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特開2020-36004静電チャック、これを備える貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-36004(P2020-36004A)
(43)【公開日】2020年3月5日
(54)【発明の名称】静電チャック、これを備える貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20200207BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20200207BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20200207BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20200207BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H02N13/00 D
   G02F1/13 101
   G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-145752(P2019-145752)
(22)【出願日】2019年8月7日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0102193
(32)【優先日】2018年8月29日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519260120
【氏名又は名称】エーピーエス ホールディングス コーポレイション
(71)【出願人】
【識別番号】510223380
【氏名又は名称】エーピー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム シャンオ
(72)【発明者】
【氏名】パク ヒイン
(72)【発明者】
【氏名】イム ヒョンムン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
5F131
【Fターム(参考)】
2H088FA17
2H088FA18
2H088FA29
2H088FA30
2H088HA01
2H088HA05
2H088MA20
2H189AA53
2H189AA57
2H189AA64
2H189AA70
2H189CA13
2H189FA81
2H189HA12
2H189LA02
2H189LA07
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA60
5F131CA09
5F131CA18
5F131EA10
5F131EB14
5F131EB18
5F131EB53
5F131EB56
5F131EB78
(57)【要約】
【課題】端縁部が曲面である被処理物を支持し易く、端縁部が曲面である被処理物を支持する際に、被処理物の曲面領域において支持の不良が生じることを抑制できるようにする。
【解決手段】平面部FA及び該平面部の端縁部から外側に向かって延設された曲面部CAを備える被処理物S1を支持する静電チャック2000は、被処理物S1の平面部FAの後方に対応して位置するように配設される静電フィルム2200、及び被処理物S1の曲面部CAの後方に対応して位置する可動の支持ブロック2400を備える。本発明によれば、静電チャック2200と被処理物S1との間に隙間又は締め代の発生を低減でき、被処理物の破損及び被処理物同士の貼り合わせ時の位置合わせ不良の発生が抑制され、また防止することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部及び該平面部の端縁部から外側に向かって延設された曲面部を備える被処理物を支持する静電チャックであって、
前記被処理物の平面部の後方に対応して位置するように配設される静電フィルムと、
前記被処理物の曲面部の後方に対応して位置する可動の支持ブロックと、
を備える静電チャック。
【請求項2】
前記被処理物が収容される凹部を有するボディを備え、
前記凹部を画成する前記ボディの内壁に前記静電フィルム及び支持ブロックが配設される請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記支持ブロックにおける前記被処理物の曲面部と向かい合う支持面は、前記曲面部に見合う曲率を有する形状である請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記静電フィルムの後方に位置し、伸縮可能な弾性力を有する第1のクッション部を備える請求項1に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記支持ブロックは、前記被処理物から加えられる外力により後方に可動である請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記支持ブロックの後方に位置し、伸縮可能な弾性力を有する第2のクッション部を備える請求項5に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記第2のクッション部は、前記支持ブロックの幅方向の外側に位置する第1のクッション部材及び前記支持ブロックの上側に位置する第2のクッション部材を備える請求項6に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記支持ブロックの支持面に配設可能な粘着部材、及び前記支持ブロックの支持面に真空吸込み力が生じるように前記支持ブロックの内部に配設可能な吸込み管を有する吸込み部のうちの少なくとも一方を備える請求項6に記載の静電チャック。
【請求項9】
前記支持ブロックの後方に位置し、供給される流体により膨張可能であり、前記流体の排出により収縮可能な膨張部材を備え、
前記支持ブロックは、前記膨張部材の膨張により前記被処理物が位置する前方に可動である請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の静電チャック。
【請求項10】
前記被処理物が収容される凹部を有するボディを備え、
前記支持ブロックと前記ボディとを連結するように配設され、前記支持ブロックを前記膨張部材の膨張により移動する前の状態に戻す戻し力を有する戻し部材を備える請求項9に記載の静電チャック。
【請求項11】
前記膨張部材は、前記支持ブロックの幅方向の外側に位置する第1の膨張部材及び前記支持ブロックの上側に位置する第2の膨張部材を備える請求項10に記載の静電チャック。
【請求項12】
前記戻し部材は、前記支持ブロックの幅方向に延設されて、前記支持ブロックと前記ボディとを連結する第1の戻し部材、及び前記支持ブロックの高さ方向に延設されて、前記支持ブロックと前記ボディとを連結する第2の戻し部材を備える請求項11に記載の静電チャック。
【請求項13】
平面部及び該平面部の端縁部から外側に向かって延設され、曲率を有する形状を持つ曲面部を備える第1の被処理物に第2の被処理物を貼り合わせる貼り合わせ装置であって、
内部空間を有するチャンバーと、
前記チャンバーの内部に位置して昇降可能であり、一方の面に前記第1の被処理物が支持可能な静電チャックと、
前記チャンバーの内部において前記静電チャックと対向する押付部と、
中空状であり、前記静電チャックと押付部との間に位置可能であり、前記第2の被処理物をクランプして支持するトレイと、
を備え、
前記静電チャックは、前記第1の被処理物の平面部と対応する領域と、前記曲面部と対応する領域とに分割されており、前記曲面部と対応する領域が可動である貼り合わせ装置。
【請求項14】
前記静電チャックは、
前記第1の被処理物の平面部の後方に対応して位置するように配設される静電フィルムと、
前記第1の被処理物の曲面部の後方に対応して位置する可動の支持ブロックと、
を備える請求項13に記載の貼り合わせ装置。
【請求項15】
前記支持ブロックにおける前記第1の被処理物の曲面部と向かい合う支持面は、前記曲面部に見合う曲率を有する形状である請求項14に記載の貼り合わせ装置。
【請求項16】
前記静電フィルムの後方に位置し、伸縮可能な弾性力を有する第1のクッション部を備える請求項15に記載の貼り合わせ装置。
【請求項17】
前記支持ブロックの後方に位置して、伸縮可能な弾性力を有する第2のクッション部を備え、
前記支持ブロックは、前記第2のクッション部により前記第1の被処理物から加えられる外力により後方に可動である請求項14〜16のうちのいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
【請求項18】
前記支持ブロックの支持面に配設可能な粘着部材、及び前記支持ブロックの支持面に真空吸込み力が生じるように前記支持ブロックの内部に配設可能な吸込み管を有する吸込み部のうちの少なくとも一方を備える請求項17に記載の貼り合わせ装置。
【請求項19】
前記静電チャックは、
前記支持ブロックの後方に位置し、供給される流体により膨張可能であり、前記流体の排出により収縮可能な膨張部材と、
前記支持ブロックに連結されるように配設されて、前記支持ブロックを前記膨張部材の膨張により移動する前の状態に戻す戻し力を有する戻し部材と、
を備え、
前記支持ブロックは、前記膨張部材の膨張により前記第1の被処理物が位置する前方に可動であり、前記膨張部材の収縮及び前記戻し部材の戻し力により後方に可動である請求項14〜16のうちのいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
【請求項20】
平面部及び該平面部の端縁部から外側に向かって延設され、曲率を有する形状を持つ曲面部を備える第1の被処理物に第2の被処理物を貼り合わせる方法であって、
前記第1の被処理物を静電チャックに支持させる過程と、
前記静電チャックと対向する中空状のトレイに第2の被処理物を支持させる過程と、
前記第1の被処理物と第2の被処理物とが近づくように前記静電チャックと前記トレイとを移動して、前記第1の被処理物に第2の被処理物を貼り合わせる過程と、
を含み、
前記第1の被処理物を前記静電チャックに支持させる過程は、前記静電チャックのうち前記第1の被処理物の曲面部と対応する支持ブロックを移動する過程を含む貼り合わせ方法。
【請求項21】
前記第1の被処理物を前記静電チャックに支持させる過程は、
前記第1の被処理物の平面部が前記静電チャックの静電フィルムと対向し、前記曲面部が前記静電フィルムの端縁部から外側に向かって延設され、前記曲面部を向く支持面が前記曲面部に対応する曲面状である前記支持ブロックと向かい合うように配置する過程と、
前記第1の被処理物を前記静電チャックに向かって移動して、前記第1の被処理物と前記静電チャックとを互いに接触する過程と、
を含み、
前記支持ブロックを移動する際に、
前記第1の被処理物から前記静電チャックに印加される外力により前記支持ブロックを後方に移動する請求項20に記載の貼り合わせ方法。
【請求項22】
前記第1の被処理物を前記静電チャックに支持させる過程は、
前記第1の被処理物の平面部が前記静電チャックの静電フィルムと対向し、前記曲面部が前記静電フィルムの端縁部から外側に向かって延設され、前記曲面部を向く支持面が前記曲面部に対応する曲面状である前記支持ブロックと向かい合うように配置する過程と、
前記第1の被処理物を前記静電チャックに向かって移動して、前記第1の被処理物と前記静電チャックとを互いに接触する過程と、
を含み、
前記支持ブロックを移動する際に、
前記支持ブロックを前記第1の被処理物の曲面部に向かって移動して、前記支持ブロックの支持面を前記第1の被処理物の曲面部と接触させる請求項20に記載の貼り合わせ方法。
【請求項23】
前記第1の被処理物から前記静電チャックに印加される外力により前記支持ブロックが後方に移動する際に、
前記支持ブロックの後方に位置するクッション部の収縮により前記支持ブロックが移動する請求項21に記載の貼り合わせ方法。
【請求項24】
前記支持ブロックを前記第1の被処理物の曲面部に向かって移動する際に、
前記支持ブロックの後方に位置する膨張部材に流体を供給して、前記膨張部材の膨張により前記支持ブロックを移動する請求項22に記載の貼り合わせ方法。
【請求項25】
前記支持ブロックは、前記支持ブロックの幅方向及び上下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動する請求項20〜24のうちいずれか一項に記載の貼り合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電チャック、これを備える貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法に関し、さらに詳しくは、端縁部が曲面である被処理物を支持し易い静電チャック、これを備える貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ装置としては、液晶ディスプレイ装置(Liquid Crystal Display device:LCD)、プラズマディスプレイ装置(Plasma Display Panel device:PDP)、電界放出ディスプレイ装置(Field Emission Display device:FED)、電気発光ディスプレイ装置(Electroluminescence Display device:ELD)、有機発光素子(Organic light Emitting Diodes:OLED)等が挙げられるが、これらのフラットパネルディスプレイ装置は、薄型化、軽量化、低消費電力化の優れた性能を示し、既存のブラウン管(Cathode Ray Tube:CRT)に急速に取って代わっている。
【0003】
また、最近は、曲面を有するウィンドウにパネルを取り付ける曲面型ディスプレイ装置(curved display device)への取り組みが盛んに行われている。
【0004】
曲面型ディスプレイ装置の中でも、平面部と曲面部の両方ともにおいて画像を実現可能な曲面エッジ型ディスプレイ装置(edge curved display device)への取り組みが盛んに行われている。
【0005】
このような曲面型ディスプレイ装置は、図1に例示するよう、端縁部がフラットパネル状ではなく、湾曲状又は曲線状であるウィンドウの内面にフレキシブル(可撓性、flexible)なパネルを貼り合わせることにより製造される。
【0006】
ウィンドウとパネルとを貼り合わせる貼り合わせ装置は、端縁部が曲面であるウィンドウを支持する静電チャックを備える。静電チャックは、端縁部が曲面であるウィンドウの形状に見合う空き空間を有するボディ及び当該空き空間を画成するボディの内側面に貼着された静電フィルムを備える。このように、静電フィルムがボディの空き空間を画成する内壁面に貼着されることにより、静電フィルムは、ウィンドウと対応する形状となる。
【0007】
一方、静電チャックの凹部は、端縁部が曲面であるウィンドウの設計値に基づいて製造され、この設計値は、ウィンドウの総面積及び曲面部の曲率等を含む。なお、ウィンドウは、通常、熱処理成形方法により製造される。
【0008】
ところが、ウィンドウを製造する際に、設計値と全く同じサイズ又は形状に製造され難いのが現状である。
【0009】
そして、設計値とは異なるサイズ又は形状を有するウィンドウを静電チャックに支持させる際に、静電チャックとウィンドウとの間に隙間が生じたり、ウィンドウの局部領域が静電チャックに挟み込まれる締め代が生じたりすることがある。このような隙間又は締め代は、特に、ウィンドウの曲面部の位置において頻発する。
【0010】
静電チャックとウィンドウとの間の隙間又は締め代は、ウィンドウにパネルを貼り合わせる工程において、ウィンドウの破損又はウィンドウとパネルとの位置合わせ不良を引き起こす要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許KR1619783号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、端縁部が曲面である被処理物を支持し易い静電チャック、これを備える貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法を提供する。
【0013】
本発明は、端縁部が曲面である被処理物を支持する際に、被処理物の曲面領域において支持の不良が生じることを抑えることができる静電チャック、これを備える貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、平面部及び該平面部の端縁部から外側に向かって延設された曲面部を備える被処理物を支持する静電チャックであって、被処理物の平面部の後方に対応して位置するように配設される静電フィルムと、被処理物の曲面部の後方に対応して位置する可動の支持ブロックとを備える。
【0015】
また、静電チャックは、被処理物が収容される凹部を有するボディを備え、凹部を画成するボディの内壁に静電フィルム及び支持ブロックが配設される。
【0016】
さらに、支持ブロックにおける被処理物の曲面部と向かい合う支持面は、曲面部に見合う曲率を有する形状である。
【0017】
さらにまた、静電チャックは、静電フィルムの後方に位置し、伸縮可能な弾性力を有する第1のクッション部を備える。
【0018】
さらにまた、支持ブロックは、被処理物から加えられる外力により後方に可動である。
【0019】
さらにまた、静電チャックは、支持ブロックの後方に位置し、伸縮可能な弾性力を有する第2のクッション部を備える。
【0020】
さらにまた、第2のクッション部は、支持ブロックの幅方向の外側に位置する第1のクッション部材及び支持ブロックの上側に位置する第2のクッション部材を備える。
【0021】
さらにまた、静電チャックは、支持ブロックの支持面に配設可能な粘着部材、及び支持ブロックの支持面に真空吸込み力が生じるように支持ブロックの内部に配設可能な吸込み管を有する吸込み部のうちの少なくとも一方を備える。
【0022】
さらにまた、静電チャックは、支持ブロックの後方に位置し、供給される流体により膨張可能であり、流体の排出により収縮可能な膨張部材を備え、支持ブロックは、膨張部材の膨張により被処理物が位置する前方に可動である。
【0023】
さらにまた、静電チャックは、支持ブロックとボディとを連結するように配設されて、支持ブロックを膨張部材の膨張により移動する前の状態に戻す戻し力を有する戻し部材を備える。
【0024】
さらにまた、膨張部材は、支持ブロックの幅方向の外側に位置する第1の膨張部材及び支持ブロックの上側に位置する第2の膨張部材を備える。
【0025】
さらにまた、戻し部材は、支持ブロックの幅方向に延設されて、支持ブロックとボディとを連結する第1の戻し部材、及び支持ブロックの高さ方向に延設されて、支持ブロックとボディとを連結する第2の戻し部材を備える。
【0026】
また、本発明は、平面部及び該平面部の端縁部から外側に向かって延設され、曲率を有する形状を持つ曲面部を備える第1の被処理物に第2の被処理物を貼り付ける貼り合わせ装置であって、内部空間を有するチャンバーと、該チャンバーの内部に位置して昇降可能であり、一方の面に第1の被処理物が支持可能な静電チャックと、チャンバーの内部において静電チャックと対向する押付部と、中空状であり、静電チャックと押付部との間に位置可能であり、第2の被処理物をクランプして支持するトレイとを備え、静電チャックは、第1の被処理物の平面部と対応する領域と、曲面部と対応する領域とに分割されており、曲面部と対応する領域が可動である。
【0027】
また、静電チャックは、第1の被処理物の平面部の後方に対応して位置するように配設される静電フィルムと、第1の被処理物の曲面部の後方に対応して位置する可動の支持ブロックとを備える。
【0028】
さらに、支持ブロックにおける第1の被処理物の曲面部と向かい合う支持面は、曲面部に見合う曲率を有する形状である。
【0029】
さらにまた、貼り合わせ装置は、静電フィルムの後方に位置し、伸縮可能な弾性力を有する第1のクッション部を備える。
【0030】
さらにまた、貼り合わせ装置は、支持ブロックの後方に位置し、伸縮可能な弾性力を有する第2のクッション部を備え、支持ブロックは、第2のクッション部により第1の被処理物から加えられる外力により後方に可動である。
【0031】
さらにまた、貼り合わせ装置は、支持ブロックの支持面に配設可能な粘着部材、及び支持ブロックの支持面に真空吸込み力が生じるように支持ブロックの内部に配設可能な吸込み管を有する吸込み部のうちの少なくとも一方を備える。
【0032】
さらにまた、静電チャックは、支持ブロックの後方に位置して、供給される流体により膨張可能であり、流体の排出により収縮可能な膨張部材と、支持ブロックに連結されるように配設されて、支持ブロックを膨張部材の膨張により移動する前の状態に戻す戻し力を有する戻し部材とを備え、支持ブロックは、膨張部材の膨張により第1の被処理物が位置する前方に可動であり、膨張部材の収縮及び戻し部材の戻し力により後方に可動である。
【0033】
さらに、本発明は、平面部及び該平面部の端縁部から外側に向かって延設され、曲率を有する形状を持つ曲面部を備える第1の被処理物に第2の被処理物を貼り付ける方法であって、第1の被処理物を静電チャックに支持させる過程と、静電チャックと対向する中空状のトレイに第2の被処理物を支持させる過程と、第1の被処理物と第2の被処理物とが近づくように静電チャックとトレイとを移動して、第1の被処理物に第2の被処理物を貼り付ける過程とを含み、第1の被処理物を静電チャックに支持させる過程は、静電チャックのうち第1の被処理物の曲面部と対応する支持ブロックを移動する過程を含む。
【0034】
また、第1の被処理物を静電チャックに支持させる過程は、第1の被処理物の平面部が静電チャックの静電フィルムと対向し、曲面部が静電フィルムの端縁部から外側に向かって延設され、曲面部を向く支持面が曲面部に対応する状である支持ブロックと向かい合うように配置する過程と、第1の被処理物を静電チャックに向かって移動して、第1の被処理物と静電チャックとを互いに接触する過程とを含み、支持ブロックを移動する際に、第1の被処理物から静電チャックに印加される外力により支持ブロックを後方に移動する。
【0035】
さらに、第1の被処理物を静電チャックに支持させる過程は、第1の被処理物の平面部が静電チャックの静電フィルムと対向し、曲面部が静電フィルムの端縁部から外側に向かって延設され、曲面部を向く支持面が曲面部に対応する曲面状である支持ブロックと向かい合うように配置する過程と、第1の被処理物を静電チャックに向かって移動して、第1の被処理物と静電チャックとを互いに接触する過程とを含み、支持ブロックを移動する際に、該支持ブロックを第1の被処理物の曲面部に向かって移動して、支持ブロックの支持面を第1の被処理物の曲面部と接触させる。
【0036】
さらにまた、支持ブロックを移動する際に、支持ブロックを第1の被処理物の曲面部に向かって移動して、該支持ブロックの支持面を第1の被処理物の曲面部と接触させる。
【0037】
さらにまた、第1の被処理物から静電チャックに印加される外力により支持ブロックが後方に移動する際に、支持ブロックの後方に位置するクッション部の収縮により支持ブロックが移動する。
【0038】
さらにまた、支持ブロックを第1の被処理物の曲面部に向かって移動する際に、該支持ブロックの後方に位置する膨張部材に流体を供給して、膨張部材の膨張により支持ブロックを移動する。
【0039】
さらにまた、支持ブロックは、該支持ブロックの幅方向及び上下方向のうちの少なくとも一方の方向に移動する。
【発明の効果】
【0040】
本発明の実施形態に係る静電チャックによれば、支持ブロックは、第1の被処理物のサイズ、曲率又はその形状に応じて可動である。特に、第1の被処理物の両端縁部である曲面部と対応する支持ブロックが幅方向の外側方向及び上側方向のうちの少なくとも一方の方向に移動する。このため、静電チャックの凹部は、第1の被処理物のサイズ、曲率又はその形状に応じてその大きさ又は体積が可変となる。
【0041】
従って、静電チャックと第1の被処理物との間に隙間又は締め代が生じることを従来と比べて低減することができる。これにより、第1の被処理物の破損及び第1の被処理物と第2の被処理物との位置合わせ不良の発生を抑制し、また防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置により端縁部が曲面である第1の被処理物に第2の被処理物が貼り合わせられた(又は接合された)状態を示す図。
図2図1のA−A’線における断面図。
図3】本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置を示す図。
図4】本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置を示す図。
図5】本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置を示す図。
図6】本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置を示す図。
図7】本発明の第1の実施形態に係る静電チャックを示す図。
図8】設計値と同じくなるように製造された第1の被処理物(図8(a))、設計値とは異なるように製造された第1の被処理物(図8(b)、図8(c))を例にとって説明する図。
図9】設計値の幅Wfiとは異なる幅Wfpを有する第1の被処理物(図8(b))が静電チャックに支持される際の支持ブロックの移動動作を説明する図。
図10】設計値の高さWciとは異なる高さWcpを有する第1の被処理物(図8(c))が静電チャックに支持される際の支持ブロックの移動動作を説明する図。
図11】第1の実施形態の変形例に係る静電チャックを示す図。
図12】本発明の第2の実施形態に係る静電チャックを示す図。
図13】本発明の第2の実施形態に係る静電チャックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明を説明するに当たって、同一の構成要素に対しては同じ参照符号を付し、図面は、本発明の実施形態を正確に説明するために大きさが部分的に誇張されてもよく、図中、同一の符号は、同一の構成要素を指す。
【0044】
本発明は、端縁部が曲面である被処理物を支持し易い静電チャック及びこれを備える貼り合わせ装置に関する。より具体的には、端縁部が曲面である被処理物を支持する際に、被処理物の曲面領域において支持の不良の発生を抑えることができる静電チャック及びこれを備える貼り合わせ装置に関する。
【0045】
図1は本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置により端縁部が曲面である第1の被処理物に第2の被処理物が貼り合わせられた(又は接合された)状態を示す図である。図2図1のA−A’線における断面図である。図3から図6は本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置を示す図である。
【0046】
図7は本発明の第1の実施形態に係る静電チャックを示す図である。図8は設計値と同じになるように製造された第1の被処理物(図8(a))、設計値とは異なるように製造された第1の被処理物(図8(b)、図8(c))を例にとって説明する図である。
【0047】
図9は設計値の幅Wfiとは異なる幅Wfpを有する第1の被処理物(図8(b))が静電チャックに支持される際の、支持ブロックの移動動作を説明する図である。図10は設計値の高さWciとは異なる高さWcpを有する第1の被処理物(図8(c))が静電チャックに支持される際の、支持ブロックの移動動作を説明する図である。
【0048】
図1及び図2を参照すると、本発明の実施形態に係る第1の被処理物S1は、端縁部又はエッジ(edge)が曲面となるように折り曲げられた(又は屈曲した、又は湾曲した)形状である。より具体的には、実施形態に係る第1の被処理物S1は、その横断面の形状が略長方形状であり、向かい合う二つの端縁部が曲面である形状である。
【0049】
すなわち、第1の被処理物S1は、一方向に延設され、略長方形状であり、傾斜及び曲率のない平面状である平面部FA、及び該平面部FAの四つの辺のうち向かい合う二つの辺から下側に向かって延設され、平面部FAから外側に向かって延在するに当たって、曲率を有するように、丸みを帯びるように、又は撓むように形成された曲面部CAを備える。
【0050】
平面部FAは、互いに並ぶように配置された一対の長辺及び該一対の長辺と交差しながら互いに並ぶように配置された一対の短辺を有する長方形状であってもよい。
【0051】
曲面部CAは、平面部FAの一対の長辺から下側に向かって延設され、平面部FAと垂直をなすことなく、外側に向かって進むにつれて前記平面部FAから遠ざかるように傾斜を有するように形成されてもよい。このとき、外側に向かって進むにつれて、平面部FAから遠ざかるように傾斜する際に、その傾斜が一定とならないように曲率を有する形状である。換言すれば、曲面部CAは、第2の被処理物S2と貼り合わせられる面である第1の被処理物S1の内側面のうち、曲面部CAに相当する領域の内側面が凹んだ曲面を有するように形成される。
【0052】
そして、曲面部CAは、その全体が曲率を有する曲面であるか、又は曲面部CAのうち少なくとも平面部FAにつながる領域及びその周りの一部の領域のみが曲率を有する曲面であり、残りは曲率のない下向き傾斜のみを有する形状であってもよい。
【0053】
実施形態に係る第1の被処理物S1は、ガラス製又はクォーツ製(quartz)のウィンドウである。但し、本発明は、これに何ら限定されるものではなく、端縁部が曲面である種々の素材が、第1の被処理物S1の素材として採用可能である。
【0054】
第2の被処理物S2は、画像を表示するパネルP及び該パネルPが取り付けられるフィルムFを備えていてもよい。フィルムFは、パネルが取り付けられる一方の面及び第1の被処理物S1と貼り合わせられる裏面に接着剤も塗布された形態であってもよい。
【0055】
第1の被処理物S1と第2の被処理物S2とが貼り合わせられる際に、第2の被処理物S2と対向する第1の被処理物S1の一方の面に第2の被処理物S2が貼着される。このとき、第2の被処理物S2は、第1の被処理物S1の一方の面の平面部FAと曲面部CAに貼り合わせられる。従って、第1の被処理物S1と第2の被処理物S2とが貼り合わせられたフラットパネルディスプレイ装置は、対向する二つの端縁部が曲面である形状であり、平面部FA及び曲面部CAのそれぞれにおいて画像が実現されるフラットパネルディスプレイ装置となる。
【0056】
第1の被処理物S1に第2の被処理物S2を貼り合わせる(又は貼着する)貼り合わせ装置は、第1の被処理物S1を支持する静電チャック2000を備える。ここで、静電チャック2000は、端縁部が曲面である第1の被処理物S1を静電気力で支持できるように、端縁部が曲面である形状である。すなわち、静電チャック2000のうち第1の被処理物S1の曲面部と対応する(又は向かい合う)領域が第1の被処理物S1の曲面部CAと対応する(又は同一の)曲率を有する形状に製造される。
【0057】
静電チャック2000は、端縁部が曲面である第1の被処理物S1の設計値に基づいて製造される。この設計値は、第1の被処理物S1の面積、及び曲面部CAの曲率等を含む。なお、第1の被処理物S1がウィンドウである場合に、通常、熱処理成形方法により端縁部が曲面であるウィンドウを製造する。
【0058】
ところが、複数の第1の被処理物S1を製造する際には、設計値と全く同じ形状又はサイズに製造され難いのが現状である。すなわち、設計値と曲面部CAの曲率とが異なるか、又は第1の被処理物S1の全体、平面部FA及び曲面部CAのうちの少なくとも一つのX軸及びY軸であって、当該X軸及びY軸のうちの一方若しくはその両方の長さが異なる。
【0059】
この場合、第1の被処理物S1が静電チャック2000に支持される際に、第1の被処理物S1と静電チャック2000との間に隙間が生じたり、第2の被処理物S2のうちの局部領域が静電チャック2000に挟み込まれたりする等の問題が生じる虞がある。
【0060】
特に、曲面部CAの曲率形成方向であるY軸方向の長さが異なるか、曲面部CAの高さが異なるか、又は曲率が異なる場合に、隙間又は締め代が生じる。そして、隙間又は締め代は、第1の被処理物と静電チャックとの間のうち第1の被処理物の曲面部CAの位置又はその周りの領域において主に生じる。このような隙間又は締め代は、第1の被処理物S1に第2の被処理物S2を貼り合わせる工程において、第1の被処理物S1の破損又は第1の被処理物S1と第2の被処理物S2との位置合わせ不良を引き起こす要因となる。
【0061】
従って、本発明においては、端縁部が曲面である第1の被処理物S1を支持する際に、支持の不良の発生を従来と比べて抑えることができる静電チャック2000及びこれを備える貼り合わせ装置を提供する。
【0062】
以下、図3から図10に基づいて、本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置について説明する。
【0063】
本発明の第1の実施形態に係る貼り合わせ装置は、端縁部が曲面である(又は丸みを帯びた)形状を持つ第1の被処理物S1に第2の被処理物S2を接合する(又は貼り合わせる)装置である。ここで、第1の被処理物S1は、ウィンドウであってもよく、第2の被処理物S2は、パネルP付きフィルムFであってもよい。すなわち、第2の被処理物S2は、パネルPの裏面にフィルムが接合されている構造である。
【0064】
図3から図6を参照すると、本発明の実施形態に係る貼り合わせ装置は、内部空間を有するチャンバー100と、第1の被処理物S1が支持可能なようにチャンバー100の内部に位置する静電チャック2000と、該静電チャック2000と対向し、第1の被処理物S1に向かって押し付け可能な押付部610を有する押付装置600と、静電チャック2000と押付部610との間に位置し、第2の被処理物S2を支持可能なトレイ410を有する支持装置400とを備える。
【0065】
また、本発明の実施形態に係る貼り合わせ装置は、チャンバー100と連結されて、該チャンバー100の内部を真空圧力に調節したり、大気圧雰囲気に戻したりする圧力調節部310、320を備える。
【0066】
チャンバー100は、内部空間を有し、昇降可能な上チャンバー110及び該上チャンバー110の下側に位置し、押付装置600及び支持装置400が装着されるベース120を備える。ここで、上チャンバー110は、内側に所定の空き空間を有し、下側が開放された形状であってもよい。なお、上チャンバー110内の上壁には静電チャック2000が装着される。
【0067】
圧力調節部310、320は、上チャンバー110と連結された第1の圧力調節部310と、ベース120と連結された第2の圧力調節部320とを備える。
【0068】
押付装置600は、チャンバー100の内部において静電チャック2000の下側に対向する押付部610、及び該押付部610を支持するように一方の端部が押付部610と連結され、他方の端部がベース120を貫通して該ベース120の下側に位置するように延設され、押付部610を昇降する支持台620を備える。
【0069】
押付部610は、第1の被処理物S1の延在方向と対応する方向に延設されて、静電チャック2000の下側に対向して配設される。押付部610は、内部に流れ込む流体及び外部から加えられる外力のうちの少なくとも一方により、その形状が変形可能な手段(部材)であり、例えば、チューブ又はゴムパッドであってもよい。なお、押付部610は、その初期の形状が、図3に示すように、その上面が中心部から端縁部に向かって高さが小さくなる断面曲面状であってもよい。
【0070】
ここで、押付部610の初期の形状とは、流体及び外力により形状が変形される前の状態を意味する。
【0071】
支持装置400は、チャンバー100の内部から外部、且つ外部から内部へ可動であり、フィルムを支持可能なトレイ410及びチャンバー100の内部に装入されたトレイ410を支持しながら、該トレイ410を昇降するトレイ昇降部420を備える。
【0072】
トレイ410は、中心が空いている中空状であり、第2の被処理物S2と対応する形状、例えば、長方形状であってもよい。ここで、トレイ410の中心の空き空間の大きさは、第1の被処理物S1及び第2の被処理物S2と比べて大きくてもよい。
【0073】
実施形態に係るトレイ410は、第2の被処理物S2の終端部、例えば、フィルムFの端縁部の終端を嵌入して支持する手段、例えば、クランプ構造であってもよい。
【0074】
トレイ昇降部420は、トレイ410を支持しながら、該トレイ410を昇降する。トレイ昇降部420は、一方の端部がトレイ410の下部と連結されたシャフト421と、該シャフト421の他方の端部と連結されてシャフト421に昇降駆動力を与える昇降動力部422とを備える。このようなトレイ昇降部420は、押付部610及び静電チャック2000の外側に位置するように配設されてもよい。
【0075】
図7を参照すると、静電チャック2000は、第1の被処理物S1の平面部FAの延在方向に延設されて、第1の被処理物S1の裏面の平面部FAと対向するように配置された静電フィルム2200、該静電フィルム2200の延在方向に延設されて静電フィルム2200の後方に位置するクッション部(以下、第1のクッション部2300aと称する。)、第1の被処理物S1の後方において曲面部CAと対向し、第1の被処理物S1から加えられる力により後方に可動である支持ブロック2400及び該支持ブロック2400の後方に位置するクッション部(以下、第2のクッション部2300bと称する。)を備える。
【0076】
また、静電チャック2000は、第1のクッション部2300a及び第2のクッション部2300bの後方に位置して上チャンバー110に固着され、第1のクッション部2300a及び第2のクッション部2300bが固設されるボディ2100を備える。
【0077】
ここで、前方とは、第1の被処理物S1が位置する方向であり、後方とは、第1の被処理物S1の位置とは反対の方向である。
【0078】
換言すれば、上述した静電チャック2000は、第1の被処理物S1の平面部FAと対向する個所にのみ静電フィルム2200が存在し、第1の被処理物S1の曲面部CAと対向する個所には静電フィルム2200が配設されていない構造である。なお、静電チャック2000は、第1の被処理物S1の曲面部CAと対向するように支持ブロック2400が配設され、該支持ブロック2400の後方に第2のクッション部2300bが配設される。
【0079】
さらに、上述した静電チャック2000によれば、第1の被処理物S1の平面部FAと対向する静電フィルム2200の一方の面と支持ブロック2400の支持面とによって、所定の高さを有する空き空間(以下、凹部と称する。)が画成される。従って、第1の被処理物S1は、この凹部に装入されて(又は引き込まれて)静電チャック2000に支持される。
【0080】
以下、図7から図10に基づいて、第1の実施形態に係る静電チャック2000について詳述する。
【0081】
静電フィルム2200は、第1の被処理物S1の平面部FAと対向するように配置されて、静電気力で第1の被処理物S1を支持する。このような静電フィルム2200は、フレキシブルなフィルムの上に複数の負の電極及び複数の正の電極のそれぞれがパターン化して形成された構造であってもよい。なお、図示はしないが、負の電極と正の電極とのそれぞれに電源を供給する電源供給手段が接続される。
【0082】
第1のクッション部2300aは、静電フィルム2200の延在方向に延設されて、静電フィルム2200の裏面と対向するように配設され、弾性を有する。第1のクッション部2300aの材料は、例えば、シリコンゴムを含む原料から形成される。但し、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、弾性力が与えられる種々の原料から製造されてもよい。
【0083】
支持ブロック2400は、第1の被処理物S1の曲面部CAの延在方向に延設され、少なくとも第1の被処理物S1の曲面部CAと向かい合う一方の面、すなわち、支持面2410は、内側に凹んだ曲面状を有する。
【0084】
このような支持ブロック2400は、第1の被処理物S1の曲面部CAの数と対応する数に設けられて、各曲面部CAの後方に対応して位置する。第1の被処理物S1がY軸方向の両端縁部に曲面部CAを備える場合は、二つの支持ブロックが設けられ、第1の被処理物S1の両端縁部のそれぞれの後方に位置するようにボディ2100に配設される。
【0085】
支持ブロック2400のX軸及びY軸の方向の長さのそれぞれは、第1の被処理物S1の曲面部CAのX軸及びY軸の方向の長さに等しいか又はそれよりも大きく設けられる。支持ブロック2400における第1の被処理物S1の曲面部CAと対向する支持面2410の曲率は、第1の被処理物S1の曲面部の曲率と対応するように形成される。
【0086】
ここで、支持ブロック2400のX軸及びY軸の方向の長さを第1の被処理物S1の曲面部CAのX軸及びY軸の方向の長さに等しいか又はそれよりも大きく設けることと、支持ブロック2400の支持面2410の曲率を第1の被処理物S1の曲面部CAの曲率と対応するように(又は見合うように)設けることとは、第1の被処理物S1の設計値を基準としている。すなわち、支持ブロック2400のX軸及びY軸の方向の長さは、第1の被処理物S1の設計上の数値であるX軸及びY軸の方向の長さに等しいか又はそれよりも大きく設けられる。なお、支持ブロック2400のうち第1の被処理物S1と向かい合う支持面2410の曲率は、第1の被処理物S1の設計上の数値である曲面部CAの曲率に対応するように(又は見合うように)設けられる。
【0087】
第2のクッション部2300bは、支持ブロック2400の延在方向に延設されて、支持ブロック2400の後方に位置する。なお、第2のクッション部2300bは、前面が支持ブロック2400と接し、背面がボディ2100と接するように配設される。
【0088】
ここで、支持ブロック2400の後方とは、該支持ブロック2400の上側方向及び支持ブロック2400の幅方向の外側である。支持ブロック2400の幅方向の外側とは、該支持ブロック2400のY軸方向におけるボディ2100と支持ブロック2400との間の位置を意味する。
【0089】
第2のクッション部2300bが支持ブロック2400の後方に位置する場合に、支持ブロック2400の上側及び幅方向の外側に位置するように設けられてもよい。より具体的には、第2のクッション部2300bは、支持ブロック2400の幅方向の外側に位置する第1のクッション部材2310bと、支持ブロック2400の上側に位置する第2のクッション部材2320bとを備える。
【0090】
第1のクッション部材2310bは、支持ブロック2400が幅方向に可動となるようにする。第2のクッション部材2320bは、支持ブロック2400が上側方向に可動となるようにする。
【0091】
以上では、第2のクッション部2300bが第1のクッション部材2310bと第2のクッション部材2320bとに分離されて形成されると説明したが、これに限られない。例えば、第1のクッション部材2310bと第2のクッション部材2320bとが互いに連結された一体形であってもよい。
【0092】
第1のクッション部2300a及び第2のクッション部2300bの材料は、例えば、シリコンゴムを含む原料から形成される。但し、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、外力により圧縮及び収縮可能な弾性力を有する種々の材料及び手段が採用可能である。
【0093】
上述したように、静電チャック2000は、静電フィルム2200の後方に位置する第1のクッション部2300a及び支持ブロック2400の後方に位置する第2のクッション部2300bを備える。
【0094】
このため、第1の被処理物S1が静電チャック2000と接するように支持(又はチャッキング(chucking))される際に、又は押付部610により静電チャック2000と対向する第1の被処理物S1を押し付ける際に、支持ブロック2400が後方に可動である(又は遊動可能である)。すなわち、支持ブロック2400が幅方向(Y軸方向)の外側に位置する第1のクッション部材2310b及び上側(Z軸方向)に位置する第2のクッション部材2320bのうちの少なくとも一方を押し付けるように可動である。これは、支持ブロック2400の幅方向(Y軸方向)の外側及び上側方向(Z軸方向)のそれぞれにクッション部材2310b、2320bが設けられ、これらクッション部材2310b、2320bが支持ブロック2400から加えられる力によって収縮可能であるためである。
【0095】
一方、端縁部に曲面部CAを有する第1の被処理物S1を製造する際に、設計値とやや違いが出るように製造されてもよい。すなわち、第1の被処理物S1のX軸方向の長さ、Y軸方向の長さ及び曲面部CAの曲率のうちの少なくとも一つが設計値とは異なるように製造されてもよい。
【0096】
より具体的には、第1の被処理物S1の平面部FAのX軸及びY軸の方向のうちの少なくとも一方が設計値とは異なってもよく、曲面部CAのX軸及びY軸の方向のうちの少なくとも一方が設計値とは異なってもよい。なお、曲面部CAの曲率が設計値の曲率とは異なってもよい。
【0097】
ここで、曲面部CAの配列方向である第1の被処理物S1のY軸方向は幅方向と称してもよく、これと交差又は直交する方向であるX軸方向を長さ方向と称してもよい。
【0098】
一方、静電チャック2000は、その形状が変化しないため、設計値とは異なる第1の被処理物S1を静電チャック2000に支持させたい場合は、該静電チャック2000と第1の被処理物S1との間に隙間が生じたり、局部的な位置に締め代が生じたりする虞がある。特に、曲面部CAの配列方向である第1の被処理物S1の幅(Y軸方向の長さ)又は曲面部CAの曲率が、静電チャック2000との隙間又は締め代を生じさせる要因となる。
【0099】
このような問題を解決するために、本発明の実施形態に係る静電チャック2000は、第1の被処理物S1の幅及び曲面部CAの曲率のうちの少なくとも一方に対応して可動の支持ブロック2400を有する静電チャック2000を配設する。すなわち、実施形態に係る静電チャック2000は、支持させたい第1の被処理物S1の幅及び曲率に応じて、静電フィルム2200及び支持ブロック2400が、第1のクッション部2300a及び第2のクッション部2300bによって可動である。特に、静電チャック2000の両端縁部に相当する一対の支持ブロック2400のそれぞれが、第1のクッション部材2310b及び第2のクッション部材2320bによって幅方向及び上側方向に可動である。従って、第1の被処理物S1と静電チャック2000との間に、特に、第1の被処理物S1の曲面部CAと静電チャック2000との間に隙間又は締め代が生じることを、従来と比べて抑えることができる。
【0100】
例えば、実際に支持させたい第1の被処理物S1の平面部FAの幅(図8(b))WfPが設計値の平面部の幅(図8(a))Wfiと比べて長い場合は、第1の被処理物S1が静電チャック2000に支持される際に、第1の被処理物S1から加えられる力によって、図9に示すように、支持ブロック2400が幅方向の外側に可動である。このとき、支持ブロック2400の幅方向の外側に位置する第1のクッション部材2310bが収縮する。
【0101】
いうまでもなく、第1の被処理物S1のY軸方向のサイズ及び曲率により上側方向に力が加えられてもよく、この場合、支持ブロック2400が上側方向に可動であり、第2のクッション部材2320bが収縮する。
【0102】
別の例によれば、支持させたい第1の被処理物S1の曲面部CAの高さ(図8(c))Hcpが設計値の曲面部CAの高さ(図8(a))Hciと比べて短いか、又は曲率が異なる場合は、第1の被処理物S1が静電チャック2000に支持される際に、第1の被処理物S1から加えられる力により、図10に示すように、支持ブロック2400が少なくとも上側方向に所定の距離だけ可動である。
【0103】
いうまでもなく、第1の被処理物S1の曲面部CAの高さ及び曲率に応じて、上側方向だけではなく、幅方向にも力が加えられて、支持ブロック2400が幅方向の外側にも可動であり、このとき、第1のクッション部材2310bが収縮する。
【0104】
支持ブロック2400が移動する例は、前述した図8(b)及び図8(c)の例に何ら限定されず、支持させたい第1の被処理物S1と設計値との間に生じ得る誤差の様々な場合を含む。
【0105】
このように、支持ブロック2400は、第1の被処理物S1のサイズ又は曲率に対応するように可動である。従って、静電チャック2000と第1の被処理物S1との間に隙間又は締め代が生じることを従来と比べて低減することができる。これにより、第1の被処理物S1の破損及び第1の被処理物S1と第2の被処理物S2との位置合わせ不良の発生が抑制され、また防止することができる。
【0106】
図11は、第1の実施形態の一変形例に係る静電チャックを示す図である。
【0107】
上述した第1の実施形態に係る静電チャック2000は、第1の被処理物S1の曲面部CAと対向する領域に別途の支持力が付加されない構造である。
【0108】
しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、図11に示す変形例のように、静電チャック2000は、第1の被処理物S1の曲面部CAと対向する支持ブロック2400の支持面2410に新たな支持力を与える支持部2500を備えていてもよい。
【0109】
支持部2500は、第1の被処理物S1の曲面部CAと対向する支持ブロック2400の支持面2410に装着された粘着部材2510、及び該粘着部材2510の支持面2410に真空吸込み力を生じさせる吸込み部2520を備える。
【0110】
粘着部材2510は、粘着力を有する手段であって、支持ブロック2400の支持面2410に装着又は配設される。このため、粘着部材2510は、支持ブロック2400の支持面2410の曲率と対応する(又は同一の)曲率を有する。
【0111】
吸込み部2520は、支持ブロック2400の内部において粘着部材2510の後方に位置し、一方の端部が粘着部材2510と連結された吸込み管2521と、該吸込み管2521の他方の端部と連結されたポンプ2522とを備える。
【0112】
吸込み管2521は、内部空間を有するパイプ状であって、粘着部材2510を厚さ方向に貫通して、その一方の端部が粘着部材2510の前面に露出されるように該前面まで延設可能である。このため、粘着部材2510には、吸込み管2521が貫通可能な孔部が設けられていてもよい。
【0113】
いうまでもなく、吸込み管2521が粘着部材2510の前面まで延在せず、該粘着部材2510の前面の後方まで延在しながら、粘着部材2510に設けられた孔部と連結されてもよい。
【0114】
また、吸込み部2520は、支持ブロック2400の内部において吸込み管2521とポンプ2522とを連結するように設けられたチャネル2523を備えていてもよく、該チャネル2523の内径は、吸込み管2521の内径と比べて大きくてもよい。
【0115】
このように、支持ブロック2400に支持部2500が付設されることにより、静電チャック2000のうち第1の被処理物S1の曲面部CAと対応する領域に支持力がさらに加えられる。従って、第1の被処理物S1の曲面部CAと対応する領域の支持力が、第1の実施形態と比べて向上する。このため、静電チャック2000による第1の被処理物S1のチャッキング不良及びこれに伴う第1の被処理物S1の破損をより有効に防止することができる。
【0116】
上述した変形例に係る支持部2500は、粘着部材2510及び吸込み部2520を両方とも備える。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、支持部2500は、粘着部材2510及び吸込み部2520のうちのいずれか一方を備える構成であってもよい。
【0117】
図12及び図13は本発明の第2の実施形態に係る静電チャックを示す図である。
【0118】
上述した第1の実施形態及びその変形例に係る静電チャック2000は、支持ブロック2400の後方に第2のクッション部2300bが配設され、支持ブロック2400に加えられる外力により後方に移動する。
【0119】
しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、図12及び図13に示す第2の実施形態のように、支持ブロック2400の後方に位置する膨張部材2610、2620の膨張動作によって可動となるように構成されてもよい。
【0120】
すなわち、第2の実施形態に係る静電チャック2000は、チャンバー100の内部において押付部610と対向するように、該押付部610の上側に位置するボディ2100と、第1の被処理物S1の平面部FAと対向するように一方向に延設されてボディ2100の下部に装着された静電フィルム2200と、該静電フィルム2200の延在方向に延設されて静電フィルム2200の後方に位置するようにボディ2100内に配設されたクッション部2300aと、第1の被処理物S1の後方に位置するようにボディ2100の内部に位置し、第1の被処理物S1の曲面部CAを向く支持面2410が第1の被処理物S1の曲面部CAの曲率と対応する(又は見合う)曲率を有し、第1の被処理物S1の曲面部CAに向かって可動である支持ブロック2400と、ボディ2100の内部において支持ブロック2400の後方に位置して、膨張動作により支持ブロック2400を第1の被処理物S1が位置する方向に移動させる膨張部材2610、2620と、支持ブロック2400とボディ2100とを連結するように配設され、支持ブロック2400を元の状態(位置)に戻す戻し力を有する戻し部材2710、2720とを備える。
【0121】
膨張部材2610、2620は、内部に流体、例えば、空気(air)を供給可能な内部空間を有し、供給された流体により膨張可能であり、且つ、流体の排出により収縮可能なチューブであってもよい。
【0122】
なお、支持ブロック2400の後方には、複数の膨張部材2610、2620が配置されてもよい。例えば、図12及び図13に示すように、支持ブロック2400の幅方向の外側及び支持ブロック2400の上側にそれぞれに膨張部材2610、2620が位置してもよい。以下では、支持ブロック2400の幅方向の外側に位置する膨張部材を第1の膨張部材2610と称し、支持ブロック2400の上側に位置する膨張部材を第2の膨張部材2620と称する。
【0123】
第1の膨張部材2610は、その膨張により支持ブロック2400を幅方向に移動し、第1の膨張部材2610が膨張すれば、その前方に位置する支持ブロック2400が第1の被処理物S1と近づくように幅方向に移動する。
【0124】
第2の膨張部材2620は、その膨張により支持ブロック2400を上下方向に移動し、第2の膨張部材2620が膨張すれば、その前方に位置する支持ブロック2400が第1の被処理物と近づくように下側に向かって移動する。
【0125】
第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620の動作のために、流体の供給及び排出を制御する膨張制御部2800が連結される。膨張制御部2800は、一方の端部が第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620のそれぞれと連結され、流体が通過する内部空間が設けられた連結管2810と、連結管2810の他方の端部と連結されて連結管2810に流体を供給する供給部2820と、連結管2810の他方の端部と連結され、該連結管2810を介して第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620の内部の流体を排出する排出部2830とを備える。なお、膨張制御部2800は、それぞれが連結管2810の延在経路の上に配設され、供給部2820との連通を制御する第1の弁と、排出部2830との連通を制御する第2の弁とを備える。
【0126】
このような膨張制御部2800によれば、供給部2820の動作により流体が供給されて、第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620がそれぞれ膨張する。また、排出部2830の動作により、第1の膨張部材2610内及び第2の膨張部材2620内の流体がそれぞれ排出されて、第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620がそれぞれ収縮する。
【0127】
戻し部材2710、2720は、第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620が収縮した際に、支持ブロック2400が元の状態(位置)に戻るように補助する役割を果たす。
【0128】
戻し部材2710、2720は、上述したように、ボディ2100と支持ブロック2400とを連結するように配設される。ここでは、膨張部材2610、2620の数と対応するように、複数の戻し部材2710、2720が設けられてもよい。
【0129】
例えば、戻し部材2710、2720は、図12及び図13に示すように、支持ブロック2400の前方から幅方向に延設され、一方の端部が支持ブロック2400と連結され、他方の端部がボディ2100と連結された第1の戻し部材2710と、上下方向に延設され、一方の端部が支持ブロック2400の上端部と連結され、他方の端部がボディ2100と連結された第2の戻し部材2720とを備えていてもよい。第1の戻し部材2710及び第2の戻し部材2720は、それぞれ収縮及び伸張可能なバネ(spring)であってもよい。
【0130】
以下、図12及び図13に基づいて、本発明の第2の実施形態に係る静電チャック2000の動作及び第1の被処理物S1の支持過程について説明する。
【0131】
まず、端縁部が曲面である第1の被処理物S1を、静電チャック2000の凹部に位置するように移動させて、第1の被処理物S1の平面部FA(図2を参照。)が静電フィルム2200と接するようにする。次に、膨張制御部2800を用いて、第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620のうちの少なくとも一方を膨張させて、支持ブロック2400の支持面2410が第1の被処理物S1の曲面部CA(図2を参照。)と接触するように支持ブロック2400を移動させる。すなわち、第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620のうちの少なくとも一方を膨張させ、支持ブロック2400を幅方向及び下側方向のうちの少なくとも一方の方向に移動させて、その支持面2410が第1の被処理物S1の曲面部CAと接するようにする。
【0132】
このように、支持ブロック2400は、第1の被処理物S1の曲面部CAに向かって可動である。換言すれば、支持ブロック2400は、第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620の少なくとも一方の動作により、第1の被処理物S1のサイズ又は形状に応じて支持面2410が第1の被処理物S1の曲面部CAと接するように可動である。すなわち、第1の被処理物S1のサイズ又は形状に対応するように支持ブロック2400が可動である。これにより、静電チャック2000による第1の被処理物S1の支持力を向上することができる。
【0133】
次に、静電チャック2000に第1の被処理物S1が支持されると、第1の被処理物S1に第2の被処理物S2を貼り合わせる。第1の被処理物S1と第2の被処理物S2との貼り合わせが終わった後、これらを静電チャック2000から取り外す。その後、膨張制御部2800の排出部2830を動作させて、第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620のうち流体が供給された膨張部材から流体を排出する。これにより、第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620のうち膨張していた膨張部材2610、2620が収縮する。その結果、第1の戻し部材2710及び第2の戻し部材2720の戻し力によって、支持ブロック2400が元の状態(位置)に戻る。
【0134】
このように、第2の実施形態に係る静電チャック2000によれば、第1の被処理物S1のサイズ又はその形状に応じて、支持ブロック2400が第1の膨張部材2610及び第2の膨張部材2620によって能動的に移動する。従って、第1の被処理物S1のサイズ又はその形状に応じて、支持面2410が第1の被処理物S1の曲面部CAと接するように支持ブロック2400の移動方向及び移動量を調節してもよい。
【0135】
その結果、たとえ第1の被処理物S1が設計値とは異なるように製造されたとしても、静電チャック2000と第1の被処理物S1との間に隙間又は締め代が生じることを、従来と比べて低減することができる。これにより、第1の被処理物S1の破損及び第1の被処理物S1と第2の被処理物S2との位置合わせ不良の発生が低減し、また防止することができる。
【0136】
上述した第1の実施形態、その変形例及び第2の実施形態においては、第1の被処理物がY軸方向の両端縁部が曲面であり、静電チャックがY軸方向に並設された二つの支持ブロックを備える構成について説明した。
【0137】
しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、第1の被処理物は、X軸方向に曲面が形成された形状であってもよく、このため、静電チャックは、第1の被処理物におけるX軸方向の端縁部に設けられた曲面部と対向するように支持ブロックが設けられた構造であってもよい。
【0138】
また、第1の被処理物は、平面四角形状に何ら限定されず、平面円形状又は種々の多角形状でありながら、その端縁部が曲面である形状であってもよい。なお、この場合であっても、静電チャックの支持ブロックは、第1の被処理物の曲面位置に対応するように設けられる。
【0139】
以下、図1から図10に基づいて、本発明の実施形態に係る貼り合わせ装置の動作及び第1の被処理物と第2の被処理物との貼り合わせ過程について説明する。
【0140】
まず、図3に示すように、静電チャック2000に、端縁部が曲面状である第1の被処理物S1を支持させ、トレイ410の上に第2の被処理物S2を支持させる。ここで、第2の被処理物S2は、フィルムF及び該フィルムFの上に取り付けられ、画像を実現するパネルPを備える。
【0141】
静電チャック2000に第1の被処理物S1を支持させる際には、まず、第1の被処理物S1を静電チャック2000の下側に対向させる。
【0142】
次に、第1の被処理物S1を上昇させて、第1の被処理物S1の裏面が静電チャック2000の静電フィルム2200及び支持ブロック2400の支持面2410と接触させる。具体的には、第1の被処理物S1の平面部FAが静電フィルム2200と接触し、曲面部CAが支持ブロック2400の支持面2410と接触する。
【0143】
第1の被処理物S1が静電チャック2000と接触して支持される際には、静電フィルム2200及び支持ブロック2400のうちの少なくとも一方が後方に可動である。すなわち、静電フィルム2200が上側に移動するか、又は支持ブロック2400が幅方向の外側及び上側のうちの少なくとも一方の方向に移動する。
【0144】
このような静電フィルム2200及び支持ブロック2400の移動は、第1の被処理物S1のサイズ、曲面部の曲率又はその形状により静電チャック2000と接触する際に加えられる押付力又は力による。換言すれば、第1の被処理物S1が静電チャック2000に接触して支持される際に、加えられる力に応じて静電フィルム2200及び支持ブロック2400の接触面が移動する。すなわち、静電チャック2000の凹部の大きさが、第1の被処理物S1のサイズ、曲率又はその形状に応じて可変となる。
【0145】
従って、静電チャック2000と第1の被処理物S1との間に隙間又は締め代が生じることを、従来と比べて低減できる。これにより、第1の被処理物S1の破損及び第1の被処理物S1と第2の被処理物S2との位置合わせ不良の発生が抑制され、また防止される。
【0146】
第1の被処理物S1が静電チャック2000に支持されると、図4に示すように、押付部610の下側に位置するようにトレイ410を下降する。これにより、第2の被処理物S2は、押付部610の形状のように、幅方向の中心部に向かってその高さが大きくなる断面凸状となる。
【0147】
次に、図5に示すように、チャンバー100が密閉されるように上チャンバー110を下降して、第1の被処理物S1の幅方向の中心部と、第2の被処理物S2の幅方向の中心部とを接触させる。チャンバー100が密閉されると、チャンバー100の内部は、フィルムFを基準として、該フィルムFの上部領域と下部領域とに分割される。本実施形態においては、チャンバー100が密閉された後、第1の圧力調節部310及び第2の圧力調節部320のそれぞれを作動して、フィルムFの上側領域とフィルムFの下側領域のそれぞれを真空雰囲気にする。
【0148】
次に、第2の圧力調節部320を用いて、フィルムFの下側領域を大気圧に戻す。このときの圧力差により、フィルムF及びここに取り付けられたパネルPがウィンドウの位置する方向に押し上げられて該ウィンドウを押し付ける。これにより、パネルP(第2の被処理物S2)とウィンドウ(第1の被処理物S1)との1次的な接合が行われる。
【0149】
次に、支持台620を用いて押付部610を上昇すると、図6に示すように、上側に固定されている静電チャック2000によりその移動が阻止される。これにより、第2の被処理物S2を第1の被処理物S1が位置する方向に押す力が生じる。このとき、押付部610の形状が、第1の被処理物S1の形状に見合う(又は対応する)形状に変形する。このように、押付部610が第2の被処理物S2の下側から第2の被処理物S2を全体的に押し付ける力により、第1の被処理物S1の内側面に第2の被処理物S2が貼り合わせられる。
【0150】
このように、本発明の実施形態に係る静電チャックの静電フィルム及び支持ブロックは、第1の被処理物のサイズ、曲率又はその形状に応じて可動である。特に、第1の被処理物の両端縁部である曲面部と対応する支持ブロックが幅方向の外側及び上側方向のうちの少なくとも一方の方向に移動する。このとき、静電チャックの凹部は、第1の被処理物のサイズ、曲率又はその形状に応じて、その大きさ又は体積が可変である。
【0151】
従って、静電チャックと第1の被処理物との間に隙間又は締め代の発生を従来と比べて低減できる。これにより、第1の被処理物の破損及び第1の被処理物と第2の被処理物との位置合わせ不良の発生が抑制され、また防止することができる。
【符号の説明】
【0152】
2000:静電チャック
2100:ボディ
2200:静電フィルム
2300a:第1のクッション部
2300b:第2のクッション部
2310b:第1のクッション部材
2320b:第2のクッション部材
2400:支持ブロック
2410:支持面
2510:粘着部材
2520:吸込み部
2610:第1の膨張部材
2620:第2の膨張部材
2710:第1の戻し部材
2720:第2の戻し部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13