【解決手段】燃料極及び空気極は、所定の金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたオーステナイト系ステンレスとNiとCuとを原料とし、ステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とCuメタル微粉体とを均一に混合・分散したアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路を形成したポーラス構造の遷移金属薄板電極である。燃料極及び空気極では、ステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とCuメタル微粉体との仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属微粉体混合物の全重量に対するステンレスアロイ微粉体の重量比とNiメタル微粉体の重量比とCuメタル微粉体の重量比とが決定されている。
複数のセルを有するセルスタックを備え、前記セルが、燃料極及び空気極と、前記燃料極と前記空気極との間に位置する電極接合体膜と、前記燃料極の外側と前記空気極の外側とに位置するセパレータとから形成され、
前記燃料極及び前記空気極が、所定の金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたオーステナイト系ステンレスとNiとCuとを原料とし、前記オーステナイト系ステンレスを微粉砕したステンレスアロイ微粉体と前記Niを微粉砕したNiメタル微粉体と前記Cuを微粉砕したCuメタル微粉体とを均一に混合・分散したアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路を形成したポーラス構造の遷移金属薄板電極であり、
前記燃料極及び前記空気極では、前記ステンレスアロイ微粉体と前記Niメタル微粉体と前記Cuメタル微粉体との仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、前記アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対する前記ステンレスアロイ微粉体の重量比と前記Niメタル微粉体の重量比と前記Cuメタル微粉体の重量比とが決定されていることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
前記アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対する前記ステンレスアロイ微粉体の重量比が、47〜49%の範囲にあり、前記アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対する前記Niメタル微粉体の重量比が、47〜49%の範囲にあり、前記アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対する前記Cuメタル微粉体の重量比が、2〜6%の範囲にある請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
前記燃料極及び前記空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極の厚み寸法が、0.03mm〜0.3mmの範囲にある請求項1または請求項2記載の固体高分子形燃料電池。
前記燃料極及び前記空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極の空隙率が、15%〜30%の範囲にある請求項1ないし請求項3いずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
前記ステンレスアロイ微粉体と前記Niメタル微粉体と前記Cuメタル微粉体との粒径が、10μm〜200μmの範囲にある請求項1ないし請求項5いずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
前記燃料極及び前記空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極では、所定面積の薄板状に圧縮した前記アロイ・メタル金属微粉体混合物の焼成時に最も融点の低い前記Cuメタル微粉体が溶融し、溶融したCuメタル微粉体をバインダーとして前記ステンレスアロイ微粉体と前記Niメタル微粉体とが接合されている請求項1ないし請求項6いずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
前記オーステナイト系ステンレスが、SUS304とSUS316とSUS340とのうちの少なくとも1つであり、前記ステンレスアロイ微粉体が、SUS304アロイ微粉体とSUS316アロイ微粉体とSUS340アロイ微粉体とのうちの少なくとも1つである請求項1ないし請求項7いずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
前記固体高分子形燃料電池では、前記燃料極に供給される水素の雰囲気が相対湿度95%〜100%の範囲にあり、前記水素の温度が45℃〜55℃の範囲にある請求項1ないし請求項8いずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
前記固体高分子形燃料電池では、前記燃料極に供給される水素の供給圧力が+0.06MPa〜+0.08MPaの範囲にある請求項1ないし請求項9いずれかに記載の固体高分子形燃料電池。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の個体高分子形燃料電池のカソード電極及びアノード電極の作成方法は、以下のとおりである。炭素粒子に粒子径が3〜5nmの範囲にある白金微粒子を重量比で55%担持させた触媒担持炭素微粒子を作り、その触媒担持炭素微粒子1gに5重量%ナフィオン溶液を適量加えて攪拌し、カソード電極用の触媒ペーストを作る。カソード電極用の触媒ペーストを基材としてのカーボンペーパー上に8mg/cm
2の量で塗布した後、乾燥させて4cm×4cmのカソード電極を作製する。次に、白金微粒子に替えて粒子径が3〜5nmの範囲にある白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金微粒子(Ruの割合は60at%)を重量比で55%担持させた触媒担持炭素微粒子を作り、その触媒担持炭素微粒子1gに5重量%ナフィオン溶液を適量加えて攪拌し、アノード電極用の触媒ペーストを作る。アノード電極用の触媒ペーストを基材としてのカーボンペーパー上に8mg/cm
2の量で塗布した後、乾燥させて4cm×4cmのアノード電極を作製する。
【0005】
固体高分子形燃料電池の電極触媒として各種の白金担持カーボンが広く利用されている。しかし、白金族元素は、貴金属であり、その生産量に限りがある希少な資源であることから、その使用量を抑えることが求められている。さらに、今後の固体高分子形燃料電池の普及に向けて高価な白金以外の金属を利用した非白金触媒を有する廉価な電極の開発が求められている。
【0006】
本発明の目的は、白金族元素を使用することなく優れた触媒活性(触媒作用)を有する燃料極及び空気極を備え、非白金の燃料極及び空気極を使用して十分な電気を発電することができ、負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる固体高分子形燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の固体高分子形燃料電池の特徴は、複数のセルを有するセルスタックを備え、セルが、燃料極及び空気極と、燃料極と空気極との間に位置する電極接合体膜と、燃料極の外側と空気極の外側とに位置するセパレータとから形成され、燃料極及び空気極が、所定の金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたオーステナイト系ステンレスとNiとCuとを原料とし、オーステナイト系ステンレスを微粉砕したステンレスアロイ微粉体とNiを微粉砕したNiメタル微粉体とCuを微粉砕したCuメタル微粉体とを均一に混合・分散したアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路を形成したポーラス構造の遷移金属薄板電極であり、燃料極及び空気極では、ステンレスアロイアロイ微粉体とNiメタル微粉体とCuメタル微粉体との仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、遷移金属微粉体混合物の全重量に対するステンレスアロイアロイ微粉体の重量比とNiメタル微粉体の重量比とCuメタル微粉体の重量比とが決定されていることにある。
【0008】
本発明の固体高分子形燃料電池の一例としては、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するステンレスアロイ微粉体の重量比が、47〜49%の範囲にあり、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するNiメタル微粉体の重量比が、47〜49%の範囲にあり、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するCuメタル微粉体の重量比が、2〜6%の範囲にある。
【0009】
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、燃料極及び空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極の厚み寸法が、0.03mm〜0.3mmの範囲にある。
【0010】
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、燃料極及び空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極の空隙率が、15%〜30%の範囲にある。
【0011】
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、燃料極及び空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極の密度が、5.0g/cm
2〜7.0g/cm
2の範囲にある。
【0012】
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、ステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とCuメタル微粉体との粒径が、10μm〜200μmの範囲にある。
【0013】
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例として、燃料極及び空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極では、所定面積の薄板状に圧縮したアロイ・メタル金属微粉体混合物の焼成時に最も融点の低いCuメタル微粉体が溶融し、溶融したCuメタル微粉体をバインダーとしてステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とが接合されている。
【0014】
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例としては、オーステナイト系ステンレスが、SUS304とSUS316とSUS340とのうちの少なくとも1つであり、ステンレスアロイ微粉体が、SUS304アロイ微粉体とSUS316アロイ微粉体とSUS340アロイ微粉体とのうちの少なくとも1つである。
【0015】
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例として、固体高分子形燃料電池では、燃料極に供給される水素の雰囲気が相対湿度95%〜100%の範囲にあり、水素の温度が45℃〜55℃の範囲にある。
【0016】
本発明の固体高分子形燃料電池の他の一例として、固体高分子形燃料電池では、燃料極に供給される水素の供給圧力が+0.06MPa〜+0.08MPaの範囲にある。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る固体高分子形燃料電池によれば、それに使用される燃料極及び空気極が所定の金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたオーステナイト系ステンレスとNiとCuとを原料とし、燃料極及び空気極がオーステナイト系ステンレスから作られたステンレスアロイ微粉体とNiから作られたNiメタル微粉体とCuから作られたCuメタル微粉体とを均一に混合・分散したアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造の遷移金属薄板電極であり、ステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とCuメタル微粉体との仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するステンレスアロイ微粉体の重量比とNiメタル微粉体の重量比とCuメタル微粉体の重量比とが決定されているから、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が優れた触媒活性(触媒作用)を有し、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極及び空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。固体高分子形燃料電池は、燃料極及び空気極がオーステナイト系ステンレスとNiとCuとを原料とし、高価な白金族元素が使用されておらず、燃料極及び空気極が非白金の電極であるから、固体高分子形燃料電池を廉価に作ることができる。
【0018】
アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するステンレスアロイ微粉体の重量比が47〜49%の範囲にあり、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するNiメタル微粉体の重量比が47〜49%の範囲にあり、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するCuメタル微粉体の重量比が2〜6%の範囲にある固体高分子形燃料電池は、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するステンレスアロイ微粉体の重量比やNiメタル微粉体の重量比、Cuメタル微粉体の重量比を前記範囲にすることで、ステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とCuメタル微粉体との仕事関数の合成仕事関数を白金族元素の仕事関数に近似させることができ、燃料極及び空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が優れた触媒活性(触媒作用)を有し、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極及び空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0019】
燃料極及び空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極の厚み寸法が0.03mm〜0.3mmの範囲にある固体高分子形燃料電池は、燃料極及び空気極の厚み寸法を前記範囲にすることで、燃料極及び空気極の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極や空気極に電流をスムースに流すことができる。固体高分子形燃料電池は、燃料極及び空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を有するとともに、燃料極及び空気極に電流がスムースに流れるから、非白金の燃料極及び空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0020】
燃料極及び空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極の空隙率が15%〜30%の範囲にある固体高分子形燃料電池は、遷移金属薄板電極の空隙率を前記範囲にすることで、燃料極及び空気極が多数の微細な流路(通路孔)を有する多孔質に成型され、燃料極及び空気極の比表面積を大きくすることができ、それら流路を気体が通流しつつ気体を燃料極や空気極のそれら流路における接触面に広く接触させることが可能となり、燃料極や空気極が白金族元素と略同様の触媒活性(触媒作用)を確実に発揮し、非白金の燃料極及び空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0021】
燃料極及び空気極であるポーラス構造の遷移金属薄板電極の密度が5.0g/cm
2〜7.0g/cm
2の範囲にある固体高分子形燃料電池は、遷移金属薄板電極の密度を前記範囲にすることで、燃料極及び空気極が多数の微細な流路(通路孔)を有する多孔質に成型され、燃料極及び空気極の比表面積を大きくすることができ、それら流路を気体が通流しつつ気体を燃料極や空気極のそれら流路における接触面に広く接触させることが可能となり、燃料極や空気極が白金族元素と略同様の触媒活性(触媒作用)を確実に発揮し、非白金の燃料極及び空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0022】
ステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とCuメタル微粉体との粒径が10μm〜200μmの範囲にある固体高分子形燃料電池は、ステンレスアロイ微粉体やNiメタル微粉体、Cuメタル微粉体との粒径を前記範囲にすることで、燃料極及び空気極が多数の微細な流路(通路孔)を有する多孔質に成型され、燃料極及び空気極の比表面積を大きくすることができ、それら流路を気体が通流しつつ気体を燃料極や空気極のそれら流路における接触面に広く接触させることが可能となり、燃料極や空気極が白金族元素と略同様の触媒活性(触媒作用)を確実に発揮し、非白金の燃料極及び空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0023】
所定面積の薄板状に圧縮した金属微粉体混合物の焼成時に最も融点の低いCuメタル微粉体が溶融し、溶融したCuメタル微粉体をバインダーとしてステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とが接合されている固体高分子形燃料電池は、最も融点のCuメタル微粉体をバインダーとしてステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とを接合することで、多数の微細な流路(通路孔)を有するポーラス構造であるにもかかわらず、燃料極や空気極が高い強度を有してその形状を維持することができるから、燃料極や空気極の触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能であって優れた触媒活性(触媒作用)を有する非白金の燃料極や空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0024】
オーステナイト系ステンレスがSUS304とSUS316とSUS340とのうちの少なくとも1つであり、ステンレスアロイ微粉体がSUS304アロイ微粉体とSUS316アロイ微粉体とSUS340アロイ微粉体とのうちの少なくとも1つである固体高分子形燃料電池は、それに使用される燃料極及び空気極が所定の金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたSUS304、SUS316、SUS340のうちの少なくとも1つとNiとCuとを原料とし、燃料極及び空気極がSUS304アロイ微粉体、SUS316アロイ微粉体、SUS340アロイ微粉体のうちの少なくとも1つとNiメタル微粉体とCuメタル微粉体とを均一に混合・分散したアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路(通路孔)を形成したポーラス構造の遷移金属薄板電極であり、ステンレスアロイ微粉体とNiメタル微粉体とCuメタル微粉体との仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物の全重量に対するステンレスアロイ微粉体の重量比とNiメタル微粉体の重量比とCuメタル微粉体の重量比とが決定されているから、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極や空気極が優れた触媒活性(触媒作用)を有し、燃料極や空気極が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極及び空気極を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0025】
燃料極に供給される水素の雰囲気が相対湿度95%〜100%の範囲にあり、水素の温度が45℃〜55℃の範囲にある固体高分子形燃料電池は、相対湿度95%〜100%の雰囲気で燃料極に水素を供給するとともに、45℃〜55℃の温度で燃料極に水素を供給することで、燃料極の触媒活性が増加し、燃料電池の起電力が向上し、非白金の燃料極や空気極を使用して十分な電気を確実に発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを確実に供給することができる。
【0026】
燃料極に供給される水素の供給圧力が+0.06MPa〜+0.08MPaの範囲にある固体高分子形燃料電池は、+0.06MPa〜+0.08MPaの供給圧力で燃料極に水素を供給することで、燃料極の触媒活性が増加し、燃料電池の起電力が向上し、非白金の燃料極や空気極を使用して十分な電気を確実に発電することができ、燃料電池に接続された負荷に十分な電気エネルギーを確実に供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一例として示す固体高分子形燃料電池10の斜視図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る固体高分子形燃料電池の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、
図2は、セルスタック12を形成するセル11の一例を示す分解斜視図であり、
図3は、セル11の側面図である。
図4は、一例として示す燃料極13及び空気極14の斜視図であり、
図5は、燃料極13及び空気極14の一例として示す部分拡大正面図である。
図6は、燃料極13及び空気極14の他の一例として示す部分拡大正面図である。
図4では、厚み方向を矢印Xで示し、径方向を矢印Yで示す。
【0029】
固体高分子形燃料電池10は、複数のセル11を有するセルスタック12(燃料電池スタック)を備え、水素と酸素とを供給することで電気エネルギーを生成する。セルスタック12では、複数のセル11(単セル)が一方向へ重なり合って直列に接続されている。セル11の一例としては、
図2に示すように、燃料極13(アノード)及び空気極14(カソード)と、燃料極13及び空気極14の間に位置(介在)する固体高分子電解質膜15(電極接合体模)(スルホン酸基を有するフッ素系イオン交換膜)と、燃料極13の厚み方向外側に位置するセパレータ16(バイポーラプレート)と、空気極14の厚み方向外側に位置するセパレータ17(バイポーラプレート)とから形成されている。
【0030】
それらセパレータ16,17には、反応ガス(水素や酸素等)の供給流路が刻設されている(彫り込まれている)。セル11では、
図3に示すように、燃料極13や空気極14、固体高分子電解質膜15が厚み方向へ重なり合って一体化し、膜/電極接合体18(Membrane Electrode Assembly, MEA)を構成し、膜/電極接合体18をそれらセパレータ16,17が挟み込んでいる。固体高分子電解質膜15は、プロトン導電性があり、電子導電性がない。
【0031】
燃料極13とセパレータ16との間には、ガス拡散層19が形成され、空気極14とセパレータ17との間には、ガス拡散層20が形成されている。燃料極13とセパレータ16との間であってガス拡散層20の上部及び下部には、ガスシール21が設置されている。空気極14とセパレータ17との間であってガス拡散層20の上部及び下部には、ガスシール22が設置されている。
【0032】
固体高分子形燃料電池10(セル11)に使用する燃料極13及び空気極14は、前面23及び後面24を有するとともに、所定の面積及び所定の厚み寸法L1を有し、その平面形状が四角形に成形されている。燃料極13及び空気極14は、多数の微細な流路25(通路孔)を有するポーラス構造(多孔質)の遷移金属薄板電極26(アロイ・メタル遷移金属薄板電極)である。流路25(通路孔)には、ガス(気体)が通流する。なお、燃料極13や空気極14の平面形状に特に制限はなく、四角形の他に、その用途にあわせて円形や楕円形等の他のあらゆる平面形状に成形することができる。
【0033】
燃料極13及び空気極14(ポーラス構造の遷移金属薄板電極26)は、所定の金属(遷移金属)の仕事関数(物質から電子を取り出すのに必要なエネルギー)の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたオーステナイト系ステンレス31(アロイ遷移金属)とNi32(ニッケル)(メタル遷移金属)とCu33(銅)(メタル遷移金属)とを原料としている。オーステナイト系ステンレス31には、SUS304とSUS316とSUS340とのうちの少なくとも1つが使用されている。オーステナイト系ステンレス31としては、SUS304を使用することが好ましいが、SUS316、SUS340、SUS304+SUS316、SUS304+SUS340、SUS304+SUS316+SUS340のいずれかを使用することもできる。SUS304の仕事関数は、4.7(eV)、SUS316の仕事関数は、4.85(eV)、SUS340の仕事関数は、4.76(eV)、Ni32の仕事関数は、5.22(eV)であり、Cu33の仕事関数は、5.10(eV)である。
【0034】
燃料極13及び空気極14は、オーステナイト系ステンレス31を微粉砕したステンレスアロイ微粉体34(微粉状のオーステナイト系ステンレス)とNi32を微粉砕したNiメタル微粉体35(微粉状のNi)とCu33を微粉砕したCuメタル微粉体36(微粉状のCu)とを均一に混合・分散したアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37を所定面積の薄板状に圧縮してアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38とし、そのアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38を焼成することから作られている(
図10参照)。
【0035】
ステンレスアロイ微粉体34には、SUS304アロイ微粉体とSUS316アロイ微粉体とSUS340アロイ微粉体とのうちの少なくとも1つが使用されている。ステンレスアロイ微粉体34としては、SUS304を微粉砕したSUS304アロイ微粉体(微粉状のSUS304)を使用することが好ましいが、SUS316を微粉砕したSUS316アロイ微粉体(微粉状のSUS316)、SUS340を微粉砕したSUS340アロイ微粉体(微粉状のSUS340)、SUS304アロイ微粉体+SUS316アロイ微粉体、SUS304アロイ微粉体+SUS340アロイ微粉体、SUS304アロイ微粉体+SUS316アロイ微粉体+SUS340アロイ微粉体のいずれかを使用することもできる。
【0036】
燃料極13及び空気極14(ポーラス構造の遷移金属薄板電極26)では、所定面積の薄板状に圧縮したアロイ・メタル金属微粉体混合物37の焼成時に最も融点の低いCuメタル微粉体36が溶融し、溶融したCuメタル微粉体36をバインダーとしてステンレスアロイ微粉体34とNiメタル微粉体35とが接合されている。なお、オーステナイト系ステンレス31(SUS304、SUS316、SUS340)の融点は、1400〜1450℃、Ni32の融点は、1455℃であり、Cu33の融点は、1084.5℃である。
【0037】
燃料極13及び空気極14(ポーラス構造の遷移金属薄板電極26)では、ステンレスアロイ微粉体34(SUS304アロイ微粉体とSUS316アロイ微粉体とSUS340アロイ微粉体とのうちの少なくとも1つ)の仕事関数とNiメタル微粉体35の仕事関数とCuメタル微粉体36の仕事関数との合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するステンレスアロイ微粉体34の重量比が決定され、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するNiメタル微粉体35の重量比が決定されているとともに、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するCuメタル微粉体36の重量比が決定されている。
【0038】
アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量(100%)に対するステンレスアロイ微粉体34の重量比は、47〜49%の範囲、好ましくは、48%である。アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量(100%)に対するNiメタル微粉体35の重量比は、47〜49%の範囲、好ましくは、48%である。アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量(100%)に対するCuメタル微粉体36の重量比は、2〜6%の範囲、好ましくは、4%である。
【0039】
ステンレスアロイ微粉体34の重量比やNiメタル微粉体35の重量比、Cuメタル微粉体36の重量比が前記範囲外になると、それら微粉体34〜36の合成仕事関数を白金族元素の仕事関数に近似させることができないとともに、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37を圧縮した後に焼成して作られた燃料極13及び空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができない。
【0040】
固体高分子形燃料電池10は、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するステンレスアロイ微粉体34の重量比やNiメタル微粉体35の重量比、Cuメタル微粉体36の重量比を前記範囲にすることで、ステンレスアロイ微粉体34とNiメタル微粉体35とCuメタル微粉体36との仕事関数の合成仕事関数を白金族元素の仕事関数に近似させることができ、燃料極13及び空気極14が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13や空気極14が優れた触媒活性(触媒作用)を有し、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極13及び空気極14を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷30分な電気エネルギーを供給することができる。
【0041】
燃料極13及び空気極14(ポーラス構造の遷移金属薄板電極26)には、径が異なる多数の微細な流路25(通路孔)が形成されている。燃料極13及び空気極14は、多数の微細な流路25(通路孔)が形成されているから、それらの比表面積が大きい。それら流路25(通路孔)は、前面23に開口する複数の通流口27と後面24に開口する複数の通流口27とを有し、燃料極13や空気極14の前面23の通流口27と後面24の通流口27との間において前面23から後面24に向かって燃料極13や空気極14を貫通している。
【0042】
それら流路25は、燃料極13や空気極14の前面23と後面24との間において燃料極13や空気極14の厚み方向へ不規則に曲折しながら延びているとともに、燃料極13や空気極14の外周縁28から中心に向かって燃料極13や空気極14の径方向へ不規則に曲折しながら延びている。径方向へ隣接して厚み方向へ曲折して延びるそれら流路25は、径方向において部分的につながり、一方の流路25と他方の流路25とが互いに連通している。厚み方向へ隣接して径方向へ曲折して延びるそれら流路24は、厚み方向において部分的につながり、一方の流路25と他方の流路25とが互いに連通している。
【0043】
それら流路25(通路孔)の開口面積(開口径)は、厚み方向に向かって一様ではなく、厚み方向に向かって不規則に変化しているとともに、径方向に向かって一様ではなく、径方向に向かって不規則に変化している。それら流路25は、その開口面積(開口径)が大きくなったり、小さくなったりしながら厚み方向と径方向とへ不規則に開口している。また、前面23に開口する通流口27と後面24に開口する通流口27とは、その開口面積(開口径)が一様ではなく、その面積がすべて相違している。それら流路25(通路孔)の開口径や前後面23,24の通流口27の開口径は、1μm〜100μmの範囲にある。
【0044】
固体高分子形燃料電池10は、それに使用する燃料極13及び空気極14に厚み方向や径方向へ不規則に曲折しながら延びる複数の流路25(通路孔)が形成されているから、燃料極13や空気極14の比表面積が大きく、それら流路25(通路孔)をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極13及び空気極14のそれら流路25における接触面に広く接触させることができ、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を有効かつ最大限に利用することができる。
【0045】
燃料極13及び空気極14(ポーラス構造の遷移金属薄板電極26)は、それらの厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にある。燃料極13及び空気極14の厚み寸法L1が0.03mm未満では、それらの強度が低下し、衝撃が加えられたときに燃料極13や空気極14が容易に破損又は損壊し、それらの形状を維持することができない場合がある。燃料極13及び空気極14の厚み寸法L1が0.3mmを超過すると、燃料極13や空気極14の電気抵抗が大きくなり、燃料極13や空気極14に電流がスムースに流れず、固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することができず、燃料電池10に接続された負荷30(
図7参照)に十分な電気エネルギーを供給することができない。
【0046】
固体高分子形燃料電池10は、燃料極13及び空気極14の厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲、好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲にあるから、燃料極13や空気極14が高い強度を有してその形状を維持することができ、燃料極13や空気極14に衝撃が加えられたときの燃料極13や空気極14の破損や損壊を防ぐことができる。さらに、厚み寸法L1を前記範囲にすることで、燃料極13及び空気極14の電気抵抗を小さくすることができ、燃料極13や空気極14を電流がスムースに流れ、固体高分子形燃料電池10(セル11)において十分な電気を発電することができるとともに、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0047】
燃料極13及び空気極14(ポーラス構造の遷移金属薄板電極26)は、その空隙率が15%〜30%の範囲、好ましくは、20%〜25%の範囲にあり、その相対密度が70%〜85%の範囲、好ましくは、75%〜80%の範囲にある。燃料極13及び空気極14の空隙率が15%未満であって相対密度が85%を超過すると、燃料極13や空気極14に多数の微細な流路25(通路孔)や多数の微細な通流口27が形成されず、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができず、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を有効に利用することができない。燃料極13及び空気極14(ポーラス構造のアロイ薄板電極26)の空隙率が30%を超過し、相対密度が70%未満では、流路25(通路孔)や通流口27の開口面積(開口径)が必要以上に大きくなり、燃料極13や空気極14の強度が低下し、衝撃が加えられたときに燃料極13や空気極14が容易に破損または損壊し、その形状を維持することができない場合がある。
【0048】
固体高分子形燃料電池10は、それに使用する燃料極13及び空気極14の空隙率及び相対密度が前記範囲にあるから、燃料極13や空気極14が開口面積(開口径)の異なる多数の微細な流路25(通路孔)や開口面積(開口径)の異なる多数の微細な前後面23,24の通流口27を有する多孔質に成形され、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができ、それら流路25(通路孔)をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極13及び空気極14のそれら流路25における接触面に広く接触させることができるとともに、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を有効かつ最大限に利用することができる。
【0049】
固体高分子形燃料電池10は、燃料極13(遷移金属薄板電極26)及び空気極14(遷移金属薄板電極26)の空隙率を前記範囲にすることで、燃料極13及び空気極14が多数の微細な流路25(通路孔)や開口面積(開口径)の異なる多数の微細な前後面23,24の通流口27を有する多孔質に成型され、燃料極13及び空気極14の比表面積を大きくすることができ、それら流路25を気体が通流しつつ気体を燃料極13や空気極14のそれら流路25における接触面に広く接触させることが可能となり、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を確実に発揮し、非白金の燃料極13及び空気極14を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0050】
燃料極13及び空気極14(ポーラス構造の遷移金属薄板電極26)は、その密度が5.0g/cm
2〜7.0g/cm
2の範囲、好ましくは、5.5g/cm
2〜6.5g/cm
2の範囲にある。燃料極13及び空気極14の密度が5.0g/cm
2未満では、燃料極13や空気極14の強度が低下し、衝撃が加えられたときに燃料極13や空気極14が容易に破損または損壊し、その形状を維持することができない場合がある。燃料極13及び空気極14の密度が7.0g/cm
2を超過すると、燃料極13や空気極14に多数の微細な流路25(通路孔)や開口面積(開口径)の異なる多数の微細な前後面23,24の通流口27が形成されず、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができず、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を有効に利用することができない。
【0051】
固体高分子形燃料電池10は、燃料極13及び空気極14の密度が前記範囲にあるから、燃料極13や空気極14が多数の微細な流路25(通路孔)や開口面積(開口径)の異なる多数の微細な前後面23,24の通流口27を有する多孔質に成形され、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができ、それら流路25(通路孔)をガス(気体)が通流しつつガス(気体)を燃料極13や空気極14のそれら流路25における接触面に広く接触させることができるとともに、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を有効かつ最大限に利用することができる。
【0052】
固体高分子形燃料電池10は、燃料極13(遷移金属薄板電極26)及び空気極14(遷移金属薄板電極26)の密度を前記範囲にすることで、燃料極13及び空気極14が多数の微細な流路25(通路孔)や開口面積(開口径)の異なる多数の微細な前後面23,24の通流口27を有する多孔質に成型され、燃料極13及び空気極14の比表面積を大きくすることができ、それら流路25を気体が通流しつつ気体を燃料極13や空気極14の接触面に広く接触させることが可能となり、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を確実に発揮し、非白金の燃料極13及び空気極14を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0053】
ステンレスアロイ微粉体34(SUS304アロイ微粉体とSUS316アロイ微粉体とSUS340アロイ微粉体とのうちの少なくとも1つ)の粒径やNiメタル微粉体35の粒径、Cuメタル微粉体36の粒径は、10μm〜200μmの範囲にある。ステンレスアロイ微粉体34やNiメタル微粉体35、Cuメタル微粉体36の粒径が10μm未満では、それら微粉体35〜36によって流路25(通路孔)や通流口27が塞がれ、燃料極13や空気極14に多数の微細な流路25や通流口27を形成することができず、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができず、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を有効に利用することができない。
【0054】
ステンレスアロイ微粉体34やNiメタル微粉体35、Cuメタル微粉体36の粒径が200μmを超過すると、流路25(通路孔)の開口面積(開口径)や前後面23,24の通流口27の開口面積(開口径)が必要以上に大きくなり、燃料極13や空気極14に多数の微細な流路25や多数の微細な通流口27を形成することができず、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができず、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を有効に利用することができない。
【0055】
固体高分子形燃料電池10は、燃料極13及び空気極14を形成するステンレスアロイ微粉体34やNiメタル微粉体35、Cuメタル微粉体36の粒径が前記範囲にあるから、燃料極13や空気極14が開口面積(開口径)の異なる多数の微細な流路25(通路孔)や開口面積(開口径)の異なる多数の微細な前後面23,24の通流口27を有する多孔質に成型され、燃料極13や空気極14の比表面積を大きくすることができ、それら流路25を気体が通流しつつ気体を燃料極13や空気極14のそれら流路25における接触面に広く接触させることができるとともに、燃料極13や空気極14の触媒活性(触媒作用)を有効かつ最大限に利用することができる。
【0056】
図7は、固体高分子形燃料電池10の発電を説明する図であり、
図8は、燃料極13及び空気極14の起電圧試験の結果を示す図である。
図9は、燃料極13及び空気極14のI−V特性試験の結果を示す図である。固体高分子形燃料電池10では、
図7に示すように、燃料極13(電極)に水素(燃料)が供給され、空気極14(電極)に空気(酸素)が供給される。
【0057】
燃料極13に供給される水素(燃料)の雰囲気(燃料の相対湿度)は、相対湿度95%〜100%の範囲、好ましくは、100%であり、水素の温度は、45℃〜55℃の範囲、好ましくは、49℃〜51℃の範囲にある。燃料極13に供給される水素には、燃料極13に供給される前に蒸気発生器(図示せず)から蒸気が供給され、その雰囲(燃料の相対湿度)が95%〜100%(好ましくは、100%)に上昇するとともに、その温度が45℃〜55℃(好ましくは、49℃〜51℃)に上昇する。
【0058】
燃料極13に供給される水素の供給圧力及び空気極14に供給される空気の供給圧力は、+0.06MPa〜+0.08MPaの範囲、好ましくは、+0.07MPaである。固体高分子形燃料電池10では、燃料極13に供給する水素及び空気極14に供給する空気を(給気)圧送する給気ポンプ(図示せず)が設置され、給気ポンプによって燃料極13に供給される水素の供給圧力が+0.06MPa〜+0.08MPaの範囲、好ましくは、+0.07MPaに昇圧されるとともに、給気ポンプによって空気極14に供給する空気の供給圧力が+0.06MPa〜+0.08MPaの範囲、好ましくは、+0.07MPaに昇圧される。
【0059】
燃料極13(電極)では、水素がH
2→2H
++2e
−の反応(触媒作用)によってプロトン(水素イオン、H
+)と電子とに分解される。その後、プロトンが固体高分子電解質膜15内を通って空気極14へ移動し、電子が導線29内を通って空気極14へ移動する。固体高分子電解質膜15には、燃料極13で生成されたプロトンが通流する。空気極14(電極)では、固体高分子電解質膜15から移動したプロトンと導線29を移動した電子とが空気中の酸素と反応し、4H
++O
2+4e→2H
2Oの反応によって水が生成される。
【0060】
燃料極13(電極)や空気極14(電極)は、仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたオーステナイト系ステンレス31(アロイ遷移金属)とNi32(メタル遷移金属)とCu33(メタル遷移金属)とを原料とし、ステンレスアロイ微粉体34(SUS304アロイ微粉体とSUS316アロイ微粉体とSUS340アロイ微粉体とのうちの少なくとも1つ)とNiメタル微粉体35とCuメタル微粉体36との仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するステンレスアロイ微粉体34の重量比とNiメタル微粉体35の重量比とCuメタル微粉体36の重量比とが決定されているから、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を示し、水素がプロトンと電子とに効率よく分解される。
【0061】
起電圧試験では、水素ガスを注入してから15分の間、電極(燃料極13や空気極14)と電極(燃料極13や空気極14)との間(電極間)の電圧(V)を測定した。
図7の起電圧試験の結果を示す図では、横軸に測定時間(min)を表し、縦軸に電極(燃料極13や空気極14)と電極(燃料極13や空気極14)との間(電極間)の電圧(V)を表す。白金族元素を利用した(担持させた)電極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池では、
図7の起電圧試験の結果を示す図から分かるように、電極間の電圧が1.079(V)前後であったのに対し、非白金の電極(燃料極13や空気極14)を使用した固体高分子形燃料電池10では、電極(燃料極13や空気極14)と電極(燃料極13や空気極14)との間(電極間)の電圧(起電力)が1.04(V)〜1.02(V)であった。
【0062】
I−V特性試験では、電極(燃料極13や空気極14)と電極(燃料極13や空気極14)との間(電極間)に負荷30を接続し、電圧と電流との関係を測定した。
図8のI−V特性試験の結果を示す図では、横軸に電流(A)を表し、縦軸に電圧(V)を表す。燃料極13(非白金電極)及び空気極14(非白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池10では、
図8のI−V特性試験の結果を示す図から分かるように、白金族元素を利用した(担持させた)電極(白金電極)を使用した固体高分子形燃料電池の電圧降下率と大差のない結果が得られた。
図7の起電圧試験の結果や
図8のI−V特性試験の結果に示すように、白金族元素を利用していない非白金の燃料極13及び空気極14が電子を放出させて水素イオンとなる反応を促進させる優れた触媒作用を有するとともに、白金を利用した電極と略同様の酸素還元機能(触媒作用)を有することが確認された。
【0063】
固体高分子形燃料電池10は、それに使用される燃料極13及び空気極14が所定の金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたオーステナイト系ステンレス31(SUS304とSUS316とSUS340とのうちの少なくとも1つ)(アロイ遷移金属)とNi32(メタル遷移金属)とCu33(メタル遷移金属)とを原料とし、オーステナイト系ステンレス31から作られたステンレスアロイ微粉体34(SUS304アロイ微粉体とSUS316アロイ微粉体とSUS340アロイ微粉体とのうちの少なくとも1つ)とNi32(ニッケル)から作られたNiメタル微粉体35とCu33(銅)から作られたCuメタル微粉体36とを均一に混合・分散したアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37を所定面積の薄板状に圧縮した後に焼成して多数の微細な流路25や通流口27を形成したポーラス構造の遷移金属薄板電極14であり、ステンレスアロイ微粉体34とNiメタル微粉体35とCuメタル微粉体36との仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するステンレスアロイ微粉体34の重量比とNiメタル微粉体35の重量比とCuメタル微粉体36の重量比とが決定されているから、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、燃料極13や空気極14が優れた触媒活性(触媒作用)を有し、燃料極13や空気極14が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することで、非白金の燃料極13及び空気極14を使用して十分な電気を発電することができ、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することができる。
【0064】
固体高分子形燃料電池10は、燃料極13及び空気極14がオーステナイト系ステンレス31(SUS304とSUS316とSUS340とのうちの少なくとも1つ)(アロイ遷移金属)とNi32(メタル遷移金属)とCu33(メタル遷移金属)とを原料とし、高価な白金族元素が使用されておらず、燃料極13及び空気極14が非白金の電極であるから、固体高分子形燃料電池10を廉価に作ることができる。
【0065】
固体高分子形燃料電池10は、相対湿度95%〜100%の雰囲気の水素(燃料)を燃料極13に供給し、45℃〜55℃の温度の水素を燃料極13に供給し、+0.06MPa〜+0.08MPaの供給圧力で燃料極13に水素を供給するとともに+0.06MPa〜+0.08MPaの供給圧力で空気極14に空気(酸素)を供給することで、燃料極13や空気極14の触媒活性が増加し、燃料電池10の起電力が向上し、非白金の燃料極13や空気極14を使用して十分な電気を確実に発電することができ、燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを確実に供給することができる。
【0066】
図10は、燃料極13及び空気極14の製造方法を説明する図である。燃料極13(電極)及び空気極14(電極)は、
図10に示すように、金属微粉体作成工程S1、微粉体重量比決定工程S2、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物作成工程S3、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物作成工程S4、遷移金属薄板電極作成工程S5を有する電極製造方法によって製造される。電極製造方法は、所定の金属の仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように選択されたオーステナイト系ステンレス31(SUS304とSUS316とSUS340とのうちの少なくとも1つ)(アロイ遷移金属)とNi32(メタル遷移金属)とCu33(メタル遷移金属)とを原料として燃料極13(電極)及び空気極14(電極)を製造する。
【0067】
金属微粉体作成工程S1では、オーステナイト系ステンレス31を微粉砕してステンレスアロイ微粉体34(SUS304アロイ微粉体(微粉状のSUS304)とSUS316アロイ微粉体(微粉状のSUS316)とSUS340アロイ微粉体(微粉状のSUS340)とのうちの少なくとも1つ)を作り、Ni32を微粉砕してNiメタル微粉体35(微粉状のNi)を作るとともに、Cu33を微粉砕してCuメタル微粉体36(微粉状のCu)を作る。
【0068】
金属微粉体作成工程S1では、微粉砕機によってオーステナイト系ステンレス31(SUS304とSUS316とSUS340とのうちの少なくとも1つ)を10μm〜200μmの粒径に微粉砕し、微粉砕機によってNi32を10μm〜200μmの粒径に微粉砕するとともに、微粉砕機によってCu33を10μm〜200μmの粒径に微粉砕する。
【0069】
電極製造方法は、オーステナイト系ステンレス31やNi32、Cu33を10μm〜200μmの粒径に微粉砕することで、多数の微細な流路25(通路孔)及び開口面積(開口径)の異なる多数の微細な前後面23,24の通流口27を有する多孔質に成型されて比表面積が大きいポーラス構造の遷移金属薄板電極26を作ることができ、それら流路25を気体が通流しつつ気体を燃料極13及び空気極14のそれら流路25における接触面に広く接触させることが可能な非白金の燃料極13及び空気極14を作ることができる。
【0070】
微粉体重量比決定工程S2では、金属微粉体作成工程S1によって作られたオーステナイトアロイ微粉体34とNiメタル微粉体35とCuメタル微粉体36との仕事関数の合成仕事関数が白金族元素の仕事関数に近似するように、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するオーステナイトアロイ微粉体34の重量比を決定し、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するNiメタル微粉体35の重量比を決定するとともに、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するCuメタル微粉体36の重量比を決定する。
【0071】
微粉体重量比決定工程S2では、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量(100%)に対するステンレスアロイ微粉体34の重量比を47〜49%の範囲(好ましくは48%)で決定し、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量(100%)に対するNiメタル微粉体35の重量比を47〜49%の範囲(好ましくは48%)で決定するとともに、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量(100%)に対するCuメタル微粉体36の重量比を2〜6%の範囲(好ましくは2%)で決定する。
【0072】
電極製造方法は、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37の全重量に対するステンレスアロイ微粉体34の重量比やNiメタル微粉体35の重量比、Cuメタル微粉体36の重量比を前記範囲において決定することで、ステンレスアロイ微粉体34とNiメタル微粉体35とCuメタル微粉体36との仕事関数の合成仕事関数を白金族元素の仕事関数に近似させることができ、燃料極13(電極)や空気極14(電極)が白金族元素を含む電極と略同一の仕事関数を備え、白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮することができ、優れた触媒活性(触媒作用)を有して触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能な固体高分子形燃料電池10の非白金の燃料極13及び空気極14を作ることができる。
【0073】
アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物作成工程S3では、微粉体重量比決定工程S2によって決定した重量比のステンレスアロイ微粉体34と微粉体重量比決定工程S2によって決定した重量比のNiメタル微粉体35と微粉体重量比決定工程S2によって決定した重量比のCuメタル微粉体36とを混合機に投入し、混合機によってステンレスアロイ微粉体34、Niメタル微粉体35、Cuメタル微粉体36を攪拌・混合し、ステンレスアロイ微粉体34、Niメタル微粉体35、Cuメタル微粉体36が均一に混合・分散したアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37を作る。
【0074】
アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物作成工程S4では、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物作成工程S3によって作られたアロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37を所定圧力で加圧し、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37を所定面積の薄板状に圧縮したアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38を作る。アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物作成工程S4では、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37を金型に入れ、金型をプレス機によって加圧(プレス)するプレス加工によってアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38を作る。
【0075】
プレス加工時におけるプレス圧(圧力)は、500Mpa〜800Mpaの範囲にある。プレス圧(圧力)が500Mpa未満では、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38(遷移金属薄板電極26)に形成される流路25(通路孔)や通流口27の開口面積(開口径)が大きくなり、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38(遷移金属薄板電極26)の厚み寸法L1を0.03mm〜0.3mm(好ましくは、0.05mm〜0.1mm)にしつつ開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)や通流口27をアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38(遷移金属薄板電極26)に形成することができない。
【0076】
プレス圧(圧力)が800Mpaを超過すると、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38(遷移金属薄板電極26)に形成される流路25(通路孔)や通流口27の開口面積(開口径)が必要以上に小さくなり、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38(遷移金属薄板電極26)の厚み寸法L1を0.03mm〜0.3mm(好ましくは、0.05mm〜0.1mm)にしつつ開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)や通流口27をアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物49(遷移金属薄板電極14)に形成することができない。
【0077】
電極製造方法は、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物37を前記範囲の圧力で加圧(圧縮)することで、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38(遷移金属薄板電極26)の厚み寸法L1を0.03mm〜0.3mm(好ましくは、0.05mm〜0.1mm)にしつつ開口径が1μm〜100μmの範囲の多数の微細な流路25(通路孔)や通流口27を形成したアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38(遷移金属薄板電極26)を形成することができる。電極製造方法は、厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲(好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲)の燃料極13(電極)及び空気極14(電極)を作ることができるから、電気抵抗を小さくすることができ、電流をスムースに流すことが可能な固体高分子形燃料電池10の非白金の燃料極13及び空気極14を作ることができる。
【0078】
遷移金属薄板電極作成工程S5では、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物作成工程S4によって作られたアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38を炉(電気炉)に投入し、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物37を炉において所定温度で焼成(焼結)して多数の微細な流路25(通路孔)や通流口27を形成したポーラス構造の遷移金属薄板電極26(燃料極13及び空気極14)を作る。
【0079】
遷移金属薄板電極作成工程S5では、最も融点の低いCuメタル微粉体36を溶融させる温度でアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38を長時間焼成する。焼成(焼結)時間は、3時間〜6時間である。遷移金属薄板電極作成工程S5では、所定面積の薄板状に圧縮したアロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物38の焼成時において、最も融点の低いCuメタル微粉体36が溶融し、溶融したCuメタル微粉体36をバインダーとしてステンレスアロイ微粉体34とNiメタル微粉体35とを接合(固着)する。
【0080】
電極製造方法は、金属微粉体作成工程S1や微粉体重量比決定工程S2、アロイ・メタル遷移金属微粉体混合物作成工程S3、アロイ・メタル遷移金属微粉体圧縮物作成工程S4、遷移金属薄板電極作成工程S5の各工程によって厚み寸法L1が0.03mm〜0.3mmの範囲(好ましくは、0.05mm〜0.1mmの範囲)であって多数の微細な流路13(通路孔)や通流口27を形成した燃料極13(電極)及び空気極14(電極)を製造することができ、白金族元素を使用しない非白金の燃料極13及び空気極14を廉価に作ることができるとともに、優れた触媒活性(触媒作用)を有して触媒機能を十分かつ確実に利用することが可能な燃料極13及び空気極14を作ることができる。
【0081】
電極製造方法は、それによって作られた燃料極13(電極)及び空気極14(電極)が白金族元素を含む電極と略同様の触媒活性(触媒作用)を発揮するから、固体高分子形燃料電池10において十分な電気を発電することが可能であって固体高分子形燃料電池10に接続された負荷30に十分な電気エネルギーを供給することが可能な非白金の燃料極13及び空気極14を作ることができる。
【0082】
電極製造方法は、最も融点のCuメタル微粉体36をバインダーとしてステンレスアロイ微粉体34とNiメタル微粉体35とを接合することで、多数の微細な流路25(通路孔)や通流口27を有するポーラス構造の遷移金属薄板電極26(燃料極13及び空気極14)を作ることができるとともに、高い強度を有して形状を維持することができ、衝撃が加えられたときの破損や損壊を防ぐことが可能な非白金の燃料極13(電極)及び空気極14(電極)を作ることができる。