【解決手段】ウインチ機構から繰り出されるウインチロープを案内するウインチロープガイド装置120を備える。ウインチロープガイド装置120は、ガイド用ブーム110の前端部に配置される左右一対の側面ローラ162L,162Rと、ガイド用ブームの前端部に配置される底面ローラ161とを有して構成される。底面ローラ161は、その軸線C1が、一対の側面ローラ162L,162Rの各軸線C2,C3よりも前方に位置して設置される。
走行可能な車体に設けられた昇降装置と、前記昇降装置により昇降される作業台と、前記作業台または前記昇降装置に設けられてウインチロープの巻き取りおよび繰り出しを行う巻上装置と、を有する高所作業車において、前記巻上装置が有するウインチ用ブームの前端部に設けられ、繰り出される前記ウインチロープを案内するウインチロープガイド装置であって、
前記ウインチ用ブームの前端部において前記ウインチロープの左右両側に配置され、上下方向に延びるそれぞれの軸線回りに回転可能な一対の側面ローラと、
前記ウインチ用ブームの前端部において前記ウインチロープの下側に配置され、左右方向に延びる軸線回りに回転可能な底面ローラと、を有して構成され、
前記底面ローラは、当該底面ローラの軸線が前記一対の側面ローラの各軸線よりも前方に位置するように、設置されることを特徴とするウインチロープガイド装置。
前記底面ローラは、前記一対の側面ローラよりも前方の位置であって、前記ウインチロープガイド装置を前方から見た状態において前記一対の側面ローラの各一部と重なる位置に設置されることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のウインチロープガイド装置。
前記ウインチ用ブームの前端部において前記ウインチロープの上側に設けられ、左右方向に延びる軸線回りに回転可能な上面ローラを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のウインチロープガイド装置。
前記ウインチ用ブームの前端部において前記ウインチロープの上側に配置され、前記上面ローラを回転可能に保持する上面プレートを備え、前記上面プレートの前端部が、前記一対の側面ローラの上方で前記一対の側面ローラの少なくとも一部と重なって左右方向に延びるように構成されたことを特徴とする請求項4に記載のウインチロープガイド装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、切断された電線が垂れ下がったり落下したりしないように、切断される電線にウインチロープを予め連結しておき、切断された電線を吊り上げ装置により空中で一時的に保持することが考えられる。しかしながら、その場合、架設された電線を切断した際に、電線によりウインチロープが左右方向に引っ張られ、ウインチロープがガイド部材から外れたりウインチ用ブームの前端部に引っ掛かったりして、ウインチロープを適正に案内することができなく虞がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、左右方向に引っ張られるウインチロープをウインチ用ブームの前端部において支障なく案内することが可能なウインチロープガイド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るウインチロープガイド装置は、走行可能な車体に設けられた昇降装置(例えば、実施形態におけるブーム30)と、前記昇降装置により昇降される作業台と、前記作業台または前記昇降装置に設けられてウインチロープの巻き取りおよび繰り出しを行う巻上装置(例えば、実施形態におけるサブブーム装置70)と、を有する高所作業車において、前記巻上装置が有するウインチ用ブーム(例えば、実施形態におけるサブブーム部材74およびガイド用ブーム110)の前端部に設けられ、繰り出される前記ウインチロープを案内するウインチロープガイド装置であって、前記ウインチ用ブームの前端部において前記ウインチロープの左右両側に配置され、上下方向に延びるそれぞれの軸線回りに回転可能な一対の側面ローラと、前記ウインチ用ブームの前端部において前記ウインチロープの下側に配置され、左右方向に延びる軸線回りに回転可能な底面ローラと、を有して
構成され、前記底面ローラは、当該底面ローラの軸線が前記一対の側面ローラの各軸線よりも前方に位置するように、設置される構成である。
【0008】
本発明に係るウインチロープガイド装置において、前記底面ローラは、前記ウインチ用ブームの前端よりも前方へ突出して設置されることが好ましい。
【0009】
また、前記底面ローラは、前記一対の側面ローラよりも前方の位置であって、前記ウインチロープガイド装置を前方から見た状態において前記一対の側面ローラの各一部と重なる位置に設置されることが好ましい。
【0010】
また、前記ウインチ用ブームの前端部において前記ウインチロープの上側に設けられ、左右方向に延びる軸線回りに回転可能な上面ローラを備えることが好ましい。
【0011】
また、前記ウインチ用ブームの前端部において前記ウインチロープの上側に配置され、前記上面ローラを回転可能に保持する上面プレートを備え、前記上面プレートの前端部が、前記一対の側面ローラの上方で前記一対の側面ローラの少なくとも一部と重なって左右方向に延びるように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るウインチロープガイド装置によれば、ウインチロープの左右両側に配置される一対の側面ローラと、ウインチロープの下側に配置される底面ローラとを備えるので、ウインチロープが下方に引っ張られる場合には底面ローラによって、ウインチロープが左右方向に引っ張られる場合には側面ローラによって、それぞれウインチロープを支障なく案内することが可能となる。また、底面ローラは、その軸線が一対の側面ローラの各軸線よりも前方に位置するように設置されるので、ウインチロープが引っ張られる方向が下方から左右方向へと変わることによりウインチロープが底面ローラから側面ローラへと移動する際に、ウインチロープが側面ローラの下側の側端部等において引っ掛かることを防止することが可能となる。
【0013】
本発明に係るウインチロープガイド装置において、底面ローラを、ウインチ用ブームの前端よりも前方へ突出して設置することで、ウインチロープが底面ローラから下方に吊り下がった状態で繰り出しおよび巻き取りが行われても、ウインチロープがウインチ用ブームの前端に接触して損傷することを防止することが可能となる。
【0014】
本発明に係るウインチロープガイド装置において、底面ローラを、一対の側面ローラよりも前方の位置であって、ウインチロープガイド装置を前方から見た状態において一対の側面ローラの一部と重なる位置に設置することで、底面ローラを一対の側面ローラの間に設置する場合に比べて、ウインチロープガイド装置の構成を簡易化することができる。これにより製造コストを低減することが可能となる。また、ウインチロープが、底面ローラから側面ローラへと移動する際に、側面ローラの下側の側端部等に引っ掛かることなくスムーズに移動できるようにすることが可能となる。
【0015】
本発明に係るウインチロープガイド装置において、ウインチ用ブームの前端部においてウインチロープの上側に設けられる上面ローラを備えることで、ウインチロープが上方に引っ張られる場合には上面ローラによって、ウインチロープを支障なく案内することが可能となる。また、ウインチロープが上方へ抜け出てしまうことを防止することが可能となる。
【0016】
本発明に係るウインチロープガイド装置において、ウインチ用ブームの前端部においてウインチロープの上側に配置され、上面ローラを回転可能に保持する上面プレートを備え
、その上面プレートの前端部が、一対の側面ローラの上方で一対の側面ローラの少なくとも一部と重なって左右方向に延びるように構成されることで、ウインチロープに連結された電線を切断した際などに、切断による衝撃でウインチロープが跳ね上がって、一対の側面ローラの後側に入り込むことを防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について上記図面を参照して説明する。
図1〜
図4は、本発明に係るウインチロープガイド装置を装備可能な高所作業車1を示しており、まず、これらの図を参照して高所作業車1の全体構成について概要説明する。高所作業車1は、
図1に示すように、車体2の前部に運転キャブ7を有し、車体2の前後に配設された左右一対の前輪5fおよび後輪5rにより走行可能なトラック車両をベースに構成されている。車体2は、シャシフレームとシャシフレーム上に取り付けられたサブフレームとからなる車体フレームを有して構成されている。
【0019】
車体2の前後には、後述するブーム30等を用いて高所作業を行うときに車両を持ち上げ支持して安定させるための左右一対のフロントジャッキ10fおよびリアジャッキ10rが設けられている。フロントおよびリアジャッキ10f,10rは、各々の内部に設けられたジャッキシリンダ11を駆動させることにより下方に伸長して車体2を持ち上げ支持し、車両を安定させた状態とするように構成されている。車体2には、各ジャッキ10f,10rの作動操作を行う操作レバー等を備えるジャッキ操作装置15(
図4を参照)が設けられている。
【0020】
車体2における運転キャブ7後方の架装領域の後部には、旋回モータ24の駆動により
水平旋回可能に構成された旋回台20が設けられている。この旋回台20から上方に延びた支柱21には、フートピン22によりブーム30が上下方向に揺動自在(起伏動自在)に取り付けられている。車体2の架装領域上の左右には、作業工具や作業機材等を収納するための複数の工具箱26が配設されている。
【0021】
ブーム30は、フートピン22により支柱21に起伏動自在に取り付けられた基端ブーム30aと、中間ブーム30bと、先端ブーム30cとが入れ子式に組み合わされて構成されている。そして、ブーム30は、内部に設けられた伸縮シリンダ31を駆動させることによりブーム30を長手方向に伸縮作動させることができるように構成されている。また、ブーム30は、基端ブーム30aと支柱21の間に跨設された起伏シリンダ23の駆動により上下面内で起伏動可能に構成されている。
【0022】
先端ブーム30cの先端部には、
図2および
図3に示すように、揺動ピン33により垂直ポスト32が上下方向に揺動自在に取り付けられている。垂直ポスト32は、先端ブーム30cの先端部との間に跨設された上部レベリングシリンダ(図示せず)と基端ブーム30aと支柱21の間に跨設された下部レベリングシリンダ25(
図1を参照)により、ブーム30の起伏角度に拘わらず常に垂直姿勢が保持されるように揺動制御(レベリング制御)されている。
【0023】
垂直ポスト32の上部には、作業台ブラケット38が垂直ポスト32に対して旋回可能(水平旋回可能)に取り付けられ、この作業台ブラケット38の側部に作業台昇降装置36を介して箱状の作業台40が取り付けられている。垂直ポスト32の上部および作業台ブラケット38はカバー35によりその周りを覆われている。カバー35の内部には首振りモータ34が設けられており、この首振りモータ34を駆動させることにより図示しないウォームギヤおよびホイールギヤ等からなる回転伝達機構を介して作業台ブラケット38および作業台40を垂直ポスト32のまわりに水平旋回(首振り作動)させることができるように構成されている。
【0024】
上述のように垂直ポスト32は常に垂直姿勢が保持されるようにレベリング制御されているため、作業台40の床面はブーム30の起伏角度に拘わらず常に水平に保持されるようになっている。作業台昇降装置36は、昇降シリンダ(図示せず)を有して構成されており、この昇降シリンダを駆動させることにより作業台ブラケット38に対して作業台40を昇降移動させるように構成されている。作業台40には、旋回台20、ブーム30および作業台40の作動操作を行う操作レバーや各種の操作スイッチ等を備える作業操作装置45が設けられている。
【0025】
車体2に設けられた高所作業装置(上述のブーム30等)の作動機構は、
図4に示すように、ジャッキ操作装置15や作業操作装置45からの操作信号を受けて、ジャッキシリンダ11、旋回モータ24、伸縮シリンダ31、起伏シリンダ23、首振りモータ34および昇降シリンダ等(以下、まとめて「アクチュエータ55」と称する)を制御するコントローラ50と、アクチュエータ55を作動させるために作動油を供給する油圧ユニット60と、高所作業装置を駆動するための架装部バッテリ65とから構成される。
【0026】
油圧ユニット60は、油圧ポンプ61と、油圧ポンプ61を駆動させるポンプ駆動モータ62と、油圧ポンプ61からアクチュエータ55に供給される作動油の供給方向および供給量を制御する制御バルブ63とを有して構成される。ポンプ駆動モータ62は、架装部バッテリ65からインバータ64を介して供給される電力により回転駆動される。制御バルブ63は、コントローラ50により作動が制御され、アクチュエータ55に供給する作動油の供給方向および供給量を制御してアクチュエータ55の作動を制御するようになっている。
【0027】
図2および
図3に示すように、垂直ポスト32の上端部にはサブブーム装置70が設けられている。サブブーム装置70は、垂直ポスト32の上端部に水平旋回可能に設けられた旋回体71と、旋回体71の上部に上下方向に揺動自在に取り付けられたサブブーム支持部材72と、サブブーム支持部材72の上部に着脱可能に取り付けられる長尺状のサブブーム部材74とを有して構成されている。
【0028】
旋回体71は、垂直ポスト32の上端部に旋回可能に取り付けられた旋回部材71aと、旋回部材71aの周りを覆うカバー71bとを有して構成される。旋回部材71aは、内部に設けられたサブブーム旋回モータ(図示せず)を駆動させることにより作業台40(作業台ブラケット38)の旋回軸Aと同軸上において旋回可能に設けられている。旋回部材71aの上部には、水平方向に延びる揺動ピン72aが設けられており、この揺動ピン72aを中心として上下方向に揺動自在にサブブーム支持部材72が取り付けられている。
【0029】
サブブーム支持部材72は、旋回体71のカバー71bの内部に設けられた揺動シリンダ(図示せず)を駆動させることにより旋回部材71aに対して揺動ピン72aを中心に揺動可能に構成されている。サブブーム支持部材72の上部には、揺動ピン72aと直交する方向に延びるサブブーム装着孔が形成されており、このサブブーム装着孔にサブブーム部材74が挿入されて固定ピン77によりサブブーム支持部材72に固定保持され、サブブーム部材74がサブブーム支持部材72に装着される。なお、サブブーム部材74は、固定ピン77の差し込み位置を変えることにより、サブブーム部材72から
図2における作業台40側へ延びる長さを調節可能になっている。
【0030】
サブブーム支持部材72の上端部には、サブブーム部材74の先端部に設けられたシーブ部材74a(案内滑車)に掛け回されたウインチロープ75aの繰り出しおよび巻き取り作動を行うウインチ機構75が設けられている。ウインチ機構75は、内蔵されたウインチモータ(図示せず)を駆動させることによりウインチロープ75aの繰り出しおよび巻き取り作動を行うように構成されている。
【0031】
上述の揺動シリンダ、ウインチモータおよびサブブーム旋回モータは、上述のアクチュエータ55と同様に、作業台40内の作業操作装置45からの操作信号を受けたコントローラ50により制御バルブ63の作動が制御され、制御バルブ63により油圧ポンプ61から供給される作動油の供給方向および供給量を制御して作動制御されるようになっている。このように構成されたサブブーム装置70では、ウインチロープ75aの先端部に設けられたフック75bを重量物に掛け、ウインチ機構75によるウインチロープ75aの繰り出しおよび巻き取り作動により重量物の上げ下ろしを行うクレーン装置としても使用することができる。
【0032】
次に、本発明に係るウインチロープガイド装置120について、
図5〜
図13を追加参照して説明する。なお、以下の説明において、ウインチロープガイド装置120の方向について述べるときは、
図6に示す矢線に付した向きに従うこととする。ウインチロープガイド装置120は、
図5および
図6に示すように、前後方向に延びた長尺のガイド用ブーム110の前端部(先端部)に設けられ、ガイド用ブーム110と共にガイドユニット100を構成する。
【0033】
ガイド用ブーム110は、中空の矩形筒状に形成されており、その左右の側面部111R,111L(左側面部111Lは
図7に示す)には、両側面部111R,111L間で互いに対向する複数の位置に装着孔112が形成されている。この装着孔112には、
図7に示すようにボルト113Aおよび袋ナット113Bにより構成される固定ピン113
が、ガイド用ブーム110を左右方向に貫通して取り付けられるようになっている。ガイド用ブーム110は、その内部にサブブーム部材74を挿入し、サブブーム部材74側の装着孔(図示略)とガイド用ブーム110側の装着孔112との位置を合わせ、そこに固定ピン113を差し込んで固定することによって、サブブーム部材74に装着されるように構成されている。また、装着の際の固定ピン113の差し込み位置を変える(サブブーム部材74側の装着孔と位置合わせするガイド用ブーム110側の装着孔112を変える)ことにより、ガイド用ブーム110の、サブブーム部材74の先端から前方への突出長さを調節できるようになっている。ガイド用ブーム110は、サブブーム部材74に装着された状態において、サブブーム部材74と共にサブブーム(ウインチ用ブーム)として機能する。
【0034】
ウインチロープガイド装置120は、
図6〜
図13に示すように、ローラ保持ユニット130と四面ローラ160とを備えて構成される。ローラ保持ユニット130は、矩形状の底面プレート131と、底面プレート131の左右の縁端部に設けられた左右一対の側面プレート(左側面プレート132Lおよび右側面プレート132R)と、上面プレート133とを主体として構成される。上面プレート133は、ヒンジ部材134を介して、右側面プレート132Rに対し上下方向に開閉揺動可能に取り付けられている。
【0035】
上面プレート133の開放端部側裏面には、
図13に示すように、ロック機構150が設けられており、左側面プレート132Lの外側面には、このロック機構150(後述のロック部材153)と係合・離脱するU字状のストライカ158が設けられている。ロック機構150は、所定の間隔を置いて対向配置された一対の保持プレート151,152と、保持プレート151,152間に保持されたロック部材153と、ロック解除レバー154とを備えて構成される。ロック部材153は、ストライカ158と係合可能な係合位置と、ストライカ158から離脱可能な離脱位置との間を揺動可能に構成され、不図示のバネ部材により、係合位置に揺動するように付勢されている。保持プレート151,152には、ストライカ挿入溝155が形成されており、このストライカ挿入溝155内にストライカ158が挿入されると、ロック部材153がストライカ158と係合し、上面プレート133を、
図12に示すように閉じた状態にロックできるようになっている。また、このロック状態において、ロック解除レバー154を操作してロック部材153をストライカ158から離脱させることによってロックを解除し、上面プレート133を、
図13に示すように上方に開くことができるようになっている。なお、
図6に示すように、右側面プレート132Rの外側面には、開けられた上面プレート133が右側面プレート132Rと当接して傷付くのを防止するための緩衝部材135が設置されている。
【0036】
四面ローラ160は、底面ローラ161と左右一対の側面ローラ(左側面ローラ162Lおよび右側面ローラ162R)と上面ローラ163とを備えて構成される。底面ローラ161は、左側面プレート132Lから前方に延びたブラケット部136L(
図9を参照)と、右側面プレート132Rから前方に延びたブラケット部136R(
図9を参照)とにより保持され、左右方向に延びる軸線C1(
図13を参照)を中心として回転可能に構成されている。左側面ローラ162Lは、左側面プレート132Lの上縁部から右方に延びたブラケット部137L(
図13を参照)と、底面プレート131から前方に延びたブラケット部138(
図10を参照)とにより保持され、上下方向に延びる軸線C2(
図13を参照)を中心として回転可能に構成されている。
【0037】
右側面ローラ162Rは、右側面プレート132Rの上縁部から左方に延びたブラケット部137R(
図13を参照)と、底面プレート131から前方に延びたブラケット部138(
図10を参照)とにより保持され、上下方向に延びる軸線C3(
図13を参照)を中心として回転可能に構成されている。上面ローラ162Rは、上面プレート133の裏面に設けられた一対のブラケット部139L,139R(
図13を参照)により保持され
、上面プレート133を閉じた状態で左右方向に延びる軸線C4(
図13を参照)を中心として回転可能に保持されている。
【0038】
底面ローラ161は、
図13に示すように、左側面ローラ162Lおよび右側面ローラ162Rの前方に(底面ローラ161の軸線C1が、左右の側面ローラ162L,162Rの軸線C2,C3よりも前方に位置するように)配置されている。また、
図7に示すようにウインチロープガイド装置120を前方から見た状態(正面視)において、底面ローラ161は、左側面ローラ162Lおよび右側面ローラ162Rの下端側の一部と重なる位置に配置されている。上面ローラ163は、
図12に示すように、左側面ローラ162Lおよび右側面ローラ162Rの後方に配置されている。また、
図8に示すようにウインチロープガイド装置120を後方から見た状態(背面視)において、上面ローラ163は、左側面ローラ162Lおよび右側面ローラ162Rの上端側の一部と重なる位置に配置されている。このように配置された各ローラ161,162L,162R,163の間には、
図7および
図8に示すように、前後方向に抜ける空間部SPが形成される。この空間部SP内にウインチロープ75a(
図5を参照)が挿通されるようになっている。
【0039】
図12および
図13に示すように、左側面プレート132Lの外面前縁部および右側面プレート132Rの外面前縁部には、ガードプレート141Aおよびガードプレート141Bがそれぞれ設けられている。同様に、底面ローラ161の左右両側には、ガードプレート141Cおよびガードプレート141Dがそれぞれ設けられている。これらのガードプレート141A〜141Dは、ウインチロープガイド装置120から前方へ繰り出されたウインチロープ75aが、ローラ保持ユニット130の前側の縁端部、特に、左側面プレート132Lの前側の縁端部や右側面プレート132Rの前側の縁端部、ブラケット部136L,136R等と接触して傷付くのを防止するように構成されている。
【0040】
以上のように構成されたウインチロープガイド装置120は、
図6に示すように、ガイド用ブーム110の前端上面に溶接等により固定される。ウインチロープガイド装置120がガイド用ブーム110の前端上面に固定された状態において、底面ローラ161および左右の側面ローラ162L,162Rは、ガイド用ブーム110の前端(先端)よりも前方に突出した位置に配置される。また、
図12および
図13に示すように、ガイド用ブーム110の前端には、その前端の開口の一部を覆う前面プレート115が適宜設けられる。
【0041】
ガイドユニット100は、
図5に示すように、上述のシーブ部材74aに換えてサブブーム部材74に装着され、サブブーム装置70の一部として機能する。ウインチ機構75から繰り出されるウインチロープ75aは、ウインチロープガイド装置120の内部(
図7に示す空間部SP内)を通ってさらに前方へと繰り出される。底面ローラ161は、ウインチロープガイド装置120から繰り出されたウインチロープ75aが下方へと延びる場合にこれを案内する機能を有し、左右の側面ローラ162L,162Rは、ウインチロープガイド装置120から繰り出されたウインチロープ75aが左右方向へと延びる場合にこれを案内する機能を有する。また、上面ローラ163は、ウインチ機構75からウインチロープガイド装置120へと延びるウインチロープ75aを案内する機能を有する。
【0042】
次に、ウインチロープガイド装置120の作用について、
図14〜
図16を追加参照して説明する。ここでは、ウインチロープガイド装置120を備えたサブブーム装置70を、架空地線の撤去作業(GW撤去作業)に用いる場合を例にとって説明する。
図14に示すように、架空地線GWは、電柱HPに架設された送電線TWを雷から保護するために、送電線TWよりも上方位置に架設されている。GW撤去作業では、撤去する架空地線GWを切断する作業が行われる。サブブーム装置70は、GW撤去作業の際に、
図1に示すブーム30を起仰、旋回および伸長させることにより、作業台40と共に架空地線GWの近
傍に配置される。そして、ウインチロープガイド装置120から繰り出されるウインチロープ75aを、架設された架空地線GWに予め連結しておくことにより、切断された架空地線GWが垂れ下がったり落下したりしないように空中で保持する。
【0043】
ウインチロープ75aと架空地線GWとの連結は、例えば、専用の把持具90を用いて行われる。把持具90は、ウインチロープ75aの前端に設けられたフック75bに吊り下げられる吊り線具91と、吊り線具91の前端に取り付けられたクランプ92とを備えて構成され、クランプ92により架空地線GWを把持することによって、ウインチロープ75aを架空地線GWに連結する。ウインチロープ75aを架空地線GWに連結する際は、ウインチロープ75aが底面ローラ161により案内されて下方に垂れ下がった状態で行うことができる。ウインチロープ75aを架空地線GWに連結した後、ウインチロープ75aをウインチ機構75により少し巻き取ったり、サブブーム部材74を起伏または旋回させてウインチロープガイド装置120を移動させたりして、ウインチロープ75aに張力を与える。これにより、架空地線GWを切断した際に、その反動で架空地線GWが大きく揺動するのを抑制する。その後、架空地線GWを、クランプ92によって把持された位置よりも電柱HP寄りの位置で切断する。
【0044】
架空地線GWに連結したウインチロープ75aに張力を与えるためにウインチロープガイド装置120を移動させる際や架空地線GWを切断する際には、それまで、底面ローラ161に案内されていたウインチロープ75aが、
図15に示すように、左右方向(図では左方)に引っ張られて、底面ローラ161から左右の側面ローラ162L,162R(図では左側面ローラ162L)へと移動することがある。上述したようにウインチロープガイド装置100は、底面ローラ161が、左右の側面ローラ162L,162Rよりも前方の位置で、ウインチロープガイド装置120を前方から見た状態において、左右の側面ローラ162L,162Rの下端側の一部と重なる位置に配置されている。そのため、ウインチロープ75aが、底面ローラ161から左右の側面ローラ162L,162Rへと移動する際に、左右の側面ローラ162L,162Rの下側の側端部等に引っ掛かることなくなくスムーズに移動できる。これに対し、
図16に示すように、底面ローラ161が、左右の側面ローラ162L,162Rよりも後方の位置に配置されている場合には、ウインチロープ75aが、底面ローラ161から左右の側面ローラ162L,162Rへと移動する際に、左右の側面ローラ162L,162Rの下側の側端部等に引っ掛かる虞がある。特に、ウインチロープ75aが柔軟なロープ材の場合には、このような引っ掛かりが生じ易い。
【0045】
架空地線GWの切断作業は、架空地線GWの他端側においても、別の高所作業車に搭載された同様のサブブーム装置(図示略)を用いて、上述したのと同様の手順で行われる。両端部が切断された架空地線GWは、電柱HPから切り離され、地上へと下ろされる。架空地線GWを地上へ下ろす際、ウインチロープ75aが底面ローラ161に案内されて下方に垂れ下がった状態となることがある。上述したようにウインチロープガイド装置100は、底面ローラ161が、ガイド用ブーム110(サブブーム)の前端よりも前方に突出して配置されているので、底面ローラ161に案内されて下方に垂れ下がった状態のウインチロープ75aが、ガイド用ブーム110の前端と接触して傷付くことを防止することができる。なお、ウインチロープガイド装置120を備えたサブブーム装置70は、重量物の上げ下ろしを行うクレーン装置として用いることもできる。
【0046】
上記ウインチロープガイド装置120の変更例として、
図17および
図18に示すような上面プレート133Kを備えるようにしてもよい。この上面プレート133Kは、上述の上面プレート133と比較して、その前縁部133Kaが前方に張り出した形状に構成されている。また、上面プレート133Kは、閉じた状態において、その前縁部133Kaが、左右の側面ローラ162L,162Rの上方で左右の側面ローラ162L,162
Rの一部(後部)と重なった状態で左右方向に延びるように構成されている(
図18を参照)。このような上面プレート133Kを備えることにより、架空地線GWを切断した際に、架空地線GWに連結したウインチロープ75a(
図14を参照)が架空地線GWの切断時による衝撃で跳ね上がって、左右の側面ローラ162L,162Rの後側に入り込むことを、上面プレート133Kによって阻止することが可能となる。
【0047】
また、この変更例では、
図17に示すように、ガイド用ブーム110の前端にガードプレート141Eが設けられている。このガードプレート141Eは、特に、ガイド用ブーム110を垂直に起こした際に、ウインチロープガイド装置120から前方へ繰り出されたウインチロープ75aが、ガイド用ブーム110の前端や下面と干渉するのを防止するように構成されている。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、上述の実施形態では、ウインチロープガイド装置が、架空地線に連結されるウインチロープを案内する場合を例にとって説明したが、本発明に係るウインチロープガイド装置の用途はこれに限定されるものではなく、その他の様々な目的で使用されるウインチロープを案内するために用いることができる。
【0049】
また、上述の実施形態では、底面ローラを左右の側面ローラの前方に配置しているが、これに限定されるものではなく、底面ローラを左右の側面ローラの間に配置してもよい。さらに、上述の実施形態では、ウインチロープガイド装置がガイド用ブームを介してサブブーム部材に装着される構成としているが、これに限定されるものではなく、ウインチロープガイド装置がサブブーム部材に直接装着される構成としてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、本発明に係るウインチロープガイド装置を装備する高所作業車として、伸縮ブーム式の高所作業車を例示して説明したが、高所作業車としてはこれに限定されるものではなく、例えば、屈伸ブーム式の高所作業車であってもよい。