【解決手段】生体信号を取得する生体信号取得部421と、生体信号取得部が取得した生体信号の波形から、その波形に周期的に含まれる特定の波形成分を抽出するための波群の幅および形状を取得する波群取得部423と、波群取得部で得た波群の範囲を、生体信号から検出する範囲検出部424と、範囲検出部が検出した波群の特定位置の最大値を特定の波形成分として検出するピーク検出部426とを備える。ピーク検出部426は、心電図波形のR波やT波などを検出する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態例]
以下、本発明の第1の実施の形態例を、
図1〜
図10を参照して説明する。
図1は、本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1の全体構成を示すブロック図である。
本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1は、計測装置2と、入力装置3と、信号処理装置4と、表示装置5で構成される。信号処理装置4には、入力手段として計測装置2と入力装置3が接続され、出力手段としては表示装置5が接続されている。計測装置2は心電計21を備える。入力装置3は、例えばキーボード31やマウス32を備える。表示装置5は、液晶ディスプレイなどの出力結果を表示できるものであればよいが、必ずしもディスプレイに限定されるものではない。
【0015】
信号処理装置4は、例えばコンピュータ本体で構成され、内部にオペレーティングシステム41と、ピーク検出処理部42と、設定取得部43とを備えている。ここでピーク検出処理部42は、例えばプログラムを実行することにより構成される処理部であり、生体信号取得部421、信号強調部422、波群取得部423、範囲検出部424、位置特定部425、およびピーク検出部426を備えている。
【0016】
オペレーティングシステム41は、システム内の各機能部を制御する機能を有しており、例えば、予め記憶部(図示せず)に記憶されているプログラムを読み込んでシステム内の各機能部に実行させる機能を有する。また、各機能部でプログラムを実行した結果としての生体データ(生体信号)の検出結果などを出力して、表示装置5に表示する。
ピーク検出処理部42は、計測装置2を介して取得した生体データから、特定の心拍成分を抽出するデータ処理部である。本実施の形態例の場合には、ピーク検出処理部42が、心電(図)波形に含まれるR波とT波を抽出する。
【0017】
ピーク検出処理部42の詳細について説明すると、生体信号取得部421は、計測装置2から得られた生体データである心拍信号をデジタル波形として出力する生体信号取得処理を行う。この生体信号取得部421が取得する生体データは、心電計21に接続された電極(不図示)を、被測定者に装着して取得するものである。生体信号取得部421は、心電計21で得られた生体データ(心拍信号)を、デジタル波形として取り込み、信号強調部422に供給する。
【0018】
信号強調部422は、心拍信号を微分し二乗することによって、心拍信号に含まれる急峻な突起(急峻な波形の傾斜)を強調する。信号強調部422で強調された心拍信号は、波群取得部423に供給される。
波群取得部423は、
図5で後述するように、心電計21で得られた心拍信号波形に含まれるQRS波とT波が入る幅とほぼ同じ長さの幅の信号を加算(積分)することによって、QRS波とT波を含んだ波形の群である波群の幅や形を表す積分波形を取得する。この処理が波群取得処理である。
【0019】
QRS波とT波は、心電計21で得られた心拍信号に周期的に得られる成分である。QRS波は心室の興奮(収縮)時の波形であり、T波は心室興奮の消退(拡張)時の波形である。なお、波群の具体的な例については、
図4〜
図10を参照して後述する。
【0020】
範囲検出部424は、
図6、
図7で後述するように、波群取得部423で得られた積分波形に含まれている一つの波群の幅を表す台形部分の範囲を、二次最小二乗近似によって検出する。この処理が範囲検出処理である。
位置特定部425は、範囲検出部424で検出された各台形範囲内においてQ波とT波それぞれの最大値を求め、この最大値が得られる時間の間の位置を、R波とT波の間の位置とする。
【0021】
ピーク検出部426は、
図8で後述するように、位置特定部425で得られたR波とT波の間の位置を基準とし、指定の範囲内において極大値の中の最大値を求めることで、心拍信号に含まれるR波とT波を区別して検出する。
設定取得部43は、波群取得部423における波形加算時間や、ピーク検出部426において極大値を求める時間範囲の設定を行う。この設定取得部43での波形加算時間や極大値を求める時間範囲の設定は、入力装置3によって入力された情報に基づいて行われる。
【0022】
図2および
図3は、ピーク検出処理部42が行う心拍信号処理の例を示すフローチャートである。ここでは、
図4〜
図9を参照して、信号検出部422からピーク検出部426までの各処理工程における心拍信号の処理例を説明する。
なお、以下の説明では、処理例として心電計21で得られた心電図波形を用いているため「心拍信号」を「心電図波形」と表現する。また、心電図波形の成分として「QRS波」「R波」といった表現を用いるが、「QRS波」という場合は、波の「幅」を含めた表現であり、「R波」という場合は、QRS波の頂点を示す表現である。
【0023】
まず、
図2のフローチャートに示すように、ピーク検出処理部42は、心電計21を介して生体信号としての心電図波形を取得する(ステップS1)。
図4(a)は実際に被験者から取得した心電図波形である。ここで横軸は時間、縦軸は電圧である。正常心電図の場合、
図4(a)に示されている通り、心臓の心室興奮を表す急峻で振幅の高いQRS波の後に、心室興奮の消退を表す比較的緩やかなT波が現れる。
【0024】
次に、ピーク検出処理部42は、ステップS1で取得した心電図波形を微分する(処理1)と共に、二乗する(処理2)ことによって、QRS波のような急峻な突起(急峻な傾斜)を強調する(ステップS2)。
図4(b)は、
図4(a)に示す心電図波形を微分した波形である。また、
図4(c)は、
図4(b)に示す微分した波形にさらに二乗した波形である。
図4(b)に示すように心電図波形を微分することで、
図4(a)に示す心電図波形の変動(トレンド)が除去され、R波とT波の特徴の差を大きくする処理が行われる。また、
図4(c)に示すように心電図波形を二乗することで、正の信号になり、R波が更に強調される。
【0025】
次に、ピーク検出処理部42は、ステップS2で処理された心電図波形より、R波とT波の間の位置を特定する処理(処理3,処理4,処理5)を行う(ステップS3)。
最初に、ステップS3の処理について、
図3のフローチャートを参照して詳しく説明する。
【0026】
まず、ピーク検出処理部42の波群取得部423は、ステップS2において、信号強調部422で処理された強調後の心電図波形を取得する(ステップS31)。そして、波群取得部423は、QRS波とT波がちょうど入る幅と同じ長さの波形を時間加算(積分)していくことで積分波形を取得する(処理3:ステップS32)。ここで、QRS波の始まりからT波の終わりまでの時間を表すQT時間は、正常心電図の場合0.36秒から0.44秒程度である。
【0027】
ここでは、
図5(a)に示す波形の加算時間を0.4秒として、QT時間内にR波の成分とT波の成分の双方が含まれるようにする。ここで、加算時間を0.4秒とするのは一例であり、この値に限定されるものではない。但し、波形の加算時間は、R波の成分とT波の成分の双方が含まれ、かつ直前の周期のT波や直後の周期のR波が含まれないようにする必要があるため、0.4秒から大きく変動するものではない。
【0028】
図5は、ステップS32での処理で、積分波形が得られる状態を示す。
図5(a)に示す二乗した波形(これは
図4(c)に示す波形と同じ)を、QRS波とT波がちょうど入る幅と同じ長さの幅を有する波形を時間加算(積分)することで、
図5(b)に示す心電図波形の積分後の波形が得られる。
この
図5(b)に示す積分後の波形は、QRS波とT波を含めた波群の形や幅を表す台形形状が周期的に繰り返すようになる。台形形状の立ち上がりは、QRS波が波形の加算範囲に入る瞬間を示しており、また台形の上底にある小さな突起は、R波とT波の間の位置を示している。台形形状の立ち下がりは、QRS波が波形の加算範囲外になることを表している。
【0029】
次に、ピーク検出処理部42の範囲検出部424は、ステップS32で得られた積分波形に含まれている各台形部分の時間範囲を検出することで、QRS波とT波を含めた各波群の幅を検出する(処理4:ステップS33)。
【0030】
図6および
図7は、ステップS33における処理4の内容を示している。
図6に示すように、台形部分と同じ幅である0.5秒のデータを抽出する。ここでは、抽出したデータを二次の多項式に近似し、近似された波形が極大値を持つとき、抽出したデータ内に1つの台形部分があるとみなす。
【0031】
ここでは、
図7に記載した計算式、すなわち
[台形部分の幅=2・(R波の幅)+(加算データ時間)−(R波の幅)]
の計算式により求められた時間(この例では0.5秒前後)の積分波形を抽出し、それを二次の多項式に近似する。近似された波形が極大値を持つとき、抽出したデータ内に一つの台形、つまり波群があるとみなす。
【0032】
続いて、ピーク検出処理部42の位置特定部425およびピーク検出部426は、ステップS33で検出した波群の各範囲において、それぞれ最大値を検出する(処理5:ステップS34)。
図8(a)は、ステップS34における処理5の例を表している。ここで算出された積分して得た台形部分が最大値になる時間(タイミング)を、R波とT波の間の位置とみなす。なお、台形部分のR波とT波の間の位置を検出する例は、この処理に限定されない。その他の処理により求めることも可能である。すなわち、単純に台形部分を前半と後半に2分割して、その分割位置を、R波とT波の間の位置としてもよい。
【0033】
積分して得た台形部分が最大値になる箇所は、台形部分の内でT波の積分を開始した箇所に相当し、
図8(b)に示す心電図波形では、R波とT波の間の位置を検出したことになる。このようにして行われる心電図波形のR波とT波の間の位置を検出する処理が、ピーク検出処理部42の位置特定部425で行われる。
【0034】
再び
図2のフローチャートに戻り、説明する。ピーク検出処理部42のピーク検出部426は、ステップS34(
図3)で特定したR波とT波の間の位置を基準とし、特定した位置より前0.3秒、後ろ0.3秒の範囲において、それぞれ心電図波形から極大値である最大値を求める(ステップS4)。
図8(b)は、このときの処理内容を表している。
図8(b)に示すように、心電図波形の基準位置より前の0.3秒間の極大値がR波として検出され、基準位置より後の0.3秒間の極大値がT波として検出される。
【0035】
すなわち、ピーク検出部426は、ステップS4において、特定した位置(基準位置)より前の範囲か否かが判断され、特定した位置より前のとき(ステップS4のYES)、特定した位置より前の0.3秒の範囲から極大値をR波として検出する(ステップS5)。
一方、特定した位置より前の範囲でない場合(即ち特定した位置の後である場合)は(ステップS4のNO)、特定した位置より後の0.3秒の範囲から極大値をT波として検出する(ステップS6)。
このステップS5およびステップS6において、R波およびT波を検出する処理、すなわち
図8(b)に示す処理6が行われる。
【0036】
図9は、ピーク検出処理部42によって心電図波形からR波とT波を検出する例を示す。
図9(a)および(b)は、心電図波形からR波を検出する例を示す。それぞれの波形図において、○で示す箇所が、R波を検出した箇所である。
図9(a)の心電図波形は、R波の後のT波の振幅が、R波よりも高い状態を示す。このような異常を示す心電図波形の場合でも、本発明の第1の実施形態例によれば、正確にR波を検出することができる。
また、
図9(b)の心電図波形は、心電図波形にノイズが大きく含まれ、変動が大きい状態を示している。このようなノイズが大きい心電図波形の場合にも、本発明の第1の実施形態例によれば、正確にR波を検出することができる。
【0037】
図9(c)は、心電図波形からT波を検出した例を示す。
図9(c)においても、○で示す箇所が、T波を検出した箇所である。
この
図9(c)の心電図波形は、R波の後のT波の振幅が、R波よりも高い場合を示しているが、このような異常な心電図波形の場合でも、本発明の第1の実施形態例によれば、正確にT波を検出することができる。
【0038】
なお、心拍信号に含まれるノイズの程度によっては、バンドパスフィルタによる前処理を行うようにしてもよい。
図10は、ピーク検出処理部42において、ステップS1(
図2)で取得した心電図波形にバンドパスフィルタを通過させて、前処理を行った例を示す。ここでは、心電図波形を通過させるバンドパスフィルタとして、0.1Hzから15Hzの周波数帯域を通過させる特性とし、前処理により、
図10の左側に示す心電図波形を
図10の右側に示す心電図波形とすることができる。なお、前処理として用いるバンドパスフィルタの通過帯域(0.1Hzから15Hz)は、元の波形の形を保てる範囲の帯域として選んだものである。
【0039】
[第2の実施の形態例]
次に、本発明の第2の実施の形態例を、
図11〜
図15を参照して説明する。
図11は、本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1の全体構成を示すブロック図である。
本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1は、計測装置2が脈波センサ22を備える点が、第1の実施の形態例と異なる。すなわち、第1の実施の形態例では、計測装置2が心電計21を備えて、ピーク検出処理部42が、心電図波形からR波とT波を検出するようにした。これに対して、本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1は、ピーク検出処理部42が、脈波センサ22が検出した速度脈波波形(心拍信号)から、特定の成分(第1波および第2波)を検出するようにした。脈波センサ22は、例えば被計測者の指に装着して、動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定するものであり、脈波センサ22に組み込まれた受光部が、拍動する動脈の血流を脈波として検知し、光の吸収値から動脈血酸素飽和度を検知する。
【0040】
心拍信号成分検出装置1の構成ついては、第1の実施の形態例で説明した心拍信号成分検出装置1とほぼ同じであるが、信号の強調や波群の取得などの信号処理の詳細は一部異なっている。なお、
図11に示す本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1は、信号変換部422′を備える点が、信号強調部422を備える
図1例(第1の実施の形態例)の心拍信号成分検出装置1とは相違する。
【0041】
図12は、ピーク検出処理部42が行う心拍信号処理例を示すフローチャートである。
まず、ピーク検出処理部42は、脈波センサ22を介して脈波(生体信号)を取得する(ステップS11)。次に、ピーク検出処理部42の信号変換部422′は、ステップS11で取得した脈波の変換処理を行う(ステップS12)。変換処理の具体例については後述する。
【0042】
次に、ピーク検出処理部42は、ステップS12で処理された脈波の波形より、波群の要素間の位置を特定する処理を行う(ステップS13)。その後、ピーク検出処理部42は、特定した位置より前の範囲か否かを判断し(ステップS14)、特定した位置より前の範囲の場合に(ステップS14のYES)、その特定した位置より前の範囲の脈波の波形から脈波の第1波を検出する(ステップS15)。また、特定した位置より前の範囲でない場合(後の範囲である場合)に(ステップS14のNO)、その特定した位置より後の範囲の脈波の波形から、脈波の第2波を検出する(ステップS16)。
【0043】
次に、本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1が、速度脈波波形から、第1波および第2波を検出する処理の詳細を、
図13〜
図15を参照して説明する。なお、心拍信号成分検出装置1での基本的な処理は、第1の実施の形態例の心拍信号成分検出装置1で心電図波形からR波およびT波を検出する処理とほぼ同じであり、以下の説明では、第1の実施の形態例との相違点を中心に示す。
【0044】
図13は、ピーク検出処理部42の信号変換部422′が、脈波の波形を変換する処理の例を示す。
信号変換部422′は、
図13(a)に示すように、脈波の波形を正領域に平行移動する。すなわち、脈波センサ22が出力する速度脈波は、負(マイナス)となる領域があり、信号変換部422′は、速度脈波の平行移動により、全区間が正領域となるようにする。
【0045】
この平行移動した速度脈波は、波群取得部423で積分処理し、
図13(b)に示す積分波形を得る。この
図13(b)に示す積分波形は、第1の実施の形態例と同様に、心拍に連動した台形形状が繰り返されるようになる。この台形形状の積分波形を使って、元波形から第1波と第2波を検出する処理が行われる。
【0046】
図14は、位置特定部425での位置特定と、ピーク検出部426でのピーク検出が行われる状態を示す波形図である。
まず、
図14(a)に示す平行移動後の速度脈波が得られたとき、その速度脈波の積分で、
図14(b)に示す台形形状が繰り返される波形が得られる。台形形状を得るための積分処理は、例えば0.4秒の幅で行われる。ここで、位置特定部425は、個々の台形形状ごとに、その台形形状の加算窓の中央の位置を判断する。すなわち、位置特定部425は、
図14(b)に示す台形形状を得た加算窓の中央位置(窓の中央のライン)を判断する。
【0047】
そして、
図14(c)に示すように、ピーク検出部426が、特定した中央位置より前の0.3秒の範囲で極大値の最大値を算出して、最大値を第1波とする。また、ピーク検出部426が、特定した中央位置より後の0.3秒の範囲で極大値の最大値を算出して、最大値を第2波とする。
【0048】
図15は、このような検出処理で、脈波センサ22が検出した速度脈波から、第1波を検出した例(
図15(a))と、第2波を検出した例(
図15(b))を示す。
図15(a)および(b)において、第1波または第2波を検出した箇所を、○で示す。
この
図15から分かるように、本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1によると、速度脈波に含まれる第1波と第2波を、それぞれのレベルの変動が大きい場合でも、正確に検出することができる。
【0049】
[第3の実施の形態例]
次に、本発明の第3の実施の形態例を、
図16〜
図17を参照して説明する。
図16は、本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1の全体構成を示すブロック図である。
本実施の形態例の心拍信号成分検出装置1は、計測装置2がドップラーレーダー23を備える点が、第1および第2の実施の形態例と異なる。また、心拍信号成分検出装置1のピーク検出処理部42は、第2の実施の形態例の心拍信号成分検出装置1と同様に、信号変換部422′を備える。
ドップラーレーダー23は、被計測者と非接触で電波を照射して、その反射波の生体信号を取得して、心拍信号を得るものである。
【0050】
図16に示す心拍信号成分検出装置1のその他の構成は、
図11に示す心拍信号成分検出装置1と同じであり、重複説明は省略する。
そして、
図16に示す心拍信号成分検出装置1で行われる検出処理についても、第2の実施の形態例で説明した
図12のフローチャートの処理で行われる。すなわち、信号の変換処理(または強調処理)と、波群(台形形状)の取得処理と、その波群の特定位置(中央位置)の検出処理と、特定位置で分割した上での最大値の検出処理とが行われる。第2の実施形態例では、脈波センサ22で第1波および第2波の検出を行ったが、これと同様に、第3の実施形態例では、ドップラーレーダー23で得た心拍信号から呼気のピーク成分と吸気のピーク成分を検出する。このドップラーレーダー23で得た心拍信号から呼気のピーク成分と吸気のピーク成分を検出する処理は、第2の実施の形態例で説明した脈波センサ22で第1波および第2波を検出する処理と同じである。
【0051】
図17は、ドップラーレーダー23が検出した心拍信号から、呼気または吸気を検出した例を示す。
図17(a)は、レベル変動が比較的少ない心拍信号から、呼気または吸気のピークを検出した例を示す。
図17(b)は、レベル変動が大きい心拍信号から、呼気または吸気のピークを検出した例を示す。
いずれの場合でも、本実施の形態例によると、呼気や吸気の成分を正確に検出することができる。
【0052】
[変形例]
なお、第1〜第3の実施の形態例で説明した構成や処理は、好適な一例を示すものであり、それぞれの実施の形態例で説明したものに限定されるものではない。
例えば、各実施の形態例で説明した心拍信号成分検出装置1に実装されるプログラムを記録媒体に記録して、そのプログラムを汎用のコンピュータに実装することで、汎用のコンピュータで同様の処理を行って、生体信号から検出処理を行うようにしてもよい。
あるいは、各実施の形態例で説明した心拍信号成分検出装置1は、コンピュータを使用しない専用のハードウェアで構成してもよい。