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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-40116(P2020-40116A)
(43)【公開日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】球状物質取り出し装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/06 20060101AFI20200225BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20200225BHJP
【FI】
   B23K3/06 H
   H05K3/34 505A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】書面
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-182850(P2018-182850)
(22)【出願日】2018年9月10日
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】396014083
【氏名又は名称】丁子 裕
(72)【発明者】
【氏名】丁子 由美子
(72)【発明者】
【氏名】丁子 裕
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AC01
5E319BB04
5E319CC22
5E319CD26
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】 はんだ付け対象物の微小化により使用するはんだボールもますます微小化しているが、0.5mmの径より小さいはんだボールを個々に取り出すことが極めて困難である。この問題を解決する技術的な対策を早期に実現することが求められている。
【解決手段】はんだボール貯蔵部の開口部からはんだボールを流し出し、この流し出したハンダボールを受ける載置板にはんだボールが個々にはまり込む凹部を複数設け、その凹部に滞留するはんだボールをノズルにて吸引保持して所定位置まで移送するように構成した球状物質取り出し装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状物質を個々に取り出すための装置であって、球状物質を貯蔵する貯蔵部と、前記球状物質を個々に滞留させるために縦横に整列した複数の凹部をその上面に設けられた載置板と、前記載置板のそれぞれの凹部に載置された前記球状物質を個々に吸引保持するノズルと、前記ノズルを前記凹部と所定位置との間で往復移動させる手段とを有し、上記貯蔵部には、上記凹部が設けられた上記載置板の上面に上記球状物質を流し出すための開口部が設けられ、当該開口部の下端が上記載置板の上面と同じ高さで当接するよう上記貯蔵部と上記載置部とを固定した構成の球状物質取り出し装置。
【請求項2】
上記球状物質ははんだボールである請求項1記載の球状物質取り出し装置。
【請求項3】
上記載置板が上記貯蔵部と当接する位置には、上記貯蔵部が載置される段差部が上記載置板に設けられている請求項1記載の球状物質取り出し装置。
【請求項4】
上記凹部は半球面状または円柱状の形状をしている請求項3記載の球状物質取り出し装置。
【請求項5】
上記載置板には、上記貯蔵部の開口部が当接する辺以外の辺にはそれぞれ壁部が連続して設けられている請求項1記載の球状物質取り出し装置。
【請求項6】
上記貯蔵部と上記載置板とを固定するための接続材と、この接続材を時計回り方向及び反時計回り方向に回転させる回転機構とをさらに有する請求項1記載の球状物質取り出し装置。
【請求項7】
上記開口部は長方形の形状を有しており、その長方形の一辺の長さは最大でも上記開口部が当接する上記載置板の幅と略等しく、他の辺の長さは上記球状物質の直径の1.1−3.0倍に構成されている請求項6記載の球状物質取り出し装置。
【請求項8】
球状物質を個々に取り出すための方法であって、球状物質を貯蔵する貯蔵部から前記球状物質を流し出すステップと、前記流れ出た球状物質を縦横に整列して配置された複数の凹部をその上面に有する載置板で受けるステップと、前記載置板の上面に設けられたそれぞれの凹部に滞留した以外の前記球状物質を前記貯蔵部に流し戻すステップと、前記凹部に滞留した前記球状物質をノズルにて個々に吸引するステップと、からなる球状物質の取り出し方法。
【請求項9】
前記ノズルにて前記球状物質を保持するステップと、前記ノズルを所定位置まで移動させるステップと前記吸引保持された前記球状物質を前記所定位置にて前記ノズルから押し出すステップとをさらに有する請求項8記載の球状物質取り出し方法。
【請求項10】
前記球状物質ははんだボールである請求項8記載の球状物質の取り出し方法。
【請求項11】
上記ノズルから押し出すステップは上記吸引とは逆方向のエアーを上記ノズルに与えるステップである請求項9記載の球状物質の取り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な球状物質、例えば直径0.1mmから0.8mm程度の微小な径を有するはんだボールを個々に取り出すための装置及び方法に関し、特にはんだボールを貯蔵するハンダボール貯蔵部とその貯蔵部の開口部から流れ出た多数のはんだボールを受けるはんだボール載置板であって、その載置板の上面に複数の凹部が設けられて、この載置板状の凹部に留まったはんだボールを個々に吸引して所定位置まではんだボールを移送するはんだボール取り出し装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器が小型化するにつれて、使用される配線基板や各種素子がますます微小化し、それらを電気的に接続するために使用されるはんだ付け技術もそれら小型化に対応することが求められるようになった。このため、いわゆるはんだ付けの目的のために使用されるはんだ付け装置の進化は目覚ましく、最近では0.5mm径のはんだボールを使用可能とするはんだ付け装置も開発されている。しかしながら、更なるはんだボールの微小化も求められている反面、0.3mm径以下のはんだボールについては個々に(一粒、一粒)はんだボールを取り出すことが極めて難しいのが現状である。このためはんだボール貯蔵部から微小なはんだボールを個々に取り出す技術の早期実現が求められている。現状では例えば、はんだボール溜り部(貯蔵部)にエアーを吹き付け舞い上がったはんだボールをノズルで吸引し、必要な一粒のはんだボール以外のはんだボールを取り除くため、摺り切り機構が設けられている装置(特許文献1)や、はんだボール吸引ノズルで吸引したはんだボールをノズル内に上下方向に一列に並べ、一番上のはんだボールをほぼその位置で吸引停止させ、ノズル内に向けてエアーを吹き付け、ノズル内に残っているはんだボールをはんだボール溜り部に押し戻した後、吸引停止させられていたはんだボールに反対方向からエアーを吹き付けて、所定位置まで飛ばして取り出す装置(特許文献2)が提案されている。また円盤上に複数の穴を同心円状に設け、はんだボールを個々に運搬する装置(特許文献3)が提案されている。
【0003】
しかしながら特許文献1に記載の技術ではゴム片に切り込みをいれた摺り切り機構という構成が用いられており、このゴム片は頻繁に稼働するので、常に検証とメンテナンスが必要であり、またエアーで吹き上げられたはんだボールがこの切り込みの隙間から飛び出るという問題がある。また、特許文献2や特許文献3の技術ではエアーの制御が複雑であるばかりでなく、構成が緻密なため、より頻繁なメンテナンスが求められるといった問題もあり、また使用するはんだボール径の変更に容易に対処できないという大きな問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−198114号公報
【特許文献2】特開2008−290089号公報
【特許文献3】特表2016−533268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1から3に開示されるはんだボール取り出し装置では、微小なはんだボールを一粒だけ選択的に取り出すために、頻繁なメンテナンスやはんだボールの飛び出しの問題、あるいはエアーの吹き出しと吸引の制御が複雑であるという問題、さらには微小なはんだボールに対応するための機械的構成が緻密で複雑であるという問題等があり、このため製造コストも高騰し、またこれらの問題のために使用するはんだボールの径の変更には容易には対処できないという問題もあった。
【0006】
そこで本願発明は、エアーを用いつつもエアーの複雑な制御を必要とせず、またわずかな部品の交換で容易にはんだボール径の変更にも対処可能でありながら、極めて簡単な構成にて容易に個々のはんだボールを取り出すことのできる球状物質取り出し装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、多数個のはんだボールが貯蔵されているはんだボール貯蔵部に開口部を設け、その開口部から多数個のハンダボールを、縦横に整列して設けられた複数の半球面状または円柱状の凹部をその上面に有するはんだボール載置板に向けて流し出し、その凹部に滞留したはんだボールを個々にノズルを近づけて吸引保持し、その後所定位置までノズルを移動させ、ノズルにエアを吸引とは逆方向に流し、はんだボールを所定位置にて押し出して取り出すとともに、凹部に入りきれず、載置板の表面や三方の辺に設けた壁部周辺に溜まったはんだボールを、はんだボール貯蔵部の開口部に流し戻す構成とした装置及び方法であることを特徴とする。
【0008】
かかる発明においては、前記はんだボール貯蔵部ははんだボールを多数貯蔵するとともに、はんだボールが流れ出る開口部が設けられている。この開口部は横方向の最大の長さが開口部が載る載置板の幅と略等しく、縦方向の長さは使用するはんだボール径の1.1−3.0倍程度の長さである細長い長方形の形状とされている。また上記開口部が載置板の一端に設けられた段差部の上に重なって載置されるように構成されている。またはんだボール載置板の上面には縦横に整列した態様で一定間隔をもって複数の半球面状または円柱状の凹部が設けられている。さらに、このはんだボール載置板の他の辺(貯蔵部の開口部が重なる辺以外の辺)の縁には所定の高さの壁部が設けられており、はんだボールが載置板以外に飛び出さないように構成されている。
【0009】
このはんだボール貯蔵部と載置板は一体的に構成することができるが、コスト的には別々に形成して一体的に動作するよう組み立てるのがコスト的に優れている。このように構成されたはんだボール貯蔵部と載置板を水平に設置してはんだボールを貯蔵部に投入すると、ハンダボールは重力により自然と開口部に向かい、開口部から載置板の方向に流れ出す。流れ出たはんだボールは載置板の上面に設けられた半球面状または円柱状の凹部に滞留するとともに凹部に滞留しないはんだボールは載置板表面や壁部周辺に散逸し留まる。貯蔵部のはんだボールの量が少なくなると、自然には流れ出にくくなるので、回転機構により貯蔵部と載置板を載置板が少し下方向となるように傾けることができる構成となっている。
【0010】
また凹部以外の載置板上面や壁部周辺に留まっているはんだボールは貯蔵部に戻す必要があるので、今度は貯蔵部が載置板より下方向となるよう上記回転機構を使用して上記の場合とは逆の方向に傾けることができる構成となっている。このようにすれば、貯蔵部の開口部が載置板表面より下側に位置するので、凹部に滞留したはんだボール以外の載置板上面や壁部周辺に留まっているはんだボールは貯蔵部に向かって流れ、開口部を介して貯蔵部に戻される。
【0011】
次に半球面状または円柱状の凹部に滞留するはんだボールに向けてはんだボールをエアーにて吸引保持するノズルが、コンピュータによる所定の制御により上記凹部に滞留したはんだボールの位置まで移動し、ハンダボールを吸引保持する。このとき、載置板は図6に示すように僅かに反時計方向に回転(角度θ≒5度)して傾いているので、その傾きに合わせてノズルも傾けて、載置板に対しノズルが略垂直に位置するようにノズルの傾きを制御する。そしてノズルの先端がはんだボールを吸着保持すれば、ノズルをはんだボール投入位置まで移動してはんだボール投入口にノズル先端を差し込むように制御している。ノズル先端がはんだボール投入口に差し込まれたら、エアーを吸引から吹き出しになるよう例えば電磁弁を制御してエアーの移動方向を変更すれば、ノズル先端に保持したはんだボールは投入口に投入される。
【0012】
ノズルの移動の制御については、種々公知や周知の手段、方法があるので詳細は省くが、載置板の上部に取り付けたカメラで位置を監視しながらノズルを移動させることも可能であり、あるいは載置板の絶対位置を定めておくことにより、ノズルの移動制御は計算によって求めることができ、素早く移動させることができる。
【0013】
一方、載置板の凹部に入りきらなかった余分なはんだボールが載置板に張り付き、はんだ貯蔵部に戻らないときの対処のために、載置板を細かく振動させる振動装置を載置板に取り付けることも可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るはんだボール取り出し装置によれば、極めて簡単な構成により多数個のはんだボールが収納されているはんだボール貯蔵部から個々にはんだボールを取り出すことができる。また、異なったはんだボール径を使用する場合であっても、使用するはんだボールの大きさに応じた開口部を有するはんだボール貯蔵部と、ハンダボールの大きさに応じた直径と深さを有する半球面状または円柱状凹部が設けられた載置板とを変更するだけで、他の装置部品はそのまま使用可能なので、極めて簡単にはんだボール径の変更に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態のはんだボール取り出し装置の側面図である。
図2】はんだボール貯蔵部とはんだボール載置板の平面図である。
図3】はんだボール貯蔵部とはんだボール載置板の斜視図である。
図4
図5】凹部にはんだボールが滞留したときの断面図である。
図6】貯蔵部と載置部が角度θだけ反時計方向に回転した図である。
図7】半球状凹部にはんだボールが滞留したときの平面図である。
図8】ノズルの構成を示す図である。
図9】はんだボールを吸引する前のノズルを示す図である。
図10】はんだボールがノズルに吸引された状態を示す図である。
図11】はんだボールがノズルの先端から投入口に落下する図である。
図12】載置板の変形例を示す図である。
図13】ノズルの先端の各種形状を示す図である。
図14】載置板表面の凹部の配置を格子状に設けたことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る球状物質の取り出し装置の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施の形態においては球状物質としてはんだボールを用いたものとして説明する。
図1は本件発明の構成1を示し、球状物質貯蔵部(10)と球状物質載置板(20)、ノズル(30)、エアチューブ(40)、球状物質貯蔵部(10)と球状物質載置板(20)とを一体的に固定するための接続板(50)、この接続板(50)を時計回りまたは半時計周りにわずかに回転させる回転機構(60)および球状物質投入口(71)とからなる。
なお、貯蔵部(10)と載置板(20)とはねじ(51),(52)により強固に接続板(50)に固定されているとともに、載置板(20)には振動素子(90)が取り付けられている。
【0017】
球状物質貯蔵部(10)に設けられたはんだボール入口(11)から投入された多数のはんだボール(13)は自重により開口部(14)より流れ出し、載置板(20)の表面上を図面右方向に移動する。なおはんだボール入口(11)は、はんだボールを供給した後は蓋(12)によって上部が閉じられる。必要に応じて回転機構(60)により接続板(50)を所定角度だけ時計方向に回転させるとはんだボール(13)の流れ出しはより確実になる。このとき、はんだボールは載置板の表面に縦横に整列して設けられた半球状又は円柱状の凹部(21)にはまり込んで例えば図5に示すように、その位置に滞留する。開口部(14)より流れ出すはんだボールの数は凹部(21)に滞留するはんだボールの数よりも多いので、図2に示すように凹部に入りきらないはんだボールが数多く載置板(20)の表面上に分散することになる。ただし、載置板(20)の表面は図3に示すようにその三方に壁部(22)が設けられているので、載置板表面以外には拡散しないようになっている。この状態のままではノズル(30)での吸引に支障をきたす恐れがあるので、本実施例ではまずこれらのはんだボールを貯蔵部(10)に戻す構成としている。この構成については後述する。
【0018】
図2は貯蔵部(10)と載置部(20)を上から見た図であり、貯蔵部(14)の開口部(14)から流れ出した多くのはんだボールが四角形の載置部(20)の表面を図面下方向に向かって流れ出した様子を示している。図2において複数
されている位置である。また載置板(20)の表面を三方から囲む壁部(22)が設けられているため、流れ出したはんだボールのうち、凹部(21)に入りきれなかった多くのはんだボールが載置板(20)の表面に分散し、また壁部周辺に多く分散していることをも示している。図3に壁部(22)を具体的に示す。
【0019】
1)は縦横に所定距離を隔てて形成されている。この凹部(21)の直径は使用するはんだボールの直径の1.1倍から1.5倍程度に設定するのが望ましいが、用いる材質等により適宜設定されることは当然である。あまり狭いとはんだボールが入りにくいし、また広いと入り込んだはんだボールが飛び出しやすくなったり他のはんだボールが入り込んだりして不都合が生じる。またその深さは使用するはんだボールの直径の0.5−1.5倍に設定するのが望ましが、材質等により適宜設定されるものである。また載置板(20)の一端(貯蔵部が載る位置)には段差部(24)が設けられている。図5ははんだボール(13)が半球状の凹部(21)に入り込んだ状態を示す。図5では載置板(20)の段差部(24)に貯蔵部(10)がその開口部(14)の下端が載置板上面と同じ高さで載っていることを示している。使用するはんだボールの径が極めて小さい場合、例えば0.1mmであるときは、開口部(14)の下端が載置板(10)の上面よりわずかに下となるよう形成することができる。ただ、高さ関係がこれとは逆になれば、はんだボール(13)が貯蔵部(10)に戻りにくくなる。
【0020】
図2を用いて上述したごとく、多くのはんだボールが載置板(20)表面上に分散している状態では、ノズル(30)にて凹部(21)に滞留したはんだボールを吸引することに支障がでることが懸念される。そこで本発明においては、これらの分散した不要なはんだボールを再度貯蔵部(10)に戻す機構を備えるようにしている。
【0021】
図6を用いて、凹部(21)に滞留していないはんだボール(以下「不要なはんだボール」という)を貯蔵部(10)に戻す機構について説明する。図6はほぼ図1と同じ図であるが、説明に不要な部分は省略してある。
さて、図2に示すように不要なはんだボール(13)が載置板(20)の表面上に分散している状態で、回転機構(60)を必要に応じて所定角度(θ)だけ反時計回りに回転させると貯蔵部(10)及び載置板(20)はともに半時計周りに所定角度(θ)だけ回転する。従って載置板(20)の表面上に分散して存在する不要なはんだボールは載置板(20)から貯蔵部(10)に向かって流れ出し、貯蔵部(10)に設けた開口部(14)を介してすべて貯蔵部(10)に入り込む。なお、必要があればはんだボールが開口部のところで停止しないよう確実に貯蔵部(10)に流れ戻る機構として、上記したように貯蔵部(10)が載る載置板の一端に図4で示すような段差部(24)を設け、貯蔵部(10)は図5に示すようにこの段差部(24)上に載置する構成を採ることができる。このとき開口部(14)の下端と載置部(20)の上面とは同じ高さで互いに隙間なく組み合わせられている。
【0022】
図7は、不要なはんだボールが貯蔵部(10)に戻されて、半球面状の凹部(21)にのみはんだボールが滞留した状態を模式的に示したものである。なお、各図面に示された半球状の凹部(21)は説明のためにのみ模式的に示したものであり、実際の大きさや凹部と他の部品との大きさの比率あるいは実際の凹部(21)の個数を示すものではない。
【0023】
図7に示すように載置板(20)の上面には凹部(21)に滞留したはんだボールのみが存在するようになった後、ノズル(30)を制御してノズル(30)の先端が各凹部(21)に位置させるようにする。そしてノズル(30)の先端が凹部(21)に近接または接触した後、ノズルに接続されたチューブ(40)にてエアーで吸引すれば、ノズルに設けられた保持部(32)にはんだボールが吸引保持される。
【0024】
ここで、載置板(20)の凹部(21)からノズル(30)にてはんだボール(13)を吸引するには載置板(20)の表面とノズル(30)の先端とが略90度の配置関係(垂直関係)にあることが望ましい。このため、本発明の実施の一態様においては、図6に示された状態において、ノズル(30)を載置板(20)に近接させるとともに、ノズル(30)をその回転機構(31)を使用して上記所定角度だけ半時計周りに回転させる。これによって、載置板(20)表面の凹部(21)とノズル(30)の先端とがほぼ垂直となり、ノズル先端と凹部(21)との間隔の偏りが減少し、はんだボールを吸引しやすくなる。
【0025】
図8はノズル(30)の詳細を示す図である。ノズル(30)にはその一端にはんだボールを吸着保持する保持部(32)が形成されるとともに、この保持部に連通してエアーの通路(33)が設けられている。ノズル(30)の他の一端にはエアを導通するためのチューブ(40)が取り付けられている。またノズル(30)にはノズルを時計方向及び半時計方向に回転させ得る回転機構(31)が取り付けられるとともに、ハンダボール投入口(71)と載置板上に設けられた凹部(21)との間を移動するためのノズル移動装置(80)が設けられている。
【0026】
このノズル移動装置(80)はコンピュータ(図示せず)の制御により、縦方向、横方向、前後方向 上下方向、時計回り反時計回り方向に移動可能に構成されており、詳細は略するが当業者であれば従来周知の構成、方法を選択的に取り得る。
【0027】
ノズル(30)の保持部(32)ははんだボールの径に応じてその直径が決められるのが普通である。かりに、使用するはんだボールの径が0.3mmである
ればよい。また保持部(32)の奥の内径は0.3−0.4mm程度が望ましい。ついでながら、エアーを導通するための導管部(33)の径ははんだボールが吸い込まれないように0.1−0.2mmであることが求められることは言うまでもない。ただし、後述するが使用するはんだボールの径が0.1mmの場合には導管部(33)の径は0.1mmより細く構成することは当然である。
【0028】
上記のような構成とされたノズル(30)の動作について、図9図10及び図11を用いて説明する。まず、ノズル(30)の先端部(32)がコンピュータ制御により図9に示すように凹部(21)に滞留するはんだボール13を覆うように移動する。この時、載置板(20)は図6に示すように反時計方向に所定角度だけ回転して静止しているので、ノズル(30)も回転機構(31)により反時計方向に所定角度だけ回転された状態ではんだボール(13)を覆うように構成している。そしてエアチューブ(40)を通じて図10に示すエアーの流れ(→1で示す)によりはんだボール保持部(32)に収納されたはんだボール(13)が吸引されて保持部(32)内にしっかりと保持される。
【0029】
はんだボール(13)を保持したノズル(30)はコンピュータ(図示せず)と移動装置(80)とにより、載置部(20)からはんだボール投入口(71)まで移動し、ノズル(30)の先端の保持部(32)の外径がはんだボール投入口の内径に収まるように移動制御される。なお、ノズル(30)は載置部(20)から投入口(71)まで移動する間に、回転機構(31)により時計回りに所定角度だけ回転させられて、ノズル(30)の中心軸がほぼ垂直に戻されている。これらの制御はコンピュータの周知技術で可能であるので、当業者であれば容易に実施できる。
【0030】
そして、図11に示すように、ノズル(30)の保持部(32)の外径が投入口の内径に収容されると、それを検出した信号、例えばノズル(30)が所定位置にあることをセンサー(図示せず)により検出した信号あるいはコンピュータ制御信号による特定位置測定データ等により電磁弁(図示せず)を切り替えてエアーの流れを反対方向に制御し、はんだボール(13)を導管(70)の中に落下させる。
【0031】
この一連の動作を反復すれば、微小なはんだボールを正確にかつ素早く1個づつ連続的に供給することができる。また機械構成が先行技術文献1から3に記載されたものよりも格段に簡単であるので、故障も少なく、メンテナンスの度合いも減少する。
【実施の態様の変形例】
【0032】
以上の説明でははんだボール(13)は一つの径のものだけを使用する装置について述べたが、はんだ付け対象物によっては使用するはんだの量が異なる場合もある。仮にはんだの量がAの場合とBの場合とが必要な時を考えると、従来ではまずAの量にてはんだ付けを行い、それが終了してから別のはんだ付け装置を用いてBの量のはんだ付けを行っていた。
【0033】
本発明を使用すれば、必要なはんだの量が異なる場合でも連続してはんだ付を行なうことができる。その理由は、異なった径のはんだボールを容易に取り出すことができるからである。これを実現するため、図12に示すように、貯蔵部(10)を二分割するほぼ中心位置に貯蔵部をa領域とb領域とに分割する壁部(13)を設ける。また載置板(20)についても、ほぼ中心部に載置板(20)をc領域とd領域とに分割する新たな壁部(23)を設ける。壁部(13)と壁部(23)は貯蔵部(10)と載置部(20)を組み合わせたときに、隙間なく連続するように構成しておく。また貯蔵部(10)のa側領域とb側領域にはそれぞれはんだボール投入部(11aと11b)を設ける。さらに開口部(14)についても、a側とb側にそれぞれの開口部(14a、14b)を設ける。
【0034】
開口部(14a)と開口部(14b)とは横方向の長さは同じに形成されるのが普通であるが、縦方向の長さは使用するはんだボールの径に応じて決定される。図12は、貯蔵部(10)及び載置部(20)のa、c側には例えば径0.3mmのはんだボールを使用し、b,d側には例えば径0.5mmのはんだボールを使用した例が示されている。
【0035】
かかる構成によれば、はんだ量が少なくて良い場所にはんだ付けするときは、ノズルを載置板(10)のc側だけに移動させるように制御すればよい。またはんだ量が多く必要とする個所にはんだ付けする場合は載置板(10)のd側だけに移動させるように制御すれば、異なった量のはんだ付けの作業をはんだ付け装置を変えなくても連続して行うことができる。
【0036】
以上は2種類の径のはんだボールを使用する場合について述べたが、載置板の幅を広くすれば、貯蔵部(10)と載置板(20)をもっと多くの領域に分割して構成することもできる。例えば六つの領域に分割して構成すれば、例えば0.1mm−0.6mmまで0.1mm刻みで6種の径のはんだボールを使用することができる。このように、本発明を用いれば必要なだけのはんだボール径の種類に対応するはんだボール取り出し装置を構成することができる。なお、それぞれの領域は壁部によって分けられることは当然である。
【0037】
この場合にはノズル(30)の先端保持部(32)形状にも工夫が必要である。この工夫について図13を用いて説明する。図13aはノズル先端保持部(32)の形状が奥に進むに従って階段状に狭くなるように形成された例であり、図13bは奥に進むに従って連続的に狭くなるよう略円錐状に形成された例である。いずれの形状においても、一番広い先端部の径は使用が考慮される最大径のはんだボール径(例えば0.6mm)と同じかわずかに大きい径に形成される。また最奥の径は使用が考慮される最小のはんだボールの径(例えば0.1mm)と同じかそれよりわずかに大きな径となるよう形成される。このように形成されたノズル(30)を使用すれば、はんだボール(13)の径が変更されることがあってもノズル(30)をその度毎に交換する必要がなく、極めて取り扱いが容易となる。ただこの場合は、エアー導通管(33)の径を0.1mm以下に設定する必要はあることは上述した通りである。
【0038】
また載置板(20)についても図14に示すように、半球面状または円柱状凹部(21)の配置を載置板(20)の上面に格子状に配置することもできる。このようにすれば、はんだボール(13)が凹部(21)により入りやすくすることになる。
【0039】
以上述べた実施形態は現在知り得るなかでは最良の実施形態であり、本願発明により極めて優れた作用効果を発揮することができる。特に本願発明をすでに周知のはんだ付け装置、例えば特許文献1または特許文献3に記載のはんだ付け装置に適用すれば、極めて多くのはんだ付け対象機種に適用できるはんだ付け装置が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本願発明は微小なはんだボールを用いてはんだ付けを行う自動はんだ付け装置のはんだボール取り出し機構に適用することができ、極めて優れた機能を有するはんだ付け装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ハンダボール取り出し装置
10 はんだボール貯蔵部
13 はんだボール
14 はんだボール貯蔵部の開口部
20 はんだボール載置板
21 半球状凹部
22 壁部
30 ノズル
31 ノズル回転機構
32 保持部
33 空気導通部
40 エアチューブ
50 接続板
60 接続板の回転機構
70 はんだボール供給管
71 はんだボール投入口
80 ノズル移動機構
90 振動素子
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