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特開2020-39775業務用洗濯機の被洗物殺菌方法、殺菌装置及び業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた業務用洗濯機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-39775(P2020-39775A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】業務用洗濯機の被洗物殺菌方法、殺菌装置及び業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた業務用洗濯機
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20200225BHJP
   D06F 31/00 20060101ALI20200225BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20200225BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20200225BHJP
【FI】
   A61L2/18
   D06F31/00
   D06F35/00
   A61L101:06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-171468(P2018-171468)
(22)【出願日】2018年9月13日
(11)【特許番号】特許第6637133号(P6637133)
(45)【特許公報発行日】2020年1月29日
(71)【出願人】
【識別番号】508133053
【氏名又は名称】有限会社クリーンケア
(71)【出願人】
【識別番号】518328139
【氏名又は名称】西日本医療サービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390027421
【氏名又は名称】株式会社東京洗染機械製作所
(71)【出願人】
【識別番号】512246503
【氏名又は名称】株式会社ist・イスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 善彦
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼永 英人
(72)【発明者】
【氏名】三科 道利
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 常行
【テーマコード(参考)】
3B168
4C058
【Fターム(参考)】
3B168AB43
4C058AA04
4C058AA05
4C058BB07
4C058CC02
4C058CC06
4C058EE26
4C058JJ07
4C058JJ21
4C058JJ28
(57)【要約】
【課題】本発明は、被洗物を洗濯する際に、二酸化塩素を用いてセレウス菌を含む微生物の確実な殺菌を行うことができる業務用洗濯機の被洗物殺菌方法、殺菌装置及び業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた業務用洗濯機を提供する。
【解決手段】本発明は、被洗物1を洗濯する洗濯機2に用いられて、洗濯機2の洗濯槽3内で被洗物1を殺菌処理する洗濯機用の被洗物殺菌方法であって、水と複数の薬剤A、B、Cとを混合して高濃度の二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成工程4と、二酸化塩素生成工程4で生成された高濃度の二酸化塩素を洗濯槽3内に注入し洗濯槽3内で被洗物1を洗濯する洗濯水により所定の濃度に希釈する注入希釈工程5と、からなる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗物を洗濯する洗濯機に用いられて、前記洗濯機の洗濯槽内で前記被洗物を殺菌処理する業務用洗濯機の被洗物殺菌方法であって、
水と複数の薬剤とを混合して高濃度の二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成工程と、
前記二酸化塩素生成工程で生成された高濃度の二酸化塩素を前記洗濯槽内に注入し前記洗濯槽内で前記被洗物を洗濯する洗濯水により所定の濃度に希釈する注入希釈工程と、からなることを特徴とする業務用洗濯機の被洗物殺菌方法。
【請求項2】
前記二酸化塩素生成工程では、あらかじめ混合反応槽内に水を供給し、次に前記複数の薬剤を所定の順に反応槽内に注入するとともに、前記反応槽内に注入した複数の薬剤と水との混合液を前記洗濯槽内に注入することを特徴とする請求項1に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法。
【請求項3】
前記洗濯槽内の洗濯水で希釈された前記二酸化塩素の濃度の範囲が、10ppmから100ppmの範囲であり、より望ましくは20ppmから60ppmの範囲であり、90秒以上被洗物と接触させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法。
【請求項4】
前記二酸化塩素生成工程で生成された水と複数の薬剤との混合液の水素イオン指数が5〜7であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法。
【請求項5】
前記複数の薬剤は、亜塩素酸塩溶液と、次亜塩素酸塩溶液と、酸溶液とであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法。
【請求項6】
前記亜塩素酸塩溶液が亜塩素酸ナトリウム溶液であり、次亜塩素酸塩溶液が次亜塩素酸ナトリウム溶液であり、酸溶液がクエン酸溶液であることを特徴とする請求項5に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法。
【請求項7】
前記洗濯槽内の洗濯水に対して、亜塩素酸ナトリウムは0.002〜0.02%、次亜塩素酸ナトリウムは0.001〜0.01%、クエン酸は0.001〜0.01%注入することを特徴とする請求項6に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法。
【請求項8】
被洗物を洗濯する洗濯機に用いられて、前記洗濯機の洗濯槽内で前記被洗物を殺菌する殺菌装置であって、
水と複数の薬剤を混合して高濃度の二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成部と、
二酸化塩素生成部で生成された高濃度の二酸化塩素を前記洗濯槽内に注入し所定の濃度に希釈する注入希釈部と、からなることを特徴とする殺菌装置。
【請求項9】
前記二酸化塩素生成部が、複数の薬剤をそれぞれ貯留する複数の薬剤貯留槽と、前記複数の薬剤が注入されて反応し二酸化塩素を生成する反応槽と、前記複数の薬剤貯留槽内の所定量の薬剤をそれぞれ前記反応槽内に所定の順に注入する複数の薬剤注入ポンプと、で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の殺菌装置。
【請求項10】
被洗物を洗濯する洗濯機は、前記請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法により生成された高濃度の二酸化塩素を含む混合液が洗濯槽内に注入され、前記洗濯槽内に貯留されている洗濯水で前記混合液が所定の濃度に希釈された状態で前記被洗物を洗濯しながら殺菌することを特徴とする業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた業務用洗濯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院、介護施設等から業務委託された指定洗濯物を洗濯、殺菌処理する際に用いられる業務用洗濯機の被洗物殺菌方法、殺菌装置及び業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた業務用洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
病院、介護施設等から業務委託された洗濯物(下着、タオル、シーツ等)は、いわゆる指定洗濯物(被洗物)としてクリーニング業法に基づいて営業を行う洗濯業者に委託されて洗濯、殺菌され、洗濯物に付着している一般細菌やセレウス菌等が殺菌される。指定洗濯物の洗濯方法は、クリーニング業法によってその洗濯方法が定められ、洗濯方法の中には指定洗濯物を消毒、殺菌することが定められている。
【0003】
クリーニング業法によって定められた消毒、殺菌方法として、理学的方法、化学的方法がある。理学的方法としては「蒸気による消毒、殺菌」、「熱湯による消毒、殺菌」が定められている。化学的方法としては「塩素剤による消毒、殺菌」、「界面活性剤による消毒、殺菌」、「クロルヘキシジンによる消毒、殺菌」、「ガスによる消毒、殺菌」が定められている。
【0004】
化学的方法による消毒、殺菌として例えば、塩素剤による殺菌は、洗濯後の指定洗濯物をさらし粉、次亜塩素酸ナトリウム等を使用し、その遊離塩素250ppm以上の水溶液中に30℃以上で5分間以上浸すことにより行う。
【0005】
次亜塩素酸を用いた殺菌方法、殺菌装置としては特許文献1に開示されている。この特許文献1では、予洗槽、洗濯槽、濯ぎ槽、仕上げ槽が連続して設けられており、各槽内で指定洗濯物がそれぞれ予洗され、洗濯され、濯ぎ洗いされた後に仕上げ槽にて仕上げられる。指定洗濯物は、上記クリーニング業法で定められた方法により消毒槽内に、所定の濃度に設定されて投入された次亜塩素酸ナトリウム等の塩素剤により消毒、殺菌処理がなされるようになっている。
【0006】
しかし、2006年栃木県の自治医科大学付属病院において、点滴の際にシーツなどのリネン類を感染源とすると見られる菌血症の院内感染が発生し、内2名は敗血症に発展し死亡、また他1名は片方の目を失明した。後にクリーニング工場の洗濯機が汚染されていたことが判明した。2007年静岡県内の病院に於いて、シーツなどのリネン類あるいは、おむつやタオルを感染源とすると見られる新生児の敗血症が発生(引用wikipedia)するなど、リネンの汚染が疑われる院内感染事例が報告されている。また、国立がん研究センター中央病院(東京・中央)では、入院中の患者13人がセレウス菌に感染し、うち2人が死亡している。患者の体をふくために、東京都内の業者が納入している未使用のタオルからセレウス菌が見つかり、このタオルから感染した可能性があるとの感染事例が報告されている。したがって、セレウス菌の感染防止の対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−119089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、「熱湯による消毒、殺菌」「塩素剤による消毒、殺菌」、「界面活性剤による消毒、殺菌」、「クロルヘキシジンによる消毒、殺菌」、「ガスによる消毒、殺菌」による殺菌処理では、栄養型細菌を殺菌することができるが、セレウス菌を含む芽胞形成菌を殺菌する手段としては完全ではない。
【0009】
一方、塩素剤の一つである二酸化塩素は、セレウス菌をはじめとする芽胞菌に対しても有効な殺菌剤として、紙パルプの漂白、食品の殺菌、水道水の殺菌、安全キャビネット内の殺菌などに用いられており、その高い殺菌効果は、日本薬局方16版や米国環境保護局、食品医薬品局などの公文書においても認められている。
【0010】
ところが、二酸化塩素は不安定な物質であることから、輸送および長期におよぶ貯蔵が困難であり、使用時に使用する場所で発生させることが必要な物質とされている。二酸化塩素の産業分野において日本国内よりも進んでいる米国環境保護局の水道水の消毒方法に関する報告書によれば、その発生様式は下記の方法が主に採用されている。
2NaClO2+Cl2(g)→2ClO2(g)+2NaCl
2NaClO2+HOCl→2ClO2(g)+NaCl+NaOH
5NaClO2+4HCl→4ClO2+5NaCl+2H2O
【0011】
これらの方法で用いられる薬剤はいずれも塩素ガスや塩酸など取り扱いに十分な注意を要する薬剤であり、例えば水道の上水処理における運用では、一般的に亜塩素酸ナトリウムの液槽、塩素ガス、反応槽、二酸化塩素溶液貯留槽を設け、亜塩素酸ナトリウムを反応槽に供給し、そこに塩素ガスを吹き込むことで二酸化塩素を発生させ、発生した二酸化塩素を二酸化塩素の液槽に移送し、扱いやすい濃度に水で希釈して濃度を管理しながら、必要に応じて二酸化塩素溶液を原水などに供給し殺菌する。このような設備においては、必然的に機械的な面で安全管理コストが高くなり、また、pHが低くなりすぎるあるいは、多量の二酸化塩素ガスが発生するなど業務用洗濯機に応用するには適切ではなかった。
【0012】
また、業務用洗濯機として、広汎に利用されている連続式あるいはバッチ式洗濯機においては、各洗浄機において予洗、本洗、すすぎ、仕上げなど工程が細分化されている。各工程における処理時間は1分半から6分程度と極めて短い時間しかなく、一方で保留水量は200〜600L程度あるため、比較的取り扱いの容易な1000ppm程度の二酸化塩素溶液を用いる場合、殺菌に必要な20〜50ppmの二酸化塩素溶液に槽内の水をするためには、水量と濃度に応じて4Lから30Lの二酸化塩素溶液を槽内に送液せねばならず、一日の運転回数が200回を超えるため、二酸化塩素溶液の貯槽量は最低でも800L必要となり、そのような容量の二酸化塩素溶液槽は設備導入時に初期費用が極めて高額なものにならざるを得ない。長期保存時に濃度管理が困難な二酸化塩素溶液においては、事前に一定の濃度の二酸化塩素溶液槽を設け、適切なタイミングで一定量を送液するという方法を取ることができない。従って、業務用洗濯機において二酸化塩素を用いるためには、1層の処理時間である1分半から6分程度の短時間で、二酸化塩素溶液の生成と業務用洗濯機への送液を行わねばならず、殺菌のために必要な暴露時間を引くと二酸化塩素溶液の生成から送液に割く時間は、最大で3分程度と考えなければならない。そのため低濃度の二酸化塩素溶液の発生方法では、送液の必要量が多くなり、特にサイクルタイムが短く槽内の水量が300L以上ある一般的な連続式洗濯機では、安定して送液することが困難である、一方、高濃度の二酸化塩素溶液の発生方法では二酸化塩素ガスが多量に発生するため、危険が大きくなり、反応剤の選択によってはpHが下がりすぎるなどの問題があり、この背反した条件を整合させる方法が存在しなかった。
【0013】
そこで、本発明は、被洗物を洗濯する際に、二酸化塩素を用いてセレウス菌を含む微生物の確実な殺菌を行うことができる業務用洗濯機の被洗物殺菌方法、殺菌装置及び業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた業務用洗濯機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、被洗物を洗濯する洗濯機に用いられて、前記洗濯機の洗濯槽内で前記被洗物を殺菌処理する洗濯機用の被洗物殺菌方法であって、水と複数の薬剤とを混合して高濃度の二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成工程と、前記二酸化塩素生成工程で生成された高濃度の二酸化塩素を前記洗濯槽内に注入し前記洗濯槽内で前記被洗物を洗濯する洗濯水により所定の濃度に希釈する注入希釈工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様は、前記二酸化塩素生成工程では、あらかじめ混合反応槽内に水を供給し、次に前記複数の薬剤を所定の順に反応槽内に注入するとともに、前記反応槽内に注入した複数の薬剤により生成される高濃度の二酸化塩素と水との混合液を前記洗濯槽内に注入することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様は、前記洗濯槽内の洗濯水で希釈された前記二酸化塩素の濃度の範囲が、10ppmから100ppmの範囲であり、より望ましくは20ppmから60ppmの範囲であり、90秒以上被洗物と接触させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様は、前記二酸化塩素生成工程で生成された水と複数の薬剤との混合液の水素イオン指数が5〜7であることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様は、前記複数の薬剤は、亜塩素酸塩溶液と、次亜塩素酸塩溶液と、酸溶液とであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様は、前記亜塩素酸塩溶液が亜塩素酸ナトリウム溶液であり、次亜塩素酸塩溶液が次亜塩素酸ナトリウム溶液であり、酸溶液がクエン酸溶液であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の一態様は、前記洗濯槽内の洗濯水に対して、亜塩素酸ナトリウムは0.002〜0.02%、次亜塩素酸ナトリウムは0.001〜0.01%、クエン酸は0.001〜0.03%注入することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の一態様は、被洗物を洗濯する洗濯機に用いられて、前記洗濯機の洗濯槽内で前記被洗物を殺菌する殺菌装置であって、水と複数の薬剤を混合して高濃度の二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成部と、二酸化塩素生成部で生成された高濃度の二酸化塩素を前記洗濯槽内に注入し所定の濃度に希釈する注入希釈部と、からなることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一態様は、前記二酸化塩素生成部が、複数の薬剤をそれぞれ貯留する複数の薬剤貯留槽と、前記複数の薬剤が注入されて反応し二酸化塩素を生成する反応槽と、前記複数の薬剤貯留槽内の所定量の薬剤をそれぞれ前記反応槽内に所定の順に注入する複数の薬剤注入ポンプと、で形成されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の一態様は、被洗物を洗濯する洗濯機は、前記請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の洗濯機用被洗物殺菌方法により生成された高濃度の二酸化塩素を含む混合液が洗濯槽内に注入され、前記洗濯槽内に貯留されている洗濯水で前記混合液が所定の濃度に希釈された状態で前記被洗物を濯ぎ洗いしながら殺菌することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被洗物を洗濯する際に、二酸化塩素を含む洗濯水を用いて洗濯することにより、セレウス菌を含む微生物の確実な殺菌を行うことができる。また、高濃度の二酸化塩素を洗濯水で希釈して所定の範囲の濃度とした二酸化塩素を含む溶液を洗濯水として用いるので、洗濯槽とは別に被洗物を殺菌処理する殺菌槽あるいは消毒槽を設ける必要がない。
【0025】
また、本発明によれば、高濃度の二酸化塩素を生成後に洗濯機の洗濯槽内に注入して稀釈するので、高濃度の二酸化塩素貯留槽が不要となり、貯留槽からの二酸化塩素溶液やガスの漏出などが物理的に生じず取り扱いが安全かつ容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る業務用洗濯機の被洗物殺菌方法の工程を示す工程図。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた殺菌装置及び業務用洗濯機を示す概略構成図。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る業務用洗濯機の被洗物殺菌方法によって殺菌処理された被洗物中の一般細菌、セレウス菌の有無を示す図表。
図4図4は、業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた殺菌装置及び業務用連続洗濯機を示す概略構成図。
図5図5は、他の殺菌装置を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係る業務用洗濯機の被洗物殺菌方法(以下、「殺菌方法」という)、殺菌装置及び業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた業務用洗濯機について図面を用いて説明する。
【0028】
[業務用洗濯機の被洗物殺菌方法]
本発明の実施の形態に係る業務用洗濯機の被洗物殺菌方法は、被洗物1を洗濯する洗濯機2に用いられて、洗濯機2の洗濯槽3内で被洗物1を殺菌処理する。本発明の実施の形態に係る殺菌方法は、図1に示すように、水と複数の薬剤A、B、Cとを混合して高濃度の二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成工程4と、二酸化塩素生成工程4で生成された高濃度の二酸化塩素を洗濯槽3内に注入し洗濯槽3内で被洗物1を洗濯する洗濯水により所定の濃度に希釈する注入希釈工程5と、からなる。
【0029】
二酸化塩素生成工程4では、複数の薬剤A、B、Cを所定の順に反応槽10内に注入するとともに、水を供給し、反応槽10内に注入した複数の薬剤A、B、Cと水との混合液を注入稀釈工程5にて洗濯槽3内に注入する。洗濯槽3内の洗濯水で希釈された二酸化塩素の濃度の範囲は、20ppmから50ppmとなるように設定される。また、二酸化塩素生成工程4で生成された水と複数の薬剤A、B、Cとの混合液の水素イオン指数〔pH〕は5〜7に設定される。
【0030】
また、本実施の形態に係る被洗物殺菌方法における複数の薬剤A、B、Cは、亜塩素酸塩溶液Aと、次亜塩素酸塩溶液Bと、酸溶液Cとであり、亜塩素酸塩溶液Aは亜塩素酸ナトリウム溶液であり、次亜塩素酸塩溶液Bは次亜塩素酸ナトリウム溶液であり、酸溶液Cはクエン酸溶液である。また、本実施の形態に係る殺菌方法で使用する亜塩素酸ナトリウム溶液中の亜塩素酸ナトリウムの濃度は25%、次亜塩素酸ナトリウム溶液中の次亜塩素酸ナトリウムの濃度は12%、クエン酸溶液中のクエン酸の濃度は10%から30%である。
【0031】
そして、洗濯槽3の水量に対して、薬剤Aである亜塩素酸ナトリウム溶液、薬剤Bである次亜塩素酸ナトリウム溶液、薬剤Cであるクエン酸溶液の混合液を0.02〜0.05%注入することで、洗濯槽3内の想定二酸化塩素の濃度を20〜50ppmの濃度とする。例えば、洗濯槽3内の洗濯水の水量が400Lであれば、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、クエン酸各水溶液80〜200gと反応させる。
次に本実施の形態の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた殺菌装置について説明する。
【0032】
[殺菌装置]
本実施の形態に係る殺菌装置6は、図2に示すように、複数の薬剤A、B、Cを混合して高濃度の二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成部7と、二酸化塩素生成部7で生成された高濃度の二酸化塩素を洗濯槽3内に注入し所定の濃度に希釈する注入希釈部8と、からなる。
【0033】
二酸化塩素生成部7は、複数の薬剤A、B、Cをそれぞれ貯留する複数の薬剤貯留槽9(9a、9b、9c)と、複数の薬剤A、B、Cと水とが注入されて反応し高濃度の二酸化塩素を生成する反応槽10と、複数の薬剤貯留槽9内の所定量の薬剤をそれぞれ反応槽10内に注入する複数の薬剤注入ポンプ11(11a、11b、11c)と、で形成されている。
【0034】
また、各薬剤貯留槽9は、管路12(12a、12b、12c)により反応槽10の注入口13(13b、13c、13d)と連通されている。また、各薬剤注入ポンプ11(11a、11b、11c)は、各管路12a、12b、12cの途中にそれぞれ設けられている。また、反応槽10内には、注入口13aに連通する管路14により水が供給される。管路14の途中には、バルブ15が設けられている。
【0035】
反応槽10の注入口13bと薬剤貯留槽9aは管路12aにより連通され、注入口13cと薬剤貯留槽9bは管路12bにより連通され、注入口13dと薬剤貯留槽9cは管路12cにより連通されている。そして、薬剤Aは、薬剤ポンプ11aによって薬剤貯留槽9aから注入口13bを通って反応槽10内に注入され、薬剤Bは、薬剤ポンプ11bによって薬剤貯留槽9bから注入口13cを通って反応槽10内に注入され、薬剤Cは、薬剤ポンプ11cによって薬剤貯留槽9cから注入口13dを通って反応槽10内に注入される。また、水は管路14により供給され、注入口13aを通って反応槽10内に注入される。反応槽10内では、水と、薬剤A、B、Cとが所定の混合手順によって混合されることで高濃度の二酸化塩素を含む混合液が生成され、この生成された混合液が注入稀釈部8に送られて稀釈される。
【0036】
注入稀釈部8は、洗濯機2の洗濯槽3と、この洗濯槽3と反応槽10とを連通する管路16、管路16の途中に設けられた注入ポンプ17とで構成されている。洗濯槽3内には、被洗物1とこの被洗物1を洗濯(濯ぎ)する洗濯水(濯ぎ水)が予め貯留されている。この洗濯槽3内に、反応槽10にて生成された高濃度の二酸化塩素を含む混合液が注入ポンプ17により注入され、高濃度の二酸化塩素が洗濯水によって稀釈される。本実施の形態では、洗濯槽3内の二酸化塩素濃度は、20〜50ppmに設定されている。各薬剤A、B、Cの添加率は洗濯槽3内の水量の0.04%程度であり、例えば、洗濯槽3内の水量が200Lであれば各薬剤A、B、Cはそれぞれ80gである。したがって、80g×3=240gの混合により生成した二酸化塩素が200Lの水に稀釈され、稀釈率は830倍となる。
【0037】
洗濯槽3内の洗濯水での稀釈前は、必然的に20000ppmの極めて高濃度の二酸化塩素になるため、取り扱いに危険が伴うので、現状では各薬剤A、B、Cの添加前に水をいれておいて予め稀釈している。すなわち、反応槽10内には、注入口13aから水を管路14により注入することにより、予め稀釈している。二酸化塩素は、その濃度が4000〜10000ppm程度であれば、取り扱いやすいので、反応槽10内に水を1L程度いれておけば、約4倍ほどに稀釈され、濃度的に5000ppm前後となり、取り扱いやすくなる。
【0038】
本実施の形態における殺菌装置による二酸化塩素の基本的な生成手順は、
1:亜塩素酸(薬剤A)と次亜塩素酸(薬剤B)の混合
2:酸性水(薬剤C+水)の添加
3:二酸化塩素の発生
であり、反応としては、
1:亜塩素酸(薬剤A)+酸性水(薬剤C+水)→二酸化塩素が生成
2:次亜塩素酸(薬剤B)+酸性水(薬剤C+水)→塩素が生成
3:亜塩素酸(薬剤A)+塩素→二酸化塩素が生成
取り扱い時の安全性を増すために、生成手順1の前に水を添加することが好ましい。
【0039】
また、生成する二酸化塩素の水素イオン指数(pH)の調整は、亜塩素酸(薬剤A)と次亜塩素酸(薬剤B)が、最初アルカリ性でこのままの混合状態では、二酸化塩素は生成されない。そこで、酸性水(薬剤C+水)を混入し、pH値を下げることで二酸化塩素を取り出す。
【0040】
洗濯槽3内の洗濯水は、最終的な洗濯段階(濯ぎ段階)では、pH値が中性に近いほど望ましく、洗浄工程でのアルカリ性の洗浄水をすすぎ段階で酸を添加して中性に調整する。二酸化塩素の生成だけであれば、亜塩素酸(薬剤A)に例えば塩酸を多く添加して収率をあげるという方法もあるが、この場合には、pH値が下がりすぎて望ましくない。そこで、上記の生成手順によって二酸化塩素を発生させることで、pH値を極端に下げずに高い収率で二酸化塩素を発生させている。
【0041】
次に反応槽10内に、薬剤A、薬剤B、薬剤C、水を注入し、混合する混合手順について説明する。薬剤A、薬剤B、薬剤C、水を混合する手順は、以下の4通りの混合手順がある。本実施の形態では、手順1により高濃度の二酸化塩素を生成している。なお、手順2、3、4により高濃度の二酸化塩素を生成しても良い。
上記で説明したように、薬剤A、薬剤B、薬剤Cは、
薬剤A:亜塩素酸ナトリウム
薬剤B:次亜塩素酸ナトリウム
薬剤C:クエン酸
手順1
第1段階 薬剤A+薬剤B
第2段階 〔薬剤A+薬剤B〕+薬剤C
第3段階 〔薬剤A+薬剤B〕+薬剤C+水
手順1では、第1段階で、薬剤Aと薬剤Bとを注入口13b、13cから反応槽10内に注入し、第2段階で薬剤Cを注入口13dから反応槽10内に注入する。第3段階で、注入口13aから反応槽10内に水を注入し、高濃度の二酸化塩素を生成する。
【0042】
以下は、薬剤A、B、Cの他の混合手順を示す。
手順2
第1段階 薬剤A+薬剤C
第2段階 〔薬剤A+薬剤C〕+薬剤B
第3段階 〔薬剤A+薬剤C〕+薬剤B+水
手順2では、第1段階で、薬剤Aと薬剤Cとを注入口13b、13dから反応槽10内に注入し、第2段階で薬剤Bを注入口13cから反応槽10内に注入する。第3段階で、注入口13aから反応槽10内に水を注入し、高濃度の二酸化塩素を生成する。
【0043】
手順3
第1段階 薬剤A+薬剤B+薬剤C+水
第2段階 〔薬剤A+薬剤B+薬剤C+水〕+水
手順3では、第1段階で、薬剤A、薬剤B、薬剤Cを注入口13b、13c、13dから反応槽10内に注入し、注入口13aから水を反応槽10内に注入する。第2段階で、注入口13aからさらに水を反応槽10内に注入し、高濃度の二酸化塩素を生成する。
【0044】
手順4
第1段階 薬剤A+薬剤B又は薬剤A+薬剤C+水→洗濯槽3に送液
第2段階 薬剤B+水又は薬剤C+水→洗濯槽3に送液
手順4では、第1段階で、薬剤Aを注入口13bから反応槽10内に注入し、薬剤B又は薬剤Aを注入口13c又は注入口13bから反応槽10内に注入し、薬剤Cを注入口13dから反応槽10内に注入する。これとともに水を注入口13aから反応槽10内に注入して混合液を生成し、この混合液を洗濯槽3内に送液する。第2段階で、薬剤Bを注入口13cから反応槽10内に注入し、水又は薬剤Cを注入口13a又は注入口13dから反応槽10内に注入する。これとともに水を注入口13aから反応槽10内に注入して混合液を生成し、この混合液を洗濯槽3内に注入(送液)する。
【0045】
上記混合手順3は、反応槽10が必要で送液量も多い。混合手順1、2とは実質的に同じ手順である。反応効率の点でやや混合手順2の方が良い。混合手順4は、洗濯槽3の内部で混合する方法であり、二酸化塩素の取り扱いにおいては安全度は高い。混合手順4において、第1段階と第2段階のタイムラグを少なくし、送液による水の使用量が少なければ反応効率は悪くはない。最大のメリットは、混合手順1、2、3では、高濃度の二酸化塩素を含む溶液が短時間被洗物1に触れる可能性があることである。本実施の形態では、混合手順1によって、反応槽10内で高濃度の二酸化塩素を含む混合液を生成し、この混合液を洗濯槽3に注入(送液)することで稀釈している。
【0046】
次に、洗濯槽3内で稀釈された二酸化塩素を含む混合液による殺菌の効果と被洗物への影響について説明する。図3に示すように、洗濯槽3内の洗濯水によって稀釈された洗濯水中の二酸化塩素の濃度が、25ppmの場合には、一般細菌が若干残り、セレウス菌も多少残存している。二酸化塩素の濃度が30ppm以上では一般細菌、セレウス菌は検出されず全て殺菌している。また、二酸化塩素の濃度が55ppmの場合には、被洗物への損傷が発生した。従って、洗濯槽3内での洗濯水に対する二酸化塩素の濃度を20〜50ppmに設定することで、被洗物1を損傷することなくセレウス菌を含む微生物の確実な殺菌を行うことができる。
【0047】
次に、二酸化塩素溶液の殺菌効果について説明する。殺菌効果試験は、一般財団法人日本食品分析センターにて実施した。試験方法は、濃度10ppmの二酸化塩素溶液(試料1)、濃度30ppmの二酸化塩素溶液(試料2)、濃度50ppmの二酸化塩素溶液(試料3)を作成し、これらの試料1、2、3に、予め芽胞菌を含ませた古布(試験片)を添加し、所定時間後に古布をチオ硫酸ナトリウム加SCDLP培地で洗い出した洗い出し液1mL当たりの生菌数を測定した。以下に詳細を記載する。
【0048】
1.検 体
1)二酸化塩素調整液A(薬剤A)
2)二酸化塩素調整液B(薬剤B)
3)二酸化塩素調整液C(薬剤C)
4)古布(5×10cm)
【0049】
2.試料の調整
1)二酸化塩素溶液10ppm(試料1)
50℃±1℃に保温した精製水48.5mLに検体1)〜3)を順に15〜30秒間隔で各0.5mL添加したものを15〜30秒の間に10倍稀釈とした。すなわち、所定の温度に保温した精製水48.5mLに薬剤A、B、Cを所定時間の間隔で各0.5mL添加し、高濃度の二酸化塩素溶液を生成する。次に、所定温度に保温した精製水4.86mLに、生成した高濃度の二酸化塩素溶液0.54mLを添加し、10倍に稀釈した濃度30ppmの二酸化塩素溶液を生成し試料1とした。
【0050】
2)二酸化塩素溶液30ppm(試料2)
50℃±1℃に保温した精製水48.5mLに検体1)〜3)を順に15〜30秒間隔で各1.5mL添加したものを15〜30秒の間に10倍稀釈とした。すなわち、所定の温度に保温した精製水48.5mLに薬剤A、B、Cを所定時間の間隔で各1.5mL添加し、高濃度の二酸化塩素溶液を生成する。次に、所定温度に保温した精製水4.86mLに、生成した高濃度の二酸化塩素溶液0.54mLを添加し、10倍に稀釈した濃度10ppmの二酸化塩素溶液を生成し試料2とした。
【0051】
3)二酸化塩素溶液50ppm(試料3)
50℃±1℃に保温した精製水48.5mLに検体1)〜3)を順に15〜30秒間隔で各2.5mL添加したものを15〜30秒の間に10倍稀釈とした。すなわち、所定の温度に保温した精製水48.5mLに薬剤A、B、Cを所定時間の間隔で各2.5mL添加し、高濃度の二酸化塩素溶液を生成する。次に、所定温度に保温した精製水4.86mLに、生成した高濃度の二酸化塩素溶液0.54mLを添加し、10倍に稀釈した濃度50ppmの二酸化塩素溶液を生成し試料3とした。
【0052】
3.試験片の調整
高圧蒸気滅菌(121℃、15分間)後風乾した検体4)1枚に試験菌液0.1mLを数滴に分けて接種し、室温1〜2時間風乾した。すなわち、高圧蒸気滅菌した3枚の古布に、芽胞菌を含む試験菌液を0.1mLを数滴に分けて接種し、試験片1、2、3を作成した。
【0053】
4.試験概要
試料1、2、3に試験片1、2、3を添加した。所定時間後に試験片1、2、3を各試料1、2、3から取り出し0.75%のチオ硫酸ナトリウム加SCDLP倍地で洗い出し、洗い出した液1mL当たりの生菌数を測定した。また、あらかじめ予備試験(中和条件の確認)を行い、試料の影響を受けずに生菌数を測定できる条件を確認した。また、測定回数は3回とした。
【0054】
5.試験結果
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
表−1で明らかなように、濃度30ppmの二酸化塩素溶液(試料2)、濃度50ppmの二酸化塩素溶液(試料3)に添加した試験片は、1/mL中に生菌数が検出しないか、検出しても極僅かであることがわかる。これに対して、濃度10ppmの二酸化塩素溶液(試料1)に添加した試験片は、1/mL中に生菌数が多く残っていることがわかる。なお、表−1において対照は精製水であり、精製水中の生菌数の量を示している。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態によれば、二酸化塩素を含む洗濯水を用いて洗濯することにより、セレウス菌を含む微生物の確実な殺菌を行うことができる。また、高濃度の二酸化塩素を水で希釈して所定の範囲の濃度とした二酸化塩素を含む溶液を洗濯水として用いるので、洗濯槽3とは別に殺菌槽あるいは消毒槽を設ける必要がない。
【0058】
また、本実施の形態によれば、高濃度の二酸化塩素を生成後に洗濯機2の洗濯槽3内に注入して稀釈するので、高濃度の二酸化塩素の輸送や、長期貯蔵が不要となり、取り扱いが容易となる。
【0059】
さらに、殺菌装置6を洗濯機2の近くに設置することで、生成した高濃度の二酸化塩素を洗濯槽3内の洗濯水で速やかに稀釈することができ、高濃度の二酸化塩素を安全に取り扱うことができる。
【0060】
また、高濃度の二酸化塩素を洗濯水によって、被洗物に損傷を与えることのない濃度に稀釈するので、二酸化塩素を稀釈するのに新水を用いる必要がなく、洗濯作業における節水を図ることができる。
【0061】
[他の実施の形態]
次に、図4に示す他の実施の形態について説明する。図4に示す他の実施の形態では、連続洗濯機18の仕上げ槽19に、上記した殺菌方法を用いた殺菌装置6を適用した例である。図4に示すように、連続洗濯機18は、予洗槽20と、複数の洗濯槽21と、複数の濯ぎ槽22と、仕上げ槽19とが連続して設けられている。予洗槽20には、被洗物を投入する投入口23が設けられている。また、予洗槽20、洗濯槽21、濯ぎ槽22、仕上げ槽19には、予洗水、洗濯水、濯ぎ水、仕上げ水が供給される管路(不図示)がそれぞれ連通され、さらに、予洗洗い、洗濯洗い、濯ぎ洗い、仕上げ洗いが終了した後の予洗水、洗濯水、濯ぎ洗い水、仕上げ水を排出する排出用の管路が設けられている。
【0062】
また、仕上げ槽19には、反応槽10と一側が連通された注入稀釈部8の管路16の他側が連通されている。そして、殺菌装置6の反応槽10内で生成された高濃度の二酸化塩素が管路16を通って仕上げ槽19内に注入される。仕上げ槽19内には、被洗物を仕上げるための仕上げ水(洗濯水)が供給されており、この仕上げ水によって高濃度の二酸化塩素が稀釈される。仕上げ槽19内で稀釈された二酸化塩素の濃度は、上記実施の形態と同様に20〜50ppmに設定されている。例えば、仕上げ水の水量が200Lであれば、反応槽10内で薬剤A、B、Cを80gずつ計240gの混合により生成した二酸化塩素が仕上げ槽19内に注入されて稀釈される。
【0063】
本実施の形態においても、上述した実施の形態と同様に効果が得られ、二酸化塩素を含む洗濯水を用いて洗濯することにより、セレウス菌を含む微生物の確実な殺菌を行うことができる。また、高濃度の二酸化塩素を水で希釈して所定の範囲の濃度とした二酸化塩素を含む溶液を洗濯水として用いるので、洗濯槽とは別に殺菌槽あるいは消毒槽を設ける必要がない。
【0064】
[殺菌装置の他の実施の形態]
次に、殺菌装置の他の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る殺菌装置26は、図5に示すように、複数の薬剤A、B、Cを混合して高濃度の二酸化塩素を生成する二酸化塩素生成部27と、二酸化塩素生成部27で生成された高濃度の二酸化塩素を洗濯槽3内に注入し所定の濃度に希釈する注入希釈部28と、からなる。
【0065】
二酸化塩素生成部27は、複数の薬剤A、B、Cをそれぞれ貯留する複数の薬剤貯留槽29(29a、29b、29c)と、複数の薬剤A、B、Cと水とが注入されて反応し高濃度の二酸化塩素を生成する反応槽30と、複数の薬剤貯留槽9内の所定量の薬剤をそれぞれ反応槽30内に注入する複数の薬剤注入ポンプ31(31a、31b、31c)と、で形成されている。
【0066】
また、各薬剤貯留槽29は、管路32(32a、32b、32c)により反応槽30の注入口33(33a、33b、33c)と連通されている。注入口33は、反応槽30にエアーを送る管路34にそれぞれ設けられている。また、各薬剤注入ポンプ31(31a、31b、31c)は、各管路32a、32b、32cの途中にそれぞれ設けられている。
【0067】
反応槽30は、エアーが供給される管路34と、この管路34が上部で連通された円筒状の反応槽本体30aと、反応槽本体30aの下部で連通するボールチェックバルブ35と、ボールチェックバルブ35に連通する管路36とで構成されている。管路34には、注入口33a、33b、33cが形成されている。注入口33aと薬剤貯留槽29aは管路32aにより連通され、注入口33bと薬剤貯留槽29bは管路32bにより連通され、注入口33cと薬剤貯留槽29cは管路32cにより連通されている。
【0068】
そして、薬剤Aは、薬剤ポンプ31aによって薬剤貯留槽29aから注入口33bを通って管路34内に注入され、エアーによって反応槽30内に送り込まれる。薬剤Bは、薬剤ポンプ31bによって薬剤貯留槽29bから注入口13bを通って管路34内に注入され、エアーによって反応槽30内に送り込まれる。薬剤Cは、薬剤ポンプ31cによって薬剤貯留槽29cから注入口33cを通って管路34内に注入され、エアーによって反応槽30内に送り込まれる。
【0069】
反応槽本体30aの下部には、ボールチェックバルブ35の一端が連通され、該ボールチェックバルブ35の他端に、T字状の管路36が連結されている。管路36の一方の開口は水が供給される水供給口36aとなっている。管路36の他方の開口は、薬剤A、B、Cの混合液が水供給口36aから供給された水によって混合液が注入稀釈部28に送られる投入口36bとなっている。ボールチェックバルブ35の他端は、水供給口36aと投入口36bの間の中間部と連結されている。
【0070】
そして、各薬剤A、B、Cは、管路34内に略同時に注入されると、管路34内で混合される。管路34内で混合された混合液は、管路34内に供給されているエアーによって反応槽30内に向けて圧送される。薬剤A、B、Cが混合された混合液は、反応槽30内で加圧される。反応槽30内の圧力が所定の圧力になると、混合液はボールチェックバルブ35を通過して管路36内に圧送される。管路36内に圧送された混合液は、水供給口36aから供給された水により、投入口36bから注入稀釈部28に送られて稀釈される。
【0071】
注入稀釈部28は、洗濯機2の洗濯槽3と、この洗濯槽3と反応槽10とを連通する管路37とで構成されている。洗濯槽3内には、被洗物1とこの被洗物1を洗濯(濯ぎ)する洗濯水(濯ぎ水)が予め貯留されている。この洗濯槽3内に、反応槽30にて生成された高濃度の二酸化塩素を含む混合液が注入され、高濃度の二酸化塩素が洗濯水によって稀釈される。本実施の形態では、洗濯槽3内の二酸化塩素濃度は、30〜50ppmに設定されている。各薬剤A、B、Cの添加率は洗濯槽3内の水量の0.04%程度であり、例えば、洗濯槽3内の水量が200Lであれば各薬剤A、B、Cはそれぞれ80gである。したがって、80g×3=240gの混合により生成した二酸化塩素が200Lの水に稀釈され、稀釈率は830倍となる。
【0072】
洗濯槽3内の洗濯水での稀釈前は、必然的に20000ppmの極めて高濃度の二酸化塩素になるため、取り扱いに危険が伴うので、現状では各薬剤A、B、Cの添加前に水をいれておいて予め稀釈している。すなわち、反応槽30から圧送された混合液は、水を管路36により注入することにより、予め稀釈している。二酸化塩素は、その濃度が4000〜10000ppm程度であれば、取り扱いやすいので、反応槽10内に水を1L程度いれておけば、約4倍ほどに稀釈され、濃度的に5000ppm前後となり、取り扱いやすくなる。
【0073】
本実施の形態によれば、上記実施の形態と同様に、二酸化塩素を含む洗濯水を用いて洗濯することにより、セレウス菌を含む微生物の確実な殺菌を行うことができる。また、高濃度の二酸化塩素を水で希釈して所定の範囲の濃度とした二酸化塩素を含む溶液を洗濯水として用いるので、洗濯槽3とは別に殺菌槽あるいは消毒槽を設ける必要がない。
【0074】
また、本実施の形態によれば、高濃度の二酸化塩素を生成後に洗濯機2の洗濯槽3内に注入して稀釈するので、高濃度の二酸化塩素の輸送や、長期貯蔵が不要となり、取り扱いが容易となる。
【0075】
さらに、殺菌装置6を洗濯機2の近くに設置することで、生成した高濃度の二酸化塩素を洗濯槽3内の洗濯水で速やかに稀釈することができ、高濃度の二酸化塩素を安全に取り扱うことができる。
【0076】
また、高濃度の二酸化塩素を洗濯水によって、被洗物に損傷を与えることのない濃度に稀釈するので、二酸化塩素を稀釈するのに新水を用いる必要がなく、洗濯作業における節水を図ることができる。
【0077】
さらに、本実施の形態では、反応槽本体30aを縦型に配置し、管路34を上部で連通させたことにより、注入口33a、33b、33cから管路34内に注入された薬剤A、B、Cが重力により反応槽本体30aに流れるため、薬剤A、B、Cが逆流することがない。しかも、管路34には、エアーが供給されているため、管路34内で薬剤A、B、Cが混合された混合液を反応槽本体30a内に圧送することができるので、混合液を確実に反応槽本体30a内に送り込むことができる。
【0078】
また、現クリーニング業法施行規則にあっては、消毒方法として蒸気消毒、熱湯消毒、ホルムアルデヒドガス消毒、酸化エチレンガス消毒、石炭酸水消毒、クレゾール消毒、ホルマリン水消毒、次亜塩素酸ナトリウムなどを使用し、有利塩素濃度が250ppmとする各方法が挙げられているが、クレゾール、石炭酸水消毒は芽胞菌に効かず、ホルマリン水は発がん性があり、ホルムアルデヒドガス、酸化エチレンガスは発がん性に加えて、そもそも燻蒸法のため業務用洗濯機では使用できず、熱湯消毒ではセレウス菌に効果がない。
【0079】
つまり、セレウス菌に対して効果を有し、かつ業務用洗濯機内で現実的に使用可能あるいは現に使用されている方法は、次亜塩素酸ナトリウム250ppmしか存在しない。しかし、一般的に次亜塩素酸ナトリウムの抗微生物スペクトルを考えた場合、セレウス菌を含む芽胞菌に対して十分に有効とされる濃度は、1000ppm以上の濃度を維持することが望ましいとされており、250ppmでは必ずしも確実な殺菌効果が得られるとは限らない。
【0080】
一方で、250ppm以上の次亜塩素酸ナトリウムを業務用洗濯機に用いた場合、金属腐食性やリネン資材に対する悪影響もある。本実施の形態によって実現できる二酸化塩素による殺菌方法によれば、その必要な濃度は、食品分析センターの試験結果から明らかなように、10〜50ppmで十分であり、次亜塩素酸ナトリウムによる方法と比較して、10分の1以下の濃度で殺菌効果が得られている。
【0081】
また、二酸化塩素は次亜塩素酸ナトリウムや酸化エチレンガスと比較して、酸化還元電位も低いため、金属への腐食などの悪影響もより少なく、加えて、次亜塩素酸ナトリウムは、pHの影響により殺菌効果は激減し、例えばアルカリ性では次亜塩素酸イオンが優位となるため、その効果は10分の1以下に低下する。
一方、二酸化塩素はpHに拘わらず殺菌効果が維持されるため、アルカリ性の薬剤を使用することの多い、業務用洗濯機においては、最適な殺菌方法であると考えられる。
【0082】
上述の通り、本発明の実施の形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る洗濯機用の被洗物殺菌方法は、被洗物を洗濯する洗濯水が供給される洗濯槽を備えた洗濯機に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 被洗物
2 洗濯機
3 洗濯槽
4 二酸化塩素生成工程
5 注入稀釈工程
10 30 反応槽
18 連続洗濯機
19 仕上げ槽
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2019年8月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明の一態様は、前記洗濯槽内の洗濯水で希釈された前記二酸化塩素の濃度の範囲が、10ppmから100ppmの範囲であり、90秒以上被洗物と接触させることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記洗濯槽内の洗濯水で希釈された前記二酸化塩素の濃度の範囲が、10ppmから100ppmの範囲であり、90秒以上被洗物と接触させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法。
【手続補正書】
【提出日】2019年10月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
また、本発明の一態様は、被洗物を洗濯する洗濯機は、前記請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法における二酸化塩素生成工程で生成された高濃度の二酸化塩素を含む混合液が洗濯槽内に注入され、前記洗濯槽内に貯留されている洗濯水で前記混合液が所定の濃度に希釈された状態で前記被洗物を洗濯しながら殺菌することを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
被洗物を洗濯する洗濯機は、前記請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の業務用洗濯機の被洗物殺菌方法における二酸化塩素生成工程で生成された高濃度の二酸化塩素を含む混合液が洗濯槽内に注入され、前記洗濯槽内に貯留されている洗濯水で前記混合液が所定の濃度に希釈された状態で前記被洗物を洗濯しながら殺菌することを特徴とする業務用洗濯機の被洗物殺菌方法を用いた業務用洗濯装置。