特開2020-36723(P2020-36723A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2020-36723錠剤印刷装置、錠剤印刷方法、及び錠剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-36723(P2020-36723A)
(43)【公開日】2020年3月12日
(54)【発明の名称】錠剤印刷装置、錠剤印刷方法、及び錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/06 20060101AFI20200214BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20200214BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20200214BHJP
【FI】
   A61J3/06 Q
   B41J2/01 127
   B41J2/01 501
   B41J2/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-164980(P2018-164980)
(22)【出願日】2018年9月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】今井 聖
(72)【発明者】
【氏名】村上 聡
(72)【発明者】
【氏名】米田 睦仁
【テーマコード(参考)】
2C056
4C047
【Fターム(参考)】
2C056EE08
2C056FC01
2C056FD07
2C056HA44
4C047LL10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多色印刷が可能で手間がかからず、超高精度の印刷を施した錠剤を提供する。
【解決手段】錠剤に印刷する錠剤印刷装置100であって、錠剤を吸着して搬送する搬送部11と、前記搬送部11で搬送される錠剤Tに吐出材を吐出して印刷するインクジェット印刷部21、31と、前記搬送部11で搬送される錠剤Tにレーザ光を照射して印刷するレーザ印刷部41、51と、を備え、前記搬送部11の搬送方向において、前記インクジェット印刷部21、31の後に前記レーザ印刷部41、51が配置されたことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤に印刷する錠剤印刷装置であって、
錠剤を吸着して搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送される錠剤に吐出材を吐出して印刷するインクジェット印刷部と、
前記搬送部で搬送される錠剤にレーザ光を照射して印刷するレーザ印刷部と、を備え、
前記搬送部の搬送方向において、前記インクジェット印刷部の次に前記レーザ印刷部が配置されたことを特徴とする錠剤印刷装置。
【請求項2】
前記インクジェット印刷部は、レーザ光を照射することにより変色するレーザ光起因変色物を含む吐出材を吐出して錠剤表面の一部分にレーザ光起因変色物帯を形成する請求項1に記載の錠剤印刷装置。
【請求項3】
前記レーザ印刷部は、前記レーザ光起因変色物帯表面にレーザ光を照射して印刷することを特徴とする請求項2に記載の錠剤印刷装置。
【請求項4】
前記変色誘起酸化物は、酸化チタンであることを特徴とする請求項2又は3に記載の錠剤印刷装置。
【請求項5】
前記錠剤は、口腔内崩壊錠であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤印刷装置。
【請求項6】
錠剤の文字等を印刷する錠剤印刷方法であって、
搬送部で錠剤を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程において搬送される錠剤に対して、インクジェット印刷部から錠剤に吐出材を吐出して印刷するインクジェット印刷工程と、
前記搬送工程において搬送される錠剤に対して、レーザ印刷部から錠剤にレーザ光を照射して印刷するレーザ印刷工程と、を備え、
前記インクジェット印刷工程に続いてレーザ印刷工程を実行することを特徴とする錠剤印刷方法。
【請求項7】
前記インクジェット印刷工程では、レーザ光を照射することにより変色するレーザ光起因変色物を含む吐出材を吐出して錠剤表面の一部分にレーザ光起因変色物帯を形成する請求項6に記載の錠剤印刷方法。
【請求項8】
前記レーザ印刷工程では、前記レーザ光起因変色物帯表面に、前記レーザ印刷部がレーザ光を照射して印刷することを特徴とする請求項7に記載の錠剤印刷方法。
【請求項9】
前記変色誘起酸化物は、酸化チタンであることを特徴とする請求項7又は8に記載の錠剤印刷方法。
【請求項10】
前記錠剤は、口腔内崩壊錠であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の錠剤印刷方法。
【請求項11】
錠剤表面の一部に形成された、レーザ光を照射することにより変色するレーザ光起因変色物を含むレーザ光起因変色物帯表面に、レーザ光を照射したことによる印刷が施されていることを特徴とする錠剤。
【請求項12】
当該錠剤は、口腔内崩壊錠であることを特徴とする請求項11に記載の錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤にレーザ光を照射して印刷する錠剤印刷装置、錠剤印刷方法、及び錠剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、錠剤表面にインクジェットで文字やロゴ等の印刷を行うことにより、服用する薬剤を患者が間違うことを防止している。
【0003】
特許文献1には、ディスクで搬送される錠剤表面に対して、インクジェットのノズルからインクを吐出して印刷する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特許第6116719号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、インク代やインクの補充に係る人件費にコストがかかるとともに、超高精度な印刷は困難であるという問題があった。
また、超高精度な印刷のためにレーザ光を照射して印刷を行う場合、錠剤に酸化チタンなどのレーザ光に反応する物質が錠剤表面に存在することが必要で、打錠前にこの物質を分散させるかコーティングを行う必要があり、手間がかかるという問題があった。
さらに、酸化チタンを錠剤表面に分散させてレーザ光を照射して印刷を行う場合、印刷色はグレー色の単色であり、色付けした印刷ができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、色付けした印刷が可能で手間がかからず、超高精度の印刷を施した錠剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、錠剤に印刷する錠剤印刷装置であって、
錠剤を吸着して搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送される錠剤に吐出材を吐出して印刷するインクジェット印刷部と、
前記搬送部で搬送される錠剤にレーザ光を照射して印刷するレーザ印刷部と、を備え、
前記搬送部の搬送方向において、前記インクジェット印刷部の次に前記レーザ印刷部が配置されたことを特徴とする錠剤印刷装置を提供するものである。
【0008】
この構成により、色付けした印刷が可能で手間がかからず、超高精度の印刷を施した錠剤を提供することができる。つまり、酸化チタン等のレーザ光起因変色物が表面に含まれる錠剤については、インクジェット印刷部で色付けした印刷をするとともに、レーザ印刷部で超高精度に印刷を施すことができる。
【0009】
前記インクジェット印刷部は、レーザ光を照射することにより変色するレーザ光起因変色物を含む吐出材を吐出して錠剤表面の一部分にレーザ光起因変色物帯を形成する構成してもよい。
【0010】
この構成により、レーザ光起因変色物帯の形成を錠剤表面の一部分とすることで、例えば、口腔内崩壊錠等の錠剤にも適用することができる。すなわち、口の中で溶ける口腔内崩壊錠の表面全域にレーザ光起因変色物帯が形成されると、口腔内崩壊錠としての機能を果たすことができないが、レーザ光起因変色物帯の形成が錠剤表面の一部分であれば、レーザ光起因変色物帯が形成されていない錠剤表面から溶け出すことができるため口腔内崩壊錠の機能を果たすことができる。
【0011】
前記レーザ印刷部は、前記レーザ光起因変色物帯表面にレーザ光を照射して印刷する構成としてもよい。
【0012】
この構成により、酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれていない錠剤に関してもレーザ光起因変色物帯表面にレーザ印刷部からレーザ光を照射することにより、超高精度に印刷を施すことができる。また、レーザ光起因変色物に色付けした可食インクを加えて吐出材とすることにより、色付けした超高精度な印刷を行うことができる。
【0013】
前記変色誘起酸化物は、酸化チタンである構成としてもよい。
【0014】
この構成により、一般的な材料で、レーザ印刷部で超高精度に印刷を施すことができる。
【0015】
前記錠剤は、口腔内崩壊錠である構成としてもよい。
【0016】
この構成により、本錠剤印刷装置の適用範囲を広げることができる。
【0017】
また、上記課題を解決するために本発明は、錠剤の文字等を印刷する錠剤印刷方法であって、
搬送部で錠剤を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程において搬送される錠剤に対して、インクジェット印刷部から錠剤に吐出材を吐出して印刷するインクジェット印刷工程と、
前記搬送工程において搬送される錠剤に対して、レーザ印刷部から錠剤にレーザ光を照射して印刷するレーザ印刷工程と、を備え、
前記インクジェット印刷工程に続いてレーザ印刷工程を実行することを特徴とする錠剤印刷方法を提供するものである。
【0018】
この構成により、色付けした印刷が可能で手間がかからず、超高精度の印刷を施した錠剤を提供することができる。つまり、酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれる錠剤については、インクジェット印刷部で色付けした印刷をするとともに、レーザ印刷部で超高精度に印刷を施すことができる。
【0019】
前記インクジェット印刷部は、レーザ光を照射することにより変色するレーザ光起因変色物を含む吐出材を吐出して錠剤表面の一部分にレーザ光起因変色物帯を形成する構成としてもよい。
【0020】
この構成により、レーザ光起因変色物帯の形成を錠剤表面の一部分とすることで、例えば、口腔内崩壊錠等の錠剤にも適用することができる。すなわち、口の中で溶ける口腔内崩壊錠の表面全域にレーザ光起因変色物帯が形成されると、口腔内崩壊錠としての機能を果たすことができないが、レーザ光起因変色物帯の形成が錠剤表面の一部分であれば、レーザ光起因変色物帯が形成されていない錠剤表面から溶け出すことができるため口腔内崩壊錠の機能を果たすことができる。
【0021】
前記レーザ印刷工程では、前記レーザ光起因変色物帯表面に、前記レーザ印刷部がレーザ光を照射して印刷する構成としてもよい。
【0022】
この構成により、酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれていない錠剤に関してもレーザ光起因変色物帯表面にレーザ印刷部からレーザ光を照射することにより、超高精度に印刷を施すことができる。また、レーザ光起因変色物に色付けした可食インクを加えて吐出材とすることにより、色付けした超高精度な印刷を行うことができる。
【0023】
前記変色誘起酸化物は、酸化チタンである構成としてもよい。
【0024】
この構成により、一般的な材料で、レーザ印刷部で超高精度に印刷を施すことができる。
【0025】
前記錠剤は、口腔内崩壊錠である構成としてもよい。
【0026】
本錠剤印刷装置の適用範囲を広げることができる。
【0027】
さらに、上記課題を解決するために本発明は、錠剤表面の一部に形成された、レーザ光を照射することにより変色するレーザ光起因変色物を含むレーザ光起因変色物帯表面に、レーザ光を照射したことによる印刷が施されていることを特徴とする錠剤を提供するものである。
【0028】
この構成により、手間がかからず超高精度の印刷を行った錠剤を提供することができる。つまり、レーザ光起因変色物帯表面にレーザ光を照射することにより、超高精度な印刷を施した錠剤とすることができる。
【0029】
当該錠剤は、口腔内崩壊錠である構成としてもよい。
【0030】
レーザ光起因変色物帯が錠剤表面の一部であるために、口腔内崩壊錠についてもその機能を失うことなく超高精度な印刷を施した錠剤とすることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の錠剤印刷装置、錠剤印刷方法、及び錠剤は、色付けした印刷が可能で手間がかからず、超高精度の印刷を施した錠剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施例1における錠剤印刷装置を説明する図である。
図2】本発明の実施例1における錠剤印刷装置のインクジェット印刷部とレーザ印刷部とを説明する図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
図3】本発明の実施例1における錠剤印刷装置で印刷した錠剤を説明する図であり、(a)は、第1面、(b)は、第2面の印刷例を説明する図である。
図4】本発明の実施例2における錠剤印刷装置で印刷した錠剤を説明する図であり、(a)は、第1面、(b)は、第2面の印刷例を説明する図である。
図5】本発明の実施例3における錠剤印刷装置で印刷した錠剤を説明する図であり、(a)は、第1面、(b)は、第2面の印刷例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0033】
本発明の実施例1について、図1図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1における錠剤印刷装置を説明する図である。図2は、本発明の実施例1における錠剤印刷装置のインクジェット印刷部とレーザ印刷部とを説明する図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。図3は、本発明の実施例1における錠剤印刷装置で印刷した錠剤を説明する図であり、(a)は、第1面、(b)は、第2面の印刷例を説明する図である。
【0034】
(錠剤印刷装置)
本発明の実施例1における錠剤印刷装置100は、図1に示すように、ディスク11、ディスク12、ディスク13、パーツフィーダ14、錠剤投入部15、インクジェット印刷部21、インクジェット印刷部31、レーザ印刷部41、レーザ印刷部51、収納箱17等からなっている。ディスク11は、主面を垂直にして設けられ、ディスク12は、ディスク11と直交かつ側面同士が近接するように垂直に設けられ、ディスク13はディスク12と直交かつ側面同士が近接するように水平に設けられている。ディスク11、ディスク12、ディスク13は、側面円周上に複数の吸着孔を備え、この吸着孔に錠剤Tを吸着保持して回転することにより錠剤Tを搬送することができる。
【0035】
図2(a)、(b)に、ディスク11におけるインクジェット印刷部21及びインクジェット印刷部31とレーザ印刷部41及びレーザ印刷部51の配置を示す。図2(a)、(b)に示しているように、錠剤Tの搬送方向において、インクジェット印刷部21及びインクジェット印刷部31の次にレーザ印刷部41及びレーザ印刷部51を備えている。これにより、搬送による錠剤Tの位置ずれがなく、インクジェット印刷部で印刷した部分とレーザ印刷部で印刷した部分の位置関係を高精度にすることができる。
【0036】
錠剤Tは、2つの主面である第1面及び第2面とそれらの間にある円周面である側面を有している。錠剤投入部15からパーツフィーダ14に投入された錠剤Tは、パーツフィーダ14の振動又は回転によって次第に水平方向に整列させられる。整列させられた錠剤Tはパーツフィーダ14の最終端において、ディスク13の側面円周上に設けられた複数の吸着孔のうち近接の吸着孔にその側面を吸着される。ディスク13の側面円周上の吸着孔に吸着保持された錠剤Tはディスク13の反時計方向への回転に伴って、ディスク12に近づくように水平回転させられる。そして、ディスク12に近接移動した錠剤Tは、ディスク12における近接の吸着孔への吸着を開始するとともに、ディスク13の当該吸着孔の吸着を解除して、錠剤Tの一方の主面をディスク12の当該吸着孔に吸着させる。ディスク12は、時計方向に回転することにより、吸着保持した錠剤Tをディスク11に近接するように垂直回転する。そして、ディスク11に近接移動した錠剤Tは、ディスク11における近接の吸着孔への吸着を開始するとともに、ディスク12における当該吸着孔の吸着を解除して、錠剤Tの側面をディスク11の当該吸着孔に吸着保持させる。ディスク11に吸着保持された錠剤Tは、ディスク11の回転に伴って反時計方向に垂直回転される。
【0037】
(錠剤印刷方法)
ディスク11の回転に伴って搬送工程が実行されて、吸着された錠剤Tはインクジェット印刷部21、インクジェット部31が印刷可能な位置に搬送される。その際、図示しないセンサーにより錠剤Tが検出されて、インクジェット印刷部21が回転搬送中の錠剤Tの第1面、インクジェット部31が錠剤Tの第2面に吐出材を吐出して印刷を行うことができる。
【0038】
実施例1においては、図3(a)に示すように第1面に「FR」という文字IJ−Aを色付けした可食インクにより印刷するインクジェット印刷工程を実行する。この文字IJ−Aは、赤色や青色等任意の色であってもよい。第2面には、インクジェット印刷部31は印刷を行わず、後述するレーザ印刷部51が印刷を行う。インクジェット印刷部21、及びインクジェット印刷部31は、ともに錠剤Tの搬送方向と直交する方向に1列又は複数列のノズルを備えていて、搬送速度に同期して各ノズルから吐出材を吐出することにより2次元に印刷を行うことができる。
【0039】
ここで、実施例1における錠剤Tは、その表面に酸化チタンが分散されているものを対象としている。これは、次に述べるレーザ印刷部51がレーザ光を照射して印刷するために酸化チタンが表面に分散されているかコーティングされていることが求められるからである。
【0040】
なお、実施例1においては、酸化チタンが分散又はコーティングされていることとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。レーザ光を照射することにより変色するレーザ光起因変色物であればよく、例えば、黄色三二酸化鉄、又は三二酸化鉄でもよい。
【0041】
インクジェット印刷部21による印刷が完了した錠剤Tは、レーザ印刷部41、レーザ印刷部51が印刷可能な位置に搬送され、レーザ印刷部41が回転搬送中の錠剤Tの第1面、レーザ部31が錠剤Tの第2面にレーザ光を照射して印刷を行うことができる。レーザ印刷部41及びレーザ印刷部51は、ともに、少なくとも錠剤Tの搬送方向と直交する方向にスキャンしてレーザ光を照射可能に構成されていて、搬送速度に同期してスキャンしてレーザ光を照射することにより、錠剤Tに任意の2次元の印刷を施すことができる。
【0042】
実施例1におけるレーザ光はUV光であり、このUV光が照射されることにより、錠剤Tの表面に含まれる酸化チタンのチタンと酸素の比率が変化して白色からグレー色に変化し、印刷することができる。なお、酸化チタンはナノ化することにより元の色を透明色にすることも可能である。
【0043】
実施例1においては、レーザ印刷部41による第1面への印刷は行わず、レーザ印刷部51による第2面への印刷のみを行う。第2面への印刷は、図3(b)に示すように2次元バーコードLB−Aを印刷するレーザ印刷工程を実行する。2次元バーコードLB−Aは、インクジェット印刷部21又はインクジェット印刷部31でも印刷できるが、より高精度なものを印刷する場合は、レーザ光による印刷が望ましく、レーザ印刷部41、又はレーザ印刷部51で印刷することとしている。
【0044】
レーザ印刷部41、レーザ印刷部51での印刷が完了した錠剤Tは、回転搬送され収納箱17に収納される。
【0045】
なお、実施例1においては、インクジェット印刷部21とレーザ印刷部51でそれぞれ第1面と第2面に印刷するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、インクジェット印刷部31とレーザ印刷部41でそれぞれ第2面と第1面に印刷するように構成してもよいし、インクジェット印刷部41とレーザ印刷部51でそれぞれ第1面と第2面に印刷するように構成してもよい。また、必ずしも第1面及び第2面に印刷を施す必要はなく、第1面のみ、又は第2面のみに印刷を施すように構成してもよい。
【0046】
また、印刷するものは、文字IJ−Aや2次元バーコードLB−Aである必要はなく、ロゴやキャラクターであってもよく、高精度な印刷が必要なものはレーザ印刷部41又はレーザ印刷部51で印刷し、色付けの必要なものはインクジェット印刷部21又はインクジェット印刷部31で印刷するように構成すればよい。
【0047】
さらに、インクジェット印刷部21、及びインクジェット印刷部31の両方を備える必要はなく、印刷を施す面に必要なインクジェット印刷部21、又はインクジェット印刷部31のみを備えるように構成してもよい。例えば、錠剤Tの第1面にのみ印刷を施す場合は、インクジェット印刷部21のみを設け、インクジェット印刷部31は設けなくてもよい。同様に、レーザ印刷部41、及びレーザ印刷部51の両方を備える必要はなく、印刷を施す面に必要なレーザ印刷部41、又はレーザ印刷部51のみを備えるように構成してもよい。例えば、錠剤Tの第2面にのみ印刷を施す場合は、インクジェット印刷部51のみを設け、インクジェット印刷部41は設けなくてもよい。
【0048】
また、実施例1においては、ディスク11に吸着して搬送される錠剤Tに対して、その主面である第1面及び第2面にインクジェット印刷部21及びレーザ印刷部51で印刷するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、錠剤Tの側面に印刷する場合は、ディスク12に吸着して搬送される錠剤Tに対してインクジェット印刷部及びレーザ印刷部を設けて印刷するように構成してもよい。
【0049】
また、錠剤Tの搬送方向において、レーザ印刷部41及びレーザ印刷部51の次に、錠剤Tの第1面及び第2面について印刷外観検査を行なう検査部を設けてもよい。これにより、印刷の品質を管理することができる。
【0050】
このように、実施例1においては、錠剤に印刷する錠剤印刷装置であって、
錠剤を吸着して搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送される錠剤に吐出材を吐出して印刷するインクジェット印刷部と、
前記搬送部で搬送される錠剤にレーザ光を照射して印刷するレーザ印刷部と、を備え、
前記搬送部の搬送方向において、前記インクジェット印刷部の次に前記レーザ印刷部が配置されたことを特徴とする錠剤印刷装置により、色付けした印刷が可能で手間がかからず、超高精度の印刷を施した錠剤を提供することができる。つまり、酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれる錠剤については、インクジェット印刷部で色付けした印刷をするとともに、レーザ印刷部で超高精度に印刷を施すことができる。
【0051】
また、錠剤の文字等を印刷する錠剤印刷方法であって、
搬送部で錠剤を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程において搬送される錠剤に対して、インクジェット印刷部から錠剤に吐出材を吐出して印刷するインクジェット印刷工程と、
前記搬送工程において搬送される錠剤に対して、レーザ印刷部から錠剤にレーザ光を照射して印刷するレーザ印刷工程と、を備え、
前記インクジェット印刷工程に続いてレーザ印刷工程を実行することを特徴とする錠剤印刷方法により、色付けした印刷が可能で手間がかからず、超高精度の印刷を施した錠剤を提供することができる。つまり、酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれる錠剤については、インクジェット印刷工程で色付けした印刷をするとともに、レーザ印刷工程で超高精度に印刷を施すことができる。
【実施例2】
【0052】
本発明における実施例2は、酸化チタン等のレーザ光起因変色物を表面に含まない錠剤を対象とした点で実施例1と異なっている。つまり、酸化チタン等のレーザ光起因変色物を表面に含まない錠剤の場合、レーザ光を照射しても色が変化しないため印刷することができない。そのため、実施例2においては、レーザ印刷する直前にレーザ印刷する領域に酸化チタン等のレーザ光起因変色物を印刷することとしている。
【0053】
図4を参照して実施例2について説明する。図4は、本発明の実施例2における錠剤印刷装置で印刷した錠剤を説明する図であり、(a)は、第1面、(b)は、第2面の印刷例を説明する図である。
【0054】
実施例2においては、インクジェット印刷部21及びインクジェット印刷部31から吐出させる吐出材を酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれる構成としている。ここで、「レーザ光起因変色物が含まれる」とは、レーザ光起因変色物のみでもよいし、レーザ光起因変色物に加えて赤色や青色等の色付けされた可食インクが含まれていてもよく、少なくともレーザ光起因変色物が含まれていればよい。
【0055】
具体的に説明すると、インクジェット印刷部21におけるインクジェット印刷工程において、錠剤Tの第1面の中央付近の一部分に、酸化チタンによるレーザ光起因変色物帯IJ−B(図4(a)における斜線を施した領域)を印刷して形成する。これにより、レーザ光起因変色物帯IJ−Bは、白色又は透明色に印刷される。また、同様にインクジェット印刷部31におけるインクジェット印刷工程において、錠剤Tの第2面の中央部付近の一部分に、酸化チタンによるレーザ光起因変色物帯IJ−C(図4(b)における斜線を施した領域)を印刷して形成する。これにより、レーザ光起因変色物帯IJ−Cは、白色又は透明色に印刷される。
【0056】
続いて、レーザ印刷部41によるレーザ印刷工程において、錠剤Tの第1面のレーザ光起因変色物帯IJ−B表面にレーザ光を照射して「FR」という文字LB−Bを印刷する。つまり、レーザ光を照射することにより、レーザ光起因変色物帯IJ−Bにおける酸化チタンのチタンと酸素の比率が変化して、レーザ光を照射した領域のみがグレー色に変化して文字LB−Bを印刷することができる。
【0057】
また、同様に、レーザ印刷部51によるレーザ印刷工程において、錠剤Tの第2面のレーザ光起因変色物帯IJ−C表面にレーザ光を照射して二次元バーコードLB−Aを印刷する。つまり、レーザ光を照射することにより、レーザ光起因変色物帯IJ−Cにおける酸化チタンのチタンと酸素の比率が変化して、レーザ光を照射した領域のみがグレー色に変化して二次元バーコードLB−Aを印刷することができる。
【0058】
なお、実施例2においては、第1面におけるレーザ光起因変色物帯IJ−B表面に文字LB−Bを印刷し、第2面におけるレーザ光起因変色物帯IJ−C表面に二次元バーコードLB−Aを印刷するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、第1面におけるレーザ光起因変色物帯IJ−B表面に二次元バーコードLB−Aを印刷し、第2面におけるレーザ光起因変色物帯IJ−C表面に文字LB−Bを印刷するように構成してもよいし、第1面又は第2面にのみ、必要な印刷を施してもよい。少なくとも、レーザ光を照射してレーザ印刷する領域に、直前の工程で酸化チタン等のレーザ光起因変色物帯が印刷されていればよい。
【0059】
このように、実施例2においては、前記インクジェット印刷部は、前記レーザ光起因変色物を含む吐出材を吐出して錠剤表面の一部分にレーザ光起因変色物帯を形成し、前記レーザ印刷部は、前記レーザ光起因変色物帯表面にレーザ光を照射して印刷することにより、表面に酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれていない錠剤であってもレーザ光を照射して超高精度に印刷することができる。前記吐出材として、酸化チタンの他に、黄色三二酸化鉄、及び三二酸化鉄等のレーザ光起因変色物が含まれるようにすることができる。
【0060】
また、前記インクジェット印刷工程では、前記レーザ光起因変色物を含む吐出材を吐出して錠剤表面の一部分にレーザ光起因変色物帯を形成し、前記レーザ光起因変色物帯表面に、前記レーザ印刷部がレーザ光を照射して印刷することにより、表面に酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれていない錠剤であってもレーザ光を照射して高精度に印刷することができる。前記吐出材として、酸化チタンの他に、黄色三二酸化鉄、及び三二酸化鉄等のレーザ光起因変色物が含まれるようにすることができる。
【0061】
さらに、錠剤表面の一部に形成された、レーザ光を照射することにより変色するレーザ光起因変色物を含むレーザ光起因変色物帯表面に、レーザ光を照射したことによる印刷が施されていることにより、表面に酸化チタン等のレーザ光起因変色物が含まれていない錠剤であってもレーザ光を照射して高精度に印刷された錠剤を提供することができる。
【実施例3】
【0062】
本発明の実施例3は、レーザ印刷部が印刷する印刷内容とほぼ同じ形状としたレーザ光起因変色物帯を錠剤表面の一部分に形成する点で実施例2と異なっている。すなわち、インクジェット印刷部が酸化チタン等のレーザ光起因変色物を印刷する領域を必要最小限の面積に限定している。これにより、錠剤が口腔内崩壊錠である場合に口腔内で薬剤が溶ける速度や量が変化することを極力防ぐことができる。
【0063】
図5を参照して、実施例3について説明する。図5は、本発明の実施例3における錠剤印刷装置で印刷した錠剤を説明する図であり、(a)は、第1面、(b)は、第2面の印刷例を説明する図である。なお、図5(a)、(b)に示すレーザ光起因変色物帯IJ−D、及びレーザ光起因変色物帯IJ−Eの領域は、説明をわかりやすくするために実際より大きめに記載している。上述した最小限の面積とは、文字であれば線の太さと同程度の幅、二次元バーコードであれば全体幅の20%を、LB−B、LB−Aの外周にもレーザ光起因変色物帯IJ−D、IJ−Eとして形成することであるが、文字の太さの50%、二次元バーコード全体幅の10%の方が好ましく、文字の太さの20%、二次元バーコード全体幅の5%の方がより好ましい。そして、文字LB−Bとほぼ同じ形状、同じ大きさになるようにレーザ光起因変色物帯IJ−Dを形成し、二次元バーコードLB−Aとほぼ同じ形状、同じ大きさになるようにレーザ光起因変色物帯IJ−Eを形成するのが最も好ましい。
【0064】
具体的に説明すると、インクジェット印刷部21におけるインクジェット印刷工程において、錠剤Tの第1面の一部分に、酸化チタンによるレーザ光起因変色物帯IJ−D(図5(a)における斜線を施した領域)を印刷して形成する。これにより、レーザ光起因変色物帯IJ−Dは、白色又は透明色に印刷される。また、同様にインクジェット印刷部31におけるインクジェット印刷工程において、錠剤Tの第2面の一部分に、酸化チタンによるレーザ光起因変色物帯IJ−E(図5(b)における斜線を施した領域)を印刷して形成する。これにより、レーザ光起因変色物帯IJ−Eは、白色又は透明色に印刷される。
【0065】
続いて、レーザ印刷部41によるレーザ印刷工程において、錠剤Tの第1面のレーザ光起因変色物帯IJ−D表面にレーザ光を照射して「FR」という文字LB−Bを印刷する。つまり、レーザ光を照射することにより、レーザ光起因変色物帯IJ−Dにおける酸化チタンのチタンと酸素の比率が変化して、レーザ光を照射した領域のみがグレー色に変化して文字LB−Bを印刷することができる。
【0066】
また、同様に、レーザ印刷部51によるレーザ印刷工程において、錠剤Tの第2面のレーザ光起因変色物帯IJ−E表面にレーザ光を照射して二次元バーコードLB−Aを印刷する。つまり、レーザ光を照射することにより、レーザ光起因変色物帯IJ−Eにおける酸化チタンのチタンと酸素の比率が変化して、レーザ光を照射した領域のみがグレー色に変化して二次元バーコードLB−Aを印刷することができる。
【0067】
このように、実施例3においては、レーザ印刷部で印刷するものとほぼ同じ形状でほぼ同じ大きさを有したレーザ光起因変色物帯を形成することにより、錠剤が口腔内崩壊錠である場合に口腔内で薬剤が溶ける速度や量が変化することを極力防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明における錠剤印刷装置、錠剤印刷方法、及び錠剤は、錠剤に印刷する分野に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
11:ディスク 12:ディスク 13:ディスク 14:パーツフィーダ 15:錠剤投入部 17:収納箱 21:インクジェット印刷部 31:インクジェット印刷部 41:レーザ印刷部 51:レーザ印刷部 100:錠剤印刷装置 T:錠剤
図1
図2
図3
図4
図5