後述するが、ホールド用電磁アクチュエータ30のコイル39によるマグネット33の吸引力と、ネジレ板バネ12の復元力がバランスするところで定まる。したがって、ホールド用電磁アクチュエータ30のコイル37への印加電圧を変えることにより、ガラスフレーム15やガラス17のホールド角度(傾斜振幅)、すなわち、投射画像のズレをコントロールできる。
【0031】
ネジレ板バネは、ネジレトルクを調整して、そのヒステリシスにより、共振から発生する振動音を抑え込む効果もあり、その制振効果による静音が見込める。
【0032】
次に、
図3及び
図2を参照しつつ、付勢用電磁アクチュエータ20の詳細構造を説明する。なお、
図3は、
図1のV3−V3´断面の図である。
図3には、ガラスフレーム15の上ツノ部15bの断面が、立ち上がるように、示されている。同部15bの後面には、マグネット(永久磁石)21が埋め込まれている。
図3の最上部には、前後方向に延びる板状をした、ベース11のブリッジ部11bが、示されている。同ブリッジ部11bの下のベース11の上部には、駆動部収容部11eが形成されている。同収容部11eの後面には、プリント基板からなるカバー25が当てられている。
【0033】
カバー25の前面には、空芯コイル23が固定されている。空芯コイル23は、隙間を隔てて、上記マグネット21と対向している。空芯コイル23の前後方向の中心線は、マグネット21の中心線と一致している。空芯コイル23には、配線(図示されず)とプリント基板(カバー)25から、給電される。コイル23に通電すると、その電流の方向に応じて、マグネット21と反発あるいは吸引する磁場が生じる。これにより、ガラスフレーム15がベース11に対して傾斜駆動(付勢)される(ソレノイドの原理)。なお、ガラスフレーム15の傾斜の中心線は、二個の軸受13・13´を結ぶ対角線である。
【0034】
次に、
図4及び
図2を参照しつつ、ホールド用電磁アクチュエータ(ツーポジションのリニアステッピングモータ)30の詳細構造を説明する。なお、
図4は、
図1のV4−V4´断面の図である。
図4には、ガラスフレーム15の上張り出し部15yが、断面で示されている。上張り出し部15yには、前後に二か所の段部15zL及び15zRが形成されている。同段部15zには、マグネット33、及び、そのバックヨーク31が、接着剤などで固定されている。マグネット33、及び、バックヨーク31は、
図2の左上部に示すように、上下に長いバー状である。
【0035】
左側のマグネット33Lは、上張り出し部15yの左側に設けられており、次述するモータコイル35Lと対向している。右側のマグネット33Rは、上張り出し部15yの右側に設けられており、次述するモータコイル35Rと対向している。左側のマグネット33L・バックヨーク31Lの前後方向の位置は、右側のマグネット33R・バックヨーク31Rの前後方向の位置に対して、前側に少しズレている。このズレが、後述するように、ガラス17の傾斜の幅、すなわち画素ズレに関係している。
【0036】
モータコイル35L・35Rは、それぞれ、空芯コイル37L・37R、及び、その鉄心39L・39Rを有している。それらの部品は、ガラスフレーム15の上張り出し部15yを左右から挟むように設けられている。空芯コイル37L・37Rは、
図2の左上部に示す左右一対の凹部11zL・11zRのそれぞれに収容され固定されている。空芯コイル37は、
図2の左上部に示すように、上下に長い楕円状である。鉄心39は、空芯コイル35の内孔を、左右に貫通している。鉄心39は、
図2の左上部に示すように、上下・左右に広がる板状である。
【0037】
左側のモータコイル35Lに通電されて、その鉄心39Lが、マグネット33Lを引き付けるように磁化されると、ガラスフレーム15の上張り出し部15yは、後側に傾く。一方、右側のモータコイル35Rに通電されて、その鉄心39Rが、マグネット33Rを引き付けるように磁化されると、ガラスフレーム15の上張り出し部15yは、前側に傾く。
【0038】
次に、主に
図5を参照しつつ、この実施形態の画素ずらし装置の制御・動作について説明する。
図5は、実施形態の画素ずらし装置の各アクチュエータのコイルへの印加電圧波形や、ガラス板17の動作波形を模式的に示すグラフである。(A)は付勢用電磁アクチュエータ20のコイル23への入力(印加電圧)波形であり、(B)はホールド用電磁アクチュエータ30の二個のモータコイル35の一方への入力(印加電圧)波形であり、(C)は同モータコイル35の他方への入力(印加電圧)波形であり、(D)はガラス板17の動作波形である。
【0039】
図5(A)に示す付勢用電磁アクチュエータ(ソレノイド)20のコイル23への入力(印加電圧)波形は、グラフの左から右に向かって、以下のA1〜A6の6ステップの繰り返しである。
A1ステップ;駆動電圧+Vが印加される。傾斜角度位置の切り替え時の第一段階(立ち上がり段階)である。切り替え方向へ、短時間、ステップ上の付勢電圧A1を印加する。これにより、
図5(D)の左端部に右急上がりの線D1で示すように、ガラス板は急速に+方向に傾く。
【0040】
A2ステップ;電圧−Vが印加される。ガラスの+方向傾斜のオーバーラン抑制のため、逆方向電圧A2を極短時間かける。それでも、
図5(D)に示す跳ね上がりD2のように、少しオーバーランする場合もある。
A3ステップ;ガラス板17のホールド時(角度維持時)は電圧印加なしである。
A4ステップ;;A1ステップの逆方向の電圧を印加し、
図5(D)に右急下がりの線D4・D5で示すように、ガラス板は急速に−方向(+方向の逆方向)に傾く。
A5ステップ;A4ステップの逆方向の電圧を印加してオーバーランを抑制する。
A6ステップ;ガラス板17のホールド時(角度維持時)は電圧印加なしである。
【0041】
図5(B)に示すホールド用電磁アクチュエータ(2ポジションステッピングモータ)30のモータコイル35の一方への入力(印加電圧)波形は、グラフの左から右に向かって、以下のB1からB5の5ステップの繰り返しである。
B1ステップ;駆動電圧0。
図5(A)に対し、タイムラグの印加により、立ち上がりの加速(2段加速)を行う。
B2ステップ;印加電圧+V。加速に適し、また、ホールド(角度調整に適した)電圧を印加する。
B3ステップ;ホールド電圧印加を継続する。
図5(D)のD3に示すように、ガラス板の傾斜角度を一定に保持する。
B4ステップ;A3ステップの終わる直前に、印加電圧を0にして、ホールド入力を止める。電圧のカットにより、傾斜したガラスは、バネのトルクにより、ニュートラル位置(中立位置、フラット)に向けて加速し、次の立ち上がりに寄与する。
B5ステップ;駆動電圧0を継続し、逆傾斜位置への駆動とホールドを妨げない。
【0042】
図5(C)に示すホールド用電磁アクチュエータ30のモータコイル35の他方への入力は、上記
図5(B)に対し、位相ズレの逆方向の印加パターンで行う。また、(A),(B),(C)の印加パターンは、同周期である。
【0043】
D1ステップ;ガラス板17の+方向への傾斜が立ち上がる。
D2ステップ;+方向への傾斜が少しオーバーランする場合もある。
D3ステップ;+方向への傾斜がホールドされる。
D4ステップ・D5ステップ;+方向への傾斜から−方向の傾斜に切り替わる。このうち、D4ステップにおいては、ガラス板17やガラスフレーム15は、ネジレ板バネ12(傾斜復元バネ)の復元力で、傾斜のない中立点に戻る(D8ステップも同じ)。
D6ステップ;−方向への傾斜が少しオーバーランする場合もある。
D7ステップ;−方向への傾斜がホールドされる。
D8ステップ・D1ステップ;−方向への傾斜から+方向の傾斜に切り替わる。
【0044】
次に、ネジレ板バネ12(傾斜復元バネ)と、各ステップのコイル印加電圧との関係を説明する。ガラス板17の振幅幅は、ホールド用電磁アクチュエータ30のホールド電圧B3及びC4による同アクチュエータの出力と、ネジレ板バネ12の復元力(中立位置に戻ろうとする力)がバランスする位置に対応して定まる。つまり、ホールド用電磁アクチュエータ30に印加する電圧によりガラス板17の振幅幅をコントロールできる。
【0045】
上記の振幅幅のコントロールは、ネジレ板バネは、常時、ニュートラル位置(中立位置、フラット位置)に向かう付勢トルクが掛かっている。各アクチュエータ20・30のコイルに電圧を印加した時、電磁石の吸引力とネジレ板バネのトルクのバランスにより、倒れ位置が決まる。つまり、電磁石は、行き足らない状態(さらに傾こうとする力のかかった状態)で停止している。よって、電磁石の吸引力の強弱で、ガラス板17の停止する傾斜角度位置の調整が可能となり、通電をカットした時のネジレ板バネの復元力がレンズに加速を発生させ立ち上がり時間を短くする。よって、バネ圧の設定は、かなり重要な要素となる。