【解決手段】外函11は、モールドコイルの他方の端面に対向する基板部11aと基板部11aの対向辺から同方向に延設された一対の側板部11bとを一体に有して構成する。側板部11bの基板部11aとは反対側の部分に少なくとも内面から外側に窪んだ凹溝11b1を形成する。固定板12の端部12aを凹溝11bに係合させる。外函11に凸部11b2を形成し、固定板12に凹部12bを形成する。凸部11b2と凹部12bにより、外函11と固定板12との係合方向の相対移動を規制して、抜け止め部とする。
前記抜け止め部は、前記凹溝と前記対向辺の端部との、一方に形成された凸部と他方に形成された凹部とで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁コイル。
前記固定板の前記対向辺の端部の同一側端部に、前記外函の前記平行な凹溝から離間する方向に傾斜したテーパ面が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電磁コイル。
前記外函の前記凹状係合部が、前記基板部と平行なスリットであり、前記固定板の前記凸状係合部が前記対向辺の端部から突出して前記スリットに係合する凸部であることを特徴とする請求項1に記載の電磁コイル。
プランジャに連結された弁部材により弁ポートを開閉する電磁弁であって、請求項1乃至6の何れか一項に記載の電磁コイルを、前記プランジャを作動させる作動部に備えたことを特徴とする電磁弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電磁コイルは、外函と下板とをカシメにより固定するようにしているので、組立工程に手間を要する。
【0005】
本発明は、電磁コイルの組立を容易にする電磁コイル及び電磁弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の電磁コイルは、モールドコイルと、前記モールドコイルの一方の端面に装着された固定板と、前記モールドコイルの他方端面と側面とを覆う3面からなる外函と、を備えた電磁コイルであって、前記外函は、前記モールドコイルの前記他方の端面に対向する基板部と該基板部の対向辺から中心軸と平行に同方向にそれぞれ延設された一対の側板部とを一体に有して構成されるとともに、前記一対の側板部に少なくとも内面から外側に窪んだ凹状係合部を有し、前記固定板の対向辺に前記凹状係合部に係合する凸状係合部を有し、前記外函と前記固定板とは該外函と該固定板との係合方向の相対移動を規制する抜け止め部を有し、前記外函が、前記一対の凹状係合部を前記固定板の凸状係合部に係合させることで前記固定板に固定されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の電磁コイルは、請求項1に記載の電磁コイルであって、前記外函の前記凹状係合部が、前記基板部と平行な凹溝であり、前記固定板の前記凸状係合部が前記対向辺の端部であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の電磁コイルは、請求項2に記載の電磁コイルであって、前記抜け止め部は、前記凹溝と前記対向辺の端部との、一方に形成された凸部と他方に形成された凹部とで構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の電磁コイルは、請求項3に記載の電磁コイルであって、前記固定板の前記対向辺の端部の同一側端部に、前記外函の前記平行な凹溝から離間する方向に傾斜したテーパ面が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の電磁コイルは、請求項4に記載の電磁コイルであって、前記外函は、自然状態において前記一対の側板部と前記基板部との成す内角の角度が90°未満であることを特徴とする。
【0011】
請求項6の電磁コイルは、請求項1に記載の電磁コイルであって、前記外函の前記凹状係合部が、前記基板部と平行なスリットであり、前記固定板の前記凸状係合部が前記対向辺の端部から突出して前記スリットに係合する凸部であることを特徴とする。
【0012】
請求項7の電磁弁は、プランジャに連結された弁部材により弁ポートを開閉する電磁弁であって、請求項1乃至6の何れか一項に記載の電磁コイルを、前記プランジャを作動させる作動部に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至6の電磁コイルによれば、外函の一対の側板部の凹状係合部が固定板の凸状係合部に係合し、外函と固定板とはその係合方向の相対移動が抜け止め部により規制されるので、外函と固定板とをカシメ等を必要としないで確実に固定することができる。したがって、組立を容易にすることができる。
【0014】
請求項5の電磁コイルによれば、外函は、自然状態において一対の側板部と基板部との成す内角の角度が90°未満であるので、この一対の側板部の間に配置される固定板を外函の弾性力により外函の一対の側板部と固定板との隙間が無くなることで、確実に固定することができるとともに、ガタツキ防止と、磁気効率低下防止となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の電磁コイル及び電磁弁の実施形態について図面を参照して説明する。以下の各実施形態の電磁弁はパイロット式電磁弁の例である。
図1は第1実施形態の電磁弁の非通電時の縦断面図、
図2は第1実施形態の電磁コイルの
図1のA矢視側面図である。なお、以下の説明における「上下」の概念は
図1の図面における上下に対応する。この第1実施形態の電磁弁は実施例1の電磁コイル及び実施例2の電磁コイルを適用するものであるが、この
図1では実施例1の電磁コイルについて図示してある。また、後述の第2実施形態の電磁弁は実施例3の電磁コイルを適用するものである。この第1実施形態の電磁弁は、電磁コイル10と、金属製の本体部20と、この本体部20の上部に設けられた作動部30とを有している。
【0017】
電磁コイル10は、外函11と、固定板12と、モールドコイル13とを備えて構成され、固定板12はモールドコイル13のモールド樹脂13aとのインサート成形により、モールドコイル13と一体に設けられている。また、モールドコイル13は、ボビン13bに円筒状のコイル13cを巻回し、これらをモールド樹脂13aで一体成形したものである。そして、電磁コイル10は、外函11の基板部11aに形成されたネジ孔11cを介してネジNにより作動部30の吸引子33に固定されている。外函11及び固定板12の詳細については後述する。
【0018】
本体部20は、例えば冷媒等の流体が流入する高圧の一次側継手20Aと、流体が流出する二次側継手20Bと、一次側継手20A及び二次側継手20Bと直交する軸線Lを中心軸とするホルダ部20Cと、ホルダ部20Cにねじ込みにより固定されたシリンダ部20Dとを有している。一次側継手20A、二次側継手20B及びホルダ部20Cは一体に形成され、シリンダ部20Dはホルダ部20Cと同軸に取り付けられている。
【0019】
また、本体部20には、一次側継手20Aと二次側継手20Bとの間に隔壁21が形成され、隔壁21のホルダ部20C側には主弁座22が形成されている。主弁座22には円形開口をなす主弁ポート22aが形成されるとともに、主弁座22の回りには薄型円形の弁室23が形成されている。また、シリンダ部20Dはホルダ部20Cから作動部30側に延在されるとともに、このシリンダ部20Dの内部には円柱形状のガイド孔24が形成され、このガイド孔24内には外形が略円柱形状のピストン弁25が内挿されている。なお、一次側継手20A内にはストレーナ26が配設され、このストレーナ26は一次側継手20Aの端部に装着されたプラグ27により固定されている。
【0020】
ピストン弁25は、外側を覆う金属製(例えば真鍮製)のピストン部25aとその内側に配設された樹脂製(例えばPTFE製)のシール部25bとを相互に圧入することにより一体に形成したものである。ピストン弁25は主弁ポート22aに対向して配置され、弁室23の底部とピストン弁25との間には概略円錐台形状の開弁ばね25cが圧縮して配設されている。この開弁ばね25cのばね力によりピストン弁25は主弁座22から離間する方向(開弁方向)に付勢されている。そして、シール部25bはピストン弁25が主弁座22に着座したときに、主弁ポート22aを閉じる。
【0021】
また、シール部25bには中心にパイロットポート25dと導通路25eとが形成されており、パイロットポート25dは導通路25e及び主弁ポート22aを介して二次側継手20Bに導通される。また、パイロットポート25dの周囲はパイロット弁座25d1となっている。なお、ピストン弁25とシリンダ部20Dのガイド孔24との間にはクリアランスが設けられ、このクリアランスを介して一次側継手20A側の流体がピストン弁25の背空間に流入可能となっている。
【0022】
作動30は、軸線Lを中心とする円筒形状のプランジャケース31と、プランジャケース31内に内挿された磁性体からなるプランジャ32と、プランジャケース31の上端に固定された磁性体からなる吸引子33と、プランジャ32と吸引子33との間に配設されたプランジャばね34と、を備えている。
【0023】
プランジャケース31は、シリンダ部20Dに対してガイド孔24と同軸にして嵌合され、このプランジャケース31とシリンダ部20Dの端部の周囲がろう付け等により固着されている。また、プランジャ32は、プランジャケース31内で軸線L方向(上下方向)に摺動可能に配設されている。プランジャ32の下端部には円錐状のパイロット弁32aが形成されており、このパイロット弁32aは、ピストン弁25のパイロットポート25dを開閉する。
【0024】
以上の構成により、実施形態の電磁弁は冷凍サイクルシステムに設けられ、一次側継手20Aの高圧の冷媒が流入し、二次側継手20Bから冷媒が流出する。電磁コイル10に通電がなされていないとき(非通電持)は
図1の状態となり、プランジャばね34の付勢力及びプランジャ32の自重により、プランジャ32が吸引子33から離間した位置となる。このときパイロット弁32aがパイロットポート25dを弁閉状態とする。また、パイロット弁32aと共にピストン弁25が下降して主弁ポート22aを閉状態とし、冷媒の通路は遮断される。このとき、ピストン弁25の背空間が高圧となり、ピストン弁25による弁閉状態が確実に保持される。
【0025】
電磁コイル10に通電がなされると、吸引子33とプランジャ32との間に吸引力が発生してプランジャ32が上昇し、パイロット弁32aがパイロットポート25dから離間する。これにより、ピストン弁25の背空間が二次側継手20Bに導通して低圧となる。これにより、ピストン弁25の背空間と一次側継手20A内の圧力差によって生じる上昇力と、開弁ばね25cのばね力によりピストン弁25は主弁ポー22aから離間して弁開状態となり、冷媒が一次側継手20Aから二次側継手20Bに流れる。
【0026】
(実施例1)
図3は実施例1の電磁コイルの外函11の3面図、
図4は実施例1の電磁コイルの固定板12の2面図である。外函11は、モールドコイル13の他方の端面131に対向する基板部11aと、基板部11aの対向辺から中心軸Lと平行に同方向にそれぞれ延設された一対の側板部11b,11bとを一体に有して構成されている。また、外函11は、一対の側板部11b,11bの基板部11aとは反対側の部分において、少なくとも内面から外側に窪んだ「凹状係合部」としての凹溝11b1を有している。凹溝11b1は、
図3(B)のように基板部11aの板面と平行であり、この凹溝11b1の幅は固定板12の厚みより僅かに大きくなっており、これにより、外函の凹溝11b1を固定板12の端部12aに係合させる際、圧入とならず、入れ易く、ガタツキの出にくい程度の寸法になっている。また、凹溝11b1はその長さ方向の端の部分の途中で途切れており、この途切れた部分は「抜け止め部」としての凸部11b2となっている。また、外函11は、
図3(A)に示すように、自然状態において一対の側板部11b,11bと基板部11aとの成す内角の角度が90°より僅かに小さな角度(90°未満)となっている。
【0027】
固定板12は対向辺の端部12a,12aが、外函11の凹溝11b1に係合する「凸状係合部」となっている。また、固定板12の端部12a,12aにおいて外函11の前記凸部11b2に対応する位置に「抜け止め部」としての凹部12bが形成され、さらに、この凹部12bより外側には、凹部12bから離れる方向の端部(同一側端部)にいくに従って端部12a,12aよりも内側に傾斜したテーパ面12cが形成されている。すなわち、テーパ面12cは、外函11の前記凹溝11b1から離間する方向に傾斜している。
【0028】
以上の構成により、モールドコイル13と一体に設けられた固定板12に対して、外函11を嵌合する。すなわち、外函11の凸部11b2を挟む凹溝11b1,11b1の内の長い方の凹溝11b1側を、固定板12のテーパ面12cに嵌め込み、外函11の凹溝11b1内に固定板12の端部12aを嵌合した状態で、固定板12に対して外函11をスライドさせる。そして、固定板12のテーパ面12cが外函11の凸部11b2を乗り越え、固定板12の凹部12bにこの凸部11b2を嵌め込む。
【0029】
このように、外函11の一対の側板部11b,11bにおける凹溝11b1,11b1(凹状係合部)を、固定板12の端部12a,12a(凸状係合部)に係合させることで、外函11が固定板12に固定される。また、凸部11b2と凹部12bとの嵌合により、外函11と固定板12とは係合方向の相対移動が規制され、抜け止めされる。また、外函11は、自然状態において一対の側板部11b,11bと、基板部11aとの成す内角の角度が90°未満であるので、一対の側板部11b,11bの間に配置される固定板12を外函11の弾性力により外函11の一対の側板部11bと固定板12との隙間が無くなることで、固定板12の端部12aが外函の凹溝11b1に確実に引っかかるため、確実に固定することができるとともに、外函11の一対の側板部11bと固定板12との隙間が無くなり、ガタツキ防止と、磁気効率低下防止となる。
【0030】
(実施例2)
図5は実施例2の電磁コイルの外函11′の3面図、
図6は実施例2の電磁コイルの固定板12′の2面図である。外函11′は、
図2に示す実施例1の外函11と同様に、モールドコイル13の他方の端面131に対向する基板部11a′と、基板部11a′の対向辺から中心軸Lと平行に同方向にそれぞれ延設された一対の側板部11b′,11b′とを一体に有して構成されている。また、外函11′は、一対の側板部11b′,11b′の基板部11a′とは反対側の部分において、少なくとも内面から外側に窪んだ「凹状係合部」としての凹溝11b1′を有している。凹溝11b1′は、
図5(B)のように基板部11a′の板面と平行であり、この凹溝11b1′の幅は固定板12′の厚みより僅かに大きくなっており、これにより、外函の凹溝11b1′を固定板12′の端部12a′に係合させる際、圧入とならず、入れ易く、ガタツキの出にくい程度の寸法になっている。また、凹溝11b1′はその長さ方向の端の部分の途中で途切れており、この途切れた部分は「抜け止め部」としての凹部11b2′となっている。さらに、この凹部11b2′より外側には、凹部11b2′から離れる方向の端部にいくに従って凹溝11b1′,11b1′よりも外側に傾斜したテーパ面11b3′が形成されている。すなわち、テーパ面11b3′は、固定板12′から離間する方向に傾斜している。また、外函11′は、
図5(A)に示すように、自然状態において一対の側板部11b′,11b′と基板部11a′との成す内角の角度が90°より僅かに小さな角度(90°未満)となっている。
【0031】
固定板12′は対向辺の端部12a′,12a′が、外函11′の凹溝11b1′に係合する「凸状係合部」となっている。また、固定板12′の端部12a′,12a′において外函11′の前記凹部11b2′に対応する位置に「抜け止め部」としての凸部12b′が形成されている。
【0032】
以上の構成により、モールドコイル13と一体に設けられた固定板12′に対して、外函11′を嵌合する。すなわち、外函11′のテーパ面11b3′側を、固定板12の凸部12b′とは反対側に嵌め込み、外函11′の凹溝11b1′内に固定板12′の端部12a′を嵌合した状態で、固定板12′に対して外函11′をスライドさせる。そして、固定板12′の凸部12b′が外函11′のテーパ面11b3′を乗り越え、外函11′の凹部11b2′にこの凸部12b′を嵌め込む。
【0033】
このように、外函11′の一対の側板部11b′,11b′における凹溝11b1′,11b1′(凹状係合部)を、固定板12′の端部12a′,12a′(凸状係合部)に係合させることで、外函11′が固定板12′に固定される。また、凹部11b2′と凸部12b′との嵌合により、外函11′と固定板12′とは係合方向の相対移動が規制され、抜け止めされる。また、外函11′は、自然状態において一対の側板部11b′,11b′と、基板部11a′との成す内角の角度が90°未満であるので、一対の側板部11b′,11b′の間に配置される固定板12′を外函11′の弾性力により外函11′の一対の側板部11b′と固定板12′との隙間が無くなることで、固定板12′の端部12a′が外函の凹溝11b1′に確実に引っかかるため、確実に固定することができるとともに、外函11′の一対の側板部11b′と固定板12′との隙間が無くなり、ガタツキ防止と、磁気効率低下防止となる。
【0034】
図7は第2実施形態の電磁弁の弁閉状態の縦断面図であり、
図1の第1実施形態と同様な要素には
図1と同符号を付記して重複する説明は適宜省略する。この第2実施形態の電磁弁において第1実施形態の電磁弁と異なるところは後述する実施例3の電磁コイル10″を適用している点である。
【0035】
実施例3の電磁コイル10″は、
図7に示すように、外函11″の基板部11a″の内面とモールドコイル13との間に板バネ14を備えている。この板バネ14は基板部11a″を固定側としてモールドコイル13を軸線L方向で固定板12″側に付勢するものである。すなわち、前記第1実施形態の電磁コイル10においては、固定板12の両端は外函11の側板部11b,11bの凹溝11b1内に嵌合されているので、固定板12は軸線L方向に移動不可能となっている。これに対して実施例3では、固定板12″と外函11″だけでは、固定板12″が軸線L方向にずれるような構造となっている。そこで、上記板バネ14によりモールドコイル13を介して固定板12″を外函11″の側板部11b″,11b″の後述するスリット11b1″の奥の凹部11b2″の片側内面に押圧し、固定板12″を側板部11b″,11b″に固定する。
【0036】
(実施例3)
図8は実施例3の電磁コイルの外函11″の3面図、
図9は実施例3の電磁コイルの固定板12″の2面図である。外函11″は、モールドコイル13の他方の端面131に対向して板バネ14に圧接される基板部11a″と、基板部11a″の対向辺から中心軸Lと平行に同方向にそれぞれ延設された一対の側板部11b″,11b″とを一体に有して構成されている。また、外函11″は、一対の側板部11b″,11b″の基板部11a″とは反対側の部分において片側の端面から切り欠かれた「凹状係合部」としてのスリット11b1″を有している。スリット11b1″は、基板部11a″の板面と平行であり、このスリット11b1″の入口の幅は固定板12″の厚みより僅かに大きくなっており、これにより、外函11″のスリット11b1″を固定板12″の端部12a″に係合させる際、圧入とならず、入れ易く、ガタツキの出にくい程度の寸法になっている。また、スリット11b1″の奥には「抜け止め部」としての凹部11b2″が形成されている。また、外函11″は、
図8(A)に示すように、自然状態において一対の側板部11b″,11b″と基板部11a″との成す内角の角度が90°より僅かに小さな角度(90°未満)となっている。
【0037】
固定板12″は対向辺の端部12a″,12a″には、同一側端部の近傍に「凸状係合部」及び「抜け止め部」としての凸部12b″,12b″が形成されている。この凸部12b″,12b″は外函11″のスリット11b1″の奥の凹部11b2″に係合する。
【0038】
以上の構成により、モールドコイル13と一体に設けられた固定板12″に対して、外函11″を嵌合する。すなわち、固定板12″の端部12a″,12a″を、外函11″の側板部11b″,11b″の間に嵌め込むようにして、固定板12″に対して外函11″をスライドさせて、外函11″のスリット11b1″を、固定板12″の凸部12b″に嵌め込む。そして、凹部11b2″,11b2″を、固定板12″の凸部12b″,12b″に嵌め込む。嵌め込むと、前述の通り、板バネ14の付勢力により、凹部11b2″、11b2″は、凸部12b″、12b″に軸線L方向に押し付けられる。
【0039】
また、板バネ14の付勢力による軸線L方向に押し付け力による凸部12b″と凹部11b2″との嵌合により、外函11″と固定板12″とは係合方向の相対移動が規制され、抜け止めされることで、外函11″が固定板12″に固定される。また、外函11″は、自然状態において一対の側板部11b″,11b″と、基板部11a″との成す内角の角度が90°未満であるので、一対の側板部11b″,11b″の間に配置される固定板12″を外函11″の弾性力により外函11″の一対の側板部11b″と固定板12″との隙間が無くなることで、確実に固定することができるとともに、外函11″の一対の側板部11b″と固定板12″との隙間が無くなり、ガタツキ防止と、磁気効率低下防止となる。
【0040】
図10は、外函の一対の側板部における凹状係合部と、固定板における凸状係合部の変形例を示す図である。
図10(A)の変形例1は、固定板12の板厚を厚くして、この固定板12の端部に突条12cを形成したものである。そして、突条12cを外函の側板部11bの凹溝11b1に嵌合するとともに、突条12cの両側の肩部12c1を側板部11bの裏側に当接させるものである。
図10(B)の変形例2は、固定板12に突条12cを形成し、この突条12cの片側の肩部12c1を側板部11bの裏側に当接させるものである。
図10(C)は実施例1の場合であるが、これに対して
図10(D)の変形例3は、側板部11bに押込み部11b3と曲げ部11b4を形成することにより凹溝11b1を形成したものである。
【0041】
なお、上述の第1実施形態から第2実施形態では、外函の表面への塗装の有無には触れなかったが、外函の表面には塗装を施しても、施さなくてもよい。外函の表面に塗装を施した場合、従来のカシメ固定方式では、カシメることにより外函の塗装にクラックや剥がれが生じ易く、外観意匠を損なう虞があった。しかし、本発明の第1実施形態から第2実施形態の構成とすることで、塗装を行った場合にも外観の外観意匠を損なうことがない。
【0042】
また、上述の第1実施形態から第2実施形態では、側板部に設けられる凹状係合部としての凹溝や、スリットは、外函の一対の側板部の基板部とは反対側の部分に設けられるとしていたが、基板部とは反対側の部分に限定するものではなく、側板部の中央部や、基板部に近い側に設ける等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で側板部のどこに設けてもよい。なお、背景技術では、下板(固定板)と記載しており、固定板は従来技術の下板と同じとしており、上述の第1実施形態から第2実施形態の各図でも、固定板をモールドコイルの下側に配置している。しかし、下側に限られることはなく、上側や横側に固定板が配置され、他の3面側に外函が配置された構成でもよい。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。